___6月15日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 伝説の勇者の伝説1 昼寝王国の野望 (鏡 貴也/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 ライナ・リュートはやる気がなかった。ここローランド帝国王立特殊学院の生徒に求められるのは、戦争の道具としての能力のみ。しかし、万年無気力劣等生のライナが望むのは、のんびりと惰眠をむさぼることだけであった。だが、ライナの望みはかなえられることはない。彼の持つその特殊な『瞳』ゆえに…。そんなライナに興味を示す、青年貴族シオンと、美貌の女剣士フェリス。やがて、彼らを巻き込んだ戦争の渦が、三人の若者の運命を複雑に結びつける!ライナの『瞳』に映るのは、いかなる未来か?新感覚アンチ・ヒロイック・サーガ、なんとなく開幕。 軽いファンタジーが読みたい気分だったので積みから手にとった富士見の看板ファンタジー。 あれ、想像していたより悪くない。鏡初期作品特有のやたらと多い三点リーダは鬱陶しいし、キファあたりのキャラ造形の適当さはあんまりな気がするんですが、これと同時期に刊行されていたエル・ウィンの3〜4巻と比べたら雲泥の面白さ。ミアの一人称の破壊力を改めて実感しました。それに長所もあって、主人公のライナのやる気のなさはオーフェン等を軽く凌駕していて、ワンパターンながらノリは結構いいです。他の本の約2倍の速度で読めるほどの文の短さと軽さも、よく批判の対象になってますがそう悪いものではないと思いますね。なんで勇者の遺物が唐突に出てくるかはよく分からないし、昔龍皇杯で読んだ短編はつまらなかった記憶があるので2巻以降が不安だけれど、著者の筆力あがってるのは確かなので大丈夫でしょう多分。 上でエル・ウィンけなしてますが、10巻まで読めば7割くらいの人は「続き読ませろ!」と思うようになるはずなので、1巻で切った方は是非是非2巻以降も読みましょう。著者の成長も窺えるし面白いですよ? 評価 ☆☆★(5) ◆ ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスは開幕のベルを鳴らして (青木 祐子/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 仕立屋『薔薇色』の店主クリスは内気な少女。着る人の心をドレスに映し出すことができるが、自分の恋には臆病で…。再起を賭ける女優マーガレット・ベルの舞台衣装を仕立てることになったクリスだが、心の闇を引き出す「闇のドレス」の存在に怯える。クリスに思いを寄せる公爵の令息・シャーロックは彼女をそっと見守るが、華やかな舞台の裏では事件の兆しが!大好評ヴィクトリア朝ロマン。 「恋のドレス」を作ることで評判の仕立屋の女の子が主人公の物語、第2巻。 どうみても恋してます本当にありがとうございました。恋しちゃったらドレス作れなくなるはずなのに、クリスの目は完全にシャーロックにいっちゃっているように見えるんですが大丈夫なんでしょうか。いや、当人がはっきりとは自覚してない(必死に否定しているようにも見えますが)からまだセーフなのかな。まあクリス視点でのシャーロックは相当かっこいいし、陥落するなっていう方が無理あるんですが。それに、シャーロックにドキドキするクリスはかわいいので、もうどんどん恋しちゃっていいです。 ドレスを少しひねって使ったのに最初騙されたりと話も結構面白かったんですが、キースが好きになれなかったため、落とし所にはちょっと納得がいかなかったなぁ。マーガレットの想いが強引に消化されてる感じがしてなんだか嫌でした。 どうせアイリスは生きてるんだろうし、まだしばらくは続きそう。とにもかくにもクリスの恋がどうなって仕立屋人生がどうなるのかが楽しみです。パメラにも何か良縁があるといいな。 評価 ☆☆☆(6) |
___6月13日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ 星界の紋章1 帝国の王女 (森岡 浩之/ハヤカワ文庫JA) 【amazon】 《あらすじ》 惑星マーティンの平和は突如襲来した宇宙艦隊によって破られた。侵略者の名はアーヴ、遺伝子改造によって宇宙空間に適応した人類の子孫だという。彼らの強大な軍事力の前に全面降伏の道を選んだ惑星政府主席の決断は、その幼い息子ジントの将来を大きく変えた―運命のいたずらでアーヴの星間帝国の貴族となった少年の冒険行を、SFマインドあふれる設定と、息もつがせぬストーリーで描いた気鋭のスペースオペラ超大作。 いわずと知れた有名スペオベの第1巻。いまさら? ええ、いまさらです。予備知識はSF・ラフィール・ツンデレ・エルフ耳。ほとんどない状態で読み始めました。 なるほど、これは大人気になるだけのことはあるなあ。まだ1巻で戦闘部分こそあまりないものの、アーヴという種族が支配している宇宙がどんな世界なのか、気になってページをめくる手が止まりませんでした。ジントの成長物としても出生や育ちに対する感情描写がうまくてなかなか面白いし、多分ヒロインであろうラフィールもかわいいですね(ツンというよりはただ気位が高いだけかな)。会話のやりとりには、ちょっと邦訳風というか飾られた洒落た言い回しが多く、正直いって苦手なんですが、それでもぐいぐい読まされるのは筆力高いってことですね。 しっかし専門用語多いですねこの作品。文そのものじゃなくて振り仮名にカタカナ使ってるためか、遠慮というものを知らないとんでもない量、とても把握しきれません。世界を作ろうという意気込みはすごいですが、SF者じゃない自分にはついていけませんでした。漢字だけで意味はとれるので読むのに支障はないのが救い。 さて、続きを読むべきか読まざるべきか、既刊読みきって完結待つ身にはあまりなりたくないんですが……。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 龍の花わずらい2 (草川 為/花とゆめコミックス) のだめカンタービレ15 (二ノ宮 知子/講談社コミックスキス) |
___6月10日(土) |
【今日読んだ本】 ◆ 狼と香辛料2 (支倉 凍砂/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 狼神ホロとの二人旅を続けることを決めた行商人ロレンス。港町パッツィオでの銀貨騒動で儲けた上等な胡椒を武器に交換し、異教徒の地への玄関口、北の教会都市リュビンハイゲンで大きな商売を仕掛けた。しかし思いもかけない謀略に嵌ってしまう。賢狼を自称するホロでも解決策はすぐには見つからず、時と運にも見放されたロレンスは、商人生命を絶たれてしまうほどの窮地に。何とか秘策を思いついた二人は、リュビンハイゲンへ向かう途上で出会った羊飼いの少女にある任務を託すのだが……。第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞作第2弾。 今年の電撃新人作品、経済ファンタジーなのかホロかわいいよホロファンタジーなのかよく分からない「狼と香辛料」第2巻。 信用買いなんてするとろくな目に合わないんだよ!!! まず浮かぶ感想がこれ。ええもう「信用買」の文字が目に入った瞬間に展開がある程度予想できましたね。こわい、信用買いまじこわい、一歩間違えれば樹海行き。やっぱ投資は現物ですよ現物。でもこのバブルがプチはじけた時期に株はじめた著者さんは……。\(^o^)/オワタ にならないよう祈ります。 中身は1巻から劣化することもなく今回も鉄板、樹海寸前から巻き返すストーリーは経済ネタがうまく絡んで面白かったし、ロレンスとホロの一言では表現できない微妙な関係もいいですね。と言ったけれど、1巻からの進展があまりないのは少し不満かも。恋愛関係がほぼありえない以上しょうがないんでしょうが、ラブラブや逆ハーの方が楽しいんですよね。自分の嗜好がうらめしい……。新登場でゲスト(?)のノーラはロレンスとホロの間に割って入るのは不可能なだけにちょっと不憫でした、もうちょっとロレンスが揺れればかわいく見えてきそうなのに。まあ経済要素楽しめればそれでいいので、3巻にも期待します。 評価 ☆☆☆★(7) |
___6月8日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 王宮ロマンス革命 姫君は自由に恋する2 (藤原 眞莉/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 クインシード王国第二王女のエヴァは、隣国からの客人を迎えるため、王都郊外にあるウィングレス城に来ていた。ところがその街で、エヴァはあの時の少年を見かけた。婚約者のアレックスをかどわかし、紫の瞳をもつエヴァのことを『約束の愛し子』と呼んだ男、ラ・コット伯爵の供をしていた少年・ルウを!そして、少年を追いかけて迷い込んだ路地で、エヴァは謎の老婆に出会い…。 逆ハー風味の王宮ロマンスファンタジー、第2巻。 今巻もそこそこ楽しめましたが、自分の記憶力が悪いのか、キャラ間の関係に見覚えないものがたくさんあって困りました。あの人があの人のことを想ってたり、あの人とあの人がくっつきそうになったり、1巻でそんなそぶりあったかなーと疑問符。まあ1巻の時はエヴァ×アレックスしか気にしてなかったかもしれませんが。で、サブの人たちは駄々っ子弟以外はいいところ見せてくれたんですが(アリアかわいいよアリア)、肝心のエヴァがいまいちというかなんというか。いや、1巻であんなこと言ったからにはそろそろ恋の予感くらい感じさせてほしいんですよ。外からの刺激も受けたのにこれじゃ、この先も期待できなそう……。アレックスには報われてほしいんですが。小物が一人退場気味でようやく盛り上がってきそうだし、なんとかエヴァ覚醒お願いします。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 狼と香辛料2 (支倉 凍砂/電撃文庫) |
___6月7日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 松の四景 (佐島 ユウヤ/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 とある町の一角に、その建物は存在する。高く掛かった白い提灯に、書かれた文字は「松屋」。旅館のようにも料理屋のようにも見えるが、実は下宿屋である。風変わりなのは、建物だけではない。そこは、何かと何かが出会う場所。時が、人が、異形のものが、混じり、交差し、別れゆく場所。師走のある日、やってきた新しい店子は一人の少年。蓬原浩介、中学生。彼は、何に出会うために導かれてきたのだろうか―。 以前ホワイトハート作品を漁っていた時に気になったけど手を出さなかった作者さんの最新刊(といっても4月発売ですが)、きっかけができたので読んでみました。 冒頭、地の文で登場人物をフルネームでがんがん紹介していくのを見たときには踏んだかもと思いましたが、蓋を開ければ杞憂、独特の雰囲気持っていてなかなかよかったです。主人公の浩介が「先見」という人の未来が見えてしまう力を持っていたり、幽霊や怪が登場したりと、現代が舞台なのに結構不思議要素が多いんですが、その不思議がごくごく自然体で日常と融和しているのがすごく珍しい。不思議が非日常になるわけでもなく、不思議が当然の世界なわけでもなく、舞台はあくまで普通の現代日本なのになんとなく穏やかに不思議が受け入れられている、そんな感じ。優しい登場人物たち、やわらかいタッチのイラストと相まって良い雰囲気が出てます。 数年前に消えた新倉の秘密が少しずつ分かっていく大きめの話もいい話だったけれど、それよりも千穂のエピソードがすごくよかったですね。まさかこの表紙で女の子たちの話読めるとは思ってなかっただけにほんと嬉しい誤算、千穂も聡美も2人ともいい子で切なすぎ。この人の他の作品もいつか読んでみたいですね。 評価 ☆☆☆★(7) |
___6月6日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ 聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 リアラ女神の加護のもと、精霊や幻獣が息づく世界。この国の少女たちは、生まれたときから精霊に守られて育つ。しかしそれは、月が満ち、大人になる儀式が終わって、精霊の代わりにより強大な「幻獣」が使役できるようになるまでのこと。リスタル王国の辺境に住むアリアは14歳。期待と不安を胸に、いよいよ幻獣との『契約の儀』を迎えることになるのだが……。本格異世界ファンタジー開幕!! 今月のホワイトハートの新刊、賞とったわけでもなくどこから出てきたか分からない新人さんの作品。 女の子主人公+そんな軽くないけどハイまではいかない欧風ファンタジー、というのは自分の大好きなジャンルの一つで、こういうのを書く新人さんが出てきたのは大変に素晴らしいことですね! 続き前提の作品らしく今巻はまだ導入、女の子が辛い目にあい旅立つというのは、著者さんがあとがきで書いているように十二国記に影響を受けてそうだし、結構よく見るタイプの話。 で、この作品の売りの一つが逆ハー、ダブル幼馴染に謎めいた男に尊大な騎士、どれもいい男でよりどりみどりです。今のところのお気に入りは一途な幼馴染のディクス、世慣れしてなくてどうみても争奪戦起こったら負けそう、でもそれがいい。もちろん他の男が悪いってわけではないし嫌いなキャラはいません、男同士にBL風味が全くないのも○。その男ほとんどとフラグがたちそうで、メインキャラでただ一人の女の子でもある主人公のアリアはちょっと弱弱しいですが、女神伝とかで強い主人公見慣れてると逆に新鮮。それに、人の話聞く分別もちゃんとあって、周りの男たちの言動に対する反応などかわいくてよろし。 女が極端に少なくて女だけが精霊や幻獣を持つ、など幻獣まわりの世界設定もなかなか面白いけれど、まだ見えてない部分も多くて世界観が好きとまではいかないかな。でも、「カタカナ使わない」という作者さんの姿勢には好感持てました。 いい引きで終わったし続きもかなり楽しみなんですが、一つ不安なのがちゃんと続きが出るかどうか。あまり売れそうな作品ではないし、ホワイトハートは新人一作消えが非常に多いのでガクブルです。「続きもそんなにお待たせせず」と言っているので大丈夫だとは思うんですが……。というわけでうち見てる方は是非買いましょう。 評価 ☆☆☆★(7) |
___6月5日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ ねじまき博士と迷い猫 (樹川 さとみ/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 天才少年アレックスは、愛くるしい顔と常識外れの性格の持ち主。研究の邪魔をされることが何より許せなかったのに、ひょんなことから森の動物に育てられた少女を引き取って暮らすことになって!? 楽魔女の樹川さんの最新刊は、ひねくれ天才少年と野性少女が家族になる物語。 ロマンスもいいけれど、樹川さんの本領はこういうポップな話で発揮されるのかもしれません、と思うくらい面白かったです。最初険悪だった関係が色々な出来事を通して段々良好になっていく、という話の作り自体がまず結構好みな上、ひねくれアレックスと野性リーが2人とも実にいい性格してるんです。リーは「野性」というよりは奔放で賢い猫といった感じでかわいいし、アレックスの科学方面と日常方面とのギャップやリーにかき乱されていく様もやっぱりかわいい、かわいいばっかですが事実だからしょうがないです。なんだか最近男の子萌えが理解できてきた気がしますよ。男ツンデレブーム到来の予感も感じたり感じなかったり。 それは置いとくとして、主役2人以外の脇役の人たちも、皆アレックスのひねくれかわいいところを愛しているのが伝わってきて微笑ましいですね。陰謀方面に持ってかなくても十分面白いと思うのですが、そちらはそちらで広がりがありそうなので続きも楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート) きらきら馨る1 (高橋 冴未/ウィングスコミックス) 龍の花わずらい1 (草川 為/花とゆめコミックス) |
___6月4日(日) |
いつものようにメールチェックをしていたある昼下がりの出来事。 ??? 何かを頼んだ記憶はないのですが……。 おそるおそるメールを開くと、 な、なんだってっーーーーーーーー!!!!! 円環少女1巻とか頼んでませんよ! もう読みましたよ! んでもう売りましたよ! いりませんよ! どうやら数日前開いた時に1クリックをうっかりクリックしていたみたいです……。\(^o^)/オワタ 皆さん、1クリックのご利用は計画的に! いや、これはひどすぎる……。 |
___6月2日(金) |
BL月間として定めてた5月も終わったので、総括がてら適当に書きなぐり。 色々(というほど数読んでませんが)人気作をあたってみて、まず思ったのが「人気があるもの、売れてるものの大半は水準以上に面白い」。や、当たり前といえば至極当たり前なんですが、書店での印象や昨年読んだコバルトの某作品、それにどうみても18禁なものが18禁指定を受けていないという不思議な現象のせいで、ルビー文庫をはじめとしたエロが濃いBLレーベルに対して結構な偏見持っていたのは事実で、それだけに「富士見」の面白さはかなり目から鱗でしたね。もちろんエロ特化なものも多いんだろうけれど、そういったイメージだけで埋もれた良作を見逃すのはもったいないです。そんなことはライトノベルを始めとした数々のジャンルで分かりきっていたことなのに。 とここまで考えて頭に浮かんだことが。 BL小説とエロゲーって似てません? ……なんか色々と誤解招いたり反感を買いそうな気もしますが、以下言い分。
BL月間は終わりましたが、積んでいるものもありますし当面はBLも読みつづけます。ていうか、これからの富士見とFlesh&blood次第ではしばらくBL中心サイトに……。 【今日読んだ本】 ◆ 学校の階段2 (櫂末 高彰/ファミ通文庫) 【amazon】 《あらすじ》 晴れて生徒会公認になった階段部。次は学校公認の部に昇格よっ! と張り切る九重の指令で顧問獲得と女子部員増員へ奔走させられる幸宏たち。しかし、執行部の妨害でうまくいかない。しかも裏では刈谷ですら警戒する生徒会長が暗躍していた――。そんな中、階段部の存在が理事会をも巻き込み校内入り乱れての階段レースへと発展するのだが・・・・・・。 はたして「階段レースなら最強」を証明できるか!? ビバ青春の無駄足! 大反響の学園グラフィティ第2弾!! 世にも珍しい階段レース小説「学校の階段」第2弾。 いやーめでたい、2巻にしてついに切望していた校内地図がつきましたよ! これで通ったルートがよく分かってレースの楽しさが1.5倍です。断面図がないのが少し残念ですが、校舎立体的なだけにしょうがないかな、平面図あれば十分補完できるのでよしよし。 しかし一発ネタ色の強いこの作品が、2巻になって面白み増すとは嬉しい誤算。九重視点や刈谷視点から見る階段部創設時のエピソードはバリバリに青春していてスカっときたし、理事会開かれてからの展開には燃えました。小夏姉さんの啖呵もかっこよかったですが、それ以上に光っていたのが缶バッチこと幸宏。九重に向かって言い放った台詞は普段情けない主人公の面目躍如といったところ。それでも本編の7割ではやっぱりいじられて情けないんですが。レースシーンのクオリティは文句なしだし、これは今後も楽しみですね。 で、この作品続くんでしょうか? 伏線も残ってるんですが、続くんならこの綺麗な終わり方からどう続けるのかが気になります。もう華がありそうな部分は語られちゃってるからなぁ。 評価 ☆☆☆★(7) |
___6月1日(木) |
5月のまとめ。 読了――18冊 購入――22冊 奇しくも先月と全く同じ冊数ですか。 【今日読んだ本】 ◆ 魚住くんシリーズ1 夏の塩 (榎田 尤利/クリスタル文庫) 【amazon】 《あらすじ》 学生時代からの友人・魚住に勝手に居候を始められた会社員・久留米。心因性の味覚障害に陥ったり拒食症で倒れたりするなど問題多発で、顔はイイが不運三昧の男・魚住の世話を不満タラタラで仕方なく焼くうち、無自覚で芽生え始めた感情があった…。鈍すぎる男達・魚住と久留米の人気シリーズ、第1弾。 ホワイトハートでは「神話の子供たち」シリーズを書いている榎田尤利さんがBLで出している人気作(完結済)の第1巻。 これは心温まる話ですね。サブタイトルどおり、大学院生の「魚住くん」を中心に描いた物語なんですが、この魚住のぶっ壊れ方が結構すごい。生い立ちや境遇がバリバリに不幸というだけならよく見るキャラ、でもその不幸っぷりを自覚できないほど精神の一部が未発達なのはあまり見ない気がします。現代が舞台ですがファンタジーと見なしてもいいかもしれません。 で、そんな不幸な魚住の側に集まっている人たちは、癖はありながらも皆いい人ばかり。「不幸さが同類を惹きつける」ってのはよく理解できなかったものの、みんな魚住のことを(形はそれぞれ違いますが)気にしてるのがよく伝わってきました。そして唯一別格な存在の久留米。久留米と魚住双方に生まれる気持ち、その気持ちに対するとまどい、魚住の心が少しずつ成長していく様、などの表現がうまくて、2人の間の暖かい雰囲気が胸にしみわたります。うん、これはBLでも納得。この先、魚住が本能に従って久留米が悩む展開になるんですかね、2巻も読も……未読減らしたら読もう。 評価 ☆☆☆(6) ◆ 桜乃きらほの魔法医カルテ (月見 草平/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 桜乃きらほがある朝目覚めると、お尻に猫の尻尾が生えていた。突然のことに動揺しつつも、とりあえず制服の下に隠して登校するが、ふとした弾みにクラスメイトの朝永に見られてしまう。よりによって、美形だがいい噂のない朝永に知られてしまうなんて!と真っ青になって誤魔化したきらほ。一刻も早く何とかしようと、ネットの情報を頼りに「普通では考えられない病気」専門の病院・白川医院を訪ねることに。情報によれば凄腕の医者がいるらしいのだが、訪れたきらほを待ち受けていたのは、なんと…!?おまけに、尻尾は「放っておくと大変なことになる」病気だと言われて!?天才魔法医ときらほのハートフルファンタジー、スタート。 「魔法鍵師」シリーズを完結させた月見さんの新シリーズはオカルトチックな魔法医療小説。 前シリーズ同様、今作も出だしはなかなか良好。「職業物+変わった味つけ」なのも主人公コンビに上下関係があるのも鍵師と同じ。魔法の医療設定は説明十分で面白いんですが、鍵がすごく斬新だった分、味つけは今のところ前作に軍配があがります。が、今回はコンビの片方が男の子、どうやら上下関係における下から上への影響が大きいのが月見さんの主人公の特徴みたいですが、男女コンビだとラブ風味が出ていいですね。朝永相手に強気な態度をとるきらほはかわいいし、振り回される朝永もこれはこれでかわいいと言えるかな。暗いところの全くないエピローグの描かれ方なんか好きだし、続きも買い。 評価 ☆☆☆(6) |