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___2月28日(水)

 メルフォレス。

>「七王国の玉座」を読み始めたんですね。
>(中略)
>決定的なネタばれを目にしないうちに早く読んでしまわないと・・・。
>文庫5冊を読み終わったら図書館に走っているような気がします。

 うっかりネタバレ踏んじゃうのは怖いですね、うちもネタバレ多めの感想になっているのでご注意ください。自分は目に入っても速攻で忘れ去るスキル身につけているので大抵は大丈夫なんですが。5冊読み終わったら図書館行きはすでに確定済、幸いにもまだ予約人気はそれほどでもないのですぐ読めそうです。

>でも本当に面白い本を読んでいる時って幸せですよね。

 面白い本読んでる時と、面白さを他の人と共有できた時は確かに幸せですね。特に後者は感想サイトやっててよかったなーと思います。


【今日読んだ本】

七王国の玉座3 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)amazon



《あらすじ》
 スターク家の当主の妻ケイトリンは、昏睡状態の息子が襲われた事件を調べるため都を訪ね、刺客が使った短剣はラニスター家の“小鬼”ことティリオンのものと知った。そして北の領地への帰途、運命のいたずらで彼女は意外な人物と邂逅を果たす。一方、錯綜する人々の思惑と戦乱の影をよそに、享楽的な王は武芸競技大会の開催を命じた。七王国全土から貴族たちが集まる華やかなその場所で、今、玉座をめぐる争いが加速する。


 邦訳ファンタジーなのに読みやすい「氷と炎の歌」第3巻。
 ティリオンいいなあ。悪人や愚か者とそれ以外をはっきり分けて書きすぎるのが、このシリーズの数少ない欠点の1つなんですが、その数少ない例外がティリオン。立場や行動は悪寄りだけれど、冤罪かけられているし、小鬼と呼ばれる背格好やつい無駄口を叩いてしまう台詞回しのためにどうしても憎めません。明らかにこの巻では一番目立ってましたし、裏の主人公と言っちゃってもいいかもしれませんね。しかしジェイムはひどい兄貴だなぁ……。
 ティリオン以外ではサンサが気になりました。あっさり気持ちが揺らぎすぎな気もしますが、ハウンドとのやり取りが萌えます。犬と呼ばれ皆から恐れられる男が少女にだけ見せる一面……いいですね! 今後ロマンスみたいなものがあったりするのか、大いに楽しみです。
 あとアリアがちょっとかわいそう。アリアが喋ってる単語をちゃんと拾えば、エダードはもっと話聞いてやってもいいのに。だからその後エダードがひどい目にあった時、自業自得な感があってあまり同情できませんでした。
 ここまで色々と積み重ねられてきて、次巻はとうとうラニスター家が本格的に動きそう、王家が、アイリーがどうなるのか、できるだけはやく次巻も読みます。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 七王国の玉座4 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)
 七王国の玉座5 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)
 あの子の腕は虹の続き (鈴木 有布子/ウイングスコミックス)
 神語りの玉座 星は導の剣をかかげ (薙野 ゆいら/角川ビーンズ文庫)
 身代わり伯爵の冒険 (清家 未森/角川ビーンズ文庫)
 多重心世界シンフォニックハーツ 下. 多声者の終焉 (永森 裕哉/角川スニーカー文庫)

 amazon頑張ったー! 値段合わせに購入した漫画もなかなかの拾い物で幸せ。しかし、ビーンズやスニーカーの新刊も押し寄せてきちゃいました。どっち先読もう。



___2月26日(月)



【今日読んだ本】

七王国の玉座2 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)amazon



《あらすじ》
 スターク家の主エダードは、親友である王の求めにより、その補佐役として都に赴任した。ひそかに前任者アリン公の死の謎を探りはじめたものの、都までの旅路で起きた娘による王子への傷害事件のため、権力を握る王妃との関係が悪化している。陰謀渦巻く宮廷で親子は生き延びられるのか? 一方、七王国から遠く離れた南の平原では、古代王朝ターガリエン家の末裔デーナリスと騎馬族の長の政略結婚が実を結びつつあった。


 傑作邦訳ファンタジー「氷と炎の歌」強化週間開始、北の壁と王都が主舞台となる第2巻。
 ヴァイサリスm9(^Д^)プギャー!
 1巻の感想には書いてませんが、デーナリスに対するヴァイサリスの態度にはかなりはらわた煮え繰り返るものがあったので、この巻でのヴァイサリスのやられっぷりは痛快でした。笑マークがぴったりきます。ドラゴン(笑) しかし、デーナリスはそういう思想持っちゃうんですね。本格侵攻の予感がしてきましたが、この先ターガリエンはどう動くんでしょうか。この先きっと起こるだろうヴァイサリスの暴走も含めて動向が気になります。
 王都側ではラニスター家の外道っぷりが目につきました。特にジョフリーが最低、サンサそんな男に引っかかっちゃ駄目だよ……。アリアとサンサ共に心に傷負った上、2人の間にはとても大きな溝ができてしまいましたが、仲直りする日はくるんでしょうか。エダードの言うとおり「敵は外」なわけですが、元々反発しあってただけに根深そうです。アリア頑張れー。
 一方北の壁ではジョンが大成長してますね、ちょっとあっさり心動きすぎな気もしますが、まだ十四歳だしこんなものかもしれませんね。ティリオンとの友情もいい感じ、ティリオンはおそらく犯人じゃないんでしょう。誰が犯人かはまだ見えていませんが、王宮ごちゃごちゃしすぎ。
 さあこの先もどんどん読んでいきますよー、って4巻が近所に売ってません。もう3巻半ばまで読み終わっているというのに……! amazonいそいで!


評価 ☆☆☆☆(8)



___2月24日(土)



【今日読んだ本】

七王国の玉座1 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)amazon



《あらすじ》
 舞台は季節が不規則にめぐる世界。統一国家“七王国”では、かつて絶対的支配を誇った古代王朝が駆逐されて以来、新王の不安定な統治のもと玉座を狙う貴族たちが蠢いている。北の地で静かに暮らすスターク家もまた、争いの渦を避けることはできなかった。父エダードが王の補佐役に任じられてから、6人の子供らまでが次第に覇権をめぐる陰謀に巻きこまれてゆく…怒涛の運命に翻弄される人人を描いた壮大な群像劇、開幕。


 各地で褒められているのを見て気になり、ラ板大賞で最後の後押しをされて買ってみた、海外で大絶賛の邦訳ファンタジー。
 面白い! 邦訳ファンタジーには騙されまくってきた自分ですが、これはとても楽しめました。まずなんといっても、邦訳小説全般の壁となってきた「もってまわったかったるい台詞回し」がない。いや、一応それっぽい言い回しも少しあるんですけれど、全然かったるくない。訳がいいのか原文がいいのか分かりませんが、おかげで存分に物語を味わうことができました。おまけに、群像劇形式で色々な人間の視点から話が進んでいくのが非常に自分好み。章ごとに視点となる人物が代わるんですが、この巻だけでも個性豊かな7人もの視点から描かれていて、各人の動きが大きな流れを作り出しかけているのが見てとれるのがかなりいい感じ。
 物語はまだまだ序章、それなのにすでに夢中になれるレベルの面白さ。北の地を治めていたスターク家の面々が、王家の陰謀に巻き込まれていく行方がとても気になり、その一方で亡国の王子が国を奪還せんと計画をたてていて、わくわくする動乱の匂いがプンプン。そこにプロローグの不吉な影がいつ絡んでくることになるのか、絡んできたらどうなるか、その時が待ち遠しい限りです。
 これだけのスケールなので登場人物は非常に多いんですが、人物の特徴がしっかり描かれているので、ある程度主要なキャラクターなら一瞬名前を忘れることはあっても読み進めるのに支障はありません。それに、巻末に人物一覧が目次つきでついている親切設計なので忘れっぽい人も安心です。
 ちなみにこの作品、幼女萌え小説でもあります。若干9歳のアリアは、普通の貴族の女の子としての生活には向いていなく少々好奇心が勝っている少女、裁縫や歌や踊りはできないけれど、男の子の戦いを見物し腹違いの兄とも仲良くする彼女は自分の中では正ヒロイン。キングズランディングに行った彼女がどう変わっていくか、あーほんと楽しみ。続きも買ってきたので、しばらく氷と炎の歌強化週間になるかも。


評価 ☆☆☆☆(8)



戦塵外史 野を馳せる風のごとく (花田 一三六/GA文庫)amazon



《あらすじ》
 一陣の風のごとく戦場を駆け抜ける赤毛の巨馬。騎乗する偉丈夫が振るうのは、“削り出し”の大槍。それに触れた五人の兵士の首が一度に飛ぶ。彼の名はダリウス。その肉体も、精神も、強さも、全てが破格の男であった。 その彼の内縁の妻アスティアが連れてきたのは、亡国の皇女フィアナ。生ぬるい平和に退屈していたダリウスは即決した。たった五人で一国を奪う……。こんな愉快な話が他にあるだろうか。「ひとつ派手にやろうじゃないか!」


 戦乱下の人の生き様を描いた短編集、先日読んだ2巻が面白かったので1巻買ってきました。
 ……あれ? 短編じゃないですよ? 読んでる途中ではじめて長編だって気づきました。主人公がダリウス一派に完全に固定されていたのは、2巻の脇役にも焦点を当てている点が気に入っていた自分としてはかなり残念。ダリウスは2巻の中では相対的に好きじゃない方のキャラでしたし。
 でもあくまで相対的であって嫌いなわけじゃないですし、破天荒さが2巻よりも上でなかなか楽しめました。五VS四千なんて馬鹿げた勝負を実行にうつし、勝算がはっきりあるわけでもないのに「何とかなるだろう」という気持ちを他の四人にも読者にも与える、ダリウスの大物っぷりが凄い。「行き着いた先が死」という死生観を地でいく生き方は独特で生命力に満ち溢れていてひきつけられました。
 2巻では「一男一女をもうけた」だけ記されていたアスティアのその後が分かったのもよかったですね、あんなに尖っていたのがここまで情が深くなったんだなあとしみじみ。本来の読み順とは逆なんでしょうが、ダリウスに関してはこういう順番でよかったと思います。
 もう1冊復刊が予定されているらしいですが待ちきれないので、次は「黎明の双星」を読む予定。amazonは3〜5週間なのでどこか売ってないかな。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 七王国の玉座2 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)
 七王国の玉座3 氷と炎の歌1 (ジョージ・R.R. マーティン/ハヤカワ文庫SF)



___2月21日(水)



【今日読んだ本】

クジラの彼 (有川 浩/角川書店)amazon



《あらすじ》
 合コンで出会った史上まれに見る高物件の彼は、次にいつ会えるかわからない潜水艦乗りだった……。陸・海・空の自衛隊を舞台に描いた、男前でかわいい恋するオンナたちの、絶対元気になれる最強恋愛小説全6編。


 「図書館戦争」シリーズが大ヒット中の有川さんが書いた、自衛隊が舞台の恋愛短編集。
 これは素晴らしいベタ甘ラブロマですね! 空の中や海の底からラブ成分を抽出して濃くした内容はラブスキーにはたまらない代物になってます、もう読んでてニヤニヤしっぱなし転がりまくり。
 既作キャラのそれ以前やそれ以後を描いた3篇も悶えまくったんですが(特に海の底カップルのその後は読めて嬉しかったですね)、話的にはそれ以外の3篇、特に陸自の2篇が好きです。「国防レンアイ」はグチ吐く三池のかわいさが異常で伸下と三池のカップルに萌えまくり、「脱柵エレジー」は境遇のかぶせ方が巧妙でうまさでは一番、ラスト数ページの距離感がたまりません。それに、「普通の人から見た異端性」や「数年で転属」といった陸自の特徴の活かし方がいいですね、陸自ゆえの失恋が無茶苦茶切ないです。「どいつもこいつも(WACが主人公の自衛隊少女漫画)」も好きですし、単純に海自や空自より陸自が好きなのかもしれません。
 「海の底」みたいなごっつい物語もいいですが、こういうラブロマンスもどんどん書いていってほしいですね。パラっと立ち読みして回避してるレインツリーも余裕できたら買おう。
 以下どうでもいい余談。出かける前に戦塵外史の1巻を買っていこうと思ったら、売ってそうな本屋が休みだったんです。カバンの中にはクジラの彼しかなかったわけです。しょうがないから電車の中で(ry  途中で諦めました。それくらいの破壊力、人目につかないところで読むことを推奨します。


評価 ☆☆☆☆★(9)


【今日購入したもの】
 クジラの彼 (有川 浩/角川書店)
 電撃hp Vol.46 (メディアワークス)
 戦塵外史 野を馳せる風のごとく (花田 一三六/GA文庫)
 海馬が耳から駆けてゆく4 (菅野 彰/ウイングス文庫)
 僕と彼女の×××4 (森永 あい/ブレイドコミックス)



___2月20日(火)



【今日読んだ本】

戦塵外史 二 八の弓、死鳥の矢 (花田 一三六/GA文庫)amazon



《あらすじ》
 時の支配者に村を略奪され、すべてを失った男は、自ら村に火を放ち、狩人から暗殺者へその身を転じる。八人がかりでようやく弦を張ったという強弓を携えて。帝国の参謀、貴族院の筆頭を次々射抜いた彼は、最後の標的を「皇帝」と定め、漆黒の闇に包まれた城に潜入する……。表題作「八の弓、死鳥の矢」の暗殺者を始め、「戦場の主」と畏れられた老傭兵、主君にその命を狙われる若く孤独な伝令兵など、戦乱の世を強(したた)かに駆け抜けた男たちの生き様を、花田一三六が卓越した筆致であますところなく活写した珠玉の短編集。戦塵外史シリーズとしての復刊にあたり、特別に書き下ろされた「策士の弟子」も収録!


 花田一三六の復刊作品、戦乱下の人の生き様を描いた短編集。他所の感想見てよさげだったので、前々から花田作品気になっていたしちょうどいい機会だと思い購入しました。
 なんだこれ、無茶苦茶面白いじゃないですか。荻野目初期作品や累卵の朱などの架空戦乱物好きなんだし、もっと早く手を出すべきでした。どの短編も戦乱に生きる一人の人物に焦点を当てているんですが、暗殺者や軍師といった花形だけでなく、斥候や一傭兵も主役にすえているのがなんとも渋い。多種多様な主役は皆魅力的で、どの短編も甲乙つけがたいです。あえて一つ挙げるなら「架橋」かな。主役である「戦場の主」と呼ばれる傭兵の親父さんがかっこいい。生きることを何よりも重視しつつも戦場に出るのをやめられない傭兵中の傭兵で、戦闘時の鬼気迫る気迫がすごい。皇帝との距離のおき方も傭兵の特性を端的に表していてうまいなあ。
 語りっぽい乾いた文体も好みだったし、こりゃ花田さんの他作品も買わないと。とりあえず一巻ですね(あとがき読んではじめて二巻だって気づいた)。


評価 ☆☆☆☆(8)



___2月19日(月)

 色々とミス報告ありがとうございます、もうちょっと気をつけます……。
 ついでに200000Hit達成。こちらもありがとうございます。


【今日読んだ本】

桜の國の物語 〜ひのこだま〜 (カガミコ/B's-LOG文庫)amazon



《あらすじ》
 女は三度火を出したら、「ひのこだま」になる……。村に大火を出して余所者の男と蒸発した母親のために「罪人の娘」と蔑まれ、つらい奉公生活を強いられている篝(かがり)。その篝に、夏になると決まって会いに来る男がいる。漆黒のインバネスを纏い、白銀の長髪をゆらす美青年の名は、流(る)星(ぼし)という。見世物小屋の座長をしている流星は、炎をあやつる篝の異能に興味があるらしいのだが……!?


 今月のB's-LOGの新刊、大正時代の山村が舞台のサスペンス+ラブな物語。
 地味ですがなかなか面白かったです。主人公の篝は母親が失踪して蔑視されている孤独な女の子、毎年やってくる流星という名の銀髪の美丈夫にときめいちゃうお年頃、そんな彼女が住む隣村に怪しげな男たちがやってきて……、といった感じではじまるお話。ストーリーは、篝のひのこだまの能力、元天狗の流星とその兄的存在との間の因縁、大倉たちが隣町で企てる陰謀、などなど錯綜していて、色々気になるんですが若干詰め込みすぎな感も。それよりもラブロマンスがよかったですね。村の孤独な女の子のところに外からヒーローがやってきたらそりゃかっこいいに決まってるんですが、流星の人となりがしっかり描かれているのが萌えます。憎むべき存在なはずだったのにいつのまにか篝に惹かれてるのいいよいいよー、口説きに揺れる篝もいいよいいよー。
 ちょっと気になったのは文章の読みにくさ。視点が篝や流星だけでなく悪人にもころころ切り替わるんですが、唐突だったり時間軸が分かりにくかったりでついていくのがちょっと大変でした。あと改行が多すぎてリズムがつかみづらかったです。
 軽く一区切りついてますが、根深い問題いくつかは次巻行き。買うかどうかは何をメインにするのか次第で。


評価 ☆☆☆(6)



ミミズクと夜の王 (紅玉 イヅキ/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
   魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。額には 「332」 の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。願いはたった、一つだけ。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。――それは、絶望の果てからはじまる、小さな少女の崩壊と再生の物語。


 今年の電撃の大賞受賞作、奴隷出身の少女と魔物の王の物語。
 あーちくしょー、嫌いだけど面白いやこれは。何が嫌いかって、人間の善の描き方があまりにもあざとすぎること。楽園が押しつけの善でぶち壊される場面などは読んでられませんでした。悪意とかどうしようもないものとかで壊されるのはありなんですが、この壊され方はムカムカします。この押しつけと対比されて、アンディやオリエッタの善人っぷりがとても強調されて見えるのも嫌な感じ。
 でもそんなに嫌なところがあっても、該当箇所以外はぐいぐい話に引きこまれたし、面白かったという他ないです、主役のミミズクがちょっと素敵過ぎ。食べてほしいと願っていた少女が、優しさを知り大切なものを知り真っ直ぐと育っていく様はとてつもなくいとおしくて、オリエッタと同様に抱きしめてあげたくなりました。全てを知っても一番大事なものを選びとった強さの前には嫌な気分も吹き飛ばされます。フクロウの不器用な優しさも胸にしみるし、この2人(?)はいいなあ。
 これで人間の嫌な感じがなければ最高だったんですが、それは欲張りすぎですか。できれば次巻もハードカバー行かずに頑張ってほしいかな、いっちゃうと普通の児童文学になっちゃいそうな気もするので。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 桜の國の物語 〜ひのこだま〜 (カガミコ/B's-LOG文庫)
 スキップ・ビート!15 (カガミコ/花とゆめコミックス)
 しゃにむにGO25 (カガミコ/花とゆめコミックス)
 のだめカンタービレ14 (二ノ宮 知子/KissKC)
 戦塵外史 二 八の弓、死鳥の矢 (花田 一三六/GA文庫)


___2月17日(土)

ライトノベルレーベルのレビューが流行っているようなので、応援しているウィングス文庫について書いてみました。資料が少ないので誤りや書き忘れがないか不安。


ウィングス文庫

創刊:1999年
出版社:新書館
月間平均発行数:1冊前後


創刊は1999年と比較的新しいが、前身のウィングス・ノベルス(1991年創刊)を含んで考えるとかなり老舗のレーベル。
ウィングス・ノベルス時代はBL作品も多く発売されていたが、99年にウィングス文庫とBL専門のディアプラス文庫に分離した。
カバー表面がキラキラしている独特の装丁が目を引く。

作品ジャンルはファンタジーが多いが、現代物も時々あり、まれにエッセイも発売される。また、他レーベルに比べて恋愛がテーマの作品は少なく、地味だが読ませるタイプのものが多い。
代表作品は津守時生「三千世界の鴉を殺し」、麻城ゆう「月光界」、縞田理理「霧の日にはラノンが視える 」など。

レーベルの大きな特徴は、作品の初出が雑誌なこと。どの作品も、まず雑誌「小説Wings」で連載され、それに書き下ろしを加えて文庫化される。(まれに例外あり)
そのため月の刊行数は少なく、新刊が1冊も発売されない月もある。特に2006年前半は、純粋な新作が2冊だけという惨状であった。
2007年2月時点での総刊行数は114冊で、作品紹介が文庫2ページに収まるほど少ない。
なお、「小説Wings」は1989年に創刊され、現在は3ヶ月間隔の季刊で発売されている。

ノベルス刊行前の1988年からウィングス小説大賞が設けられている。
募集されているのは「中高生の、主に女性読者を対象とした、ストーリー中心のエンターテイメント小説」。だが実際の購買年齢は、おそらく中高生よりも上であろう。
30回以上を数えるウィングス小説大賞だが、デビュー者は2桁もいない。しかしその数少ない中には、「楽園の魔女たち」の樹川さとみ、「かりん 増血鬼」の甲斐透といった他レーベルでも活躍している作家もいる。また、真瀬もとは「アルレッキーノの柩」でハードカバーに進出している。




___2月15日(木)


【今日読んだ本】

声で魅せてよベイビー (木本 雅彦/ファミ通文庫)amazon



《あらすじ》
   “孤高のハッカー”を名乗る高校生・広野は、尊敬する “おっちゃん”のOSマニュアルを入手するため、同人 誌即売会に乗り込んだ。場内の熱気に圧倒されつつも何とか目的を果たした広野。だが、彼の前に自称“腐女子 ”の声優志望少女・沙奈歌が現われ、しかも成り行きで 彼女の恋の“エチュード”の相手をすることに! はたしてふたりは“本番アリ”な関係になれるのか!? 恋と声に身悶えする、第8回えんため大賞佳作受賞の三次元激ミュージカル、ついに開演!!


 ファミ通文庫の新人さん、ハッカーと腐女子の異色な恋愛小説。
 声惚れ、いいですね。一目惚れならぬ一声惚れって、歌や声優については結構聞きますが、それ以外ではあまり聞かないのが不思議。いくら視覚情報が90%だといっても、もっとあっていいと思うんですが。美声は聞くだけで心地よい気分にさせてくれますし、持ち主がすごくうらやましい(自分の声あまり好きじゃないので)。逆に、すごく具体的な例になりますが、秋葉・御茶ノ水方面から書泉タワーに向かう時に時々遭遇する絵画か何かのセールス、あのかん高い声は全く受けつけません。まあ声ってどう頑張っても変えれないものなので、仮に一声惚れが当たり前の世界があったら恐ろしいですが……。
 というわけで、「声に惚れる」という設定自体は非常に気にいった本作、でも本文は全く合いませんでした。ハッカーの主人公の一人称で進んでいくんですが、ストイックというかコンパクトというか、孤高を気取った一人称が好きになれない、はっきりいって嫌いです。「一人で戦う」生き方にも感化されまいとする態度にも好感もてたんですけど、なんでこんな変な一人称なんだろう。「y」とか「だがやるぜ。」とか「コリオリしている」とか、リズムがあわないついていけない。一人称が合う人にはお勧めです。


評価 ☆☆★(5)



108年目の初恋。 (末永 外徒/ファミ通文庫)amazon



《あらすじ》
   この春私は『旧校舎』になった。ずぅっと生徒を眺めてきたのに、立ち入り禁止の旧校舎になんて、もう誰もやって来ない。寂しくしていた私のところに、ある日、ひとりの少年が、探検に忍び込んできてくれた。もちろん私は大喜びで、ワクワクと観察していたのだけれど、危ない場所へと踏み込む彼に、思わず声をかけてしまう。どうしよう。もう人とは関わらないって決めたのに──。人と人ならぬモノとの初恋をピュアに描く、第8回えんため大賞優秀賞受賞作。


 これもファミ通の新人さん、校舎の女の子が主人公のラブストーリー。
 これはいいですね。好みである女の子一人称な上、校舎の視点で男の子を眺め好きになるというのが目新しくて面白い。会いたいけど姿を現すわけにはいけない、そんなもどかしさがたまらないです。恋の相手である新の周りには魅力的な女の子が2人もいて、コウのやきもきやドキドキにすごく共感できました。
 会ったら会ったで、初恋ゆえの初々しさがこっ恥ずかしくて楽しかったです。コウの願いのかなえ方も校舎ならではの斬新さでよかったですし。ラストは「うーん」と思わなくもないですが、ハッピーエンドだし読後感がいいのでよし。あとはうっかり続編が出ちゃったりしませんように。


評価 ☆☆☆★(7)