___7月30日(日) |
来月始めまで縮小営業中。バトンが回ってきてますが、これの回答も今月一杯はお待ちをー。 【今日読んだ本】 ◆ 悠久展望台のカイ (早矢塚 かつや/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 本日、響依泉子はブルーだった。一大決心して精一杯おしゃれした依泉子はクラスメイトの男子に告白したのだが、あえなく振られてしまったのだ。ショックのあまり「バカ!」と叫んで平手打ちしてしまい、なんてヤなやつなんだろう……と落ち込んでいた帰り道の橋の上で、依泉子は見知らぬ男の子に声をかけられる。同じ学校の制服を着た、どこにでもいるような印象の彼は、「依泉子はいい子だと思う」と優しい言葉をかけ、あっという間に消えてしまった。いったい、誰だったのか――?知らない、なのに懐かしい。依泉子はもう一度彼に会えないだろうかと考えるのだが……。出会えないはずのふたりが出会うとき、優しくせつない物語が始まる! 第2回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作登場!! 今月のMF文庫の新人さんの作品、直球勝負の青春ラブストーリー。 うわー、青い青い青すぎる。一言で表すと「世界と人間のラブストーリー」な話。世界を擬人化というアイデアだけならそこまで斬新というわけでもないし、人を超越したものと人間との恋愛も結構見かけるわけですが、この2つを組み合わせ、しかもこんなに青臭さ全開な話を書くなんて、常人にできる仕業じゃない。一歩間違えればボロボロになりそうな設定で、切ない物語を描ききったのは見事。カイの真っ直ぐな性格が話にうまく合ってました。「依泉子はいい子」とかクサすぎるけど、こういう青臭さは好きですね。構成がイマイチだったり、「世界だから」という言い訳がきかないほど視点切り替えが雑だったり、物語以外の部分のアラはとても多いものの、物語だけで十分満足。2冊目は最低1年後らしいですが、アラが消えたらどうなるか楽しみです。 評価 ☆☆☆☆(8) |
___7月28日(金) |
ラノベの杜さんより 9/19 クジラのソラ01 瀬尾つかさ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!! よかった、2作目が出て本当によかった。しかもシリーズですよシリーズ、めでたい。このまま消えるんじゃないかと思いましたよ……。BBBに骨牌に新人に、9月は豪華だー。 【今日読んだ本】 ◆ ヴェアヴォルフ [人狼] オルデンベルク探偵事務所録 (九条 菜月/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 《あらすじ》 20世紀初頭ベルリン。探偵ジークは、長い任務から帰還した途端、人狼の少年エルの世話のみならず、新たな依頼を押し付けられる。そこに見え隠れする人狼の影……第2回C★NOVELS大賞特別賞! 今月のもう1人のC★NOVELSの新人さん、特別賞受賞作の近代探偵物。 うーん、実に普通だ。近代のドイツが舞台、現実とは違い人外の生き物が社会にひっそりと紛れて暮らしていて、その人外が多く勤めている探偵事務所に勤める男(一人称「俺」)が主人公。この説明から予想ができる通りのハードボイルド風味の正統派ミステリサスペンスで、人狼少年などで味つけはされているものの、物語構成の妙はありません。構成以外では、「実は……!」なサプライズが後半何段階も用意されていて裏をかかれたのはプラス、でも登場人物に思想語らせすぎるのはマイナスで、差し引きプラマイ0。マッドサイエンティストは偉そうなこと喋らずに大人しく狂ってればいいと思います。 ただ、主人公に大して魅力感じなかったのと、この類の話はあまり好みではない(買うかどうか躊躇したくらい)のとで、個人的にはイマイチだったかな。パッと見で設定が気に入った人なら楽しめると思います。 評価 ☆☆★(5) ◆ BLACK BLOOD BROTHERS(S)2 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「コタロウ君、自分たちの仕事ぶりについてどう思う?」「兄君が悪者を退治して大活躍だよね!」「…そうね。それで、倉庫ふたつと、隣接するビルの一部を壊したわよね」「正義にギセイは必要なんだよ!」「…実はあたし『カンパニー』の始末書連続提出記録を更新中なの。コレも護衛のアナタたちのおかげよねぇぇぇ」「えへへ、それほどでもないよ!」「くぅぅ、皮肉も通じないのか、こんのお気楽極楽吸血鬼兄弟っ!!」これは人間と吸血鬼間に起きたトラブルを処理する若き調停員・葛城ミミコとその護衛たる吸血鬼の兄弟、望月ジローとコタロウの活躍を描いた物語…のハズです…。新感覚吸血鬼ストーリー、労働とハードボイルドの短編集第2弾。 現代での吸血鬼と人間とのドラマを描いた「BBB」、長編はいよいよ盛り上がってきましたが、こちらは雑誌連載+書き下ろし一篇の短編集の第2巻。 あざのさんは長編向きのスロースターターだというのが多くの人の見方だし、自分もそれは正しいと思うのですが、だからといって短編も捨てたもんじゃありません。コミカル、ビター、正統派、ロマンスもどき、と多種多様なものが取り揃えられていて、いずれも起や結が上手く面白かったです。普段とは違う味わいが楽しめたビターな第三話と、意外な一面が笑えたセイの短編がお気に入り。 書き下ろしは過去話な時点で外れのわけがなく、アリスとジローのラブラブを楽しみ、新しい風と古い心の対立の話も面白く、何より最後の1ページのカーサの心理描写がとても素敵でした。次は9月に本編の6巻、こちらも楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 薔薇のマリア V.SEASIDE BLOODEDGE (十文字 青/角川スニーカー文庫) 薔薇のマリア Ver1 つぼみのコロナ (十文字 青/角川スニーカー文庫) リバーシブル 1.黒の兵士 (水月 昂/角川スニーカー文庫) 骨王 I アンダーテイカーズ (野村 佳/角川スニーカー文庫) 桃源の薬 (山本 瑶/コバルト文庫) 流血女神伝 喪の女王4 (須賀 しのぶ/コバルト文庫) かいわれっ! (FlyingShine/smart) \ │ / / ̄\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ─( ゚ ∀ ゚ )< かいわれかいわれ! \_/ \_________ / │ \ ∩ ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\∩ ∧ ∧ \( ゚∀゚)< かいわれかいわれかいわれ! かいわれ〜〜〜〜! >( ゚∀゚ )/ | / \__________ ________/ | 〈 | | / /\_」 / /\」  ̄ / /  ̄ ついにかいわれキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!。でも微妙に忙しくて、今封を開けるとどこぞの人みたいになりそうなので、今月一杯は封印。 |
___7月27日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 煌夜祭 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 《あらすじ》 ここ十八諸島では冬至の夜、漂泊の語り部たちが物語を語り合う「煌夜祭」が開かれる。今年も、死なない体を持ち、人を喰う魔物たちの物語が語られる――第2回C★NOVELS大賞受賞作! 今月発売の第2回C★NOVELS大賞の大賞受賞作にして、傑作。 まず簡単にあらすじ説明。舞台となるのは蒸気で海の上に浮かんだ島々。各島には農業や金属精製など特色があり、島間の移動には蒸気船が用いられるような世界。その世界には1年に1度、語り部が物語を語る「煌夜祭」という日が存在します。この物語はその「煌夜祭」の夜、古びた島主の館で2人の語り部が出会い、物語を交互に語り合っていく形で綴られていきます。 で、まず誉めたいのが世界観。蒸気で浮かぶ島々だけで世界が閉じている設定自体がなかなか独特だし、各島の特色と情景、そしてその島々に生きる人々が鮮やかに描かれていて、完全に一つの世界を作り上げてます。 世界観だけでなく、語り部が紡ぐ物語一つ一つも秀逸。人として生まれながら人を喰う存在の「魔物」が非常にもの悲しい存在で、その魔物と人間との関係はどの話でも切なくて胸を打ちます。また、登場人物たちの生き様が皆かっこいいのもポイント、特にクォルンの素敵さは尋常じゃなくて、彼だけのために一読に値するほど。 さらに全体の構成も上手く、あちらこちらに伏線が張られていて、読んでる最中(加えて読み終わった後も)なんども「あーなるほど」「やられた!」と思わされました。そして、語り部が最後の話を終えた時に明らかになる物語の美しいこと。ラストから終章へと続く一連の流れが最高、堪能させてもらいました。 うーん、ネタバレせずに推すのが難しい……。新人さんの作品にはあまり満点つけたくないのですが、年間ベスト級の作品に満点をつけないわけにはいきません。ファンタジー好きの方は是非是非購入を、物語に浸り、クォルンのかっこよさにしびれましょう。 評価 ☆☆☆☆☆(10) 【今日購入したもの】 ストレンジ・プラス6 (美川 べるの/ZERO-SUMコミックス) ハチミツとクローバー9 (羽海野 チカ/クイーンズコミックス) 枠の外にある風景 (石川 寛之/産業編集センター) 煌夜祭 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) ヴェアヴォルフ [人狼] オルデンベルク探偵事務所録 (九条 菜月/C★NOVELSファンタジア) |
___7月24日(月) |
2006上半期ライトノベル板大賞が発表になったようです。5票投票という形式なら狼が一位とるのは納得なんですが、2巻のイチオシ投票率の高さがかなり意外。一等賞をとるタイプの作品ではないと思うんだけどなぁ。しかし歴代記録を見ると、投票数は2003〜2004年がピークなんですね。ライトノベルブームがきたらしい最近の投票数の低下がちょっと興味深いです。 ちなみに自分は 【今日読んだ本】 ◆ ネクラ少女は黒魔法で恋をする2 (熊谷 雅人/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 空口真帆、通称黒魔法。特技(?)と趣味は黒魔法。新学期も去年と変わらないスタート……のはずだったのだが、二年生の真帆は少しだけ違っていた。朝に見かけた一之瀬先輩がちょっとだけ(ほんとにちょっとだけ!)気になるので、演劇部に参加してみようかと考えているのだ。勇気をふりしぼって演劇部が集まる体育館を訪ね、あたたかく迎えてもらうことができた。しかし、演劇部には廃部の危機がもちあがっており、新入生からの部員獲得と顧問の先生獲得のために、真帆も手伝うことになる。「ここはひとつ黒魔法でがばっと人寄せを!」と奮起する真帆だったが、儀式を男の子に目撃されてしまい……!? ハートフル黒魔法コメディ第2弾! 上で名前を挙げた、上半期イチオシの新人さんの作品の続編。 あー、嬉しいなあ。気に入った新人さんの2作目が無事に出て、その質が落ちてない。ここ1、2年、注目した新人さんのその後がパッとしないことが多かっただけにほんと嬉しい。 続編出すの難しそうだったから変化球でくるのかと思っていたら、思いっきり続編だったのでまず驚き。そして、その続け方のうまさに二重に驚きました。前巻のエピソードをこういう風に使うのは、よく考えれば予想できたことながら見事、真帆の成長した姿が見れたのもよかったし、何よりこの設定のおかげで恋に悩む乙女心の描写が素晴らしいものになってます。一之瀬先輩見て苦しむ真帆がさいこー。新登場の神門も、演劇での行動除けば、先輩とうまい具合にタイプ違っていいキャラ(あの行為だけはちょっと許容範囲オーバーでした)。超常現象でご都合主義にとれそうな点もありましたが、これだけの話見せてくれるなら何も気になりません。欲を言えば「もっと妹出せ!」 3巻も楽しみ、ちゃんと発売されますように。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 神様のおきにいり (内山 靖二郎/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 稲村智宏には秘密がある。ごく平均的な高校1年生だが、その秘密があるため微妙に友達づきあいが悪い。実は、妹のような少女・珠枝が同居していることを隠しているのだ。ところがある日、国土交通省の男が現れたことで、智宏と近隣に棲む妖怪たちとの交流が始まることになる。闖入した妖艶な桜の精や石の怪に、穏やかだった日常は賑やかながらも楽しい生活に一変するのだが…!? 新進気鋭が贈るネオファンタジック・フォークロアの御開帳です!第2回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作、妖しく楽しく颯爽登場!! 予備知識0で買ってみた今月のMFの新人さんの作品は、現代妖怪ハートフルファンタジー。 悪くはないけど好みじゃない物語だったなあこれは。主人公は男子高校生、その家に居着く少女外見の神様、それに加えて様々な妖怪や国家の異形対策員なども出てきて……、というのは何とも既視感のある設定。で、文章は悪くないとなると、問題となるのは雰囲気やキャラクターが合うかどうか。自分の場合、物語の「起」がちょっと急で話にノリ損ねたり、口ばっかで居丈高で無能なかなりむかつくキャラがいたりで、あまり合いませんでした。後半の展開にはオッと思わされるところなどあったものの、気に入った登場人物がいないとこの手の作品は辛いです。 評価 ☆☆★(5) |
___7月22日(土) |
コミケカタログCD版発売、そして購入ー。 というわけで早速C70ライトノベル関連サークル一覧作りました。量が多いイラストレーターは今回はカットで。今回の見所は、
間違い、追加などあればメールフォームから知らせてもらえると助かります。 |
___7月21日(金) |
今日発売のはずの「枠の外にある風景」を探すも見つからず、bk1にもamazonにもないので延期なのかなとぐぐったら、とらのあな売りかよ!!! 産業編集センターなんだから、普通の本屋に入ってくれてもいいのに……。 久しぶりに元長キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!! まさかゼータから出てくるとは。でもタイトルがまた新伝奇路線っぽくて微妙。 メモ。「かいわれっ」とanosの新作発売日まで後7日、両方とも楽しみ。しかし、anosのタイトルはいくらなんでも長すぎると思うのですが。だらよだらよ。 【今日読んだ本】 ◆ ゴールドベルク変奏曲 (五代 ゆう/HJ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 妙なる調べは視覚となり、紡がれた幻が現実と交錯した時、“幻奏”能力者オルガの物語は始まる。至高の奏者・文殊の死は、オルガを監察官・普賢と出会わせる。事件は二人の距離を近づけ、そして新たな事件は起こる。文殊殺害の真犯人は? ガヴローシュとは何者なのか? “幻奏”が織りなす謎は、やがて意外なる真相へと普賢を導いていく…。幻想の語り部、五代ゆうアーカイブ公開。 今月創刊のHJ文庫初体験、「五代ゆうアーカイブ」と銘打たれた、五代ゆうのデビュー前の作品。 なるほど、これは確かにデビュー前の作品だなあ。歌によって幻覚を生み出す「幻奏」という設定の下、恋愛や家族や陰謀などを混ぜ合わせたストーリー自体は、先が読めない個所も多く、書かれてから20年たった現在でも十分に面白かったです。文殊は悲しい運命をたどりながらも最後までかっこよかったですね。ただ、改稿もろくにされていないせいか、部分部分で「うーん」と思う点が散見されました。特にオルガと普賢の一目惚れ、これがあまりにも適当でひどい。オルガはともかく、今まで感情押し殺して生きてきた普賢がなんで一瞬で堕ちるのか、正直さっぱりです。上下巻構成くらいでもうちょっと説明が多ければもっとよくなったと思うんですが、惜しいなー。 評価 ☆☆☆(6) ◆ 天空のアルカミレス II テスタコーダの鬼 (三上 延/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 《金色の戦器》奪還の命を受けた双子のテリオン・火凛と水漣が拓也の前に現れた。最後のアルカミレスとして覚醒したものの《金色の戦器》の真の力を引き出せない拓也は、熱と冷気を操る火凛と水漣に苦戦、拓也をかばい無理を重ねた日向子は倒れてしまう。そんな二人の許に、転校生・亨司が現れる。《方舟》の使いであるという亨司は、テリオンに対する人類の切り札となり得る拓也をサポートするために来たという。一方《最も凶暴なテリオン》ルスランに連れ去られた礼菜が、テリオンの拠点の一つ《城》で出会ったのは……。 地味幼馴染作家がついに売れ筋路線に転戦した、学園アクションの第2巻。 アクション好きじゃない自分にも戦闘はそこそこ楽しめたし相変わらず安心して読める出来なんですが、次巻以降に向けての溜めの要素が多めなためか、盛り上がりは不足気味。まあ溜め云々より、礼菜の出番がたりないのが問題なんですが! そりゃさらわれたんだからしょうがないんですけど、早くも拓也争奪戦は敗勢気味になってきている気がするし、黒化フラグもたってきていて、先行きが不安でなりません。あと、シャドウテイカーとは違って、友典やはる華といった日常側の人間がメインとあまり関わらなそうなのも心配、表と裏で戦いが二極化しちゃうのは避けてほしいところ。まあ亨司がいるし、こちらは杞憂に終わりそうかな。この亨司、最初典型的な嫌キャラかと思ったんですが、敵地に乗り込んだりとなかなか面白く、これから好感度あがっていきそうです。 日向子は……どうでもいいや、どうも負けそうなヒロインの方に感情移入しちゃう傾向があるので。というわけで、3巻は礼菜がたくさん出ますように。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 With1 (斎藤 けん/花とゆめコミックス) 神様のおきにいり (内山 靖二郎/MF文庫J) ネクラ少女は黒魔法で恋をする2 (熊谷 雅人/MF文庫J) 悠久展望台のカイ (早矢塚 かつや/MF文庫J) |
___7月18日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ ラジオガール・ウィズ・ジャミング (深山 森/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 あらゆるメディアの展開が禁じられているこの街の夜を、機材(アンテナ)抱えて駆ける少女・レコリス。彼女の正体は、禁じられたラジオ放送を市民のみんなに届ける「怪人」、J・O・L(ジャック・オー・ランターン)海賊放送局! 今夜も静かな屋根の上で繰り広げられるのは、なんとか「怪人」を捕縛しようとする軍と、身軽な彼女の追いかけっこ。もちろんそっちも大変だけど、街の全土を巻き込んだ、さらに大変なことが彼女に降りかかろうとしていて……!? 今月の電撃の新人さんの作品、海賊放送を行っている少女が主人公の物語。 あまり新人らしくない、よくできた物語ですねこれは。「奇跡の表現」あたりを思い出させる、戦争の災禍から復興しかけの近代風の街が舞台。そんな世界でのゲリラ少女と軍とのおっかけっこというだけで心躍るものがあるし、そんな海賊放送が街を救うという展開は、ベタですがかっこよくて好きです。ダニーや街の人々だけでなく、軍の人々からも暖かさが感じられて、重い話なのにそこまで重く感じないのもなかなかうまい。 あれこれ直球すぎてちょっと説教くささが鼻についたり、近代っぽい雰囲気と現代に近い技術力にずれを感じたりと欠点もあったんですが、この程度は新人作品じゃなくてもよくあるレベル。今後が楽しみな新人さんです。でも、強引に続編出すのだけは勘弁で。 評価 ☆☆☆★(7) |
___7月17日(月) |
ライトノベルサイト杯の結果をぼーっと眺めていたら、我が上半期1位のキーリに1票も入ってないことに気づきました。確かに最終巻は賛否分かれそうな内容でしたけど、8巻出たのも上半期なのに……。 【今日読んだ本】 ◆ 蒼狼の風(後編) 〜天翔の章〜 (香村 日南/小学館パレット文庫) 【amazon】 《あらすじ》 漢から多大な援助を受けている呼韓邪単于(コカンヤゼンウ)を許せず、兄・呼屠吾斯(コトガス)は〓支骨都侯単于(シッシコットコウゼンウ)を名乗り、反旗を翻す。処刑されるべき波留且〓(てい)は出かけていた。追っ手がかかり、阿沙那は天神の御使い・飛天に導かれ馬を駆って、愛する波留且〓(てい)、一緒に匈奴を平和にしようと誓った波留且〓(てい)を逃がす……再会の望めぬ別れ。阿沙那に咎めはなかった…単于の正統性を証する巫女姫ゆえ。戦乱に落ちた草原……二年前自害した阿沙那の母(前の巫女姫)の預言―呼韓邪単于は地を割る男―が現実のものに?嫉妬の炎を燃やす迦連都特は、攻め寄せる波留且〓(てい)との一騎撃ちに臨む! 広大な草原を舞台にした一大叙事詩、感動の完結編。 紀元前のモンゴルが舞台の愛と戦いの叙事詩の後編。調べてみたら、呼韓邪や呼屠吾斯といった一部のキャラは史実の人物なんですね。ネタバレなしだと書きにくいので、感想は隠しで書きます。 昨日の心配は杞憂でした、下巻も文句なしに面白かったです。土壇場まで二転三転してハラハラドキドキしっぱなし、最後に波留且テイと阿沙那が無事に西へ向かったのを見届けた時は、作者さんと同様に「ほんとうによかった」の一言。波留且テイも阿沙那も厳しい流れに負けずよく頑張った! でも、この巻で一番かっこよかったのは波留且テイでも阿沙那でもなくカレン。振られた女を守るため、歪んでいるとはいえカレンを本当に大切に思ってついてきた副官(あとがきにあったこの人の過去のエピソードは読んでみたいです)を斬ってまでかけつけ、その末の壮絶死。こんないい男いませんって。振られたのも女心に少しだけ疎かったのと、波留且テイが現れたタイミングが悪かったのが重なっただけだしなあ。カレンは「呼韓邪に従っていただけだった」と悔いてましたが、これは悪くないでしょう。あー報われてほしかった、でも波留且テイと結ばれないのも嫌だし、世の中ままならないですね……。 あとがきにあるようなエピソードがあれば漢の人にも同情できたのかもしれないけれど、本文中の描写だけではただの嫌な奴だったのがちょっと残念。 ネタバレ感想終了。実にいいものでした、歴史好き&恋愛好きの人にお勧め。 評価 ☆☆☆☆(8) 【今日購入したもの】 蒼狼の風(後編) 〜天翔の章〜 (香村 日南/小学館パレット文庫) |