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___6月12日(木)


【今日読んだ本】

踊れ、光と影の輪舞曲 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 故国へ戻るため、アリアは雪と氷の都、ミルヒランド公国に足を踏み入れる。そこでアリアを待ち受けていたのは、砂漠で出会った敵の一味と、敵か味方なのかもわからない新顔と、故郷の懐かしい人物だった。一方、王家に翻弄されるライル、自らの足で歩み始めたシェナン、そしてアリアを狙う黒い影に巻き込まれていくディクス。――それぞれに足掻き続けるなか、ついに開戦の報が届く。動きだす運命の行方は!?


 とっても筆が速い本宮さんによる、女性優位な社会が舞台の幻獣ファンタジー「幻獣降臨譚」10冊目。
 はいはいディクスばかーディクスばかー。なんか最近毎度同じこと言ってる気がしますが、ディクスのおばかっぷりのインパクトが強すぎるので仕方ないです。1巻ではあんなに純朴な青年だったのに……(だからこそこうも染まるわけですが)。シェナンとの対比があまりにも露骨なんですけど、今までの2人の姿見てて、こうなってしまったのが全く不思議でないあたり、上手いなあと思います。
 あとこれも最近毎回言っていますが、アリアが活躍しまくりですね。こちらは少し成長速すぎやしないかという気もするんですが、怪しく頭の切れる相手にも引けをとらない姿がかっこいいんで気にしないことにします。アリア方面は、再会したあの人がどう動くかが楽しみ。(あれ、ていうかあらすじネタバレしすぎじゃ。それ最後の数ページ……。)
 あとがきによると次はラブ強化らしいので大いに期待したいんですが、一体誰と……?


評価 ☆☆☆★(7)



ピクテ・シェンカの不思議な森 王都の夜と婚約者 (足塚 鰯/コバルト文庫)amazon

画像は公式 で。

《あらすじ》
 魔物の住むピクテ・シェンカの森の領主となった少女・ムイのもとに、破談になったはずの元婚約者バレンがやってきた。復縁を迫るバレンに困惑したムイはある奇策を思いつくが…?


 魔物たちが住む森の領主になってしまった少女が主人公の奮闘劇「ピクテ・シェンカの不思議な森」第2巻。
 ちょっと期待している方向とは違いましたが、安定してこの巻も面白かったです。「期待と違う」と言っているのは、1冊まるまる森が舞台の領主話になるかと思っていたから。実際は元婚約者が出てきたりと現実世界が話の中心で、まったりしたお話を楽しみにしていた身としては少しがっかり。でも、人の話を聞かない情熱的な元婚約者とのやりとりを通じて、恋する気持ちを理解しようとする動きが少し出てきたのはよかったですね。それでも本人が誰かに恋心持つまでは非常に遠そうですが。まあ、このシリーズはムイのサバサバして面倒くさがりな性格が魅力なんで、今しばらくこのままなのは歓迎。
 森の住人たちが引き起こす事件は相変わらず「こんなんでいいのかなあ」というぬるま湯な解決っぷり。何せ1巻の黒幕がいまだ完全に野放しですから。この辺はやっぱり物足りなくはあります。キハネの幼さやアーレンの不器用さは微笑ましかったですが、それよりも目についたのがフィンドルの不穏な動き。そのうちムイに対してデレてくれそうな彼が何企んでいるのか、続きが楽しみ。


評価 ☆☆☆(6)



___6月10日(火)


【今日読んだ本】

電脳幽戯 ゴーストタッチ (真名月 由美/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 探偵業を営む鷺浦悠人は、ある青年の死を調査中に「Foolish Children」というウェブサイトを発見する。それは命をかけるゲーム。一方、女子高生の都薙緋真は、友人の川崎真夜が突然姿を消したことで途方に暮れていた。やがてふたりは出会い、ネット上のゲームが引き起こす恐怖の渦に巻き込まれていく――。若い感性が、現代に生きる人間の浮遊感を絶妙に描き出す。ホワイトハート新人賞受賞作!


 今月のホワイトハートの新人さんの作品、ネットで書き込まれるテキストを介して殺し合いゲームを軸にすえた現代ホラー。
 うーむ、期待していたのとは大分方向性が違いました。ゲームっぽいものを期待していたんですが、全体的な雰囲気がかなりホラー寄り。ゲームの形式が「ゴースト」を使って参加者を追い詰めていくもののため、暗闇の中で追われる恐怖の描写などに力が入ってますし、そもそもゲームの存在自体も極一部にのみ語り継がれる怪談めいたもの。ルール説明に2ページ以上割いたりとゲームっぽさもちゃんとあるんですが、あとがき見るにデスノートに影響受けてるようですし(デスノート未読なのでどのくらい影響受けてるかは分かりませんが)、ホラー苦手の自分にとっては楽しさ半減でした。
 あと、実は隠れた主題は、ゲームでもホラーでもなく親父ロマンだという罠。過去に苦い思い出抱えたおっさんが少女との出会いや過去との対面を通して――、というとっても華のない内容。こういうの嫌いじゃないんですけど、思いっきり続き物なのがどうにも。起承があって少し事件起きておしまい、はちょっと物足りなかったです。ゲームって続き物には向かない気がしますし。
 そんなわけで、おっさん好きとホラー好きにはお勧め。


評価 ☆☆★(5)


【今日購入したもの】
 電脳幽戯 ゴーストタッチ (真名月 由美/講談社X文庫ホワイトハート)
 踊れ、光と影の輪舞曲 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)



___6月9日(月)

 まだまだ風来人。


【今日読んだ本】

そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (小田 菜摘/コバルト文庫)amazon

画像は 公式で。">公式で。

《あらすじ》
 母が踊り子だという理由で虐げられてきた皇女エイレーネ。宗教の異なる隣国ファスティマに嫁ぐことが決まり、絶望する。しかし夫となる若き王、アルファディルは驚くべき価値観を持った人物で…!?


 今月のコバルト新人さんがおくる政略結婚ファンタジー。コバルトの何も受賞してない新人さんは別名義かと疑うのが癖になってます、この人は違いそうな気がしますがよく分かりません。
 それはさておき感想、なんだかタイトルが嘘つき気味なお話でした。いや、確かに花嫁が恋を知るお話で、ちょっとお互い惚れるの早すぎかなという気がしなくもないんですが、「一人で嫁ぐ→第一印象悪→意外な一面に……」というベタベタな恋愛展開はなかなかよかったです。ただ、恋愛よりも家族のいざこざとか繋がりが前面に押し出されていたのがとても微妙。単純に恋愛の方が読みたいっていうのもありますし、最初に描かれているひどい家族と、再会した家族に乖離があって違和感あったんですよね、特にお姉さん。お姉さんとの関係は戦友って言葉が近いんでしょうけど、それにしては端々の行動があんまりしっくりこないし、いまいちでした。
 終わり方見るに続きはなさそう。恋愛面はいいので、別シリーズが出たらまた買います。


評価 ☆☆★(5)



___6月5日(木)

 風来人になってくるのでしばらく更新のろのろモードになります。


【今日読んだ本】

ぴよぴよキングダム3 あかりの国のあかり (木村 航/MF文庫J)amazon



《あらすじ》
 あかりの体とチュルリラ姫が融合したあかリラと、あかりの心が実体を持った磐座あかり一世。いきなり2人のあかりが森山家に現れたことで状況が解らず大混乱する一同。そんな騒動のさなか、キャプテンジュリアーノが出現、拓とチュルリラあかりをさらってしまう。そして残されたみんなの前には「婚礼の儀」の招待状があった。――会場は「あかりの王国」。拓を奪還するため、王国へ乗り込むあかりと樹理リス、ブラ麿たち。なんと「あかりの王国」はあかりの魂が創り出した夢の世界だった! 着いて早々メルヘン猫に襲われる一同。あかりたちは拓を奪還して婚礼を阻止できるのか!? 大好評学園ファンタジー第3弾!!


 青春少年少女ファンタジー「ぴよぴよキングダム」第3巻。「2巻の内容忘れているとついていけなそうだし、1、2巻を読み返してから読もう、どうせなら4巻出てから読むか」と思っていたら4巻が出なかったために、積みの中で3年熟成されることになりました。
 で、1〜2巻を読み返していざ望んだわけですが……2巻読み返していても半分ついていけませんでした。現代日本が舞台だったはずが、この3巻では8割方があかりの夢の中の世界で話が進むというトンでもない構成。しかも世界の構成要素が、幼い頃に使っていた毛布(最強アイテム)だったりアウトローな黒猫だったりマザーグースだったりと、とってもメルヘン児童文学な感じ。モチーフになっているだろうアリスとかその辺のメルヘン児童文学系のノリは苦手というかさっぱり分からない自分にとっては、この世界もやっぱりよく分かりませんでした。でも、分からなくてもパワフルさだけはがんがん伝わってくるし、本質的には恋する乙女の暴走ストーリーなわけです。悩んだり嫉妬したりでよく分からなくなって暴走するあかりは大好き、拓もちゃんとヒーローしていて、問題なく楽しむことができました。
 一応綺麗に終わってはいるんですが、あかりパパの伏線とか残ってるの見ると、きっと打ち切りなんだろうなあ、これじゃ仕方ない気もしますが。ジェシカの2巻は無事出るようなので、そちらに期待したいと思います。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 ピクテ・シェンカの不思議な森 王都の夜と婚約者 (足塚 鰯/コバルト文庫)
 そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (小田 菜摘/コバルト文庫)



___6月2日(月)


【今日読んだ本】

多次元交差点でお茶づけを。 (本保 智/角川スニーカー文庫)amazon

画像はありません。

《あらすじ》
 時狭間学園高校。その地下には異次元生物がたむろうホテルがあった。ホテルの存在を知った女子高生まひるは、夜間、そこで働くハメに! しかも支配人はクラスメイトのミサキ。昼間と違い彼はハイテンションで――!


 今月のスニーカーの新シリーズ、怪しげさに惹かれて久々のタイトル買いです。あらすじ流し読んで女主人公であることだけは確認したので、安心して特攻。
 こんなタイトルのくせにお茶漬けの出番が少ない! 絶望した!
 といったどうでもいいこと(個人的にはちょっとがっかりですが)は置いといて、怪しげなタイトルの割には、いかにもスニーカーなお話でした。なんちゃってSFにツッコミタイプの貧乏女子高生放り込んで、分かりやすい変なキャラをたくさんぶち込んでかき混ぜてみたら完成した、みたいな感じ。受ける印象がこないだ読んだ「お・り・が・み」と少しかぶりました。
 で、前半は変なキャラたちがボケや奇怪な行動をとって、主人公が怒って突っ込むワンパターンなコメディが中心、ホテルを訪れる異世界人どもや異世界アイテムがバリエーション豊かで、ワンパターンでも結構楽しめます。が、後半になってシリアス方面に話が進むのがとてもいただけない。明かされるミサキの重い設定は普段の行動と合っていないように見えましたし、シリアスになってから、コメディの時にはスルーできていたホテル経営の杜撰さやチートアイテムのありえなさがすごく引っかかるようになりました。いくらそれっぽい設定重ねようとも、そのアイテムはなあ……。
 そんなわけで、思ったよりも普通のなんちゃってSFでした。もうちょっと際物を期待してただけに残念。


評価 ☆☆★(5)


【今日購入したもの】
 多次元交差点でお茶づけを。 (本保 智/角川スニーカー文庫)



___6月1日(日)


【今日読んだ本】

キャンディ・ポップ (倉吹 ともえ/ルルル文庫)amazon



《あらすじ》
 国をピンチから救うため、カミさま(イケメン男子!)に捧げられちゃった王女アイリス。しかしお願いをしたカミさまの質(たち)が悪かった…。カミの名はザオネイル。捧げモノ(アイリス!)だけ受け取って、一向に願いを叶える様子なしっ。次第にしびれを切らしたアイリスはある事を思いついて…!? 幼馴染みで宰相候補のレジーも巻き込み、コミカルストーリーにラブをもれなくトッピング!


 今月のルルルの新シリーズ、シリアスだった「沙漠の国の物語」とはうってかわったラブコメファンタジー。
 ベタでよろしいお話でした。最初のうちは何とかカミに願いをかなえさせようとするアイリスとカミであるザオネイルの攻防が結構楽しかったんですが、それよりもこの作品のよかったのは中盤、2人が一緒に旅するようになってから。ザオネイルははじめてヒトとして接してくれたアイリスを気に入るし、アイリスもカミ全般に対する偏見とは全然異なるザオネイルに自覚なしにだんだん惹かれていくし、で人外とヒトのお話としてはベタベタながら、とてもいいラブコメでした。あと、腹黒幼馴染レジーの「主人公と仲いいし見せ場もあるけど、どうみても本命キャラに負ける運命」っぷりが完璧だったり、ゲストキャラにもベタラブコメ(バカップルつき)が発生したりと、主人公カップル以外のキャラたちも概ねよかったです。
 2人の恋はこれからが本番、種族の差が大きな障害になりそうな今後の展開に期待。


評価 ☆☆☆★(7)



シャーレンブレン物語 見習い従者と銀の姫 (柚木 空/ルルル文庫)amazon



《あらすじ》
 あらゆる傷と病を癒す奇跡の手を持つシャーレンブレンの〈癒し姫〉。子供の頃、ほんの一時共に過ごした大好きな姫に再会するために、大陸一難関な神殿医の資格を得た医師見習いミナワ。しかし、再会した姫は昔と変わらぬ美しい──男の人で!? 問答無用で〈癒し姫〉ユリウスの従者に指名されたミナワは、主の我が儘に振り回される毎日。ある日、〈癒し姫〉と公務で訪れた鉱石都市で事件が起こり…!?


 ルルル文庫の新人さん、男の〈癒し姫〉にお仕えする医師見習いの女の子が主人公のファンタジー。
 うーん、いかにも「悪くはないけど物足りない」タイプの作品でした。主人公のミナワは、自分の仕事に誇りを持っていて何事にも真面目、それゆえにからかわれる姿がとてもかわいい、この子を嫌いな人はそうそういないだなあという良キャラクター。でも、主人公以外に「これは」という点が見つけられませんでした。ストーリーは王宮サイドの人たちが地方領主の悪行を咎めるという王道展開ですが、ご都合主義的な甘さがちょっと目につきましたし、主人公以外の男キャラも定型っぽくて魅力感じられず。幼馴染で普段は女の姿というおいしい設定があまり活きてませんでした。逆ハーな作りなのに恋愛要素がすごく薄いのも個人的にはマイナス、ストーリーが弱いんでもうちょっとラブ寄せしてほしかったです。
 続きで恋愛濃くなるかもしれませんが、とりあえず様子見で。


評価 ☆☆★(5)


【今日購入したもの】
 キャンディ・ポップ (倉吹 ともえ/ルルル文庫)
 シャーレンブレン物語 見習い従者と銀の姫 (柚木 空/ルルル文庫)