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 5月16日(土)


【今日読んだ本】

ヴァンパイア・プリンセス (水戸 泉/ティアラ文庫)

 
《あらすじ》
 自分に恋する屍鬼たちにかしずかれている吸血姫ファウスリーゼ。彼女が唯一、躰を許した屍鬼・真木名逸輝に秘められた究極の愛とは――!?


 ティアラ文庫ラストは、死者を屍鬼として蘇らせる力を持っているリリスの少女が主人公の現代Hファンタジー。
 えろえろでした。とてもえろえろでした。女の子主人公で、キャラ配置が逆ハーだったりと女の子向けに書かれていて、ここまでエロ濃いって相当珍しい気がします。特にファンタジー要素入りとなると、なかなか類を見ないのでは。知っている限り、乙女ゲーの「Under the moon」くらいしか近いものが思い当たりません。需要があるかは別にして、新ジャンル開拓という意味では成功していると思います。
 Hシーンについてもう少し。本屋で他の少女向けと並べて置いちゃったら犯罪です、質・量ともにやばいです。某プレイが出てきたときには、そこまでやるのかと思わず笑っちゃいましたよ。個人的嗜好としては、下手な男性向けよりはるかにエロく感じました。自分の気持ちが分からず揺れるファウスリーゼかわいいですし、やや強引に攻められて感じちゃう系が好きな人なら、まず満足できるんじゃないかと。なんでこんなこと真面目に書いてるんだろう……。
 で、これだけエロエロなわりにはストーリーも一応まともにあり。過去に助けた少年の行方など気になる謎があって、ミスリード誘う箇所がいくつもあったりと工夫されてました(まあ分かりやすいですが)。最初男の子視点で話進み出したときには思わずブン投げかけましたが、読み終わってみると2人を観察する第三者視点として悪くなかったなと。
 Hなの読んでみたいという方には一読をお勧めします、でも駄目な人は絶対読んじゃいけません。これで全部読了、レーベル全体については明日に。




 
 5月15日(金)


【今日読んだ本】

伯爵は聖乙女にキスをする (ゆりの 菜櫻/ティアラ文庫)

 
《あらすじ》
 高校生の真梨は蒼い目をした青年に突然、唇を奪われる。イギリスの伯爵だという彼は、前世からの恋人で……!? 美形キャラ盛りだくさんの華麗なるラブロマンス!


 ティアラ文庫4冊目、前世での恋が絡んだ、ミステリ仕立ての現代ラブロマンス。
 ネタバレなしに感想書くの難しいなあ、と思っていたらタイトルがネタバレなことに今気づきました……。途中まで逆転の目を期待していていた自分間抜けすぎる!
 そんな馬鹿晒しはおいといて、前世物です。歴史上の某偉人が前世です。史実にオリジナル設定をミックスしてるので嫌がる人もいそうですが、そういうの気にならない人としては切ない悲恋設定で結構好き。もう少し惹かれあう過程をゆっくり書いてほしかったなと思いつつ、前世物好きとしては転生の末のロマンスをそれなりに楽しめはしました。が、どうしても納得いかない点があってですね。(ネタバレ反転) 前世で報われないキャラ出すなら、転生先でせめてスタートラインには立たせてやってください! 玉砕でいいから面と向かって告白させてあげてください! その仕打ちはひどすぎです、不憫すぎます。これなら主役2人だけで進んでくれたほうがよかった。
 Hシーンの濃さは「魔王子」と同じくらいで普通の18禁レベル。あまり激しくはないんですが、大人な雰囲気がよく出ていたと思います。でも最後のHシーンはいらなかったかな、シーンの前で綺麗にまとまっていたので、とってつけたような蛇足に感じました。
 さて後1冊です。この順(ナンバリング順)で読んだのがよかったのか悪かったのか、結果は明日。




 
 5月14日(木)


【今日読んだ本】

魔王子の花嫁 (七海 ユウリ/ティアラ文庫)

 
《あらすじ》
 第二王女ラズシエルのもとに現れた魔族の王子ルーク。いきなりプロポーズしてきたルークは、唇を奪おうとして――。乙女のための正統派ファンタジー!


 ティアラ文庫3冊目、普段は美少女文庫で書いている七海さんがおくる人間と魔族のファンタジー。
 普通の少女小説にHシーンつけてみましたと言われてイメージする通りのお話でした。例えるなら「全年齢ゲームを18禁に移植したもの」と同じ、主人公・ヒーローともに世間知らずでやや幼いこともあって、Hシーンだけ取り外しても全く違和感ないです。とはいえ、特にHシーンが浮いているということもないし、好みに応じて読み飛ばしたりできるのでこれはこれでいいのかも。
 Hシーンを除くと、ごくごくノーマルな少女の成長と恋の物語with政治劇。オーソドックスでもう一工夫欲しかったという気持ちもありますが、明るくてずかずかと踏み込んでくるけど、ちゃんと反省したり悩んだりもするタイプのヒーローが好きな人にはお勧めできます。一方で幼馴染の扱いはちょっと不憫、ティアラらしい扱いだとはいえるんですが、でもかわいそうでした。
 18禁度合、本職だけあって(?)取り外しても問題ない割には濃い目。あまり少女小説らしくないプレイが出てきたのには少しびっくり。ヒーローがかっこよくよりもかわいく見えてしまったのは……個人的にはあり、かわいいは正義。
 3冊読んで2冊がきちんと乙女向け小説なことにちょっと安心しました。水戸泉さんのはやばいらしいですが。




 
 5月13日(水)


【今日読んだ本】

愛百合女学院へようこそ (成田 空子/ティアラ文庫)

 
《あらすじ》
 全寮制お嬢様校「愛百合女学院」。新入生の苺は学院の女王、愛羅さまに恋人宣言をされてしまって――。百合を超えたポップ&コミカルな新感覚ガールズラブ!


 ティアラ文庫2冊目、帰国子女の女の子が主人公の学園百合。
 えーと、百合界では一人称が名前なのが流行ってるんでしょうか? 先月読んだ「私立カトレア学園」と同様、一人称が「苺」でかなり幼い感じの女の子が主人公。雰囲気甘くするためかもしれませんが、こういう露骨なのはあまり好きじゃないです。おまけにカトレアに比べて、主人公もヒーローも相当性格が破綻気味で、イラっときたりポカーンとなることが結構多め。2人だけでなく、全体的にキャラクターがよくいえば自由気まま、悪くいえば自己中なので、人を選ぶかと思われます。自分は18禁云々以前にここでつまずいてしまいました。
 18禁度合、かなりエロいです。18禁として出さないとまずいレベル、間違っても電車の中などで読んではいけません。主人公のいじめられ方がなんとなくBLの受けっぽくて、BLの人が書いたんだなあと思わされました。なんにせよ、頭空っぽにして百合エロが読みたいという人にはお勧めできます。
 2冊読んだ段階で、どういうレーベルなのかよく分からなくなってきました。幅広さを1つの売りにするんでしょうか。買うまで18禁度合が予想つかないのはなかなか怖いのですが。




 
 5月12日(火)

 今日からしばらくティアラ文庫感想が続きますが、公式発売日より大幅前ということもあり、評価欄は発売後まで消しておきます。ネタバレもいつも以上に配慮するつもりですが、気にする方はお気をつけを。


【今日読んだ本】

華の皇宮物語 (剛 しいら/ティアラ文庫)

 
《あらすじ》
 男として育てられてきた香蓮は、ひょんなことから皇太子の后候補として後宮に。でも香蓮が恋に落ちたのは、皇太子ではなく優しくて凛々しい先々帝の皇子・白勇波で――。


 「キスだけじゃ終わらない 新・乙女系ノベル」を謳って創刊されたティアラ文庫、まずはビズログでも書いている剛しいらさんの中華ファンタジー。男として育てられた女の子が妃候補として都へ行くお話です。
 予想外に面白くてびっくりしました。正直言って話にはあまり期待していなかったですし、序盤で結構無茶な設定が出てきたときには「やっぱりストーリーには力入れないのかな」と思ったんですよ。が、読み進んでみたら真っ当なロマンスだったという。間違いに目をつぶらず正そうとするような真っ直ぐな気性の持ち主で恋なんて興味なかった少女が、1人の男性と互いに惹かれ合う過程をとてもドキドキしながら読めました。ビズログの「金王子」シリーズは淡白な文章が合わなくて脱落したんですが、これはちょうどいい艶っぽさなのがよかったです。他にも、少女向けにしては厚めの280Pでストーリーに起伏あるし、サブキャラにはかわいさとしたたかさが魅力的な女の子もいるしで、普通にかなり面白くてほんとびっくりです。
 特筆しておきたいのが、他の少女小説レーベルじゃ書けないようなことをストーリーに組み込んでいること。後宮が舞台ということもあって、笑えるのから重めなのまで色々と18禁気味の諸々が出てきます。その辺の下地のおかげで「キスよりも先」があるのが全然不自然に感じられなかったのが、個人的にポイント高かったです。
 気になる人が多そうな18禁の度合についても簡単に。一言でいうとティーンズラブ未満。そういうシーンはちゃんとありますが、アンアン喘いだりとかはなくて心理描写多め。これなら「そういうシーンは一切駄目!」という人以外は平気なんじゃないでしょうか。
 1冊読んだ段階ではこれからが期待できるし歓迎したいレーベルです。残り4冊で裏切られませんように。




 
 5月11日(月)


【今日読んだ本】

イングールの天馬 黒の王子と月の姫君(上) (篠原 まり/カラフル文庫)amazon

 
《あらすじ》
 舞台は『青の国々』。神聖なる青の神殿の長老たち5人がまったく同じ夢を見るという、不思議なことが起こる。長老たちは、この夢を「とある男女の結婚によって《奇跡の王》が誕生する」という予言だと解釈した。そして、密かに選ばれたのが、バーゼオン国王子ガイルズと、エルマス国王女のアリシアだった……。カラフル文庫に初の本格ファンタジーが登場!


 某所で好評だったので読んでみた、カラフル文庫から出ているファンタジー。
 評判通りのよいラブでした。男勝りで真っ直ぐな王女様とで破天荒で周囲振り回す王子が、乱に立ち向かったり恋したりするお話。わりと出会った時からお互いに好印象で、気持ちが近づくまでの紆余曲折はあまりないんですが、いざ近づいてからが色々と障害あり。アリシアは子犬みたいに明るく素直で、思いが伝えられなくてしゅんとした姿がとてもかわいらしいし、ガイルズは押しが強そうな性格しているのに恋愛慣れしてないのもあってじれじれしていて、なかなかくっつかないのがじれったくてよかったです。本格ファンタジーと銘打っているわりには展開甘いなあと思う箇所が結構見受けられましたが、ラブければいいのです。児童書にしては文章堅くなくて読みやすいですし(ハードカバーの児童書の文章は苦手)。
 恋の行方が気になるので下巻もさっさと手に入れてきます。


評価 ☆☆☆(6)



舞姫恋風伝 (深山 くのえ/ルルル文庫)amazon

 
《あらすじ》
 貧しい村から売られてきた愛鈴は帝たちのために舞う妓女見習い。月の輝く夜、太子殿下である慧俊である慧俊に出会い互いに惹かれ合うが…!? 陰謀うずまく宮廷で、恋と友情と野心が交錯するドラマチック・ロマンファンタジー!!


 ベタなものが読みたい気分だったので手をつけてみた、ルルル生え抜きの中華ラブファンタジー。
 ベタベタなんだけど乗り切れませんでした。シンデレラストーリー+陰謀劇というのは決して嫌いじゃないんです。でも、いくらなんでも気持ちくっつくの早すぎやしませんかこれ。プロローグの段階で全く揺らぎそうに見えないので楽しみを殺がれてしまいました。愛鈴はまだしも、慧俊が「愛鈴のことが好きな真面目な皇太子」の一言で説明ついちゃうのが……。主人公の性格があまり好きなタイプじゃないのもあるかもしれません、愛鈴より佳葉のほうが断然好きです、いい子過ぎですこの子。佳葉が主人公だったら、とも思いますが、親友としても映えるので難しいところ。
 ベタでも主役カップル好きになれないとダメという好例でした、残念。


評価 ☆☆★(5)


【最近購入したもの】
 華の皇宮物語 (剛 しいら/ティアラ文庫)
 愛百合女学院へようこそ (成田 空子/ティアラ文庫)
 魔王子の花嫁 (七海 ユウリ/ティアラ文庫)
 伯爵は聖乙女にキスをする (ゆりの 菜櫻/ティアラ文庫)
 ヴァンパイア・プリンセス (水戸 泉/ティアラ文庫)

 一部の店ではもう売っているという情報を聞いて行ってみたら本当に売ってました。こんなに早売りすることあるんですね。



 
 5月10日(日)

 今日は数年ぶり(第1回以来)に文学フリマへ。第1回に比べると規模が数倍でびっくり。Twitter繋がりの本をいくつかと女の子主人公創作を漁ってきました。百合が予想以上に多い一方で、普通の男女物はやっぱり少なめだったのは残念。


【今日読んだ本】

黄金の王 白銀の王 (沢村 凛/幻冬舎)amazon

 
《あらすじ》
 百数十年にわたり、国の支配をかけて戦い続けてきた鳳穐一族と旺廈一族。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられていた二人の王。だが、彼らは過去のしがらみを断ち切った。そして、争いのない平和な世の中を作りたいという思いを理解し、陰で協力し合う道を選んだ。しかし、それは想像以上に厳しいものだった…。敵に捕われの身となった王と、混乱する二つの国をなだめて統べる王。二人が思い描いた理想は、はたして実現することができるのか。


 Twitterで誰かのpostを見て面白そうだったので読むリストにいれておいた、和風の架空歴史小説。
 これは面白かった! 時は戦乱の世、長く争い続けた2つの部族の若い王たちが、国を1つにまとめるために協力して戦う長く険しい道のりを描いた骨太なファンタジー。読書メーターで「十二国記好きには〜」という感想をいくつか見かけましたがそれも頷ける、重たく真っ直ぐな雰囲気が漂う物語です。
 で、もうぐいぐいと物語にひきこまれたんですが、その牽引力の大部分を担っているのが主役である2人の王のとてつもないかっこよさ。まずは囚われ側の王子である薫衣、単身敵地で日々を送る彼は、相手の部族からは笑われ蔑まれ、自分の部族からも理解してもらえず。それでも沸き立つ感情をねじ伏せて辛い道を進み続ける姿に何度も胸うたれました。特に後半、ある事件に対して彼が見せた意外な反応から立ち直るまでの一連の流れは最高の一言。稲積が素敵です、彼女がいてくれて本当によかったです。
 一方の櫓は表舞台の王として国を導いていく立場で、同部族の反発を策略で少しずつ切り崩していく実務役。薫衣に比べるとどうしても地味ではあるのですが、志を知っている人は少ないし、策を練る重圧もあるしで、彼のしんどさは薫衣にも劣らないものだったんでしょう。人を惹きつける薫衣に劣等感のようなものを抱きつつも共にあった彼も間違いなくかっこよかったです。
 2人ともお互いに対してどうしても消せないわだかまりや憎しみなどをずっと抱えていて、それを抑え続けて共闘する強さがとてもいいなと思います。一触即発な出会いからはじまってずっとドキドキしっぱなしでした。
 2人の子世代の親に対する感情などもまたよかったりして、魅力はここじゃ書ききれません。お勧めです。たまに読むハードカバーでこういう当たりに出会えると幸せです。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 5月8日(金)


【今日読んだ本】

薔薇のマリア11  灰被りのルーシー (十文字 青/角川スニーカー文庫)amazon

 
《あらすじ》
 父を捜すため、首都エルデンへとやってきたルーシー。悪漢にさらわれそうなところをマリアに助けられ、マリアたちの住まいに転がり込むことに……。ZOOに新メンバー登場! いよいよ新章、突入!!


 新キャラ登場で新章突入の薔薇マリ最新刊。
 何だかうまくまとまらないので、たまには気分を変えて箇条書きスタイルでお送りします。

・マリアローズが増えた
 何度も何度も落ち込んで立ち直って、ようやくマリアが悩まなくなってきたと思ったら、悩みキャラが増えました。十文字さんは悩みキャラ出さずにはいられないんでしょうか。怒涛のごとくつむがれる後ろ向きな心理描写は相変わらずの迫力。ただ、マリアの悩みっぷりほどには好きになれませんでした、多分ルーシーが変態なせいです。

・かませ犬が現れた
 アジマリを邪魔する者は滅ぶべし。ルーシー視点のマリアはかわいいですが、それとこれとは話が別です。

・ラストの衝撃
 この巻は1冊丸々このラストのための導入といってもいいでしょう。それくらい衝撃的なラストでした、まさかここでこうくるとは。既刊読み返して、ちゃんと伏線張ってあったことを思い出しました。しかしこれ、どう考えてもそのうちルーシーぶっ壊れますよね……。アジアン頑張ってマリアを守るんだ!

 こんなところ。いまだに物語がどこを目指しているのかさっぱり分からないんですが、あとがきによるとラストまでしっかり構想はある模様。そこまでついていくつもりです。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 5月7日(木)


【今日読んだ本】

四畳半神話大系 (森見 登美彦/角川文庫)amazon

 
《あらすじ》
 私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。


 「夜乙女」が思いの他よかったので、森見さんの他作品も読んでいくことに。まずはデビュー2作目の京都舞台の青春ストーリー。
 主人公をダメにした「夜乙女」といった感じで、「夜乙女」ほどではないにしろ面白かったです。これまで3作読んできて、森見さん作品の一番の魅力は小気味いい語り口なのかなと思います。大げさで馬鹿馬鹿しくて飄々としている地の文はそれだけで面白みたっぷり。この地の文じゃなかったら、同じ文繰り返しのところで飽きてたんじゃないでしょうか。
 もちろん面白さは語り口だけじゃなくて、ただのパラレルワールドなのかと思わせておいて、もう一段階用意してある仕掛けがなかなか凄かった。四畳半世界の鬼気迫る描写に圧倒されました。あと、同じ文の繰り返しで「どの選択肢選んでも同じ」なことが強調されているのが実にやるせない。構成自体は最初に選択肢出た時点で予感はあったんですが、分かっていてもやるせないものはやるせないのです。
 恋文の技術がとても気になってるんですが、ハードカバーは気が引けるのですぐに手を出すかは未定。


評価 ☆☆☆★(7)



魔女とちび王女 ルーシー・ビィビィの大冒険 (榎木 洋子/コバルト文庫)amazon

 
《あらすじ》
 第二王妃の娘ゆえに追いやられて育った王女、ルーシー・ビィビィ。王家にかけられた魔女の呪いをといたら、女公爵の位をもらえるというんで、お供のアルジャンと魔女退治へ!!


 ブクオフで見かけてなんとなく買って積んでおいた、7年くらい前のコバルト作品。
 のほほんとしていて頭空っぽにして読めるお話でした。王女が魔女退治にいくというのは普通のファンタジーですが、全体的にかなりメルヘンチック。何せ、敵と戦うときの方法が「なぞなぞ」です。敵がなぞなぞを出して、こちらが答える。間違えたらカエル化。この時点でのほほん確定です。なぞなぞのレベルは推して知るべしですが、時々「おっ」と思うものもありました。
 で、ただのメルヘンじゃなくしているのが主人公のビィビィ。みそっかすでそばかすつきの王女というのはよく見る設定でも、たくましさや生意気っぷりがメルヘン離れしていて痛快。魔女の手下をやりこめたり気弱な従者を振り回したりする様が気持ちよかったです。ストーリー自体はあまり面白みなかったんですが、この主人公のおかげで楽しめました。
 榎木さん作品はこういう軽いノリの方が好みみたいです(龍と魔法使いは合わなかった)。ステップアウトもそのうち手に入れて読む予定。


評価 ☆☆☆(6)



 
 5月6日(水)

 久々のネット小説感想。

Tiny gardenのもの全般

ここ数ヶ月は主にこれを読んでました。現代恋愛物中心に相当数の中長編が掲載されてます、これだけ数あるのにバリエーション豊かで飽きずに読めるのが凄いです。当たり率も結構高め、特にお気に入りなのは以前紹介した「隣の席の佐藤さん」の他、「ただ甘いだけに見えるゆめ」、「ドアは閉まらずにいた」あたり。

聖女と騎士のはなしWindia

堅物騎士スキーは必読。村娘な聖女様と彼女を守る堅物騎士を中心に展開するハートフルストーリーで、聖女様に振り回される堅物の姿やじわじわ近づいていく2人の距離がとてもよいです。堅物騎士にライバル意識を燃やす貴族の若君や、2人の様子を暖かく見守る人々など、脇役もいいキャラ揃い。

ワタシトカレラ。imitation beauty

 35歳の喫茶店マスターに片想いする高校生が主人公のラブコメ。のはずなのですが、俺様生徒会長、陰険メガネという主役格2人が変人で、主人公のセンスも色々おかしいために物凄くアクが強いです。何せ、1話のタイトルが「恋はナメクジのように」です。でも、センスが合う人にはとても楽しいラブコメ。ちょっと冒頭が状況掴みづらくて読みにくいのが難点なので、読むなら最低5話くらいまでは。

月光将軍活劇★美少女小説館

メルフォでお薦めいただいたもの。「なんでうちに美少女活劇を薦めてくるんだろう?」という疑問はあったものの、読んでみたら幼女ヒロインがなかなかかわいいし文章も読みやすかったです。ただ、性に関する倫理観がかなり奔放な世界で、それについていけずに途中で脱落、残念。



 
 5月4日(月)


【今日読んだ本】


蒼穹のカルマ2 (橘 公司/富士見ファンタジア文庫)amazon

 
《あらすじ》
 年に一度、蒼穹園騎士団内でも選ばれた騎士のみで行われる演習――蒼穹園武会。騎士の誇りと名誉を懸け、それぞれの騎士達がぶつかり合う! 毎年、演習の誘いを無視してきた駆真だが、今回は参加を決意!! 何で!?


 正統派ファンタジーと見せかけたシスコンお姉ちゃんノベル「蒼穹のカルマ」第2巻。

 (ノ#゚Д゚)ノ=============>┼○←衛二

 届いてから裏表紙のあらすじ読んで凄く嫌な予感がしたら案の定でした……。空気読めない、人の話聞かない、女心分からないの3拍子揃ったキャラであるところの衛二に腹立って腹立って仕方ありませんでした、久々にこのAA使いましたよ。このレベルになるともう出てくるだけで読むのが辛い。後半の展開にも納得がいかず、こんなの受け入れちゃダメです。
 さらに、衛二抜きにしても1巻に比べて不条理さがあまりなく、勢いが弱まっていたのが残念。駆真の突っ走りは見てて楽しいんですが、1巻にはそれ+αがあったのがよかったので。それと、アステナやウタを便利キャラとして継続して出すのはなんだかなーと思いました、これなら捨てキャラだった方がよかったです。
 色々張られるようになった伏線にもあまり興味が持てないので、続きは様子見。


評価 ☆☆(4)



 
 5月2日(土)


【今日読んだ本】

世界画廊の住人 (栗原 ちひろ/幻狼ファンタジアノベルス)amazon

 
《あらすじ》
 栗原ちひろ初登場! 錬金術師見習いのセツリは画家のリンと出会い、世界と世界の間をつなぐ『世界画廊』の管理人に任じられるが…。


 「オペラ」シリーズの栗原さんの幻狼進出作、絵描きが特殊な存在の世界が舞台のファンタジー。
 これは面白かった! なんといっても魅力なのが独特な世界設定。「絵描きがやたら特別なものとして扱われている」という些細な齟齬から世界とストーリーがどんどん広がっていって、凄くワクワクして読めました。「こうくるのか!」という箇所が何箇所かあって、どれもがなかなかの盛り上がりで250ページ程度なのにかなりの密度でしたね。「絵描き」設定抜きにストーリーだけ抜け出すと結構見る話な気もするんですが、設定とストーリーががっちりはまっていて斬新で面白い世界に仕上がっていたと思います。
 登場人物にも見所あり、口はあまりよくないけど人はいいセツリと生活能力なし変人の画家のやりとりが楽しかったです、度重なる不幸にもめげずに人のよさを保っているセツリは主人公としてかなり好き。2人の関係はどことなく「オペラ」シリーズのカナギと詩人の関係にかぶって映りました。
 栗原さんはレプリカ・ガーデンも面白いけど、こういう本格寄り書かせたらさすがですねやっぱり。また幻狼で書いてほしいです。


評価 ☆☆☆☆(8)



鳥籠の王女と教育係 魔王の花嫁 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

 
《あらすじ》
 ゼルイークの力で、お城から出られるようになった王女エルレインは、婚約者で魔法大国の王子アレクセルたちと賑やかな日々を送っていた。だが、昔彼女の呪いに敗れた魔法使いシスティークが現れ…!?


 「ダナーク村〜」の過去の世界が舞台の魔法ファンタジーロマンス「鳥籠の王女と教育係」第2巻。
 ヒーロー2人のかっこよさが増していてよかったです。2人のうち好みなのはやっぱりゼルイーク。ひねくれの中に隠された重い過去にエルレイン同様やられました。過去が分かると普段のひねくれ方の影に悲しさや切なさが感じられて、ますますゼルイーク好きになりました。
 でも、アレクセルも今回はおいしいところたっぷりで捨てがたい。王子キャラってあんまり好きじゃないんですが、エルレインが落ち込んだときの太陽のように開けっぴろげな姿はかっこよかったです。これでバカじゃなかったら……、とも思うんですが、バカじゃなかったらここまでかっこよくは思えなかっただろうなあ。多分正ヒーローはゼルイークなんですけど、このままヒーロー2人で最後までいくのも見てみたいです。
 ところで1巻で出てきていたはずのツンデレ幼馴染はどこに行ったのでしょうか。エルレイン戦線からは完全に脱落してるんですが……。オルフェリアが惚れてるのってこっち? 1巻の中身があやふやなので自信ないです。何はともあれ3巻では出てきてくれるといいですね。


評価 ☆☆☆★(7)


【最近購入したもの】
 世界画廊の住人 (栗原 ちひろ/幻狼ファンタジアノベルス)