___9月30日(日) |
「暴風ガールズファイト」経由でラクロスについて少し調べたら、今の時期は大学のリーグ戦(社会人プレイヤーの人口は少なそう)で集客試合も結構ある模様。江戸川区や大井とちょっと遠いけど、時間の都合がついたら行ってみようかな。 【今日読んだ本】 ◆ Romeo×Juliet 赤き運命の出逢い (雨宮 ひとみ/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 ある理由で男として育てられた、美しい少女ジュリエット。彼女はネオ・ヴェローナの《赤い旋風》として、貧しい人々のため貴族相手に痛快な剣を振るっていた。そんな中、彼女はモンタギュー大公家のロミオと運命的な出逢いを果たす。最初は反発しながらも、徐々に惹かれあうふたり。だが彼らは知らなかった――自分たちが仇同士の間柄であり、これが決して許されぬ恋であることを!いま新しく蘇る不朽のラブストーリー! 今月はじめに出たビーンズ文庫、アニメ「Romeo×Juliet」のノベライズ。さりさんが「アニメ未見でも十分対応できる内容」と書かれていたので手にとってみました。 確かに未見でも対応できる内容でした、というか素晴らしいものでした! お互いの立場を知らずに好きになる→でも2人は実は敵同士で、という話の構成はベタベタなんですが、恋の描き方が凄くロマンティックなんですよ。恋を自覚する前の得体のしれないドキドキ、自覚した後の幸せな気持ち、そして募る恋心の制御できない激しさ、といった感情描写がどれも甘酸っぱくて素敵。この先に過酷な運命や悲恋が待ち受けてるのが分かっているだけに、甘さがより一層際立って、もうたまらないです。身分差だけでなくて主人公が男装少女というのも自分の好み、女の子として会うことのできない胸の苦しみとか正体バレするシーンとか最高すぎ。 2巻で2人を待ち受ける運命が怖い、でも待ち遠しくてなりません。万が一ここで打ち切ったらビーンズ許さん。 ところで原作の原作(シェイクスピアの奴)を聞きかじり程度の知識でしか知らないんですが、ちゃんと読むと、こちらも一層面白くなったりするんでしょうか。それなら教養にもなるし読んどこうかと思うんですが。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ シャーロキアン・クロニクル5 ゲーム・オブ・チャンス (真瀬 もと/ウィングス文庫) 【amazon】 画像は公式で。 《あらすじ》 叛逆罪(はんぎゃくざい)で追われるワトスンに協力を申し出たモリアーティ。二人はベーカー・ストリートに居所を定め、共通の敵シャーロック・スコット・ホームズに挑む……。表題作、モリアーティと彼の運命の女エリザの哀しい結末を描く「エンジェリック・キス」の他、書き下ろし「夜の種子」を収録したシリーズ第5弾!! モリアーティやらホームズやらワトソンが原作とは違った形で登場するミステリー風人間ドラマ「シャーロキアン・クロニクル」の第5巻。 最終巻手前だけあって、各人の思惑が入り乱れるなかなか濃いお話。ラスボスであろうスコットの暗躍を皮ぎりに色んなことが起こりましたが、一番印象に残ったのはモリアーティとジョイスの確執かな。登場時から狂信者っぽさを見せていたジョイスさんが今回ついに爆発。モリアーティの本質を受け入れることを拒否して、「モリアーティのために」行動しつづけた結果なわけで自業自得ですね。まあ確かにエリザはよく分からないし、ジョイスさんの立場からしたら間違いなく邪魔なんですが。エリザ死亡後のモリアーティとジョイスの会話の噛み合わなさが見物でした、常識人のジョイスには「対等の立場になったからゲームをする」という考え方が理解できなかったんだろうなあ。最終巻でこの2人の歩み寄りはあるんでしょうか。 あと、モリアーティとワトソンの信頼関係がかなり強まったことにびっくり。こうやって原作と繋げるとは完全に想定外、やられました(ホームズと名のつくキャラが3人もいるのに、真のホームズがモリアーティとは……)。 ただ、マチルダの出番が皆無だったのがとても残念。こういった暗部の話は彼女のような人にはふさわしくないし巻きこまれてほしくもないんですが、このシリーズ一番のキャラだけに出てこないとやっぱり寂しいです。最終巻では1巻のプロローグに繋がるだろうから、きっと出てきてくれるはず。最後は後味悪くないエンドでありますように。 評価 ☆☆☆(6) |
___9月28日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 暴風ガールズファイト (佐々原 文緒/ファミ通文庫) 【amazon】 《あらすじ》 マリア様が見守る聖ヴェリタス女学院。高等部に進学した麻生広海は、親友との別れによる喪失感と何ら変わり映えのしない高校生活を前にすでに鬱屈していた。ところが! そんな広海の前に吹き荒れる五十嵐千果というちびっこい嵐! 巻き込まれるがままなぜか高校ラクロス日本一を目指して立ち上がることに! ……っつーかラクロスって何よ? ウチにそんな部あったっけ?? 汗と涙とド根性! 空前絶後の美少女スポ根グラフィティ、待望の試合開始【Here we go】! 待望の佐々原さんの新シリーズは、ミッション系の(似非)お嬢様たちがラクロス部結成を目指して奮闘するスポ根小説。 さすが佐々原さん、スポ根でも鉄板の面白さでした。相変わらずの女の子一人称ですが、今回の主人公は(表向きは)優等生タイプの常識人なので、オニキスやトパァズの一人称が苦手だった人も大丈夫(なはず)。地の文の「ですます」などは時折トパァズとダブりましたが。 転校生の少女に巻きこまれていくうちに段々ラクロスに惹かれていく主人公、集まってくる個性的な仲間たち、部の結成に立ちはだかる障害、と1つ1つの要素は物珍しくはなくても、それぞれの描写がしっかりしていればこんなに面白いんですね。直情馬鹿だけどただの馬鹿じゃない千果も、裏表たっぷりのお嬢様の雪乃もいいんですが、一番好きなのは主人公の広海かな。外面がよくて裏もあるだけではなく繊細なところもあるのが結構ツボでした。 ラクロスについては知識が全くといっていいほどないんですが、何となくゲーム情景を想像できるくらいには説明あったし読みごたえがありました。これは一度見てみたいかも、CSでやってたりするかなあ。 ようやく部の結成までこぎつけて、ここから快進撃のスタート。1巻では恋愛要素ありませんでしたが、いいポジションの男性キャラはいるので、これから進展したりするのかな。どちらの面でも2巻が非常に楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 暴風ガールズファイト (佐々原 文緒/ファミ通文庫) ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児 (田中 天/富士見ドラゴンブック) Romeo×Juliet 赤き運命の出逢い (雨宮 ひとみ/角川ビーンズ文庫) |
___9月26日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 異形を狩る者 熱砂の星パライソ1 (宝珠 なつめ/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 《あらすじ》 賞金稼ぎレーンは、ひとり怪物に立ち向かう少年ルディを助ける。姉を助けに行くと語る彼を見捨てられず、同行を引き受けたが……二人の長く危険な旅が始まる! SFガンアクション、開幕!! 今月のC★NOVELSファンタジアの新刊、とある過去の出来事のせいでハブられものの賞金稼ぎと姉を助けようとする少年が主人公の荒野ファンタジー。 おお、宝珠さんはこういう話も書けるんだなあ、面白かったです。蔓延する砂のせいで電気機器が使えず、銃やら魔物やらが出てくる荒野で、賞金稼ぎと少年が出会って……、というお話。こういうアウトローと少年のペアの常として、ふれあいによる心の癒しやアウトローの過去が話の軸の1つだったりするわけですが、この1巻はそれよりも魔物に関する話が中心かな。魔物なんで当然人間食ったりさらったりするんですが、彼らの種としての行動倫理ははっきりと示されていて、むしろ彼らによって人間の醜さが暴かれていきます。ラシバ・パウラの誇り高さとその後の街での人間の醜さを比較すると、色々と考えさせられますね。ルディの行動がどこまでも優しいのとは対称的。「おもひでや」でも心暖まる話とダークな話が両方あったし、この二面性が宝珠さん作品の特色なのかも。そうそう、魔物の行動に一部グロ描写(皿に山盛りにされた人間の目玉を食う(イラストつき))があったりするので苦手な人は注意。 で、「1」ってことは当然次巻に続くわけですが、引きがあまりにもひどい。今時「敵が目前にいてまさに殺されそう、絶体絶命大ピンチ!」で引く話があるなんて。とっとと続き出してください。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 異形を狩る者 熱砂の星パライソ1 (宝珠 なつめ/C★NOVELSファンタジア) 飛べない魔女1 (川瀬 夏菜/花とゆめコミックス) ラピスラズリの王冠がよかったので(ry 頑張る女の子主人公は大好き。サブキャラの出番が後半少なかったのがちょっと残念でした(ロゼットやデリスもっと見たかった)。あと、メルフォで「知らない国の物語」もお勧めされたのでamazonでポチっと、こっちも楽しみ。 |
___9月23日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 量産型はダテじゃない! (柳実 冬貴/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 14歳の天才技術者ヘキサは、敵の攻撃を受け砂漠へと脱出した。追いつめられた彼女は、そこで妙な建物を見つけ中に入る。それでも進退窮まり再起動した一体のUD・通称ナンブは、旧時代の量産型で超オンボロだった!? 今月のもう1人の富士見の新人さんの作品、技術者の少女とおとぼけ量産型ロボットが主役の熱血ファンタジー。 女の子主人公でもやっぱりロボはロボだった。自分はロボに燃えないしロマンを感じない人種なので、基本的にロボ物には手を出さないようにしてるんですよね(フルメタすら途中で読むのやめたくらい)。それでも主人公女の子なら違うかな(琥珀の心臓とかも見かけはロボだったし)と思って手を出してみたんですが、中身がもろに熱血で気合で根性な作りで好みとは大分外れてました、恋愛要素もなかったですし。でも熱血物としては、絶望の後の立ち上がり方とかなかなか熱く描かれていたので、こういうの好きな人にとっては当たりなのではないかと。 ただ、量産型量産型とくどいほど連呼する割に、その量産型が異常な力を持っているのが少し気になりました。量産型をこんな強調するなら、オプション何もなしでいってほしかったなと。力の手に入れ方がご都合主義だったので余計にそう感じられました。 評価 ☆☆★(5) |
___9月21日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 沙の園に唄って (手島 史詞/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 3年前に記憶と故郷を失い、""森の魔女""と恐れられてきた少女リッカ。優しい唱術士と無愛想な傭兵に出会い、自分が伝説の「神子」だと知るが――。<詞>が織りなす美しき第19回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作! 9月は富士見の新人さんの月、佳作受賞のこれは「詞」と「音」で紡がれる世界が舞台、「森の魔女」と呼ばれる少女が主人公の本格ライトファンタジー。 新人さんらしい荒削りな作りでしたが、結構面白かったです。前半は、「魔女」と恐れられて1人きりで何年も森で暮らしていた主人公のリッカが街に出てきて人と触れ合って〜、といった内容。ここは人の暖かさの描写が上手いし、結構練られてそうな設定が見え隠れしたりもして、文句なしの出来でした。一方、後半は色々詰めこみすぎて超展開気味。リッカの過去を中心にした本筋の部分は王道でいい話なんですが、詞と音の世界を見せようとしすぎてぐちゃぐちゃになってしまった印象を受けました。そのせいで、もうちょっと上手い見せ方なら「おおっ」と唸れたところが「へー」で終わってしまいました、もったいない。 あと、女主人公で一人称なのは素晴らしいんですが、乙女的観点で見るとちょっと微妙。ヒーロー役のカインにいまいち萌えないんですよ。頭なでなでから一気にラブに飛んじゃうのが唐突に思えたし、村で一緒に暮らしていたお兄ちゃんの方が断然かっこよく見えてしまって。どうせならお兄ちゃんルートでいってくれればよかったのに。リッカの愛しい発言もあったし、こっちの方がしっくりきます。 まあ各パーツはいい感じなので、次回作はもっと面白いのが出てきそうです。一作で消えませんように。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 沙の園に唄って (手島 史詞/富士見ファンタジア文庫) 量産型はダテじゃない! (柳実 冬貴/富士見ファンタジア文庫) |
___9月20日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 死神姫の再婚 (小野上 明夜/B's-LOG文庫) 【amazon】 《あらすじ》 没落貧乏貴族の娘で14歳・天然系のアリシアは、後見人の叔父により借金の返済と持参金目当てのために家名が欲しい金持ちへ嫁ぐが、なんと結婚式の途中新郎が急死してしまう!! この『事件』がもとで『死神姫』と呼ばれてしまったアリシアだが、なんと再婚話が持ち上がった。相手は新興貴族の成り上がり者でとかく噂のある〈強公爵〉ライセン。馬車に揺られて着いた先は、恐ろしげな装飾を施された屋敷と結婚相手ライセンの愛人と主張するメイドのノーラ!? 彼女の前にどんな未来が待ち受けているのか? 第1回B's-LOG文庫新人賞優秀賞受賞・第9回えんため大賞ガールズノベルズ部門奨励賞受賞作! 今月のB's-LOG文庫の新人さんの作品、横暴と噂される領主のもとに嫁ぐ天然少女が主人公のファンタジー。 悪評を見ないし、メルフォでもお勧めされただけあって、なかなか面白かったです。もっとシリアス系を想像していたんですが完全にコメディですねこれ、個人的にはバカ小説認定してもいいくらい。というのも、主人公のアリシアのキャラがぶっ飛びすぎなんですよ。一般的な貴族の趣味には興味なくてお金とホラーが何よりも大好き、これだけならよくある変てこ設定。旦那の愛人の嫌がらせに全く気づかないところか親切だと思ってしまうのも、天然ならしょうがないと受け入れられる範疇。が、結婚式で新郎が死んでも全く動じない、旦那に愛人がいるのを笑って完全に容認、ここまでくるとどうみてもネジが飛んでます。自分はお馬鹿なコメディだと思って読んでいたので、奇行な言動の数々を楽しめましたが(特に暗殺者関連がお気に入り)、受け入れられない人も結構いそう。 お話の方も、先が読める作りでしたがしっかりした出来。ただ、恋愛要素が最後に少し盛り上がるだけで薄めだったのが残念(旦那様にはもうちょっと段階的にデレてほしかった)。あとがき読む限り色々引き出しありそうな作家さんなので、次回作も楽しみ。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 死神姫の再婚 (小野上 明夜/B's-LOG文庫) 創世の契約2 鋼の風 (花田 一三六/C★NOVELSファンタジア) 学園アリス14 (樋口 橘/花とゆめコミックス) ラピスラズリの王冠1 (川瀬 夏菜/花とゆめコミックス) ラピスラズリの王冠2 (川瀬 夏菜/花とゆめコミックス) ガーリッシュシーズンがバリエーション豊富で結構いいラブコメだったので、川瀬さんの他の漫画にも手を出してみることに。 |
___9月18日(火) |
あ…ありのまま起こった事を話すぜ! 『買った死神姫の再婚を読もうとページを開いたら、封縛師と書いてあった』 乱丁だとかダブり買いだとかそんなチャチなもんじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を 買い間違えました。なんか1年に1回くらいは間違えている気がしますよ。しかもよりによって、本ブン投げ級のあとがき読んで以来ブラックリスト入りしている流星香……。amazon先生にもっと頼ることにしよう。 【今日読んだ本】 ◆ シャーロキアン・クロニクル4 スリーピング・ビューティ (真瀬 もと/ウィングス文庫) 【amazon】 画像は公式で。 《あらすじ》 婚約中のデレクとマチルダが巻き込まれた呪いの人形事件。それはシャーロック・スコット・ホームズがモリアーティに贈った悪意のメッセージであった……。表題作、ヴィーことモリアーティがワトスンと再びコンビを組む「プレジャー・プリンシプル」の他、書き下ろし「天使は夜のかけら」を収録したシリーズ第4弾!! 真瀬(×ませ ○まなせ 4巻のあとがきではじめて気付きました)さんがおくる、ホームズ設定をアレンジしたミステリー仕立て小説「シャーロキアン・クロニクル」第4巻。 え、ちょ、それは聞いてない。自分みたいなホームズ初心者にとってはホームズ=あのホームズなわけで、まさか今まで出ていたのがシャーロック・ホームズじゃないなんて想像だにしてませんでしたよ。確かにモリアーティのライバルとしては物足りないなと思ってはいたんですが。代わりに出てきた本物のホームズは……また随分と人間としてぶっ壊れた奴だなあ。好きになれそうにないキャラですが、頭のキレはモリアーティ並みだし随分と外道な奴なので(過去のほじくり返しがいやらしすぎ)、なかなかいいライバルになってくれそう。ホームズのジャブが決まって次巻で第2ラウンドって感じですか、モリアーティのさらなる動揺が楽しみ。 他にもワトソンが古傷をさらに突っつかれたりと見所色々ありましたが、一番よかったのは順調に関係を深めているデレク&マチルダを見れたことかな。つまらない悩みを一瞬で晴らしてくれる言葉にマチルダの素敵さを改めて確認、デレクもしっかりしてきて、もうこの2人は心配なさそうですね。 残り2冊、すでに揃えているので今月中には。 評価 ☆☆☆★(7) |
___9月16日(日) |
自室捜索の末、煌夜祭発見→再読。何度読んでも泣きそうになるから困ります。 【今日読んだ本】 ◆ 明日の夜明け (時無 ゆたか/角川スニーカー文庫) 【amazon】 画像はありません。 《あらすじ》 一週間後に文化祭を控えた夜見月高校。早宮功も展示の準備を終え帰宅しようとした時、校舎を大地震が襲った。崖崩れのうえに電話も不通、さらに触れただけで激痛がはしる霧のため校舎は陸の孤島に。功たちは脱出方法を探すが3年生の松原や教師尾造を死体で発見してしまう。この校舎の中に殺人鬼が!?パニックに陥る生徒たち。しかしそのなかで、ある少女の姿を思い浮かべる女生徒がいた。第6回スニーカー大賞優秀賞受賞。 結構昔のスニーカーの新人賞受賞作品は閉じ込められた夜の学校が舞台、内部に取り残された生徒はどこか欠けたところがある者ばかり、そして一人一人と殺害されていく生徒たち、事件の背景には過去に起きた自殺劇が――、といった感じの学園青春ホラーミステリー。 これは長らく積んでいたのがもったいなかったと思わされるくらい面白かったです。ホラーって楽しみ所がいまいち分からなくて苦手なジャンルなのですが、これは得体の知れないところがある怖さが主人公たちの身近に生々しく感じられて、時折読み進める手を止めてしまうくらいでした。きっとこういうのが上手いホラーなのでしょう。 ミステリーとしての出来もよくて、後半の二転三転には見事に騙されました。一段目は予想できてましたが、あちこち張られた伏線には気づいてませんでしたし。それどころか「おいおい詐欺だろふざけんな」とまで思いましたし。……もうちょっと推理して読んだ方がいい気がしてきましたよ。いやでも、全てが明かされた後の清々しさが人よりも味わえたのでいいことにします。事件の中での主人公の成長もはっきり見てとれたし、タイトル通りの前向きな終わり方で大満足でした。 これは他の作品も、と書きたいところなんですが、これ一作で消えちゃってるんですよね。生き残っていれば今頃は越境系の作家として活躍ができていたかもしれないのに、残念。 評価 ☆☆☆★(7) |