7月28日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ 遙かなる虹の大地 架橋技師伝 (葦原 青/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 《あらすじ》 架橋技師はいくさの最前線に立ち、自軍を敵地に誘導する橋を架ける。師に憧れ、架橋技師になったフレイ。だが戦場で「白い悪魔」と罵られ、架橋の技は不幸をも招くという現実に打ちのめされるが……。第5回CN大賞受賞作 今年のC★NOVELS大賞受賞作、特殊な力で橋をかける「架橋技師」たちを描いたファンタジー。 どうしてそんな変な設定入れちゃったんですか! 思わず最初にこう叫ばずにはいられないお話でした。いや、面白くはあったんですよ。物語の軸になっているのは、師匠の名を汚されてひねくれている青年のフレイが、汚名をすすごうと奮闘しているうちに成長していく過程。気が短くて色々と衝突したりしつつも、気のいい仲間達の助けもあって変わっていった彼の姿は気持ちのいいものでした。レオもアリューシャも心からフレイのことを考えていて、いい仲間に恵まれたなと思います、レオとの絆はいい絆。 タイトルから期待した橋架けの部分は、魔法的であまり惹かれず。ですが、爺さん師匠コンビが「いかにも師匠」という感じな超越的なところがあって、活き活きとしていてかっこよかったですし、宗教から科学へと変遷していく時代における橋技術の描き方も面白かったりと楽しめました。 それだけに、変な設定で流れを壊してしまっているのがもったいない(読んだ人ならどの設定のことかきっと分かるはず)。単にこの設定が好みじゃない、というのもあります。でも、話の本筋とは全然関係ないのに、作中で一番インパクトあるだろう設定を唐突に出すのはやりすぎだと思いました。こんなところで驚愕狙わなくても、普通に進んでくれればよかったんですが……。 上記の設定以外はよかったので、次回作も手を出してみます。 評価 ☆☆☆(6) |
7月27日(月) |
8月の購入予定、ここ数ヶ月買う買う詐欺が多かったので控えてみました。ティアラは読了済なので、積み崩しが進みそうです。 ただいま神サマ募集中っ! (香月 せりか/コバルト文庫) 海賊と姫君 Eternal Lovers (花衣 沙久羅/ティアラ文庫) アラビアンズ・ロマンス 花嫁は王の腕で微睡む (仁賀奈/ティアラ文庫) 蒼月流れて華の散る 絶華の姫 (南咲 麒麟/ティアラ文庫) ソードアート・オンライン2 アインクラッド (川原 礫/電撃文庫) 偽りのドラグーン (三上 延/電撃文庫) 千年守護者 〜いにしえの銀 とこしえの恋〜 (真朱 那奈/B's-LOG文庫) 魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 (葵 東/GA文庫) 星図詠のリーナ2 (川口 士/一迅社文庫) 【今日読んだ本】 ◆ 蒼月流れて華の散る 絶華の姫 (南咲 麒麟/ティアラ文庫) 《あらすじ》 絶華の姫――数百年に一度生まれる乙女を抱いた者は天下を取れるという。私が、その伝説の姫――!? 色気ナシ、食欲旺盛な元気少女の琶遙は、絶華の姫として皇帝配下に狙われる身。飄々とした天才肌の師匠・志天勝に守られ、純情な幼馴染・蒼翼と逃避行へ。旅先でまたも襲われた琶遙は、超美形の貴公子に助けられる。優しい煌科洛――その正体は宮廷の手先!? 中華風恋愛活劇! ティアラ文庫8月刊3冊を一気に更新、まずは抱いたら天下を取れると謳われている「絶華の姫」が主人公の中華ラブストーリー。 これはよい幼馴染でしたよい幼馴染でした、大事なことなので2回言いました。 幼馴染の蒼翼や師匠とともに暮らしていた女の子の琶遙が「絶華の姫」としての運命に巻き込まれていくお話なんですが、幼馴染とのラブが素晴らしかったです。普通に話しているつもりがいつの間にか口喧嘩に、でもお互いのことはとても大事、そんな気の置けない幼馴染関係で、離れてから積もっていく蒼翼への気持ちに胸キュン。また、琶遙視点だけでなく蒼翼視点と交互に話進んでいって、両視点から伝わってくる蒼翼の不器用な優しさや想いがたまりませんでした。特に蒼翼視点での溢れんばかりの気持ちや言い出せないもどかしさがいいです、こういう幼馴染大好き。全体的に展開を分かりやすくはっきりと書きすぎている嫌いはあるものの、そこはときめいたもの勝ち。不器用な幼馴染好きな人にはとてもお勧めです。 そんな少女小説なストーリーだけあって18禁度合は低め、設定変えていじれば普通に少女小説として出てもおかしくないです。でも、通い合う2人の心が存分に伝わってきて、純愛物としてあってよかったHシーンでした。 2人以外ではお師匠様が、普段は飄々としていてもさすがに人生の先達というところを見せてくれるいいキャラでした、最強すぎるのはご愛嬌。恋敵のカラクもかっこいいんですが、敵方にしてはさすがにいい人すぎなんじゃという気も。登場時からずっといい人だったので「あれ?」っていう感じでした。幼馴染好きじゃない人は要注意。 あとがき読む限り、普段は少女小説書いてそうなので誰かの別PNかな? この人のお話はまた読みたいです。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ アラビアンズ・ロマンス 花嫁は王の腕で微睡む (仁賀奈/ティアラ文庫) 《あらすじ》 絢爛たる産油国王の后になるか、それともハレムで飼われる身か!? 傲岸不遜な王子カルディールにさらわれ、ハレムに入れられた寧々を待っていたのは、正妻か愛人かを決する儀式。迫る儀式を前になすすべもないなか、優しい王族ラシードが唯一の味方に。寧々に脱走の手引きを施したのだ……。それは、王位継承の陰謀が絡んだ罠!? 濃厚LOVE満載、灼熱のように激しいロマンス! 8月のティアラ2冊目は、現代アラビアが舞台のラブロマンス。 うーん、主人公にイライラさせられっぱなしでした……。零細牧場で暮らしていた主人公が、ある日アラビアの王子に突然見初められて攫われるお話。この主人公が、よく言えば世間擦れしてなくて純朴、悪く言えば騙されやすい性格をしていて、すぐに騙されて変な方向に行こうとするのにひどくイライラしました。一度誤解したらそれを信じ込むのでなおさら性質が悪いです。特に結ばれた後の誤解はありえなかった、何でそんな行動に走るんですか、意味が分からない。これ、エピローグ後もきっと何度も問題引き起こすだろうなあ。カルディールは女運ないですね、いや惚れてるからいいのか。 そのヒーローの王子様カルディールは俺様で強引なところも多々ありましたが(特にH方面)、主人公のために優しくしようという心持ちは窺えて悪いキャラじゃなかったです、動物好きのくだりでの優しさは素敵。これで何度も逃げられるんだからカルディールかわいそう。あとはトラウマをうまく見せてくれていたらなあ、ただの誤解の材料でしかなかったのが惜しいです。儀式で終わっていた方が話的にはずっと綺麗でした。 H方面には質量ともに力が入ってます、主人公がやたらと感じやすい設定で乱れまくってます。でも、主人公が好きじゃないせいで個人的にはH度半減でした、エロにもキャラは大事。 そんな感じで、いいところもあったんですが主人公のマイナスが始終大きすぎました。ただ、自分はアラビアには全くときめかない人間なので、アラビア好きな人が読んだらまた違うのかも。 評価 ☆☆(4) ◆ 海賊と姫君 Eternal Lovers (花衣 沙久羅/ティアラ文庫) 《あらすじ》 「おまえは俺のものだ」。一族を皆殺しにされ、領地を奪われた姫君マディーナが、残された弟王子と逃げ込んだ船――それは竜のように危険な男レオンがひきいる海賊船だった! 専属奴隷の契約をさせられ、純潔を奪われるマディーナ。身体だけからはじまった関係。しかし、レオンの独占欲は真実の愛へと変わっていく……。稀代の少女小説家が渾身の力で描いた、ラブロマンス大作! 8月刊ラストは、体からはじまる関係の海洋ラブロマン。 出来はいいと思うのに、何故かあまりはまれませんでした。騙し討ちで家族を殺された姫様が逃げこんだ先は海賊船で、いきなり船長に体を奪われて――、というお話。最初が強姦というのは今までのティアラになかった展開ですが、その先は意外にも結構甘め。主人公のマディーナが再三のキスや責めで慣らされ調教されていく様子はなかなかにエロチックでした。また、ストーリーもピンチや盛り上げ所をしっかり抑えてあるなあという印象、主人公の知らないうちに大人になっていく弟がよかったです。 それなのにはまれなかったのは、多分ヒーローのレオンが好みじゃなかったせい。かっこいい俺様キャラと見せかけて、内面がマディーナに欲望感じている描写多めで、全然魅力的に感じられなかったんですよね。大人なラブロマンスはあんまり読んだことないんですが、こういうものなんでしょうか。そういやマディーナがレオンのたくましい身体にドキドキしているのにもピンとこなかったし、単に自分が大人のラブロマンス苦手なだけかも。 でも、読み終わった後はレオンをひどい奴認定してもいいんじゃないかと思います。あとがきの「世に出るまで四年」という記述を見て、途中で設定変わったからこんなひどい奴になったのかなあ、などと勘ぐってしまいました。 以下本筋と外れた話、あらすじの「稀代の少女小説家」はさすがに過大な謳い文句のような……。 評価 ☆☆★(5) |
7月26日(日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コミケカタログ発売後の定例更新第2弾、ライトノベル作品別サークル数変動チェック。今回はFC(小説)だけでなく男性向も調査対象に加えてみました。ただし、男性向は数が多すぎることもあり、調査範囲を限定しています。
太字は大幅に増加している箇所です。FC(小説)、男性向を個別にまとめたものはこちら。 こうして眺めてみるとアニメ化でサークル数が増えるのは一目瞭然ですが、作品によって反応速度に差があるのが見て取れます。最近の傾向だと、アニメ放映時期中にピークを迎える作品が多め。とらドラや図書館シリーズは、放映で人気が増してサークル数が増えた例と言えそうです。ハルヒはどうみても例外。 また、狼の香辛料や生徒会シリーズを見るに、放映前でも2月と8月の申し込み前にアニメ化が決定していれば反応はあるようです(香辛料は07年8月発表)。生徒会は冬にどれくらい増えるでしょうか。 |
7月25日(土) |
7月23日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 聖鐘の乙女 谷間の百合と水の乙女 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 《あらすじ》 父親の楽譜を探すため、男だらけの音楽学院に弟の振りをして入学したアティーシャ。夏休み、友人の別荘へ先輩たちと共に招かれたアティーシャは、湖で出会った少女マデリーンに女の子だと気づかれてしまう。弱みを握られ彼女の恋に協力することになるが、恋の相手は予想外の人物でーー!? 一方、学院では王子サリアンを狙う陰謀が進行していた…。アティーシャ15歳、男装乙女の男子音楽学院ライフ♪ 大好評シリーズ★第4弾登場!! 本宮さんがおくる男装学園ファンタジー「聖鐘の乙女」第4巻は夏休み編。 アティの天然タラシっぷりが極まってきた巻でした。リキシス先輩をここまで完膚なきまでにタラすのはさすがにやりすぎだと思うのですよ。絶世の美人ってわけでもないんだしアホの子だし、アティ争奪戦に加わるのはネイトさんとジェッツとサリアン様だけでいいじゃないかと。でも動揺しまくるリキシス先輩のかわいさを見たら許せてしまいました、そんな自分が嫌です。 本命候補のネイトさんはアティと離れていることもあって見所少なめ。でも、サリアン様にアティへの思いを突っつかれる姿には、やっぱりネイトさんが一番だなあと思わされました、とっとと素直になってほしいものです。そのサリアン様もとうとう出陣しそうな感じですが、まさかサリアン様ルート行ったりはしませんよね? 今回のメインストーリーなトールディとマデリーンの幼馴染カップルのエピソードは、もうベタベタとしかいいようが展開、でも恋するマデリーンが乙女パワー全開で普通に楽しかったです。ただ、正体バレであわわわな展開が期待していたよりも軽かったのはちょっと残念でした、トールディの嫉妬など正体活きる場面もあったんですけど、もう少し踏み込んでほしかったところ。 本筋の楽譜の秘密はじわじわ進んでます。裏を返せば本当にじわじわしか進んでません、本宮さんは話進めるの苦手なのかなあと思う今日この頃。でも次巻では動きそうなので楽しみです、「陰謀とラブの巻」って誰とのラブですか! 評価 ☆☆☆(6) ◆ RPG W(・∀・)RL 2 ―ろーぷれ・わーるど― (吉村 夜/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 ガルガンシア王に謁見し、ギャスパルクの復活阻止の協力をとりつけるため王都ガライアを訪れたユーゴたち、そんな彼らのパーティーにとある事情からエルフが加わることに! どたばたクエストの行き着く先は!? いきなり高レベルでRPG世界に入っちゃったファンタジー「ろーぷれ・わーるど」第2巻。 主人公達がこの世界に慣れてきて新鮮さは薄れたものの、安定した面白さ。メキメキとリーダーとして成長していくユーゴと相変わらずなショウ、どちらの視点も彼らなりの悩みが分かりやすく描かれているし、先が気になってスラスラと読めました。思ったより現実世界の話題を絡めてくるのにはびっくり(特に第二次世界大戦が出てきたあたりには驚きました)、小物たちは正直どうでもいいですが、黒幕がどういう存在なのかは気になるところ。あと、ユーゴの成長ペースが恐ろしすぎてショウがかわいそう、フラグがたたないのは当然にしても、このユーゴが傍にいるのは辛い。あとがきにあるようなショウ離反展開が本当にあるかもしれません、これから面白くなるかはショウ次第な気がします。 個人的にやっぱり特筆しておきたいのは、女の子視点の存在。静かな三角関係を繰り広げている姉妹双方の視点があって、2人とも恋する乙女なのがよいです。今のところ読んでて面白いのはレヴィア視点、嫉妬したり自分を責めたりがいい後ろ向き。キャラとして好みなのはイシュラですが。最終的にはユーゴは現実に帰還が妥当な線だろうので、この三角関係は一体どうなるのか、そんなところも含めて続きが楽しみです。 評価 ☆☆☆(6) |
7月21日(火) |
先月に続いてラ管連ボドゲ会に参加。今回もたっぷり遊んできました。今回のメインはドミニオン大会。 1戦目は「大量の金」セット。ベテランが揃った卓で何もさせてもらえずに終わりました。妨害カードがなくてスピードが速いので、1手のミスが大きく響くセットだなあという印象。でも玉座の間+冒険家を1回打てたので満足でした。 2戦目は「変遷」セット(魔女がいるやつ)。前哨戦でこのセットで遊んで庭園ゲーの強さを思い知らされたので、実践してみたら圧勝。妨害こないと庭園&工房&地下室コンボ強いですねこれ。最終的に庭園8枚なのはともかく、地下室9枚も持っててびっくりしました。 3戦目は色んな人がランダムで引いた10枚、攻撃カードがないのに堀を引き当てる平和さんがさすがでした。プレイの方は、金貸しと鉱山がうまく嵌まったおかげで3金無双で勝利、これは運がよかった。礼拝嫌いな身としては金貸しは好きなカードです。結果2勝と上出来な結果でした。 その後の人狼はハムスター(妖魔と同じ)に。潜伏頑張ろうと思ってたら、狂人のうさみさんに黒出されてあっさり死、うさみさんチート。占いCO準備しとけばよかった! ってあれ、先月もヴァンパイアであっさり死んで同じこと書いた気がします……。次回やる時こそは! 他にも拡張セットの「ドミニオン陰謀」でハーレム覗きプレイを食らったり、「トーレス」で城を建てたりと楽しい時間を過ごせました。 【今日読んだ本】 ◆ デュラララ!!×6 (成田 良悟/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「彼は、平和島静雄。池袋で一番危ないって言われてる殺し屋なんだ──」臨也に嵌められ街を逃走しまくる静雄。自分の立ち位置を考えさせられる帝人。親友の苦境に今更になって気づく正臣。何も知らずに家出少女を連れ歩く杏里。先に待つ出来事を想像できなかった茜。黒バイクとの接触に興奮を隠せない女。一人悶えつつも帰りを待ち続ける新羅。思い通りに事を運ぼうと画策する青葉。ダラーズに意趣返しを繰り広げる千景。そして首なしライダーが救うのは──。 池袋は今日も歪んだ想い達を包み込む。さあ、みんな一緒に、デュラララ!!×6 まさかのアニメ化が発表された「デュラララ!!」第6巻は、イザヤの企んだ動乱完結編。 ここ2巻ほどの貯めを開放したら、みんな悪いほうに転がっていった巻でした。帝人あたりは悪いほうに行くのは分かってはいたけれど、覚醒まで行っちゃうとはなあ。3人がハッピーエンドに納まる図が想像できないんですがこれ。もう杏里にも止められませんよね……。でも成田さんならうまく収束させてくれるって信じてます。それに、帝人のおかげで青葉があるべきポジションに落ち着いたのには少し溜飲が下がったりと、悪いことばかりではなかったですし。 3人以外の人間で気になったのはやはりイザヤ。今までほとんど絶対的な存在であった彼が大人社会からの手痛い洗礼を受けて、ここからどう反撃していくのかはとても気になります。イザヤざまーみろという気持ちも少なからずあったりするんですが。しかし、大人社会の面々の底知れなさは半端ないなあ。 あと、皆が変わっていく中で、セルティ新羅だけは変わりないのには癒されました。首なしデュラハンは池袋の象徴的な役割ってことでしょうか。 さて、7巻では誰にスポットが当たるんでしょうか。普通にいけばイザヤか帝人なんですが、成田さんだしどこからアプローチしてくるか読めません。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ いつも心に剣を2 (十文字 青/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 魔女という存在が恐れられていた時代。魔女の砦での戦いを経て、ユユとレーレはネルリンという街にたどり着く。そこで聖騎士のヨナハンとセルジュに再会した二人は、彼らとヨナハンの故郷へ向かう。だが、久しぶりの故郷を喜ぶヨナハンを待っていたのは彼を失意の底へ叩き落とす大事件だった!! 一方、セルジュはユユが魔女ではないかと執拗に疑い、彼女に探りを入れてきて……。魔女と人間の戦いの先に、ユユとレーレは何を見て、何を思うのか。―――「放ってはおけないわ。友だちだもの」――― 薔薇マリの十文字さんがおくる欝まっしぐらファンタジー「いつも心に剣を」第2巻。 うわー、着実に欝に向けての土台が整ってきています……。今回は新たな魔女狩りの顛末を描いたエピソードで、レーレとユユの間に大きな動きがなかったのは少し物足りなかったものの、ユユの心が着実に傷ついていることが分かったりレーレが無力だったりで、崩壊の予感がひしひしとしてきます。メインは最後の引きですが! そうか、セルジュはそういう役割なのか、えぐいえぐい。3巻ではユユの心壊れるかもしれませんね、相当繊細ですし彼女。どうなるのか怖くて楽しみです。 少し引っかかったのが、レーレの魔女に対する姿勢。ユユが絶対的な存在なのに、魔女を受け入れないんですよねレーレは。ユユの現状を考えれば、もう少し魔女寄り(というよりは世界敵視)になってもいいと思うんですが。少年ゆえの潔癖さなのか、一般人の限界なのか、今のところよく分かりません。 そういや、誘い突き放しなユユが無駄にエロいんですが。エロいのは悪いことじゃないけど少し過剰な気もしました、もうちょい控えめが好み。 評価 ☆☆☆(6) |
7月19日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 花守の竜の叙情詩 (淡路 帆希/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 王位継承に敗れた第二王子。そして、その王子の国が侵略した国の王女。支配した者とされた者。互いを憎みながらの長い旅が始まる――。「紅牙のルビーウルフ」の淡路帆希が贈る、宿命のファンタジー! 「ルビーウルフ」の著者さんの新作は、亡国の王女が主人公のファンタジー。様子見していたら好評のようだったので手を出すことに。 想像よりも淡々としてましたが、その分心に染み入る物語でした。邪魔な存在の第二王子テオパルトと彼の国に祖国を滅ぼされた王女エパティークが、銀竜を呼び出すために旅をするお話。第一印象最悪な2人が旅をするうちに〜、というのがメインです。この手の作品にしては険悪さをじっくり描いているのが珍しいです、お互いの視野狭窄や欠点を自覚させられ、少しずつ人柄が変わっていくのが好感触。嫌い→好きへ気持ちが裏返るのはやや急に感じられたものの、その後の誰もいない川辺での穏やかな生活の中で、2人の悪感情が洗い流されていく感じがとてもよかったです。嫌悪が根深そうだった分、テオバルトの後悔や恋心が印象的でした。 終盤の展開は、ビーンズの某作品で似たようなキャラ配置があったために驚けなかったのがちょっと残念。でも、エパティークとラダーのやりとりが痛快でした。 最後もじんわりくる綺麗な締め方でいいファンタジー。これは次回作にも期待します。 評価 ☆☆☆★(7) |