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 9月30日(木)

多分一月ほど更新休止気味になります。完全には途絶えないと思いますが、今月以下のペースになりそう。


ついでに10月の購入リスト。

〈運び屋〉リアン&クリス 永遠なんて知らない (清家 あきら/ウィングス文庫)
聖鐘の乙女 月の聖女と夜の怪人 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)
鳥籠の王女と教育係 恵みの環の魔王 (響野 夏菜/コバルト文庫)
悪魔のような花婿 遅れてきた求婚者 (松田 志乃ぶ/コバルト文庫)
ブランデージの魔法の城 魔王子さまの帰還 (橘香 いくの/コバルト文庫)
氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜 (湊 ようこ/コバルト文庫)

まさかの2冊かと思っていたら、コバの前倒しで増えました。でも少なめ、ちょうどいいタイミング。




 
 9月26日(日)


【今日読んだ本】

夢の上1 翠輝晶・蒼輝晶 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア)amazon

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《あらすじ》
夜の王に「夜明け」を願い出た夢売りが取り出したのは、六色の宝玉。封じられし夢の結晶。夢は語り始める――結晶化した女の『夢のような人生』を。夢を見ない男の『沈黙の誓い』を......


「煌夜祭」を送り出した多崎さんの2年ぶりの待望の新刊。積みが増え気味でも、これだけは最優先で読むと決めていました。

1巻にしてすでに傑作でした。夢売りが王に物語を見せ、物語の合間合間に夢売りと王の会話が挟まれるという、どことなく「煌夜祭」を思い出させる構成のお話。夢である物語1話1話がまず珠玉の出来。
前半は 領主家に嫁いだアイナの数奇な人生を描いた物語。田舎で領主の娘として育ったアイナの、丁寧でありながらもしなやかでたくましい強さも合わせもっているところに凄く惹かれました。夫と2人、色々あっても素敵だったと思える人生で、生き抜いた感たっぷりの美しいラストシーンが感無量の一言。
後半は流民出身の騎士アーディンが主役の物語。領主の娘が幼馴染です。アーディンは流民出身です。この時点でツボな上に、自分を崩さない生き方の眩しさや、アーディンの飄々とした語り口の中にある想いにやられました。多崎さんの筆致って、派手さはあまりなくて落ち着いていて、なのにグッとくる場面では激しく胸をうってくる。そんなところがとても好き。

でですね、この物語は全3巻らしいんですが、3巻まで読み終わったときに全てが繋がって圧倒的な感嘆と満足が得られる、そんな確信がすでにあります。前半と後半でのリンクだけでも別視点での驚きや楽しさがあって、伏線も色々と張ってあって、これが最後まで繋がったら絶対面白い。「煌夜祭」の実績がなくてもそう言えます。だからはやく続きを!

あとこの物語、ファンタジーとしてだけではなく、少女小説読みの人にもお勧めしたいです。前半の始まり方なんか「悪魔のような花婿」と似てますし、というのは強引な繋げ方ですが、少女小説読みがときめけるポイントが多いと思います。

10つけようか凄く迷いましたが、「煌夜祭」を超えるかどうかで少しだけ不安な点もあるので自重することに。3巻で10つけられることを願って。


評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 9月23日(木)

2週間近くかけて読んでいたオンライン小説がようやく読み終わったので、今日はそれの感想。


Unnamed Memoryno-seen flower

400年以上を生きてきた魔女ティナーシャと、魔女殺しの剣を持つ大国の王子オスカーとの恋を中心にした長編ファンタジー。
猫みたいでコロコロと色々な面を見せるティナーシャと、物凄い胆力で押しの強いオスカーの押し引きが楽しくて読み始めたこの作品。2人を気に入っただけでなく、一話一話の出来事や事件がメリハリついていて面白かったり、主役2人以外のキャラクターも魅力的だったり、と気に入った点が一杯で、読む手を止めるのに苦労するのもしばしば。
何よりよかったのは核となるストーリーが圧倒的なまでにロマンチックなところ。ヒロインが400年以上生きているというだけでもロマンチックなのに、全然それだけにとどまらないロマンチックさに凄くときめきました! どうロマンチックかはネタバレになってしまうので語りにくいんですが、一言だけぼかし気味に反転ネタバレすると時間ネタあり。今後の展開を予兆させる意味深な地の文が多かったりといった肌に合わなかった点もあったけれど、そんなの吹き飛ばすくらいに素敵な物語でした。

番外編も痒いところに手が届くくらいあれこれ読めて、特に主役2人好きには幸せでした。主役2人以外では特にルクレツィアとラザルが好き。ラザルはちゃんと自分の意志でオスカーについていってるあたりが、苦労人スキー的にポイント高かったです。世界設定が設定wikiが存在するくらい緻密に作られていて、同一世界の物語もいくつかあるようなので、そちらも読んでいく予定。



 
 9月19日(日)

オンライン小説にがっつりはまって更新が停滞してました。そちらはまだ短編集が少し残ってるので、感想は後日。


【今日読んだ本】

カラクリ荘の異人たち 〜もしくは賽河原町奇談〜 (霜島 ケイ/GA文庫)amazon

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《あらすじ》
異世界へ行く方法を尋ねられ「車か電車で行けば?」と答えた太一に、クラスメイトの采奈は「そんなのつまらないし、安易すぎ」と言った。しかし、下宿することになった空栗荘へ向かうため彼が賽河原町でバスを降りると、そこは人でなく魚人やムジナ、のっぺらぼうに、喋るカラス――etcたちが行き交う、妖怪たちの住む町だったのだ。おまけにたどり着いた空栗荘は、人間とはいえ一癖も二癖もあるような住人たちばかり……。そんな「あちらとこちら」が混じり合う場所で新生活を始めた太一に巻き起こる、不可思議な出来事の数々とは? 賽河原町奇談開幕。


最近完結した、霜島さんがGA文庫から出していたシリーズ。以前から少し気になっていたところ、ラノサイ杯で「星をさがして」に入れた方が多く推しているのを見て手を出してみました。

雰囲気たっぷりで面白かったです。家庭の事情で1人で下宿することになった高校生の男の子、その下宿先は妖怪たちが暮らす街にあって、とはじまるお話。霜島さん作品で怪異が出てくる話というと封殺鬼があるんですが、あちらは術者が主役で退魔メインなためにあまり肌に合わず。一方こちらは妖怪が出てくるといっても日常の延長での登場で、コミカルな妖怪たちが愉快。それでいて、一歩道を踏み出したら途端に空気が変わって恐ろしくなって、そんな日常と非日常のあわいの雰囲気がよく出ているのがいいなと思いました。

主人公の太一は心に傷を抱えた男の子で、彼とアパートの住人たちの交流も楽しかったです。どの住人も癖があって、暖かいと手放しに言えるほど人情溢れているわけではないですが、一緒に暮らしてるとなんだかんだで癒されていきそうな感じ。苦労人好きとしてはミヨシが気に入りました。十遠見は割とガチでひどい。職人な古都子さんがいい女っぷりをこれからも見せてくれそうで期待。

あとポイント高いのが、かわいい同級生の女の子が出てくるところ。采奈の太陽のようなあけすけな明るさが太一の心を引っ張りあげてくれそうで、今後の恋模様が楽しみです。采奈が太一を気にしてる訳も気になります、冒頭のアレはきっかけかもしれないけど、他にも何かありそう。全巻購入済なので、続きもすぐに読むつもり。


評価 ☆☆☆★(7)