___3月15日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 暗殺者は眠らない (荻野目 悠樹/集英社スーパーファンタジー文庫) 【amazon】 暗殺者は一度哭く (荻野目 悠樹/集英社スーパーファンタジー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 海峡を隔てた隣国アイレントに、国土の大半を奪われたザカリバ王国。辺境の地へと逃げ込んだ王子アルマリクのもとに、アイレントの大軍が迫っていた。すでにザカリバには侵略軍を迎え討つ力はない。王国滅亡の危機であった―。だが奇跡が起こった。突然現れた農民軍がアイレント軍を退けてしまったのだった。農民軍を率いていたのは、聖女レステ、神のお告げを聞いた少女だった。しかし彼女には誰にも言えない秘密が…。 昨日に引き続き荻野目さんの初期作品、暗殺者と傭兵と聖女に仕立てあげられた少女とその他もろもろの架空歴史小説。 ∧||∧ ( ⌒ ヽ ∪ ノ ∪∪ 1m登ったら2m叩き落されるんです。3m登ったら6m叩き落されるんです。ようやく頂上たどり着いたと思ったらそこから蹴落とされるんです。幸せになれる選択肢はいくつもあるのに全部無視してバッドエンド突き進むんです。荻野目さんは鬼だ、悪魔だ。結末が物悲しすぎますよ……。 評価 ☆☆☆☆(8) |
___3月14日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ シインの毒 (荻野目 悠樹/集英社スーパーファンタジー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 類稀なる軍才で、侵略帝国ヴィルネルを支える将軍シイン。その武勲と名声は大陸中に轟いているが、実像は戦いを嫌う心優しき十八歳の少年だった。彼が良心を傷めてまで戦場に向かうのは、愛する少女アヴィカのため。彼女の体は毒に侵されており、シインが宗王イヴラシードの命に背けば、解毒剤が断たれ苦しみながら死んでいく…。自分のために人を殺し、傷ついていくシインを救うため、アヴィカはある決断をする。それはシインにとって、このうえなく悲しく残酷なものだった―。 シャリアン読んで鬱作品への心構えができたので手をつけた、一部では著者最高傑作と評判の、荻野目さんのデビュー作。 おぎのめさんはとてもこわいひとですね。 主人公のシインが置かれている環境だけ見ればまだ結構あるかなってレベルなんです。王家の傍流なのに才能あって周囲皆から妬まれるっていうのはベタだし、好きな人が人質にとられているのも、毒漬けにされているのがエグイですが、斬新なわけではありません。が、それらを紡ぐ文章が、淡々としていながら、一文一文に不幸の香りを漂わせていて、物語を悲しみの色に染め上げてるんです。そうして悲劇・妬み・憎しみ・すれ違い・陰謀の連打で読者をへこませ、しかしページをめくる手は止めさせず、待っているのがアレ。ほんと荻野目さん恐ろしい。 すでに絶版なので手に入りづらいですが、amazonユーズドなどあるところにはあるので、暗い作風好きな人は是非一読をお勧めします。さて、次は暗殺者だ……。 評価 ☆☆☆☆(8) |
___3月13日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ シャリアンの魔炎5 (ゆうき りん/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 預言者の日記を読んだリリーティグは、ルーオレアンの神託によって行われた侵攻が紛い物であったと知る。潔癖な精神を持つ彼女は、事実を隠していた父を許せず、手にかけてしまう。一方、“獣”と呼ばれ、炎を操っていたルァズは、“ス・イー”の力を失っていた。嫉妬深い戦女神との戒律を破り、瀕死のリリーベルに触れ、助けたためだ。力はルァズのもとを離れ、ヴィスへ宿ることになるが…。 リリーベル、ルァズ、ヴィス、アリアス、アレウスト、各人の行動と思想がついに交わりあう「シャリアンの魔炎」最終巻。 うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ 事前にハッピーエンドじゃないという情報得ていたんである程度覚悟はしてたんですが、それでもこの終わり方は悲しいです……。確かにバッドエンドじゃないんだけれど、この巻のリリーベルとルァズは甘々で本当に幸せそうだっただけに、幸せなままでいて欲しかったなぁ。物語は一部駆け足で消化不良なところあったもののうまく話をまとめていて面白かったし、ハッピーなのはお話を壊すって理性では分かっているんですが……。あーうー。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 隻腕のサスラ 神話の子供たち (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 教育都市ケルプ、シティ2で大学(アカデミア)に通うサラのあだ名は亡霊(ゴースト)。まるで感情を持たないから、それが理由だった。坦々とした毎日。そんな中、金髪碧眼の美貌の持ち主・エリアスが新任教授としてやってきた。死の地区、Dエリアの神秘的な双子の少女たちとともに。サラに謎めいた言葉を告げるエリアス。彼は敵なのか、味方なのか?サラの戦いが始まった!! クローン小説「神を喰らう狼」の続編、人との関わりを避けて暮らしていたサラが自らの秘密を知り旅に出るまでのお話。 1巻より面白かったですねこれは。無知な主人公が世界を知り外に出るという骨格は1巻と同じながら、クローンだけに焦点が当たっていた1巻よりも大分世界が広がって、明らかになっていく世界の秘密が興味深いし、主人公が女の子になったのも個人的には○。確固たる世界が揺らいでいく過程が、サラのとまどい拒否する描写でうまく表現されてました。続きも買ってあるので、……後回し。アンパイは後回しです。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 レディー・ヴィクトリアン7〜17 (もと なおこ/プリンセスコミックス) amazonで途中まで買う→続きが気になって既刊全部買いコンボ発動。もっと早く読んどくんだった。 |
___3月11日(土) |
【今日読んだ本】 ◆ さよならトロイメライ6 恋人のためのエチュード (壱乗寺 かるた/富士見ミステリー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 女子校。しゃぼんの香りのする清楚な女の子たちが集う神聖な学舎。ああ男の夢。ああ妄想が膨らみます。てなワケで、欲望の塊ダメ<トップ3>藤倉冬麻17歳としては、そろそろ行かねばならぬでしょう女子校に! 大晦日の私立御城学園。S棟に一人の珍客が。「藤倉冬麻! 私はお前に詫びなければならない!」困惑する冬麻の目の前で、少女は刀を取り出し!? これが冬麻女子校潜入事件の始まりだった……。そこで待つのは果たして!? 学園ハーレムミステリーもどき「トロイメライ」第6巻は冬麻女子校拉致の前編。 まさに「イラストに騙された名無しさん」の気分。自分にしては珍しくカラーイラストを最初に見て「キター!」と思い、期待して読んでいたらあのシーンですよ。詐欺ですよ詐欺。編集部の思惑に見事にはまりましたねこれは、さすがだぜ富士ミス編集……。 で、お話は柿崎妹を加えてハーレム強化かと思いきや、八千代ルートきたーーー! 言い寄られるままにしてる冬麻に大嫌いって言ってしまうやっちん、セーラー服やっちん、あーかわいいなあかわいいなあ。でもどうせルートと見せかけて寸止め、本筋は都ルートか泉ルートに決まってるんですけどね! サブヒロインに夢見たっていいじゃないですか。後編の八千代大躍進に期待します。 しっかし柿崎妹はむかつくキャラだなぁ。無自覚か狙ってるのか知らないけれど、冬麻を誘う態度がわざとらしくてすごく気持ち悪い。学校連れてきた理由を説明する場面では思わず本をベッドに叩きつけたほど。これで無自覚だったらほんと不快なんで、作った姿であってほしいものです。 評価 ☆☆☆★(7) |
___3月10日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 空ノ鐘の響く惑星で10 (渡瀬 草一郎/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 アルセイフを旅立ち、ウルクの故郷ジラーハへと辿り着いたフェリオ達。ウルクの帰りを出迎えたのは父・マディーン司教だけではなかった。滞在先のウィータ神殿で神姫との異例の面会を許可されたフェリオ。御柱信仰の象徴・神姫がフェリオの前に姿を現す──! 一方、ラトロアに渡ったイリス達来訪者の前で、メビウス達による死の神霊を使った新たな実験が始まろうとしていた! 突如ウィータ神殿を襲う惨事。そしてそこにはフェリオに復讐を誓うあの男の姿があった!! 物語の核心へ向かう、人気シリーズ第10弾!! 三角関係異世界ファンタジー「空鐘」もついに大台の10巻。 オワタ\(^o^)/ もう諦めました……人気投票の結果もあれだし……物語は鉄板で面白いからいいや……。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 水仙の清姫 (紗々 亜璃須/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 崑崙山に広がる、百花爛漫の花園・玄圃。小鳥と戯れながら琴を爪弾く、一人の美しい少女の姿があった。その名は太真。西王母の末娘である。そこへ、遠い過去、彼女の姉・華林に封印された半人・半妖の青年が現れ、復讐のために、太真を拉致してしまった!しかし、純粋培養の太真のあまりの無邪気さに、いつしか毒気を抜かれて…。新世代中華ファンタジーの旗手現る。第6回ホワイトハート大賞優秀賞。 空鐘で受けたダメージを癒すために積みからチョイスした、仙界舞台の紗々亜璃須のデビュー作。 うん、紗々作品はいいなぁやっぱり。蝶よ花よと育てられた無垢な仙人の太真が、封印を解かれ悪事に荷担する半人半妖の男と出会うお話。これだけ書いただけで話の筋が分かっちゃうくらいベタベタなんですが、誘拐されたことに気づかないくらいの太真の無邪気さがかわいらしくて癒されます。普通の白なら黒によって染められるけれど、大量の白は黒を白にしちゃうってことですね。敵役はちょっとうざったいですが、2人の関係は最後までほのぼのとまとめてくれてよかったです。しかし華林の敵の逃がしっぷりはひどいなぁ、ちょっと甘すぎるよあなた……。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 空ノ鐘の響く惑星で10 (渡瀬 草一郎/電撃文庫) さよならトロイメライ6 恋人のためのエチュード (壱乗寺 かるた/富士見ミステリー文庫) 隻腕のサスラ 神話の子供たち (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート) おまえが世界を変えたいならば 神話の子供たち (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート) 砂漠の王 金の髪のフェンリル (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート) |
___3月8日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 銃姫6 (高殿 円/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 「わたし、ガリアンルードの王女なの」。意を決して告白したアンブローシア。祖国のために敵国へ嫁ごうとするアンに「一緒に暁帝国で暮らそう」とセドリックは言う。全てを捨てる決心の二人―。だが、姉・エルウィングの容体が悪化したことを知り、二つに一つの選択を強いられたセドリックは、「この世のどこよりも厳しい場所」と言われる「灰海」へと旅立つ。そして、その地でついに「宿命の敵」との出会いを果たすのだが…!?いよいよ佳境へと加速する本格異世界ファンタジー、待望の第6弾。 今日も年末年始付近の未読崩し、銃と魔法のファンタジー「銃姫」第6巻。 ちょっと待って、佳境かと思ったらなんでこんなにギャグ増量してるんですか! ついに決着を迎えるエルの音痴の場面とか爆笑ですよ。シエラとかもはっちゃけてるし、いつもは滑りがちな高殿さんのギャグですが今回は笑えました。ただ、「コメディとシリアスのバランスが下手糞」という高殿さんの弱点は今回も出ていて、物語は迷走気味。笑いに走りすぎていて、焦点がどこだか曖昧で筋が通ってないように思えました。でも引きは凶悪、これからのアンの行末がすごく気になるので続きを早く! 評価 ☆☆☆(6) |
___3月7日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ くじびきアンバランス3 (横手美智子とゆかいな仲間たちVer.3/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 運の悪さは自他とも認める主人公・榎本千尋。なのに入学試験さえもくじびきで行う名門立橋院高校にすんなり合格。そして千尋は入学式の時、一目惚れした会長候補・秋山時乃とともに生徒会役員の椅子を賭けて行われるトーナメントで戦い続けるのだが……つに時乃に告白した千尋。あこがれの先生の婚約を知ってしまった時乃。千尋の幼なじみとしての自分と会長としての自分の間で静かに揺れ動く律子。錯綜するそれぞれの想いはどこにいくのか? そして生徒会トーナメントの決着は!? お待たせしました! 恋とバトルのクライマックス!! 人気アニメ『げんしけん』作中作、小説版第三弾登場! 年末年始付近の未読崩し、げんしけん派生の学園ラブコメ「くじアン」最終巻。 あれ? あれれ? ラブコメに蹴りをつけるはずの最終巻なのに半分麻雀してるように見えるのは気のせい……ですよね? ラブコメに使ってるのは100ページ余り。どうみても分量不足であっさりしすぎです本当にありがとうございました。小牧も会長も負けるのは分かってたとはいえ、引っ張った割に描写不足で消化不良、特に会長。結局いずみ大して目立ってないし、麻雀は1巻か2巻で済ませておいて欲しかったです。 評価 ☆☆★(5) ◆ pulpT (森橋 ビンゴ/ファミ通文庫) 【amazon】 《あらすじ》 父親の暴力、自傷する悪癖、退屈な日常、ザラついた毎日―。リストカットで生を実感する少女・嬢は、ある晩通り魔に襲われたところを一人の美少年に助けられる。闇に煌く日本刀。少年の冷たい眼差し。恐怖しながらも強烈に惹かれるものを感じた嬢は、彼ならきっとこんな世界から自分を連れ出してくれると確信するのだが…!!不器用に己の生を模索する少女と、異常を生きる少年の出会い、そして―。愛と狂気と暴力のセンチメンタルストーリー。 「三月、七日。」の森橋ビンゴが送るサスペンス風味青春物語。 駄目だ、これは自分にはさっぱり合わず。「三月、七日。」みたいに恋愛含んだ青春物なら楽しめるんですが、生きる目的が見出せず自傷癖やリストカットなどを行う陰鬱な青春物は正直よく分からないです。序盤の展開がありきたりで、ビンゴ節があまり見受けられなかったのもイマイチだった原因。その分あとがきがビンゴ節120%全開でしたが、というか濃すぎ……。このシリーズの続編は様子見、「青春時計」みたいな作品待ってます。 評価 ☆☆(4) ◆ エネアドの3つの枝 最後の封印 (樹川 さとみ/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 治療師シーリアは、特殊な能力を持ち、人から恐れられている少女。彼女に想いを寄せる船乗りのヒューは、本心を見せない彼女にいらだっていたが…!? ロマンティック・ファンタジー! ファンタジーロマンス三部作の最終巻は、寡黙で恐れられている治療師シーリアの物語。 シーリアはあまり感情見せないキャラだと思っていたので不安だったのだけれど、三部作の中ではこれが一番面白かったです。シーリアとヒューの幼い頃のエピソードが現在とのギャップ大きくてよかったし、ヒューとの度重なる接触で頑なな心の扉を徐々に開いていき、感情をあけすけにするようになるシーリアがかわいかったですね。シーンごとの繋がりがちょっと怪しいんですが、ロマンスのドキドキは十二分に伝わってくるので問題なし。樹川さんの次のシリーズも楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |
___3月6日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ 図書館戦争 (有川 浩/メディアワークス) 【amazon】 《あらすじ》 ──公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ! 敵は合法国家機関。相手にとって、不足なし。正義の味方、図書館を駆ける! 図書館戦争、絶賛開戦中!! 「空の中」「海の底」を出した有川さんの新刊ハードカバーは、「メディア良化法」が施行され、良化委員会と図書館が戦いを繰り広げるようになった時代の物語。 むー、途中から一気に読みきってしまうくらいには面白かったんですが、海の底と比べると二枚以上落ちるなぁ。確かに図書館が戦争ってアイデアは斬新なんだけれど、現代ベースではいくらなんでも設定に無茶すぎたと思います。「良化法」施行されたらネットがもっと強大な敵になるだろとか、海外はどうなってるのとか、基本的なツッコミはこの際置いておくとして、「有害図書をつぶすために人を傷つけること」が20年や30年でこうも認知されているのが腑に落ちないです。日本人同士で傷つけあう環境で、国民が「自分達とは関係ない場所での戦争」気分でいられるとは到底思えません。これら設定周りの不満に加え、やや駆け足で進む序盤は流れに乗りきれず。 設定をそういうものだとして受け入れた中盤以降は、子供たちの頑張り、救出作戦と燃える展開が続いて楽しめました。今作でも有川さんの描く男女関係は、いつも通りいい具合に贅肉が削ぎ落とされていて好きですし。ただ、「海の底」くらいの進展具合がベストなので、やや薄味に感じたのも事実。いい加減ワンパターン感も出てきたし、そろそろ現代日本軍隊じゃない話も読みたいですね。 評価 ☆☆☆(6) |
___3月5日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 魔法鍵師カルナの冒険4 世界で一番好きなあなたへ (月見 草平/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 魔法の鍵も扱える特殊職業、魔法鍵師。カルナは師匠ミラの店を手伝う新米の魔法鍵師だ。カルナとミラは、伝説の鍵師ランキンの魂を受け入れた友人・エクセラの心の鍵を開くため、手がかりを探す毎日。カルナは預かっていたエクセラの日記をとうとうミラに渡すが、日記を読んだミラは死んだような眠りについてしまう。「師匠ったら、からかわないでください!」と起こすカルナだが、ミラは目を覚まさない。――まさか、魔法がかけられている!? そんな折、エクセラが「賢者の学院」に現れたという知らせが届く。ミラのためにも、エクセラに会うべく学院に向かうカルナだったが……。鍵開けファンタジー、いよいよ感動のクライマックス! 鍵開けファンタジー「カルナの冒険」完結編。 これはある意味ライトノベル史上に残っちゃうかもしれませんね。いやー、最後の最後にまさかあのような爆弾が潜んでいようとは。読後感をぶち壊し読者を新世界へといざなう斬新な手法に驚かされました。いや、著者・編集・校正、せめて誰か気づきましょうよほんと……。 まあこの爆弾を除けば、鍵開けはいつも通り楽しいし、ミラとエクセラの物語も綺麗にまとまっていました。エクセラとランキンの分離の仕方がミラらしくてよかったですね(エピローグでの二人の会話が欲しかったですが)。ただ、恋愛部分がひどかったのが大減点。3巻で完璧に放置しておいて、再開した途端いきなり燃え上がらせるのは過程あまりにも省きすぎです……。話の中で明らかに浮いていたし、スターリング君はいない方がよかったなぁ。とりあえず、鍵開けというネタ勝負が終わって、次シリーズで何を出してくるかが注目。 評価 ☆☆★(5) ◆ 神を喰らう狼 (榎田 尤利/講談社文庫X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 美しい海に囲まれた島で育ったぼくは、なにも知らず、ただ幸せに暮らしていた。時折、島を訪れる綺麗な青い瞳と金髪の持ち主であるフェンの訪れを楽しみに。ぼくの故郷でもあるフェン。ぼくはフェンのために生まれてきた!けれどリトルと出逢い、そしてフェンが事故にあった日から、あの男と出逢った日から、ぼくのなかでなにかが壊れ始めた――新たなる神話の誕生―――!! 評判いいので買ってみて積んでおいた、ホワイトハートのクローンファンタジー。 読み始めるまで中世風ファンタジーだと思っていたので、クローン物だったのには不意をつかれたんですが、さすが評判なだけあってなかなか面白かったです。題材自体はありふれているものながら、箱庭で暮らす無知なクローンのボーイが見ている世界が徐々に変質していく過程が巧妙に描かれているし、クローンの元であるフェンとの絆にも、決して同情や偽善ではない何かを感じ取れました。悪役のユージンは、類型以上の狂信条を見いだせなくて今のところは微妙。でも、全体から見るとまだまだ序章みたいなので、これからどんな壮大な物語が広がるのか楽しみ楽しみ。 評価 ☆☆☆(6) 【今日借りたもの】 聖石の使徒 6冊 (前田 珠子/コバルト文庫) いつ読むんだこれ……。 |
___3月3日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 王宮ロマンス革命 姫君は自由に恋する (藤原 眞莉/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 クィンシード王国第二王女のエヴァは紫の瞳を持つフツー(?)の15歳。ある日秘密のパーティに参加し、妖しい隣国の貴族に狙われるはめに! が、彼女の隠された能力が開花し? 雑誌掲載の短編が面白かったので買ってみた、「退屈姫」の立場を担わされた姫君の紫の瞳をめぐる物語。 正直短編の方が面白いんですが、長編もまあまあよかったです。天然タラシであるエヴァがとにかくかわいいんですよ。逆ハー物が溢れかえる昨今ですが、ここまで確信犯に見えるほどド天然に男を惹きつけてるキャラはそうそういません。これのように女の子さえかわいければ逆ハーも楽しいんだよなぁ。ちゃんとしたコバルト型ファンタジーでもあるので、エヴァの背負った運命なども語られるんですがぶっちゃけそれはどうでもよくて、気になるのはエヴァとアレックスの恋の顛末ばかり。まだまだ恋を知らないエヴァの心理がこれからどのように変わっていくのかが楽しみです。 評価 ☆☆☆(6) ◆ ガラス遊戯 風の守り歌 (志堂 日咲/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 チャリーン。足元で、小さく円いガラスが光る―引き篭もりの生活を送る汰希は、久々に登校した日にこのおはじきと、難病と闘う少年・疾風に出会った。不思議な能力を持つ疾風から、汰希は霊を寄せつけない体質だと告げられる。しかしその間に、おはじきに宿る危険な力は、同級生の凛々子へと伸びていた!心を閉ざしていた汰希がいま、疾風の援護を受けて救出に向かうのだが…。少年達の鮮烈なる冒険譚。 先月のホワイトハートの新人さんの作品は、中学受験に失敗して引き篭った少年と車椅子退魔師が出会うところからはじまる学園ホラー。著者の人は何気に新人賞W受賞、W受賞って思いつく限りで三雲・谷川・日日日くらいしかいなくてかなりレアで話題性あるはずなのだけれど、ジャンプ・ホワイトハートと共にマイナーレーベルだったために全然話題になってませんね……。実際自分も出た当初は様子見していたのですが、新人特攻の権威な人が何故かホワイトハートには手出さないのをはじめ、他所に感想が見当たらないので突っ込んでみました。 で、地雷を覚悟してたところ、各要素はどこかで見たことがあるものながらもそれらをうまくまとめあげていて、なかなかどうして悪くない。物語の骨格は、謎のおはじきについて調べていく過程で悪霊やら霊洞やら六曜やらの単語が出てくる退魔ホラー。本来自分はこういう分野はあまり好きではないんですが、この作品では設定がスラスラと頭に入ってきて、事件の真相を解き明かす様・悪霊と対峙する場面ともに楽しめました。主人公の汰希は最初は引き篭りで人の気持ちを全く考えないDQN、まともになってからも女の子に「処女なんだろ? どう見たって処女だけど、やっぱ処女だよな? 間違いなく処女だよな?」というとんでもない台詞吐く野郎ですが、それでも後半は多少急成長ながらも自分の弱さを受け入れて、かっこいいところを見せてくれました。男だらけにならないようちゃんと健気で結構かわいいヒロインもいるし、地味に楽しめる話でした。しかし凛々子はあんなひどい目にあったのにすごいな……。 評価 ☆☆☆(6) |
___3月1日(水) |
2月のまとめ。 読了――19冊 購入――25冊 はいはい負け越し負け越し。今月はたくさん読みます! 【今日読んだ本】 ◆ ランブリング・カレイド <星穹の女帝>戦 (高瀬 彼方、黒鉄 アクセル/ファミ通文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「変幻の闘技(カレイドアーツ)」――少女達がパートナー「彼士」の能力(知性・運動能力・美形度その他)を引き出し、魔法の如き技に変えて戦う格闘競技。 その名門校星穹学園で、真奈は逃げ回っていた。頭抜けた彼士力を誇る兄が、ある日突然真奈の彼士になると言い出したため、やたらとモテるその兄のパートナーの座を狙う学園中の女生徒たちに、次々バトルを挑まれるはめになったのだ! そしてついに真奈の前に、学園の女帝・涼華が立ちふさがり――!? 高瀬彼方が気鋭の新人・黒鉄アクセルと組んで贈る、学園スポ根マジカルバトル・コメディ登場!! ファミ通文庫の新刊、「ディバイデッドフロント」の高瀬さん原案の、「カレイドアーツ」という男女ペアで戦う格闘技での熱血バトル小説。 高瀬さんは原案だけということで不安だったのですが杞憂、かなり面白かったです。「カレイドアーツ」という種目は特殊なれど、基本的な流れは負けた相手を倒すために猛特訓して再戦を挑むというスポ根で、足りない能力を特訓と創意工夫で何とかしようという展開はベタベタながら燃えます。「カレイドアーツ」は残り体力が数字で表示されたりとゲーム的な種目、多種多様な技同士のぶつかり合いは多少ご都合主義なところはあっても、文章悪くないし普通に楽しめました。それに、ボケ自爆型暴走少女である真奈の台詞が実にはっちゃけていてノリがよく爽快、この辺は高瀬さんの影響なのかな。 というようにお話はよかったんですが、原案の設定がちょっと嫌な感じ。「ペアになった男女の心の結びつきが強いほど強い力が発揮される」 これはいいんです、むしろ燃え燃えです。「男の方の能力は顔と頭と運動神経で決まる」 え? 顔? 「勝負に勝った女の子は相手の男の子を1人奪える」 え?? 奪う? 「それゆえにかなりの女の子は男の子をとっかえひっかえすることを考えるし、戦闘に負けた瞬間、結びつきが一瞬で崩壊することも」 絆はどこいったんですか……。なんというか、恋する気持ちを冒涜する設定ですよこれ、ひどい。おかげで前半はモヤモヤしたもの抱えながら読んでました。中盤以降の登場人物が(この点に関しては)まともな人間ばかりでよかったですほんと。続編は同じキャラだったら歓迎、違うキャラだとやや不安。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ マイフィア・フェアリー 妖精王子かく語りき (三千院 春人/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 両親を亡くし、叔母と暮らすルナ。ある日、不思議なアンティークショップで手鏡を買ってから生活が一変する。英国から来た双子の美形転校生がルナに告げた言葉とは…? 夢色妖精ファンタジー! 賞受賞ではなくどこから出てきたか分からないコバルトの新人さんの作品は、現代→異世界の逆ハーファンタジー。 これは困った。まさか新人の作品で「起」だけで1冊終わるものが出てくるとは想像だにしなかった。この巻のあらすじを簡単に書くと、(ネタバレ反転)謎の双子の美形が現れた→妖精の国にレッツゴー→なんか主人公は女王様候補らしいよ→おわり。これだけです。びっくりです。舞台説明か美形を魅せるシーンが多くて、途中で盛り上がる箇所もありません。妖精といっても姿形は人間と同じで価値観が違うだけで面白味はないし、ただ巻き込まれていくばかりの主人公には魅力を感じられず。あとがきで「続編を書く機会をいただけましたら」とあるけれど、一冊の中で物語が何も終わってないのに「機会をいただけたら」って一体どういうことだろう。逆ハーレム物として美形双子と近所の従兄弟のどれかに萌えられればいいんだろうけど、そうでないと厳しいと思います。 評価 ☆★(3) 【今日購入したもの】 王宮ロマンス革命 姫君は自由に恋する (藤原 眞莉/コバルト文庫) マイフィア・フェアリー 妖精王子かく語りき (三千院 春人/コバルト文庫) ガラス遊戯 風の守り歌 (志堂 日咲/講談社X文庫ホワイトハート) |