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___10月31日(水)


【今日読んだ本】

日本上空いらっしゃいませ (佐々原 史緒/HJ文庫)amazon



《あらすじ》
 今は平凡な暮らしをしているが、過去に訳ありの主人公・峰岸光の元に、ミネギシヒカルを名乗る女の子がやって来た。ヒカルは日本上空に突然現れた浮遊王国の王女だという。光に憧れていたというヒカルと光の異文化交流あり、ドタバタあり、ちょっといい話なりのラブ・コメディ。


   佐々原さんがファミ通以外から出したはじめての作品は、異世界の姫が空から降ってくる文字通りのオチモノラブコメ。
 面白かったー、コメディとしては今までの佐々原作品の中でも一番かも。まず設定の時点で完敗です、なんだよスズキ・イチロー女王って、馬鹿じゃないの(誉め言葉)。異世界と日本との常識や文化の差がこれでもかというくらいネタとして盛り込まれていて、それを佐々原作品いつものツッコミタイプの主人公視点から眺めたら、笑わずにはいられないです。大笑いはそれほどなかったですが、コンスタントに笑う箇所があって飽きませんでした。ただ恋愛面は、今まで佐々原さんが書いてきた珍妙なカップルたちに比べると普通すぎてちょっと物足りないかも。異次元の姫君と一般人との恋愛が普通って、今までどれだけおかしかったんだって話ですが。とはいえ、ヒカル子に光がだんだん惹かれていく様子は微笑ましくはありました。
 あと、「頑張れ」という言葉の残酷さが目に止まりました、確か「コンビネーション」とかでも出てきたなあと思い出して。言葉って難しい。
 普通にいけば絶対に幸せになれないだろう2人が、どう力技で問題を片づけるのか、これからもネタ切れずに笑わせてくれるのか、続きも楽しみです。


評価 ☆☆☆★(7)



廻想庭園3 (真瀬 もと/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 日本から戻ったものの、エリックの巧みな工作に妨害され、謎解きを進めることができない時弥。しかも、意識をアンディの記憶とシンクロさせた時、「ローズマリーの肖像画」が燃やされた瞬間を視てしまう。だが誓いを破り、ついに描く決意を固めた時弥を、アンディにとり憑かれていた画家サヴァンの悪意が襲う。そして、新たにもたらされた意外な真実とは……!? 生者と死者それぞれが胸に抱く狂おしいほどの執着、時計じかけのホーンテッド・アフェクション!!


   幽霊にとりつかれた絵描きの少年をはじめ、どこか病んだ人たちがたくさん出てくるヤンデレ小説(嘘)「廻想庭園」第3巻。
 佳境に入ってきて、ようやく時弥にとりついていたアンディの過去が大分見えてきたわけですが、ああこれはアンディ怒ってもしょうがないや。ローズマリーの死から立ち直りかけている時のひどい裏切り。エイドリアンそれはやっちゃいけないだろー。裏切られた後のアンディの行動は確かにひどすぎるけれど、エイドリアンの独占欲のほうが罪が重い気がします。2人の間柄はエリックとラルフの関係と対比しているんでしょうね、色々絡み合っててあんまり理解できてないんですが。
 時弥は弟との再会を機に荒れるのかなと思いきや、案外落ち着いていました、アンディやドリスのおかげですね。ドリスの好意に気づかない時弥の鈍感っぷりはひどいですが、それでも時弥とドリスの距離の描き方はかなり好き。「うるさい言葉の群れからも、そんなふうな言葉が拾いだせるのならば、ドリスが喋りつづけるのも悪くはないかもしれないと思う。」 1巻の頃はただ拒絶していた時弥が、偏屈な気質は変わらずとも受け入れられるようになってよかったなあ。
 ラルフはようやく吹っ切ったようですが、こっちはどうでもいいや。時弥が絵を描くことはできるのか、ドリスの恋はどうなるのか、最終巻もすぐに。


評価 ☆☆☆★(7)



___10月30日(火)


【今日読んだ本】

流血女神伝 喪の女王8 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 多くの人の協力を得て、ついにガンダルクを脱出したカリエ。エドや娘のセーディラと無事合流できるのか? そして崩壊しはじめたルトヴィア帝国の運命は!? 大河サバイバル・ファンタジー完結編!


   全27巻にわたる人と神の物語「流血女神伝」もついに最終巻。当然のごとくネタバレなので反転。
 読み終わっての心境は、満足感と終わってしまった寂しさが半々くらいでした。無慈悲な出来事も多かったですが、大体はこれまでの話から十分ありえることでしたし、終章手前からは滅びの中でも悲壮感のない前向きさで、終わりにふさわしかったと思います。ただ、これでカリエたちは見納めかと思うと残念な気持ちもやっぱりありましたね。
 以下は中身の感想、とりあえず神方面から。まずは、タイアスばーか! ある意味ドーンの同類とはいえ、タイアスがお馬鹿な考え持たなかったらと思うと、どうしても恨みつらみが先にきてしまいます。姿形が全然見えなかっただけになおさら、ザカリアは彼女なりに頑張ってたのは分かったし、悪感情は持たなかったんですが。それにしてもザカリアがここまで人っぽく登場するとはびっくりしました。かなりの力技な気もしますが、カリエやラクリゼが辿ってきた道筋を考えるとこのくらいあってもいいかなと。
 人間方面は、えーとアルガ最強? いや、一番闇が深かったイーダルを救ったのは彼女なわけで、喪の女王の影の主役と言ってもいいかも……さすがにいいすぎですか。サルベーンもようやく女神から開放されてよかったなあ。彼の一生はカリエに次いで波乱と苦難に満ちたものだった印象があります、改めて最初から振り返りたいところ。ラクとは会わないと言っていましたが、いつかは再会していますように。カリエとエドについては収まるところに収まった感じなので、今さらあえて語ることはなし、兄上の手記が大体表していますしね。それにしても、この最終巻で「帝国の娘」時代の回想や伏線を持ち出してくるのはずるいよなあ。ドーンとロイのやり取りには年月の重みがずっしりと感じられました、やるせないなあ(これは砂の覇王時代だったかも)。時間がとれたら是非1から読み返していきたいです、結末が分かってると色んな台詞が凄く感慨深いでしょうし。
 死んでいった人の中で特に記憶に残ったのは、グラーシカとオレンディア。グラーシカはほんともうかっこいいとしか言いようのない気高い死に様。3巻あたりで煮え切らないとか文句言ってすいませんでした。オレンディアは、彼女自身の死に方よりはその後のギアスたちの船上たちの会話が重たくて。死亡連発のこの巻の中でもこの場面が須賀さんの容赦のなさを一番感じました。ギアスは帰れなくて幸せだったかも。
 ちょっと残念だったのがバルアン。随分影が薄かったのは物語の中心から外れた人なのでしょうがないとして、最期の描かれ方があまりにも……。もうちょっと満足行く死なせ方にしてほしかったと思うのは、バルカリ好きの感傷でしょうか。そのバルアンに引き取られたフィンルが完全に放置だったのは、今後の子供たちサイドのお話で描かれるんでしょう。アフレイムの成長も気になるし、ちゃんとそのうち発売されますように。
 リアルタイムで追いかけられたのは約5年、毎巻発売が非常に楽しみでした(喪の女王はタイミング合わずに途中積んでましたが、一気読みも最高でした)。これだけのものを読ませてくれた須賀さんに心からの感謝を。


評価 ☆☆☆☆★(9)


【今日購入したもの】
 流血女神伝 喪の女王8 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)
 グランドマスター! 呪われた女騎士? (樹川 さとみ/コバルト文庫)
 愛玩王子 〜瑠璃色の卵〜 (片瀬 由良/ルルル文庫)
 日本上空いらっしゃいませ (佐々原 史緒/HJ文庫)
 響け!世界を統べる唄 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)
 鎖衣カドルト (吟 鳥子/ウィングスコミックス)

 新刊とか「みんな読め」と波動が飛んできたものとか。



___10月29日(月)


【今日読んだ本】

廻想庭園2 (真瀬 もと/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 「青の少女」と「追想」という二枚の絵に、ローズマリーの肖像画との隠された関連を感じとる時弥。だが、弟の行宏から送られた一通のエアメールによって、時弥は謎解きを中断し、日本への一時帰国を決意する。身勝手で非協力的な幽霊、アンディとともに??。ラルフとエリックとタマラ、アンディと親友エイドリアン、時弥と行宏の間に横たわる感情の行方は、喪われた絵だけが知っているのか……!? 消しされぬ過去、そしてまだ見えぬ未来、時計じかけのホーンテッド・アフェクション!!


   幽霊にとりつかれた絵描きの少年(今は過去に弟を傷つけたことが原因で絵を描かなくなっている)が主人公の人間ドラマ「廻想庭園」第2巻。
 なんというかライトノベルらしくない痛くて深いお話(少なくとも今まで読んだウィングスの中ではダントツに一般寄り)。1巻の時点で登場人物の大半は過去に何らかの事情を抱えていて病み気味だったわけですが、この2巻ではその過去がえぐられていくわけで、それは痛々しい話が展開されています。特に、日本に帰って過去と直面する時弥メインの話が重たかった、昔傷つけた弟の精神の異常が想像以上。引きずり込む底無し沼のような発言をする上、「予兆に触れないように眠り箱をつくった」みたいな比喩表現が壊れっぷりを増長させていて恐ろしかったです。あと、単純に時弥の行動が悪かったわけではなく、時弥の才能が悪かった事実が提示されるのがまたえぐい、幸せだった時代まで崩してくるとは。少し整理はついたものの、まだまだ波乱はありそうです。
 ラルフとエリックとタマラの三角関係(実質はタマラおまけのBL)は、どうにかなりそうなのに悪化していくのがもどかしいです。ラルフと親友としてつきあいたいのに、立場的に上であるがゆえにうまく接することができないエリックには共感できるんですが、ラルフの考えには納得いかないんですよね。この人もまた重たい過去を背負っているんですが、もうちょっと素直になれば全て丸くおさまるのに。
 そうだ、「恋は落ちるような速度」などと、恋愛を速度で表現しているのが印象に残りました、友情と恋で速度が違うから噛み合わないのは納得。自分がいくつかのBLに納得できないのは、この速度がいきなりフルスロットルになるせいなんだよなあ。
 アンディの過去も少しずつ明かされ、だんだん面白くなってきました。ドリスとの恋が進展しているのも嬉しい誤算、続きが楽しみ。(でも挿絵、特に女の子の絵がひどいのはマイナス)


評価 ☆☆☆(6)



___10月27日(土)

 ウィングスCOMP進行中。初期BLの壁はなかなかしんどい。


【今日読んだ本】

時砂の王 (小川 一水/ハヤカワ文庫JA)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 〈時をめぐる大いなる戦いの果てに――著者が満を持して挑む、初の時間SF〉時間線を遡行して人類の完全なる殲滅を狙う謎の存在。絶望的な撤退戦の末、男は最終防衛ラインたる3世紀の倭国に辿りつくが……


   小川一水久しぶりの新刊は、卑弥呼をはじめとする倭国の住民と26世紀の人造メッセンジャーとが力を合わせて、地球侵略を試みる謎の戦闘機械と戦う壮大な時間SF。
 ……与太みたいなあらすじですがこういう話です、こんなスケールでかい話を説得力もたせて書ききるんだから凄い。この物語の見所は、なんといってもメッセンジャーのオーディルの生き様。人と人ではない者の恋愛、永遠が確定している別離、いくつもの時間枝での希望の薄い戦い、長い長い人生を通して何を救うべきか考える姿は、漢と呼ぶにふさわしいかっこよさでした。サヤカとの暮らしがその後の生き方に反映されているのがはっきり分かるのがいいなあ。時間枝などのタイムパラドックスの設定も詳しく書かれていて面白かったです。
 その一方で、卑弥呼の成長や倭国民とETとの戦いといった旧日本を舞台とした部分はいまいち楽しめませんでした。淡白、とまではいかないですが、オーヴィルのかっこよさと比べるとどうも胸が熱くならないというか。高日子根や幹が微妙だったり、恋愛の描き方が好みじゃなかったり、と理由は挙がるんですが、単純に倭国舞台の話が好みじゃないだけかも。ちょうど「復活の地」を再読していたのもあるかなあ、こっちは再読なのに3巻400ページ超えを一気読みでしたし。
 というわけで、面白かった反面、個人的には物足りなさも残る話でした。好みだったら傑作になりうる雰囲気はもっていただけに残念。


評価 ☆☆☆★(7)



MIND SCREEN4 (結城 惺/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 二人には、互いに知らない時間が存在している……。久志と出会い、恋を知り、“仲間”をも得た俊一。時折、久志の過去の時間を知る人たちへの微かな嫉妬を覚えながら。けれど、俊一は知らない。叶わぬ恋を胸に抱いて、二人を見つめる切ない瞳があることを……。シリーズ3三篇を収録。文庫化第四弾!!


   ウィングス初期の音楽青春BL「MIND SCREEN」第4巻。
 うわ、短編によって当たり外れ大きいなあ。三篇のうちはじめの2つは高校時代のお話、つまり久志が俊一と一緒にいる時代が舞台、ひいては俊一がぐじぐじとウザったいお話。というわけでこの二編はどうでもいいんですが、久志の従姉弟の香奈里が主人公の残る一篇が気にいりました。
 簡単にいうと、俊一のことをずっと好きだった香奈里が悩んだあげくに俊一たちの側に戻るお話。どうして俊一がこんなにモテるのか不思議だったり、俊一の周りがみんないい人すぎ(俊一と久志の関係を認めちゃう)なところにご都合主義を感じたりはするんですが、そんなのは抜きにして香奈里の乙女心の描写がよかったです。よりによって従姉弟の久志に思い人を奪われて、そんな状態で高校時代ずっと側にいつづけて、絶対報われないと分かっているのに離れてもずっと思い続けてる、無茶苦茶一途でいい女の子だなあ。こんな香奈里の気持ちに気づかない俊一は腹をかっさいて死ぬべきだ。ほんとBLじゃなきゃ楽しめそうなのに、重ね重ね惜しい。


評価 ☆☆☆(6)



Cotton1 (くりこ姫/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 「伏(ふせ)、おまえはおれと結婚しろっっっ!!」。大徳川(だいとくがわ)家の御曹子・親兵(しんぺい)は、ずーっと年上で、キレイでやさしい伏に恋をした。小学生の親兵と、三十も過ぎた伏のこと、障害も多々あった。なにより伏には七人の恋人がいたのだ!! スーパーお坊っちゃま・親兵は、果たして伏をおとせるのか!?


   ウィングス初期のBL作品、お金持ちの坊ちゃんと7人の恋人持ちの謎の青年との現代BL。
 だめだ、ついていけない。何故友情じゃなくてBLなのかの理由が分からない現代BLってだけでもかなりしんどいのに、7人の恋人を囲っている伏が超越的な人物として描かれていて、好かれるのが当たり前って感じなのが理解できないです。7人を掘り下げてる暇があったら伏をちゃんと描けと。わがまま坊ちゃんの親兵を伏がなんでこんなに気にいってるかもよく分からないし、女の子もほとんど出てこないし、こういうBLはやっぱり苦手です。これが全6巻とかじゃなくてよかった。


評価 ☆☆(4)



Tears Roll Down4 (鷹守 諌也/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 レイヴンの養女・アリスが邪魔な〈赤の女王〉は、彼女に刺客を差し向ける。だが、アリスを狙った銃弾は、身を挺してかばったレイヴンの胸を貫いた!! レイヴンは、深く、昏い過去の夢の中に堕ちていく。甘く、切なく、愛おしい。そして、恐怖と絶望に満ちた忌まわしい悪夢の中へと……!! 人気シリーズ、衝撃の第四巻!!


   昔は純真だったのに、ある事件をきっかけにすっかり歪んでしまった青年仮面師が主人公のファンタジー「Tears Roll Down」第4巻。
 ついにレイヴンの過去がかなり明かされたわけですが、うーんあんまりレイヴン応援したくならないなあ。確かに昔のレイヴンは幸せそうで、奪われ方は理不尽なんですが、応援するには現在のレイヴンが歪みすぎなんですよ。ドードーにかなりひどいこともしてましたし、ちょっと自分勝手すぎ。それに、どうみてもぶっ壊れている「白の王」を信じていた昔のレイヴンにも少し問題ある気がします。そもそもどうみても歪みきった「白の王」や「赤の女王」を冠していて、どうやって平和な楽園が成立していたかも疑問なんですが。
 まあ要は、もっとチェシャ猫だせよということで。きっと無理ですけど。


評価 ☆☆★(5)



___10月24日(水)


【今日読んだ本】

〈本の姫〉は謳う1 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア)amazon

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《あらすじ》
 滅日により大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な文字〈スペル〉を回収するために、少年は旅に出る!――第2回C★NOVELS大賞受賞作家・多崎礼の新シリーズ、満を持して登場!!


   「煌夜祭」の多崎さんの待望の新刊、文字が存在せずスタンプが伝達手段となっている世界が舞台の冒険ファンタジー。
 OKOK、さすがに煌夜祭には及びませんが、長編の第一巻としては十二分に面白かったです。出会いをすっ飛ばしていきなり旅の途中からはじまるせいで少し入り辛かったですが、それも冒頭だけ。スペルを集める少年アンガスが主人公の現代と、幼少時から隔離されて育てられた男の視点で描かれるオーバーテクノロジーの過去、2つの時代が交互(比重は現代が多め)に語られていくうちにちょっとずつ世界のことが分かってきて、分かるとどんどん知りたくなる好循環。スペルとは何なのか、過去に一体何があったのか、アンガスの秘密は?、姫様って何者? などなど気になることばかり。冒険もちゃんと山あり谷ありで盛り上がりあったし、やっぱり多崎さんはうまいなあ。
 姫様は意外とアンガス思いでかわいらしいし、他にもかっこいいヘタレのジョニーをはじめいいキャラクター揃っているんですが、キャラよりもまず物語(世界)ありきな感じですね。情報量多くて若干読みづらさを感じるところもありましたが、面白さが上回ってました。
 新刊が出たのももちろん嬉しいですが、それよりも遅筆じゃないのが分かったのが最高ですね、もう全部書きあがっているなんて! 2、3ヶ月おきに新刊が読めそうです、幸せ。もちろん続きも発売日買いで。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 〈本の姫〉は謳う1 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア)
 時砂の王 (小川 一水/ハヤカワ文庫JA)



___10月23日(火)

 ついに明日です。あまり期待しないようにしつつ、期待して待ちましょう。時砂の王も出るし、どっちから読むか贅沢な悩み。


【今日読んだ本】

BLACK BLOOD BROTHERS 8 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 宣戦恋歌― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)amazon



《あらすじ》
 特区から逃れ、十字軍の本拠地のシンガポールに身を寄せたミミコは、新しい対吸血鬼組織のシンボルになることを要求される。さらに豪王フォワードからも政略結婚の申し込みまで受けて……!? 急展開の長編第8弾!


   人間と吸血鬼による愛と戦いと融和の物語(?)「BLACK BLOOD BROTHERS」第3部突入。
 うわー、溜めの巻なのに無茶苦茶面白い。7巻が激しすぎる盛り上がりだったのでペースダウンするのかと思いきや、登場人物多いだけあってメインキャラたちのその後の動きだけでも相当のボリューム、初期の吸血鬼たちが登場する意味深なプロローグに、名前だけ登場していた重要人物の表舞台への登場まであって、気の休まる暇のない内容の濃さ。九龍王への宣戦布告シーンとかワクワクせざるをえませんよ。一番印象に残ったのはあの人のあの姿なんですけどね、その発想は全くなかったです、すごいなー。9巻が無茶苦茶楽しみです。
ただ、一点だけ気になるのが、スーパーミミコと落ち込みミミコのあまりのギャップの激しさ。昔なら気にしなかったかもしれませんが、クイーンM編のせいでミミコ像が崩れちゃったんですよね。どうもそのせいで、色んなミミコが1つに重なりません。前向きになったミミコはそりゃーもうかっこいいんですが。クイーンMはやっぱり悪ノリしすぎだったと思います。あのミミコは忘れよう……。


評価 ☆☆☆☆(8)



ビジュアル7 学園祭は命がけ! (辺見 えむ/B's-LOG文庫)amazon



《あらすじ》
 間近に迫った鴛舞学院の学園祭。異常なやる気をみせるジュリアが提案したクラスの出し物は、「男女逆転メイド喫茶」!? 混乱する千晶をよそに、常識を軽やかに超えた(なんといっても入場料三万円)学校行事の準備が始まる……ってだけでも大変なのに、学園祭の目玉として展示されるレオナルド・ダ・ヴィンチの未公開作品(!) を狙う一味にも目をつけられてしまい……? 新登場のビジュアルにも大注目です!


   金持ち美形変人の「ビジュアル」たちがわんさか登場する、notラブなはちゃめちゃコメディ「ビジュアル7」第2巻。
 これは凄い。何が凄いって、これだけ美形が揃って、ラブ方向に微塵も行く気配がないのが凄い。2巻だしラブ寄せしてくるんじゃないかと思ってた自分が甘かったです。こんなに逆ハーな設定なのに、なんでダヴィンチの絵を狙う犯罪組織に何度も銃で狙われたりするんだろう、変だなあ(誉めてます)。ビジュアルの変人っぷりはややパワーダウンしている(慣れもあるかも)ものの、ダヴィンチ関連の薀蓄を交えつつ未公開作品の謎に迫るストーリーは1巻より面白かったし、メイド喫茶でのビジュアルたちのおいしい姿もあったりして、一短一長でした。ただ、新登場のビジュアル2は、想像の範疇に収まる普通(?)の変人で残念でした、出番も少ないですし。残るビジュアル7は多分喫茶店にきたあの子が関連してくるんでしょうね。あの傲岸不遜っぷりは色々騒動引き起こしてくれそうで、本登場が楽しみです。


評価 ☆☆☆(6)



___10月20日(土)

 ちんたらやってると終わらないので、ウィングスCOMP加速中。多分すぐ息切れしますが……。


【今日読んだ本】

牡丹の眠姫 崑崙秘話 (紗々 亜璃須/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 道姑(どうこ)である瑞香は、仙界の統治者・元始天尊の命をうけ、楊ぜん、なたく、翼宿(よくしゅく)と共に、妖怪退治のために人界に赴いた。鍵を握る崑崙の珠を追う瑞香の前に、華林公主(かりんこうしゅ)に呪いをかけた狐精(こせい)がついに姿を現した!「思い出させてあげる、あなたの全てを」ほくそ笑む狐精は、“風の精”として育った瑞香の、封印された記憶を解きはじめる……。いま、瑞香に明かされる過酷な試練とは!?霊珠がもたらす運命を描く3部作第2弾!!


   なんとなく紗々亜璃須な気分になったので積みの山から手に取った、崑崙の仙人たちの中華ファンタジー2作目。
 紗々亜璃須なのにラブがたりねええええええええええええええ! 自分の中で「紗々亜璃須=ラブラブ中華ファンタジー」という図式が頭にあったので、ラブの薄さにかなりがっかり。ベタラブがあってこその紗々さんだと思うんですよ。まあ、3部作の第一作の内容覚えてれば期待しなかったはずなんですけどね!
 中身は「なたく」やら「ようぜん」やら「だっき」やらが出てきて仙界でのバトルもあったりとかなり派手、封神演義好きなら楽しめるんじゃないでしょうか。自分としては他の作品に比べるといまいちだったのですが、久々に出てきた瑶姫が相変わらずかわいらしかったのがよかったですね、華林にキスしようとするようぜんに間髪いれず蹴りをかますシスコンっぷりが素晴らしい。ここまで読んだので、3部作の3作目もそのうちに。


評価 ☆☆☆(6)



廻想庭園1 (真瀬 もと/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 天才少年画家として脚光を浴びたこともある高崎時弥は、弟の心を深く傷つけ、自殺未遂にまで追い込んだことから、今は家族と離れてイギリスで暮らしている。自らへの罰として、絵を描きたいと願うことを禁じて??。ところが、彼の後見人エリック・カニンガムの屋敷で、少女の姿をした幽霊が見えてしまったことから、時弥はその幽霊と承諾しがたい“契約”を結ぶはめになり……!? すべての期限はたった一年、時計じかけのホーンテッド・アフェクション!!


   モリアーティ小説「シャーロキアン・クロニクル」の真瀬さんの別シリーズ、今度は現代のイギリスが舞台の人間ドラマ。
 騙された! またあらすじに騙された! 「少女の姿をした幽霊が見えてしまったことから」の部分を読んで歓喜、そして出てきた幽霊の中身が伯爵(♂)で絶望。これはひどいあらすじ詐欺です……。
 内容は、複雑な三角関係を形成している男2人女1人のもとに、過去のトラウマと事件のせいで絵を書かなくなった少年画家(主人公)がやってきて、彼には歪んでいる幽霊伯爵(過去に何かありそう)がとりついて、この先どうなることやら、といった感じのお話。なんか、真瀬さんや鷹守さんの作品にはいつもひねくれている青年が出てくる気がします、それよりは女の子をもっと出してほしいんですが。脇役の直情タイプの女の子はやっぱり今回もかわいいのでもったいないです(紅一点だからかもしれませんが)。今回はそれに加えてBL風味がいつもより濃いのが少し辛い(三角関係の男2人がそういう仲に落ち着きそう)。そういうわけで三角関係にはあまり興味ないので、伯爵の過去と、主人公の時弥がどう立ち直っていくのか、時弥とドリスの間にラブは発生するのか(多分無理)、そのあたりを楽しみに読んでいきます。


評価 ☆☆★(5)



MIND SCREEN3 (結城 惺/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 久志との恋に、すべてが変化してゆく。変わりゆく世界の中、俊一にもう一つの大切な出会いが訪れる??それは音楽。<サイオン>が今、産声をあげようとしていた……。<サイオン>結成前夜を描く「エールを送ろう」の他、ノヴェルス未収録の「ぜいたくなペイン」を収録。大好評の文庫化第三弾!!


   ウィングス文庫黎明期の青春音楽BL小説「MIND SCREEN」第3巻。
 はいはいBLBL。久志の出番が少なかった2巻はBL色薄かったんですが、今回は久志出ずっぱり、BL波動たっぷり、やっぱりしんどいです。大切な人が側にいることの素晴らしさ、言葉が足らないことによるすれ違い、大好きな人をとられる嫉妬、と描かれていることは普通の恋愛小説と同じなのに、なんでBLなんだろう。男女間だとドロドロしちゃうからかなあ、でも友情でも十分成立する話だと思うのだけれど。とりあえず、このBLが好きになれないのは、ウジウジ俊一のことが嫌いなせいだと再認識。なんで逆ハー状態になるほど好かれるのか分かりません。心理描写自体は丁寧で悪くないだけに残念。あと3冊、久志の出番が多くありませんように。


評価 ☆☆★(5)



___10月19日(金)


【今日読んだ本】

赤い薔薇咲く庭で (水玲 沙夜子/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 天国の手前の街はずれ、伯爵の庭で遊んでいたルドルフは、「黒い鳥の欠片(かけら)」を拾った。庭に咲き誇る赤い薔薇とともに、かつて天上で愛し合ったものたちの名残だという。伯爵からその話を聞きながら微睡(まどろ)みに落ちたルドルフがみた夢に、恐るべき秘密があらわれたのだった……。気鋭の新人が放つ話題作『満月の涙の結晶は』に続く、大型異色ファンタジー!


   眼球小説でデビューした水玲さんの2作目、薔薇が大量に出てくる童話風ファンタジー。
 うーん、「大型異色ファンタジー」を謳うにはちょっとインパクト弱いなあ(少なくとも眼球ほどのインパクトはない)。あらすじに出てくるルドルフや伯爵は完全におまけで、話のほとんどは中世風の王宮が舞台。正体不明の赤い薔薇がそこらじゅうに咲き誇り、城に怪異が次々と起こり、その背景には過去の王宮の事件やさらには天使の影もあって……、といった感じのお話。薔薇の正体が大昔に砕かれた天使のかけらで、それを捜し求める天使がいるというのは「天使のレシピ」をちょっとだけ思い起こさせました(中身は全然違うんですけどね)
 斬新さはさほどありませんでしたが、咲き誇る薔薇の不気味さや童話風の語り口(王には名前がなくて「王様が」になっていたりとか)がなかなか面白かったです。しかし、ブルグンドの意思がどれくらい残ってるのかわからないけど、薔薇の中の人は逆恨み甚だしいなあ。さっさと勝手に姫会いにいけよと。
 続きがありそうな終わり方でしたが、1年近く出てないのを見るとないのかな。伯爵とルドルフの運命が気になるので、出たら買います。


評価 ☆☆☆(6)



MIND SCREEN2 (結城 惺/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 <サイオン>にミニ・コンポのイメージ・キャラクターの話が持ち込まれた。アイドル倉本瞳(くらもとひとみ)とのジョイントの企画だが、彼女はなぜか初めから俊一を敵視していて……!? 「風を感じて」ほか、「サークル・ゲーム」「冒険者たち」「NO RETURN」の四篇を収録した、ピュア・ラブ・ストーリー第二弾!!


   初期のウィングス文庫から発売されたBLな現代青春小説「MIND SCREEN」第2巻。
 あれ、普通に読める。最初の一篇目はやっぱり主人公うじうじうじ&BL波動全開で辛かったんですが、二篇目から大分様変わり。どの短編も主人公が所属しているバンド「サイオン」をメインとしているんですが、メンバー新加入時のゴタゴタだったり、コンサート直前の不安な心だったり、音楽を通して伝えることの素晴らしさだったり、と扱っている内容が至極まともですよ。BLっぽさもあるにはあるけれど、スルーできるレベル。そうか、久志(主人公の恋人)が出てこなければ普通に楽しめるんだ! まあ3巻には出てきそうなんですけどね。


評価 ☆☆☆(6)



Tears Roll Down3 (鷹守 諌也/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
 モニカはデリバリー・ガールの仕事をしながら、常に仮面にその素顔を隠し、いつか自分自身を見失っていた。そんな彼女に舞い込んで来た仕事は……。「ネイキッド・ハート」書き下ろし「夢魔」を収録。


   新書館さんは公式ページの英数字を全角で書くのやめてください、検索に引っかかりませんよ! という愚痴はおいといて、過去に大きな傷を持っているっぽい仮面師が主人公の退廃気味ファンタジー「Tears Roll Down」第3巻。
 えー、チェシャ猫メインじゃないのかー。今回メインの中編が、完全にゲストキャラ中心の話だったのが非常に残念。仮面を使って他人の代役をやってるうちに次第に――、といった感じのいいラブストーリーではあったんですが、ゲストは所詮ゲスト止まりなわけで。せっかくチェシャ猫やアリスがいいキャラなので、そちらメインの話が読みたいです。番外編のドードーとかどーだっていいんですよ!(さらにいえばレイブンの過去も結構どうでもいい) 残り巻数考えると、メインな話はなさそうなので少しがっかり。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 ビジュアル7 学園祭は命がけ! (辺見 えむ/B's-LOG文庫)
 悩殺ジャンキー11 (福山 リョウコ/花とゆめコミックス)
 しゃにむにGO27 (福山 リョウコ/花とゆめコミックス)
 スキップ・ビート!17 (福山 リョウコ/花とゆめコミックス)

 しゃにむとスキビがいつもセットだったところに悩殺がずれこんだせいで、同時に3冊発売という嬉しい悲鳴。