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 11月12日(木)


【今日読んだ本】


翔べ、遙か朝焼けの空 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

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《あらすじ》
ミルヒランド公国を守護するのは、氷の狼フェンリル。その本当の遣い手に出会ったアリアは、幻獣と乙女のあり方が現状のままでよいのか、失われた闇の剣の行方を追うべきか迷いつつも、クルサードとともに、故国へと帰る決意をする。一方、ライルは故郷を、シェナンはアランディの街の人々を守るため、シュータンの兵たちと激突していた。生き残りをかけて、それぞれの戦いが始まる!


ついに戦争がはじまる「幻獣降臨譚」第15巻。

やった! やっと話が動いた! まだ動きはじめですが、ここまで長かっただけに動いただけでも嬉しい。これからの怒涛の盛り上がりが楽しみです。
アリアがどう世界の秘密を暴き、それを明かしていくのかも気になるところですが、それよりもやっぱりシェナンとディクスとの再会が待ち遠しいです。前者はラブ的な、後者はざまーみろ的な意味で。アリアが「鏡のよう」だという描写を見て、突きつけられたディクスがどういう反応するかワクワクしました。何も感じないところまで堕ちていませんように。

で、ライルが余るわけですが。まさかここまできてアリアとくっつくことはないと思いますし。シェリカ姫の婚姻話から色々と巻き込まれるんでしょうか、死にポジションにはなりませんように。



評価 ☆☆☆(6)



華の皇宮物語 帝の花嫁 (剛 しいら/ティアラ文庫)amazon

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《あらすじ》
国中の乙女を集めた後宮で皇帝が愛したのは一人だけ! 幾万とある宮中の書物を読みたくて妃候補になった嶺花は、望まずして新皇帝の正妃に選ばれた。彼女の聡明さに惹かれる皇帝。彼の純真に心奪われる嶺花。しかし、嫉妬心を抱く他の妃や宮廷の者たちが、二人に反感を募らせ――遂に嶺花の暗殺未遂が! 嶺花を守るべく後宮に駆けつけた皇帝は、国をも変える重大な決意をする! 


ティアラ文庫初の続編、中華王宮ファンタジー「華の皇宮物語」第2巻。

主役よりも脇カップルが印象に残るお話でした。宦官を気丈な女武官とくっつけるという組み合わせが目新しくて面白い。翻弄されて無自覚に惹かれていく秀麗の姿がいいものでした。脇にするにはもったいないですね。
主役カップルは正統派で、お互い初恋ゆえの初々しさや、皇帝が自分のところにやってきてくれないかも、という寂しさ切なさを楽しめました。でも、嶺花が普通の子なのが少し物足りなかったかな。1巻の姿から、もっと個性的な性格を想像していたので、ちょっとがっかりでした。

さらに続きがあるとしたら、エピローグでサラっと書かれた瑞蓮か夕眠が主人公でしょうか。脇カップルも気になりますが、続きを1冊にするには関係が進みすぎちゃった気が。瑞蓮が美鵬に反撃するところは見てみたいです、このまま終わったら瑞蓮ちょっとかわいそう。
でもここは、良順の扱いの不遇っぷりが伏線と考えて、良順×夕眠がくる大胆予想してみます(当たらないことに定評がある予想)。このままずっとネタキャラという線もありえますが。



評価 ☆☆☆(6)



 
 11月9日(月)


【今日読んだ本】


碧空の果てに (濱野 京子/角川銀のさじシリーズ)amazon

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《あらすじ》
17歳のメイリン姫は、並はずれた大力の持ち主。心配した父は早く婿をとろうとするが、自分がもっと自由に生きられる場所を求め、男のふりをして国を飛び出す。たどり着いたのは賢者の国シーハン。そこで彼女は、足が不自由だが鋭い頭脳で国を守る、美貌の青年首長ターリと出会う。「わたしがあなたの『足』になります」孤独なターリのもとで、大力をかくし従者として仕えるメイリン。やがて心を通わせた二人は、シーハンの侵略を狙う大国アインスと対決することになる!


男装少女が主役と耳にして手を出した、「銀のさじ」から出ているファンタジー。

これはいい男装ラブでした。自由を求めて国を出奔した男勝りな姫メイリンが民主的な国に行き着き、そこで人付き合いを拒む首長ターリと出会って……、というお話。ターリには女性であることはバレているのでその意味でのおいしさはないんですが、反発からはじまって認め合っていく過程、そして打ち解けてからの、甘々だけどメイリンがかっこいいままな関係が好みでした。ターリの前でだけ段々と女らしさを見せるようになるメイリンがかわいいです。他にも、メイリンが女性と知らずに慕ってくる少年のカイがかわいらしかったりと、なかなかいいキャラが揃っていました。

その一方で、ちょっとジェンダー的な主張を押し出しすぎなのが引っかかりました。女としての生きづらさに対するメイリンの葛藤はこの物語のテーマでもあるし、それをメイリンが跳ね除けていくのが気持ちよくはあるんですが、ところどころ物語の枠を超えて作者の主張になっているように見えてしまって。この世界観で参政権まで一気にいってしまうのは行きすぎに思えました。
あと、サザさんがメイリンに嫉妬しないのに納得いかないです。メイリンに好意向けてるように見える夫を見ても、悪意のかけらも抱かないなんて、いい人すぎ。そこはお約束でも最初は嫌がらせが見たかったです。

とはいえ、男装ラブの部分だけで満足でした。他の「銀のさじ」も読んでみる予定。



評価 ☆☆☆★(7)



 
 11月7日(土)


【今日読んだ本】


クロノ×セクス×コンプレックス1 (壁井 ユカコ/電撃文庫)amazon

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《あらすじ》
平凡な時計屋の息子・三村朔太郎は、高校の入学式当日、奇妙な路地から見知らぬ学校に迷い込む。そこは時間の魔法を学ぶ学校で、おまけに自分がミムラという名の女子になっていて!? そのまま入学を余儀なくされたミムラは魔法の授業や自分自身、周囲の女子たちに戸惑ったりドキドキしたりの日々に突入する。
さらに女子寮を統べるホーライ会の選挙で候補者に擁立され、男っぽい性格を武器に”女子寮の王子”として名家出身のオリンピアと争うことになるのだが、それが思わぬ展開に──!?  男女入れ替わり×魔法学校×タイムリープ・ストーリー!


今月の電撃新刊、壁井さんの新シリーズ。

これは傑作の予感がします。
普通の現代高校生な男の子が、ある日突然女の子と入れ替わった上に異世界に入り込んで、時間魔法学校に通うことになるお話。TSに、時間物に、女子寮物に、と好きな要素が詰め込まれすぎていて冷静な評価ができないんですが、いやでも凄く面白いと思いますこれ。見知らぬ体で異世界にきてしまったことへの不安や、女として女の子の中で暮らすことに対する思春期的なドキドキ、そういった気持ちがうまく表現されていて、あとがきにあるようにとても「ドキドキワクワク」する話になってます。時間物の要素がストーリーに本格的に絡んでからはさらにワクワクが増して、先見たさで一気読みでした。
男から見た女の世界の怖さを描いたりといった、壁井さんらしい一面も面白かったですし、はじめにばらまかれた謎はさらに増すばかりで、この先もっともっと面白くなるだろうという期待で一杯です。今一番続きが待ち遠しい物語になりました。

以下ネタバレ混じりになるので反転。
司書の言葉から素直に考えると、司書=未来の朔太郎、な可能性は高いのかな(並行世界が本当にないなら)。彼が何を変えようとしてあのような姿になったのか、小町についての発言は何を意味するのか。小町が出てくるってことは、現代サイドも物語に大きく関わってくるってことで、つまりはまだ序章ってことで。あーもう、この先どうなるか楽しみで楽しみでたまりません!

身体的な制約や世界の制約のおかげで、恋愛的にもかなり面白いことになってます。オリンピアの平常時と素直になったときのギャップはなかなかにかわいかったですが、このままくっつくには障害が多すぎで、どうなるかドキドキ。どこかでミムラ一人だけタイムリープする展開あたりは待ってそう。正ヒロインはやっぱり小町なのかなと思いつつ、オリンピアも応援したいです。
そういや、入れ替わり物のお約束として入れ替わった相手と恋に落ちる展開も……今の流れからはさすがに想像つかないですね。もしあったらとても面白いんですが、ひとまずは本家ミムラとの再邂逅待ち。
男とくっつくことはないんでしょうが、続きではミムラに恋する男子生徒が現れたりするのかもしれません。とても見たいので現れてください。


とりあえず、2巻もはやく出ますように。



評価 ☆☆☆☆★(9)



神々の夢は迷宮 (西東 行/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

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《あらすじ》
少年ワツレンは、海の上で生涯を送るという海人の一族に育った。左半身にほどこされた銀色の美しい刺青が、その証。だが、大嵐に襲われ両親と仲間たちを失ったワツレンは、海軍将校のルーザ=ルーザに命を助けられ、王都の迷宮管理庁で暮らすことになる。王国の至宝を守るために造られた迷宮の謎は、誰にも解けないはずだったが、ワツレンは……!? 迷宮ファンタジーに新たな傑作登場!


デビュー作「鳥は星形の庭におりる」で素敵な女の子を描いた西東さんの2作目は、1作目と世界を同じくしたファンタジー。

世界観や数学の使われ方が前作以上に面白かったです。神々も入りこめないようにするために魔方陣や数などを生かした数魔術を使って迷宮の謎や仕掛けを構成していたり、そのために数魔術を研究している人がいたりするのが、いい設定だなあと思います。主人公が好奇心旺盛に興味を持つので、数魔術がとても面白そうに映りました。魔方陣で永遠に回帰する円環とかかっこいいですよね!
神々の去った世界にところどころ神の跡が残っているあたり、世界の謎も気になるところです。海人以外にも謎を持っている人はいそう。イレギュラーな詩人が鍵を握っているのかな、詩人何人くらいいるんだろう。

また、海人の少年ワツレンを主役にした物語もなかなか。天涯孤独になっても真っ直ぐなワツレンの明るさに始終引っ張られっぱなしでした。エトがワツレンに救われていく様子が気持ちよかったです。
ただ、前作のプルーデンスのような女の子がいなかったのは残念。ユーフラテスも素敵な女性ですが、プルーデンスの気高さと比べるとさすがにかなり見劣りします。ちなみに、ユーフラテスとのロマンスの兆しでもないかなと一瞬期待したりしました。無理がありました。

謎の広がり方を見るに、このまま同じ世界観のシリーズが続いていきそうなのは嬉しい限り。でも、どんどん少女小説から離れていきそうなのがちょっと不安です(続きが出るか的な意味で)。あとがきの数学者の逸話紹介とか、面白いんだけどあれこれホワイトハートだよね? となります。この2巻が出たんだから、多分大丈夫だとは思うんですが。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 11月5日(木)

ミス指摘ありがとうございます、最近また増え気味なので気をつけます。


【今日読んだ本】


鳥籠の王女と教育係 姫将軍の求婚者 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
エルレインの暮らす離宮に、妖艶な美女がやってきた。彼女を見た婚約者のアレクセルは身を隠し、教育係のゼルイークは不機嫌に。彼女はゼルイークの姉で、はた迷惑な悪癖の持ち主というが!?


響野さんのおくる魔法毒舌ファンタジー「鳥籠の王女と教育係」、新章突入の第4巻。

うわ、凄く面白い。タイトルからして番外的な話なのかと思ってたら、盛り上がった前巻よりもさらに面白かったです。普通なら前巻の流れで一気にゼルイークの方に気持ちが傾いていきそうなのに、アレクセルを好きになりかけている気持ちは残ったままで、これからどう転ぶか分からないバランス加減がとても絶妙で好き。アレクセルも素敵なところを見せてくれるので(下着ゴロゴロはあまりにもひどいですが)、エルレインの気持ちも分かるんですよね。リオに嫉妬してしまうエルレインの心の動きにはドキドキニヤニヤ。
とはいえ、毒舌合戦が好きな自分はまだまだゼル派です。エルレインの毒舌もキレを増していて、時々地の文のつっこみが物凄くツボにはまりました。反動で十二歩くらい、とか父親の評価に容赦なさすぎる。

新キャラのお姉さんは今のところはあまり好きになれず。確固とした目的があるとはいえ、人の気持ちをいじくる人には好感は持てないです。彼女がどうしてゼルのためにそこまで必死になるかが分かると、また見方が変わるのかもしれません。

タイトルの生かし方も上手いですよね、求婚者は「そうくるか!」とやられた感で一杯でした。「ゼルへたれ編」らしい続きもとても楽しみ。



評価 ☆☆☆☆(8)



 
 11月3日(火)


【今日読んだ本】


僕に捧げる革命論 (野梨原 花南/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
かつてサリタだった魔王サルドニュクスを召喚したのは、女性召喚術師のミジャン。魔力で発電の儀式を行うため、魔王を呼んだという。青の塔の魔術師のジェンにつきまとわれていたミジャンだが…。


グラハと平行して積みシリーズ崩し、野梨原さんがおくるほぼ一話読み切り型のラブファンタジー。

ヒロインとヒーローが野梨原さんらしく変なお話でした。ヒロインのミジャンは普通にかわいらしいタイプかと思ったら、ある時を気に急にたくましく変貌。世界がひっくり返って押せ押せになっていくあたりのかっこよさは、物語的にも描写的にも好きです。
そして、ヒーローのジェンがとてもよい変態さん。頭がよくて顔もよくて優しくて変態ダメストーカーです。ただのストーカーだったらうざいだけですが、ダメで愛もあるので見てて微笑ましかったです。結ばれてからの押されっぷりやうっとおしさも笑えましたが、「ほんとに男は頼りにならない」と心から言わざるを得なかったミジャンにはちょっと同情。お似合いのカップルですけどね。

メインのお話の一方で、1巻から続くサリタとスマートの物語も結構進んできました。サリタが楽しそうにしているのを見ると、今までのサリタの人生に想いを馳せて、こうして過ごせるようになってよかったなとしみじみします。なんだか「ちょー」シリーズの頃よりサリタ好きになってる気がします、サリタが丸くなったせいかな? 一応一話読み切り型のシリーズではあるんですが、「ちょー」シリーズを読んでないと面白さ半減ですねこれ。2人力を合わせてどう動くのか、これからが楽しみです。



評価 ☆☆☆★(7)