10月16日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 女神の娘の恋歌 暁は伯爵、黄昏は魔王 (響野 夏菜/B's-LOG文庫) 【amazon】 《あらすじ》 パラデール教の司祭・ミーナは、お目付役の怪物・ギーを連れて、怪異の多さで有名なグメーラにやってくる。影で「魔王」伯と呼ばれるナリスフレイと対面するも、噂とは違う穏やかな応対に安堵するミーナ。そう、帰る訳にはいかないのだ……あのことを教えてもらうために。しかし、家令のファランドや村人たちの態度にどこか違和感を覚えたミーナは、その夜、ナリスフレイにそっくりで不肖の弟だと名乗るレイヴェンに出会いー―!? 神々の時代をこえて、今、闇の大地に乙女の祈りの歌が響く! 響野さんのビズログ進出作品は、司祭の女の子が主人公のファンタジー。 響野さん作品は当たり外れのブレが大きいと以前書きましたが、これは当たりの響野さんでした。「魔王伯」がいるという土地に赴任してきた司祭の少女ミーナ、そこには穏やかな伯爵と、彼によく似た俺様な弟が住んでいて――、というお話。全体的に、魔王が出てくるような世界観での正統派な少女向けファンタジーといった雰囲気でした。主要キャラがみんな重ための運命を背負っていて、人間関係の中でそれらが少しずつ明かされ解消されていくのが面白くて、続きが楽しみな物語です。 でもこの1巻の段階では、ストーリーよりもキャラを語りたい。伯爵弟のレイヴェンは、ミーナをからかい翻弄するときのタラシな面とダークで寂しそうな面がうまく合わさっていて、いい俺様キャラ。伯爵タイプよりも俺様タイプの方が基本的に好きなので、普通ならこれでレイヴェン派となるんですが、ナリスフレイが予想外にかっこいいです。こっちはどうせ温厚で影があるだけのカマセなんだろうと思っていたら飛んだ食わせ物、エピローグには不覚にもときめきました。明らかにレイヴェンが正ヒーローっぽいのに、レイヴェンに負けてないと思えるのが凄いです、どちらを選んだらいいのか困ります。 さらに、お目付け役のギーも捨てがたい。こういう動物タイプのずっと傍にいるキャラってツボなんです、口の悪さや気の置けなさがとてもよいです。かっこよく変身された日には転がります。いったい誰を選んだらいいのか(略。まあきっと恋の相手にはならないんでしょうが、色々口出してくれそう。 ミーナはちょっと強すぎな気もしますが、レイヴェンにも対抗できる肝の据わり方や、からかわれたときの反応などは好き。あと、察しのいい子ですぐに怪しい点に勘付いてくれるのが好感度高いです。最近鈍い子が主人公の話を読んでイラつくことが多かったので、安心できました。 以下どうでもいい話。グメーラとダナーク。なんか似てません? ほら、グに1本加えて、メを傾けて、ラの棒をちょっと動かせば。……ダナークの語源考えたら終わりですが。 評価 ☆☆☆☆(8) |
10月15日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (林 亮介/GA文庫) 【amazon】 《あらすじ》 それは迷宮内部の写真から起こした商品スケッチだった。探索者なら一度は目にしたことがある、第一層濃霧地帯の奥にある縦穴のものだ。その図には後藤が売りたい商品が描かれていた。天井に滑車が据え付けられ、鎖が吊るすのはゴンドラだ。後藤のアイディアは画期的なものだった。リスクを減らし第四層まで一瞬で移動できる。迷宮内部でのみ産出される不思議な石が金属の強度を高めることも判明し、探索の効率を向上させるように思われたが……。 生まれる希望と、同じだけの絶望。迷宮街での生活は、ゆっくり何かを蝕み、静かに壊してゆく。好評の書き下ろし短編も収録した群像劇、第三弾。 怪物が跋扈する迷宮が生まれた現代京都を舞台にした群像劇「迷宮街クロニクル」第3巻。 駄目だ、このシリーズ好きすぎる。探索パート少なめなのになんでこんな面白いんですか。Web版は既読なのにもかかわらず、付箋をつけながら読んだら数が大変なことになってました。探索者、非探索者、街の外の人、誰をとっても見所が多すぎます。 その中でも今回ピックアップしたいのは、やはり真壁さん関連。色んな人から見た真壁さんが描かれているのがとても面白いです。葵視点での真壁さんを見て2巻での疑問が色々と腑に落ちましたし、同級生達の反応もまた納得いくもので、かっこよさばかりが目立っていた2巻とはまた一線を画してます。そうか、迷宮街の中と外の差だけじゃなかったんだなあ。しかし、真壁の察する力を考えると気づくのが普通のような。とすると、やっぱり無意識に知ってるのか、はたまた恋は盲目なのか。分かりません。どっちにしても、真壁さん好きな気持ちは揺らぎませんが(このラノでは男性キャラ1位に推しました)。 書き下ろしはインパクトあったので別枠。試験の真壁さんは何やったのかちょっと気になっただけに嬉しい書き下ろしでした。なるほど、これは翠その他に色々言われても仕方ない。でもこの合理的な思考大好き。他にもフラグぶったぎりに笑ったり、死者の生きてる姿にしんみりしたり。しかし、死者なのに三原さんの存在感は凄い。もっと見てみたかった人です。 見所は到底全部は書ききれませんが、地味なところでは片岡さんは出番少ない割に背中が強く印象に残りました。国村さんもやっぱり出てくると目立ちますね、この人ももっと活躍が見たい。あと、三峰さんと後藤さんのコンビはかわいい小動物と野獣で好き。後藤さんのイラストはとてもグッジョブですがちょっとかわいそうでもあり。 改稿部分で1つだけ残念だったのが、津差さんのお相手役。嘉穂さん好きだったのに! とはいえ、マドンナもただのお色気キャラじゃないところを見せてくれたし、今後も何かやってくれそうなのでよしとします。あれ、でも新キャラってことはもしかして(思考停止) 引きにこの2人を持ってくるのがまた渋い。何が待っているか大体は知っていてもこの不安感はゾクゾクします。それも、普段落ち着いている人たちだから余計に。4巻が待ち遠しいです。 読みたいシーンとかを書くといいことがあるかもしれないらしいです。チャンバラ上位陣の活躍が一番見たいんですが、これはきっと無理なので置いとくとして。あれ、読んだものだけで満足感たっぷりであんまり浮かびませんよ? あんまり日常の衣が印象に残ってないのでファッションショーとか浮かんだけど、シチュが難しそうですし。他には、実はエディに意識があって、まさかのエディ視点とか。先天的だと製作者の意思が入ってアレなことになりそうなので、後天的に意識が生まれたってことで。うん、ひねればいいってもんじゃない。 評価 ☆☆☆☆★(9) |
10月13日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ ロウきゅーぶ!3 (蒼山 サグ/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 プール開き目前な本格的な夏到来。いまだ慧心学園バスケ部のコーチを続ける昴は、試合という新たなる壁にぶち当たっていた。そんな中、一人泳げずに悩める愛莉。これを克服することでセンターとしての精神的成長を促すためにも、昴は文字通り一肌脱ぐことにしたのだが、 「──さーて、今のうちに脱ぎ脱ぎっと」(三沢真帆) 「いいから早く服を着なさい今すぐにっ」(永塚紗季) 「ううっ。やっぱり……恥ずかしいかも」(湊智花) 「おー、じゃあひなはこあらあたーっく」(袴田ひなた) 「だ、だめだようそんな格好でこんなっ」(香椎愛莉) 違う壁が昴の前に立ちはだかるのだった。そして、そこに忍び寄る女の影が──!? さわやかローリング・スポコメディ第3弾! 小学生ロリ萌え小説の皮をかぶったスポ根バスケ小説「ロウきゅーぶ!」第3巻。 うーん、面白さが順調に右肩下がり……。ロリ要素を前面にあざとく押し出しているのが鼻について、1巻の熱さが好きで読んでいる身には楽しめなくなってきました。2巻は竹中君というかわいいキャラがいたのでよかったんですが、今回は彼の出番が0なのでマイナス面が目立って見えてしまいました。 2巻で顔見せだけされていた幼馴染の葵。この子は思った以上にいい子だったんですよ。昴の言動に怒ったり沈んだりしたり、傍に並べないもどかしさに苦しんだりする乙女心は文句なしにかわいかったですし、昴を取り戻してもバチは当たらないと思えるのに悪役をかってでてあげるお人よしっぷりも素敵。 でも、葵がいい子な分だけ、昴の駄目っぷりもまた際立ってしまっているという。女心に鈍感なだけならいいんですが、そうではなく単に鈍いだけなので見ててイライラします、いくらなんでも約束ないがしろにしすぎ。2巻終わりのぶっ壊れぷりなどもあって、全然好感が持てなくなりました。 4巻ではまたスポ根戻ってきそうですが、不安も多いので様子見で。 評価 ☆☆☆(6) |
10月12日(月) |
>暁と黄昏の狭間シリーズはもう読まないのですか? メルフォレスー。読む気はあるんですが、今の積本の量と読書ペースを考えるとなかなか手がまわらない状況です。西魚さんの新シリーズがはじまるまでには、と内心思っていたんですが……。今年には、とは言えないので、今年度にはきっと。 【今日読んだ本】 ◆ ソフィアの宝石 乙女は、降り立つ (渡海 奈穂/B's-LOG文庫) 【amazon】 《あらすじ》 興国の神・グリュネウスに護られし王国ソフィア。突然の事故で身寄りを失ったリディアのもとに、シュバルク公爵と名乗る黒マントの男が現れる。「お前を娘として養育する」という宣言に戸惑いながらも従った彼女を待ち受けていたのは、庶民には想像もつかない華美な生活だった。行儀にばかりうるさい家庭教師にも馴染めず、貴族の令嬢の通う「フィーリス女学院」に入学したリディアだが、ここでも問題は山盛りで!? 「古き力」を巡り巻き起こる事件の数々。激動のファンタジーロマンが今、花開く!! 失恋竜シリーズが好調の渡海さんのビズログデビュー作。前々から気にはなっていて、ようやく手をつけました。 これは面白かったです、もっと早く読んどくべきでした。両親を失った女の子が、駆け落ちした母方の実家である貴族の家に引き取られて、貴族のいけ好かない暮らしに馴染めなくて、とストーリーはとても王道。となるとキャラや文章次第になるんですが、主人公のリディアがかなり好きなタイプの子でした。両親を失っても悲嘆にくれずに何かをしようとする気丈な姿がいいですし、貴族の堅苦しい世界の中で真っ直ぐに自分を保っている様子が、孤独さを感じさせることなくサバサバとしていてかっこいいです。ファリカとの友情では想いの深さも見せてくれましたし、行動力もあるし頭も悪くないし、出来すぎなくらいですが好感度高かったです。 また、たくさん出てくる貴族の男の子たちとの関係も、反発しながらもちゃんと相手を見ていて、打てば響く感じでなかなかときめきました。照れながらの「ありがとう」がかわいい。正ヒーローはスレイみたいですね。典型的な不器用キャラで、リディアと言い合うやりとりは楽しいし、エピローグにはニヤニヤしまくりでした、こちらはこちらでかわいいです。でも、クリフもジルもいい子たちなので(ジルは明らかにいい男)、恋模様が楽しみ。 リディアの傍にはきな臭い存在も見え隠れしていて(きっと父親の死にも絡んでそう)、これから面白くなっていきそうです。続きが出てないのは見なかったことにして、とりあえず最新刊まで読んでいきます。 評価 ☆☆☆★(7) |
10月11日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 落日の遁走曲(フーガ) 西域暴雲録3 (藤 水名子/集英社スーパーファンタジー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 神毒山へ向かう旅は、『西涼』の都を出発して、一月が経とうとしていた。四人姉妹のうち、黄陽峰とともに何処とも知れずに立ち去った次姉・絮星を欠く妹紅、琲梨、瑛蓮の三姉妹と、馮昂、張圭白、李国栄の一行は、砂漠の中で百人近い野盗の群れに突然襲いかかられてしまう。何故に襲いかかられたかも分からないまま、かろうじて犠牲者を一人も出さない必死の応戦も力尽きかけた頃、その野盗たちの戦いを制止する一人の美女。その美女が『おのれ、怨敵っ!』と襲いかかる相手とは…。 国を救う託宣を得るために、女公主4姉妹が男どもを連れて珍道中を繰り広げる「西域暴雲録」第3巻。今月幻狼で新刊を出す藤さんの10年以上前の本です。 えー、そことそこがくっつくのか! 意外なカップリングに物凄く驚かされました、片方はこの巻途中まで完全にお笑いキャラ化してたっていうのに。アレでトラウマが昇華されたんでしょうか、男女の仲って難しい。まあ彼は、妖怪に××された事件以来とてもかわいそうだったので、形はどうあれ救われてよかったです。彼女の方もようやく丸くなってくれたようで何より。 今回焦点となっている国栄の恋はあんまりピンときませんでした、というか国栄の浮いた台詞がとても男の言い訳めいて聞こえました、こんな愛の囁き信じられません。虹娘の憎しみと愛の裏返しな気持ちはよく伝わってきたんですが。 でも、終盤の無茶苦茶な展開に爆笑しました。自信満々→「初仕事だ」→それでも自信満々で睨み合い→「駄目だ勝てない」の流れだけでも笑ったのに、その後まさかいきなり戦隊物の掛け声がはじまるとは。最初「はいっ?」って思わず声に出してしまったくらいです。打ち切りだから好き勝手やった、ってわけでもなさそうですし、笑いとシリアスの入り混ぜ方が凄いシリーズだと改めて思いました。 で、国栄が去って、瑛蓮が想いを自覚して、さあこれからというところで打ち切りですか……世知辛い。琲梨の恋も見たかったです、現実的で抜け目ないこの子は4姉妹で一番好きだっただけに。多分、圭白とくっつく予定だったんでしょうね、うーん残念。 評価 ☆☆☆(6) |
10月10日(土) |
【今日読んだ本】 ◆ 雪迷宮 (本宮 ことは/幻狼ファンタジアノベルス) 【amazon】 《あらすじ》 門を守るため、巫女である雪は恋もできず、常に平静を保っていかなければならない…。だが、その心を乱す人物が現れ…。 本宮さんがおくる、巫女とその「鍵」の恋を描いたラブファンタジー。「本宮さんは2シリーズ完結するまでは他のはいいかな」と様子見していたら、いい評判が聞こえてきたので手を出してみました。 よかったという気持ちと「えー」と思う気持ちが入り混じった読後感でした。異形を封印する「門」を体に宿し、王と結ばれることが定められている巫女が、「鍵」と呼ばれる取次ぎ役に恋をしてしまって――というお話。極寒の地を舞台に静かにつむがれていく恋心は、悲恋な運命が待っていることもあって切なさたっぷり。出会いのエピソードがベタベタながらかわいらしくてよかったです。また、現在だけでなく、過去の巫女の恋も描かれているのもいいです。空様の恋心の苦しさや激しさは胸に響きました、雪の恋よりもむしろこっちの方が好き。 そんな感じで中盤まではよかったんですが、後半は前述したような複雑な感想に。ある仕掛けがあって、それを上手く使って綺麗にまとめたなあと思う一方で、いやでもそれはずるいとも思ってしまって、胸にしこりが残ってしまいました。これ以上はネタバレしないと語れそうにないので、以下はネタバレ反転で。 仕掛けに気づいたのは、普通の人よりもちょっと遅めでしょうか。同一人物な仕掛けは、王の武勇が語られた時点で予想はついて、眼帯を見てようやく核心。もう1個の仕掛けは、霧が過去にも登場していたりと色々引っかかってはいたものの、日記終わるまでは気づかずでした。伏線のばらまき方、騙し方は上手かったと思います。 でも、やっぱりその門はずるくないかなあと思ってしまうのです。この時代背景でそんな設定いいのかなという気持ちももちろんあるんですが、それよりも、これだけ悲恋設定なのに、どの時代もあまり悲恋で終わってないのが気になってしまいました。「どの時代の巫女も恋をしてきた」というお話なので、書かれていない影にはきっとたくさんの悲恋があって、そういうのも描いてほしかったなあと。素直に「ハッピーでよかった」と思えない、ひねくれた自分が嫌になりますたまに。 それにしても本宮さんは色んな話書ける人ですね。いつか現代物とかも出してほしいです。 評価 ☆☆☆(6) |
10月8日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 太陽神の姫巫女 (斎王 ことり/ティアラ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「人間の身体がこれほど美しいとは……。おまえは俺だけのもの――」。淫らな手つきで肌に触れ、蕩けるような声で囁く。傲岸不遜にして、黄金のように美しき太陽神イスファーン。花嫁として身も心も捧げることを誓った姫巫女シュエラ。人間に裏切られ、孤独に囚われていた神は、ひとりの姫巫女によって人を愛する事を知った――。人気の少女小説家が放つ、乙女のための新・恋愛神話。 今月もティアラ文庫新刊は3冊。まずはBLでも少女向けでも活躍中の斎王さんがおくる、巫女と神様のラブファンタジー。 これまでのティアラ作品に比べて、かませポジションが随分頑張っているのが目立っていました。想いが別の人に向いていると分かるとあっさり身を引くことが多いかませキャラ、この話もどうせそのパターンだと思っていたら、その程度じゃ諦めませんでした。それどころか、逆に落とそうとしてくるエロ責めがあってびっくり。主人公も反応するもんだから、やたらエロく感じました、強引なキスが淫靡。純愛な話なら相手固定でも不満は全くないけれど、たまにはこのくらいスパイスがあるのもいいですね。 ストーリーは、世間知らずの姫巫女シュエラが、神様イスファーンの想像とはかけ離れた姿に憤り、でも次第にその心を理解していって……、という王道展開。イスファーンは倫理観などが案外人に近くて普通にかっこよかったんですが、シュエラの方は、前半イスファーンを疑いすぎに見えてしまって好きになれず。急激に惹かれていく気持ちがしっくりこなかったです。 あと、先代の姫巫女とのイスファーンの関係がはっきりしないのも引っかかりました。意味深な台詞もありましたし(逆レイプ?)、続編で明かすつもりなのかもしれませんが、この巻単体だとシュエラの嫉妬心が中途半端だったのが残念。 最後はいかにも続編を意識した終わり方。来月には華の皇宮の続編も出るようですし、これの続編も出そうですが、手を出すかは微妙。 評価 ☆☆★(5) |
10月4日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ アンシーズ 〜刀侠戦姫血風録〜 (宮沢 周/集英社スーパーダッシュ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 常識的高校生・木之崎トモは、転入する火群ヶ棚学園高校を訪れた日、戦闘中の金髪碧眼の美少女ヒカルと出逢う。状況を理解できぬまま戦いに巻き込まれたトモに、ヒカルは「カタナを抜け!」と命じる。それは、自らの男を武器へと変換して戦う「アンシー」になることを意味していた!!カタナを抜き、強大な戦闘力を手にするトモ。だがその代償は肉体が女子に転ずることだった!摩訶不思議な学園でトモは名実ともに新たな自分になる!? スーパーダッシュ文庫の新人さん作品。SD文庫は合わないこと多いのでご無沙汰でしたが、TSメインということで手を出してみました。 これはおいしいTS設定でした。バトル時に変身する系のTSは「なんでバトル時だけなの! 戦闘とかいらないから!」と思ってしまうので基本苦手なんですが、これはバトル時だけに限らないですし、何よりカタナを折られたら恒久女性化っていう設定がいいです。女性化への恐怖感が作品通して結構描かれてましたし、折られてしまったミツウさんがかわいい。違和感も時折ありましたが、本来の記憶も多少残しつつ女性としてふるまうのはいいものです。リキオウマルの男性時と女性時のギャップも、この先恒久女性化が絡んできそうで楽しみ。 ただ、TS部分以外は基本バトルなのでやっぱり好きじゃないです、戦闘はやや読み流し気味でした。それに、殺し合いやってる割にはほのぼのしすぎというか、女性化することや殺されることに対する各人の戦う理由付けが弱いように感じられました。特に殺し殺されは重たいと思うので、女性化設定だけの方がよかったです。主人公あたりは揺れまくっていたので、また揺らぐんでしょうし。 とはいえ、これからまだ女性化する人も出てくるだろうし、続きも多分読みます。 評価 ☆☆☆(6) ◆ ヘブンリー あなたに腹が立つ (野梨原 花南/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 島国エリスンのデュガー魔法院に転校してきたワケあり少女フォルミカ。学園の魔法占拠事件も解決、同級生のリクトと付き合うことに。だが、リクトの友人ジャスラスの人格が、何者かに乗っ取られていて…!? 野梨原さんがおくる学園魔法ファンタジー「ヘブンリー」、第2巻にして最終巻。 色々急展開でしょんぼりでした……。1巻のエピローグでジャスラスに何かある的な伏線が張られていたのに、この2巻のプロローグであっさりネタバレしちゃっているあたりに、とても大人の事情を感じてしまいました。また、ストーリーの核となる部分も駆け足で、全てがひっくり返されるあの一言にはポカンとなってしまいました。もうちょっと裏側も見せてくれないと、登場人物の想いとか色々ぶち壊しだなー、と。「過程とかそんなの関係ねえ」な話なんで、まあいいかとも思えるんですが。 サブタイトルの「あなたに腹が立つ」にはとても納得。フォルミカ視点だとリクトの独りよがりっぷりに怒りがわいてきます。本当にフォルミカ想っているなら黙っていってほしくはなかった。年季が浅いフォルミカの方が愛が深く見えてしまいました。フォルミカは恋愛脳一直線でかわいかったです。 最後の方の、奇矯な縁3人のなんとなく暮らしな描写は好きでした。悪役がなんとなく味方に溶け込んでしまって違和感ないのは、野梨原さん作品の魅力ですね。 まだまだ野梨原さん積み崩しは続きます。魔王シリーズはまだ集まってないので、先にマルタサギーに手をつけるかもしれません。 評価 ☆☆★(5) |
10月1日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 天冥の標1 メニー・メニー・シープ (下) (小川 一水/ハヤカワ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 謎の疫病の感染源は、出自不明の怪物イサリだった。太古から伝わる抗ウイルス薬で感染を食い止めたカドムだったが、臨時総督府にイサリを奪われてしまう。一方、首都オリゲネスの議員エランカもまた、ユレイン三世の圧政に疑問を抱いていた。彼女は自由人の集団《恋人たち》と知りあうが、ユレイン三世はその大規模な弾圧を開始する。新天地を求めて航海に出た《海の一統》のアクリラは、驚愕すべき光景を目にするが…… 先日に引き続き、大長編SFの序章の下巻。 うわー、これは容赦ない。上巻の感想で「ベンクト生きてたりしないかな」とか書いてる場合じゃありませんでした、見事に話が逆ベクトルに進みましたよ。革命には犠牲がつきものとはいえ、ちょっと犠牲ですぎなんじゃないかな、と途中までは面白いけどモヤモヤするものも残る感じでした。 そしたら待っていたのはアレですよ。なんというか全部吹っ飛ばされました、そこまでやるのかそこまで。これは続きマダー? というしかないです。主要キャラはボカしてあるけど、その他は割と容赦ないのであんまり先は見たくない気もするんですが、まあ、ダダーさんの暗躍っぷりからしてカドムは重要キャラなのでそういうことになるんでしょうね。 キャラについても少しだけ。断然カドム×イサリ派です、カドムが咀嚼者化しないかなー、とか少しだけ思ってます(ポジション的に絶対ないですが)。もう1組のカップルはすぐそういうことになったのであまり萌えられませんでした、ザリーチェも邪魔でしたし(こういうキャラは価値観はっきり書かれていても苦手)。 あと9巻、全何冊になるんでしょうか。楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |