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___1月15日(月)

 久々にメルフォレスー。

>「学校を出よう!」1巻を読まれて相性がよくなかったとのことですが……わかり ます、私も1巻読んだ時には正直かなり辛く、ほとんど投げようかと思ってました。た だ、あれがすべてだと思わずどうか2巻までは読んでみてください。

 ふっ、なめちゃいけません、しっかり遥か昔に読了済でございます。このサイト開設する前、確か某サイトの特集を見てすぐに読んだはず。
 当時の一行メモによると「設定以外は微妙だけど、時間モノとして面白かった」らしいです。改めて他所の感想見ると、1巻前提だと余計楽しめそうですね。でも手元にないんだよなあ……機会があれば再ゲットして読みたいと思います。

 というわけで、3年半越しになりますがお勧めありがとうございました!


【今日読んだ本】

ユーフォリ・テクニカ 王立技術院物語 (定金 伸治/中央公論社C★NOVELSファンタジア)amazon



《あらすじ》
   19世紀末叡理国。東洋人として初めて王立技術院に赴任したネルだが、研究員に応募してきたのは情熱と非常識の塊・王女エルフェールのみだった……定金伸治の暴走科学ファンタジー!


 先月のC★NOVELSの新刊、超変わり者の王女が主人公の技術者花火ファンタジー。
 あーこりゃ面白いや。ディールのいかにもな設定やアーフィンのアレなど、あまりにもあざとすぎて少し鼻につくとこはあるんですが、文字通り死に物狂いでいいものを作ろうという研究の勢いがそれを吹き飛ばしてます。花火という視覚的に分かりやすい題材、水気という技術の胡散臭さと理解しやすさの按配、この辺が見事にはまって、技術を研究する苦労とそれが上手くいった時の気持ちよさが如実に伝わってきました。
 変てこ、というよりは変態という方がふさわしいエルフェールの性格も面白かったですね、頭ガンガンまでいくとやりすぎに思えますが。定金さんは行き過ぎやすいんですかね、あとがきとか読んでもそんな気がします。これだけネタ使っちゃうと、続きでこれ以上のもの出るのか不安にもなりますが、2巻を期待して待とうと思います。そうそう、この作品に限ってはあまりラブ寄せしてほしくないかも。ラブに傾くとその分技術の面白さが消えそうで。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 “文学少女”と死にたがりの道化 (野村 美月/ファミ通文庫)
 銀の騎士 金の狼 新たなる神話 (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート)
 赤い薔薇咲く庭で (水玲 沙夜子/講談社X文庫ホワイトハート)
 FLESH & BLOOD6 (松岡 なつき/キャラ文庫)



___1月12日(金)

 毎期恒例のライトノベル板大賞がはじまりました。皆さん忘れないようにしましょう。読み残しをそろそろ読んでおこうと思い、文学少女を注文しにamazonへ。……あれ、4月刊か。しかも品切れてるし。


【今日読んだ本】

ぼくと魔女式アポカリプス2 Cradle Elves Type (水瀬 葉月/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
   あの大雨の日から二週間。道を歩いていた澪は、突然ドロップキックで首の骨を折られた。普通の人間であれば即死は免れないであろう傷を負った首をさすりながら、なんとか立ち上がった澪が見たものは、妙に長いポニーテールにサンバイザーを被ったチャイナ服の幼女。そして幼女は澪に向かって言い放つ。自分は「正義の味方」であり、劣悪を「正殺」するものである、と。明らかに代替魔術師であるはずなのに、不可解な言葉を繰り返す彼女の真の目的とは、一体……? 新たな痛みの物語が、今、始まる――。


 鬱まっしぐらの西尾系?小説「ぼくアポ」11ヶ月ぶりの第2巻。

 ロード→1巻の記憶→データが破損しています
 サーチ→本棚→1巻→見つかりません
 ……諦めが肝心!

 というわけで1巻の内容をほぼすっぱりと忘れた状態で読み始めました。といってもある程度は読んでいる途中で思い出しましたが。相変わらず鬱路線のお話でしたが、1巻の印象から「どうせこいつ死ぬんだろ」と思いながら読んでいたので、破壊力はさほどでもなかったかな。涙見せたあたりで核心も何となく分かっちゃいましたし。でも分かっていても、気づいた者と最後まで気づかなかった者との対比がよくできていて面白かったです。
 しかしキャラはどうにかならないんでしょうか。寝々はいくらなんでも外しすぎであまり受け付けませんでした。昨日はるかにひどいキャラ読んだし、十分同情はできるんですがね。1巻の自分の感想見たら、1巻もキャラ受け付けなかったようです。これは今後も続くんだろうなあ、良識派が退場しちゃったし。戦闘もあまり好きじゃないんで続きは様子見かも。


評価 ☆☆☆(6)



___1月11日(木)


【今日読んだ本】

結晶物語4 (前田 栄/ウィングス文庫)amazon

《あらすじ》
   人間の、あやかしの、強い強い想いが染み付いている――。そんな曰く付きの品ばかりを扱う質屋の主人、凍雨。彼は人の感情の"結晶"を、嗜好品として舐め味わうという。魂を持つものには劇毒となり、触れることも儘ならぬ結晶。――それを三つも奪われた!? しかも相手は、人間!!? 当然のごとく後を追うハメになる黄龍、人間であるはずなのに不思議な力を使う謎の女。「魂のえきすぱーと」を自称する妖怪・東風も現れて、それぞれの想いが絡まり合う追走劇は、やがて――…? 前田 栄の紡ぐ当世あやかし冒険譚、胸をふるわす完結巻!!


 おとぎ話モチーフの現代あやかしファンタジー「結晶物語」もとうとう最終巻。
 シリーズの中で一番、最終巻にふさわしい面白さでした。書き下ろしの「玄武の策略」もいつも通りの出来でしたが、特筆すべきは雑誌掲載分の「硝子の絆」。普段通りの事件の解決の流れに加え、黄龍の変貌、花籠の想い、いつも以上にマイペースな凍雨とボリュームたっぷり。特に黄龍のアレは思いっきり不意打ちでびっくりしました、それは伏線だったのか! そこに切なさ抜群の花籠が出てくるからたまりませんね。生きて二人が幸せになれる方法はなかったのかとどうしても考えてしまいます。それだけに、結晶を残した花籠の気持ちが映えますね。最後に残された花籠のメッセージは非常に印象に残りました。
 ゲストキャラの祥子は、生い立ちだけ見たら多少同情する余地はあるんですが、ここまでひどい性格だとその同情も雲散霧消しちゃいますね。そりゃ黄龍もぶちぎれますよ。この先彼女は全く心変わりせずに一生終えるんだろうなあ、合掌。
 凍雨と黄龍は1巻の時と比べると本当に仲良くなりましたね。凍雨の成長を喜ぶ白夜、いいお父さんだなあ(ここだけ見れば)。2人の掛け合いには最後まで飽きることなく、とても楽しいシリーズでした。雑誌連載を途中から読まずに封印しておいてよかったです、読んでたら一気に堪能できませんでしたし。まあその分雑誌で読むものが大分減っちゃっていたんですが。新連載がはじまった次回作にも期待してます(封印中)。


評価 ☆☆☆☆(8)



学校を出よう! Escape from The school (谷川 流/電撃文庫)/B> 【amazon



《あらすじ》
   超能力者ばかりが押し込まれた山奥の学校――第三EMP学園。僕は超能力を持っているわけでもないのに、なぜかここにいる。もう六年も。理由は明確。僕のすぐ後ろで今もひらひら回っている女の子の幽霊のせいである。彼女の名は春奈。僕の妹で、六年前に事故で死に、死んだ翌日には幽霊になって僕に付きまとうようになった。幽霊の癖に外見はちゃんと成長していまも歳相応の姿をしているのだが、問題はその中身で……! 兄想いというか、兄離れができないというか、ブラザーコンプレックスというか……。さらに第三EMP学園の面々ときたらまったく、超能力者とはどうして揃いも揃って妙な奴ばかりなんだろう? ……こんな学校、早く出て行きたい!!


 ハルヒの著者の谷川さんのもう一つのデビュー作。ハルヒブームのこの機を逃すと永遠に積みそうなので崩すことに。
 しんどかった。読み終わっての率直な感想はこれですね。といっても、話のネタは結構好みだったんです。PSYネットワーク自体はありがち設定でも、それが絡む事件の真相はかなり驚かされるもので、終盤はそれなりに楽しめました。
 でも、物語を形作るキャラクター共がとにかく気に食わず。真琴や抜水は主人公と同様の理由でむかつくし、その主人公は何考えてるかよく分からない上に肝心なところでは余計に訳分からなくなるし、宮野は普通にうざいし、春奈も行き過ぎでちょっといらつくし。中盤までは途中でしんどくて中断もしたくらい、ここまで合わないと相性としか言いようがないですね。ネタはいいのになあ。


評価 ☆☆(4)


【今日購入したもの】
 ぼくと魔女式アポカリプス2 Cradle Elves Type (水瀬 葉月/電撃文庫)
 結晶物語4 (前田 栄/ウィングス文庫)



___1月9日(火)


【今日読んだ本】

月華伝 (上) (御木 宏美/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 「施設で育ち、その境遇から抜け出すためにデートクラブのアルバイトに身を投じる少女・瑠奈。そんな彼女のもとに、4人の美青年が現れる。「お迎えに上がりました、アレグリナ神王聖下――」月神が支配する異世界・レイクトラの女王。孤独な少女の、それが本当の姿だった。“使徒”を名乗る8人の騎士たちに守られ、瑠奈は、蒼翠(そうすい)煌めく異世界への扉を開く。


 今月分のホワイトハートの新刊、現代→異世界の逆ハーレムファンタジー。著者さんはBL方面の人ですね、B'sといいWHといい、少女向けの非BLファンタジーの書き手が不足気味なんですかね。
 で、感想ですが、萌えない。萌えない逆ハーレムに意味はあるんでしょうか。原因は丸分かりで、登場キャラが多すぎ。世界観や物語に大分ページとっていて、8人もいる男衆の描写がたりてません。粗野だけど主人公を1人の人間として気遣ってくれるオルターなんかはいいキャラでしたが、ギルナあたりは冷淡さばかり書かれていて良さが分かりません。エスキルとエス・マルなんて、名前似ていて思いっきり混同してました。ていうか、あんま萌えさせようとしてないのかも、恋愛フラグもたちそうにないですし。でもそれならこんなに男出す必要ないし、うーん。
 物語は、現代→異世界ものとしては比較的現代部分が長いのが目新しかったですね、最近読んだのは十〜数十ページで行っちゃうものが多かったので。主人公は現代にはあまり未練のない類の人間ですが、それでも異世界に行く際の葛藤は多少あったし、殺人などに出くわしても動転しまいとする気概には好感持てました。これで男どもを気に入っていれば……惜しい。続きはちょっと気になりますが、あとがきに続刊は腹黒い宣言が出ていて、裏切りやらレイプまがいやらが来そうなのでひとまず回避かな。


評価 ☆☆★(5)



___1月8日(月)


【今日読んだ本】

ナハトイェーガー 〜菩提樹荘の闇狩姫〜 (涼元 悠一/GA文庫)amazon



《あらすじ》
 「わたしを愛でてくださるかしら?」 女子高生・白河恵那の前に突然あらわれた白金色の髪の少女。「フレイヤ」と名のったその美少女は、菩提樹荘と呼ばれる洋館の主だった――。「わたしをお食べになりたいのなら、夜まで待ってくださるかしら。ここでは、恥ずかしいわ」「そういうのじゃなくてっ……」 それまで、ふつうの高校生活を楽しんでいた恵那の日常はフレイヤの出現で一変。さまざまな怪事件とともに恵那は混沌の渦へと巻き込まれていく。そんなある日、謎めいた黒髪の少女、早花月這子が恵那のクラスへやってきた――。 名匠・涼元悠一が描く、妖しくも艶やかな、『時の螺旋』の物語。


 先月のGA文庫の新刊、伝奇っぽい雰囲気の百合小説。
 これはけしからん百合ハーレム小説ですね。ミステリアスな美幼女をはじめ素敵な女の子たちが、お人よしで平凡な主人公の周りによってくる、ただそれだけの話。これに380ページも使うんだから馬鹿だなあ(誉め言葉)。規格外れのフレイヤも一直線な後輩の凛々子ちゃんもかわいいけれど、それよりも断然好みなのが奏。才色兼備なのに面白くかき回すの大好きなところや、のんきな恵那に時折呆れつつも、その呆れの中に親愛の気持ちが見え隠れするところなど、すごくいいなあ。フレイヤと平気で会話したりと胆力もかなりのものですし。親友の位置にいるから今後競争に負けて離れることもなさそうで安心。
 一応続きに向けての伏線なんかも張ってありますが、ぶっちゃけ百合をとったら面白くありません。でも百合部分が楽しいから無問題。このまま話膨らませずに百合だけやっていてほしいものです。


評価 ☆☆☆(6)



___1月7日(日)


【今日読んだ本】

おまえが世界を変えたいならば 神話の子供たち (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 「私の存在意義―それは、きみを守ることだ」フェンリルからの連絡を得るため、エリアスとふたり、欲望の渦巻くサブシティ・ヴェガスを訪れたサラ。そこではフェンリルを救った女戦士キナをリーダーとしたレジスタンス組織が、サラたちを導いてくれることになっていた。だが、そこで待ち受けていたものは、裏切りとおぞましい人身売買だった!?運命の少女サラに、いま、新たな扉が開かれる!!


 先日言っていたように、シリーズ名変わりすぎシリーズ「新たなる神話のフェンリル」、積み一気読み。表紙のダークさが目に残るこれは第4巻。
 あーエリアスいいですねー。前巻あたりからサラがメキメキ成長してきて、ついに立場が入れ替わっちゃったわけですが、そうなった後のエリアスのかわいいこと。諭されるエリアス、アショクに嫉妬するエリアス、苦手なものを吐露するエリアス、整然としたイメージがどんどん崩れていくのが楽しい楽しい。よく考えたらエリアスも無菌室で育った期間が長くて、色々知っているようでも精神的に大人とは言いがたいものなあ。先程あげたうちの最後の場面ではサラもかわいくて、二人が今後どうなるか楽しみ。
 話も相変わらずのクオリティ。捕まってる場面から始まるのは誰が犯人か分からず緊張感があったし、救出作戦もオークションもいい盛り上がりでした。ディンとルアンの出番が少なかったのはちょこっと残念かな。クローンについては……むごすぎて、ユージンふざけんなボケとしか言えませんね。ここまで悪役だと好きになる余地ないです。セシルも同様。ということで続きは下へ。


評価 ☆☆☆★(7)



砂漠の王 金の髪のフェンリル (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 革命の象徴であり、虐げられる人々の希望の星である『金の狼』フェンリルは、沙漠でシティの者たちに攫(さら)われたベドウィンの女たちを助け、沙漠を統(す)べるバダウ族の存在を知る。そこへバダウの白の聖者タウバが、王の言葉によりフェンリルを迎えに現れた!白の聖者は人々を光へ、黒の聖者は人々を闇へ導くという……。タウバと共に沙漠へ赴いたフェンリルは、夜な夜な黒の聖者ナフスの誘惑に苦しむことになり!?


 上の続き、シリーズ名が変わって過去のフェンリルの物語。
 サラかわいいよサラかわいいよサラ。いや、フェンリルの話だし、出生の重みに打ち勝つフェンリルは十二分にかっこよかったんですが、それよりも幼女サラのインパクトが強すぎて。記憶を失う前のサラはこんなに力強くて輝いていたんだなあ。今のサラも好きですが、この子が記憶失わずに育ったらどんな少女に育ったのかも見てみたかったですね。イラストも強烈でしたし。
 そしてクローンの運命を見て、ユージンへの怒りがさらに深まりました。多数の幸福のためとはいえ何たる外道、作者お気に入りでも、好きになれないですこのタイプの悪役は。
 ちなみにタウバの正体はどちらも見抜けませんでした。このタウバも愉快な面があったりしていいキャラですね。ということで引き続き下へ。
 

評価 ☆☆☆★(7)



生まれいずる者よ 金の髪のフェンリル (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 革命の象徴であり、虐げられる人々の希望の星である『金の狼』フェンリルは、白の聖者であるタウバを師として日々の鍛練を重ねていた。そんなある日、シティとDエリア、ふたつの世界の統合を目指していたマーロン博士の死という悲報と共に、フェンリルに遺言が残されたことが知らされる。遺言を求め旅立つフェンリルたちは、やがて驚くべき事実を目の当たりにすることになり!?


 過去のフェンリルの物語の2冊目、シリーズ通算では6冊目。
 なんだこれ、このエピソードでユージンを好きになれと? 無理無理。ソフィアの存在と死因を見て、ユージンの性格形成については多少理解できましたが、だからといって同情の余地はないし、完全な悪役という認識に変わりはありません。ユージンがどう敗北することになるか楽しみでなりません。だからセシルの反逆ムードも大歓迎。ラスボスがセシルになるとかは勘弁してほしいですがね。
 この巻で一番印象に残ったのはソナム。母は強しを体現したようなキャラクターで、ユージンをやりこめるのは痛快でした。フェンリルは主人公の割にはどうも影が薄いというか、出番も多いのに不思議。タウバに食われてるからでしょうか。
 どうやら残り2冊で終わりらしいですね、展開速いんだろうなあ。ディンのいい人とかは到底見つかりそうにないのが残念です。


評価 ☆☆☆(6)



___1月4日(木)


【今日読んだ本】

小説 あらしのよるに (きむら ゆういち/小学館)amazon



《あらすじ》
 オオカミのガブとヤギのメイがあらしのよるに真っ暗な小屋の中で出会う。2匹は互いがオオカミあるいはヤギとわからぬまま交流を深めるが、それぞれが食うもの食われるものとしての運命の中で思わぬ摩擦が生じていく。


 絵本で大ベストセラーになり、映画化もされた「あらしのよるに」の小説版。
 実のところこのタイトル、つい1,2週間前までは恥ずかしいことに名前すら知らなかったんですよね。それが、コミケカタログでガブ×メイの文字と擬人化イラストが目に止まって存在を知り、軽く調べて気になり、同人誌を買ってみてガブ×メイに萌えて速攻購入に至りました。
 結論からいうと買ってよかったです。オオカミとヤギが互いの種族を分からない状態で仲良くなって、でも〜、というストーリーは最後以外はあまり意外性がないし、文章凝ってるわけでもないんですが、ガブとメイの関係を描くのにそんなものはいらないので全く問題なし。もう最初のあらしのよるのほほえましさと微妙な緊張感、そしてその後の邂逅のドキドキで完全に心つかまれました。メイの明るさやガブのことを恐れつつもそんなそぶりを出さない気丈さが素敵だし、頑張って頑張って本能に打ち勝ってまでメイと一緒にいようとする、あまりオオカミらしくないガブもいいですねー。その後も蜜月に2人っきりの逃避行ととてもいいラブストーリーで満足。2人を疎外するヤギオオカミ双方の社会もしっかり書かれていたと思います、6章は常識的には至極まともなだけに読むのが辛かったですし。
 数少ない文句を挙げるなら、8章の確執での気まずさや、7章のメイの「タプなら間違わないのに」の台詞が流れ的に不自然に思えたこと。特に後者は直前にメイがガブの顔で遊んでいただけに「えー、そりゃないだろー」と思いました。でも目立った不満はそれくらい、ガブの生存をちょっとご都合主義かなと感じた気持ちはエピローグの物悲しい美しさに吹っ飛ばされましたし。泣かしにきてるのは分かっていても、これは負けます。うん、よかった。
 そういや歌の部分で韻を踏んでないのが少し気になりました。作中で歌われる歌って結構見かけるわけで、どれもこれもよく上手いこと考えるなと感心するんですが、せっかく歌なんだし1番と2番で文字数くらいは合わせてほしいなー、と。歌を想像する時2文字以上違うと困るので。合わせるのは難しいのかな……。
 まあ、ガブとメイに惹かれたのは間違いないし、映画がテレビ放送されたら見なければ。


評価 ☆☆☆★(7)



片翼で飛ぶ鳥 神話の子供たち (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 「腕などなくとも、おまえが美しいことに変わりはない」エリアスたちからはぐれてしまったサラを助けてくれたのは、草原で暮らすラコタ一族の戦士ホークアイとその妹ティティだった。素朴で率直な一族と触れ合い、ホークアイの情熱に少しずつ心を開いていくサラ。だが、草原にもシティの魔の手が迫っていた! シティとDエリア、ふたつに引き裂かれた世界の愛と憎しみの物語!!


 2巻読んだ後気分がのらなくてしばらく積んでいた「神話の子供たちフェンリルその他諸々」シリーズ、そろそろ完結するらしいので読むことにしました。
 ホークアイ。・゚・(ノД`)・゚・。
 これはとてもよいホークアイ失恋小説ですね。間があいて2巻の内容をあまり覚えていない自分としては、エリアスよりホークアイを応援したくなるんですよ。いかにも草原の男でかっこいいし、どうみても脇役で不憫だし。まあ2巻読み返したらエリアス派になったんですが。いやでもホークアイもいい人見つけてくれればいいな。
 物語も相変わらず面白かったです。この巻は世界の話よりもキャラの心情に重きを置いていましたが、人の死などを通じて自分なりの信念を作り上げていくサラ、そしてその姿を見て少しサラのことを認めるディン、などなど成長していく過程がいいですね。特にディンのサラに対する反感はとても理解できるものだったので、少しでもディンが分かってくれてよかったなあ。そういや今後ディンに春がくることはあるんでしょうか。
 サラを待ち受ける運命が一体何なのか、次巻から本格的に語られていくのかな、まだまだ積んであるので一気に崩します。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 小説 あらしのよるに (きむら ゆういち/小学館)
 海の仙人 (絲山 秋子/新潮文庫)


___1月2日(火)


【今日読んだ本】

奇跡の知性 (北条 風奈/Gファンタジーノベルス)amazon

《あらすじ》
 コンピュータネットワークの発達した近未来のニューヨーク。弱冠14歳のライアンは、類まれな才能と知性を駆使し、情報を収集・操作することを生業としていた。自らの意識をコンピュータの中に墜とすことのできるライアンは失踪中の男性の捜索を依頼されるが、彼はすでに死亡していた――! 死因に不審を抱き調査を続行するライアンは、光と情報網が無数に飛び交う電脳空間で『理想の女神』と名乗る謎の人物と出会う。はたして『理想の女神』とは一体何を意味するのか? 男性の死因に関わりはあるのか? スピーディーに展開する北条風奈初のオリジナル作品。


 新年一発目は普段読まない単発作品を読もう! ということで、しばらく寝かしておいた絶版のサイバー小説をチョイス。著者は他に「ツインシグナル」のノベライズなどを書いている人、1999年の発売です。
 情報少ないから地雷かもなあ、踏んだら幸先悪いなあと思いつつ読んだら、結構面白かったので安心。まずよかったのは独特な文章。主人公のライアンはハッカーで、意識を電脳空間にもぐらせるんですが、この際の文章がかっこいい。/を使った言い換えを多用したり文字を高さ変えてずらして配置する表現はなかなかセンスがあって、電脳空間のトランスっぽさが感じられました。ストーリーは『理想の女神』のキャラとライアンの設定から何となく落とし所は予想つきましたが、死亡事件を絡めて『理想の女神』をああいう存在として扱ったのは面白いアイデアだったし、最後に巡り会うシーンが幻想的な雰囲気出ていてよかったです。他のキャラクターもライアンとの関わりがしっかり書かれていて、それがラストシーンで効果的に働いていました、残された彼らの気持ち考えるとちょっとアレですが……。
 惜しいのはライアンが『理想の女神』に惹かれた描写が唐突すぎて、その後のライアンの心情がちんぷんかんぷんだったこと。惹かれたのに納得できれば、間違いなく良作だっただけにもったいない。まあ、今年も当たりに一杯出会えますように。


評価 ☆☆☆(6)



___1月1日(月)

 あけましておめでとうございます、新年一発目の更新です。そろそろ4年目を迎えそうですがよろしくお願いします。みりおんぐらむは今年も、ウィングス文庫をはじめマイナー少女レーベルを応援しています。とりあえずはルルル文庫の動向に注目。

 さて懲りずに、2007年今年あったらいいな10選でも作りましょうか!
  • 多崎礼の新刊発売
  • 海羽超史郎の復活
  • 封仙の新刊発売
  • エル・ウィンの新刊発売
  • ウィザブレが2冊発売
  • エパタイ・ユカラの続刊発売
  • トワイライト・トパァズと同世界舞台の新刊発売
  • 読んでいるコバルトのシリーズが打ち切られない
  • 丸本天外の新刊発売
  • × EGコ(ry 運タロ(ry 岩本隆雄(ry
 昨年よりハードル下げてみました。1個もうすでに×ついてますが目標は半分!