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___3月30日(木)

 ノエイン最終話視聴終了。最後の方のアトリの扱いには正直納得いかないものがあるし(凄くかっこよくはあるんですがね)、シャングリラ編に入ってから間延び感というか焦点がちょっとぼやけていたり、また中盤に色々出てきた伏線っぽいものが語られなかったのは少しがっかりしましたが、ノエインとユウの対峙シーンやトビのアレなどはさすが最終回という盛り上がりを見せてくれたし、前半はほんと毎週ゾクゾクさせられたのは間違いなく事実、何より1話から最後まで欠かさず見たのはノエインがはじめてなわけで、傑作とはいきませんがとてもよいアニメでした。こういう現代SFなアニメにはどしどし出てきてもらいたいものです(きっと手間かかる割に売れないんだろうけれど)。しかしノエインさんは救われないなぁ……主題的には救われちゃいけないんだけどさすがにかわいそう。


【今日読んだ本】

お月様のためいき (かめの あゆみ/竹書房ゼータ文庫)amazon

《あらすじ》
 恋する女の子は誰だってヒロインになれる。どこにでもありそうな、けれども代わりのない恋に胸を焦がす??。これは、"たった一つの恋"を手にするため、悩み、傷つき、戸惑いながらも、自分だけの答えを掴む乙たちの物語。超虚弱体質で、周りのペースに自分を合わせられない月子のあだ名は「溜め息の姫君」。醒めた心で世界を傍観し、そっと溜め息を漏らすことしかできなかった彼女が、初めて心を繋いだ相手とは?表題作「お月様のためいき」の他、7人のヒロインたちが紡ぎあげる7つの恋のタペストリー。期待の新鋭作家が贈るハートフル・ラブコメディ!


 地雷臭がしたので様子見していたところ評判が悪くないので購入した、今月のゼータ文庫の新刊。昨年末から続々出ている新レーベル作品を買うのはこれがはじめて、肌にあわなそうなアクション多すぎなんですよ新レーベル……。
 で本作、評判通りどの短編もなかなか甘々。個人的な好みをいうと、同じ甘々でも、もっとバカップル全開なものとか、あるいは幻想的な雰囲気のものとかが好きで、こういう現実寄りすぎの生々しいのは微妙なんですが、甘々ってだけで許せちゃいます。ただ、「お月様の溜め息」とか濡れ場入ってる奴はちょっと展開早く見えました。そういった意味で、好みなのは見かけと中身のギャップを扱った「アメノヒ、ハレノヒ」かな、ベタベタでいい話でした。「激甘」って感想も見かけたけれど、いやもっともっと甘くても(略


評価 ☆☆☆(6)



___3月29日(水)


【今日読んだ本】

Op.ローズダスト(下) (福井 晴敏/文藝春秋)amazon

《あらすじ》
 二〇〇六年秋、“ネット財閥”アクトグループの役員を狙った連続テロが起こる。実行犯は入江一功をリーダーとする「ローズダスト」を名乗る五人グループ。警視庁の並河警部補は防衛庁情報本部の丹原朋希と捜査にあたるうちに、朋希と一功の間の深い因縁を知る。かつて二人は防衛庁の非公開組織「ダイス」に所属し、従事していた対北朝鮮工作が失敗、二人が思いを寄せていた少女が死んだ。朋希を除く生き残った工作員たちはテロリストとなり、アクトグループ役員となった元上官に復讐しようとしているのだと……。互いを理解しながら憎しみあう二人の若者と彼らを取り巻く人間たちの群像劇を通して、壮大なスケールで描くサスペンス・アクション。


 2冊で1000ページ超えの、国家のあり方を問う群像劇アクションの下巻。
 これはとても映画化を狙ってそうな作品ですね。映える銃撃シーンを備えているのは基本、ヘリVSヘリのドッグファイトは映像にしたら凄く燃えそうだし、クライマックスは幻想的なシーンになること間違いなし。最初から映画化意識して書くっていうのはちょっと嫌な感じですが、先に挙げたシーンは文章でもよかったのでそれは満足。
 でも、話の面白さは既作長編の中では一番下ですね。今作はストーリーがいつもより(少なくともローレライよりは遥かに)国重視になっているんですが、国家の姿の描き方が完璧にいつもの紋切り型な上、何度も何度も何度も出てきてとてもくどいのが非常に難。福井晴敏初挑戦ならそんな気にならないんでしょうが、ほぼ全作読んでる身としてはここまでくどいとちょっと鬱陶しかったです。
 あと、群像劇とうたっている割に、朋希と並河の描写ばかりで、入江を除くと人物が十分に描かれてなかった気がします。特に留美や倉下といったローズダストのメンバーにはもっと触れてほしかったですね。倉下それだけかよ! ひどいよ! 最初に挙げたシーンの他にも朋希救出作戦など、場面単位ではかなりいいところあるのだけれど、1000ページというボリュームの割にはくどいところが多くて内容薄めでした。次作はそろそろ新しいことに挑戦してほしいところ。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 Op.ローズダスト(下) (福井 晴敏/文藝春秋)
 お月様のため息 (かめの あゆみ/竹書房ゼータ文庫)
 BLACK BLOOD BROTHERS5 風雲急告 (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)
 おおきく振りかぶって6 (ひぐち アサ/アフタヌーンKC)



___3月26日(日)


【今日読んだ本】

Op.ローズダスト(上) (福井 晴敏/文藝春秋)amazon

《あらすじ》
 二〇〇六年秋、“ネット財閥”アクトグループの役員を狙った連続テロが起こる。実行犯は入江一功をリーダーとする「ローズダスト」を名乗る五人グループ。警視庁の並河警部補は防衛庁情報本部の丹原朋希と捜査にあたるうちに、朋希と一功の間の深い因縁を知る。かつて二人は防衛庁の非公開組織「ダイス」に所属し、従事していた対北朝鮮工作が失敗、二人が思いを寄せていた少女が死んだ。朋希を除く生き残った工作員たちはテロリストとなり、アクトグループ役員となった元上官に復讐しようとしているのだと……。互いを理解しながら憎しみあう二人の若者と彼らを取り巻く人間たちの群像劇を通して、壮大なスケールで描くサスペンス・アクション。


 「終戦のローレライ」「亡国のイージス」映画化でノリにのっている福井晴敏の最新刊は、上下巻合わせて1000ページ超えの大作アクション。
 よくも悪くもいつもの福井作品だなぁこれは。他作品の多くと同じく登場する人物達はダイス・警察・工作員などに所属しており、事件から派生する北やアメリカとの関係を通じて国家のあり方を問う物語は、いつものように重厚さと読み応えがあって、500ページを苦にすることなく楽しんで読めました。でも同時に、いくらなんでもいつも通りすぎだろうという気もするわけです。並河の「昔はバリバリ熱血だったけど今は燻ってる中年」といい、朋希の「組織に所属する心を凍結させた若者」といい、キャラ造形がいくらなんでも既作とかぶりすぎ。ストーリーラインを変えている分焼き直しとはいかないまでも、テーマも同じせいで既視感ありまくりです。
 下巻読むまでは何ともいえないけれど、今のところは昔見た「福井作品は最初に読んだ作品がマイベストになる」という文を思い起こされる状態。時代をずらしてエンターテイメント性を高めたローレライを除けば、後に読むほど評価下がってるからなあ。下巻でサプライズがありますように。


評価 ☆☆☆★(7)



___3月24日(金)


【今日読んだ本】

RUN RUN RUN (山下 卓/徳間書店)amazon

《あらすじ》
 高校二年、十七歳の冬。わたしは魔女にさらわれた。二十四歳、人生崖っぷち。あたしは深夜のバッティングセンターで捨て猫を拾った。三十歳リーチ、いまだに自分捜し継続中。私はいきなり後頭部に空き缶をぶつけられた。―それが、わたしたちの旅のはじまりだった。


 「BLOODLINK」シリーズの山下卓の一般進出作品は、女三人の旅のお話。
 うーん、なんとも複雑な気分。とりあえず、軽めの一般文芸として見ると普通に面白いことは確か。一言で説明すると、逃避して旅に出た三人が色々あって前向きになる、という結構見かけるタイプの話なんですが、自虐的でいい感じにダメなマリ姉の性格がよく、三人の駆け合いや距離の取り方が面白いし、前向きになるまでの過程も掘り下げ十分でとても自然。ただ、「刹那」を傑作認定している自分にとっては、凄さを見出せない普通の作品だったのが残念。このレベルの作品に不満感じるのは贅沢なんでしょうけれど……。できれば文芸方面に行かずにライトノベルで書きつづけて欲しいなぁ。


評価 ☆☆☆★(7)



___3月23日(木)

 帰宅しました。いない間にBBBアニメ化やらシャナ映画化やらCLANNAD映画化やら変なニュースが一杯出てますね。まあその辺はおいといて、先日の価格チェックにちょっと補足。
 キノの旅が高いのは「カラーページの量が多いからでは?」と指摘を受けましたが、手元にキノがないので確認できません。多いんでしたっけ? それを考慮するとむしろ安かったりするのかな。
 あと使用データを出してなかったのでここに置いておきます。よく見たら249ページが1個あるや……。データとやる気の都合上2004年のものはあまり含んでません。データ色々見ていたら、やっぱり売れてる方が若干安いように見えたり、キノの価格がブレの範囲に思えてきたりしてきたので、今度2次元プロットして回帰線引いてみます。


【今日読んだ本】

カミングアウト! (高殿 円/villagebooks edge)amazon

《あらすじ》
 携帯電話の数だけ自分を使い分けている孤独な少女、さちみ。職場でお局となりつつ、ロリィタ趣味を隠し続ける29歳OL、リョウコ。子育てを終え、もはや母親でも妻でもなくなった女、史緒。結婚できないまま人生の終盤を迎えようとしているサラリーマン、臣司。そして、定年になる横暴な夫に復讐を誓う妻、初恵。心に抱えた秘密をカミングアウトするとき、人はどう変わるのか? 人気作家、高殿円が現代ものに初挑戦、注目の清涼ストーリー。


 先月の新刊、高殿さんの一般レーベル進出作品は、現代に生きる人々がタイトルの通りに抱えている秘密をカミングアウトするお話。
 あとがきに「スカッとする話」とあったのに、途中までは出てくる人物人物が皆秘密を抱えて肩身の狭い思いをしたりひどい目にあったりで全然すっきりせず騙された気分。が、そういう構成だったようで最後まで読み終わった時にはしっかりスカッとできました。登場人物の中で気にいったのはさちみ、最後の啖呵の切りっぷりが実に気持ちよかったですね。あと、初恵のアレなんかのずれたギャグには高殿さんらしさも垣間見えました。ただ、自分がノンフィクション寄りな作品をあまり求めていないのに加え、前半のまどろっこしさもあって、ぼちぼち楽しかった程度。どちらかというと対象年齢高めの作品なのかも。


評価 ☆☆☆(6)



___3月19日(日)

 明日から3、4日旅行行ってくるので更新止まります。


【今日読んだ本】

バトル・オブ・CA2 ウェディング・ベルは不協和音 (佐々原 史緒/ファミ通文庫)amazon
  バトル・オブ・CA3 嵐は、秋風と共に (佐々原 史緒/ファミ通文庫)amazon
  バトル・オブ・CA4 そして、明日も船出 (佐々原 史緒/ファミ通文庫)amazon

《あらすじ》
 試験航海でのテロリスト襲撃を退け、一人前のCAとして一歩をふみだしたコンラッド。あこがれのイゾルデとの仲が進展しないのが悩みだが、初の休暇を終え「カソリック号」に戻った彼を待ち受けていたのは、超大物俳優同士の結婚式だった。その上、結婚式の司会がコンラッドに激似のアナウンサー、ジョーシアとなれば、トラブルが起きない方がおかしい?新米CAコンラッド&お姉様たちの運命やいかに!?スペース・ヒューマン・コメディ第二弾。


 トワイライト・トパァズの佐々原さんの少し昔のシリーズ、地球人がはじめて作り出した客船を舞台にしたSFコメディ。大昔に読んだ1巻を買いなおして再読したら、以前読んだ時よりも大分面白く感じたので全巻一気読みしちゃいました。
 この客船が舞台の話をもっと読みたい! というのが読み終わってまず抱いた感想。「師匠を助ける」というはっきりした目的があったトパァズなんかとは違って、1話完結でいくらでも話を作ることができる舞台設定なので、キャラクターも設定も気にいった身としては後2、3冊は読みたかったですね。売れなかったのか、引き延ばし戦略をとらなかったのか、多分前者なんだろうなぁ……。
 前置きは 色々あって初の地球製客船のCA(客室乗務員)になることになったコンラッド(実家はホテル)、しかし同僚のCAは皆女性で変わり者ばかり、しかもCAには船防衛の戦闘員としての役割も! コンラッドの明日はどうなる!? という話。基本的には主人公いじられ受難コメディなんですが、コンラッドは確固とした職業意識を持っており、魅せるところでは魅せてくれるかっこいい主人公。他のCAたちもそれぞれ信条もって仕事をしているので、話がシリアス気味になっても違和感なく読めました。個人的に好きなのはゴージャス、コンラッドとコンビ組んでる機会が多くて絡みが楽しかったし、最終巻のイズーとの会話にはちょっとグッときました。ただ、ナーフェあたりはちょっと掘り下げ浅くて、その辺りがもっと読みたいと思った理由の一つ。
 また、登場する宇宙人はウサギ、トカゲ型、樹木などなかなかユニークで、コメディながら人種の違いによる考えの差や軋轢、融和などを結構ちゃんと書いているのも面白い点。どの巻にも盛り上がる場面や裏をかかれた箇所があったし、実によくできたシリーズでした。


評価 ☆☆☆☆(8)



___3月18日(土)

 ふと気が向いたので、以前やろうかなと言ってやってなかった、「売り上げがいい本と悪い本で価格の差はあるのか?」を調べてみました。
  • 年による価格の変化を無視するため、対象は2004年以降発売の電撃文庫に限定
  • ページ数は250〜300に限定
  • 売り上げがいい本は日販ランキングに恒常的に乗るものが対象
  • 売り上げが悪い本は紀伊国屋ランキング100に乗らないものが対象

 以上に当てはまる作品を13作品ずつ取り上げて平均計算。

売り上げ良 7010円/3494ページ ページ単価2.01円
売り上げ悪 7730円/3531ページ ページ単価2.19円

 サンプル数少ないですが、これだけ見ると売り上げ良の方が安そうに見えます。が、実はそういうわけでもないらしい。以下に調べていて気づいたことを列挙。
  • 売れてない作品の最終巻は極端に高い(50円〜100円程度)
  • それらを除くと、売り上げ良と悪ではそれほど差はない
  • なぜかキノの旅だけ妙に高い

 最終巻だけ高いのは納得できる結果、キノの旅が高いのはなんでだろう……。
 しかしこういう可変価格だと、何時の間にか20円や40円値上げされても気づかなそうです。たかが20円でも1日1冊買えば年7000円と大きいので怖いですね。


【今日購入したもの】
 RUN RUN RUN (山下 卓/徳間書店)
 Op.ローズダスト(上) (福井 晴敏/文藝春秋)
 バトル・オブ・CA2 ウェディング・ベルは不協和音 (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
 バトル・オブ・CA3 嵐は、秋風と共に (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
 バトル・オブ・CA4 そして、明日も船出 (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
 <骨牌使い>の鏡1 (五代 ゆう/富士見ファンタジア文庫)

 RUNRUNRUN探してたら福井晴敏の新刊出てたー! あらすじ見る限りローレライ超えはなさそうだけれど期待。骨牌は再読になるし3冊出揃ってから読もうかな、しかし何で3ヶ月連続刊行しないんだ……。