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___6月15日(水)


【今日読んだ本】

シャドウテイカー5 ドッグヘッド (三上 延/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 孤独な人間の影に潜んでその欲望を操り、人間を補食する、この世界とは異なる次元からやって来た生命体──『カゲヌシ』。 家族を斬殺した殺人鬼、蔵前司の足取りを追う天内茜の前に現れたのは、新たなカゲヌシの力を手に入れた司だった。最強にして最後のカゲヌシ──新たなる『アブサロム』は、かつての『アブサロム』の能力、そして『黒の彼方』の失われた首をも取り込んで、さらに強力な存在となってゆく。 その狙いは、かつての『アブサロム』を葬った裕生と葉、そしてすべての鍵を握る『レインメイカー』だった……。ホラーアクションシリーズ堂々完結!


 現代が舞台のホラー+ラブシリーズのシャドウテイカー、ついに完結。
 みちる。・゚・(ノД`)・゚・。
 前巻の感想でスケール小さいなんて書いてごめんなさい、敵が2巻と同じだからといって小ささなんて微塵も感じさせない、とてもよい最終巻でした。
 3巻あたりからみちるの物語として読んでいて、みちる大逆転というありえないシナリオを望んでいただけに、みちるにはもっともっと出てほしかったんだけれど、275ページのイラストとそのシーンだけで一発KO。このみちるは素晴らしいみちるですね。完結後のみちるトゥルーエンドもちゃんと脳内で作り出せる終わり方で、裕生と葉の物語の中でよくこれだけやってくれた! といったところ。正直もっとずさんになるかと思っていただけに満足。
 その裕生と葉の物語も、予想の上こそ行かないもののラスト数十ページは夢中になれる程かっこよく、エピローグまで綺麗にまとまったなかなかいい話でした。でも自分の中ではやっぱりメインキャラはみちる。数年後に裕生を振り向かせる未来を妄想して物語の終わりということにします。


評価 ☆☆☆☆(8)



平井骸惚此中ニ有リ 其四 (田代 裕彦/富士見ミステリー文庫)amazon

《あらすじ》
 探偵作家・平井骸惚先生は、澄婦人をともなって実家に帰省していた。大正12年9月1日、強烈な地震が東京を襲った。関東大震災である。彼の弟子・河上君は、その未曾有の大災害に遭遇する! 骸惚先生に託された二人の令嬢、涼と撥子を連れ命からがら避難するも、避難先で二人の他殺体を発見する。はたして天災を利用した殺人事件なのか? 河上君は涼と撥子を守るため、そして生き延びるため、事件解決を心に誓う。本格大正浪漫ミステリー第4弾!


 ラブとミステリーが同居した骸惚先生シリーズ第4弾、今回の舞台は関東大震災。

 撥子 (*´Д`)
 涼 (・∀・)
 ゲスト  (´・ω・`)
 河上 (ノ ゚Д゚)ノ ====== >┼○

   ミステリー部分は、やや一般ミステリーっぽくて自分の好みとはずれているものの、構成などうまいのは確かだし、平井姉妹もいつも通りかわいいんですが、ちょっと今回は太一の行動がどうしても許せず。頼まれたのに放置プレイかまして恋愛気取りですかそーですか。朴念仁なだけならまだギリギリOKなんだけれど、これはちょっとひどすぎ。この点なければ良作なんですが……。


評価 ☆☆(4)


【今日購入したもの】

どいつもこいつも ワイド版 1 (雁 須磨子/ジェッツコミックス)
イヌネコ。 (葉月 京/角川コミックス・エース)
たるとミックス1 (神崎 りゅう子/まんがタイムきららコミックス)

amazon使ったはじめてのお買い物。




___6月14日(火)


【今日読んだ本】

ヴぁんぷ!II (成田 良悟/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 【久方ぶりだね! 親愛なる日本の紳士淑女諸君! 相も変わらず読書に精を出しているかね? 真にその書が好きならば、回読よりも購読をお勧めする!】【失敬。生臭い話はやめ、今回は諸君に島の祭りを紹介するとしよう!】【我が島が誇る芸術家、カルナルド・シュトラスブルクを讃えるカーニバルだ! 恋人達の誓いから家族の団欒、過去の精算に未来への希望など──様々な想いと共に、様々な客人が島を訪れる! 喜ぶべき来訪者から、望まれざる者までね。だから諸君も、この祭りを十二分に楽しんでくれたまえ!】【遙か西の水面に日が沈むまでは、君達人間の時間なのだから……】


 成田さんの変な吸血鬼たち大暴れシリーズ、1年1ヶ月ぶりの第2巻。
 1巻の面々ほぼ勢ぞろいな上に新キャラが続々と登場、キャラが多ければ面白い法則は健在で、まだ上巻で溜め段階ながらなかなか楽しめました。成田作品で一、二を争うほど好きなヴォッドをはじめとして、このシリーズは好きなキャラクターが多いんですが、今回も魅せてくれました。ちょっとフェレット守ろうとするミヒャエルがかっこよすぎですよ。あくまで日頃の行動の延長線上なのにこんな熱いとは、決して見下していたわけではないんだけど驚かされたなぁ。新キャラ吸血鬼たちもボケの青を筆頭に面白いキャラが多いし、下巻の収拾のつけ方に大いに期待。
 あ、一点疑問。レリックって旅に出たはずなのになんでいたんだろう。ヒルダが名前しか登場してないってことは帰ってきた後なのかな? まあ、その辺も下巻で明かされるんでしょう。


評価 ☆☆☆★(7)




___6月13日(月)

 いつものようにアクセス解析で検索ワードを眺めていたら、ちょっとありえない検索ワードで来ている人がいました。……何にも悪いことはしていないのに、なぜだか申し訳ない気分にさせられました。


【今日読んだ本】

スラムオンライン (桜坂 洋/ハヤカワ文庫JA)amazon

《あらすじ》
 Aボタンをクリック。ぼくはテツオになる――現実への違和感を抱えた大学1年の坂上悦郎は、オンライン対戦格闘ゲーム〈バーサス・タウン〉のカラテ使い・テツオとして、最強の格闘家をめざしていた。大学で知りあった布美子との仲は進展せず、無敵と噂される辻斬りジャックの探索に明け暮れる日々。リアルとバーチャルの狭間で揺れる悦郎は、ついに最強の敵と対峙するが・・・。新鋭が描くポリゴンとテクスチャの青春小説。


 「All You Need is Kill」で素晴らしいループSFを見せてくれた桜坂さんの新刊はMMO格闘SF。
 だと思っていたら、中身はちょっと青臭いアクション小説でションボリ。ボタン・コマンド・キャンセルといった用語が入り乱れた格闘描写の面白さがさっぱり分からなくて、その量の多さにうんざりし、ただ戦うだけの殺伐とした世界観も全く好きになれず。この世界でロールプレイだの自己の解放だのいわれても、あまり納得できなかったです。「ヴィーナス・シティ」みたいな意識までバーチャル世界にある設定でやるなら共感できるんですが……。そして、そんなMMO格闘の世界にのめり込んでいる主人公の視点から見た淡白気味な現実世界もやっぱり好きになれないわけで。
 好きな人はハマるんだろうけど自分には合わなかったということでFA。どうも桜坂作品とは相性がよくないなぁ。


評価 ☆☆(4)




___6月12日(日)


【今日読んだ本】

白人萠乃と世界の危機 (七月 隆文/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 緊急事態発生! 悪の組織R−18(レボリューション・エイティーン)の総統リン・リーが「ハレンチな世界を浄化するのよ」とかぬかし、街中にモザイクしだしたのだ。それに対抗するのが美少女戦隊AV(エーファイブ)!! こうしてどっちもはた迷惑な組織が誕生した!! 女子高生の白人萠乃は、その一員に選ばれてしまった不幸な少女。ゆけ、AV! 世界をリン・リーから解き放つのだッ!! って、どんな話!? 恋あり涙あり変態ありのツッコミどころ山の如しなラブコメディ登場!!


 お馬鹿な話が読みたくなった時のために買っておいた馬鹿コメディ。こんな話を電車の中で読むのにはさすがに抵抗があるので、大人しく家で読みました。
 うーむ、期待していたよりはギャグがスベり気味。AVやらR−18やら百合山ゆりやらと、表層部分はかなりの壊れっぷりなんですが、ギャグが単調でやや設定負け気味な印象を受けました。2割くらいはヒットしたけれどスカも多し。悪の組織で馬鹿路線というと、つい最近も富士見で「乱破」などが出てますが、あれくらいは壊れてほしかったところ。でも、動揺してパニクっている萠乃がかわいかったから、他の点なんてどうでもいーやもう。しろさんのイラストも好きですしね。


評価 ☆☆☆(6)




___6月10日(金)


【今日読んだ本】

ロクメンダイス、 (中村 九郎/富士見ミステリー文庫)amazon

《あらすじ》
 ハツは恋をしなければ、16歳までに死んでしまう。高校入学と同時に、カウンセリング施設《ROCKMEN DICE》でカウンセラーのもと、心に傷を抱えた奇妙な〈患者〉たちと共同生活をおくることになった。そんな恋の仕方に悩むハツの前に、ある日一人の女の子が現れる。しかし、彼女は「恋をしてはいけない」少女だった……。二人の恋の行方は――。第4回ヤングミステリー大賞最終選考作は、富士見ミステリー文庫史上最高の純愛。まさにL・O・V・E!


 富士ミスの大賞落選からの拾い上げ組作品は、心を病んだ少年少女の魂の救済の物語。
 「中村九郎」といえば先々月にSDで「黒白キューピッド」でデビューした人と同PN、公式な情報がないので同一人物かどうかはっきりしてなかったのだけれど、読み始めたら一瞬で分かりました。点を繋いだかのようにバラバラだった「黒白」よりは多少読みやすくなっているものの、やっぱりへっぽこな文章(前作のは狙ってたんじゃなくて素だったってことですね)、冒頭から全開の怪しさ。完璧に「黒白」と同著者ですねこれは。文章は読みやすくなったことでダメっぽさが浮き彫りになり、承からスタートしてるような印象をうける物語はキャラクターが病んでいることもあって冒頭数十ページではどんなものなのかさっぱり見えないバラバラっぷり、これは一般的には地雷扱いされそう。
 そして、これが楽しめちゃった自分は選ばれし戦士なのかもしれません。文章がダメでも物語に光るところがあればいいんです。ええ、最後まで読み終わった時にいい話だったなぁと素で思いましたとも。「史上最高の純愛」とは程遠いですが、心の傷を癒す物語としては超変化球ながら面白かったですよ。序盤で訳分からなかったことは大体説明されるし、変な表現などから生まれる雰囲気はやっぱり前作同様に好きですし。
 え、読んでもよく分からない部分がある? そんなもの、「考えるんじゃない、感じるんだ!」 これでOKです。そもそも、主人公壊れてるんだから一人称の文章が壊れてたって当然じゃないですか! ……これはさすがに擁護しすぎですか。
 「黒白」の時も同じこと書いたけれど、ただ駄目なだけじゃないし磨けば大化けする余地はあると思うんですよね、選考委員もそう思ったからこそこの文章でも拾い上げたんでしょうし。でももうちょっと育てから出した方がよかったのでは、このままだとこれっきりで消えそうな気が。それはちょっと寂しいのでアンケートはがき出してみよう。


評価 ☆☆☆(6)




___6月9日(木)

 今日は数ヶ月ぶりにビリヤードをやりました。
 このビリヤードというゲーム、初心者がやると、そこそこ無難にこなすかひたすらネタプレイを連発するかに二極化する気がします。まあ何故こんなこと言うかというと、自分は断然後者なわけです。
 得意技は残り9番だけになった時のスクラッチ(手玉入れ)。1ゲーム中、落とした玉の数よりもスクラッチの数が多いのは当たり前。我が手玉は何が面白くてそんなにポケットに吸い込まれていくんですか。
 しかし、今日はこんなネタ師でも今までにやらかしたことのないネタをかましました。ブレイクショットの際、1回空振りした後の二打目が、

1番に当たらないどころかコーナーポケットに一直線ストライク。

……いや、極めて真面目にやってるんですよ?。・゚・(ノД`)・゚・。


【今日読んだ本】

わたしたちの田村くん (竹宮 ゆゆこ/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 中学三年の進路調査、第一志望は「故郷の星へ帰る」という不思議系、松澤小巻。  投石して窓を粉砕しバレンタインチョコを誤爆する学年随一の美少女、相馬広香。  いずれも変わり者の二人の女の子と、彼女たちを相手に空回りしながら奮闘する田村くんの、おかしくてちょっと切ないラブコメディー。「電撃hp」で好評を博した『うさぎホームシック』『氷点下エクソダス』が書き下ろし番外編を加えて電撃文庫でいよいよ登場!


 電撃新人ラッシュのラストは、超常現象が全く出てこない普通の現代が舞台の、田村くんと二人の少女の関係を描いたラブコメ。
 タイトルが詐欺だ。このタイトルで三角関係が出てこないなんて! あらすじとタイトルでてっきり三角関係かと期待してたのに、見事に肩透かし食らいました。
 カラー絵も詐欺だ。絵と一緒に女の子一人称の文章が載っていてキター!と思ったんです。それが、いざ本編を開くと「俺」の文字。この時の失望といったらもう! 全編田村くんの一人称なんて……。しかも、相馬さんの方は本編とちょっとキャラ違うのがさらに詐欺。口絵ではツンデレを予感させるのに、本編だとデレデレじゃないですか。ツン描写が足りないですよ、うーもったいない。
 と詐欺詐欺言いまくってきましたが、主人公の田村くんはヘタレすぎず万能でもなく、行動に一部納得できない点はあっても全体的に見れば好感持てる奴で、相馬さんはデレだけでも十分かわいく、アフォめな一人称の軽快さで引っ張ってくれるなかなかよいラブコメでした。次巻はちゃんと三角関係勃発させてくれそうなので楽しみです。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】

ロクメンダイス、 (中村 九郎/富士見ミステリー文庫)
平井骸惚此中ニ有リ 其四 (田代 裕彦/富士見ミステリー文庫)
憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ (水口 敬文/角川スニーカー文庫)
スラムオンライン (桜坂 洋/ハヤカワ文庫JA)
せつない魂のうたをきかせて (高橋 由紀/花とゆめコミックス)




___6月8日(水)


【今日読んだ本】

トリックスターズ (久住 四季/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 ゲームと称する、その予告は大胆にして唐突なものだった。『我は、今この会場内に集まった諸君の中から生贄を選定し、処刑することをここに宣言する』と。不可解な予告がはたして真実となったとき、舞台となる城翠大学は混乱の渦へと落下していく。  だが、美しき女魔術師は、巧妙なる欺計(トリック)を鮮やかにそして皮肉げに解き明かす。そしてゲームは誰もが予期せぬ結末へ。これは推理小説(ミステリ)を模(かたど)った現代の魔術師の物語──トリックスターズ登場!


 今月の電撃のもう一冊の新人ミステリー攻勢は、400ページ超と随分分厚い魔術師の物語。
 ちょっと変わった設定を除けば作りはオーソドックスだし、分厚さに見合う密度の濃さはあまり感じなかったものの、それは裏を返せば諦観気味の主人公の一人称で語られる文章が読みやすいということでもあり、主人公、先生、友人達、キャラクターは皆なかなか好きになったし、電撃らしいライトミステリーで楽しかったなぁこれは。
 まず、ちゃんとミステリーとしてまともなのがびっくりですよ。分からないけど気になる謎があり、適度に情報がばらまかれていて、自分程度のミステリ読みでも頑張ればなんとか答えが導き出せそうな難易度というのはかなりいい按配なんじゃないでしょうか。や、自分は犯人なんとなく想像ついたどまりだし、トリックは見抜けませんでしたがね……。
 魔術の設定には説明不足だったりおかしいだろと言いたくなる部分があったけれど穴はそれくらいで、ラストの多段に渡るネタばらしの後に最後の一文で締める構成なんか実に綺麗だと思ったし、ホーンテッドな謎には「やられたな」と素直に降参。うん、気にいりました。続きが出たら迷うことなく買い。


評価 ☆☆☆★(7)



座敷童にできるコト (七飯 宏隆/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 ドアを開けたら、目の前にセーラー服の女の子がいた。部屋の住人である僕は硬直し……そして、その少女は叫んだ。「うおぉっ! じ、自由だっ!」──これが、僕・守屋克喜と彼女・“座敷童の未麟”のファーストコンタクトだった。僕は、ちょっとヘンな女の子……にしか見えないイマドキな座敷童との同居を強いられることになって、おまけに今年から通う豊葦学園も、変わった人たちばっかりで……。いったい僕はこれからどうなるんだろう……? 第11回電撃小説大賞<大賞>コンビが贈る、ちょっとヘンでイマドキな座敷童の物語。


 「ルカ」でデビューした大賞受賞作家七飯さんの二作目は、シリアスな前作とはうってかわった座敷童コメディ。
 うーん、前半の座敷童や学校の変人と出会ってからのドタバタ劇は軽快なテンポで進んでなかなか楽しくて、これは当たりかなと思っていたら、途中から方向性がちょっとおかしくなり、終盤はバトルが幅をきかせたあげくによく分からない超設定まで飛び出してきて、ちょっとションボリな内容。別にバトル部分の出来が悪いわけではないんだけれど自分の好みからは外れているし、他の座敷童ワラワラ出したりと話の規模でかくするより、学園内のみでまとまったシンミリ系の話を読みたかったというのが正直なところ。思うに、クライマックスに突然神格調整やら神話の矯正やらよくわからない単語を連発されなければ、ここまで反発感じることもなかったかも、序盤とのギャップに耐えられませんでした。
 8月に続編出るみたいですが、路線変更されるなら買い、超設定にさらに踏み込んだりするなら見送りかな。なんとなく後者の予感がしますが……。


評価 ☆☆★(5)




___6月7日(火)


【今日読んだ本】

飾られた記号 The Last Object (佐竹 彬/電撃文庫)amazon

《あらすじ》
 あらゆる物質が持つ情報を制御する能力──“情報学”。その唯一の教育機関<パスカル>に入学した朝倉渚は、ミステリアスでφ<ファイ>と呼ばれるクラスメイト日阪道理に興味を抱く。そんなある日、渚は学園で起こった殺人事件に巻き込まれた。死体の第一発見者になった渚が遭遇する数々の謎。そして事件の容疑者として挙がってきたのは──!? 朝倉渚と日阪道理の奇妙なコンビが贈る“φシリーズ”第一弾。堂々スタート!


 電撃の新人さんのミステリーは……いきなりシリーズ化ですか。電撃で「ミステリー」と大々的に押し出してくるのは多分久々、ついに王者電撃が富士ミスをつぶしに! というありえない戯言はおいといて。
 うーむ、最初一瞬だけ久しぶりに尖った新人が出てきたかと思ったら、実は雰囲気だけだったというひどい罠が待ってました。現代から約半世紀後の「情報学」という学問が発展してきた世界が舞台、この「情報学」というネタ自体は嫌いじゃないんですが、その周りの世界設定に穴がポコポコと見えまくる上、現代との比較をしまくるためにその穴がさらに広がっているという始末。また、情報の主観性と客観性など小難しい薀蓄をキャラが喋ったり考えたりするのは、数年前の自分ならはまったかもしれないけれど、今の自分にはフーンくらいにしか思えず。
 そしてちょっと許せないのが、所々に出てくる短文改行で構成される文体の部分。なんか言ってる意味さっぱり分からんなぁと眠くなりつつ読んでいたら、あとがきで雰囲気作りと思いっきり書かれてました。そりゃ意味分かりませんね。雰囲気感じるどころか空っぽな印象受けましたよ……。ミステリーとしてもさっぱり面白くなかったし、自分には楽しめませんでした。理数系のよくわからない薀蓄風味を楽しめる人には向いているかも。


評価 ☆☆(4)



屋上の暇人ども3 恋の季節 (菅野 彰/ウィングス文庫)amazon

《あらすじ》
 転がるボールを追って現れた妖精のような少女。一目でノックアウトされた譲は、積極的にアタック開始、あっという間に仲良くなってしまう。唖然とする鴫と夏女に、譲はいつもそうだと未来が言う。小三の時、譲のプロポーズを断って以来の、幼なじみという名の微妙な関係。その不安定さは、他人を決して間にいれない鴫と夏女もおんなじで…。それぞれの揺れる気持ちをよそに、妖精=小枝の妊娠が発覚し、顧問の天沼も例によってまきこんで、事件は動き出した!!ちょっと青春まっただ中、四人のコドモと一人のオトナ、明日はどっちの方向に…。


 青春学園小説「屋上」シリーズの三冊目は、譲がとある女の子に恋をしたことから生じるドタバタをめぐる話。
 いい青臭さだけれど、しんどい話だなぁ。譲の恋から生じる事件は極めて単純なもので一瞬あれれと思ったものの、メインなのは事件自体ではなく、四人がその過程でどういう思いを抱いてどう変わっていくかなので問題なし。
 今回も色々と重たい話がありましたが、その中でも印象に残ったのは夏女の母親殺してた発言。今までここだけは一見幸せそうに見えてたわけで、その裏がこうなっていたとは。単純な面がある鴫とは違って、夏女の抱えている闇はまだ全然溶けていなかったということで……きついなぁ。他にも、譲と未来の、近すぎるゆえにお互い離れる時のことを考えている幼馴染という関係も切ないものがあるし、胸に堪えるという点では既刊で一番だったかな。四人の心に春が訪れるのはまだまだかかりそうですが、最後まで付き合おうと思います。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】

飾られた記号 The Last Object (佐竹 彬/電撃文庫)
トリックスターズ (久住 四季/電撃文庫)
わたしたちの田村くん (竹宮 ゆゆこ/電撃文庫)
シャドウテイカー5 ドッグヘッド (三上 延/電撃文庫)
ヴぁんぷ!II (成田 良悟/電撃文庫)
座敷童にできるコト (七飯 宏隆/電撃文庫)
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種 (西尾 維新/講談社ノベルス)




___6月6日(月)

 昨日言っていたnameタグ追加にミスがあったので修正、さらに過去ログ分も全て修正。
 あと、6月1日の一行目が「6月のまとめ」になっていたのでそちらも修正。
 ……今月はもうミスしないよう頑張ります。


【今日読んだ本】

銃姫4 〜Nothing or All Return〜 (高殿 円/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 この世から言葉を消し去ると言われ、恐れられている謎の「銃姫」。その行方を求めて旅に出たセドリック、アンブローシア、エルウィングの三人。猛烈な吹雪に襲われた一行は、聖教の研究機関「蜜蜂の館」でその足を止めた。それぞれの過去に闇を持つアンとセドリックは、館にいた人々との出会いをきっかけに、その運命と向き合うこととなる。ガリアンルードの悲劇の裏に隠された秘密をアンに語るプルートの真意とは? 魔法陣の向こうに広がる戦場で、セドリックが再会した意外な人物とは!?


 つい先日マグダミリアのリメイク版も出した高殿さんの、銃で魔法を使う世界を舞台とした少年少女ファンタジー四冊目。
 今回は主人公三人、特にセドリックが心を折られてボロボロになるまで追い詰められていく話。この追い詰められていく過程が非常に生々しくて迫力がある上、章題に絡んだあたりは「うわーそこまでやるか」という展開で、確かに面白くはありました。でもそれと同時に、人の陰部の描き方の生々しさに、呪詛的というかちょっと拒否反応出るような気持ち悪さを感じたのも事実で、この物語をあまり好きにはなれず。
 あと、セドリックの思考や発言の節々に、作者によって動かされている感が見え隠れするのが結構なマイナス点。人格が違うというほどではないのだけれど、所々「あれ?」と思う部分があって、追い詰めよう追い詰めようとちょっと強引に思考と発言の方向を曲げているような印象を受けました。まあ面白くはあるので、ここからどう物語をまとめてくるのか、素直に期待します。


評価 ☆☆☆(6)




___6月5日(日)

 要望をいただいたので、各本のリンクにhrefだけでなくnameもいれましたー。

 …………。
 …………?

 あれ、ひょっとして今までちゃんとリンク張れてなかった……?
 うわああああああああああああああああああああああぁ_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○


【今日読んだ本】

屋上の暇人ども2 一九九八年十一月十八日未明、晴れ。 (菅野 彰/ウィングス文庫)amazon

《あらすじ》
 少しずつ互いの距離が近づいて、なんとなく「居場所」を見つけたかのような天文部の四人。そんな時、西原有子という同級生が援交の元締をやっているのを、鴫と譲が偶然知ってしまう。しかも西原は、いったいどういう訳なのか、もうずっと夏女に入れ込んで、たくさんの贈り物を貢いでいた。夏女が一顧だにしないのを知らないまま…。めぐりめぐって怒りにまかせたなりゆきで、未来たちは、西原の上納金を搾取する計画をぶちあげる。天文部の夢の部品、ハイパー・アストロ2001、つまりは望遠鏡を買うために!!天文部の懲りない面々、今度の危険な賭けの結果はいかに。


 居場所がなくなった人間やその幼馴染や不良と目されている人間たち四人が繰り広げる、痛さがともなった青春物語「屋上の暇人ども」の第2弾。
 うん、今回も1巻同様の青臭さでなかなかよかったです。援助交際をテーマにした話ってドロドロするか正邪がはっきりした説教臭い話になる、というイメージがあったんですが、これは正邪はっきりせず、四人それぞれが援交とかに対する違う考え方持っていてぶつかったりするのが青臭くていい感じ。特に自分が幸せに暮らしてきたことを受け入れつつ、それでも真っ直ぐあろうとする未来がかっこいいことこの上ないです。
 四人の中ではなくゲストキャラが対象の話だったのと、ちょっと望遠鏡はさすがに悪ノリしすぎだろと思ったあたりで評価下げたけれど、良作であることに変わりはなし。


評価 ☆☆☆★(7)




___6月3日(金)


【今日読んだ本】

パラケルススの娘1 (五代 ゆう/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 19世紀。主人公・遼太郎は当主の命令を受け、悲しむ義妹を残したままロンドンへ渡る。、着いた早々に全財産が入ったトランクを盗まれてしまい、途方にくれる遼太郎が見たものは……羽のついた猿!? そいつが盗まれた紹介状を持っているからさらにオドロキ。遼太郎が猿を追うと、猿はテラスにたたずむ謎の少女のもとへと飛んでいくのだった……。ロンドンで起こる怪事件。非科学的なことが嫌いな落ちこぼれ「坊ちゃん」と、男装の少女魔術師が織りなす本格ファンタジーがここに開幕!


 ティー・パーティーと月末月始の新刊ラッシュのために放置してあった、先月のMF文庫Jの新刊にようやく着手。ホラーやハードカバーファンタジーばかり書いていた五代さんの久々の少年向けレーベルでの新作は、交霊ブームなロンドンが舞台のファンタジー。
 あー自分にはこれはダメだ。タイトルにもなっている「パラケルススの娘」であるクリスティーナが凄い苦手、ただでさえ男装の麗人は好きじゃないのに、女らしさが欠片も見えなくて完全にアウト。これならキザっぽい男の方が数段マシ。同じ男装でも、女であることを押し隠そうとする少女とかだったら、逆に自分のツボなんですがね……。
 また、キャラ見せに終始する今回は、主人公の成長物語なはずなのにあまり成長してくれず、そのため主人公の頑固な考え方に波長があわなかった自分はイライラが募ることに。全員集合のエピローグで喋れないほど影薄い主人公でもあり、好きになれませんでした。


評価 ☆☆(4)




___6月2日(木)


【今日読んだ本】

振り返れば先生がいる 2ndシーズン (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

《あらすじ》
 羊野真奈子、花の高校3年生。ママを亡くし、義理の父が現れたと思ったら去って、今年もひとり(カレシは世界を漫遊中)――なはずなのに、やっぱり来た、疫病神×2…!? まんが&小説で再登場!


 大分前に発売された、かっこよくていじわるな義父兼教師を相手に主人公が繰り広げる学園ホームコメディ(?)、延長戦突入。綺麗に終わっていただけに続きが出たのはちょっと意外。最近こんなパターン多い気がしますが、それはさておき。
 ヤバイ、まじヤバイ。なんなんだこのこっ恥ずかしさは。前巻で義父と娘としての関係は大体解消されたわけで、続いたからにはこういう展開になるのはある程度想像ついていたんだけれど、メリーの一人称で恋愛書かれるのがこんなにもくるとは完全に予想外。電車の中で読んでたんですが、表情変わりそうになったり叫びたくなったりするのをこらえるのに休み休み読む始末。さらに時々はさまれる漫画がまた、メリーの表情がうまく描けていてこっ恥ずかしさを上乗せしてくるんですよ。もう完全にノックアウトされました。
 自覚する前の恋愛感情なんかいい感じに書かれていたし、あー、女の子一人称はいいなぁやっぱり。姉のブラコンっぷりがちょっとうざかったですが、それ以外は文句なし。藤岡もかっこいい奴でしたしね。
 しかし、スズキの家族の謎は完全スルーってことは続きまだ出るのかな。関係がほぼ定まったし、学園も卒業しちゃっただけに今巻以上は望めそうもないですが、出るなら出るで楽しみです。


評価 ☆☆☆☆(8)



流血女神伝 喪の女王1 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)amazon

《あらすじ》
 命がけで息子である王子アフレイムを救ったカリエ。だが胎内に宿る新しい命のため、カリエはすべてを捨てユリ・スカナの地へ向かう。新たな運命とは!? サバイバル・ロマン、最終章スタート!


 既刊17+2冊、かなりの長寿シリーズとなった女神伝もついに最終章突入。
 あー和むー。ザカール編が終わって一休みの感がある今回はエドと二人でまったり、こんだけ平和な女神伝を読むのは何冊ぶりだろう。もちろん完全にのんびりなわけはなく普通の重さ程度はあるわけですが、今までが今までだっただけに癒されます。飾り房が出てきた時には、当時の場面思い出して、この物語も随分遠くまできたんだなぁとしみじみしたりも。きっと今後こんなふうに過去を振り返ることはないんだろうなぁ……。
 シリアスな場面でありえない笑いを入れてくる須賀さん独特の技も健在で、新章で動き少なくても全く中だるみすることもなく楽しめました。エド出すぎだったけれどカリエとの関係は変わらないのかなぁ、ラクリゼはこれからどうするんだろう、等色々なことを考えつつ次巻へ。


評価 ☆☆☆☆(8)




___6月1日(水)

 5月のまとめ。先月は結構たくさん本を読みましたー。

 読了……47冊
 購入……51冊

 でもたくさん買いましたー_| ̄|○ 四ヶ月連続負け越しです……。


【今日読んだ本】

アンダカの怪造学1 ネームレス・フェニックス (日日日/角川スニーカー文庫)amazon

《あらすじ》
 限りなく遠い隣の異世界アンダカから怪生物を召喚する《怪造学》が一般的となった時代。怪造生物と共存できる世界を夢見る少女、空井伊依と愛すべき怪造生物たちが織りなすミラクル・モンスター・ストーリー、開幕!


 今日は五賞受賞作家の日日日の日。まずはスニーカーの受賞作から。
 何が出てくるのかと身構えていたら、予想外に普通のライトノベルでちょっと拍子抜け。一言で表すと「モンスターは友達!」なお話。怪造学っていうのは特に目新しい設定ではないけれども、モンスターの造形やアンダカの雰囲気など悪くはなし。キャラクターはネーミングセンスや口調に西尾っぽさを感じるし、ちょっとむかつく奴もいましたが、主人公と父親の掛け合いでの主人公のツッコミなんかは気にいったし、全体的には○。うん、普通に楽しめる普通のライトノベルでした。でも、1巻で話広げ終わっちゃった上に、続けて面白くなるタイプの話とは思えないので、とりあえず続きは様子見。


評価 ☆☆☆(6)



狂乱家族日記 壱さつめ (日日日/ファミ通文庫)amazon

《あらすじ》
  「その醜くも穢れきった指先で凶華様のたおやかな御腕を掴むという冒涜行為を今すぐやめろこのユダ的背徳者」。ある日、凰火が出会ったのは、罵詈雑言をまき散らすネコミミ、シッポつきの可憐な少女だった。通りがかりの商店から食べ物を掠め取り、大勢の警官に追われるこの人外少女・凶華とは一体何者? そして――凰火を襲う最悪の運命とは!? 超常現象対策一課行動部隊長・乱崎凰火と奇天烈な「家族」との馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語!!


 こちらはファミ通での日日日さんの受賞作。
 これも予想よりは普通のライトノベルだったけれどアンダカよりこっちの方が好きかな。家族を構成する変てこなキャラクターがクラゲやら喋るライオンやら生物兵器やら、味のある奴らばかり、そしてこの面々を引っ張る一家の主の凶華の破天荒っぷり、うん、なかなか楽しかったです。
 話自体はかなり現実離れしていて、いじめの解決法とか「おいおいそれでいいのかよ」とツッコミたくなりましたが、まあそれでもいいかと思えるくらいのハチャメチャさとテンポのよさ。最初のDQNっぷりから見違えたとはいえ、凶華を一瞬でも可愛いと思ってしまった自分はどうかしてますが。ちょっと残念なのは、家族としてまとまるのが早すぎだったこと。いくらそれまでがそれまでとはいえ正直急展開すぎで、家族としての絆が生まれるまでに一冊くらいはかけてほしかったです。
 今出ている4冊読んだ感じでは、日日日さんは器用貧乏なのかな。これだけ幅広くそこそこのクオリティのもの書けるのはなかなか凄いけれど、今の持ち上げられ方見ていると潰れそうでちょっと不安。なんかあとがきちょっと痛々しいですし……。


評価 ☆☆☆★(7)