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 7月13日(火)


【今日読んだ本】

女神の娘の恋歌 光の乙女、闇の聖女 (響野 夏菜/B's-LOG文庫)amazon

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《あらすじ》
“夜”が深くなる、冬を迎えたグメーラ。パラデール教の司祭・ミーナは、昼と夜で入れ替わる伯爵兄弟にも慣れ、平和に暮らしていた。ある日、再発したレイヴェンの”悪癖”をナリスフレイがミーナにぼやいていると、すらりとした旅姿の聖職者が、司祭館を訪れる。それはミーナの先輩であるフィーンだった! グメーラの司教に任じられたとミーナを抱きすくめるフィーンに、ナリスフレイとレイヴェンは不愉快さを隠せずにいて!? 闇が光を超えるとき、乙女の祈りの歌が選び取るものとは……!


昼と夜で別々の人格を持つ伯爵がヒーローの、ややシリアスなファンタジー「女神の娘の恋歌」第2巻。

レイヴェン少し見損なった! 夜にしか表に出れない、それが辛いだろうっていうのは分かります。でもその行動は性急すぎるだろうと。綿密に計画練ったなら許せるんですが、その後どうなるかの検討が足りてないのが腹立ちます。ミーナの主張にとても共感できてしまいました。迷惑な弟です全く。

そんなレイヴェンに対する文句はさておいて、ストーリーがサクサクと進んで面白かったです。設定自体はベタなところがあっても、レイヴェンには裏をかかれたし、その後の攻防も一筋縄じゃなくて手に汗握りました。いくら押されても主張を揺るがせないミーナがかっこいい。マライナは当時どこまで正気だったのかが気になります、ギーへの反応見ると光吸い取られてやや暴走みたいな感じ? まあギーに反発してるってことは、きっと良い選択はしてないはず。(偏見と贔屓目)
あ、ちなみに新キャラのフィーンにはレイヴェン同様に騙されました。最近は何であろうと種明かしまで気づかないのがデフォルトな自分。悲しい。

キャラ好感度はレイヴェンが2歩くらい後退、ギーが2歩くらい前進。ギーはなんだかんだでミーナ好きすぎるところがよいです。過保護化とか萌えるんですが。まあ、どう考えてもヒーローじゃないんですけどね! ギールートにはどうやったら入れますか、グメーラにきた時点でフラグ折れ確定ですか。

このペースだと後2巻くらいで終了? 兄弟のどちらかを選ぶこともなさそうですが、このままで落ち着くのか、それとも別の道があるんでしょうか。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 7月11日(日)


【今日読んだ本】

悪魔のような花婿 (松田 志乃ぶ/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
スプリング男爵家の末娘ジュリエット。ある事情から、お嫁に行くのをあきらめていた彼女に、求婚者が現れた! 相手は名門・バジル伯爵家の美貌の跡継ぎ。でも、バジル一族にはある不穏な噂が…!?


「嘘姫」シリーズが好調な松田さんの新作ラブファンタジー。

素晴らしいイチャラブコメでした! 「悪魔伯爵」と名高いウィリアムに嫁ぐことになったジュリエット、でもいざ嫁いでみるとその実態は……、というお話。ぶっちゃけると出会ってすぐに両思いで、ウィリアムとジュリエットがラブラブしてるのが話のほぼ全てなんですが、それだけでこんなに面白いなんて。
すぐに甘い言葉やキスで2人だけの世界に入りそうなところを、ウィリアムの特異体質や周囲の人間の変な喋り方、魔女の自由気ままっぷりなどが上手く邪魔していて、そこまで糖分過剰でなく、笑えて甘々な話に仕上がってます。いやそれでも十分に糖分過剰なんですけど、バカップル好きにはおいしい代物でした。一番笑ったのは第2話での魔女来襲時。ノリノリ乙女たちには思わず噴きました。嫉妬するジュリエットも見れて糖度的にもよかったです。
あと、この話がこんなに楽しいのはジュリエットの性格(というか地の文?)が大きい気がしました、農業好きであんまり貴族っぽくないし、どこかネジが緩んでいてノリがいいし、読んでて楽しかったです。少し違いますが、「ブランテージ」シリーズアドリエンヌも最初からラブラブだったらこんな感じなのかな、などと思ったり。

ストーリーは正直どうでもいいんですが(暴言)、ちゃんとしたミステリ仕立て。で、例によって種明かしまで謎は分かりませんでした。いやこれ気づくのは常人には無理、のはず。松田さんはもう少し謎を分かりやすくしてくれるといいんですが。

続きも出ると嬉しいですが、まずは来月の嘘姫。「寵愛の終焉」というタイトルがとても不吉、どうなるんでしょう。


評価 ☆☆☆☆(8)



天涯のパシュルーナ3 (前田 栄/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
国王主催の夜会に出席したトゥラルク。そこでなぜかついうっかり、ある貴族の暗殺計画を立ち聞きするはめに!? ヒルクィットの嫌味は聞きたくなかったものの、やはり無視することはできなくて……? 蒼穹の国の玉座を巡る物語、新展開!!


王子候補に選ばれた元盗賊の男の子が事件に巻き込まれたり人をタラしたりするファンタジー「天涯のパシュルーナ」第3巻。

鉄板の面白さ、この一言です。トゥラルクはなんでこう、巻き込まれるだけでなく自分から足突っ込んでいっちゃうんでしょうか、自爆っぷりが楽しくて仕方ない。この巻のハイライトはなんといっても前半最後、本人を目の前にしてノリノリで語って、お約束のオチに突き進むトゥラルクが最高でした。
あとはアーミルとイリハムの口喧嘩が好きです。考え方が真逆なのに2人ともトゥラルク大好きで、いい凸凹コンビ。イリハムは熱しやすくて理も分かるからいじりがいがありそう。しかしトゥラルクはもてもてですね! 王才ありすぎ。

本誌既読でうっかりネタバレしかねないのでこの辺に。全5巻で終わっちゃうのが寂しいです。本誌だとあと2話。あとがきにあるようにジェットコースターになりそうでワクワク。


評価 ☆☆☆☆(8)



 
 7月10日(土)


【今日読んだ本】

月虹のラーナ (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
まぶしい光が、世界を包んだ後、暗闇が訪れた――人間のいなくなった遊園地で出会った命を持たない3人は、「眠り」を探して不思議な旅に出る…。幻のデビュー作、リリカル・ファンタジー!


響野さんの過去作品。月虹の鏡との月虹繋がり、ではなくて、nanakikaeさんの読書遍歴を読んで気になったので、積んでたのを崩してみました。

掴みどころが難しい不思議なファンタジーでした。人間がある日唐突に滅んでしまった世界を、ロボットが旅をする表題作からはじまる幻想的な連作短編。中でも、表題作の世界描写が印象的でした。少し退廃的でもの悲しい雰囲気に、植物が動いたり、海が眠ったり歩き出したりする不思議さが合わさって、独特で面白い世界観。登場人物の道化や軍人の会話もどこか地に足がついていなくてふわふわしていて、霧で見えない道を歩いているような読み心地でした。久々にこういうのを読んだ気がします。

他の2篇は幻想的ながらもまた違った味わいで、最後の短編にやられました。海底に住む人魚の初恋の物語で、初恋に浮かれたり、その相手に人間を蘇らせる技(一生に一度しか使えない)を使うか悩んだりする少女の心がとても切ない。他の姉妹たちが彼女と対照的で、短い中に色んな人魚の考え方が詰め込んであるのが上手いです。
連作だってことを忘れていたため、最後で「ぎゃっ」と叫ぶことに。長いこと本読みやってるんだからこれくらいは気づこうよ、とセルフツッコミいれました。まあでも、気づかない方が驚けて幸せですよね!
こんな自己弁護を月1ペースでしてるのはきっと気のせい。

響野さんのシリアス路線には少し苦手意識があったんですが、これはよかったです。「この雪に願えるならば」も積んでいるので近いうちに読むはず。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 7月8日(木)


【今日読んだ本】

ミストスピリット―霧のうつし身―3 秘められし言葉 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)amazon

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《あらすじ》
〈たもちびと〉セイズドは、支配王の過去にまつわる日誌をひもとき、かつて人々を導いた英雄〈時代の勇士〉が世界を司る力を得た経緯を知った。そこには〈即位(のぼり)の泉〉と呼ばれる莫大な力の源がかかわっていたのだ。いっぽう議会員の投票の結果、エレンドは王位を失い、都は敵軍に今にも蹂躙されようとしていた。未来に希望を託すため、セイズドは一計を案じる……ファンタジイ史に残る傑作シリーズ、怒涛の第二部完結篇!


「合金術」で戦う女の子がかっこいい傑作ファンタジーの第2部完結編。

「サンダースン雪崩」と呼ばれるにふさわしい怒涛&驚きの展開でした。まずはなんといっても1巻から引っ張ってきたスパイの正体。完全に盲点で思わず声上げそうになりました、そうかそれありなのか!!! 一番変わったのは確かに彼ですもんね。そして、スパイでありながらもヴィンに心動かされていたのが分かって心がホカホカになりました。過ごした日々が嘘じゃなくてよかった、ヴィンがショック受けなくてよかった。

ヴィンとエレンドの恋の行方も意外でした。ヴィンが荒れているあたりでは「ああ、やっぱり……」と心が痛かったですが、その後こんな上手くいくとは。セイズドのアドバイスのおかげですね、この巻のMVPをあげたい。告白時のヴィンの曇りのなさが素敵でした、無事結ばれてよかったです。

でも、これはラブラブを素直に楽しませてくれる物語ではないわけで。ルサデル防衛戦、というか負け戦の無残さも凄かったです。主要人物が普通に死ぬ物語ってことが頭から抜け落ちていたため、次々に仲間たちが退場していくのが辛かった。セイズドは何かフラグっぽいのがたっててやばそうだなと思っていたら、そっちですか、容赦ない……。

そして極めつけは、「時代の勇士」を巡る謎の種明かし。ああああそういうことか!!!! くどいくらいに伏線を張っているのに何を意味しているのか分からなくて、真実が提示された瞬間に色々と繋がるどんでん返し、なんて狡猾(敵が)、なんて上手い(作者が)。これだけ読みきった感があって、気になる謎がまた増えてるんだから見事という他ないです。

現れた大ボス(?)、そして謎にヴィンたちがどう立ち向かうのか第3部も凄く楽しみ。ちょっときっかけがあったのもあって、英語版を買ってしまったんですが、これを読みきる根性&英語力はない気が現時点でします。とりあえず再読がてら、スピリット英語版から手をつける予定。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 7月6日(火)


【今日読んだ本】

五龍世界 (壁井 ユカコ/ポプラ社)amazon

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《あらすじ》
五匹の龍がつかさどるといわれる五龍大陸のとある山、高名なやさぐれ道士のもとで修業に励む少女ユギの成長物語。血沸き肉踊る中華ファンタジー!


壁井さんがハードカバーでおくる中華ファンタジー。

面白かったんですが、トキメキが期待とずれているのが残念でした。幼い頃にぐうたらで不良で根は優しい導士の師匠に拾われたユギが、龍人との出会いを機に成長していく物語。現実的な性格に育ちながらも、親代わりだった師匠をなんだかんだで慕っているユギがかわいいし、もう1人の弟子の左慈を交えての生活が微笑ましくて楽しく読めました。途中から割と厳しい展開になるんですが、周りにも支えられて立ち直るユギのたくましさは、その心の痛みが分かるだけに胸をうちます。

ただですね、自分は師匠に萌えたんです。年の差にキュンキュンしてたんです。とてもしょんぼりです。左慈もいいけど師匠には勝てないです。しかも何か変な方向にフラグたってますし! イルラックもときめきはしますよ、でもイルラックは碧耀とくっつく方が萌えるんです。あの邂逅は絶対そっちにいくフラグだと思ったのに……。

これはきっと続きも出るはず。続きはユギ左慈、碧イルでお願いします!


評価 ☆☆☆(6)



SH@PPLE―しゃっぷる―9 (竹岡 葉月/富士見ファンタジア文庫)amazon

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《あらすじ》
鳥子と付き合いはじめた雪国。SECの活動を休止して青美に戻った舞姫。全部がちぐはぐのまま、時間だけが流れていく。そんな折、一枚のチケットを持って典子が現れた……。♂♀入れ替わりはフィナーレへ!


双子入れ替わりラブコメ完結編。

鳥子……。これ以上はないってくらいの鳥子大敗北でした。自分を見てくれないのは薄々分かっていて、それでも手に入れたものを離したくないとふるまう鳥子の姿が痛々しくて。ここまで鳥子がやるとは思っていなかったので、その必死さが印象的でした。
雪国の優しさがまた残酷で、コンビニの時は雪国爆発しろ! とか思ったりも。でも最後の最後だけはかっこよかったので許す。鳥子はそれ以上にかっこよくて、さらにかっこいいのがばあちゃんなんですけどね。返信かっこよすぎ。自分の中では最後の方は鳥子の物語でした。

他は綺麗にまとまったなあという印象。「胡蝶の宮、蜜の真実を知る!」のシーンが好きです、餌付けに負けたならしょうがない。あと、あいうえお作文拡張版なあとがきが読み応えもあって気に入りました。

SEC方面は最後までピンとこないままでしたが、楽しいシリーズでした。富士見でのイメージがいまだにあんまり沸かないんですが、次回作はどんなのが出てくるんでしょう。


評価 ☆☆☆(6)



 
 7月4日(日)


【今日読んだ本】

月虹の鏡 孤蝶の園の寵姫たち (夢野 リコ/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
後宮に暮らすルウシェと蘭朱は親友同士。身分が低い二人は、他の妃たちから蔑まれていたが、命を対価にどんな願いも叶えるという鏡を拾ったことから、思いがけない運命に巻き込まれて…!?


寿命と引き換えに願いをかなえてくれる鏡の持ち主を描く中華ファンタジー「傾国の美姫」がシリーズ化、夢野さんの2冊目。

これはよいものを読みました。後宮にいる女の子2人が鏡を見つけたゆえに繰り広げられる波乱万丈の友情ストーリー。極端に「ここに驚いた、凄かった」と思う展開はなかったんですが、全体的に描写が丁寧で上手くて、喜びや切なさの描写一つ一つが胸にとても染みました。
2人の出会いや辛くても互いがいれば幸せそうな様子が描かれているはじめの数十ページだけで、これは当たり作品だと確信したくらい。「あたしたちずっと一緒よ」と誓う場面で、今後別れての苦難の予感に溢れているのが辛かったです。

もちろんその後の展開も面白かったです。2人別々の人生を歩みはじめて、幸せを目指すまでの道のりや2人のすれ違いにハラハラドキドキさせられて。それでも切れない絆のしなやかさが素敵。願いの場面では胸がいっぱいになりました。

少し気がかりなのはキャラクター間違いの誤字が何箇所かあった気がしたこと。重要な場面でくると冷めちゃうのでなくなってほしいです。
1作目もよかったけれどこちらの方が好き、シリーズ化ってことは次も鏡でしょうか、楽しみです。


評価 ☆☆☆☆(8)



 
 7月3日(土)


【今日読んだ本】

天使から百年 魔人と主人と廃棄物 (野梨原 花南/富士見ファンタジア文庫)amazon

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《あらすじ》
異形の敵・ロドーリーに対抗できる能力者を集めたダーヴィス学院。英雄の末裔だという理由で学院に強制入学させられた少女・カイは、魔人フジシロユイカを召喚して、ロドーリーと戦うことになるのだが……!?


延期の末に無事発売された野梨原さんの先月の新刊。

いつもの野梨原さんよりも女の子が普通なお話でした。自分の中の野梨原さん作品の女の子像って、最初からたくましいかビフォアアフターみたいな変貌をとげるかのどちらかなんですが、これの主役のカイは普通の女の子らしい弱さを持っていて急に変わることもなかったので新鮮でした。一方のヒーローのジャンセンはそんなにヘタレじゃなくて女の子のために頑張れる気持ちのいい少年で、それでいて感情描写は野梨原さん節なので、初々しいラブコメとしてよかったです。
もう1人の主役のユイカもあけすけで面白い子。あの3文字とか女性陣ぶっちゃけトークとか色々ひどいのが楽しいです、デブ先生は割と本気でかわいそうでした。でもバイブはいらない。

ストーリーはなかなかに壮大な序章といった感じ。野梨原さん作品はキャラに目が行きがちなんですが、これは話も面白くなりそう。3巻完結が決まってるらしいので、今回は伏線放置でしょんぼりなんてことはないですよね?(マルタの惚れエピソードがなかったのはほんと悲しかった) 舞台が過去に飛ぶらしい2巻も楽しみです。


評価 ☆☆☆★(7)



ふたりの距離の概算 (米澤 穂信/角川書店)amazon

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《あらすじ》
春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する!


米澤さんがおくる日常の謎+青春ミステリ「古典部」シリーズ待望の最新刊。

く、黒い……! 元からほろ苦さがあるシリーズではありましたが、今回が一番ビターでした。誤解の積み重ねのせいで人間関係が崩れるだけでも苦いのに、さらにもう一段構えていた歪みがその倍の苦さ。奉太郎につきつけられた苦味もきいたけれど、それよりも結構普遍的な悩みで大日向がこれだけじわじわと追い詰められていてどうしようもないのがとても苦く感じました。

伏線の細かい張り方に何度もおおっと思わされたりと構成は面白かったものの、こういう苦い話は苦手なこともあって、シリーズの中では一番低評価。評価低い一番の要因は、大日向をきっかけに奉太郎と千反田の関係がグンと縮まると思っていたラブ寄せ脳のせいでがっかり感があったからなんですけどね(こんなんだから推理が全然当たらない)。自宅来襲時の意識しあった雰囲気みたいなのが全編で見られたらよかったんですが、この2人にそれを期待するのは無茶だったでしょうか。

次は続きなんでしょうね、もっとビターになりそうなのが心配。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 7月1日(木)


【今日読んだ本】

鳥籠の王女と教育係 嵐を呼ぶ王子 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
結婚を前に、エルレインは非公式に婚約者アレクセルの国エリアルダに挨拶に訪れた。彼の家族は温かく迎えてくれたのだが、突然アレクセルが婚約を解消すると言い出して…!?


前巻で鬼引きを見せた魔法ファンタジー「鳥籠の王女と教育係」シリーズ最新刊。

ああ、王子……。最後は身を引くことになるとは分かっていたんですが、実際その場面がくると想像以上に胸が痛かったです。今まであまり見せてこなかった男としての本気を前面に出したアレクセル、その抑えきれない感情の強さと誠実さは、苦しくて、でもかっこよくて。中盤の激情は読んでて辛かったです。心が癒えるまでには時間がかかるんでしょうが、リオもいてくれるし、幸せになってほしいです。

アレクセルに目がいったせいか、レーンとゼルのロマンスは普通の胸キュン止まりでした。というか、前巻の記憶消しやその前がときめきすぎて、これくらいじゃもうときめけないというか。今後もう1段の盛り上がりを見せてくれるんでしょうか。しかし、最後はやけに強気だったけれど、どう考えてもゼルの方がヘタレですよね。

嬉しかったのはあとがきにもあったファンサービス。ダナーク好きにはあの人はこの頃こうだったのかー、と驚いたのと同時に、年月の長さにしみじみとしました。ダナークの続き読みたいなあ(無理)

一区切りしてそろそろ完結も近い? アレクセルの幸せ描かれるまでは続くといいんですが。


評価 ☆☆☆☆(8)