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___3月30日(金)

 ちょっと一週間ほど更新止まるかもしれません。


【今日読んだ本】

永遠の花園 さびしがりやの王女と始まりの種 (閑月 じゃく/コバルト文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 精霊の宿る国グランディール。王族は種から育てた精霊と契約を結んで国の助けとなるが、精霊の姿が見えない第三王女リィにはその資格がない。ある日リィは仮面の道化師から精霊種をもらうが…。


 今月のコバルトの新人さん、王家の一員なのに精霊を見ることができない落ちこぼれ王女が主人公の王宮ファンタジー。
 うーん、微妙でした。精霊の設定や王宮の雰囲気といった基本的な部分は、色々ありがちながらも、精霊を種から育てるなど物珍しい部分もあって悪くない。文章も新人さんにしては上手い部類に入ると思います。
 が、主人公があまりにもアホすぎて読むのがしんどかった。精霊を見れないコンプレックスが強かったのは分かります、だから信じたかったのも分かります。でも、あからさまに怪しい人物とあまりにも露骨な状況証拠が揃っているのに全然気づかないのには、ネジが飛んでるんじゃないかと思いました。「どこかで繋がりそうに見えた」とかあほかとばかかと、どうみても繋がってますよ。ここで一気に萎えました。まあ、それ抜きにしてもその後の展開は一本調子気味で盛り上がりに欠けてたんですが。でも、これもアホな中盤にページかけすぎてるせいかな。1巻完結だと思って読んでいたので続いたのには驚きましたが、放置キャラが多くていい続き方とは言えないし、続きは見送りかな。
 文章はよかったので主人公のアホさに耐えられれば合うかもしれません。別シリーズが出たらまた注目したいです。


評価 ☆☆(4)



マイフェアSISTER 姫君、拳を握りすぎです。 (竹岡 葉月/ファミ通文庫)amazon



《あらすじ》
 「おいしいバイトがあるんだな。報酬破格、三食昼寝にケーブルTV付よ?」ミキ姉の甘〜い言葉に誘われて。江戸川師走は上京を決意した。そんな彼をいきなりキック&パンチ&キッスで迎えたのは異世界から来たお姫様(10歳)で!? 師走は異世界VIPの接待役だった!? いじられキャラのマジメ姫君・アネモネ、警視庁エリートの従姉・ミキ、女優の妹・睦月。それぞれ悩みをもつSISTERたちにアホほど振り回される師走の、全力疾走ボーイミーツガール!


 超久々の竹岡姉の新刊、過去に天才子役・今は平凡高校生な男の子師走が主人公のボーイミーツガール。
 著者が「混沌としてます」と言っている通り、色々と変な話でしたが面白かったですね。あらすじ全く読まずに著者とタイトルだけ見て買ったので、異世界が登場した時点でまずびっくり。最初の50ページほどが普通の現代物だったので完全に想定外でした。そして、カオス化している赤羽のドタバタを見てさらにびっくり。いやー、こりゃいい意味で滅茶苦茶。自分は赤羽ろくに知らないんですが、地元民の人は大爆笑なんだろうなあ。
 その後もコメディとシリアスが入り乱れてなかなかカオス。コメディ面は実妹の睦月と姫君のアネモネとの掛け合いがよかったです。睦月の「外面よくて内面凶暴」っていう性格はありがちですが、パワフルな子なのでありがちでもかわいいものはかわいいですし、、お兄ちゃんに対する複雑な気持ちと苦境でも折れない芯の強さを持っているのが魅力を増してます。アネモネも結構ベタキャラですが、世間知らずで真面目な子はやっぱりかわいい。シリアス面は基本的には師走の挫折と復活の話で、睦月との重ね方が露骨だったりするのはちょっとアレですが、後半衝撃の事実が明かされてからの流れはなかなか熱かったです。欲を言えばもうちょっとページ数が欲しかったかも、いやでも師走のできることを考えればやむを得ないところかな。
 続きは売れれば出るようです、睦月をもっと見たいので売れますように。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 姫様オーバードライヴ! プリンセスは大統領!? (倉世 春/コバルト文庫)
 桃仙娘々伝 (藤原 美里/コバルト文庫)
 永遠の花園 さびしがりやの王女と始まりの種 (閑月 じゃく/コバルト文庫)
 マイフェアSISTER 姫君、拳を握りすぎです。 (竹岡 葉月/ファミ通文庫)
 7SEED10 (田村 由美/フラワーコミックス)



___3月28日(水)

 来月は色々イベントあるみたいですが、電撃春の祭典もラノフェスも行けそうにありません、残念。


【今日読んだ本】

銀月のソルトレージュ2 金狼の住処 (枯野 瑛/富士見ファンタジア文庫)amazon



《あらすじ》
 自分の身体の中に埋め込まれている魔術書『ひとつめの嘘』の事について調べ始めたリュカ。だが彼の前にライア(嘘つき)と名乗る女が現れて……。リュカを巡り、学園内で陰謀が動きだす! シリーズ第2弾登場!!


 珍しくアンケートハガキを送ってしまったくらいに期待している学園(?)ファンタジー「銀月のソルトレージュ」第2巻。
 アリスかわいいよアリスかわいいよアリス。
 いやーアリスのかわいさは異常ですね、前巻に引き続き今巻もストップ高です。なんという健気さ、そして強さも身につけた子。「控えめに、ちょっとだけ胸を張る。」なんでリュカはここで理性が陥落しないのか、そしてこんな子が側にいるのにジネットに惹かれてしまうのか、よく分かりません。今巻はそのジネットが微妙だったので、余計にそう思ってしまいます。何が微妙かって、1巻でかっこよく立ち去った癖に、こんな形ですぐ出戻ってきてしまうのがかなり情けない。こうも色々勢力があって襲われる可能性が高いことを前提とすると、1巻ラストはその場繋ぎの無思慮な行動にしか思えないからなあ。リュカはリュカの、ジネットはジネットの戦いをする流れになるものだと予想していたので拍子抜けしました。見所もあまりなかったので3巻での巻き返しに期待。
 新キャラのライアは切ないの一言。そりゃリュカの姿まともに見れませんね。今回は切なさアピールだけで活躍やリュカとの絡みがあまり見れなかったのが残念ですが、それは今後に期待かな。
 アリスの可愛さは突き抜けていたし面白かったですが、1巻よりは盛り上がりに欠けた感があります、起承の部分が長かったですし。が、役者も出揃ってきて、そろそろアリスが巻き込まれそうな気もするので、3巻が楽しみです。


評価 ☆☆☆(6)



___3月27日(火)

 先日「続きが読みたい」と書いた「キスとDO-JIN」ですが、6月に2巻が出るようです、いやーよかったよかった。ネタではなく普通に面白いんですよ、誤解なきよう。

【今日読んだ本】

精霊の守り人 (上橋 菜穂子/偕成社)amazon



《あらすじ》
 女ながら、腕のたつ用心棒である、バルサは、新ヨゴ皇国の皇子チャグムの命をすくうだが、このチャグム皇子は、ふしぎな運命を背負わされていた“精霊の守り人”となったチャグム皇子を追って、ふたつの影が動きはじめバルサの目にみえぬ追手から命がけでチャグムを守る…野間児童文芸新人賞。産経児童出版文化賞。路傍の石文学賞受賞。


 4月からアニメ化もされる人気児童文学作品。かなり昔に図書館で借りた時は少し読んで投げたんですが、同著者の「狐笛のかなた」が面白かったので、アニメ化もされるし再び手を出してみました。
 あれ、これ読んだことなくね? いやー、序盤の段階で読んだ記憶が全くありませんでした。当時の自分を想像するにおそらく序章数ページで投げてますね、あの頃の自分は児童文学耐性が相当低かったですし。
 なので、完全にフレッシュな気持ちで今度はちゃんと最後まで読了、苦手な箇所もあったけれどそこそこ面白く読めました。おばさんと皇子っていうコンビはなかなかおいしいですね、最初は弱々しかったチャグムがいい大人たちに導かれてめざましく成長していく姿がいいし、チャグムを守る姿を通じてバルサの強さや優しさを見てとることもできて、2度おいしいコンビでした。物語の方は、星ノ宮の人々があっさり味方についたあたりに出来すぎ感を抱いたものの、ラルンガなどの神話や民話の設定はよくできていて「おおっ」と思わされるところもありましたね。
 ただ、いかにも児童文学っぽい文章の堅さには最後まで馴染めませんでした。荻原規子作品よりも堅いのはちょっとしんどい。読点も多すぎて読みづらかったです。
 ラブも薄いし、続き買うかは微妙なところ。しかしこれをアニメ化ですか、人気出るのかな……。とりあえず1話は見てみよう。
 一つだけ愚痴。買った直後に文庫版出るなこんにゃろー!


評価 ☆☆☆(6)



___3月25日(日)


【今日読んだ本】

キスとDO-JIN! 王子様はカリスマ大手!? (小林 来夏/もえぎ文庫ピュアリー)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 お嬢様の鈴木七海は、マンガ執筆に勤しむ同人少女。七海は初参加の同人誌即売会でトラブルに巻き込まれるが、その窮地を救ったのは超イケメンのカリスマ大手作家だった……! 同人界の真実に鋭く切り込む!? 話題騒然★腐女子のシンデレラ・ストーリー。


 今月創刊されたもえぎ文庫ピュアリーの1冊、腐女子のお嬢様が同人誌デビューするところからはじまるシンデレラストーリー。同時発売の他の2冊はBLのようなので、B's-LOG文庫をBL寄りにしたレーベルみたいです。帯によると次回は6月で3ヶ月毎の刊行とのこと。いかにもすぐに消えそうなレーベルですね。 で、感想ですが

 褒めちぎる気満々だったのに、普通に面白かったから困る。

 いやー、正直全く期待してなかったので嬉しい誤算でした。お話の本筋は、主人公本人は自覚ないけど実は絵が上手くて〜、といった感じではじまる極普通のシンデレラストーリー。ですがそこに加わった同人的な味つけが、同人についてそこそこ知っている程度の自分には面白かった。はじめての即売会参加での緊張、本が1冊売れた喜び、周りのサークルの妬み、といった馴染みやすいものから、転売屋に絡まれて困ったり、美形の男の子が美形男を介抱しているのを見て受け攻めを考えたり、といった結構突拍子もないものまで味つけは色々。主人公の七海が、そういった事柄一つ一つにワタワタして大げさな反応見せてくれるのが可愛くて楽しかったです。お嬢様で世間知らずなところはあるけれど、傲慢さの欠片もない謙虚な子で好感持てましたしね。
 そして、主人公の周りを囲む男キャラたちが皆揃って魅力的。表紙にでっかく載っている2人はともに大手サークルの主催者。右の高橋は思い出の「お兄ちゃん」に似ている爽やかキャラで垣間見えるミステリアスさがいいし、左の西南北は一見怖いし寡黙だけれど、段々と主人公に見せるようになる優しさがたまりません。でも、一番癖があって面白いのは、左上にちょこっとうつっている執事さん。色々と常識が斜め45度捻じ曲がっている上に、とにかく過保護で行き過ぎっぷりが凄まじい。ストーカーちっくに後をついてきて男を追い払うのは、まあ考えられる範疇。その男たちを幼児性愛者とみなす異常者っぷりもまあ許容しましょう。でも×××はないでしょう×××は! イラストつきで爆笑しましたよ、いやーそこまでやるか。今のところ恋愛感情らしきものは表に出てきませんがあるのかな、あったらさらにややこしくなっていいなあ。
 七海はシンデレラへの道を登り始めたばかりで今後が気になりますし、今のところは西南北がちょっとリードしていそうな恋の行方からも目を離せず。高橋や蝶子の正体もまだ明かされてませんし、是非続きも読みたいですね。「同人界の真実に鋭く切り込んで」いるかは微妙ですが、あらすじ見て興味持った変り種の方にはお勧めです。


評価 ☆☆☆★(7)



___3月24日(土)


【今日読んだ本】

翼は碧空を翔けて3 (三浦 真奈美/C★NOVELSファンタジア)amazon

画像はありません。

《あらすじ》
 終戦、父王崩御――王国に平和は戻ってもアンジェラの心に碧空は戻らない。見かねた兄の勧めでエグバードへ留学することに。一方、飛行船の名誉回復に奔走するセシルは……感動の大団円!


 三浦さんがおくる、跳ねっかえり王女と飛行船実業家の世紀のラブロマンスの最終巻。
 2巻の進展具合がアレだったのでちゃんと終わるのかと心配の気持ちが強かったのですが、うん、いいラブロマンスでした。2巻の時には戦争の動乱に目がいって意識してませんでしたが、こうして落ち着いてみると、アンジェラの思考の中の「あの男」の出現率が多いこと多いこと。本人は意識してなくてもベタ惚れですね。セシルも元々アンジェラの気質は気にいってましたし。それだけに一度自覚すると一気でしたね、凄い急展開でしたが2人の性格考えれば納得いく展開でした。飛行船を使った演出がよかったなあ。もっとラブラブを見たかった気もするけれど、一度結ばれたらどんな障害も撥ね退けそうな2人なだけにこれがベストな形かも。
 ただ、ランディについてはもうちょっと描写ほしかったかなあ。1巻2巻と目立っていた割に、最後は普通の脇役になってしまった感が。アンジェラへの慕情は消えてたのかなあ、それとも涙を前にして負けを悟ったのか。後者なら失恋みたいな場面があってほしかったです。
 面白かったですが、結構長い間待たされた身としては全3巻というボリュームはちょっと物足りなくもありました。次回作は来年度中には出てくれますように。


評価 ☆☆☆★(7)



___3月23日(金)


【今日読んだ本】

恐るべき子供たち ブラッディゲートの海賊と三つの謎 (橘香 いくの/コバルト文庫)amazon



《あらすじ》
 両親の離婚騒動に巻き込まれたうえ、間違って海賊に誘拐されたリーオン。彼を救出するため海賊船に乗り込んだショーンたちだったが、なぜか一緒に宝探しをすることに!? お騒がせ冒険コメディ!


 先月のコバ新刊、うっかり「イシャーウッド〜」の方がシリーズタイトルだと思いこんでいた「恐るべき子供たち」シリーズ第2巻。
 橘香さんの作品はほんと安定して面白いなあ。壮大な物語ではないしラブも皆無ですが、話がテンポよく進んで先が気になるので、どんどん読み進められるんですよね。
 奥地の洋館が舞台だった1巻から海賊船へと一気に場所が移ったのには驚きましたが、本質は変わってないし目新しさがあっていい感じ。相変わらず子供たちのキャラがよくたっていて、ショーンが数々の場面で機知を見せる様やエミリアが海賊たちを手玉にとる様が小気味良いです。特に物怖じする様子を見せないエミリアは凄いなあ。
 リーの受難体質もパワーアップしてますね、まさか×××が××してくるとは……。この件についてはリーよりもエミリアが心配です、多分×××はまた××してくることになるんでしょうし。この様子だとエミリア×リーのラブフラグはたちそうにないのが残念。肉親としての愛情はたっぷりなんですが……。
 今後はご先祖様の謎に迫っていくことになるのかな、続きも楽しみです。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 アリフレロ キス・神話・Good by (中村 九郎/集英社スーパーダッシュ文庫)
 翼は碧空を翔けて3 (三浦 真奈美/C★NOVELSファンタジア)
 キスとDO-JIN! 王子様はカリスマ大手!? (小林 来夏/もえぎ文庫ピュアリー)

 あんま買う気なかったはずなんですよ。でも本屋いったら平積みしてあったんですよ。こりゃ買うしかないじゃないですか。地雷良作報告は早いほうがいいだろうので今週中には読みます。



___3月22日(木)


【今日読んだ本】

ネクラ少女は黒魔法で恋をする4 (熊谷 雅人/MF文庫J)amazon



《あらすじ》
 空口真帆の特技(?)と趣味は黒魔法。彼女は学校では無口でおとなしいが、家では妹と言い合いすることもしばしばだ。ある日、真帆は妹の夏樹を実験台に新しい魔法をこっそり試そうとする。しかし、気づいた夏樹は大激怒。いつもなら呆れるだけで怒らない夏樹なのに、と真帆は戸惑うが、「ふん、度量の小さいやつめ」と強がる。そのうち怒りがおさまればいつもどおりに接してくるはず、と思ったのだが、夏樹の態度は頑なで……(空口姉妹の気づかず傷つく絆)。真帆と夏樹の日常を描いた短編のほか、しのや大河内、湊山と三癒も大活躍(!?)の短編集。演劇部の合宿では憧れの先輩・一之瀬とふたりきりに!? ハートフル黒魔法コメディ第4弾。


 ネクラな黒魔法少女が主人公のラブコメ第4巻は、脇役にもスポットをあてた短編集。
 夏樹のカラー絵キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
 夏樹かわいいよ夏樹かわいいよ夏樹。夏樹のことをラノベ史上最高クラスの妹キャラだと思っていて、このラノのキャラ投票で票を投じた自分にとって、空口姉妹を描いた最初の短編は珠玉の一品。そうだよなあ、こんな姉を持ったらこういう苦労は日常茶飯事だよなあ。落ち込んでいる時に黒魔法かけられたら誰だってぶちきれますよ。それでもお姉ちゃんのこと好きなんだよなあ、健気だよかわいいよ。構成はベタベタだけど最高でした。
 真ん中の2篇はキャラに思い入れが全然ないので、普通に上手いなーといった程度。でも真帆が主役の最後の短編はなかなかよかったです。1回記憶がリセットされて、それでもこんなに演劇部の仲間と溶け込めたんだなあ、よかったよかった。しかし一之瀬先輩の心の壁にはなかなか踏み込めなさそうですね。死んでしまった人はライバルとしては最強だからなぁ。生きている人が最強すぎる話を昨日読んだ気がしますが、あれは例外です。
 あとがきによるとそろそろ佳境らしいですね。先生が言っていた「悪魔が近くに」というのは一之瀬先輩が絡んでいる線が強そうだなあ、沙倖の件で悪魔がつけいる隙がたっぷりありそうですし。それを撥ね退けて最後には真帆×一之瀬先輩でくっついてほしいものです、真帆がんばれ!


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 プリンセス・プリンセス+ (つだ みきよ/ウィングスコミックス)



___3月21日(水)


【今日読んだ本】

鏡のお城のミミ 愛される道のゆくえ (倉世 春/コバルト文庫)amazon



《あらすじ》
 実の父に政略結婚をさせられクロティルドの跡継ぎ王子となったエリック。おまけにクロティルドがマルグリット公国軍と戦を始めた。ある決意をしたミミは、自らエリックのもとへ向かう。


 うだうだと回り道した2人がついに……、の「鏡のお城のミミ」第14巻。
 いやーポール兄ちゃんよかったですね。過去がアレなだけに恨み続けるのもしょうがなかったわけですが、その過去を昇華して一回り大きくなった姿はかっこよかったです。エピローグでのギヨーム王の発言にもジンときました、この人は大分印象変わったなあ、初期の頃は糞王様ってイメージだったのに。
 ジャンバティもようやくミミに代わる人を見つけられそうで本当によかった。ミミとくっついたら間違いなく幸せになれると思えるだけに、この人が不幸になる未来だけは見たくなかったので。でもミミのことは一生忘れられないでしょうね。花びらごしのキスが切なすぎます……。
 エリック? だれそれ?
 いやー、みんな頑張ってるのに一人だけヘタレてる姿はとても情けない。あなたファーレンに諭されてなかったら何してましたか? ミミが大分大人になったというのに、こちらは思考が幼いですよ……。最初の頃はエリックいいなと思ってたんですけどね。今は不謹慎ながら、エリックどこかで死んでればよかったのにと半ば本気で思ってしまいます。そしたらミミは最後にはジャンバティとくっついたでしょうに。いや、もしかしたら衝動で後追いしちゃうんでしょうか、うーん。
 まあ、この物語は出会った頃の印象のせいで駄目男に引っかかっちゃう女の子のお話だ、ということで自分を納得させました。リヒャルトの最後のモノローグがとても気になるので、はやく続きが読みたいですね。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 天空のアルカミレスIV カストラの虜囚 (三上 延/電撃文庫)
 銀月のソルトレージュ2 金狼の住処 (枯野 瑛/富士見ファンタジア文庫)
 ネクラ少女は黒魔法で恋をする4 (熊谷 雅人/MF文庫J)



___3月20日(火)


【今日読んだ本】

世界の中心、針山さん2 (成田 良悟/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
 埼玉県所沢市に住むその男の名前は針山真吉。眼鏡をかけて憎めない顔をしている普通の人。父・母・姉・弟の四人家族の世帯主。他に特徴は────特になし。そんな一般人の針山さんの周囲では、毎度毎度様々な出来事が起きている。狂気の事件に遭遇するタクシーの都市伝説、ヒーローよりも強い無敵な下級戦闘員の悲哀、殺し屋と死霊術士と呪術士のゾンビ戦争、そして、様々な人々が絡み合う惨劇の結末──。人気イラストレーターコンビで贈る短編連作、第二弾登場!


 所沢が舞台の不可思議な短編連作「針山さん」、久しぶりの第2巻。
 あれ、凄い面白い。読み終わった後に「こんなに面白いシリーズだっけ」と思わず1巻を再読してしまったほど。その結果1巻も面白かったので、面白さを忘れていただけのようです。
 何がいいのかと聞かれたら、まずは舞台設定をあげます。魔法少女や魔王、死霊術士にヒーローと何でもありで無茶苦茶な世界なのに、針山さんをはじめとした一般人との繋がりのおかげで普通の現代物に見えるのがすごい。普通のホラーといっても通用しそうな一篇目はもちろん、ゾンビと殺し屋の話な三篇目もぶっとんでいる感がありません、成田さんの作風なのかもしれませんが、いいなあ。
 切り口とその見せ方も素晴らしい。ヒーローが実は……、誰よりも強いヒラ戦闘員、といった設定は他でも見かけますが、ここまで凝って熱く描くのはさすが。No.37564の強さがかっこよすぎます。
 連作形式の構成もうまいですね。1巻同様、最初の三篇で出てきたキャラたちが最後の短編に登場するんですが、その繋げ方が見事。三篇を書いてから話を考えたとはとても思えないです。この上手さを感じられたラストの短編が一番気にいりました。もちろんバッカーノは面白いですが、針山さんもどんどん出していってほしいものです。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 レディー・ヴィクトリアン20 (もと なおこ/プリンセスコミックス)
 悩殺ジャンキー9 (福山 リョウコ/花とゆめコミックス)
 メディエーター 霊能者の祈り (ジェニー・キャロル/集英社文庫)
 黄色い目の魚 (佐藤 多佳子/新潮文庫)
 ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所> (シャンナ・スウェンドスン/創元推理文庫)

 乙女よりな一般文庫をいくつか購入。



___3月18日(日)


【今日読んだ本】

多重心世界シンフォニックハーツ 下. 多声者の終焉 (永森 裕哉/角川スニーカー文庫)amazon



《あらすじ》
 理不尽な権力をふるう、複数の人格を持つ<多声者>たちとの戦いの中、人格をひとつしか持たない<独声者>の少年ソロの中に現れた、異次元からの人格ファントム。多重人格世界の真相を告げる彼を、恋人カノンを失ったソロは素直に受け入れることができなかったが、確実に変わりつつある世界を目に、ついに戦うことを決意、仲間とともに、最終決戦の地<多声神の塔>へ向かう! 壮大なスケールで描く、驚愕のスペース・パンク、ここに完結!


 昨年9月に発売されたスニーカーの新人さんの作品の下巻、管理される多重人格者たちの戦いの物語の完結編。
 これはいい予定調和。最近、一寸先には何が起こるか分からない物語ばかり読んでいてちょっと疲れていたので、終着点が分かりきっていて過程もある程度想像つくこの話には癒されました。入り組んだ話は好きですが、分かりやすい大団円もいいものです。所々ご都合主義なところもありますが、前巻のラストで大切な人を失って、しかも周りの人々の態度が今までと豹変して人間不信におちいったソロが、リリンたちの助けで徐々に癒されていって前に進む過程がちゃんと描かれていたので気になりませんでした。リリンかわいいですしね。できることならリリンと結ばれてほしかったですが、それは無理な要求。近い未来に行き来可能になって修羅場?が起こるかも、と妄想でもしておきます。
 ちょっと気になったのは、時々唐突に挟まれるコメディ。軽い笑いならいいんですが、度が行き過ぎている箇所がいくつかあって浮きまくり。シリアス一辺倒で十分面白いものになったと思うんですが、うーん。ともあれ水準以上には楽しめたので、次回作も楽しみにしてます。


評価 ☆☆☆★(7)