トップに戻る



___5月16日(火)


【今日読んだ本】

月の盾 (岩田 洋季/電撃文庫)
amazon

《あらすじ》
 俺の妹、小夜子が事故でこの世を去ったのは五年前。蒸し暑くアブラゼミがうるさい八月十五日。怖いくらいに日没が赤い、まるで世界が焼かれていくような夕方だった。 そして、五年後の小夜子の命日。同じように赤い空を、雲がせわしなく流れていく。周囲をアブラゼミの鳴き声に包まれる。暗くざわざわと不穏な音を奏でる森の中、上りかけた月光が優しく降り注ぐその下に、小柄で美しい少女は座っていた。「──あなたは………だれなの?」 少女のソプラノの声質は小夜子と似ていた。こうして俺は、日没を嫌い、夕焼け時に必ず眠る色なき天才少女、国崎桜花と出会った──。


 やたらと評判がいいので買ってみた「護くん」の岩田洋季の最新作、一人の天才少女の物語。
 ええ、「天才少女の物語」しか目に入ってなかった自分は女主人公物だと思って期待して買いましたとも。冒頭で「俺」という単語が目に入ったときの絶望感といったら! ……こんなおおげさに書くことでもないですね。何度も言ってるけれど、ちゃんとあらすじには目を通そうということです。
 でも男主人公というのを差し引いても、心を揺さぶるなかなかいい話でした。絵画の天才少女である桜花がどのように成長し挫折し何を思うのか、その一挙一動にドキドキしハラハラし、主人公に感情移入して読むことができましたね。3章の桜花の痛々しさなどは頁をめくる手を止めてしまうほど読むのが辛いほど苦手だし、嫌いといってもいいくらいなんですが、それでも投げようとは思わなかったのは上手いってことだよなぁ。サブキャラの慶太や優美子も本筋にうまく絡んでいてよかったですね、美咲は嫌な奴ですけどここまで一環してると清清しさも感じました。
 しかし、アイリスの頃と比べると大分うまくなっていて驚き。「18歳の天才新人!」なんて煽り受けてよく潰れなかったものです。今後も期待期待。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 小説Wings Vol.51 (新書館)
 ぼくのご主人様!?2 (鷹野 祐希/富士見ミステリー文庫)
 お隣の魔法使い 始まりは一つの呪文 (篠崎 砂美/GA文庫)
 月の盾 (岩田 洋季/電撃文庫)

 GA文庫初購入。ウィングスが定期購入になるやも。



___5月14日(日)


【今日読んだ本】

富士見二丁目交響楽団シリーズ 寒冷前線コンダクター (秋月 こお/角川ルビー文庫)
amazon

《あらすじ》
 悠季は富士見交響楽団(通称フジミ)のコンサートマスター。楽団はまだ素人レベルだけれど、彼はリーダー的存在だ。そこにある日、芸大出で留学帰りの二枚目指揮者・圭が就任してきた。ところが初対面時から人を見下ろすようなデカい態度。そんな圭にムラムラと敵意を覚える悠季であったが…。楽団を舞台に悠季&圭コンビが織り成す激しく切ない恋愛模様2編。人気シリーズ、待望の文庫化。


 BL月間第4弾にしてついに角川ルビー文庫という危険ゾーンに突入、10年間以上、30冊も刊行されている長寿シリーズの第1巻。
 これどこの少コミBLバージョン? 第一印象最悪→いきなり強姦(描写ハード)、これに比べたら今月読んできた他のBLなんてお子ちゃまですよ。でも話は意外なことに結構面白かったんですよね。楽団への想い・圭に対する反感・ヤラれてしまった後の絶望や怒りやとまどい、などの悠季の感情が分かりやすく人間臭く表現されていて、感情移入し共感できてしまうほど。さすがに濃いHシーンはきつかったので多少読み飛ばしましたが……。また、音楽部分も「のだめ」の知識くらいしかない素人にはおかしなところは見当たりませんでした。しかし、少女漫画のやばいのといいこれといい、少女系のエロ規制はほんと甘いなぁ。
 この先楽団が、悠季が、どのように変遷していくのか興味あるので続きも多分読みます。以下どうでもいい話。1年くらい前まで「あさぎり夕」と「秋月こお」の区別が全くつかなかったというか同一人物だと思ってました。何に謝ってるのか分かりませんがとりあえずごめんなさい。


評価 ☆☆☆(6)



BLACK BLOOD BROTHERS 5 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 風雲急告― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)
amazon

《あらすじ》
 吸血鬼と人間のあいだで保たれていた特区の平和が破られた! またしても『九龍の血統』の陰謀なのか? それとも起こるべくして起こった悲劇なのか? ジローとコタロウ、そしてミミコに再び試練の時が訪れる


 短編集と過去編をはさんで第二部突入、アニメ化も決まってノリにのっている、吸血鬼と人間がともに暮らす特区が舞台のBBB6冊目。
 もう何度も書いている気がするけれど、あざのさんはやっぱりスロースターターですね! どうせ本編は安定+αレベルだろうと詰んでた自分が恥ずかしい、もうこれからは発売日即読み対象です。第二部に入ってサブタイトル通りの急展開、特区が崩れはじめ、吸血鬼と人間の複雑な思惑が交差する熱い展開に。ジローは置いとくとして、ゼルマンやセイといった男たちがかっこいいですね燃え燃えですね。何よりこの巻のエースは陣内、 ジローに嫉妬する姿がかわいい 終盤のミミコをアレするところは名場面認定。今後はコタロウがどういう存在になるのかが予想できなくて気になります。次の短編集はいらないので早く本編を!


評価 ☆☆☆☆(8)



___5月12日(金)

 また大分更新間隔があいてしまいました。これからは更新間隔あかないようにできるはず。はず。


【今日読んだ本】

硝子の街にて 窓 WINDOW (柏枝 真郷/講談社X文庫ホワイトハート)
amazon

《あらすじ》
 喧噪(けんそう)のタイムズ・スクエアで、疾走する車列へ彷徨い出た、ひとりの日本人女性……。彼女を助けたのは、NY市警刑事シドニー。彼女の心を救ったのは、ノブこと伸行(のぶゆき)!?記憶喪失の彼女の過去に、なにが起きたのか。次々と浮かぶ事実に翻弄されるふたり。孤独な愛と封印された愛憎が引き起こした哀しい結末!!──欲望と甘い罠に満ちた虚飾の街マンハッタンでの、どこまでも純(ピュア)な伸行とシドニーの“友情”と“純愛”のNY物語。


 BL月間ようやく第3弾、CNOVELSで「PARTNER」を書いたりしている著者さんの長期シリーズの現代BL。
 あれ、普通に面白いというか、BLなんでしょうかこれ? まず作品の概略を記すと、主役は日本を捨てNYで暮らす日本人の伸行と、その親友で刑事のシドニーの2人。この2人が様々な事件に関わる様子を友情を絡めて描いていく、という感じでシリーズが続くんじゃないかと思います。  
それで最初の疑問提起に戻って、ぶっちゃけるとシドニーはゲイなんですが、伸行に対してはきっぱりと親友の姿勢を貫いているし、伸行の好みは大和撫子(いちいち勝気な女性を嫌うのは結構癇に障りましたが、それは別の話)、友情の絆は強くてもエロ方面に流れる気配は微塵もなし。下手なBL風味は感じられないし、これなら自分としては全然ありです。
 で、この作品で特筆すべきは、物悲しさをちょっとだけはらんだ優しい雰囲気。2人が関わる事件は1巻からなかなか泥々でえぐく、ともすれば陰鬱なものになりそうなのに、記憶喪失の女性を放っておけない伸行の性格と細やかな心理描写のおかげか、最後には爽やかさを感じられるくらいの作品になってます。伸行とシドニーの友情も、出会った頃の子供心の表現がうまいですね。あまり期待してなかっただけにいい裏切られでした。「PARTNER」のあらすじチラっと眺めてただの微ホモ話だと思っててごめんなさいごめんなさい。


評価 ☆☆☆★(7)



ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う (須賀 しのぶ/コバルト文庫)
amazon

《あらすじ》
 ふわふわでフリフリがなにより大好きな愛らしいファナ。いつも無心で自分を求めてくれた最愛の友を喪ったキリは、その痛みからなかなか抜け出せない。それでもロキシー、神父ハルやグラハム、シュトラールに見守られながら穏やかに旅を続けていくうち、思いがけないハルの初恋を知ることになる。だがそれは、主教の座を巡る陰謀や、自らの過去とも向き合うための先触れでしかなかった…。


 開始当初は女三人旅物語だったはずが、随分と様変わりしてきた「ブラック・ベルベット」第4巻。
 前巻で結構えげつない展開見せてどうなることかと思ったけれど、今巻も安定。2巻の時に子供っぽくて魅力感じなかったキリが、ハルの教えやファナの死を超えてようやくガキから少女へと、大人っぽくかわいくなってきましたよ。無心に信じていたものを崩され悩む姿もいいですね、もっと悩めもっと悩め。ハルの過去ばかりでロキシーの出番が少なかったのがちょっと不満ですが、ハルの過去が予想できた割には読まされるものだったし満足。しかしルヴィエは救いようのない描かれ方でしたね、怒りじゃなく憐れみを感じてしまいました。
 次は溜めで次の次くらいにまたえげつないのがきそうな予感、何はともあれ続きも期待。あ、女神伝読まなきゃ……。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 FLESH & BLOOD2 (松岡 なつき/キャラ文庫)
 流れ星が消えないうちに (橋本 紡/新潮社)

 売り切れ続出らしい「とらドラ」は売ってたのにご主人様が売ってない、なんて理不尽。



___5月8日(月)


【今日読んだ本】

もうひとつのドア (月村 奎/新書館ディアプラス文庫)
amazon

《あらすじ》
 ――きみはこれからきっと幸せになれる。生きる希望もなく、不幸に慣らされていた広海にそう言ってくれたのは、大きくてあたたかい手を持つ、三夜沢だった…。理不尽な借金に追われる十七歳の広海は、バイト先に客として現れた少女とその父親・三夜沢と知り合う。娘に冷たく見えた男にはじめは反発を覚えるものの、いつしか三夜沢の不器用なやさしさに惹かれ…。


 BL月間第2弾は、初心者にお勧めらしい月村奎の作品。読本vol.3によると、ディアプラス文庫は10代向けで性描写薄いレーベルらしいです。
 この作品、何も考えずに読むと、親に全く愛されなかったため人間不信で生きがいを持たない人間に育った主人公が、三夜沢一家をはじめとする人々との交流で次第に心を溶かしていく、というありふれたストーリーを、主人公が心を開いていく様子を丁寧に描くことによって完成度を高めた、なかなかいい話です。BL初心者に立ちはだかるえろいシーンもとんでもなく薄いのがラストにお飾りであるだけで気になりません。
 が、ちょっと考えて読むと違和感が一杯。まず、三夜沢が主人公を好きになったわけがいまいち分からない。仮に男女間だとしても理由付けがやや弱いのに、男同士というのを撥ね退けて好きになるには説得力がなさすぎに思えます。主人公が惹かれるのは刷り込みみたいなものだし納得いくんですが……。これは「現代舞台なのになんで異能者がいるの?」みたいな問いと同様に、ファンタジーとして受け入れるべきものなんでしょうか。
 さらに、前述の件と絡むんですが、冷静にみると主人公にとって色々なことが都合いいんですよね。ダメな主人公を暖かく受け入れてくれる三夜沢がいい人すぎるんです。恋愛ってのは相互の関係なはずなのに、子供抱えてるのに主人公とくっついて先々どうするのか、という三夜沢の事情は全て丸投げ。いや、いくらなんでもそれは丸投げしていい問題じゃないのではーー。少女漫画等でも主人公の相手が理想的なことは時々ありますが、顕著過ぎ あと、隣人の存在がちょっと出来すぎ。広海の心の変化が世界の見え方も変えたのは分かるんですが、前半の「ラッキーだね」って台詞がいい話をぶち壊してます。パン屋のおばさんの話はよかったんですがね。
 というわけで色々気になってしまったので評価は低め。心理描写はいいんですが……。


評価 ☆☆★(5)



___5月7日(日)

 4月のまとめ。

 読了――18冊
 購入――22冊

 読了のほぼ半分がキーリって……。


【今日読んだ本】

BLOOD+ ロシアン・ローズ1 (漲月 かりの/角川ビーンズ文庫)
amazon

《あらすじ》
 20世紀初頭、ロシア。翼手と呼ばれる異形のものを倒す使命を背負った少女・小夜は、血で結ばれた従者ハジと共に、首都ペトログラードに降り立った。そこで彼女は、自らの宿命に悩みながらも、謎の組織・赤い盾の美しき少年たちと、翼手探索のための活動を続けるが…。小夜とハジ―二人の秘められた絆が、今すべて明かされる!?大ヒットTVアニメ「BLOOD+」の過去をえがく、必読のアナザー・ストーリー。


 早くもBL月間一休み、今日は屋根裏物置さんの感想を見て気になって買ってみた、アニメのノベライズを読みました。
 これはよいものです、主従ラブって最高ですね! アニメは1話の途中を5分見ただけなので設定分からない部分もいくつかありましたが、どういう時代背景で小夜がどんな運命を背負ってるか、基本的な部分はちゃんと説明されてるし、そもそもこの作品において設定なんてものはただの飾りなんですよ。ハジに対して負い目持ってるせいで真っ直ぐな気持ちでハジに接することができない小夜も、そんなことは全く気にせずというか完全に小夜ラブ、従者としての役を完璧にこなしつつ時折気持ちを覗かせるハジも、二人ともかわいすぎ。過去エピソードのハジの問いとかベタだけど好きだなぁ。 他に組織の男キャラがたくさん出てましたがそんな輩は空気です空気。1巻だけあって進展はやや遅いし、服装描写あたりの凝りっぷりが少しもたれたりと欠点もあるわけですが、2巻以降で2人がくっついてくれれば、他にはもう何もいりません。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 リアルゲーム (前田 栄/ウィングス文庫)
 そして春風にささやいて タクミくんシリーズ (ごとう しのぶ/角川スニーカー文庫)
 E×N1 きみとの縁てやつ (どば/角川スニーカー文庫)
 BLOOD+ ロシアン・ローズ1 (漲月 かりの/角川ビーンズ文庫)
 クリムゾンクロス 死が二人を分かつまで (ねぎし きょうこ/WINGS COMICS)
 フラワー・オブ・ライフ1 (よしなが ふみ/WINGS COMICS)

 今日行った某店舗で「徳間キャラ文庫フェア」が行われていて店の中央に平積みがいくつもされてましたが、さすがに近づく勇気はありませんでした……。
 あと、E×Nを手にとらせた褒めちぎりスレの住民、まだ読んでませんがとりあえず呪っておきます。



___5月5日(金)


【今日読んだ本】

FLESH & BLOOD1 (松岡 なつき/キャラ文庫)
amazon

《あらすじ》
 イギリス海賊の英雄キャプテン・ドレイク―彼に憧れる高校生の海斗は、夏休みを利用して、海賊巡りの旅を計画。ところがドレイクゆかりの地プリマスで、海斗はなんと、次元の壁に飲み込まれ、大航海時代へタイムスリップ!!ドレイクの信頼も厚い、海賊船の船長ジェフリーに助けられ…!?エリザベス女王率いる海賊達と、スペイン無敵艦隊がくり広げる海洋ラブ・ロマン。


 充電完了、さあBL月間のスタートですよ。まず一冊目はとっつきよさそうなものからということで、ストーリーがしっかりしてそうな中世イギリスへのタイムスリップ物をチョイス。
 で、読んでみたんですが……なんか面白いですよ? 冒頭数十ページこそ妙に説明的な文章と勝手に悲劇の主人公ぶっている海斗の言動にムカムカしていたものの、タイムスリップで中世に飛ばされてからの海斗は生きるのに必死で好感持てるようになったし、知識あまり持ってない自分にとっては中世イギリスの書き込まれた描写がすごく面白い。ジェフリーもビゼンテも海斗にベタ惚れなのがちょっとBL的ですが、直接的なシーンはほとんどなく(主人公に対してはキスどまり)、時代背景の必然性もあるため、BL苦手でもあまり苦にせず読めると思います。きっと今後は和哉もタイムスリップしてスペインサイドにつくんでしょうが、それが楽しみな自分はBL適性あるってことなんでしょうか……。とりあえず続刊買うことは決定。


評価 ☆☆☆★(7)



ハイペリオン(上) (ダン・シモンズ/ハヤカワ文庫SF)
amazon

《あらすじ》
 28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した!時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡―古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。時を同じくして、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。連邦は敵よりも早く“時間の墓標”の謎を解明すべく、七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが…。ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。


 読みかけで放置していたところ、ハルヒ関連で話題になっていたので崩してみた、かなりの有名SFの上巻。
 うーん、評判はかなりいいし海外SF界での名作と言っていい存在なんだろうけど、自分には全然駄目でした。もう会話文の面白さが徹頭徹尾分からない。アメリカ風のウィットの聞いた会話だかなんだかわからないけれど、ただでさえ苦手な邦訳小説の中でも特に楽しみ方が理解できず。なんでこんなに持ってまわした表現するんだろう……。
 一方物語は、神父主役の話はビクラ族の独特の設定でそれなりに楽しめたものの、150ページを超える分量にはたるさも同居していて、それが途中放置の原因となってました。で、今回新しく読んだ大佐と詩人の話は……どうやって楽しめばいいんだろうこれは。大佐も詩人も言ってることが意味不明でついていけません。海外SFの素養ない人間は読んじゃいけないってことでFA。積んでる下巻は売ってきます。


評価 ☆☆(4)