___9月30日(木) |
富士見スレより次回の龍皇杯参加者一覧。 「壱乗寺かるた、吉村夜、田代裕彦、風見周、時海結以、枯野瑛」 なんか「売れない作家てこいれ生き残り杯」だった今までとはうってかわってまともな面子ですよ! 読んだことのない風見周を除くと皆なかなか期待できそう。 前予想は、◎壱乗寺かるた、○田代裕彦、▲吉村夜 で。魔魚戦記の続きが読みたいです。 【今日読んだ本】 ◆少女地獄 (夢野 久作/角川文庫)【amazon】 夢久初挑戦、ドグラマグラの前哨戦です。 あらすじ 可憐なる美少女”姫草ユリ子”は、全ての患者、いな接触する全ての人間に好意を抱かせる、天才的な看護婦だった。その秘密は、彼女の病的な虚言癖にあった。一つの嘘を支えるために、もう一つ新しい嘘をつく。無限に増幅された嘘の果ては、もう、虚構の世界を完成させるための自殺しかない。そして、その遺言状もまた……。<夢幻>の世界を華やかに再現する夢野久作。書簡体形式で書いた表題作ほか、男女の主命的断層を妖麗に描いた「女抗主」「童貞」を収めた傑作集。 嘘やら復讐やらの負の念をこれでもかと詰め込んだ表題作はまあまあ面白い。でも、ドグラマグラが「奇書」と呼ばれていることを考えると、この程度の狂い方で少し拍子抜けしました。表題作以外の短編は悪女が出てくるだけで誉めるところもなく、前哨戦としては物足りず。ドグラマグラでの巻き返しに期待。 評価 ☆☆(4) |
___9月29日(水) |
【今日読んだ本】 ◆一度しか死ねない (リンダ・ハワード/二見文庫)【amazon】 なんとなくラブロマンスというものを読んでみたくて買ったもの。分厚さに躊躇して積んでいたところ、モノグラフさんとこのbk1ランキングで著者の名前を見かけたので、これを機に読んでみることに。こんな時にでも崩しておかないと永遠に積みそうなのです。 あらすじ その美貌とは裏腹に、引退した老判事の執事兼ボディガードとして仕事に身を捧ぐセーラ。彼女の存在がメディアの注目を集めた矢先、判事が何者かによって殺害される。容疑者は第一発見者のセーラ。彼女を信じる刑事カーヒルは必死の捜査を試みるが、やがて同様の事件が。一体誰が、なぜ!?すべてがセーラを指し示すかに見えたが、その裏でほくそ笑む歪んだ欲望、そして狂気のシナリオに気づく者は誰もいなかった…ロマンティック・サスペンスの真打ち登場。 サスペンスとラブロマンスのミックスされた話で、サスペンス部分は狂ったストーカーもどき殺人者とお約束無能警察の話で正直どうでもいい。元々サスペンス好きじゃないですし。 で、ラブロマンスの方なんですが……何これ? 主人公、会ったとたんに相手の肉体に欲情してるんですが! 「いきなり彼に欲望を感じてしまったのだ。」とか言われても正直困ります、一目惚れならぬ一目欲情ですか_| ̄|○ これがロマンスというならば、どうやら大人のLOVEは自分には理解できないようなので、大人しく富士ミス読んでます。ハーレクインとかもこんな感じなのかなあ。 邦訳としては文章がかなり読みやすかったことだけは○。まあ、ハードファンタジーやSFと比べれば読みやすいのも当然ですか。 評価 ☆★(3) |
___9月28日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ホーンテッド! (平坂 読/MF文庫J)【amazon】 今月はあちこちで新人さんがデビューしているわけですが、今回はMF文庫。そういやMF文庫Jの「J」ってなんだろう。昔どこかで見た気はするんだけれど……。 あらすじ 死んだ人間の約1割が言葉も交わせる<ゴースト>としてよみがえる時代。ある日、悠紀は幼なじみの深春に告白されるが、深春はその直後に事故で死んでしまう。遺体にすがって泣いた悠紀だったが、深春はゴーストになって蘇り、二人は「お付き合い」することに。触れ合うことができないゴーストとじゃ、あんなコトもこんなコトもできない、と悠紀は嘆くが、深春は幸せそう。トラブルは多いものの、それなりに楽しい毎日だった。しかし、ひょんなことから後輩・ひかりが二人の間に割り込んできて……!? なんて素晴らしいプロローグなんだろう。西尾作品とトロイメライを混ぜたような一人称長文シニカル思考がまずツボ、さらにその文章でオタ向けネタ入りラブコメ風味に仕立てあげられたら抵抗不可。プロローグその3の三角関係なんて転がるしかない程素晴らしく、質・量ともに素晴らしいプロローグです。なんてったって120ページもありますし。……何か間違ってるよ。 一方、プロローグ後の「便宜的」な本編はというと、文章はそのままながらラブコメ度が薄まり、テロリストが出てきたり死生観に踏み込んだりと毛色が違う話に。悪くはないものの、プロローグの方が断然好きだなあ。あまりにも狙いすぎで思わず失笑してしまったデウスエクスマキナなオチなんかは嫌いじゃないんですけどね。 伏線あるし続くのかな? キャラ変えて西尾の影響受けていない話も見てみたい。今季の新人はどのレーベルも当たりが多くて非常に満足です。 評価 ☆☆☆★(7) ◆A君(17)の戦争1 まもるべきもの (豪屋 大介/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 中の人は佐藤大輔かと噂されたり、デビル17を世に出してしまい話題になったり、そんな豪屋氏のデビュー作。 あらすじ やってやる。こいつに教え込んでやる。僕が感じてきた痛みと同じものを。小野寺剛士、17歳。天抜高校2年生。ちんちくりんな見かけで気も小さい。しかし、追い詰められると、恐怖と恨みをエネルギーに変換する高速怨念増殖炉を内蔵した、アブないヤツ。そんな彼が、ふたつの太陽が輝く異世界に救世主として召喚されてしまった!しかも、人族の迫慨に苦しむ魔族たちの支配者、「魔王」として!?四面楚歌の状況の中で、はらなきゃならない意地をみせて剛士が繰り広げる大逆転ピカレスクバトル。時代が呼んだニューヒーローがいま、ここに登場した!男には、まもらねばならないものがある。 微妙にメタ的な文章にまず違和感。一見普通の三人称なのに、時折筆者がしゃしゃりでてくるのがやや浮き気味です。()を使った説明法も好きじゃないし、細かいところで癇に障るこの文章は下手じゃないけれど好きじゃない。 また、主人公も好きになれず。変わる理由が多分にあるとはいえ、黒々とした前半から後半への豹変ぶりは激しすぎて受け入れられないし、前半の黒さが嫌い。あとがきに「友人として一人はほしい人」ってあるけれど、こんな友人いらないです。 それでも最後までさくさくと読み進められたのは、主人公以外のキャラ立てのうまさと戦記ファンタジーとしての面白さ、それに基本的には読みやすい文章のたまもの。敵サイドのキャラなんかアホでゆがんでるけど好き。とそこそこ面白く、でも好きじゃないしむかつく部分が多い、なかなか性質の悪い話。どうやらこれから主人公はどんどん嫌な奴になるみたいなので、当分続きは読まないかな。 評価 ☆☆☆(6) 【本日購入したもの】 ホーンテッド! (平坂 読/MF文庫J) |
___9月22日(水) |
来週頭まで更新止まります。 未読整理したら把握してた数より2冊多かった_| ̄|○ 未読が順調に減っていることに対し、「そんなのつまらない」と文句をつけてくる人がいますが、これから先は読むのがだるいが故に積んでいる本が増えてきてペース落ちるのでご安心ください。 【今日読んだ本】 ◆エレニア記T ダイアモンドの玉座(上) (デイヴィッド・エディングス/角川スニーカー文庫)【amazon】 上に挙げたようなだるい作品をそろそろ崩そうと思い、まずは本格ファンタジーに着手。が、最初にとりかかった「ドラゴンランス戦記」は100ページで挫折_| ̄|○ だるすぎるよ、先生……。ということで、比較的だるくなさそうなこちらから読むことに。 あらすじ 永きに亘り、教会と王家によって統治されたエレニア国。若き女王エラナは、アニアス司教の策謀で、父王を毒殺され、自らも不治の病に冒された。刻々と死へ近づく女王の命を繋ぎ止めるため、12人の騎士と教母はクリスタルの魔法で彼女を封印し、病状を一時凍結させる。流刑を解かれ砂漠の地から10年ぶりに帰国した王家の擁護者、聖騎士スパーホークは、総大司教の座を狙うアニアスの陰謀を知り立ち上がった…今、壮大な物語が始まる。 邦訳物特有のだるさは含有しているものの、ドラゴンランス、同著者のベルガリアード物語などの他の本格ファンタジーとは比較にならないほどすらすら読める。それでいて物語の質は落ちてないというのは、翻訳者のセンスの差なのかなぁ。 この物語は、極簡単にぶっちゃけると、騎士が若き王女を助けるために邪悪を打ち倒す、という思いっきりベタな話。しかし、ベタゆえに魅力的に描かれたキャラや細部まで作りこまれた物語のよさはより一層引き立つのです。ワクワクやドキドキ、勧善懲悪ゆえのスカッとした気分も味わえる良作。結末はハッピーエンドに決まっているので、その過程をどう盛り上げてくれるかが楽しみ。 余談ですが、主人公のスパーホークはどう考えてもおっさんの域。ヒロインの王女は14歳。ハインラインの「夏への扉」もそうだし、アメリカ人はそんなにロリコンなんですか? 評価 ☆☆☆★(7) ◆扉の書 (安田 晶/講談社X文庫ホワイトハート)【amazon】 こちらは和製の本格ファンタジー、隠れた良作と言われているのを見て気になっていたもの。こんなのをホワイトハートから出したところで売れるわけなく、隠れるのは必然なわけですが。 あらすじ 『扉の書』―それを読み解いた者は、永久に老いない肉体と、この世の記憶を失うことなく後の世へも更なる次の世へも自在に行ける。だが、七百年前盗み出されてからこれまで、解読はおろか、その留め金さえもびくともしたことがないのだ。現在の所有者・老魔術師キルムスが途方に暮れる中、彼の元へ若い女が訪ねてきた。「わたしと取引を」。謎解きの鍵を持ってきたと言うエリル。読めぬ文字、閉じた扉を巡る二人の怒涛の冒険が始まる。 洋物と違ってほとんど会話がなく地の文の描写で魅せる作品で、最初はかなりとまどったものの慣れてきた中盤ではかなり物語に引き込まれました。世界観も、なんとなく穴がありそうな気はするんですが、パッと見では目につかずよくできたもの。 と、途中まではよかったのにラストの読後感が最悪。何ですかこの救われなさっぷりは。どことなく投げやりな印象すら感じさせる終わり方で、描写も圧倒的に不足。これで全てぶち壊し_| ̄|○ 評価 ☆☆(4) |
___9月21日(火) |
【今日読んだ本】 ◆平井骸惚此中ニ有リ2 (田代 裕彦/富士見ミステリー文庫)【amazon】 昨日に引き続き、富士ミスの大賞受賞作第2弾。 あらすじ 「大丈夫、すぐに小生が解決してみせるからね」 那須の一等地にある、山深い洋館のホテル。窓の外を眺める河上くんの目に飛び込んできた異様な光景―轟く雷鳴に照らし出されたのは、バルコニーから吊るされた華族・日下家跡取りの変わり果てた姿。怯える涼嬢と撥子嬢に、勢い込んで告げる河上くんでありましたが…。 担当編集者、緋音嬢の誘いにより、真夏の帝都を逃れ避暑と洒落込む、探偵作家・平井骸惚一家と弟子の河上くんたち。しかし、ただ安穏と避暑などと、世の中そう甘くはなく…。 ―私は命を狙われてゐる 緋音嬢が、骸惚先生と河上くんに手渡したのは、日下家長男である、直明氏からの封書でした。 折からの嵐により、外部との連絡手段を絶たれた洋館。雷鳴と豪雨に紛れるように、一人、また一人と消されていく日下家の跡取りたち―。 絡む華族四兄弟の思惑に、探偵作家・平井骸惚と河上くんが挑む、本格推理譚第二弾! 分かってない。はねっかえり娘はひたすらツンツンしつつ、だんだんと惚れてくるのが素晴らしいんですよ。それが、1巻の後半からあっさり惚れるなんて。全く、そんな餌で俺様が釣られクマー! 負けました_| ̄|○ これはこれでいいものです。 ミステリのトリックは今回もいまいちなんだけれど、素人探偵についてのくだりなんかはなかなかよく、1巻より好感触。来月発売日の3巻にも期待、けどライバル登場のラブコメかぁ……。 評価 ☆☆☆(6) ◆有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 楡屋敷の怪人 (橘香 いくの/コバルト文庫)【amazon】 雑誌連載されたコラフェリ。 あらすじ コラリーはフェリックスとともに、ケガをした彼の伯母を訪ねる。しかし、フェリックスがその伯母を怒らせてしまい追い返されるはめに。そんな彼らに、家政婦であるボナ夫人が仮宿にと、遠慮がちに勧めてきたのが、楡屋敷だった。そこは老婦人が一人住む荒れた屋敷で、7年前に殺人事件があったという、いわくつき。コラリーは、好奇心を抑える努力をするが、不審な人物を庭先に認めて…。 なんで普段あんまり進まないのに、雑誌連載でこんなに話動くんですか!? ようやくコラリーとフェリックスの関係が大きく進展。進展のさせ方が実にフェリックスらしくていいですね。とはいえ、ここから素直にいくわけもなく、一転どころか十転くらいはありそうで非常に楽しみ。 評価 ☆☆☆★(7) ◆太陽の簒奪者 (野尻 抱介/ハヤカワJコレクション)【amazon】 久々に野尻SF。Jコレクションはサイズが中途半端で読みにくいのが欠点だなぁ。 あらすじ 西暦2006年、太陽の周囲に突如出現した巨大リングは、地球環境に激変をもたらす。はたしてリングの正体は? 人類の運命は? 99年SFマガジン読者賞・星雲賞を受賞した短篇を長篇化。 あー、物語自体は面白いのに、ハードSFがだるくて読めないからどうしようもない。ロケットガール並にライトにしろとは言わないけれど、ここまで科学科学でビッチリと決められると受けつけないや。賞とってるように、SFがOKな人には名作なんでしょうが……。 評価 ☆☆(4) |
___9月20日(月) |
小野不由美「東亰異聞」を序盤にて放棄。日本旧時代が舞台の本格っぽい伝奇+ミステリはとことん好かないことを再認識しました。 【今日読んだ本】 ◆平井骸惚此中ニ有リ (田代 裕彦/富士見ミステリー文庫)【amazon】 今年の富士ミスの大賞受賞作。ずっと買い損ねていてようやく着手。 あらすじ 帝大生・河上太一は今をときめく推理作家・平井骸惚の本に出会い、弟子入りを志願する。認められずにいたところ、骸惚の知人、池谷是人が不可解な自殺を図る。事件解決の折には弟子入りを認められる河上だったが…… あれ、まともなミステリかと思ってたらこれもLOVEだったとは。もう富士ミスはLOVEばっかですね。いや、大歓迎なんですが。 今まで買っていなかった理由として、地の文が敬体という点があったんですが(某大唐はこのために途中放棄)、これは敬体でも語り口調と七五調をうまく利用した非常にリズムがよく読みやすい文で、むしろ文章にはかなり好感を持てました。ミステリとしては展開は非常にオーソドックス、ただ解決部分が分かりにくく内容もいまいちだし、朴念仁とはねっかえり娘のLOVEもこの巻だけだと定型以上の評価は下せず。現状では文体が長所かな。 評価 ☆☆☆(6) ◆吉永さん家のガーゴイル2 (田口 仙年堂/ファミ通文庫)【amazon】 石像の周りに事件が起こる、ホームコメディ第2弾。 あらすじ 世界でもっとも有名かつデンジャラスな怪盗・百色―それがこの私だ。職業柄、セキュリティシステムに強い関心があってね。「最強の門番」ガーゴイル君の噂を聞き、このたび戦いを挑んだ。彼は素晴らしく強い!しかもボケとツッコミをこなす逸材だ!!―彼と戦ったその夜、私はある研究所から不思議な能力をもつ少女を盗む羽目になった。それが、ガーゴイル君らを巻き込む大事件になろうとは!!大好評ご町内ハッピーコメディ第2弾。 1巻より面白い。戦闘中でも道に迷ったお年寄りが通りかかったら助けてあげちゃう、そんなほんわかとした雰囲気と、読みやすい文章がこのシリーズの魅力かなと思うんですけど、今回はそれに加えて泣きをきっちりと加えてきて、ほんわか+しんみりの良作に。これでもかってくらいに人間くさい怪盗の百式がいい味だしてるなぁ。これはいいシリーズだ。 評価 ☆☆☆★(7) 【本日購入したもの】 平井骸惚此中ニ有リ2 (田代 裕彦/富士見ミステリー文庫) |
___9月19日(日) |
【今日読んだ本】 ◆推定少女 (桜庭 一樹/ファミ通文庫)【amazon】 「赤×ピンク」がよかったので購入。まいじゃーさんで猛烈にプッシュされてますね。 あらすじ 「あんまりがんばらずに、生きていきたいなぁ」 巣籠カナは、そんな言葉を呟いてしまう15歳の少女。ある夜、家族とのトラブルから家出し、町のダストシュートで、とんでもないものを発見する。――それは、銃を握ったまま眠る全裸の少女だった! UFO出現と銃撃事件で大騒ぎの町を、眠りから覚めた少女“白雪”とカナは逃亡する。東京へ着いたふたりは火器戦士の千晴に出会い行動を共にするが、そこへ黒い謎の影が――!? 出会い、変化、別れによる夢の終わり、と物語の構造は非常にシンプル、でもこの素材で青臭さを十二分に演出できる桜庭一樹はやっぱうまいなあ。15歳の頃の自分はかなりのーてんきに生きてたので、思い悩む主人公と自分を重ねることはできないけれど、共感はできました。萌えも恋愛もない(少女とデザートイーグルの組み合わせに萌えれるような人は例外)けれど、青春一点特化で突き抜けた良作。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆BLOODLINK 天使の幻影 (山下 卓/ファミ通文庫)【amazon】 1年半ぶりのBLOODLINK。 あらすじ 十三年前の夏――ハヤテと葉村、そして夏美の生まれた村を襲った惨劇は、その後の三人を呑み込む過酷な運命の幕開けでしかなかった……。和志はその境遇に自分とカンナの姿を重ね、哀しみと怒りを覚えながら地蟲となった夏美の手がかりを求めて捨てたはずの日常へと舞い戻る。そして、思いがけず訪れた月夜の海岸で、和志の前に再び現れた蜻蛉が大きな道標を指し示す……『天使』を捜せと――。 人気コンビが満を持して贈る青春伝奇ロマン待望の第四弾!! 内容全然覚えてなかった_| ̄|○ BLOODLINKってこんな民俗学してる物語だったっけ……。「ふたり」の印象が強いせいか、青臭いイメージしか残ってませんでしたよ。 で、読んでる最中に少しは思い出せたものの、カンナ小説としての色が強すぎて他の部分はかなりどうでもよくなったわけで。HACCAN氏の挿絵つきカンナ最強、向かうところ敵なしです。物語の方がまだデストロイが起こるまでにかなりかかりそうなこともあり、カンナしか見るべきところがないのですが。次が出るまでに最初から読み直しておこう……。 評価 ☆☆☆(6) |
___9月18日(土) |
【今日読んだ本】 ◆約束の柱、落日の女王 (いわなぎ 一葉/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 もう一つの富士見新人。あらすじ見た限り、こちらは結構期待持てそう。 あらすじ 17歳でシュラトス王国の王位についた女王クリムエラは、若さ故家臣の信を得られず、いらだちを覚えていた。このままでは、周囲の敵国により国は滅んでしまう。彼女は思い詰めある禁断の呪術を行うのだが……。 当たりキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!! ファンタジアなのに富士ミスを彷彿とさせるかのようなLOVEっぷりですよ。 崩壊寸前の国の王女と未来から呼び出された騎士のこてこての恋物語。まさか今のファンタジアでこういうのが読めるとは。救国の戦記という側面もあってこちらはややぬるいんだけれど、その分LOVEが引き立ってて、もう素晴らしいと言うしかない。欲を言えば、クリムエラが惚れるまでにもうちょっと間が欲しかったかな。そうすればいざ惚れた時の描写がもっといいものになったんじゃないかと。ラストにはちょっと驚かされたけど、安易ではなくて一つの結末として自分は肯定派。 恋愛物、特に少女小説好きには間違いなくお勧め。逆に「業多姫」あたりを受け付けない人にはちょっと辛い話。次作も楽しみにしてます。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆echo 夜、踊る羊たち (枯野 瑛/ファミ通文庫)【amazon】 枯野さん2ヶ月連続刊行第2弾。 あらすじ 二年前、沢渡直樹(さわたり なおき)は事故で家族を失った。今はフリーターとして、レンタルビデオ店でバイトをしながら毎日を無気力に生きている。悲しみの想い出、その夢から目覚めた朝――。枕元には直樹を呼ぶ少女の貌(かお)があった。清水を梳(す)いたような銀の髪。白く澄んだ肌。切れ長の瞼の奥に、鮮やかな紅を湛えた円(まる)い瞳。何だろう、ぼんやりした頭で直樹は妹の名を呼ぶ。「――灯雪(ひゆき)」今日も直樹と灯雪の兄妹の一日が始まる――。 新鋭が放つ、ミステリアス・ストーリー。 桐子はすごくいいキャラだし、伝奇としてもまぁまぁ。でも、自分が枯野さんに期待してるのは、「魔法遣いに大切なこと」のような独特な雰囲気なわけで、物語のひっくり返し方も弱く(妹の名前違うのバレバレ)極普通のラノベになってしまった今作はあんま好みじゃない。てくてく路線を極めていってほしいなぁ。 評価 ☆☆☆(6) 【本日購入したもの】 神無月恭一郎の冒険 (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) いんたぁみっしょんティー・パーティー (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) ティー・パーティー宇宙へ飛ぶ 前編 (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) ティー・パーティー宇宙へ飛ぶ 後編 (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット4 《愚者》は風とともに (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット5 《月》が私を惑わせる (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット6 《節制》こそが身を守る (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット7 《死神》の十字路 (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット8 《戦車》が兄とやってくる (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット9 《太陽》は人々を照らす (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット10 《皇帝》はうなずかない (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット12 《女帝》1995 (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運命のタロット13 《女教皇》は未来を示す (皆川 ゆか/講談社X文庫ティーンズハート) 運タロとティー・パーティー大量ゲットキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!! 欠けてるところどうやって手に入れるかはそのうち考えます。 |
___9月17日(金) |
思えば、昨年のこの時期の私はチキンでした。 不幸四葉のあまりのひどさに皆が絶叫している様から目をそらし、一人のうのうとしていたのですから。 しかし、今年の私は一味違います! 勇気を出して突撃します。富士見の 新 人 に。 骨は誰か拾ってください。 え、一冊たらないんじゃないかって? 売り切れてたということにしておいてください_| ̄|○ 地雷ならともかく、機雷踏むほどの勇気はないです……。 【今日読んだ本】 ◆まおうとゆびきり (六甲月 千春/富士見ファンタジア文庫)【amazon】 というわけで、富士見の新人一発目は日常への異物乱入系物語。 あらすじ 堂島硝子はコピー機を壊して、飛び込んだ修理屋でさらに店の商品を壊してしまう。賠償金は6万円。当然そんな持ち合わせもない硝子は店主から「魔王」と名乗る異様な人物をひきとるのだが――。 悪くはない。主にまおうと主人公達女子高生三人組のかけあいで繰り広げられる小ネタが満載の日常会話は、分からないネタが結構あるものの十分に読める出来。 ただ、戦闘シーンにまでそのノリを取り込んじゃってるので、締めるべき場面であまり締まらないのが微妙。敵対勢力なんか出さずにコメディに徹した方が面白くなったんじゃないかなあこれは。 日常テキストがあわない人にとっては地雷に近いのでお勧めはしません。成長の余地はありそうなので期待をこめて評価は甘め。 評価 ☆☆☆(6) ◆悪徳なんかこわくない(上)(下) (ロバート・A・ハインライン/ハヤカワ文庫SF)【amazon】 脳移植による性転換の話。フリークとしては読まずにはいかないわけで。どうでもいいけど、ロバート・A・ハインラインの「・A・」の部分が顔に見えてしまいました。ダメ人間だ_| ̄|○ あらすじ ヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスは老齢のために死にかけていた。だが、死ぬことはできなかった。雪だるま式に増えつづける巨万の富が、彼を無理矢理にも生きながらえさせてしまう。そして、この運命に反逆するスミスは、勝てる見込みが皆無に近い、いちかばちかの賭け――若者の肉体への脳移植という手段に出たのだ。死線を彷徨する意識はやがて目覚め、再び溌剌とした肉体を手に入れたことを知る。しかしその手術は、若さと同時に思いもかけぬ体験を彼にさせるのだった! SF界の巨人ハインラインが、異様な設定によって大胆に性と死とに肉薄する問題長篇ついに登場! エロいけどただそれだけ。心理描写がひどすぎて性転換物としてはダメダメ。エロ親父が女の体に入ってるから戸惑いも何もないです。邦訳のテキストセンスはさっぱり理解できなくてだるいし、はなから期待していなかったストーリーも資産をめぐる裁判などかなりどうでもいいもの。期待してただけにショックでかい……。 評価 ☆★(3) 【本日購入したもの】 まおうとゆびきり (六甲月 千春/富士見ファンタジア文庫) 約束の柱、落日の女王 (いわなぎ 一葉/富士見ファンタジア文庫) echo 夜、踊る羊たち (枯野 瑛/ファミ通文庫) BLOODLINK 天使の幻影 (山下 卓/ファミ通文庫) 推定少女 (桜庭 一樹/ファミ通文庫) 富士見とファミ通の新刊ゲット。ファミ通新刊3冊同時購入なんてはじめてだ……。 |
___9月16日(木) |
【今日読んだ本】 ◆よくわかる現代魔法 (桜坂 洋/集英社スーパーダッシュ文庫)【amazon】 少し前にリファラ問題で話題になっていた頃は、地雷な気がして買わなかったのだけれど、2巻の評判がいい&もうすぐ3巻が発売ということで購入。 あらすじ 自分を変えたい!ドジでお子さま体型のこよみは、最強の魔法使い美鎖から現代魔法を学ぶことに。でも、こよみの魔法は変に発動してしまい…、異世界の魔物まであらわれた!?その頃、ネットワーク魔術により各地で異変がおき始める。銀髪の天才魔法少女・弓子やコンピューター女子高生の嘉穂まで巻き込んで、こよみの活躍?がはじまる。第2回SD文庫新人賞最終候補作、期待のデビュー。 魔法をプログラムコードで表す試み自体はなかなかうまくいっていて面白いんだけれど、キャラ立てが弱すぎるというか魅力が感じられないなあ。主人公の我が希薄だし、サブキャラも「思われ」使ったりするのはダメダメすぎる。無駄に長かった気もするので、薄くて評判いい2巻もとりあえず読んでみようかな。 評価 ☆☆(4) ◆有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 ローランスは猫日和 (橘香 いくの/コバルト文庫)【amazon】 ……書くことがない。 あらすじ コラリーを気にいった王太后は、彼女をテランスと結婚させようと企んでいた。それを察したテランスはフェリックスに彼女を連れ、ローランスを早々に離れるよう命ずる。そんな中、ボナバンが行方不明だという話がコラリーに伝わる。彼女は、ボナバンの行方を調べるため、フェリックスとともに彼の事務所へと向かった。しかし、そこで見たものは無残に荒らされた事務所の姿だった…。 あー、いい意味でむかつく。主人公達が綿密にたてた計画が無能馬鹿一人に邪魔される話。こういうのは感情移入すればするほど腹立ってくるわけで、つまりむかつくほど出来がいいことになるわけですが、読み手としてはそんなにむかつきたくはないわけで評価に困ります。 評価 ☆☆☆(6) |