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___12月16日(火)

 いつものライトノベル作家サークルのC75版、できました。すでにあちこちで話題になっているMF文庫作家陣による超豪華同人誌が目玉なのは間違いないですが、「ベン・トー」のアサウラさんが初参加(?)していたり、「まるマ」の喬林さんが久々に参加していたりと、他にも色々と見所がある顔ぶれになっています。


【今日読んだ本】

レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女 (栗原 ちひろ/B's-LOG文庫)amazon

 

《あらすじ》
 人形は夢を見る。恋もする。そして「魂持ち」の人形は、恋に落ちると人間になる――。 イファは人形師ヘイディの工房で造られた、真っ赤な魔抱石を胸にもつ少年人形。いつか運命の出会いをして恋に落ち、人間になるのを心待ちにしている。その日までは、ヘイディやその弟子のアーセルと平和に暮らすと信じていた。突然の別離も、その先に待ち受ける、最高に悲しくて苦しくて死ぬほど素晴らしい恋も、予想だにしないものだったのだ――。 すべての恋をする人へ贈る、栗原ちひろの新境地ラブファンタジー!


 「オペラ」シリーズの栗原さんのビズログ進出作、退廃的な世界を舞台に中性体の人形が恋をするラブファンタジー。
 これはとてもとても胸キュンで良いものでした。「自分を少年だと思っている人形の主人公が、男性に恋をして女性体に〜」という設定が、まず自分的にドンピシャ。気持ちの変化こそやや早いものの、「なんで男にときめいちゃうの、あーーもう」みたいなツボはきちんと押さえていて、なかなか萌えます。
 そして、その設定を抜きにしても、恋する乙女心の描写が秀逸。人形なためか感情の描かれ方がとてもストレートで、ドキドキやトキメキがキュンキュンでたまりませんでした。どうしようもなく惹かれる感情の甘さが好みすぎ。退廃的な雰囲気や相手のフォルトナートの微妙なダークさのおかげで、胸キュンがさらに数割増しでしたし。否定的でツンツンだったフォルトナートがイファに落ちていく様もよかったですし、とてもよいラブロマンスでした。アーセルは……幸せになれるといいですね、うん。
 1冊完結で物語の捻りなどは少なかったですが、恋愛面だけでお腹一杯で大満足でした。綺麗な終わりを迎えているだけに直接の続きはなさそうですが、あとがきにある「この世界の別の話」が読めますように。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女 (栗原 ちひろ/B's-LOG文庫)
 コルセットに翼3 (もと なおこ/プリンセスコミックス)

 コルセット、なかなか話が動かないなあと思っていたら最後にびっくり。



___12月11日(木)


【今日読んだ本】

マギの魔法使い エメラルドは逃亡中! (瑞山 いつき/角川ビーンズ文庫)amazon

 

《あらすじ》
 突然、正体不明の連中にさらわれてしまった美貌の白魔女エメラルド。勝ち気で正義感たっぷりのエメラルドは、薬で記憶喪失になった少年トトを助け出し脱出! ・・・したのはいいが、そこは故郷からはるか離れた異国だった! さらに、どこかうさんくさい美青年ウォレスや、彼女を強奪しようとする野性的なラグナなど、謎めいた男たちが次々現れて・・・・・・!? 世界の命運を握る少女エメラルドをめぐって、恋と陰謀の争奪戦スタート!!


 新刊も一段落ついたし、最近ビーンズ読んでないなということで、積みにあった評判のいい魔法ファンタジーに手をつけることに。
 まだ序章といった感じでしたが、評判どおりに面白かったです。まず、「ウィザード」という存在を巡るストーリー(世界観)がしっかりオリジナリティを持って作られており、適度に謎めいて話が進むので、「この先どうなるんだろう」というワクワクを抱きながら読めました。それに加えて主人公のエメラルドが、行動力あって前向きで、機転もきいて、ちょこっと脆いところもあって、と主人公としてなかなか魅力的、とどまらず行動に移す姿がかっこよかったです。
 たくさん出ているヒーロー候補の中では、薬を飲まされている状態であっても懐いてくるトトがかわいいですね。きっとトトが正ヒーローはありえないでしょうけど。あとは硬派なハルベルトもなかなか好みでした。
 「恋愛薄かったけど最新刊では大分恋愛が」みたいな記述をどこかで見た記憶があるし、最新刊まで読んでいこうと思います。


評価 ☆☆☆★(7)



___12月8日(月)


【今日読んだ本】

カンダタ (ぽぺち/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

 

《あらすじ》
 名前カンダタ。年齢58歳。無職。離婚歴、前科ともにあり。薄汚れた中年オヤジである彼は、大国アースガルドでこそ泥稼業を営む身だ。でも、最近はめっきりやりにくい。捕まれば即、闘技場送り。美少年剣士イヴァンに、ばっさり斬られてしまうのだ。ある日、カンダタは意を決して、豪邸に忍び込む。そこで目にしたのは、あの闘技場の覇者イヴァンの、予想外の姿だった……。


 今月のもう一人のホワイトハート新人さんの作品、58歳が主人公という新感覚のファンタジー。
 うーん、これなら58歳じゃなくてもよかったような気がします。落ちぶれたけど根は善人な人物が、訳アリな少年に出会って――、というオーソドックスなストーリー展開で、変化球を期待していた身としてはちょっと拍子抜け。話が動き出すまでが相当遅いのもあって、「あれこれで終わり?」という物足りなさを感じずにはいられませんでした。イヴァンの屋敷に仕える老女のベヴや孤児院を経営するケイトといったサブの登場人物たちの、「助けたいけど〜」という気持ちの描き方などは、揺れが伝わってきていいなあと思ったんですが。
 あと、義務教育らしきものが数十年前からあるのに、罪人が戦うような闘技場もあるという世界観が解せなかったです。他国の影も見えないし、どうやってこういう国が生まれたのかが不思議でした。
 1冊じゃなくシリーズだともっと面白いものを書いてくれそうな気がするので、次はシリーズで何か読んでみたいです。


評価 ☆☆★(5)



___12月7日(日)


【今日読んだ本】

王女修業、ごろうじろ。 (高丘 しずる/B's-LOG文庫)amazon

 

《あらすじ》
 紺碧の瞳を持つウルフという老紳士から“贋金犯を暴きだしてほしい”と依頼されたセット。贋金作りの本拠地は偶然にも、エリングマルクの英雄たちから託された罪なき者の救出先と同じハルネスの地で……。一方、エリーザベトは忌み深きマイエル伯爵領から招きを受け王女としてハルネスの地を視察することになったが、その身に非情なる衝撃の事実が襲いかかり……。勘当中の王女と無敵傭兵の恋はどこへゆく? 『運命の女』とシンブケンをごろうじろ。暴れん坊王女修業シリーズ、ここに見事完結!!


 「エパタイ・ユカラ」の高丘さんがおくる、色気より食い気な王女の修業ファンタジー完結編。
 やった、エパタイと違ってちゃんと完結してる! でも終盤がどうみても駆け足打ち切り展開です、本当にありがとうございました。この駆け足展開で面白いんだから、時間かけて描かれていたらどれだけ面白くなったのか、本当にもったいない。エリザの名前の由来がどのように果たされていくか見たかったし、エリザの恋も王家の系譜の真相ももっとじっくりと読みたかったです。誓いを立てる相手だけ並びたてられているのは生殺しだと思うんですええ。恋愛モードのエリザはしっかり乙女していてとてもかわいかったんですが、ちょっとだけ気持ちの移り変わりが急だったのが残念でした。
 ここまで2シリーズいずれも面白くも残念な点もあったので、次シリーズこそは綺麗に完結してほしいです。


評価 ☆☆☆★(7)



___12月6日(土)


【今日読んだ本】

白銀の民 (琉架/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

 

《あらすじ》
 精霊が見えるという秘密を持つ14歳の船乗りイオは、海賊に襲われ船長と仲間たちを失ってしまう。復讐を糧に生きることを決意した彼は、ジクルス率いる海兵隊に強引に志願する。敵のアジトに乗り込み、船長を殺した海賊を前にした時、自分でも知らなかった力が湧き起こり……。そして驚きの謎が解き明かされた!! 2008年上期ホワイトハート新人賞受賞作!


 今月のホワイトハートの新人さんの作品は船乗りの男の子が主人公、「白銀の民」と呼ばれる存在を巡るファンタジー。
 展開的にはとてもお約束でしたが、設定がすごく好みで面白かったです。完全にネタバレ(中盤ではじめて明かされる)なので伏せて書くと、主人公は実は女の子です。非常においしい設定です。そして、主人公のイオと海兵隊の隊長であるジクルスの関係が、恋愛段階に達していない「金色の明日」みたいな感じでとてもよいです、こういうの大好きです。 復讐云々の顛末は結構ありがちですし、公式のあらすじで展開ばればれだったりするのですが、イオの「船上育ちで大人びてはいるけれど、年相応に甘えたい時もある」姿が丁寧に描かれている良い物語だったと思います。
 ここで終わっても全くおかしくないですが、イオの今後が見たいので、これは是非続きが読みたいですね。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 カンダタ (ぽぺち/講談社X文庫ホワイトハート)
 白銀の民 (琉架/講談社X文庫ホワイトハート)



___12月2日(火)

 最近購入関連の質問が多いので、しばらく月初に購入予定リストをあげてみます。評判見て増えたり減ったりするので、購入報告が全然来ない場合はお察しください。
 というわけで今月分、購入済は省きます。発売日順のつもり。

 カンダタ (ぽぺち/講談社X文庫ホワイトハート)
 白銀の民 (琉架/講談社X文庫ホワイトハート)
 竜の夢見る街で1 (縞田 理理/ウィングス文庫)
 ソウルソードスーパースター 上 接触篇 (森橋 ビンゴ/徳間デュアル文庫)
 レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女 (栗原 ちひろ/B's-LOG文庫)
 不全世界の創造手 (小川 一水/朝日ノベルズ)
 SH@PPLE ―しゃっぷる―4 (竹岡 葉月/富士見ファンタジア文庫)
 聖鐘の乙女 黒猫と白の女王 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)
 かぐや魔王式! (月見 草平/MF文庫J)
 創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋^3がはじまった (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
 鳥篭の王女と教育係 婚約者からの贈りもの (響野 夏菜/コバルト文庫)
 ピクテ・シェンカの不思議な森 わがまま王子と魔女の誘惑 (足塚 鰯/コバルト文庫)



【今日読んだ本】

ミラクルチロル44キロ Aパート・チロルアレンジ (木村 航/メガミ文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 「あなたのいのちを、ほんのちょっぴり分けてください」。チロルチョコの代わりに少しだけ寿命をもらう『いのちの募金』を集める田丸くん。そんな彼に一生を募金してしまったつぼみは、やがて彼に恋をする。『ぺとぺとさん』の木村航が贈る切ない恋の物語。


 つい最近ハードカバーでも作品を出した木村航さんのメガミ文庫進出作は、いびつな家庭で育った少女が主人公の、風変わりな恋物語。
 相変わらずの木村航ワールドでしたが、いつもより読みやすいし面白かったです。少女の一人称ということで、今までの作品の中では「ぴよぴよキングダム」1巻あたりとノリがやや似てますが、こちらは主人公が斜に構えていてやや冷め気味で、と現代風な女の子。「恋人を蘇らせるために募金を集めている青年に惚れる」という設定にまず惹かれ(今気づいたけど悪魔のミカタの逆バージョンですね)、でも単なる恋物語ではなくて、チロルの持つ不思議な力や、複雑で変わった事情を持つ主人公の家族など、色んな要素が噛み合っていて、面白いし先がとても気になります。家族周りの骨格は一般文芸方面でもありそうな感じなのに、肉付けの仕方が全然違って、出生秘話とかおじいちゃんのキャラとかすごい。 この作者らしい、様々な比喩をはじめとする独特な表現も魅力的、一人称でリズムがよくていつも以上のキレでした(ただ、人は選びそう)。
 最後がまたいい引き、2人がどういう選択をすることになるのか、1月発売のBパートが待ち遠しいです。


評価 ☆☆☆★(7)



___12月1日(月)

 メルフォレス2つ。

>王女修行は、まだ手に入れられていないんですか?

 先週捕獲済です。最近購入物多いので読むの遅れるかもですが、今週来週には。

>高丘しずるのエパタイが好きなので、ルチアもそんな感じかなと期待して買った数分後に
>こちらの書評を読ませていただきました…。ど、どうしよう…(汗

 な、何といえばいいか……。でも、薄い恋愛に裏切られた気分なせいで辛めの評価になってるので、恋愛を期待しなければ楽しめるのではないかとー。


【今日読んだ本】

天女と狼男 (倉世 春/コバルト文庫)amazon

画像は 公式で。

《あらすじ》
 山神への生贄に選ばれてしまった少女ハナ。逃げ出すものの、崖から落ちてしまう。それを助けた少年こそが、山神と呼ばれる人狼、朔だった。彼は病を抱えており、人肉を食べると治るというが…?


 「鏡のお城のミミ」の倉世さんの新シリーズは縄文時代あたりが舞台、生贄の少女と人狼な山神のラブストーリー。
 ミミ以降の倉世さん作品の中では一番好きだなあこれ。ここ最近の作品と違って恋愛を中心に据えていて、おっとり鈍感少女が山神様をだんだん好きになっていく様子がなかなか好み。離れたくない気持ちなど、好きになった後の描写が甘くてよかったです。山神様の方はほぼ最初から惚れているようなもので、生贄でどうなっちゃうのかという心配やドキドキはなく、はじめの数十ページで大体展開は分かっちゃうんですが、その分安心して読めました。あと特筆すべきは主人公の兄、やってることのひどさと動機のひどさのアンバランスがすごいです。どんどん化けの皮が剥がれていって、かなり印象に残る小物っぷりでした。
 サブタイトルもついてないし一作完結なのかな、この調子でミミくらい面白いの出してくれますように。


評価 ☆☆☆(6)