3月15日(月) |
昨日はかなり久々に高校の時の友人で集まって玉投げやら飲みやらカラオケやらをする。どうやら何かがとり憑いていたらしく、ボーリングで数年ぶりに自己新を更新したり、ダーツがど真ん中に刺さりまくったりして、皆から「台本と違うだろ!」と野次られたり。やっぱりボケキャラなのか俺は……_| ̄|○ まぁ前半ボケれなかった分はちゃんと後半で返したんですけどね。 【 ◆機械じかけの神々(下) (五代 ゆう/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 ほっとくといつまでも放置しそうなので、とっとと下巻に手をつけました。 あらすじ 精霊の血をひく異形の少年スノウ。彼は行方不明になった師ルルスの消息を求め、機人ライムンドゥスとともに旅行つ。だが、どうやら、ルルスは法王と皇帝との権力争いに巻き込まれて死んだらしい、ということが判っただけだった。なぜか、法王の刺客はスノウをもつけ狙う。スノウたちは学院都市アルカンドラスに逃げ込んだ。ここに残されていたルルスの研究から、スノウは自分の出生に秘められた驚くべき事実を知る。すべての謎の鍵を握るのは、伝説の都市〈ザナドゥ〉。スノウは自らの運命と対峙するため、〈ザナドゥ〉を目指す…。愛にあふれたファンタジー・アドベンチャー、感動の完結編。 うわー、物凄い急展開ですよ。上巻とはうってかわって、ちょっと進んだところから話が動き出し、中盤でこれまでの伏線をからめて一気に明かされる謎。かなり強引ではあるのですが、終盤その事実を知ったスノウが悩み進んでいく様は、王道ながらなかなか胸を熱くさせてくれて、いい物語でした。 残念なのはミケロットの扱いかなぁ。上巻であれだけ出てて、思わせぶりなシーンまであったのに、下巻ではこれですか。イザンバールがあまりにもへたれなだけに、より残念さが強調されます。殺したミケロットが女だったと分かった途端、態度を変えたイザンバールには、怒りを通り越して呆れましたよ。ほんと最低だ。ミケロットが哀れすぎる。 それでも本筋は面白かったので、上巻で投げずによかったです。 評価 ☆☆☆(6) |
3月14日(日) |
色々と突っ込まれたこともあり、適当だった評価の見直し。点数だけ主観で適当につけちゃってるんで感想と乖離しちゃってるところが。特に下の方の点数はいい加減なので、自分の中で基準ちゃんと構築しときます。 【 ◆双霊刀あやかし奇譚2 (甲斐 透/ウィングス文庫)【amazon】 私的一押し作家の一人、甲斐透氏の新刊。刀に宿った霊に恋をする女の子の物語。 あらすじ 時代は大正十年――汽車が走り電灯が夜を照らす、妖怪や幽霊は迷信と消えたはずの、文明の世紀。脇差に宿る二つの魂の力を借りて妖退治をするうちに、安曇早苗はその片方の霊である兵衛介に惹かれている己に気づく。しかし兵衛介がだんだん弱っていく一方で、脇差に憑く片割れの吉光が斬った妖気を取り込んで暴走し、周囲を巻き込む大きな事件を引き起こした時……!? 畏れるべき妖も、人の身のうちに巣くう妖なる心も、 すべてまとめて、刀に宿りし美貌の禰宜と大正娘が退治する!! 恋と勇気と無鉄砲のモンスター・コンクエスト完結! うああああああああああああああああ切なすぎ! 2巻は転と結。普通ならば想いを積み重ねるためにも、間にもう1、2個話をはさみそうなものですが、描写が非常に丁寧なので、なくてもすんなり主人公に感情移入できます。というか、感情移入しすぎて、ラストが非常に辛いです。確かに途中で結末は想像つくし、それが一番綺麗だけど、納得いくけど……。でも、こう思わされた時点で読者の負けだよなぁ。 やっぱりこの人の書く話は面白い。たとえ必要なくても、もっと話を読みたかった。王道をきちんと書けるというのは力がある証拠。もっとがんがん書いて成長してほしいです。 あと、内容とは関係ないけれど、この文庫の装丁は好きです。この値段でこれができるんなら、他のレーベルももうちょっと頑張ってほしいなあ。特に富士見とか。 評価 ☆☆☆☆(8) |
3月13日(土) |
ためこんでいた本の感想の消化フェア。 【 ◆機械じかけの神々(上) (五代 ゆう/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 読むのに足掛け半年くらいかかった積み本。富士見の大賞作家は売れないというジンクスを作った一人、五代さんの本です。大賞作は内容が地味目なのと挿絵が原因で売れなかったんだと思いますが、これはどうなのでしょう。 あらすじ 鋭い牙と鉤爪、猫のような瞳、そして長く尖った耳をもって生まれた少年スノウ。その姿ゆえ、家族からも忌み嫌われたスノウは、錬金術師ルルスに従弟として引き取られた。それ以来、スノウは人里離れた土地にあるルルスの館でひっそりと、平和に暮らしていた。だが、錬金術師の〈組織〉から使者が訪れ、ルルス師の消息が不明になったことを告げたとき、スノウの平穏な日常は終わりを迎えた。事件の真相を知るため、機人ライムンドゥスとともに、都の〈組織〉本部へと旅立つスノウを待つものは…。ファンタジア大賞受賞作家五代ゆうが贈る、興奮と感動の書き下ろしファンタジー・アドベンチャー。 んー、やっぱ地味かも。 内容自体は少年が旅立って、少女と出会ったり大きな事件に巻き込まれていったりと王道。世界観はよくできているし、地の文の描写も結構うまいんですが、キャラクター、特にヒロインの印象が弱く思えました。全然活躍しないし、物語の中で今のところ重要な存在でないからなのかな。全体の話がいまいち見えてこないので、上巻読み終わった時点ではいまいち。 さて、忘れないうちに下巻読まねば。 評価 ☆☆★(5) ◆業多姫 いろどりつづり (時海 結以/富士見ミステリー文庫)【amazon】 もはやミステリーを捨てたラブラブシリーズの最新刊。今回は短編集です。 あらすじ 時は戦国乱世。異能の力をもつゆえに人々から業多姫と恐れられている鳴。異能集団「狐」を離れ、鳴とともに生きる決意をした颯音。二人がいかにして絆を深めてきたのか――。書き下ろし3本を含む、初の短編集。 短編でストーリーがあまりないこともあって、今回はいつも以上にラブ度が高いです。著者自身があとがきで「ラブすぎ」と認めちゃっているほど。その点では文句ないのですが、今回はお話の面が微妙。どれも今までの話の挿話の短編なのですが、二人の想いが最初から結構近いために、どの話も似たような印象を受けちゃうんですよね。過去や脇役が主役の短編はなかなかいいのですが、その割合がもうちょっと多ければよかったなと。 この短編の締めから考えて、あと2、3冊で終わりそうかな。無駄に長引かせずにハッピーエンドにもっていってほしいです。 評価 ☆☆☆(6) ◆ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (滝本 竜彦/角川書店)【amazon】 噂の引きこもり作家、滝本氏のデビュー作。はてさて一体何が出てくるのやら。 あらすじ やり場のない怒りのはけ口を探していたオレの前に現れたのはセーラー服を軽やかにはためかせて闘う美少女戦士だった。敵は諸悪の根元、不死身のチェーンソー男だ…。第5回角川学園小説大賞特別賞受賞作。 あれれ、普通に面白いんですけど。 少女と一緒にチェーンソー男と戦う日常(?)を通して、人生について色々考えてみたりする高校生を描いた話。といっても、重い描写はなくコミカルなタッチで書かれているので非常に読みやすいです。日常会話もテンポよく読めるし。高校生一人称から生じる青臭さがとってもいい感じ。 これは次作もそのうち読んでみなければ。 評価 ☆☆☆★(7) ◆足のない獅子 (駒崎 優/講談社X文庫ホワイトハート)【amazon】 先日ついつい10冊セット買いしてしまったシリーズの一作目。これが外れだったら10冊分損したことになります。泣きます。当たってくれ。 あらすじ 時は十三世紀。ルネサンスの光、未だ射しこめぬ中世のイギリスで、剣と弓とそのしなやかな知恵を武器に、弱きを救いつつ金もうけにいそしむ二人の貴族の若者がいた―。その名は、リチャードとギルフォード。二人が、ユダヤ人の金貸しの依頼を受けたことが、全ての発端だった。事件を追ううちリチャードは、それまで目をそむけていた、己の出生の秘密と、向きあわねばならなくなる―。 うーむ、つまらなくはないんだけれど……。すらすらっと読めるのはいいんですが、後に残るものがほとんどないんですよね。話自体は結構よくできてるし、では何が悪いのかというと、 なんか登場キャラ男ばっかですよ。しかも微妙にそっち系の香りがしますよ。あうー。 しかし、頑張ってキャラクターさえ好きになれば楽しめそうな気もするので、残りも頑張って崩してみます。いざとなったら脳内変換だ。 評価 ☆☆★(5) ◆パンドーラ 水の神話 (倉本 由布/コバルト文庫)【amazon】 なんとなく買ってみたコバルト、倉本由布初挑戦。もうコバルトだけで64作目らしい。長寿作家だなぁ。 あらすじ 翠子と遠哉は、17歳の高校生の双子の姉弟。数年前に母は亡くなり、ふたりは父親とともに穏やかな毎日をおくっていたが、翠子には繰り返し見る不思議な“水の夢”があった。その頃、友だちの彼氏を奪っては捨てる魅力的な女と、西洋人のようにキレイな顔の男が殺される―ふたつの殺人事件は翠子と遠哉の暮らしに不思議な影を投げかけて…。ギリシャ神話の神が蘇る幼想ストーリー。 うあー、双子の恋愛モノだ。 ストーリーは好きな部類に入るのだけれど、日常とギリシャ神話のバランスがぐちゃぐちゃで、ギリシャ神話の取り入れに失敗してる気がします。そのせいで、恋愛の過程もどうもうまくつかめず。日常だけ書いたらいいものできそうなのになぁ。 でも、双子好きな方には非常にお勧め。 評価 ☆☆★(5) ◆マリオネット・アポカリプス 人は影の見た夢 (響野 夏菜/コバルト文庫)【amazon】 これも適当買いのコバルト。同著者のS黄尾は微妙な出来でしたが、これはどうなのやら。 あらすじ 平凡な高校生活を送る少女・羽月には、友人にも言えない秘密があった。幼い頃から身にまとっていた"香り"が強く立ちのぼる時、右手が銀色に変わること。そして、母の命令でいつも自分に影のように付き従ってくれる兄の塔埜が好きなこと―。だが、同じように"香り"をまとう青年・由和と出会って羽月の日常は一変する。彼は、特殊な能力で暗殺を行う闇の一族の人間だというのだが…。 あー、これはダメだ。 登場人物達、特に主人公の母親の思いがさっぱり理解できない。主人公のことを愛している、いないのどちらにしても行動に納得いきません。多分根元では愛しているんだけれど、それにしては普段の接し方と突き放し方がひどい。愛情の欠片も感じられないです。それですれ違い起こして涙流されてもなぁ……。 とにかくキャラに魅力ないのが致命的。片思いな関係、しかも兄妹の二人が敵対という設定はいいので、なおさら地雷なのが痛いです。 評価 ☆★(3) ◆9S (葉山 透/電撃文庫)【amazon】 みったん先生が「読め!」と一押ししてきた本。みったん先生の一押しという時点でとっても不安なのですが、ちょうど富士見ミステリーの同著者の作品崩し終わったことだし、ちょうどいいので読むことに。 あらすじ かつて「狂気の天才」と呼ばれた一人の科学者がいた。彼が残した驚異の発明は「遺産」と呼ばれ、それを求める国家や組織は、今でも後を絶たない―。そして現在。海上に浮かぶ循環環境施設スフィアラボが、施設内の「遺産」を狙った武装集団により占拠される。制圧には困難が予想される中、切り札として召集されたのは拘束具に身を戒められた奇妙な少女だった!「遺産」を熟知する天才的な頭脳に、誰もが心奪われる美貌。その正体とは一体…。ついに解き放たれた謎の少女と兇暴なテロリストの壮絶な闘いが今、始まる!電撃が贈る鮮烈なハードアクション。 おかしい。面白い。なんでだ? ボーイミーツガールアクション。月姫に似てると聞いてたんですが、なるほど確かにキャラクターが結構かぶってますな。特に妹あたり。でもそのまんまじゃないし、いいキャラに仕上がってるのでよし。話も導入、出会い、共同前線とテンポよく進み、結構厚いページ数を感じさせない出来。なにより終わり方が綺麗なのがいいですね。 欠点としては、「遺産」が少々突出しすぎな存在であること、それに敵役がしょぼくて魅力的じゃないことですかね。光城あたりは、あまりにもやられキャラすぎて悲惨です。 しかし続きあるのか……。確かに話は続けられるけれど、1巻できちんとまとまってるし終わっていいと思うけどなあ。 評価 ☆☆☆★(7) |
3月12日(金) |
眠いので購入物だけ更新。感想待ちの本がたまっていく……。 【本日購入したもの】 ザンヤルマの剣士 フェニックスの微笑 (麻生 俊平/富士見ファンタジア文庫) 東京忍者 (ぶらじま 太郎/富士見ファンタジア文庫) 女子高サバイバル (須賀 しのぶ/コバルト文庫) のだめカンタービレ8 (二ノ宮 知子/講談社) |
3月11日(木) |
ローレライ、どうやら映画化するらしいです。記事見てみたら、最初から映画化を意識して書いたとのこと。戦闘シーンなどは映画化したら映えるだろうなと読中思っていたので納得。ただ、多視点による人間ドラマを、映画でうまく表現できるかが心配。多面的に書かれていることで味わい深くなってるので、視点減っちゃうと魅力が半減とは行かないまでも落ちてしまう気が。来年春公開らしいので、不安と期待両方抱きつつ気長に待ちます。 ちょっとフレーム外してみました。なんかフレーム分けてるページしかgoogle様に引っかからないのが改善されないので実験です。 【今日読んだ本】 ◆超探偵ハヤブサ 隼は舞い降りた (紙谷 龍生/富士見ミステリー文庫)【amazon】 確かに名作は素晴らしい。しかし、その後に読む良作をいまいちと感じさせてしまう欠点もあります。その欠点を防ぐために、名作の後には地雷を読む必要があるのです。と理論をこじつけて、地雷揃いの富士ミスの中でも「これはやばい」といわれる超探偵ハヤブサに挑んでみました。 あらすじ 「地上最強の名探偵」と呼ばれる男がいた。みずからを"隼"と化して犯罪者を狩り立てるための秘術"隼流探偵術"を使い、生涯を名探偵であることに捧げた一族―一二〇〇年の歴史の中つねに犯罪者と戦い続けた"隼一族"の当主、隼秀人である。その秀人の弟子、隼直人が師匠の名代として、"東洋のクリスティー"吉原雅の出版記念パーティーに現れた。五人の名探偵が招待された孤島。そこには、彼らへの復讐に燃える犯罪者たちも招待されていたのだった。復讐劇の幕は上がり、地上最強の弟子と、世界の怪人たちの壮絶な戦いが始まった。直人の隼流探偵術の技が冴える。 いや、もうツッコミどころが多すぎてどうすればいいのやら。 とりあえず、普通のミステリーとして読んじゃいけないことは確か。名探偵たちが顔を突き合わせて相談して繰り広げるのは小学生並みの推理です。ラストの謎が明かされた後の展開も、まともに読んでると呆れること請け合い。どうしようもない。名探偵も怪人もみんな武闘派で、推理部分より格闘部分がはるかに多いってのは……。 他にも、キャラの性格と行動が明らかにずれまくっていたり、人間では不可能な動きがでてきたり(敵の胴体を脚でカニばさみにして、自らを車軸にして廊下を転がってる光景がどうしてても想像できません)、犯罪者の怪人が馬鹿だったり(女装した探偵の体かつぎあげてるのに全然気づかない!)。これを楽しむのは馬鹿小説と割り切るしかありません。 まあ、割り切ったところでたかがしれてるんですが。 評価 ☆★(3) 【本日購入したもの】 9S (葉山 透/電撃文庫) 業多姫 いろどりつづり (時海 結以/富士見ミステリー文庫) ハイウイング・ストロ−ル (小川 一水/ソノラマ文庫) 双霊刀あやかし奇譚2 (甲斐 透/ウィングス文庫) |
3月10日(水) |
【今日読んだ本】 ◆終戦のローレライ(下) (福井 晴敏/講談社)【amazon】 AM4:50読了。まごうことなき傑作。 これだけ激しく心を揺さぶったこの作品は、エンターテイメントでありながら素晴らしいジュブナイルだ。 評価 ☆☆☆☆☆(10) |
3月9日(火) |
何時の間にかお尻にできものができてました。歩くだけで痛い。座るだけで痛い。日に日に大きくなって、泣きそうです。 【今日読んだ本】 ◆終戦のローレライ(上) (福井 晴敏/講談社)【amazon】 「このミステリーがすごい!2003」で2位。前作の「亡国のイージス」が自分の中で昨年五指に入るほどの作品だったのでずっと気になっていたのですが、ハードカバーで2冊というのがネックになり手を出してませんでした。そこで、図書館で借りて読んでみることに。 あらすじ 第2次大戦末期、主人公の海軍新兵・折笠征人は、未だ知らされぬ任務のため親友の清永と広島の呉軍港に降り立つ。そこでは、1隻の潜水艦が彼らを待っていた。その潜水艦こそは、戦争の形態を根本から変えてしまうという秘密兵器「ローレライ」を搭載していたドイツ軍のUボートだった。しかし、日本に到着する前、アメリカ軍の執拗な追撃のために「ローレライ」はやむなく日本近海に投棄されてしまっていた。折笠たちに与えられた極秘任務とは、それを回収することにあった。それを阻止せんとするアメリカ軍とのあいだで苛烈な戦闘が繰り広げられる。そして、その秘密兵器を日本の終戦工作に使おうとする陰謀が、密かに進行していた。 まいった。 戦争小説であり、冒険小説であり、成長小説でもあり、そしてボーイミーツガール。全ての要素がぎっしりと詰め込まれた話は、読むのに非常に時間を要するものでありながら、途中で読むのをやめられない程に夢中にさせる。登場人物達の生き様にはうならされるし、テーマはろくに愛国心持ってない自分にもビシビシと響いてくる。この点は福井氏の全作品に共通するところだけれど、その表し方が以前よりエンターテイメントとして洗練されている。読んでいる間、非常に密度の濃い時間を過ごせた。上だけで話の区切りが一つついているのも好印象。 とりあえず評価は9、しかしこのレベルで下巻を締めれば10つけます。これは買わないと。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆銀の一角獣 (片山 奈保子/コバルト文庫)【amazon】 ローレライは無茶苦茶面白いんですが、その量と質感ゆえに読むのが非常に疲れます。そこで、下巻前にインターバルをとることに。この本は、他の読者の感想読んでみるに、「お尻ぺんぺん」がすごいとか。興味をそそられて手を出しました。 あらすじ トルティニア王国の最北端カルゼイ山脈の“銀の森”を統べるのは、千獣の王者、銀の一角獣アズファーン。美しき乙女イゼーテはアズファーンに見初められ、婚礼をあげることになった。一方アズファーンの妻となって世界を支配しようとする女呪術師アナンテは、イゼーテが贈られた銀の指輪を奪おうと企む。イゼーテは“銀の森”を守ることができるのか!?珠玉の本格ファンタジーロマン。 すげー、ほんとにお尻ぺんぺんだよ! 話自体はほとんどあらすじから想像できる範疇で進むし、思わず転げまわりたくなるようなこっ恥ずかしいラブラブ描写以外はそこそこの水準の話なのですが、この本の一番の見所はやはりラストのお尻ぺんぺん。これだけで読んだ価値ありましたよ。ライトノベル屈指の迷シーンだ。 結構楽しめたので、2巻も買ってみるつもり。 評価 ☆☆☆(6) ◆有閑探偵コラリー&フェリックスの冒険 翡翠の眼 (橘香 いくの/コバルト文庫)【amazon】 もういっちょインターバル。好奇心旺盛少女と無愛想毒舌青年の一話完結ラブコメミステリー。 あらすじ 大泥棒・シュシナックの手より、王室の至宝「炎の薔薇」を取り戻してほしい―。国王テランス直々のおでましに、コラリーの旺盛な好奇心がまたまたうずきだした。これぞテランスの思うつぼ。フェリックスは彼女に手を引かせるため、渋々任務を受けることに。一方、一人蚊帳の外のコラリーも、フェリックスの鼻を明かすべく、怪しげな新聞広告を手掛かりに、独自の調査に乗り出すのだが…。 やっぱりアンパイなシリーズでいいなぁ。 毎回舞台設定を変えて、しかもしっかりしているので飽きないし、つかず離れずの関係のコラリーとフェリックスのコンビが非常に面白い。やっぱラブコメはこうでないと。今回やや関係が進んだし、次もどうなるか楽しみ。 ただ、今回の話は、ラストがちょっと救われないものだったのがちょっと残念。途中までの書き方見て、ハッピーエンドになりそうだっただけに辛かった。 まだまだ積んでるので、また気が向いた時に読もう。しかしこれ、ミステリーもライトながらちゃんとできてるし、その辺の地雷より余程富士見ミステリーとしてふさわしいよなあ……。 評価 ☆☆☆(6) |
3月8日(月) |
多少流行に乗り遅れた感がありますが、1000円カットなるものを初体験。店員が喋りかけてこないというのは気楽でいいですね。待ち時間も短く、カットも10分程度でさくっと終わるので楽。これからも行くことにしよう。 店の近くにブックオフがあるのだけが問題。 【 ◆太陽の塔 (森見 登美彦/新潮社)【amazon】 第15回日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作品。非常に地味な賞ながら、良作を出している印象があります。これも評判がいいので読んでみました。 あらすじ 京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。 あはははは、こりゃ面白い。 笑える前向きなへたれ小説。主人公は半ストーカーで休学中のダメ人間。でも、自分では自分のことを素晴らしい人間だと思っている。このギャップから生じる馬鹿さ加減が最高です。一人称の文体がうまく、無茶苦茶笑えます。 「我々の日常の90%は頭の中で起こっている」 「彼らは根本的に間違っている。なぜなら我々が間違っていることなど有り得ないからだ」 こういうノリに波長があうなら、読んで損はしません。ダメダメな大学生活を送った人なんかはすごく共感できるかも。 そして、読み終わった後に思う疑問。これってファンタジーっていえるの? ま、いっか、面白かったし。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆浦賀和宏殺人事件 (浦賀 和宏/講談社ノベルス)【amazon】 ネットでかなり賛否両論みたいなので試しに読んでみることに。タイトルだけで賛否両論な匂いがぷんぷんしてますが。 あらすじ ミステリ作家浦賀和宏は悩んでいた。次作のテーマは「密室」。執筆が難航するなか、浦賀ファンの女子大生が全裸惨殺死体で発見される。彼女が最後に会っていたのは浦賀和宏!?そして……その裏にはもうひとつの事件が?愕然の結末!永遠のテーマ「密室トリック」に挑む講談社ノベルス20周年書き下ろし! えーと、これ世に送り出した講談社はすごいと思います。 トリックはまともだし、言いたいことも分かるんだけれど、これを商業作品、しかも密室本として売っちゃうのは駄目だと思います。なんで作中、しかも序盤から著者の愚痴を読まなきゃいけないのか。作家なら面白い作品で読者を黙らせてほしい。 また、わけが分からないYMOとかいうものについて延々と書かれても困るだけです。たとえ注釈つけたところでどーやっても分かりません。いくら駄作を本の中で表現する必要があったとしても、これは行き過ぎかと。 というわけで評価は低いです。上記の内容を許容できれば大分評価も変わるんでしょうけど。 評価 ☆☆(4) ◆キノの旅U (時雨沢 恵一/電撃文庫)【amazon】 いまさら語るまでもない有名作品。1巻がそこそこだったしなんとなく2巻も手にとってみました。 あらすじ 砂と岩の砂漠の真ん中で、キノは空を見上げていた。晴れている。頭を下げて、石造りの口を開ける井戸を見た。涸れている。「だから言ったとおりだよ。最初からこれじゃあ旅なんて無理だよ。キノ。旅人に一番必要なのは、決断力だよ。それは新人でも、熟練の旅人でも同じ。違う?」「いいや、エルメス。それはきっと運だよ。旅人に一番必要なのは、最後まであがいた後に自分を助けてくれるもの。運さ」人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。 ちょっと評価を上方修正。 1巻の時は、これいくつも読んだら飽きるなぁと思ったけど、そんなことはなし。一気に数冊読むと辛そうですが、ある程度間隔おいて1冊ずつ読めば十分楽しめます。 こういう完全な短編形式の場合、一つでも非常に気にいった作品が出れば当たりといっていいでしょう。今巻は、「優しい国」がありがちながら気にいりました。こういった、もたれるところのない綺麗な話は好きです。「自由報道の国」あたりは外れでしたけど。でも、中高生が読む分にはこういう内容もいいかもしれません。最後の「続・絵の話」は蛇足かなと思いましたけど、対象を考えればそんなこともないのかと。 またなんとなく気が向いた時にでも3巻買おうかな。 評価 ☆☆☆(6) 【本日購入したもの】 キノの旅U (時雨沢 恵一/電撃文庫) フルメタル・パニック 踊るベリー・メリー・クリスマス (賀東 招二/富士見ファンタジア文庫) ドラゴンランス戦記2 城壁の赤竜 (ワイス&ヒックマン/富士見ドラゴンノベルス) 超探偵ハヤブサ 隼は舞い降りた (紙谷 龍生/富士見ミステリー文庫) 銀の一角獣 (片山 奈保子/コバルト文庫) 図書館戦隊ビブリオン (小松 由加子/コバルト文庫) 図書館戦隊ビブリオンU (小松 由加子/コバルト文庫) 二日連続……_| ̄|○。 |
3月7日(日) |
【 ◆ルーク&レイリア3 ネフィムの魔海 (葉山 透/富士見ミステリー文庫)【amazon】 本日は富士見ミステリー文庫特集です。 このレーベル、名前からも想像できると思いますが、富士見ファンタジア文庫からの分家であり、ライトノベルでありながらミステリーな本を出すために創刊されました。ですがその実態はというと、 ・ミステリーがなければ良作なのにねぇ…… ・密室殺人のトリック、「気功で壁ごしに殺した」ってなんですか? ・そもそもミステリーはどこにあるんですか? 何故かこんな作品がたくさん集まりました。もちろん時々まともな本も出るのですが、地雷群に囲まれて埋もれてしまう始末。いつしか地雷レーベルと見なされるようになってしまいました。編集部もこれではいけないと思ったか、昨年末にリニューアル、その名もスーパーブースト計画をたてたのですが……(以下次の感想に続く) あらすじ 南へと向かう船に乗ることとなったルークとレイリア。だがそれは、魔海と呼ばれるネフィムの海域を航路とする船だった。ネフィムの海域―そこでは風は凪ぎ、ルークたちが乗船した帆船はまったく身動きが取れなくなってしまう。閉塞され、完全に閉ざされた空間となった海域に美しい歌声が響く。それは歌声と共に乗員が消えていくという「ネフィムの歌声」だった。そして伝説の通り、ひとり、またひとりと消えていく乗客、乗員たち―。好調「ルクレリ」シリーズ、第3弾登場。 富士ミスの清涼剤。 これも、ミステリーの形態を一応とってはいますが、ミステリー部分は微妙。それより、多少変えてファンタジーとしてファンタジア文庫から出した方がきっと成功したのではないかと。特に2巻はミステリー要素弱いですし。 で、この3巻ですが、デビュー当時よりもかなり成長したことが伺えます。ファンタジーとしての物語とミステリーをきちんと融合させており、起承転結もしっかり。文句なく面白いと言える内容です。船という狭い舞台を選んだことで、無駄に広がることなく綺麗に物語がまとまっていますし。強いていうと、挿絵で若干損しているかも。自分にはこの絵でレイリア18歳には見えません。 しかし、こういう作品は得てして売れないもので、3巻で打ち切りの模様。いいところなのにもったいない。 評価 ☆☆☆★(7) ◆業多姫 四之帖――雪帰月 (時海 結以/富士見ミステリー文庫)【amazon】 (続き)スーパーブーストして帰ってきた富士見ミステリー文庫、なるほど確かに変わっていました。下の画像をみてください。 ……出版社自ら、「ミステリーなんてただの飾りです」と割り切ったようです。刊行作品全てに「L.O.V.E!」がつくようになりました。 また、出版社から書店に送られたらしいコメントには、 ・ミステリー=殺人事件ではありません。 ・ミステリーという枠にとらわれないライトな学園・キャラクターものを中心とし、恋愛要素は必須です。 ・ミステリー文庫は電撃文庫の隣に置いて下さい。 すごいぜ富士見ミステリー。一体どこへ行くのか見届けるためにも、これからも追いかけていきたいと思います。 あらすじ 時は戦国乱世。異能者集団「狐」との戦いを決意した鳴と颯音は、全ての決着を着けるために旅立ちを決意する。しかしその矢先、故郷・美駒が敵の手に堕ちようとしているとの報せを受ける。幼い弟・常磐が危ない知った鳴は美駒へと向かうが、美駒は既に敵の手に落ち、常磐もまた囚われの身となっていた――。“業多姫復活”を願う民と、颯音との未来の間で揺れる鳴。切なさ必至のシリーズ第四弾!! ばりばりのL.O.V.E。 元々、少女小説並のL.O.V.E度を誇っていて、ミステリー要素が明らかに浮いていたのですが、四巻になってほとんどミステリーは消滅してしまいました。ちょこっとパズルが出てくるだけです。スーパーブースト計画の恩恵を一番うけたシリーズかもしれません。 最も自分は、甘々恋愛小説としてこの本を読んでいるので全く問題なし。鳴と颯音、両視点から紡がれる恋愛模様にお腹一杯、大満足。話の展開もうまく両視点使って書かれてます。多少文章が読みにくいものの、デビュー当時に比べれば大分うまくなってますし、今後も期待大。 評価 ☆☆☆☆(8) 【本日購入したもの】 西の善き魔女 外伝1 (荻原 規子/C★NOVELS ファンタジア) 西の善き魔女 外伝3 (荻原 規子/C★NOVELS ファンタジア) 風のケアル 5 (三浦 真奈美/C★NOVELS ファンタジア) 石ノ目 (乙一/集英社) 幻の将軍(上) (河原 よしえ/エニックス) 銀河英雄伝説 外伝3 (田中 芳樹/徳間書店) クリスタル・コミュニケーション (あかつき ゆきや/電撃文庫) 護くんに女神の祝福を! (岩田 洋季/電撃文庫) 魔導士の掟 1 (テリーグッドカインド/ハヤカワ文庫FT) 魔導士の掟 2 (テリーグッドカインド/ハヤカワ文庫FT) 少女地獄 (夢野 久作/角川文庫) まずは一報ポプラパレスより2 (河出 智紀/ジャンプJブックス) …………_| ̄|○。 |
3月6日(土) |
暇になったから本更新再開。がんがん本崩します。 【 ◆R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN"THE PAPER" (倉田 英之/集英社スーパーダッシュ文庫)【amazon】 昔から名前はよく聞くので気になってはいたのですが、先日某氏が買ったというのでつられて買ってみることに。 あらすじ 東京、お台場、人の気配のない超高層ビル。香港から来た呉は稀覯本『黒の童話集』の取引を行っていた。相手の男は金髪のイギリス人。しかしその横には、鑑定人だという眼鏡をかけた東洋人の若い女が…。ボディチェックのため、女のコートの前を開けさせた呉は、言葉を失う…。コートの裏地にはやたらと内ポケットがあって、そこには、文庫本やら雑誌やらスポーツ新聞やらが突っ込まれていたのだった!史上初(?)の文系女スパイアクション発進。 分かりやすい本だなぁ。 まず、最初の1ページでこの本に対する適正が決まります。ここで、共感できた人は問題なく次のページに進めますが、ひいてしまったら終わりです。読むのはやめましょう。自分は問題なく共感できたクチ。このページにあるような、本に対する異常なまでの執着、変態性がR.O.Dの売りです。読んでて本当に楽しい。変態な設定をうまくキャラクターに仕立て上げてます。 一方、戦闘シーンはいまいち。紙を使って戦ったりと異能者同士の戦闘ですが、燃えません。戦闘物じゃなく他の方が面白くできたんじゃないのかな。読んでる最中、もったいないという思いが頭から離れず。 でも十分楽しめたので次巻にも期待。しかしこれ、なんで売れてるんだろうか……。絶対売れ線外れてると思うんですけど。 評価 ☆☆☆★(7) ◆流血女神伝 女神の花嫁(後編) (須賀 しのぶ/コバルト文庫)【amazon】 今続いている中で一番期待しているシリーズ、活き活きとしたキャラクターと先が読めず容赦ない展開に惹きつけられる流血女神伝の最新刊。 あらすじはネタバレにつき省略。 あーもう、ほんと須賀さん容赦なさすぎ(誉め言葉)。 伏線はバリバリに張ってあるので、きっとそうなるんだろうなぁと思いつつ読み進めるんですが、それでも該当シーンになると思わず叫びだしそうになった程。感情移入しまくりでした。強烈なカタルシス。それでも物語が面白いから全て許せてしまう。駄作だったら迷わずちゃぶ台返し発動させてます。 これで過去編が終わったんですが、改めて今までの話を読み返してみると、過去編で出てきたキャラクターのその後の行動が悲しすぎてもう。最後には幸せになれるのかな。なってほしいけどきっとなれないんだろうな。うー。 あと、3ヶ月程度間隔でコンスタントに出してくれるのもありがたいところ。速筆かどうかってのは、長く続くシリーズの場合かなり重要ですね。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆蛇にピアス (金原 ひとみ/集英社)【amazon】 第130回芥川賞受賞作。これまた全然期待してないので図書館で借りてみました。 あらすじ ピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。 うすっぺらい。 なんかキャラクターがスカスカです。過去もないし、表層的な部分しか書かれていないので、場面場面でどうしてそういう感情を抱いたのかがさっぱり理解できません。生きた感じがしないというか、作られているというか。もしかしたら現代の人間なんてスカスカだよということを言いたかったのかもしれません。さすがに違うでしょうが。 文学的な面から見ても、作中を通して何も伝わってこなかったし。うーむ。やっぱり自分には合わないらしいので、しばらく文学方面には手をだすのやめよう。 評価 ☆☆(4) |
3月2日(火) |
本日も手抜き更新。 【本日購入したもの】 流血女神伝 女神の花嫁(後編) (須賀 しのぶ/コバルト文庫) R.O.D 第1巻 (倉田 英之/集英社スーパーダッシュ文庫) |
3月1日(月) |
ちと忙し気味なので、2月のまとめだけ手短に。 読了……35冊 購入……11冊 2月だけでマイナス24冊です。快挙です。この調子でいけば後5ヶ月で積み本消失だ、ひゃっほう。今月も購入10冊前後を目標に。 |