トップに戻る

日記一覧に戻る



 
 2月27日(土)


【今日読んだ本】

星をさがして (張間 ミカ/トクマ・ノベルズEdge)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
星が大好きな少女、ガートルードは人間と妖精が共存する樹上都市ペリドに住む魔女だ。この街に来て二年、孤児院の子供たちに空を廻るものについて語り聞かせる仕事をしている。そんなある日、星がつまった部屋の存在を知った。ガードルードは夜色の猫の姿をしている夜の神・ノクスを招喚する。彼女の望みはノクスがかつて作ったとされる、星がつまった部屋をもう一度作ることだった。「君はどうして、星の部屋を作りたいんだ?」夜の神はそっと訪ねる。「夢だったんです。わたしと、両親の」魔女はぽつりと答えた。


傑作でした。
「楽園まで」でデビューした張間さんの2作目、星の部屋を作ろうとする魔女の女の子が主役のファンタジー。

まず良いなと思ったのが、ファンタジーとしての世界観。コボルトは陽気で単純に、海蛇は少し神秘的に、などなどファンタジーな登場人物たちが活き活きと描かれていて、雰囲気が抜群。ムリアンあたりはいかにも妖精っぽい感じが出ていて好きです。イルーシュカやゴッサマーといったこの世界独特の要素も面白くて、どんな世界が描かれるかというワクワクした気持ちが常にありました。

そんな世界を動き回る主人公のガートルードが、これまた素敵な女の子でした。一言で表すなら「したたか」だと思うんですが、活き活きとして悪人を襲うような悪いところがあるかと思えば、ノクスをからかったりする年相応の純粋に楽しそうな姿もあったり、はたまた影のある様子だったりと色々な面を見せてくれるのが魅力的。特に、星について語るときの姿は本当に楽しそうで頭に焼きつきました。

ストーリーは大きな動きが少なくてやや地味め。でも、最初にノクスを呼び出すまでの流れで一気に惹きこまれたし、全体的に澄みわたった雰囲気があるのがかなり気に入りました。後半から終章までの物語が美しかったです。

そして、触れなきゃならないのが文章。文章の巧拙ってあまり分からないので、普段の感想ではせいぜい読みやすい読みにくい程度しか書かないんですが、そんな自分でもこの文章は見事だと分かりました。情景が頭に鮮明に浮かぶ文章とは、こういうのを指すんだと思います。上で挙げたような世界観の素晴らしさもこの文章あってこそ、イルーシュカや星の描写の美しさには惚れ惚れ。読むのに時間はかかりましたが、その分めくるめく読書体験ができました。

思わずほうっと息がついた読後感の素晴らしさに10つけようか迷いましたが、今後もっと素晴らしいものを見せてくれる予感がするので自重しました。若くして2作目でこの出来、次回作が本当に楽しみ。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 2月24日(水)


【今日読んだ本】

ミストボーン―霧の落とし子―2 赤き血の太陽 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
〈霧の落とし子〉にして盗賊団を率いるケルシャー。彼の仲間に加わった少女ヴィンは、合金術の訓練を受けて、ルノー家の令嬢という偽の身分を装い貴族社会に入った。すべては〈終(つい)の帝国〉を転覆させるという計画の一端である。計画の壮大さや過去の経験からケルシャーを信じかねていたヴィンだが、彼の人柄にふれ少しずつ希望を感じはじめる。そんななか、彼女はルノー嬢として、読書家の風変わりな青年エレンドと出会い……。


「合金術」を用いる盗賊たちの反乱を描いた海外ファンタジー「ミストボーン」第2巻。

おお、ヴィンがかわいい! 貴族潜入編ということで盗賊だったヴィンがどうなるかと思ったら、普通に乙女になっていてびっくりしました。恋心に翻弄されるだけではなく、ドレスや華やかさにもある程度惹かれるあたりは、ヴィンも女の子なんだなあと実感すると同時に、貴族社会の誘惑こわー! と思いました。貴族社会憎んでないとこういう反応になるんだなあ。
恋のお相手のエレンドは結構肝が据わっていそうだし、エレンドがヴィンを失望させることはないと予想。ヴィンがエレンドとケルシャーの間で完全に板ばさみになることはあるかも、ヴィン相当惚れてますし。泣いちゃうヴィンかわいい。

反乱の方は案の定ケルシャーが何度もやらかしました、やっぱり自信ありそうで抜けてますよねこの人。真意が見えないのは怖いけれど、今回のケルシャー見ていると裏切ることはなさそうかなと思えてきました。途中とても怪しんで読んでましたごめんなさい。でもやっぱり危ういところはあるし、反貴族の感情は怖いです。全貴族の立場を今のスカーに落とすとか言い出しかねない。
そういやアティウムが、チート能力の割にチキンレースっぽい戦闘を生み出すのは興味深かったです。使う使わないで差が出すぎなので、今後アティウム使わないで対抗できるような手段が出てくると燃えるんですがどうでしょう。

支配王の手記が出てきたり、貴族とスカーの間に明らかな差がありそうだったりと色々伏線がばら撒かれてますが、ここからどうなるか検討もつきません。お兄ちゃんはそのうち支配王の側に現れるのかなあ。
でもこれだけは分かります。スプークルートはない。少なくともくっつくよりは裏切る役の可能性の方が高い。頑張れスプーク負けるなスプーク。いや、エレンド派ですけどね。


評価 ☆☆☆☆(8)



子守り魔王と姫騎士団長 (夕鷺 かのう/B's-LOG文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
うるわしの黄金郷(エル・ドラード)・小イルマリア国の軍騎士団長を務めるクレアは、皇女とはいえ側室の娘。正妃エルビラに蛇蝎のごとく嫌われながら、変わり者の弟や優秀な副長に支えられ、なんとか仕事をこなす毎日だ。しかしこのほど命じられたのは『隠者の山』への魔王討伐というもの。危険な行軍のさなか、魔物に襲われ山道から滑落したクレアは、目覚めた洞窟の奥で“魔王”を目にする、のだが――!? えんため大賞デビュー作『ヤンキー巫女逢桜伝』で話題をさらった著者が放つ、渾身のファンタジー新作登場!


「ヤンキー巫女」でデビューした夕鷺さんの新作は、インカ風な世界が舞台のファンタジー。

主人公の頑張りがかわいらしいお話でした。皇女で騎士団長の主人公が子守り魔王と出会って、ついでに世界の秘密も知っていって、という物語。この主人公のクレアの、運動音痴や嫌がらせにもめげずに騎士団のために頑張る姿がひたむきでかわいらしかったです。よく見かけるタイプの子ではあるんですが、落ち込みや喜びの内面描写がストレートだしこういうタイプは結構好き。肩の力を抜く場面でのドキドキとか気に入りました。
南米の神話ベースのストーリーはちょっと苦手ジャンルで目が滑りがち。継母の妨害もちょっと過剰、というか父親がひどすぎるのが引っかかりました。でも、子守り魔王による脱力が時々入るコミカル加減はよかったです。前作みたいな笑いはなくても、大泣きやオタマで和めました。

3人出てきた男性陣は皆なかなかの好感度、中でも一番好きだったのは弟のセシル。センス変だけど姉想いでいい弟だなあと思っていたところに、最後のアレでやられました。「実は**だった」系には結構弱いのです。これで行動の真意が分かればさらに好きになれたと思うんですが、相当ひねくれてるみたいだし2重人格的な解釈でいいんでしょうか? その辺は続き待ちですかね。


評価 ☆☆☆(6)



 
 2月21日(日)


【今日読んだ本】

wonder wonderful 君がくれた世界 (河上 朔/Regaloシリーズ)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
大人の異世界トリップファンタジー『wonder wonderful』待望のスピンオフ。それぞれの大切な出会いを描く短編集。
ルカナート13歳の初恋 …… 「信じるならば君の心を」
シルヴィアナとライオスの恋 ……「何度でも」
ラシュ、シーリー、ヨーサム、三人の出会い ……「さても楽しき」
コカゲとルカナート花祭り最終日の夜 …… 「だからひそやかに祈るよ」


異世界ファンタジーの傑作「wonder wonderful」待望の番外編。

ああ、やっぱりこの世界はいいなあ。あらすじにあるように4編の短編が収録されているんですが、そのうちシルヴィの話だけが200ページ超えで、短編集というよりはメイン+他3編な作り。そして、そのシルヴィが素敵過ぎました。

本編を読んだときには、シルヴィはルカナートによって大幅に変えられて、ライオスには割と早々と惚れて攻め落としたイメージがあったんですよね。それが大間違い、こんなにじっくりと育まれた想いだったなんて。苦闘しているところにライオスと出会って、また少しずつ変わっていって周りも動かしていくシルヴィは、今までの印象よりもさらに素敵でかわいらしい女性でした。
ライオスがこんなに惚れていたのも意外でしたが、このシルヴィを側で見ていて惚れないほうがおかしいですよね(隊長批判じゃないです)。想いが伝わってからさらに5年、ほんと頑張ったんだなあシルヴィもライオスも。心から「お幸せに!」と言いたくなる素晴らしい物語でした。少しだけ出てきたひなたとザキディレイの姿見ただけでも嬉しくなったりしたし、想いを伝える場面での暖かさと甘さにはやっぱりクラクラするし、この世界が大好きです。

残りの3遍のうち新作は騎士3人組のお話、当時からそんなに変わってなくて、こうやって3人でずっとやってきたんだなと楽しい気分になれました。シーリーに振り回されるヨーサムをはじめ、この3人はみんなかわいい。再録の2編も久々に読んで、こかげとルカナートの甘さを改めて堪能。おまけ漫画の最後の2コマもそうですが、この淡くて深い甘さは良いものです。

さすがにこれで最後な気がしますが、webでの連載も再開されるかもしれないし、またこの世界の話が読めますように。もちろん新作でも大歓迎です。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 2月19日(金)


【今日読んだ本】

進め、骸横たわる荒野 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
光焔(こうえん)の背に乗って、クルサードとともに故国リスタル王国の王都ベルデタールへと戻ってきたアリアは、霊獣グリフォンの巫女でありシェナンの姉である、シエネスティータ姫と再会を果たす。そこでアリアは、意外な人物と出会い、ライルのもとへと赴くことに。そしてついに、リスタル国王シェルダムと対面するのだが――。混迷深まるなか、アリアの思いはどこへ向かうのか!?


そろそろクライマックスのはずの「幻獣降臨譚」最新刊。

まだ焦らすんですか本宮さんは! 数巻前に比べれば話は動いているんですが、自分の中での気になる度合いが、ディクスぶん殴り&シェナンとの恋>>>>その他なために、どうしてもお預けされてる気分を味わってしまいます。まさかディクスがラスボスってことはないだろうし、引っ張らずにアリアにガツンといってほしい。

そんながっかりな面もありましたが、今回のライルとのやりとりは2人のこれまでの歩みが感じられてよかったです。万感の思いがつまったライルの呟きは、ライル派じゃなくともぐっとくるものがありました、ちょっと切なすぎる。アリアの成長による、唯一にして最大の弊害ですね。そして、この呟きのあとにあの展開持ってくるのは本宮さんもなかなかの鬼だったんだなと思った次第。これまでを考えると鬼鬼詐欺な気もするんですが。

誰が敵なのかも大分明示的になってきて、いよいよほんとに終盤でしょうか。あとがき的に、次こそはディクスぶん殴りがあると思われるので楽しみに待っておきます。


評価 ☆☆☆(6)



つぼみの魔女*アナベル 弟子の種の見つけ方 (朝戸 麻央/角川ビーンズ文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
満足に魔法が使えない落ちこぼれ魔女のアナベル。そんな彼女に与えられた任務は、魔女の《種》を宿した人間を探して、一人前の魔女に育てること。正体を隠して、ブリントン学園に教師として潜入したアナベルだけど!?


優秀賞&読者賞受賞のビーンズ新人さん作品。いつものビーンズ新人さんらしくないので手を出してみました。

イラスト通りのかわいらしいお話でした。独り立ちしたての魔女アナベルが、弟子の種を見つけるために学園教師として潜入するお話。ダブル受賞なので結構期待していたんですが、種探しのストーリー自体にはあまり面白みを感じなかったし、アナベルのかわいらしさもピンとこなくて、読み始めてしばらくは結構退屈でした。途中で中断して他作品をあれこれ読んでいたくらい。

それでも中盤から楽しめるようになったのは、子供たちの存在が大きいです。好奇心に溢れていたり、ちょっぴりおマセだったり、仲間はずれ感を味わって傷ついたりと、小学生(?)らしさ全開でみんなかわいらしかったです。特にトニーはフィオナの心理を察したりと悪ガキの割に聡いところもあっていいキャラ。こういう悪ガキって鈍感なことが多いので新鮮でした。

さらに、後半は恋愛的にもいいところがありました。相手候補の2人とも、設定をうまく恋愛に絡めているのが上手かったです。セドランなんかは登場時にはただの優男にしか思えなかったのに、設定明かされてからはいいライバルキャラに見えてきましたし、ロビンもアレになってから恋愛対象としてグッとおいしくなりましたし。キャラの背景って大事ですね。

この恋愛模様は子供世代含めて気になるので、続き読むかはあらすじ見てから。


評価 ☆☆☆(6)



 
 2月16日(火)

再読やらウィングス本誌やらの影響で読書ペースダウン気味。しばらくこのくらいのペースになるかも。でも、もちろんwonder wonderfulは最優先で読みます。


【今日読んだ本】

姫君返上! 運命を試す者 (和泉 統子/ウィングス文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
男に生まれたのに、聖レーミッシュ帝国の皇女として育てられた〈麗しの薔薇姫〉アレク。「俺の青春を返せー!!」と叫べども、皇女生活は絶賛続行中だ。そんなアレクが、今回出かけたのは桜花選帝侯国。妨害工作や誘拐未遂など、物騒な事件が次々起こるさなか、その地で出会ったのは聖都から来た副祓魔師、すなわち異母姉が恋してやまない師兄だった。しかも彼女が片思いするその男から、アレクは結婚を申し込まれてしまい……? 王宮ファンタジック・ロマン第二巻!!


姫君として育てられた少年が主役のファンタジー「姫君返上」第2巻。

1巻に引き続き、ノエルの恋路が気になる番外編が楽しかったです。ノエル視点で読んでいたので、周りが勘違いしたその発想は完全に盲点でした、なるほど客観的に見たらそうなるよなあととても納得。暴走したりドツボにはまったりするノエルの心の動きはほんと乙女でかわいらしいので、なんとか結ばれてほしいものです。

その他の2編も、本編よりも番外編の方が気に入りました、下町でのアレクの愛されっぷりが微笑ましかったです。幼馴染たちがかわいいですね、アレクを好きっぽいシモーネの様子にニヤニヤ。最終巻の書き下ろしあたりでさりげなくいい雰囲気になったりしないでしょうか。
本編も面白いんですが、きな臭くなってきてるのが引っかかります。このシリーズの魅力はストーリーよりキャラにあると思っているので、あまりシリアス展開に行かないでほしいなと。その意味でシュテラの切ない想いなんかはよかったです、ジークもちゃんと人間で安心。アレクがいい働きしてました。

本誌組の特権を活かして、返す刀で書き下ろしの続きも読了済。ネタバレない範囲で一言いうと、あとがきから想像したよりも甘さもちゃんとあっていいものでした。3巻も楽しみ。


評価 ☆☆☆★(7)



世界画廊の住人 ―地下迷宮の物語― (栗原 ちひろ/幻狼ファンタジアノベルス)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
『世界画廊』シリーズ第二弾。元錬金術師であるカルヴァスは、己の過去への疑いから、家族に会い真相を確かめようとするが…。


衝撃の世界設定をうまく物語として描いた「世界画廊」第2巻。

まさかのカルヴァス萌えで楽しかったです。1巻の頃は脇役の1人以上の印象は何もなかったカルヴァスですが、主人公になって化けました。根暗で後ろ向きな内面描写だけでも面白かったし、それがオドに引っ掻き回されているうちに少しずつ人間らしく前向きな根暗になっていくのがとても愉快。オドの人物はともかく、オドとの出会いは意味があったんだなあと。「お前は俺の根暗を甘く見た!」は間違いなく名台詞。

世界観も相変わらず面白いです、物語が世界を変えるという設定が、1巻の世界観の延長として綺麗にはまっています。神様の傲慢さなんかもとてもそれっぽく描かれていて、うまいなあと感心しました。
ほんのりとロマンチック要素があったのも高ポイント。まさかカルヴァスがそんな感情を! という驚きもあったし、気持ちを自覚せず臆病でもあるカルヴァスはいじらしかったです。ハッピーエンドとは言えないかもですが、いい余韻にひたれる終わり方でよかったです。

ミタリの存在を考えるとまだ続きはありそう、次はまたセツリ主人公に戻るのかな? 楽しみ。


評価 ☆☆☆☆(8)