1月15日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(前編)(後編) (松田 志乃ぶ/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 『消えたはずの大姫を市で見かけた…』思いがけない文を受け取った宮子。真相を探るため馨子たちと出かけた市で、美貌の女盗賊・竜田と再会。行動を共にするうち、想像を超えた大事件に巻き込まれて!? 前編を読み逃したせいでしばらく積んでいた、読みやすい平安ミステリー「嘘姫」シリーズ第4巻。 謎はすべて解けた! ってこのシリーズで1度言ってみたかったんですが難しそうです、どんどん謎が複雑になってます……。謎の量自体が多い上に、囲碁とか刺青とか、普通に読んでる分には推理するの難しいと思われるものが多め。それを一気にネタばらしするので、爽快感よりもあっけにとられる気持ちが強かったのが引っかかりました。犯人の動機も、切ない想いには心動かされましたが、ネタばらしの最後でちょっと唐突な感がありましたし。もう少しコンパクトになってくれるといいです。 あと、最後の宮子はさすがにかわいそうでした、引き離されて頑張ったのに。命婦の君にひどいことしたバチが当たったんですねきっと。 でも恋愛面では見所十分でした、次郎君の攻勢が止まりません。口説く時の台詞が甘すぎます、直球告白にときめきました。優しいしかっこいいしこりゃ宮子が惹かれても仕方ない。 一方で、ここまで劣勢にたたされる真幸を見ると、逆に応援したくなる判官びいきな心理も。このまま押し切られるのはいくらなんでも不憫すぎます。このまま有子姫とくっつくようだとがっかりなので、次巻あたりでの反撃を待ちたいところ。 恋愛的には圏外っぽい蛍の宮も色々愉快な姿を見せてくれたし面白かったです。一番不憫だったのはこの人かも、真幸は客観的にはおいしい思いも色々してますし。何かを知っただろう斎の動きも気になるし、続きも楽しみ。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 薔薇の戴冠 クラシカルロマン (華宮 らら/ルルル文庫) 【amazon】 《あらすじ》 ヴィクトワール王国最大の貿易港を持つ都市カメリアパルク。唯一の肉親である母を亡くしたエタンセルは、領主バシュレ子爵家に身を寄せ穏やかな日々を送っていた。ところがある日、王宮から使者が訪れ驚くべき事実を告げられる。わたしが、次期王位継承者──!? 父である国王の病と王太子の死。王宮には様々な思惑が渦巻いていて……。未来の女王エタンセルを待ち受ける試練と恋! 王宮グランドロマン開幕! 「ルチア」でデビューした華宮さんの2作目、突然王位継承者になった女の子が主役の王宮ファンタジー。 おー、ちゃんと恋愛が描かれてる! 「ルチア」は各キャラとフラグをたてた挙句にノーマルエンドにいってしまったのが肌に合わなかったんですが、今作はまともにハッピーエンドにいってくれて安心。「ルチア」の件があったせいで、途中までは「どうせハッピーじゃないトゥルーエンドに行くんでしょ」とか思って読んでました。 その恋愛面、自分の意思で着実に前に進むエタンセルはもちろん気に入りましたし、相手役のフィンも好みでした。補佐役として過ごすうちに、フィンがエティにかける甘い言葉がだんだん本物になっているのがよかったです。惹かれちゃいけない的な葛藤とか大好物です。 これで身分差もあったらもっとときめいたかも、と思えるのがちょっと惜しい。この2人なら、ずっと側にいるけど結ばれない恋でもよかったなー、と(上のトゥルー云々はこういう発想からきてたり)。 ちょっと悪役などに物足りないところもありましたが、安心して読める王道政治劇ロマンで面白かったです。これなら次回作も読むつもり。 評価 ☆☆☆(6) |
1月13日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 貴方に捧げる「ありがとう」 (野梨原 花南/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 シンギンガンド城に、スマートやサルドニュクスと残されたホルイー姫は、女王となることを宣言する。一方、サファイヤは、魔王の八翼白金と一緒にいたのだが…!? 魔王シリーズ、クライマックスへ! 「ちょー」シリーズのサリタとスマートが活躍する魔法ファンタジー「魔王」シリーズ完結編。 野梨原さんらしさ全開の最終巻でした。サリタだけじゃなくて「ありがとう」がこれでもかというくらいに一杯。いいなと思うシーンはいくつもありましたが、一番はやっぱりサリタスマートサフの集合場面。サフの行動と台詞にジンときました。サリタの想いにも納得。サリタの好感度がどんどん上がっていったシリーズだなあとしみじみ思います(「ちょー」での好感度が低すぎただけともいう)。他では、サフとプラティラウの別れなんかもとても好き。ノートがずるい。 最終巻だけあって笑える箇所はやや少なめ、それでも結構笑えました。スマート六股突っ込みには素で噴きました、そういやそんな設定だった! 「面倒くさいから友達に」をはじめサリタも色々ひどかった。ラブへの挑発はよく分からなかったんですけど、雨降って地固まるってことでいいのかな。ラブは幸せになれそうでよかった、きっとカカア天下ですね。 ちょっと「ちょー」シリーズのキャラを押し出しすぎていて、せっかくのオールスター展開なのに半分食われちゃってるのがもったいないというか、締めまでそうしちゃうのは「魔王」シリーズとしてどうなんだろうとも思ったんですが、「ちょー」シリーズファンとしては嬉しかったのでいいことにします。成長した他のキャラもいつか見る機会があるといいな。 これで初期作品除けばコバの野梨原さんコンプ。次はマルタ・サギーです。全巻確保済なので、春あたりに読めれば。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 太陽で台風2 (はむばね/スクウェア・エニックス・ノベルズ) 【amazon】 《あらすじ》 恋に不器用な少年・百瀬陸(ももせりく)と天真爛漫な少女・常陸谷華(ひたちやはな)。華の猛アタックを受けて遂に付き合うことになった二人だが、付き合い始めたことで華さんの陸への暴走はますますヒートアップ!! その勢いに振り回されて陸は…!? 直球勝負のこっ恥ずかしい学園青春ラブコメ「太陽で台風」待望の続編。連載で読んでいましたが、まとめ読みのためにもちろん購入。 いい話だけど、馬鹿ップル分が足りませんでした。1巻の終わり方を見て、馬鹿ップル描写好きとしては甘々空間発動を期待してたんですよ。そしたら陸が自重しすぎであんまり馬鹿ップルにならず。暴走する華さんは相変わらずで、プロローグとかお泊りの時とかかわいすぎるんですが、陸側の動きももうちょっと欲しかったです。まあ華さん見てるだけで十分楽しいんですけど。 物語のメインだった事件は、ひねり方がいまいちであんまり好みではなく。でも、事件終わりからの展開はなかなかに予想外でよかったです。出番少しなのに、母上様の愛情が胸に染みました。陸も決めるところはやっぱり決めてくれたし、綺麗なハッピーエンドが見れて満足。 これで終わりなのはちょっと残念。また華さんみたいな素敵なヒロインを描いてくれますように。 評価 ☆☆☆★(7) |
1月11日(月) |
>「27時09分の地図」さんをお勧めしてくれた方 こんにちは、「she&sea」面白かったです! 笹良は今まで読んだ少女小説の中でも屈指の変な子でした。もう少し乙女力があれば、と思いもしましたが、それだと死んでますよね。ガルシアもヴィーもかっこいいし、短編読んで総司にもときめきました、なんて素敵なお兄ちゃん。他の作品を読みながら続きを待つことにします。 あと、Twitterは基本的にオープンなので、自由に見ていただいて全く構わないですよー。読書メーター率が高いですが、それ以外で漫画やWeb小説で何か書きたいときもTwitterに書いてます。 【今日読んだ本】 ◆ 金星特急 (嬉野 君/ウィングス文庫) 【amazon】 《あらすじ》 絶世の美女『金星』の花婿に選ばれれば、この世の栄華は思いのまま。だが花婿候補を運ぶ特別列車『金星特急』に乗って、帰ってきた者は一人もいない――。一目惚れした『金星』に会うため、入ったばかりの高校を中退して『金星特急』に乗り込んだ錆丸(さびまる)。やたらと腕の立つ正体不明の無愛想男・砂鉄(さてつ)と、天然大喰らいの美貌の騎士・ユースタスを仲間に、錆丸の途方もない旅が幕を開ける。胸躍る本格冒険活劇スタート!! 「パートタイム・ナニー」の嬉野さんの新シリーズの現代ファンタジー。 これは無茶苦茶面白かった! 謎の美女「金星」の婿入り候補を集める特急電車に乗り込んだ主人公たち、しかしその旅路には様々な試練や出来事が待ち受けていて……、というストーリー。未知なる世界へのワクワク、車両がいきなり潰れたりと何が起こるかわからないドキドキ、どちらも詰まっている素晴らしい導入でした。日本と上海の間に海上の橋がかかっていたりと、現実とベースは同じでも色々とズレがある世界が謎めいているのも面白いです。 メインキャラクターは3人、能天気で物怖じしない少年の錆丸を中心に3人の性格が噛み合っていて、アクシデントがない間も旅路が楽しかったです。錆丸はウィングスらしく人好きがするいい主人公、きっと鈍感属性もついてそう。書き下ろしを見るに、砂鉄がこれから苦労性係になりそう。 ところで、ユースタスの秘密はあれなんでしょうか? あれだったら大歓喜ですが、金星特急の性質上はありえないはずなんですよね。バベルチェックも入りそうだし。でも、あとがきで「冒険&ロマンス」とあるので、期待してもいいのかも。というかロマンスですよロマンス! 登場キャラほぼ男性オンリーの現状でもこんな面白いのに、ロマンスが加わったらどうなっちゃうのか。 いまだヒントすらない「金星」の正体をはじめ、謎がたっぷりで続きも非常に楽しみ。これとパシュルーナのために本誌毎号購入はしばらく確定。 評価 ☆☆☆☆★(9) |
1月10日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 我に捧げよ至高の愛 (野梨原 花南/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 魔王・八翼白金の前に現れたのは、「ちょー」シリーズのジオラルドとダイヤモンドの息子サファイアだった。一方、少女の姿のままの魔法使いスマートは何者かにさらわれ、目を覚ますと美形の王子が…!? まさかのサファイヤ召喚の、「魔王」シリーズ第5巻。 うわー、サファイヤ登場しただけでこんなに面白くなるとは。呼び出されても全く動じないどころか、魔王の先生係になってしまう最強っぷり、そして精神年齢子供ばかりの白組の面々を前にしての苦労性っぷり、と「ちょー」シリーズの頃よりも色々パワーアップしてました、成長したなあ。 そして、サフに引きずられて周りのキャラたちも活き活きして見えるから不思議。物語そっちのけで行われているジェンガがどうしてこんなに楽しそうに見えるんですか。そんなフリーダムさが好きです。ところで、プラティラウとパーミルくっつくんですかねこれ。 ジェンガの裏のメインストーリーは、野梨原さんにしてはシリアス気味。恋愛初心者な魔王が間違えつつ恋を学んでいく様がいびつで楽しかったです、サフよく頑張った。八様が完全に乙女になっててもはや別人ですが、楽しかったのでいいです。最後の彼女はなかなかに切なかった。 しかし、スマートがいい男すぎるんですが。根っこの部分は元々かっこいいキャラなんで、記憶封じられた効果と思えば納得いきますが。これで女にだらしなくなければいいのに。 残り1冊、スマートをはじめ各キャラがどういう選択をするか楽しみです。タイトルはサリタからスマートへの「ありがとう」かな? 評価 ☆☆☆★(7) |
1月8日(金) |
ミス指摘ありがとうございます、「城」といったら「砂」という思い込みで、手がタイプしていたようです……。今年こそはミスを減らしたい! そしてメルフォレス。 >藤谷氏のつくる曲は一体どういうメロディでどう歌うのかよくわからないものが多いんですが >(普通の歌詞らしいリズムを外してるっていうか)、中でもこの時の曲は聴いてみたい。 あー分かります。作中の歌や詩って浮いてみえてしまって苦手で、目がすべってしまうことが結構多いんですが、この歌は感情がダイレクトに伝わってきて印象に残りました、確かに聴いてみたい。リズムはさっぱり分からないので想像するのは結構前に諦めて、詞として読んでます。 【今日読んだ本】 ◆ 悪役令嬢ヴィクトリア (菅原 りであ/ルルル文庫) 【amazon】 《あらすじ》 麗しのご令嬢ヴィクトリアは人気紅茶屋のオーナー。王室御用達を目標に、お客様が喜ぶ紅茶を振る舞っている。銀髪の美青年クラエスも彼女の紅茶がお気に入り。そんなある日、街に「伝説の紅茶屋」が復活。するとヴィクトリアに様々な災難が降りかかり始め……。「伝説の紅茶屋」を怪しいと考えた彼女はメイドとして店に潜入! 事態は王宮をも騒がす事件に発展し……!? 美味しい恋と紅茶の物語、たんと召し上がれ! 投票イベントがある=昨年の新刊崩しシーズン、ということで昨年のルルルの新人さん作品。 タイトルがとても嘘つきでした。読む前まで「悪徳」令嬢だと思い込んでいたのもあって、策略派お嬢様が突っ走る話かなと思って蓋を開けたら、悪とは正反対の真っ直ぐなお嬢様が主人公でした。でも、このヴィクトリアがいい主人公、「あたくし」一人称の勢いがあって押せ押せな地の文が楽しかったです。気位は高くても這い上がるたくましさを持ってるのが素敵。ライバル店による妨害や誹謗中傷を乗り越えて、悪事を暴きつつ目標も成し遂げる、気持ちのいい物語でした。 ヴィクトリア以外も、アリスとルッツの姉弟がどちらもいい性格していたりと、キャラクターは全体的によかったです。ルッツのノリノリ女装を見たときは、「ついにここまで女装少年の波が!」と思ったり。 ただ、妨害工作や敵側の行動に突っ込みいれたい場面が多かったりと、マイナス要素もあったためにそんなに好きにはなれず。恋愛面でも物足りないところがありました。鈍感なのは置いといて、あそこでBLと勘違いするのはないと思うんです。ヴィクトリア腐女子とかないですよね? 現代だしありえるのかな。 恋愛的に続きは様子見予定ですが、別シリーズが出たらまた読んでみたいです。 評価 ☆☆☆(6) |
1月7日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ グラスハート 熱の城 (若木 未生/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 初の全国ツアーを終えたテン・ブランク。楽聖・藤谷直季は、日野ヒビキや櫻井ユキノのプロデュースを手がけ、多忙。テン・ブランクのサードシングルの録音中、藤谷が突然言い出す。「僕うまく歌えてない」と…!? 青春音楽小説「グラスハート」、そろそろ佳境の第8巻。 うわ、そうくるのかー。長くテン・ブランクを続けてきたうちに、メンバーの内面が変化してきたのがよく分かる話。一番分かりやすかったのは藤谷さんですね、西条に惚れてるのは音楽性だけだと思ってたんですが、いつの間にかそんなことに。でもここ数巻で、まともな(?)人間らしいところも色々見せてくれていたので、この変化には納得。 しかし、これで西条の音楽変わっちゃったらどうするんだろうこの人。その時は西条の性格も変わっちゃってるだろうから、普通に破局でいいのかな。 西条はやっぱり分かりません。ヒビキの台詞で少し腑には落ちたけれど、それでも藤谷さんへの気持ちとか桐哉への気持ちとかよく分からない。藤谷さんへの気持ちは自分をずるくごまかしてるってことでいいのかな? 桐哉はほんと分からないので、解散の次巻待ち。とりあえず、今の西条は好きじゃないです。 その代わりに坂本は昔より好きになりました。昔の一人称の頃と比べて、尖った棘が抜けて、真っ直ぐ前を向いている感じがいいなーと思います。ここまでこれたのは西条の影響が大きかったのは間違いないので、この先がちょっと不安。 他では、ヒビキの分かりやすさに癒されました、ノーマルな視点でがしがし言いたいこと言ってくれるのが気持ちいい。ちゃんと彼氏とも別れていてよかったです。 さて残り2巻。どうなるか楽しみなような怖いような。 評価 ☆☆☆(6) |
1月6日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 首領に捧げる子守歌 (野梨原 花南/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 世界を旅する魔王サルドニュクスと魔法使いのスマート。スマートに刻まれた刻印を消すため、魔王の八翼白金を探すふたり。女がらみのゴタゴタを避けるため、スマートは少女に姿を変えられて…!? 「ちょー」シリーズのサリタとスマートが活躍する「魔王」シリーズ第4巻。 いや、さすがにその惚れ方はおかしい。野梨原さん作品の女の子は、最初はダメでも何かがきっかけで一気にかっこよくなることが多くて、そこが魅力の一つなんですが、今作のティルファはなんだか変。あっさり一目惚れしちゃうのでダメなところがあまり見えないし、恋してかっこよくなるかと思ったら押せ押せボケ少女ですし。かわいいけど、素敵さが足りません。しかも、他のゲストキャラも新キャラも揃いに揃って変で、全然まとまりがない展開。スマートがまともに見えてしまうのは、さすがにやりすぎじゃないかなあと。レモンサラダページのふざけたやりとりとか、部分部分では好きなところも色々あるんですが。 そんな感じで「なんだかなー」で終わると思ったら、最後に反則技が飛んできました。そのキャラ出されたら、続きに期待するしかないですよ、全くもう。端役で終わったりしたら怒ることになるかもしれませんが、活躍が楽しみ。 評価 ☆☆★(5) |
1月5日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ 毒姫と赤い伯爵 (丸木 文華/レガロシリーズ) 【amazon】 《あらすじ》 「刺さないのか。俺の心臓に――その短刀を」 闇組織「シンフォニー」の長・ノクターンに拾われ、暗殺者となるべく育てられた少女・ヒナ。いつしか彼女は「毒姫」という通り名で闇の世界で恐れられるようになっていた。 ある日、ヒナは、異国から来た貴族・ラドゥ伯爵の城に召使いとして潜入するよう命じられる。伯爵が城に住み始めてからというもの村の娘たちが失踪する事件が多発。城の敷地内からは、血を絞り取られた娘の死体が出てきたという。今回の仕事は伯爵の正体を見極め、吸血鬼ならば殺すこと。初めての暗殺以外の仕事に戸惑うヒナ。さらに、当の伯爵は吸血鬼とは思えない言動ばかりで……。事件の犯人はラドゥ伯爵なのか、それとも――!? 闇を生きる者たちのダークファンタジー、開演! ティアラの「たった一人で〜」などを出している丸木さんがおくるダークファンタジー。 思ったよりも普通なお話でした。純粋培養な暗殺者の女の子が、調査対象の伯爵と一緒に暮らすうちに感情を揺らがされて……、というストーリー。ベタな設定ですが、何も知らなかったヒナに恋心が生まれていく様がよかったです。ヒナは暗殺者といっても精神は子供で、少女小説らしいかわいらしい女の子でした。 でもストーリー的にはいまいち、続編を意識しているのか無駄に設定つけすぎな気がしました。それに、設定のせいでヒーローのラドゥがあまりかっこよく見えないのが問題、もうちょい大人だと思ったんですが、うーん。代わりに(?)、かませ役のノクターンが結構優遇されていて、こっちのルートの方が見たかったです。ノクターンは外道で歪んでるけど、一途なのは伝わってきたし、ダークな雰囲気ならいいヒーローになれそうなので残念。ノクターンが救われるようなら続きも読むかも。 評価 ☆☆☆(6) |
1月4日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ 天涯のパシュルーナ2 (前田 栄/ウィングス文庫) 【amazon】 《あらすじ》 やる気もないのに第一王子候補に仕立て上げられてしまったトゥラルク。山賊の自由な暮らしとはかけ離れた、貴族の堅苦しい生活を日々強いられている。今の楽しみは、怖いヒルクィット卿の目を盗んでこっそり街に出掛けることだけだ。ところがお忍びで行くところに、必ず事件は起こる。トゥラルクは熱くて美味い庶民的な食事がしたいだけなのに! 災厄がトゥラルクを招くのか、あるいは彼の運命が災厄を呼ぶのか。毎回首を突っ込むことになるトゥラルクだが……!? 前田さんがおくる王子なりすましファンタジー「天涯のパシュルーナ」第2巻。 期待通りに面白くなってました。1巻の旅立ちに続いて、この2巻は世直し道中編。常識にとらわれないトゥラルクが勝手に動いて騒動を引き起こし、それがいつの間にか王子にふさわしい行動になっているのが見ていて愉快でした。トゥラルクは無意識とはいえ自分から目立って世直しに動いているので、ある意味「嫌よ嫌よも好きのうち」と言えるんじゃと思ったり。 トゥラルク以外ではやっぱりヒルクィット。苦労人なのに腹黒属性も兼ね備えているのがとても素敵、笑顔が怖い。この人に睨まれても懲りないトゥラルクは、それだけで大物認定。ヒルクィットとトゥラルクとの間の「叱る⇔振り回す」のパワーバランスは絶妙だと思います。 続きが我慢できなかったので、本誌購入者の特権を利用して3巻分(第5話と6話)を読んでしまったんですが、2巻以上に楽しめました。全5巻予定なのが惜しい。 評価 ☆☆☆☆(8) |
1月1日(金) |
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 他所でも話題になってますが、恒例の 少女小説人気アンケート調査が幻燈博物館さんではじまってます。こういう企画を継続して行っているのには頭が下がります。 昨年は豊作だったので、じっくり並んでから投票予定。忘れないようにしないと。 【今日読んだ本】 ◆ イバラ学園王子カタログ (野梨原 花南/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 《あらすじ》 マロウル国の女子校に入学した美少女の正体は、亡きキュイ王国のクランツ王子だった!? 目的は女のフリをして次期国王候補の皇子たちを口説き落とし、ある願いを叶えること。呪いで小鳥に変わってしまう護衛のスズラウ卿&友人のミミカの協力で、計画通り彼らと知り合えたクランツ。ところが、皇子たちを狙う襲撃事件に巻き込まれてしまい…!? 女子校なのに王子様がいっぱい? 女装王子と小鳥が繰り広げる冒険ファンタジー開幕!! 新年一発目はできれば良作を、ということで先月刊行された野梨原さんの女装学園物をチョイス。 愛すべきバカたちが素敵で楽しかった! 亡国の王子クランツが、敵の国の皇子候補から魔力を奪い取るために女装して学園に潜入するお話。これだけ書くと真面目な話に見えなくもないですが、そこは野梨原さん作品。野梨原さんの男子キャラは大抵ヘタレかアホのどちらかと相場が決まっていて、この作品の場合アホばっか。クランツは女装を結構楽しむ変態だし、ターゲットの皇子たちをあっさり気に入ってしまうし、思考回路がどう見てもずれているし。その皇子たちも普通に女装クランツたちを受け入れてしまうしで、アホたち(時々まじめ)のやり取りが楽しかったです。シリアスな場面で突然脱力する流れが入ったりして、なのに違和感が全然ないし、ちゃんと決めるところは決める、そんな緩い雰囲気が大好き。 そして、メイン唯一の女子のミミカがとてもいいポジション。序盤は気弱だったのが、途中から非常にたくましくしたたかになっているという、これまた野梨原さん作品らしいキャラで、成長してからのマイペースっぷりやクランツたちへのツッコミが面白いです。あのタイミングのクランツのボケと「変態なのねツルさん」とか噴きました。 終盤はちょっとメッセージ性が強すぎる気もしたけれど、クランツが男前だったし、友情がつまったやりとりがよかったのでとても満足。クランツもレイも好きだー。後日談描きすぎなので多分続きはなさそうですが、あったら嬉しいです。 評価 ☆☆☆☆(8) |