3月31日(水) |
月末恒例? 読了数を稼ぐためにたまっていた本の感想まとめ書きー。 【 ◆卵王子カイルロッドの苦難 旅立ちは突然に (冴木 忍/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 かなり積み本として熟成されてきたのでそろそろ崩すことにした、富士見全盛期のファンタジー。初版12年前か、この頃はまだ富士見も……。 あらすじ 城塞都市ルナンの王子カイルロッドは、〈卵王子〉と呼ばれていた。彼は母親から、卵として生まれたのだ。そのショックで母親は彼を産んですぐ死亡してしまった。しかし、父王の愛情に包まれ、王子はいたって暢気な青年に育っていた。唯一の悩みは生まれのせいか、嫁の来手がないこと。今日も今日とて、やっと決まった婚約者に逃げられてしまった。うさばらしに城を脱け出し、街の酒場に行ったカイルロッドは、つい飲みすぎ、酔いつぶれてしまう。翌朝目覚めた時、彼の前には、異常な光景が広がっていた。ルナンの人々が石と化していたのだ。呪い?誰が、なんのために…。謎を解明し、人々を救うため、カイルロッドの遥かなる旅が始まった。 導入として十分によくできた一冊。主人公が主人公っぽくなくていい。馬だし。素直に先が気になるので、続きも読んでみようかな。 と思っていたら、ネットでこの先のネタバレを思いっきり見てしまったために鬱に。このまま読み進めると思い切りダメージ受けそうなのでここで一時凍結しておきます_| ̄|○ 評価 ☆☆☆(6) ◆おもいでエマノン (梶尾 真治/徳間デュアル文庫)【amazon】 名前だけは結構有名(?)なSF。同著者のクロノスジョウンターは全然合わなかったのですが、こちらも一応おさえてみることに。 あらすじ 異国風の彫りの深い顔立ち。すんなりと伸びきった肢体。ジーンズにナップ・サック。ながい髪、おおきな瞳、そしてわずかなそばかす―。彼女はエマノン、ぼくが出会った不思議な少女。彼女は言った、「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」と。彼女の口から紡ぎだされる、母から娘へと伝えられたさまざまな『地球』のおもいでたち。表題作から、初収録の最新作までをおさめたピュアSF連作。「この作品の絵は、他の人に渡したくなかった」という鶴田謙二がイラストを担当。 正直、1話目を読んだ時はまた地雷踏んだかと思いました。出会ってよく分からないうちに両想いになってて、数日で離れてその恋のために一生を棒に振るってのは、適当すぎる気がするんですよ。ちゃんと恋愛の過程を書き込んでくれないと説得力がない。別に一作くらいなら文句言わないんですが、クロノスでは全部そのパターンだったために、ちゃぶ台ひっくり返したいような衝動にかられました。 まあエマノンは、2話目以降はその傾向も薄まって、癒し系SFとしてなかなか楽しんで読めました。オチは読めたけどしんみりできた「たそがれコンタクト」と自然に対する直球勝負の「しおかぜエヴォリューション」がよかったかな。SFの割に、かなり万人向けに書かれている小説でした。 評価 ☆☆☆(6) ◆スリピッシュ! 東方牢城の主 (今野 緒雪/コバルト文庫)【amazon】 マリみての著者の別シリーズ。 あらすじ ワースホーン国の王都エーディックで、人々から恐れられている牢城の一つ―東方牢城。城に忍びこもうとして捕えられた少女ロアデルは、恋人である城主ラフト・リーフィシーが助けてくれると信じていた。だが、救いの手が差しのべられないまま、ロアデルはアカシュという名の少年の囚人と知り合う。十三歳のときから五年間、この牢城にいるアカシュは、城主とも顔見知りだというのだが…。 むー、最近のマリみてよりは少なくともずっと面白いぞ、これ。展開は非常に分かりやすい(あらすじ読んだだけでもラフトは偽者って想像がつく)けれど、物語の組み立てがうまいし、文章もすごく読みやすい。キャラクターも、ロアデルには好感が持てて素直に感情移入できるし、アカシュもいいし。なんか最近こんな感想ばっかだな自分_| ̄|○ これの続き出すためにも、マリみてとっとと終わらせてください。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ハサミ男 (殊能 将之/講談社ノベルス)【amazon】 各地で評判がいい第13回メフィスト賞受賞作。 あらすじ 連続美少女殺人事件。死体ののどに突き立てられたハサミ。その残虐性から「ハサミ男」と名づけられたシリアル・キラーが、自分の犯行を真似た第3の殺人の真犯人を捜す羽目に……。殺人願望と自殺願望という狂気の狭間から、冷徹な目で、人の心の闇を抉るハサミ男。端麗なる謎!ミステリ界に妖しい涼風が! 無茶苦茶うまいなぁ、というのが読後の第一印象。物語の構成が、完璧といってもいいほど綺麗。無駄な伏線が全然ないものなぁ。叙述トリックであることは結構早く気づいたのに、謎が見抜けなかった自分は駄目駄目。でも、真相が分かった後、前に戻ってはじめて伏線に気づいたりと、二度楽しめたのでいいか。ただ、構成をきっちりとした分、物語としては並の出来。ここがよければ傑作だったんですが。 評価 ☆☆☆★(7) ◆護くんに女神の祝福を! (岩田 洋季/電撃文庫)【amazon】 著者のデビュー作は地雷だったので一抹の不安を覚えつつ、ラブコメ分補充のため購入。 あらすじ はじめまして、今日から東京ビアトリス総合大学附属高校に通う吉村護です。新世代のエネルギー・ビアトリスに憧れていた僕は、期待感で胸がいっぱいです。そんな僕が初登校中、粉雪のように舞い散る桜吹雪の下にめちゃめちゃ綺麗な女の人が…。僕は思わず幻想的な光景に見入ってしまいます。その綺麗な人の名は、鷹栖絢子さん。彼女がいきなり―「あなた、私と…つ、付き合いなさい!」彼女の突然の告白で、僕の周りは大混乱です。なぜなら彼女は、容姿端麗でビアトリス制御の天才で大金持ちのお嬢様で性格崩壊で衛星も撃ち落とせて魔女と呼ばれてて、でもとっても純情で―。というわけで、岩田洋季が描く激ピュア・ラブコメディ発進です。 まるで人が変わったかのような出来栄えの変化。「先輩とぼく」のラブコメ分を抽出して猛烈に面白くしたような話。学園ラブコメとして、文句ないというか良すぎる。月姫の秋葉のような強がりお嬢様系キャラが好きな人なら間違いなく萌え転がれるのではないかと。甘々ばんざーい。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆裏切りの聖女 脚のない獅子2 (駒崎 優/講談社X文庫ホワイトハート)【amazon】 ようやく2冊目、10冊セット買いしたシリーズ。 あらすじ ときは十三世紀、ところは中世英国。立派な貴族の子弟でありながら、いろんな事件に首を突っ込み、解決を請け負っては小金を稼いでいる二人の騎士見習い―。その名も、リチャードとギルフォード。彼らの住むシェフィールドの司祭が急死、代わりに派遣されてきた若き司祭が、ヨーク大司教という権力者の懐刀であったことからにわかに不穏な気配が漂い始める。 あれ、タイトルの意味が最後まで分からなかったんですが……。聖女なんてどこにも出てこなかったよ。で、内容ですが、地味。とにかく地味。そしてやっぱり華がない。男が男を慰めてる挿絵とかいらないから! つまらなくはないんだけれど、まとめて読む気力が全然わかない_| ̄|○ うー。 評価 ☆☆★(5) ◆ヴィーナス・シティ (柾 悟郎/ハヤカワ文庫JA)【amazon】 自分の中のとある属性に思いっきり訴えかけてきたので購入。 あらすじ 森口咲子、26歳、現在独身。職業は不良会社員。そんなあたしが、夜ごとコンピュータ・ネットワーク・ゲーム用の転換ルームをくぐり抜け、男性のボディを身にまとう―ジェンダーさえもが望みどおりとなる、コンピュータ・ネット上に構築されたヴァーチャル都市「ヴィーナス・シティ」が多発する暴力事件は国際的情報犯罪の布石だった。21世紀初頭、巨大ネットワーク国家となった日本を描いた第14回日本SF大賞受賞作。 これ書かれたの92年ってのがすごいなぁ。高速回線が光でもADSLでもなくて、超高速ISDNというのが、ものすごく時代を感じさせます。今この手の話が出ても全然驚かないけれど、当時は結構斬新だったのではないかと。そういった背景抜きにしても、仮想社会をうまく書いている良作。MMOの延長線上にありそうだし、数十年後くらいにはもしかしたらヴィーナスシティに近いものができるかもなぁ。あ、運動でコンピュータ操作してるのにはちょっと笑いました。確かに情報伝達という点ではキーボードというインターフェイスよりはるかに優れているけど、皮肉なのかな、と。 評価 ☆☆☆★(7) ◆アグラファ1 蒼穹のシディ (三浦 真奈美/C★NOVELS ファンタジア)【amazon】 期待度が高いため、今まで放置してたシリーズ。「女王陛下の薔薇」は名作でしたが、こちらはどうか。 あらすじ ミオの耳にその「声」は届いた。声は、青くどこまでも続く空を悠々と飛びまわる鷹に呼びかけている…。隣国アティスの侵攻。混乱おさまらぬリグリアの地に新たな動乱の波が密かに押し寄せる。新シリーズ開幕。 序盤のミオはほんと馬鹿で厨房で読んでていらいらしてくるキャラなんですが、頁が進むにつれちょこっとだけまともになります。過去のアインに似ている、という発言もあったし、これは彼の成長物語なんでしょう。女王陛下のキャラに比べるとちょっとパワー不足な感じだけれど、ミオやアインがこれからどうなるのか、物語として期待大。 評価 ☆☆☆(6) ◆幻の将軍(上) (河原 よしえ/EXノベルズ)【amazon】 「少女→隠して男装して王子」という設定の時点で購入決定です。 あらすじ 大国アシュの庇護の下、豊かな自然の懐で平和を謳歌しているシェン。そこに暮らす鍛冶の娘フレイは、剣術も馬術も大人顔負けの腕前で、まるで少年のように振舞っていた。幼馴染のアルセスと共に、アシュの偉い人の依頼だという剣を父の代わりに届ける船旅の途中、二人は海賊に襲われ、嵐の海ではぐれてしまう。フレイはアシュの軍船に助けられたが、アルセスの行方は杳として知れない。彼らが人違いをしていることに気付いたフレイは…。 設定、あらすじの時点で個人的良作であるのは決定付けられてるんですが、面白いんだけれどもうワンパンチたりない。何が悪いのかと考えてみたら、心理描写にちょっと問題が。恋愛感情の表し方が、全キャラほとんど同じ(というかみんな自分の感情ちゃんと自覚しなさい!)なので、そこでちょっとしらけて思考が分断されちゃうんですよね。もったいないなぁ。とっとと下巻買ってこなきゃ。 評価 ☆☆☆★(7) |
3月30日(火) |
生まれてはじめて、コバルト新刊5冊まとめ買いという暴挙に出ようかと思っていたのですが、2冊売り切れていたため3冊しか買えず残念。ま、どうせすぐに買うから大して変わらないんですけど。他のレーベルの本結構売ってしまったので、今やコバルトがうちの本棚の最大占有率をもつことに。なんかどんどん道を踏み外していってる気が_| ̄|○ 【今日読んだ本】 ◆マリア様がみてる チャオ ソレッラ! (今野 緒雪/コバルト文庫)【amazon】 まずは一番期待していないこれから。最近のマリみては、無駄に話を引き伸ばしているみたいであまり面白くありません。マリみてはいいから去年中に出るはずだったスリピッシュの後編出してください。 あらすじ 体育祭が終わり、リリアン女学園高等部の二年生を待ち受けるイベントは、修学旅行! お姉さまや妹との別れを惜しんだ祐巳、由乃、志摩子は、成田空港から飛び立つ。行き先はカトリックの総本山もある、食と文化の国、イタリア! 全二年生が二手に分かれ、7泊9日でイタリア国内を回る旅行日程。偶然にも、山百合会の三人は同じグループ。蔦子や真美も同じで、なにやら波乱の予感が…!? なんか全然話が進まないなぁ。修学旅行という時点であまり期待はしてなかったんですが、予想以上にイタリアの風景描写が多くて、ただのイタリア旅行記を読んでるような気分に。独特の雰囲気も薄まってるし、長編なのに細かいイベントのつながりで構成されていて短編みたい。わざわざ過去のキャラを、大した役割も与えずに再登場させるのもなんかなぁ。テンポはいいし読んでてつまらなくはないんですが、長引かせるにつれクオリティ落ちてきているので、もっと話進めてほしいところ。ブームの弊害だよなぁこれ。 評価 ☆☆★(5) ◆楽園の魔女たち 楽園の食卓(中編) (樹川 さとみ/コバルト文庫)【amazon】 こちらは一番期待度が高かったやつ。ほんとは後編で全20巻の完結だったはずなのに、分量が増えて1冊増えたのが嬉しい誤算。 あらすじ 魔術師組合本部にて、赤の長老ユーマは、ファリス・サラ・マリアにむかってはっきりと告げた。――ダナティアが辞表を提出した、と。それは、ダナティアが帝国の皇帝代理として軍をひきいて、戦が始まったことを意味していた。帝国の捕虜となった夫のジェイルを救うため、またダナティアを説得するため、帝国にむかったドラゴンのガーガとマリアを待っていたのは、無情な矢の攻撃であった!! あれ、これ前巻までのあらすじだ。 マリみてとは対照的にがんがん話が進みます。楽園の皆が離れ離れになって、それぞれの信念に従って突き進んでいく様は、ちょっと悲しいけど、それより熱い。今巻はファリスがMVP。100人抜き、そして最後のナハトールとの決闘のシーンでは胸が震えました。けれど基本はコメディな作品なので、シリアスだけではありません。サラはちょっとしか登場しないのに、よりによってそこがコメディでちょっとかわいそう。でもそれが伏線なわけで。肩に乗ったタコが伏線なのもこの話ならでは。 次巻で本当に終わりなわけですが、願わくば最後はみんな一緒で笑っている結末でありますように。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆鏡のお城のミミ 姫将軍と黄金の王子 (倉世 春/コバルト文庫)【amazon】 デフォ買いの作家の一人、倉世春さんの新刊。 あらすじ ミミの弟フィディルの婚約者ベアトリスは、鉄の公女とも呼ばれる勇猛な女性。マルグリット公国の後継者と目され、国中の期待を背負っている。ところが、地方の反乱を治めたあと、辺境の村で行方不明に…。ベアトリスの妹姫たちは顔立ちの似た従兄弟のエリックを無理やり公女に変装させ、ミミやフィディルともども村へのりこむ。いっぽう、ミミとエリックの仲も怪しい雲行きになって!? 久々の登場のフィディル&ベアトリスのカップルも非常にいい味出しているし、新登場のコレットやアニェスもなかなかいいのだけれど、今回のミミの前には皆かすんじゃいます。恋心かどうなのか微妙な状態でのキスシーンをごろごろと悶えながら読みつつ、ようやくエリックとくっつくかなと思ったらそう一筋縄ではいかず。そして、ラストの終わり方。一体この先どうなるのか、非常に気になる状態での引き。楽魔女もこれも、どうしてこんないいところで終わるかなあ。でも、これが遅筆な作家であれば_| ̄|○ となるのですが、きちんと刊行されるのは確かだし、うまくなってきているし、ほんと次も楽しみ。 評価 ☆☆☆☆★(9) 【本日購入したもの】 マリア様がみてる チャオ ソレッラ! (今野 緒雪/コバルト文庫) 楽園の魔女たち 楽園の食卓(中編) (樹川 さとみ/コバルト文庫) 鏡のお城のミミ 姫将軍と黄金の王子 (倉世 春/コバルト文庫) Chronicle 2nd (Sound Horizon) |
3月29日(月) |
ようやくgoogle様に再び捕捉されました。それは嬉しいのですが、検索してこのサイトにやってきた人、みんな「Remenber11 攻略」でやってくるのは何故なんだ……_| ̄|○ うちは攻略なぞ全くやってません、ごめんなさい。攻略を探す時は「ゲーム攻略への道」使うのが一番楽でいいです。自分も使いましたし。これから攻略する人、頑張れ。生きろ。 【 ◆放課後戦役 (鷲田 旌刀/コバルト文庫)【amazon】 そろそろ新刊が出るので既刊を試し読みしてみよう、第一弾。 あらすじ 博喩堂高校に入学した水無瀬誠は、入学式の日、同じ中学出身の柏樹遊と再会する。頭脳明晰で容姿端麗な遊に、誠はあこがれに似た想いを抱いていた―。折しも日本は、内戦のまっただ中。高校生による「高等生徒隊」の設置が噂されていた。入学式のあと、遊は、誠もいれて5人班を結成する。戦争で生き残るため、最高の人材を集めたというのだが…。美しくも哀しい青春を描くハイスクール戦記。 あらすじだけを見た時、PSの「ガンパレードマーチ」というゲームをなんとなく思い出しましたが、あちらが高校生達が実際の戦力として戦う話だったのに対し、こちらは権力を持った者たちに振り回されつつ進む方向を見定めていく高校生の話。設定ゆえに進む方向が限られるため、細部までは分からないまでも大体の流れは想像がつくし、デビュー作だけあって色々アラもあるのだけれど(最初の導入付近はちょっと強引さを感じました)、高校生の青臭さはうまく描写できていたし、ラストのちょっと変わった終わり方も結構気にいりました。力がないゆえの憤り、やるせなさの書き方は一級。 というわけで新刊も買ってみようかな。ただ、今月は買うものが多いので、あらすじ次第では見送るかも。 評価 ☆☆☆(6) ◆アリスのお気に入り (ココロ 直/コバルト文庫)【amazon】 そろそろ新刊が出るので既刊を試し読みしてみようフェア、第二弾。 あらすじ おしゃまな亜理須の好きなもの、お宝、ケーキ、白ウサギさんのきれいな瞳。今日も今日とてアンティークショップ「クローケー・グラウンド」を訪ねては、大好きな凄腕鑑定士の白羽とお宝探しにいざ出発。シラハの特殊能力『日記読み』とアリスの好奇心で、古今東西いわくつきのアンティークに秘められた謎を解けるのか!?さぁ甘くて不思議でシニカルな“ワンダーランド”へようこそ―。 当たりキター。小学生の主人公アリスと、ちょっぴり愛想の悪い鑑定士シラハの甘々話。シラハは時々邪険にアリスのことを扱うのだけれど、本気で嫌っているわけもなく。んでもってアリスは押せ押せ。かなり甘々。でもそれがいい。一話解決の短編もどれもなかなかいい出来。一番好きなのはラストの出会いの話かな。まあ、この小説の一番の魅力はアリスのかわいさです。素直に転んだもの勝ち。 評価 ☆☆☆☆(8) |
3月26日(金) |
あちこちで「書評サイトもってる人は必読」と書かれていたのを見て、「文学賞メッタ斬り!」【amazon】 を買ってみました。もともとはエキサイトで連載していたものを、超大幅増量して本にまとめたものらしいです。自分はメフィスト賞や日本SF大賞あたりは読んでいるものの、他の一般小説には全然手を出してないので楽しめるかどうか不安だったのですが、杞憂でした。無茶苦茶面白かったです。タイトルの通り、色んな賞をばっさりと斬っており、賞や受賞作を知らなくても、読み物としてだけで十分楽しめます。特にRound4の選考委員と選評についての部分は爆笑。よくもまあ、大作家たちを実名でこうも酷評できたものです。 とりあえず、ファンタジーノベル大賞受賞作品はもっと読んでみようと思いました。文学方面で気になるのもあったけれど、きっと自分には楽しめないと思うので回避。 【本日購入したもの】 アリスのお気に入り (ココロ 直/コバルト文庫) |
3月24日(水) |
通常更新再開。まだグーグル先生には引っかからないのか……。 【 ◆Remember11 -the age of infinity- (KID)【amazon】 もったいねええええええええええええ! 名作Ever17を世に送り出したinfinityシリーズの最新作。最近更新滞っていたのはこれやってたからなんですが、ほんと惜しい。もったいないおばけが出てきそうです。以下通常レビュー。 【システム】 選択肢を選んで進めていく、現在のADVの主流なし捨てム。必要な機能はほぼ全て揃っており非常に快適。選択肢ごとにクイックセーブが自動で行われるので、分岐も簡単に回収できます。欲をいうなら、バックログ見るときに、LRボタンでページ送りができるとよかったかな。一行ずつしか戻れないので、大幅に戻る時はちょっと大変でした。 また、二人の主人公がいる本作独自の特徴として、「片方の主人公の時の選択がもう片方の主人公のシナリオに影響する」というのがあるのですが、最初の攻略時には「こころ編→悟編」とルート固定されているので、全く働いていません。バッドエンド回収時には大いに使われているのですが、メインシナリオに影響しないのでは効果半減。面白い方法ではあるのだけれど、これを前面に押し出して宣伝するのはちょっといただけないかな。 【シナリオ】 あらすじなどはオフィシャルページ参照。infinityシリーズの続編なだけで無条件で買いなのに、さらに男女間の人格交換という、自分のツボをついた設定なだけに、大いに期待していました。 前作Ever17では、置かれた状態に本来伴うべき緊張感が欠けていたために、中だるみが起こりましたが、本作ではそれをしっかり保っており、サスペンスとして非常によい出来。気抜くとがんがんバッドエンドにいきます。人格交換現象をうまく使って、キャラ間の情報差を巧妙につくりあげていますし、謎が徐々にわかっていく過程は見事。さらに、途中に驚愕するようなシーンを混ぜており、プレイヤーのやる気をかきたてます。こころ編の引きはまさに神がかってましたし。ラストまではEver17を大幅に越えてました。 でも、ラストが……。例えるなら、「楽しかった世界一周旅行、しかし最後の目的地南極に置き去り、側には一艘のボート」といった感じ。訳分かりませんね_| ̄|○ 要は、最後にあるべき部分がスパッと抜け落ちちゃっています。まだまだ話が続きそうなところでおしまい。バッドエンドやTIPSから、ある程度真相は想像できるのですが、それでもプレイヤーとしてはしっかり物語を閉じてほしかった。TIPSではじめて見る名前があるようではダメだよなぁ。意図的なものか、時間的なものか、こうなった原因が何なのかは分かりませんが、きちんと終わらせていればほぼ確実に傑作と呼べるものになっていただけに、本当に残念。怒るべきなのかもしれませんが、それよりももったいないという想いが先にきます。ラストまでで値段分は十分に楽めました。 【グラフィック・音楽】 絵は素晴らしいの一言。 音楽もいい出来なのですが、この点だけは主題歌とインパクトの分だけEver17の方が上かな。All or Noneが流れるシーンとKarmaが流れるシーン(共にタイトル画面の曲)が似ているため、後にプレイした今作の方が破壊力がありませんでした。 【総評】 しつこいようですが、惜しすぎる。できることなら続編を、完全版としてでもいいから出してください。迷わず買います、踊らされます。 評価:A ◆ハイウイング・ストロール (小川 一水/ソノラマ文庫)【amazon】 近作は安定して面白い話を出してくれる小川一水氏の新刊。 あらすじ 陸も海も重素雲で覆われてしまった地球。人々は、かつて高地だった「島」に住み、空中を漂う「浮獣」を狩り、その製品に頼って暮らしている。15になる不良少年リオは、無理やりその「浮獣ハンター」にスカウトされた。年上の女性ハンター、ジェンカに鍛えられ、やがて訪れた充実の日々。最強の獲物を狙うという二人の夢も膨らむ。だが、この世界が重い秘密の上に成り立っていることはまだ知らない。 読み終わった後あらすじ見て、はじめて舞台が地球ってことに気づきました(死 「雑魚の浮獣を狩る→上手くなって装備も強化、もっと強い浮獣がいる場所へ行く」、という非常にRPG的なお話。そんな中をぐんぐん成長していくリオ、読んでて非常に気持ちいい。ちょっとだけすれていて、でも根は非常に真っ直ぐなリオのキャラクターに、思春期まっしぐらな時期に年上女性教官という設定が見事にマッチして面白さを引き上げています。その教官兼パートナーであるジェンカもいいキャラ。「今日もしよう」は反則ですよ。そして、浮獣と戦うのだから、当然たっぷり出てくる空戦シーンがとってもかっこいい。 残念なのは、キャラが多すぎたのか、脇役に焦点を当てきれてないこと。グライドに従っているだけのコーナあたりは、もうちょっと掘り下げてほしかったかな。本来2巻以上使ってやるべき話を、1巻に無理矢理詰め込んでるように思えました。 とはいえ、大満足。最近は外れがなくていいなぁ。 評価 ☆☆☆☆(8) 【本日購入したもの】 箱のなかの海 (樹川 さとみ/コバルト文庫) 太陽の石 月の石 (樹川 さとみ/コバルト文庫) 真世の王(上) (妹尾 ゆふ子/エニックス) |
3月18日(木) |
諸般の事情により読書&更新ペースが落ちそうです。 【 ◆図書館戦隊ビブリオンU (小松 由加子/コバルト文庫)【amazon】 ビブリオンの完結編。 あらすじ 芸亭高校の地下には、とんでもない謎が隠されていた。前作で「巨大な紙魚」を撃退し、図書館の秩序、本、利用者の正当な権利が守られたと思ったら、今度は悪の組織『ネオ・バグフォード』の四天王が、またまた暗黒の陰謀をはりめぐらせているのだった!仁科昭乃ら5人の正義の戦士『図書館戦隊ビブリオン』が再び立ちあがる!いざ行け。やれ行け。悪に負けてはならないのだあ。 むー、1巻に比べるとパワーがたりない。ビブリオン側のネタがきれたのか、悪の組織側がやけにでしゃばってるんですが、こいつらが面白くない。キャラが類型的でないのはいいのですが、斜め上に突き進んでしまっています。出ている割にはキャラの掘り下げが弱いし、四天王のくせして戦いの様子がまともに描写されているの一人だけというのも、メインで扱っているのにひどい扱い。その他の部分は、小ネタもなかなか独特なところあるし、主人公サイドは楽しいので、もったいないです。 評価 ☆☆★(5) ◆これは王国のかぎ (荻原 規子/C★NOVELS ファンタジア)【amazon】 あらすじも何も見ずに著者買い。危険だと分かってるのについやってしまった_| ̄|○ 当たってくれ。 あらすじ 失恋して泣き疲れて眠ったあたしが目覚めたら、そこはチグリスの畔、目の前にはターバンをした青年が。不思議な力を持つ魔神族となったあたしは、彼と都に向かい、王家の争いに巻き込まれて…。再刊。 これは(・∀・)イイ! 現代で暮らす少女が、突如異世界に入り込んでしまうという設定は使い古されたものなのですが、そんなことお構いなし、ぐいぐいと物語に引きずり込まれて、ラストまで一気に読み進めてしまいました。キャラクターもいいし、文章も読みやすいんだけれど、萩原さんの書く本の一番の魅力は物語自体の面白さにあるんですよね。思いっきりワクワクドキドキさせてもらいました。ラストには少し不満もあるけれど、西魔女の時のような不快感はないし、納得できるものだったのでさほど問題ではなし。主人公の一人称「あたし」さえ気にならなければ楽しめると思います。 評価 ☆☆☆☆(8) 【本日購入したもの】 ザンヤルマの剣士 イリーガルの孤影 (麻生 俊平/富士見ファンタジア文庫) ザンヤルマの剣士 ファイナルの密使 (麻生 俊平/富士見ファンタジア文庫) スリピッシュ! 東方牢城の主 (今野 緒雪/コバルト文庫) 惑星童話 (須賀 しのぶ/コバルト文庫) MAMA (須賀 しのぶ/コバルト文庫) 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 革命はお茶会のあとで (橘香 いくの/コバルト文庫) 放課後戦役 (鷲田 旌刀/コバルト文庫) R.O.D 第二巻 (倉田 英之/スーパーダッシュ文庫) Kishin 姫神 U (定金 伸治/スーパーダッシュ文庫) マグダミリア 三つの星 T 暁の王の章 (高殿 円/角川ティーンズルビー文庫) マグダミリア 三つの星 U 宰相の杖の章 (高殿 円/角川ティーンズルビー文庫) モンキーターン 27巻 (河合 克敏/小学館) Remember11 初回限定版 (KID) |
3月17日(水) |
【 ◆図書館戦隊ビブリオン (小松 由加子/コバルト文庫)【amazon】 ネットの書評見て前々から気になっていた本。だって図書館で戦隊ですよ? 一体どんな話が飛び出てくるのやら。 あらすじ 高校入学後、体育委員になりたくない!という理由で図書委員になった仁科昭乃16歳。昼なお暗く、借りに来る人も少ないその図書館には、数々の秘密が隠されていたのだあ!迫る怪人、怪物たち…。地下の謎の書庫。図書館を守れ!悪の組織をやっつけろ!立ちあがれ、命懸けで本を守る昭乃とヘンな正義の仲間たち・勇者ビブリオン!!ゲーム&アニメ感覚、痛快爆笑学園小説デス。 完全にタイトル通り、お馬鹿なノリのお話。最初に出てくる敵が「怪奇紙魚男」な時点で、これは気を抜いて読むべき本だと確信。戦隊物のお約束、「友情・努力・勝利」が出てくるわけでもなく、図書館について詳しく扱っているわけでもなく、どこかパロディ的。話と話の間に次回予告なんてものがあって、「君の知的好奇心に、レファレンスアターック!」とか書いてます。アホです。こういうのは結構好き。その中でも第三話が、馬鹿なだけじゃなく心暖まる話でよかったなぁ。 でも、人を選ぶことは確か。売れ筋を明らかに外していることもまた確か。現に、このシリーズを最後に作者消えましたし……。残念無念。 評価 ☆☆☆★(7) ◆西の善き魔女 外伝1 (荻原 規子/C★NOVELS ファンタジア)【amazon】 タイトルの通り、西の善き魔女シリーズの外伝。本編はラストはいまいちだったもののそれ以外は面白かったので読むことに。 あらすじ 荒野をわたる風が秋を告げる頃、天文学者の父と暮らす少女の前に不思議な少年が現れた。平穏な世界を揺り動かす突然の闖入者、ひとり己の殻にこもる少年ルーンにフィリエルはとまどう。だが、聖家族を祝う冬至祭(ユールレイン)の夜閉ざされた心の扉が開き始めた…。幼い二人の運命の出逢いを描く四つの季節の物語。 あれれ、本編より面白い、なんでだ? 本編の主人公、フィリエルとルーンの幼年時代、出会いから打ち解けるまでの物語なのですが、フィリエルもルーンもとにかく可愛すぎる! セラフィールドという世間から断絶された場所で、複雑な思いを抱きつつも仲良くなっていく二人がほんと愛らしい。もうこの時からお互いに無二の存在となってたんだなぁ。特にルーンは、本編では歳をとってひねくれちゃったこともあってなかなか本心を口に出してくれないこともあり、素直(かどうかは怪しいけれど)な子供の彼は新鮮でよかったです。 評価 ☆☆☆☆(8) |
3月16日(火) |
Bookshelfの本を追加したり、アクセス解析つけたりと、ようやくサイトの体裁が整ってきました。そろそろ仮とれそうだ……。 【 ◆クリスタル・コミュニケーション (あかつき ゆきや/電撃文庫)【amazon】 前から気になっていた電撃の恋愛物。 あらすじ 「お昼をご一緒しませんか?」「かまわないけど、でもどうして僕と?」「水晶色だからです」「すい…?」「あなたが水晶色だから、私はあなたと時間を共有したいのです」不思議な女の子と大学受験会場で出会った僕は、その瞬間から、“なにか”が始まったことに気づいていなかった。女の子は、ケイと名乗り、そして驚いたことに、不思議な力を持っていて…!不思議色恋愛ストーリー、登場。 んー、もったいないなぁ。これのようなラストをある程度読める恋愛物語においては、いかに主人公に感情移入させるかが勝負だと思うのですが、この主人公には全然共感できませんでした。よく言えば直情的でまっすぐな性格なのですが、あまりにも思慮がたりず、他人への思いやりが欠けているように見えてしまい、どうにもならず。共感さえできれば、綺麗な話だし、きっとラストの余韻をたっぷり味わえたんですが。 評価 ☆☆★(5) |