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___11月14日(金)


【今日読んだ本】

天啓のパルティア 時の女神は戴冠する (真朱 那奈/B's-LOG文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 再来月に皇太子ハルバートの成人の儀を控え、活気づくプリガン。一方パルティアは十五歳になり、月の姫巫女生誕を寿ぐ盛大な宴には、懐かしい吟遊詩人のラグーも訪れた。しかし、嬉しい再会を果たしたその宴の最中、皇帝タータスが余興の狩りで「虹色の毒蛇」に噛まれ、危篤に陥ってしまう。もし今皇帝が崩御したら、未成年のハルバートに皇位ぐ資格はない。事態は急速に不穏な方向に傾いて――!? パルティアの「決して外れない予言」が破られる!? ロマンスも陰謀も急展開の大人気シリーズ第三弾!


 予言の姫巫女が主人公の王宮ファンタジー「天啓のパルティア」第3巻。
 ああ、やっぱりラグーはいいなあ。1巻でハルバートよりもラグー派だった自分にとって、今回のラグー再登場は嬉しい限り。パルティアに願った内容の切なさや、その後のあんなシーンなど、この巻でも色々とおいしゅうございました。パルティアに言葉がちゃんと届いていないのが悲しいですが、どうせハルバートには本ルートでは勝てっこないので、ここまで見せてくれれば満足です。でもハルバートよりかっこいいと思うのですがー。あれか、刷り込みってやつですか!
 しかし、これでラグーは当分出てこなくなりそうなのはとても残念。代わりに増えるのがいけ好かない腹黒野郎じゃ割に合いません。どうみても黒幕の人が表舞台でのさばり続けるのは好きじゃないのです。
 キャラ以外では、パルティア関連の謎もだんだんと明かされてきましたね。個人的には、このシリーズってこんなにスケールでかかったのかー、と驚いたり。そんな存在が出てくるとは思ってませんでした。ここからどう話広げてくるのかなあ、予言の内容を考えるに色んな国出てくるんでしょうか。
 とっととナンパ野郎が退場してくれるのを祈りつつ、続きを楽しみに待ちます(でも、また攫われたりしちゃいそうな……)。ラグーとハルバートがはやく再会してくれるといいな、それでラグーが挑発したりしてくれないかな。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 天啓のパルティア 時の女神は戴冠する (真朱 那奈/B's-LOG文庫)

 ビズログ新刊。王女修業は売り切れでした。




___11月12日(水)


【今日読んだ本】

彩雲国物語 黄金の約束 (雪乃 紗衣/角川ビーンズ文庫)amazon

 

《あらすじ》
 彩雲国に暑い夏がやってきた。朝廷の諸官は夏バテと超過勤務で次々とダウン。人手不足を補うため、貧乏街道爆走中の名門紅家のお嬢様・秀麗に助っ人要員のお呼びがかかる。だが外朝は女人禁制、それに春先に求愛を蹴って後宮を辞した手前、城内をウロウロして王様にばったり会ってしまうのもマズイ。仕方なく変装(!?)し、こっそり仕事を始めた秀麗だったが――。絶好調・極彩色ファンタジー、待ってましたの第2弾。


 あまりの人気っぷりにいつか再び手をつけようと決めていた、4年以上前に1巻読んで以来の彩雲国。
 なんじゃこりゃあ!(最後の2ページを読んでの反応) それまでの色々が全て吹き飛ぶくらいにラストの2ページに衝撃を受けました。この話ってそういうのありだったのかー、という。あと、BLっぽいという感想を見かけたことが何度かあるんですが、なんというか納得。でも、こういう描写なら自分的には全然あり、年齢が年齢だからかもしれませんが。
 で、その2ページに食われた本編の感想。逆ハーにしてはなんだか主人公の影が薄くありませんかこれ。秀麗の性格や生き方って結構固定されちゃっているし、周りには助け見守ってくれる人が多くて、見ていてあんまり面白みがないというか。見所っぽい燕青に抱きしめられるシーンは周りから浮いてみえて醒めてしまいましたし。刊行数を見るに恋愛方面の進展が遅そうなのもマイナス。
 逆に、秀麗ではなくその周りの人たちの生き方を眺めるのは楽しかったです。黄尚書の奇人っぷりや李侍郎のとぼけた性格、バカ王のアホっぷりなど、色んな人があちこちで色々やっているので見ていて飽きません。黄尚書と李侍郎の信頼関係の描き方も結構好きです。あと、珠翠はかわいいなーとか(脇役好き)。
 後数冊買ってあるので、ひとまずそこまでは読んでいきます。


評価 ☆☆☆(6)



___11月11日(火)


【今日読んだ本】

イニシエーション・ラブ (乾 くるみ/文春文庫)amazon

 

《あらすじ》
 大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。
 目次から仕掛けられた大胆な罠、全編にわたる絶妙な伏線、そして最後に明かされる真相…。80’sのほろ苦くてくすぐったい恋愛ドラマはそこですべてがくつがえり、2度目にはまったく違った物語が見えてくる…。


 店頭で見かけたりamazonの感想をチラ見したりして、いつか読もうと思っていた「必ず2回読みたくなる、評判通りの仰天作」。「マリオネット症候群」で狂いきった物語を見せつけてくれた著者が今度を何を見せてくれるのか、「ラストの引っくり返しの前に謎を完全に見抜いてやる!」という意気込みで読みました。事前情報は後味が悪いらしいということだけ。
 で、読み終わってすぐにこの感想を書いているんですが、構えすぎていたのか、「仰天作」というほど裏切られるトリックには思えませんでした(現時点で解説未読)。そして、にも関わらず見抜けなかった自分がふがいなくてふがいなくて情けないです。以下ネタバレしないと何も書けそうにないので反転感想。
 えーとですね、目次でサイドが2つに分かれているのを見て、sideBが始まった時点で「実は主人公が別人」という仕掛けじゃないかと、まず思いついたんですよ。1ページたっての「自分では消極的と〜」の自己分析で引っかかって、その疑いが増したんですよ。なんでこれ思いついてるのに、そこから先に進んで全容が見通せないんでしょう……。遠距離恋愛にアインシュタインに指輪に妊娠に、材料は揃いに揃っていたっていうのに。 sideAの時に思いついた「マユは主人公の妄想」説が頭の中にこびりついていたのと、終盤はどう引っくり返すのかワクワクするあまりに思考停止していたのが原因です多分。なんだ妄想説って。 でも、そもそもsideが変わったときに別人疑惑は思いついていても、時系列のズレには思い至っていない時点で負けかもしれません。人が違うんだから時間が違ってもおかしくないだろうと、少し前の自分に説教したいです。
 しかし、事前情報の通り、後味悪いですねーこれ。sideAの主人公は完全に身代わりですし(少なくとも最初は)。年末の彼女の気持ちがどうなってるのかは、ちょっと再読しないと分からないですが。タイトル的には変わってるのかなちゃんと。とりあえずまだ解説を読んでいないので、読んでから何か書き足すかも。とんちんかんなこと言っている恐れもありますし。
 (ここから追記)
 解説かと思ったら用語集だった、な、何を言っているか分からねーと(ry もっと露骨に色々書いているものだと思っていたので少し拍子抜け。肝の部分はしっかり太字になってましたが。何年か特定する伏線は分かるわけないので置いておくとして、ペラペラsideAを見返すと思った以上に伏線が多くて、自分の不甲斐なさがさらに露見。選んだ理由とかモロですね……。気づかないって幸せです。ってあああああsideBの「……たっくん?」でもまだ気づいてないってどういうことだ初読時の自分うううううううう! もうだめです。

 そんなわけで見事にやられたわけですが、インパクトでは「マリオネット症候群」には劣る気がしました、期待しすぎたのかな。「マリオネット〜」は書き下ろしつきで徳間文庫で出てるみたいなので、そっちも近いうちに手を出すつもり。
 そうだ、一つ叫んでおくことがありました。梵+広島は「ぼん」じゃなくて「そよぎ」じゃないのか! それに「広島VS阪神が地味」とはどういうことだ、80年代はAクラスが当然だった時代だっていうのに! 以上、カープファンの戯言。


評価 ☆☆☆(6)



___11月10日(月)

 「楽園の魔女たち」の再読に夢中で、未読がしばらく全然読めませんでした。5年ぶりくらいの再読でしたが、改めて傑作であることを確認。過去読んだコバルト作品の中で3指には優に入るくらい好きですこれ。主役4人は当然として、支部長さんがいいなあ。昔読んだときより支部長さん好感度が自分の中で大分あがった気がします。
 そんなわけで再読終わったので、通常更新に戻ります(はず)。


【今日読んだ本】

フェル・ルトラウスの珠 赤竜と目覚めの王子 (夏目 瑛子/B's-LOG文庫)amazon

 

《あらすじ》
 スティルード国の王子・セレムは、親友のリーナス・ダリュス兄弟と旅の途にある。目的は、祖国を魔物の手から護る術を探すこと。しかし古代魔法の盛んなイズート国に入ってすぐ、ダリュスが怪物の猛毒に冒されてしまった! 秘薬「パラス・アテナ」を求めて王城の傭兵に志願したセレムたちは、この国の姫が魔竜との望まぬ婚礼を控えていることを知り――? 封印の竜珠を巡り渦巻く、人間と竜の抱腹絶倒、のちに感動のマジカルファンタジー。第10回えんため大賞ガールズ部門佳作受賞作が登場!!


 先々月のビズログさんの新人さんの作品、祖国を救うために竜を探す旅をする王子たちを描いたファンタジー。
 なんというか、何度も突然斜めへ暴走しているのに、最後はなぜか綺麗な着地をしている、とても奇怪なお話でした。思うに、この作者さんは奇をてらった設定を組み入れるのが好きなんじゃないかと。エピローグ前の最後の一行にありえないオチを持ってきているあたりに、普通にはしたくないという力強い意志を感じました。
 奇をてらうこと自体はいいんですが、極普通のファンタジーのつもりで最初は読んでいたので、唐突にビーンボールが飛んできて、前半は相当読みづらかったです。せっかく自分の大好きなTS展開が出てきても、歓喜より戸惑いの方がはるかに大きかったですし。でも、慣れた後半は素直に設定や展開のおかしさを楽しめました。ハッピーエンドになったのも、力技な設定のおかげですしね。竜の正体が分かった後の幸せ加減がよかったです。ただ、竜の放置っぷりには「それでいいのかよ!」とツッコミいれたくて仕方なかったですが。借りを千倍にして返すんじゃなかったのかと。気にしたら負けですか。
 続きが出たら、副作用で女性に戻ったりといったお約束展開があるのかな? あったらリーナスが揺れたり楽しい展開が待ってそうなので買い。


評価 ☆☆☆(6)



___11月5日(水)


【今日読んだ本】

翼の帰る処 上 (妹尾 ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)amazon

公式で。

《あらすじ》
 北嶺区の史官・ヤエトの元に、皇女がやって来る。皇女に振り回されるヤエトだったが、皇女が何者かに暗殺されそうになり…。


 本格派のファンタジー作家である妹尾さん久々のオリジナル作品は、北嶺へと左遷された史官が主人公。
 これは今まで読んだ妹尾さん作品(4作くらいですが)で一番よかったですね、面白かった! 「真世の王」ほどハイファンタジーではなく、C★NOVELSよりやや堅めの雰囲気が、まず結構好み。そして、病弱で隠居志向だけど、有能+人材不足のせいで仕事(しかも副官という中間管理職)をせざるをえないヤエトがとてもツボ。苦労人なキャラって大好きです。仕事をしているうちに、当初は反発的だった、太守として赴任した皇女や単純馬鹿な北嶺人のセレクに次第に懐かれていって、どんどん抜け出せなくなっていくのが面白おかしい。特に皇女との関係がいいですね、ヤエトに信頼を寄せていく皇女がかわいいのはもちろん、ヤエト視点でもじわじわと大きな存在になっていくあたりが。下巻では淡い恋愛関係までいったりするのかな、いくといいなあ。
 もちろん素晴らしいのは人物だけでなくて、がっちり練られているのが分かる世界観も魅力的。史官の視点で見聞きし語られる歴史は単に説明されるよりも興味深く、その上、物語の謎に関連する部分が多いので夢中にさせられました。北嶺がどのように成立したのか、邪竜が出てくる神話は何を指しているのか、皇帝は何を企んでいるのか、最終的に全てが一本に繋がりそうで、でもどう繋がるかは見えてこず、もう先が気になって気になって仕方ない。
 とにかく下巻が楽しみです、一ヵ月後に出るのがありがたいです。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 翼の帰る処 上 (妹尾 ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)
 イニシエーション・ラブ (乾 くるみ/文春文庫)
 アツイヒビ (緑川 ゆき/花とゆめコミックス)
 少女少年学級団1 (藤村 真理/マーガレットコミックス)




___11月2日(日)

 久々にお勧めネット小説感想をいくつか。

隣の席の佐藤さんTiny garden

ひねくれ気味の男の子が、隣の席の地味でお節介な女の子に惹かれていく連作短編。惹かれていく気持ちを認めたがらない山口くんがとてもかわいいのです。番外編の第3者視点が萌えすぎ。

社長と経理orange noise

商業高校が舞台の鈍感なラブコメ。青春です甘酸っぱいです。なんとなく読んでいたら第5話でやられました。主人公も読み手も鈍感ですええ。

三つの月が眠るまで猫のあしあと。

異世界間の男女入れ替わりファンタジー。もう設定だけでおいしすぎです、色んな意味で口に出せない想いに悶えます。そして恋愛要素抜きにしても時間を忘れて夢中になる面白さ。まだ連載中、完結してくれますように。

彼とあたしの恋愛模様没法子(メーファーズ)

なまくらどもの記録さん経由。クラスのアイドルから告白されて逃げ回る女の子の話で、下手な策を弄してどんどんドツボに嵌まっていく姿がいと楽し。


【今日読んだ本】

流水宮の乙女 漆黒の風とはかなき花の面影 (片山 奈保子/コバルト文庫)amazon

公式で。

《あらすじ》
 新たに国を守る流水宮の乙女に選ばれた飛沫は、前乙女・落華の嘆きに耐えきれず、龍月と旅をすることに。水龍に導かれ、眠らぬ巫女・珠玉の用心棒になるが、異国の使者が珠玉を狙い!?


 最近のコバルトの中では一押しシリーズ、男前ヒロインがかっこいい中華風ファンタジー「流水宮の乙女」第3巻。
 今作は主役2人の関係は一休み気味で、神々に振り回される一組の男女のお話がメイン。でも、このお話がまた切なく描かれていて、やっぱりこのシリーズいいなあと思わされました。運命に振り回されて素直になれない星闇に対して飛沫がぶつける言葉が、彼女の状況と照らし合わさってとても重たく響くところや、彼らが迎える運命の物悲しさなど、シリアス部分が綺麗でかなり好き。飛沫がとことん真っ直ぐで前向きで、彼女だけでなく彼女が救おうとする人間も応援したくなります。
 その飛沫の恋愛方面は前述したように一休み。プレゼントもらったり抱きしめられたりはしてるんですが、それに対して女の子らしい反応を示せない飛沫にヤキモキします、前巻より後退してないですかこれ? 龍月頑張れ超頑張れ。
 悪役サイドの方は、馬鹿王子が馬鹿王子らしく操られているのが見事なお約束。まあ王子はどうでもいいんですが、落華がどう扱われるのかがとても気になります。飛沫と再び信頼関係を取り戻せる日がくることを心から願ってるんですが……。
 とりあえずまだ打ち切りではないようなので一安心、次巻以降の恋と友情の行方はどうなるんでしょうか。
 以下余談。今回意識して読んでいたら、最初数ページのあらすじが随分丁寧でした、ちゃんとどこから読んでもいいような努力はしてるのかなとコバ編集部を少し見直したり。でも打ち切りは勘弁で!


評価 ☆☆☆★(7)



___11月1日(土)


【今日読んだ本】

ラーザリューンの少年術師 片翼のきみ (みなづき 志生/コバルト文庫)amazon

公式で。

《あらすじ》
 印術という不思議の力を学ぶため、名門印術学院に入学したクラウ。天才だが傲慢という少年・サフィアスに出会い、噂とは違う印象を抱く。だが、彼には大きな秘密が…!? 2008年ロマン大賞受賞作!!


 今月のコバルトの新人さん作品。2作とも「少年」やら「ボーイズ」やらついていて嫌な予感を抱きつつ、1作特攻してみました。
 あれ、これはいい話。BL波動全開の地雷も覚悟してたんですが、主役2人の関係は友情レベルで完全に止まっていて、評判悪かったサフィアスの意外な面を知りつつお互い認め合っていく様には心温まりました。でも、この物語のメインは、2人の友情よりも後半明かされる驚愕の事実の方。手垢がつきまくっている設定なので既視感はかなりありましたが、それでも語られる真相とその後の親子のやりとりは文句なしのいい話でした。不器用な親子だったんだなあほんと……。あと、伏線が綺麗に張ってあるのもよかったですね。
 ただ、目立っているキャラが主役少年2人以外はおっさんなのが地味すぎて難。もうちょっとクラスメイト等の活躍も欲しかったです。レンテ君とかもう少し出番あるかと思ったんですが。
 でも、十分楽しめたんで特攻は成功。次は女の子が出てくるといいなあ。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 ラーザリューンの少年術師 片翼のきみ (みなづき 志生/コバルト文庫)
 流水宮の乙女 漆黒の風とはかなき花の面影 (片山 奈保子/コバルト文庫)