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 4月30日(木)


【今日読んだ本】

飛天のごとく 上・初恋の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

 
《あらすじ》
 上皇が実権を握る院政が行われていた平安末期。関白家の次男、藤原頼長は本当は女だったが、母の嘘で男として育てられ、性別を偽ったまま元服した。ある日、ふとした悪戯心で女装し、綾と言う名で佐藤義清に会う。綾に一目ぼれした義清に恋を知らない頼長も次第に心惹かれ、はじめて女でありたいと思うようになる。が、すべてを捨てる覚悟はできず……。そして、綾を頼長の愛人と誤解した義清は!?


 月初めの時点では完全ノーマークだったものの、男装物だと知って飛びついたホワイトハートの新刊。
 うわー切ない! 舞台は平安後期、男として育てられた藤原家の女の子が主人公のお話。そのまま男として生きることを決めたものの、心を揺るがす人が現れて――、というコメディの入る余地のない真っ向勝負の男装物です。もうドンピシャに好みです。
 主人公の頼長は真面目で、感情の赴くままに行動に走ることができないタイプなんですが、それゆえに立場と恋の間で完全に板ばさみ状態。国を憂える気持ちもあってどうしても男の自分を捨てられなくて、恋心を抑えるのに苦しむ様が見ていてほんと辛かった。途中ページをめくるのもしんどかったほど。後半の痛々しい姿はもう……。これで幸せになれなかったら相当落ち込みます。
 なお、史実に沿っているみたいですが、自分は白河・鳥羽・後白河あたりが院政を行っていた程度の知識しか持っていなくて頼長がどういう人物か知らないので、どれくらい忠実なのかは分かりませんでした。清盛関連はさすがに創作なのかな。でも見た限りは、国が荒れている乱世の様子などかなり本物っぽく描写されていました。
 とにかく男装好きな人は是非読んでおくべき。さて、下巻を読んできます。頼長がどうか幸せをつかめますように。


評価 ☆☆☆☆(8)



飛天のごとく 下・動乱の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

 
《あらすじ》
 皇室、関白家、それぞれの陰謀が渦巻く平安末期。性別を偽ったまま藤原頼長は、男として朝廷の乱れた秩序を戻そうと奔走していた。そんなある日、初恋の人佐藤義清が僧、西行となって現れ、頼長は懐かしさに心が揺れる。綾が頼長だと知った西行も恋い慕う気持ちに変わりがなかった。政治を捨て女として生きるよう、西行は頼長に言うのだが。保元の乱へと進む世の中、愛する2人の行く末は!?


 下巻読み終わったので、珍しく1日2回更新。
 歴史小説としては面白かったものの、ロマンス的にはちょっと不満も残る下巻でした。史実に忠実な話は、どうしても歴史の描写にページを割かざるをえないのが難ですね、先日読んだ「風よ、万里を翔けよ」でも同じ不満を抱きましたし。下巻では男装がいまいち生かされていなかったのが残念。でもこちらは女心の描写がある程度あったし、よかったと思える結末でした。ただ、(ネタバレ反転)清盛関連はちょっと消化不良。歴史を描くために出さざるをえなかったとはいえ、これは清盛かわいそう……
 一方歴史小説としては、外から眺めていると頼長が時代に取り残された考え方をしているのが丸分かりで、孤軍奮闘する姿のやるせなさがとても印象に残りました。保元の乱に至るまでの経緯がかなり詳しく描写されていて、あまり詳しくない身としては一側面から見た読み物としても面白かったです。この視点だと忠通と得子が俗物で嫌ーな人物に描かれていましたが、別の視点だとまた違った風に見えるのかな。ちょっと気になったのは「この先暗雲が待っていることを知らないのだった」的な文が多用されていること、この辺の時代を知っている人にはうっとおしく感じられるかもしれません。
 そんなわけで、上巻読了時の期待値ほどではありませんでしたが読んでよかったです。最近のホワイトハートは頑張っていて応援したくなりますね。


評価 ☆☆☆★(7)


【最近購入したもの】
 飛天のごとく 上・初恋の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)
 飛天のごとく 下・動乱の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)



 
 4月29日(水)

 5月の購入予定。4月の反動で少なめです。

飛天のごとく 上・初恋の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)
飛天のごとく 下・動乱の巻 (宮乃崎 桜子/講談社X文庫ホワイトハート)
minor club house 2 マイナークラブハウスの森林生活 (木地 雅映子/ピュアフル文庫)
純愛を探せ! (速水 秋水/GA文庫)
姫君達の晩餐 猫と前菜 (山咲 黒/B's-LOG文庫)
文芸部発マイソロジー (早矢塚 かつや/一迅社文庫)
革命皇女 doll★llob (いわなぎ 一葉/一迅社文庫アイリス)
BLACK BLOOD BROTHERS 11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)
いつも心に剣を2 (十文字 青/MF文庫J)
14f症候群 (壁井 ユカコ/角川書店)


【今日読んだ本】

天涯のパシュルーナ1 (前田 栄/ウィングス文庫)amazon

 
《あらすじ》
 山賊であるトゥラルクを捕らえた貴族が告げたのは、「お迎えにあがりました、王子」という信じがたい言葉。その日から王国の運命の輪が廻り始める……。玉座を巡る新シリーズ、ここに開幕!!


 前田さんの新シリーズは、山賊として暮らしてきた少年がある日突然行方不明の王子として扱われるようになるファンタジー。
 これは期待の新シリーズが出てきました。平民がいきなり王子に、という王道な設定で物語はまだまだ導入といった段階ですが、頭は切れるけど幼い部分も残っている主人公がいい具合に運命に振り回されてますし、事実か嘘か分からない謎が程よくちりばめられていたりもして、とても先が気になる作りになっています。ヒルクィットの言うことは多分8割方真実なんだろうけど、ヴァイラの意味深さは何を意味するんだろう?
 主人公以外の登場人物も癖ある人多め、中でもイーシャがなかなか素敵な女性。中途半端に平民出身なおかげで、貴族らしからぬ行動力と貴族らしい世間知らずさが両立していて、引き起こす騒動が楽しかったです。ウィングス文庫に出てくる女性は数少ない割に当たりが多いので、もうちょっと女性主人公の話が多くてもいいのにと時々思います。
 順調に連載を重ねているので続きも近いうちに読めそうですね、楽しみ。ロマンスは誰となんでしょうか。まさか……ヴァイラ?


評価 ☆☆☆★(7)



私立カトレア学園 乙女は花に恋をする (沢城 利穂/一迅社文庫アイリス)amazon

 
《あらすじ》
 乙女の園、私立カトレア学園の入学式。迷子になって泣いていた、ひなを助けてくれたのは『氷のプリンス』大城翼先輩。みんなの憧れのプリンス・翼先輩は、なぜかひなを気に入り、カトレア祭で自分のプリンセスになってほしいと申し込んできてーー!? 翼先輩のパートナーとして認められるため、乙女の試練に立ち向かうことになったひなだけど…。男子禁制の乙女の花園でひそやかに咲く、乙女たちの甘くて切ないスイート・ラブ。


 物凄く甘々と聞いて興味がわいたので手を出してみた、アイリス新刊の学園百合小説。
 こ、これは強烈……。主人公一人称で話が展開していくんですが、その一人称が「ひな」。この一人称から想像つくとおりのポヤポヤな地の文は頭が溶けそうなくらいのインパクトがあって、お嬢様女子校の甘い雰囲気を出すのに一役かっていたと思います。ポヤポヤ愛玩系の子とクール系の先輩という組み合わせも結構好み。
 ただそれで百合ラブを楽しめたかというとそうはいかず、主人公の鈍感さがあまりにもわざとらしく見えてしまって受けつけませんでした。性格諸々を考慮しても、あれだけラブラブオーラが出ているのに勘違いし続ける(目を背ける、かもですが)のは無理があると思うんですよね。謎解き部分ではイメージに反して勘のいいところを見せたりしていただけに、余計に鈍感さが際立って最後まで引っかかったままでした、残念。


評価 ☆☆(4)



ヒミツのテックガール ぺけ計画と転校生 (平城山 工/角川スニーカー文庫)amazon

 
《あらすじ》
 高校三年生の本瀬ハルミは、担任から夏休みに編入試験を勧められる。受験先は筑波音高専。だがそこには、とんでもない秘密が――。第11回角川学園小説大賞・奨励賞、平城山工が描くキュートな学園コメディ、登場!


bk1でToday便にするために何か増やしたい(※冊数が少ないとメール便になる)
 ↓
あれ、これ女子主人公だ、よし買おう

 という大人の事情で急遽購入することにした、スニーカーの新人さん作品。
 なんというか、スニーカーっぽい学園不条理SFでした。一言で印象を述べると「くどい」。せっかくの女の子一人称なのに、トラブルメーカー体質の変人が主人公なせいか地の文がやたらくどく、SFな設定や濃いキャラたちのせいでくどさがさらにアップ。個人的にはこのくどさはそんなに嫌いじゃないので、主人公が振り回されたりSFっぽいことやっている部分はそれなりに楽しんで読めたんですが、仲間やら友情やらを描こうとしているのがとても微妙。なにせくどさのせいで爽やかさがあまり感じられなかったですし、SF部分との食い合わせが悪くて作品全体の調和がいまいちに思えました。
 そんなわけで、ただの主人公受難物のコメディだったらよかったなあと思う話でした。迂闊に購入予定増やすもんじゃないです。


評価 ☆☆★(5)



 
 4月27日(月)


【今日読んだ本】

ペテン師一山400円 (嬉野 君/ウィングス文庫)amazon

 
《あらすじ》
 曾祖母の今際の際に駆けつけたはずの純太は、そこで遺産を賭けた“詐欺”ゲームに参加することになる。うさん臭い親戚のお兄さん・研士をパートナーに、純太の人生を変える夏休みが始まる!!


 「パートタイム・ナニー」の嬉野さんがおくる現代詐欺ストーリー「ペテン師一山400円」第1巻。

 だ ま さ れ た !

 いやー、完膚なきまでにやられました。2話構成のうち、やられたのは第2話。ネタバレになるのでどうやられたかは書けないのですが、ここまでやられたと思わされた記憶はミステリーを含めてもここしばらくありません。細部まで注意してたら騙されなかったのかなあ。でも悔しいとはあまり思えない清々しい騙され方でした。
 騙されただけで終わるのもなんなのでどんな話なのかを書くと、詐欺一族の血を引く少年が親戚の詐欺師と一緒に詐欺ゲームを戦うお話です。嬉野さんは目のつけどころが斬新です。ナニーみたいな爆笑ポイントこそなかったものの、普通の少年が色々な詐欺を経験していく様子がなかなか楽しかったです。騙されまくった2話の詐欺が一番好き。詐欺といっても弱者から毟り取るような詐欺は出てこないし、後味はどれも悪くないので、「犯罪はちょっと……」という人でもおそらく楽しめるはず。あと、お婆さんやお母さんがパワフルでいい味だしていました。
 まだまだ引き出しはありそうなので、またこの面子での話を読みたいですね。嬉野さんは別連載はじめるみたいなので、しばらくは出なそうですが……。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 4月26日(日)


【今日読んだ本】

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (あざの 耕平/GA文庫)amazon

 
《あらすじ》
 現状を抜け出せないでいる自分とは違い、きらびやかなステージに立った幼馴染みの少女リジアに、アマディアは嫉妬と羨望を覚えていた。しかし、ひょんなことから再会した本人は、意外にも現状に満足しておらず「自分の音楽」を目指したいのだという。そんな彼女を事務所に招待するサリエル。だが、彼女をプロデュースしているのは、なんとサリエルのかつての相棒、「イドラの魔術師」と称されるハセ・シャルマだったのだ! 表題作『ダン・サリエルとイドラの魔術師』の他、忙しくも愉快なサリエルやモモ、コジ、そしてアマディアたちの日常を描いた第2弾、ついに登場!


 「BBB」が佳境のあざのさんがおくるポリフォニカワールド「ダン・サリエル」第2巻。
 悪ノリしたときのあざのさんはやっぱり凄い! 「BBB」の感想でも何度も言ってますが、あざのさんはこういうコミカル短編がとても上手いなあと思います。この巻でいうと2話、どんどんぶっ壊れていくコジとモモに笑わされました、コジがここまで壊れるとは……。どことなく真面目時のミミコにかぶるマギーさんに合掌。それと3話の序盤もなかなか、引っ込みがつかなくなった挙句にどん底に突き落とされるアマディアの様子がいいです、ぐさぐさ刺さる追い討ちが最高。
 ただ3話はそれだけではなくて、商業主義をめぐるプロ論にはなかなか考えさせられるものがありました。才能や商品についての描き方がかなり現実的で残酷で、えぐられるアマディアとリジアの心が痛かったです。シャルマとサリエルの間に何があって袂を分かったのかはやはり気になるところ。
 すっかりアマディアがヒロインっぽくなりましたが、あとがきによるとダブルヒロインらしいので、今後どう進むのか楽しみ。


評価 ☆☆☆★(7)



封殺鬼 花闇を抱きしもの(上)(下) (霜島 ケイ/ルルル文庫)amazon

   
《あらすじ》
 10歳で陰陽道「本家」の当主となった神島桐子は術修行のため、関東大震災で荒廃し悪霊の出没する東京に出て来た。しかし、真の目的は中央の術者を呪詛という危険なものだった。天才陰陽師、神島桐子の誕生秘話。


 数年前にキャンバス版を2冊ほど読んで止まっていた「封殺鬼」。その後ルルルで復活したり良い評判を多数見たりしたので、改めて手をつけてみました。
 うー、これは色々と合いませんでした。桐子は評判どおり素敵な女の子だったんです。この歳の子にはあまりにも辛い現実と直面しながらも非情な決断を下した強さと悲しさが切なく印象的でした。でも、話の展開がとても苦手。狩間が怪しいのに早臣を疑う状況がかなり長い間続くのがしんどかったです。狩間の怪しいオーラがせめてもうちょっと控えめならよかったんですが……。
 あと、鬼やら術者やらといった陰陽物のジャンルは好きじゃないなと再認識、どうも雰囲気が合いません。恋愛などの他要素が混じってないとダメみたいです。これならいけると思ったんですが……今後は極力手出さないようにします。


評価 ☆☆★(5)


【最近購入したもの】
 天涯のパシュルーナ1 (前田 栄/ウィングス文庫)
 ペテン師一山400円 (嬉野 君/ウィングス文庫)
 薔薇のマリア11  灰被りのルーシー (十文字 青/角川スニーカー文庫)
 ヒミツのテックガール ぺけ計画と転校生 (平城山 工/角川スニーカー文庫)
 私立カトレア学園 乙女は花に恋をする (沢城 利穂/一迅社文庫アイリス)



 
 4月24日(金)


【今日読んだ本】

かぐや魔王式! 第3式 (月見 草平/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 聖剣騒動もひと段落し、夏休みも終盤に。夏期講習が始まった紫苑高校では、錦織がハラグロモード全開でクラスメイトの支持を集めまくっていた。そんな錦織の前にあらわれたのは生徒会長にして現在のトップ・松島美紀。美紀に迎合する気マンマンの錦織だが、美紀は錦織にこんな依頼を持ちかけてきた。「生徒会にあだなす魔王・輝夜真央を追い詰めるために、弱点を探ってほしい」――魔王に反旗を翻すことにやぶさかではないが、少しだけ戸惑っていた……はずの錦織だが、思わぬチャンス到来! あの“手帳”を取り返すことができるかもしれないのだ! 急展開(?)な第3式登場!


 ハルヒオマージュな学園(ラブ)コメディ「かぐや魔王式!」第3巻。
 やっと妹きたーーー! でも出番少ないー!
 1巻で存在を仄めかされていた妹がようやく初登場、しかもイラストつきで。そのこと自体はとても大歓迎なんですが、出番たった2ページとはどういうことですか。出番少なすぎるせいで、妹がハラグロの本性をどこまで知っているか分からずじまいなのがとても残念でした。でも兄ラブで他の女に敵対オーラ出しまくりなところは見せてくれたので、次巻以降での活躍を待つことにします。
 妹を除くと概ねいつも通りのぬるいボケツッコミ小説で、既刊が気に入ってれば楽しめるし、既刊がダメならこれもダメだろうなあという。ただ、輝夜とハラグロがお互いを意識する場面が増えていて、少しずつ(本当に少しずつ)恋愛面が進展しているのは何より。他の女の子たちに目がないのがちょっと悲しいですが。なのに新キャラは増えるという。まあみんなかわいいし、ハラグロのムッツリっぷりが楽しいからいいんですが。
 ストーリー? そんなものは飾りです。輝夜の野望の落とし所どうするんだろう……。


評価 ☆☆☆(6)



星図詠のリーナ (川口 士/一迅社文庫)amazon

 
《あらすじ》
 父である国王の命を受け、辺境へと地図作りの旅に出た賢く若い王女「リーナ」と護衛の騎士たちは、正体不明の一団の襲撃を受け壊滅の憂き目にあったところを、流れの傭兵「ダール」に助けられる。何があろうとも任務を全うしようとするリーナと臨時護衛に雇われたダールは、妖魔をかわし、夜盗を退け地図作り旅を続けていく中で宮廷の陰謀を掴むのだが、時を同じくして辺境の迷宮に眠っていた強大な何かが目覚める……。正統派ファンタジーの新鋭が贈る「本格マッピング・ファンタジー」


 女の子主人公詐欺(実は男主人公)かと思ったら普通に女の子主人公らしいので買ってみた、世にも珍しい地図作成ファンタジー。
 これは題材の勝利な気がします。ファンタジーと地図作成って相性いいんですねー、未知の土地を測量しながら新しいことを知っていくワクワク感が冒険ファンタジーっぽいです。売りの1つだろう地図を実際に描く場面はちょっと苦手なんですが(こういうイメージ的な描写は大抵苦手)、それでもリーナが地図作りを好きなことは存分に伝わってくるし、実際の測量の部分は地に足ついているしで面白かったですね。
 また、いかにも傭兵といった性格のダールが庶民的なリーナにほだされていく様子が結構好き。リーナに抱くまぶしさや憧れがいつか恋情に変わる日がきそうで楽しみ。一方で、リーナがダールになびく様子が全然見られないのは、この作品らしくもあり残念でもありといったところ。リーナにとっては地図作成>>>>恋なんでしょうね、今後変わっていくようだとおいしいんですが。サラ交えての三角関係がきたりするといいな(サラが大分前面に出ているので可能性はありそう)。


評価 ☆☆☆(6)


【最近購入したもの】
 星図詠のリーナ (川口 士/一迅社文庫)
 かぐや魔王式! 第3式 (月見 草平/MF文庫J)



 
 4月22日(水)


【今日読んだ本】

BLACK BLOOD BROTHERS 10 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)amazon

 
《あらすじ》
 『九龍の血統』はいかにしてうまれたのか? すべての謎につながるエピソードが明かされる……! そして真銀刀を手にしたジローがついに! 新感覚吸血鬼サーガ激動の最新刊!!


 いよいよ佳境の現代吸血鬼ファンタジー「BBB」第10巻。
 うわー切なくてロマンチックだ! この巻は主にカーサの巻といって間違いないでしょう。最初ページを開いたときには「え、このタイミングでいまさら過去編がっちりやるの?」などと思いました。ええ、バカでした。アリスやジローと数々の想いを交わしていながら袂を別つしかなかったカーサの心情がもう切なすぎてたまりませんでした。バーとかやばかったです。あとがきにある別バージョンも読みたかったですが、十分な破壊力の現バージョンに不満言うわけにはいかないでしょう。このカーサの姿を踏まえると色々と別な味わいが得られそうなので、近いうちに既刊読み返したいです。
 カーサ以外ではやはりジローとミミコ。満を持して登場したジローとミミコのやりとりがこの2人らしくて凄く安心しました。無茶苦茶だけどこれはこれでロマンチックだと思います、ミミコかっこいい。他にも色々と「おー」と思うところはあって、普通の話だったら触れるところなんですが、今巻のカーサの前では細事なので省略。それくらいカーサは強烈でした。
 さて残り1冊、7巻以上の盛り上がりを期待して来月を待つことにします。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 4月20日(月)


【今日読んだ本】

RPG W(・∀・)RLD 1 ―ろーぷれ・わーるど― (吉村 夜/富士見ファンタジア文庫)amazon

 
《あらすじ》
 ちまたで話題のRPG『ギャスパルクの復活』。あまりの面白さに毎日ガリガリやりこんでいた普通の高校生ショウとユーゴは気付くとだだっぴろい原っぱにいた。え〜っとここってどこなの? ドタバタクエスト開始!


 久々に読む吉村さんの新刊は、ある日突然RPGの世界に入ってしまう異世界ファンタジー。
 読み始める前は「これ出す月間違えたんじゃないかなあ」などと思ってましたが、SAOとはベクトルが違っていて楽しかったです。SAOが正統派なのに対して、こちらはコミカルな王道といった感じ。いきなり高レベルでスタートすることもあって緊張感がなく、ドラ○エやらメガ○ンやらの伏字も出てきたりと、「高校生がRPG世界に入っちゃった」っぽさがたっぷり。それだけでも面白いですし、真面目に事態を受け止めようとするユーゴと楽しんじゃえ的なノリなショウという2種類の高校生がいるおかげでより面白くなってました。またコミカル一辺倒というわけではなく、後半のっぴきならない事態に直面したときの2人の悩みと選択はなかなかリアルでよかったです。ショウは序盤はうざかったですが後半少し見直しましたね。
 あとこの話で面白いなと思ったのが、NPCキャラの一人称視点があるところ。現実からきたプレイヤーキャラが複数いるMMOに近い世界なのに、NPCを悩みを持つ1人の人間として描いているのは珍しい気がします。彼女らNPCから見たPCキャラが新鮮でした。女の子視点というのもよかったですね!(色々台無し)
 どうしてRPG世界に飛ばされたのかはまだまだ謎のまま、NPCとの恋愛も生じそうですし、続きがどうなるか楽しみです。


評価 ☆☆☆★(7)


【最近購入したもの】
 神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (あざの 耕平/GA文庫)
 RPG W(・∀・)RLD 1 ―ろーぷれ・わーるど― (吉村 夜/富士見ファンタジア文庫)
 蒼穹のカルマ2 (橘 公司/富士見ファンタジア文庫)
 BLACK BLOOD BROTHERS 10 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)



 
 4月19日(日)


【今日読んだ本】

宵月閑話 はかなき世界に、最期の歌を (佐々原 史緒/トクマ・ノベルズEdge)amazon

 
《あらすじ》
 祖母の房子が亡くなった。桜の咲く季節に間に合わなかった。警察側からは『自然死』という発表だった。房子を大好きだった中学二年生の麻里は「房子は殺された。」と一人声を上げるが確かな証拠がないため、誰も麻里の声を聞こうとしない。真実が知りたい。麻里はクラスメイトの紗世子に相談をする。紗世子は同じくクラスメイトの比良野仁希に相談することを薦める。仁希の親戚には霊能者がいるというウワサがあるからだ。最初は仁希に断られる麻里だが、「お礼はちゃんと払う」と言うと、仁希は手のひらを返したように麻里を受け入れる。さっそく霊能者がいる屋敷に案内された麻里。仁希はこの屋敷で、メイドをしている。主人の閑は甘い物に目がないちょっと変わった青年だった。麻里はおののきながらも、房子の死因を知りたいと相談するが、「やめたほうがいい」と言われてしまい……。


 佐々原さん初のノベルズ作品は、1人の老婆の死をめぐる現代ホラー。
 今までの佐々原さんとは結構異なる作風でしたが、なかなか面白かったです。祖母の怪死の真相を調べるために女の子が霊能者と共に調査するお話で、結構本格的なホラーテイスト。イメージ的には萩原さんの「蛇々哩姫」あたりが近いかも。人が呪い死んだりとダークな側面もあるんですが、その暗さをいい具合にやわらげてるのがダメ霊能者の閑としっかり者メイドの仁希の主従コンビ。この2人のやりとりがいつもの佐々原さんのノリで笑えました、主人公に「ニートと引きこもりとヒモを全部合わせたダメさ」と評される閑のダメさはなかなかのものです。
 もちろんストーリーもよかったです、次第に分かっていく祖母の死の真相が意外性あって、その真相に揺れる主人公の心理の移り変わりが巧妙。やるせなくて複雑な祖母の想いを受け止めるラストの神社のシーンがじんわりと心に染み入って気に入りました。上手さの点では佐々原作品の中でも有数だと思います。
 1冊で綺麗にまとまってますが、いくらでも続けられそうですし、主従コンビの関係の変化もありそうなので、是非続きが読みたいです。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 4月17日(金)


【今日読んだ本】

眠り王子と幻書の乙女 (秋永 真琴/B's-LOG文庫)amazon

 
《あらすじ》
 難関を勝ち抜き、名門・ゲオルギウス学院に入学したマーヤ。応援してくれた祖母からのお祝いは、<ナユタズ・ロスト>と呼ばれる、旧魔術の叡智を秘めた稀書だった。その鑑定を依頼するために持ち込んだ学院付属の図書館で、マーヤはお菓子を食べては眠りこける絶世の美少年・エイジと出会う。彼に仕える辛辣眼鏡の少年執事・レン、マーヤの<ロスト>に異常な執着を示す図書局長・アキラ……。次々現れる個性的な男子たちに、始まったばかりの学園生活は波乱の予感……? 大注目の新人デビュー!


 今月のビズログ新人さんの作品、1冊の魔道本をめぐる学園ファンタジー。
 「旧魔術」やら「位相界」といった単語が出てくるファンタジーで、まさかバケツプリンのイラストが拝めるとは!
 最後のページのイラストなので一応ネタバレ防止のため反転しました。この1冊で一番衝撃を受けたのは間違いなくこのイラスト。ラストにこれを持ってくるセンスは好きです。ただ、このイラストからも分かるように、世界設定はうさんくさいです。なにせ、トーキョーで魔導戦争が昔あって、「シバコウエン地区」に学園がたっています。そういう適当さを気にする人にはまずアウトっぽいです。
 幸い自分は気にしない人なので、常識人な主人公が変人な男キャラたちに振り回される様を楽しめました。本のためならダークなことも平気でやる腹黒図書局長が結構お気に入り、人の話聞かないタイプで主人公とサシのシーンだけだと間違いなく嫌いになってそうですが、他のキャラが大抵混じっているおかげで愉快な迷惑キャラになってました。それと、主人公が意外と骨あって、言い返すときにはきちんと反撃するあたりも好感度高かったです。主一筋でそれ以外にはぞんざいな扱いをする執事のような明らかに既視感があるキャラもいるんですが、まあ活き活きと描かれているのでよしということで。
 物語的には過去のエピソード以外あまり面白みを感じなかったし、恋愛面もときめかなかった(王子キャラはあまり好きじゃないのです)ので、そのあたりは続きに期待。


評価 ☆☆☆(6)



囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

 
《あらすじ》
 異国ミルヒランド公国で、公女ヒルディアと出会ったアリアは、国を統べる『王』というものの責任と覚悟を知ると同時に、王政とは別の秩序を求める狂信者たちとの戦いに巻き込まれる。父とクルサードを助けるために乗り込んだ『虚無の果て』の教団本拠で、アリアたちが知った驚愕の事実とは?そして、戦況を見据えるライルとシェナンの運命は?


 ついに世界の謎が明かされはじめる「幻獣降臨譚」第11巻。
 アリア立派すぎ&ディクスほんとどうしようもないな! 何だかここ数巻同じような感想ばかりな気がしますが、一番気になる点がここなので仕方ないです。アリアはヒルディアとも完璧に渡り合えるようになって、もうちょっと抜けててもいいのになと思うくらい。どこかに飛ばされてもアリアならどうにかするでしょう、どこに飛ぶかが純粋に楽しみ。一方のディクスは、洗脳されきってて何もいうことありません。アリアに鼻っ面をへし折られる日が待ち遠しいです。
 もう1つの気になる点であるアリア争奪戦はこの巻見る限りシェナン有利っぽいですね、シェナン派としては嬉しい限り。ただ、ユリストルが100%篭絡されそうなのが気がかり、アリアと敵対することにならなければいいんですが。
 次巻あたりに人死にまくりのえぐい展開が待ってそう、シェナンその他はどう乗り越えるんでしょうか。


評価 ☆☆☆(6)


【最近購入したもの】
 宵月閑話 はかなき世界に、最期の歌を (佐々原 史緒/トクマ・ノベルズEdge)



 
 4月16日(木)


【今日読んだ本】

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (林 亮介/GA文庫)amazon

 
《あらすじ》
 『ノーモアクリスマス!』 この世で最も生と死を隔てる壁が薄い場所・迷宮街。そんな迷宮街にも、クリスマスはやってくる。ひとえに探索者は外の住人よりも派手にイベントを楽しむ。ツナギをクリスマスカラーにしてみたり、「ノーモアクリスマス」と書かれたプラカードを持ってデモ行進をしてみたり。ただ、クリスマスの福音は、探索者に等しく届くわけではない。死亡率14%のゴールドラッシュ。今日も様々な人間が、様々な理由で迷宮街を出ていく。ある者は幸せに、ある者は無言で。書き下ろし短編「祭典の前夜祭」も収録した、現代のガリンペイロ達の物語、第二弾。


 オンライン小説「和風Wizardry純情派」の加筆書籍化版第2巻。
 1巻に引き続き半端なく面白かったです。1巻読んだ後に我慢できなくて、手を尽くしてオンライン版全部読了しちゃったんですが、どうなるか知っていても全然面白さは色あせませんでした。突然襲い掛かってくる死の恐怖は相変わらず容赦なくて強烈ですし、距離の差がじわじわと不安と変化を生み出している恋愛模様にはとてもやきもき。本格的な死別も出てきたりして、街の人々がどう関わりあいどう生きるのかが気になって一気に読まざるをえませんでした。
 この巻特有で印象に残ったのが、迷宮街の外からの目線。1巻よりも外から迷宮街を観察する人や場面が増えていて、彼らが抱く感想が様々で面白い。木村さんの迷宮街観なんか凄く興味深かったです。
 何やら気に入ったシーンの感想を書くと歓迎されるらしいので、珍しく具体的に書いてみます。

・12月19日 今泉君視点〜真壁の日記
 中巻で一番強烈だったのは19日、勃発の場面もとてもよいのですが悩んだ末にこっち。希望が少し見えた後に、感情を抑えていることが露骨に分かる日記で結果が綴られるのがかなりダメージきました。小林さんが、小林さんがー! ちなみに、他の日も日記は上手く使われていて感心させられました、日記は事実じゃないんですよね。

・書き下ろし短編 祭典の前夜祭
 シーンじゃないです、でも挙げます、だって真壁さんがいい男すぎるのです。本編の時点でいい男なのは分かってましたが、ここまでとは。デートでの翠は女の子らしくてかわいいんですが、それよりも真壁の方に気がいきましたもの。こりゃ惚れる、翠好意持つに決まってます。1つシーンを挙げるならはじめの葵とのやりとりかなあ、もうかっこよすぎ。しかし葵が真壁に惚れなくて本当によかったです、常盤がいなかったら結構危なかった気もします。

 これ以上のものが見られる3巻が待ち遠しいです。願わくば4巻として最強トーナメントか他の何かも出版されますように。


評価 ☆☆☆☆★(9)


【最近購入したもの】
 迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (林 亮介/GA文庫)
 眠り王子と幻書の乙女 (秋永 真琴/B's-LOG文庫)