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 9月14日(火)

最近オンライン小説サイトさんからリンクを張っていただいて、これはオンライン小説感想の頻度をもう少しあげようかなと思う次第。というわけで感想を1つ。


化けモノ城と死なない領主カラクリ娘の右手

高給金につられて城の求人に応募してみたらそこは化け物城だった、そんな女の子ラシュの日常を主に描いたお話。

とにかく細かいことを気にせずにほのぼのを楽しめる話。非日常に対するラシュの適応力が物凄くて、精霊や異形が出てきても日常のちょっとした延長な雰囲気。男装執事としてこき使われてこき使われて、でも全然めげずに人生や家族とのふれあいをエンジョイするラシュを眺めるのが楽しいです。最初はそれほどでもなかったんですけど、ラシュが成長するにつれてどんどん面白くなっていきました。

男装だしサバサバしていた性格だしでラシュは非恋愛体質なんですが、周りには結構カップルがいて、かわいらしい恋愛もあり。途中から子供が何人か出てきて、彼らがまたかわいらしかったりするので、子供好きにもお勧め。一番好きなシリーズはちびラシュ奮闘編。可愛がられ、からかわれるラシュの反応がニヤニヤでした。


【今日読んだ本】

FATAL ERROR11 啓示 (新堂 奈槻/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
一朗(いちろう)、宏貴(ひろき)、要(かなめ)はついに再会を果たした。そして隠れ家を目指そうとした時、未知から電話が入る。美由紀(みゆき)と省吾(しょうご)を助けてほしい、と……!! 行き先を変え、危険な街・東京へと向かう一行。そんななか、一朗の胸に去来したことがある。奇蹟を起こす時はいつも、代償が返ってきた。この力は有限だと、思い知らされてきた。だからこそ決めた、最後の“願い”を──。その後の彼らを描いた書き下ろしショートストーリーも収録。空前絶後のサイキック・ファンタジー、ついにフィナーレ!


約10年にわたって続いてきた現代アクションファンタジー「FATAL ERROR」最終巻。

色々気になることは残ったものの、まあいいかと思える結末でした。正直言って、10巻の終わりからどこかに悲しみの残る終わりは覚悟していたので、予想の上をいく大団円にはびっくり。それはよかったんですが、色々説明しなきゃいけないことを省いて、強引にまとめたなあという印象を受けました。忘れていることも多いとはいえ、玉帝はそんなあっさり流していいキャラじゃなかったはずです、多分。

でもこの話は一朗ありきな物語だったわけで。一朗の人の良さとお兄ちゃん馬鹿っぷりが楽しさの中心でしたし、途中あたりでは、きっと最後は一朗のお兄ちゃんパワーで解決するんだろうと思っていたわけですし。そう考えると、カミサマの考えみたいな細かいことは置いといて一朗の周囲を描く、ってのはあるべき形なんじゃないかなあと。なんだかんだで3人幸せそうなの見たら満足しちゃいました。一朗が最後にアレ願ってたら自分勝手すぎてキレてましたけどね! しかし1巻と比べると宏貴のビフォアアフターが凄い。あと理子が丸くなったのがよかったなあと思います。

未知と誰かの恋のはじまりっぽいのも見たかったけど、あるかもしれない番外編でそのあたり読めたりするんでしょうか? ウィングスCOMPをしなければ間違いなく読んでいなかったジャンルのお話ですが、読んでよかったです。本誌で新連載がはじまっているので、そちらにも手をつけないと(完結まで封印してた)。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 9月11日(土)


【今日読んだ本】

ふしぎの家のアルバイト (石和 仙衣/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

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《あらすじ》
ワケあって、田舎から東京に出てきた岩倉たがねは15歳。数々のバイトをクビになり、空腹を抱えながらさまよっていた新宿で見つけたのは、毛筆で書かれた不思議な求人広告。「住み込みで食事付き」に惹かれたたがねだったが、雇い主は怪しげな婆さん・桜木闘子。やさしい孫の恭介はいるものの、たがねを待ち受けていたのは、予想だにしないオシゴトだった! 笑いあり涙あり、ホワイトハート新人賞受賞作。


ホワイトハートの新人さん作品。受賞時が「闘婆」という強烈なタイトルで、以前から何が出てくるのか気になっていました。

想像よりも大分ハートフルでいい話でした。天涯孤独になってその日暮らしをしている女の子が怪しい求人につられてみたら、そこには妖と闘うお婆さんがいて、というストーリー。この闘うお婆さんの闘子さんが、老婦人らしい厳格さだけでなく、豪快さや脆さも持っていて、色んな面を見せてくれる面白いキャラ。心の傷を抱えていたり、超人らしくなくて人間味あるところがいいなと思いました。たがね関連で照れたり素直じゃなかったりする姿もかわいらしかったです。

主役のたがねはドジっ子で食いしん坊で一生懸命な女の子。やたらと食いしん坊っぷりが強調されていて、どれだけ頭の中食欲で一杯なんだと思いつつ、それを真面目に悩む様子がかわいくて和みました。
「マロウド」をはじめとする異能関連の設定も面白かったです、独自設定が現代に無理なく溶け込んでました。闘子が話す異能視点での日本の歴史が楽しい。

ところどころ新人さんらしい力技もありましたが、これは当たりの新人さん。綺麗にまとまっているし、次は何書くか決めてないそうなので、続編はなさそう。ホワイトハートの新人さんは2〜3冊で消えてしまうことが多いので、そんなことなく頑張ってほしいです。


評価 ☆☆☆★(7)



FATAL ERROR10 鼓動 (新堂 奈槻/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
要を取り戻した一朗と常葉は、鬼の里を目指していた。治癒師の力を借りて、要の覚醒を促そうとしたのだ。けれど一朗たちの車は山の中で立ち往生し、邪霊の一斉降臨もあって、身動きが取れなくなる。そして一朗はついに決意する。「奇蹟」をなすことを。それがたとえ、己の身に代償を受ける行為だとしても……! 一朗、要、宏貴の束の間の休息を切り取ったショートストーリーと、美由紀と省吾の静かな日々を描いたショートコミックも収録。クライマックス直前、サイキック・ファンタジー第十弾!


ウィングスの長寿シリーズの現代アクションファンタジー「FATAL ERROR」第10巻。今月発売の11巻でついに完結を迎えるので積み崩し。

書き下ろし短編が懐かしくて楽しかったです。一朗が宏貴大好きな兄バカで、宏貴もなんだかんだで一朗に甘くて、要がツッコミ&受難役で。本編がシリアスでボロボロな状況にある中、3人のドタバタな様子に癒されました。この雰囲気好きだったので、また読めてよかったです。犬探しまわって上手くいかない宏貴がかわいい。要は不憫だけど、それ食べちゃ不憫キャラでも仕方ないですね。ていうか食べるなと……。

本編は、なんとか最悪な事態にはならなかったものの、満身創痍でいつ崩壊してもおかしくなくて怖いです。美由紀方面が凄く心配、彼女たちには幸せにほしいんですが。あととりあえず宏貴と要はヘタレるなと、そこで隠していい方に向かうとは思えない! 平原は結局よく分からないキャラでした、なんだったんだろうこの人。

あと1冊、大団円は難しいかもしれないけど、それに近くあることを願います。一朗消滅や宏貴消滅がありませんように。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 9月8日(水)

あらすじミス指摘ありがとうございます。最近書影ミスが多いので画像を注視してチェックしていたら、その下がおろそかでした……。


【今日読んだ本】

白と黒のバイレ 鳴らせ、再幕のブレリア (瑞山 いつき/角川ビーンズ文庫)amazon

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《あらすじ》
《魔王》に魅入られ、若返りの呪いをかけられたブランカ姫。護衛騎士・セロ、侍女・リリアナと共に解呪を求める旅の道中に、事件は起きた!?(「幕間のフーガ」「幕間のサルスエラ」)「そなたに永遠の愛を約束しよう」「悪いな――とか言わねえからな。ブランカは俺のものだ」「駆け落ちごっと」「婚約」を経て、至高の三角関係が迎えた本当の決着とは…!?(「終幕のデクララルセ」)他、運命と踊るシリーズ、究極の外伝集!!


先月完結した三角関係ファンタジー「白と黒のバイレ」の外伝や後日談を集めた短編集。

子供たち世代がかわいかったです。この短編集の興味の9割くらいは子供たち世代だったんですが、その期待通りの素晴らしさ。アスセーナは多分父方の隔世遺伝で明るさと行動力増していて、ティアは多少物分りがよくなっていて、親世代の2人より好きですこのコンビ。特にティアのアスセーナ好きっぷりがよかったです、世話焼いて照れ照れがやばい。アスがマルを本気で落としにいったときは、きっとティアは最初少し呆れつつも味方してくれるんでしょうね。反対する親世代(主に1人)を押しきる子世代の絵が容易に頭に浮かんで幸せな気持ちになりました。

他の短編は、リリアナはセロをもっともっといじめてもバチは当たらないと思います、うん。次のシリーズでは正ヒーローを気に入れますように。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 9月5日(日)

あんまり本を読めてなくて1週間ぶりの更新、しばらく不定期気味になるかもしれないです。


【今日読んだ本】

退出ゲーム (初野 晴/角川文庫)amazon

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《あらすじ》
チカは高校一年生、部員12名の弱小吹奏楽部に在籍。ハルタはチカの幼なじみ、まるで女の子のように整った顔立ちで、同じく吹奏楽部員。二人揃って、顧問の音楽教師・草薙先生(男)が初恋の人なのだが……。


1/2の騎士が素晴らしかった初野さんの代表作らしい青春学園ミステリ。

チカがかわいくて楽しいお話でした。吹奏楽部所属の幼馴染のチカとハルタが、学校や生徒の問題を解決しながら、ついでに部員も集めていくというストーリー。基本的にチカの一人称で進んでいくんですが、この一人称が好き。自分のことを恋多き乙女といってセルフ突っ込みを淡々と入れたり、普通の女の子より少しノリがよくて残念なところがかわいかったです。他の登場人物にも変り種が多くて、日常のやりとりが軽快。結構重たい設定の話もあったんですが、全体的には楽しさが残りました。
恋愛面が変わった三角関係なのも面白いです、一筋縄ではいかないというか、どういう落としどころに持っていくか見えません。三角関係の2人がくっつくとするなら、ハルチカ以外の組み合わせはありえない気がするんですが、でもこの2人もくっつく絵が浮かばないんですよね。先生がもう少し身近になってくれば、別の組み合わせも見えてくるんでしょうか。

表題作の退出ゲームはミステリとしてもよかったです。即興劇での小気味いい発想比べの中で、知らずうちに一つの目的に誘導されていくのが見事でした。逆にルービックキューブの話あたりは、推理に使われる雑学知識レベルがちょっと高くて、高校生なのにそんな推理しちゃうの、みたいなところがあったのがやや微妙。同じ高校生でも「1/2の騎士」では設定の特殊性もあって等身大な感じがしたんですが、こっちは普通の高校生なので背伸びしているように思えました。

続きがかなり気になるので、文庫落ち待つかどうか迷います。チカに惚れる男子(できれば下級生)が出てきたりすると個人的には歓喜なんですが。


評価 ☆☆☆★(7)



轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

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《あらすじ》
捕虜となった謎の男から、敵国シュータンの守護獣バシリスクの秘密を託されたアリアは、その巫女『涙なきイティス』の居場所を掴み、光焔とともに直行する。そしてついに、光焔とバシリスクが激突! だが、そこでアリアはイティスの過去と切なる願いを知ることになるのだった。戦乱で失われた命の悲しみを胸に、アランダム島に向かうアリアを待ち受けるのは――。「幻獣降臨譚」シリーズ、いよいよラストスパート!


ついに怪獣大決戦が描かれる「幻獣降臨譚」最新刊。

あとがきにびっくりしました。あと○冊で終わるって書いてあって驚愕ですよ、怪獣大決戦の後はそれだけだったなんて! あと5冊くらいはありそうだなと思ってたんですが、最後はちゃんと加速して終わるみたいですね。

それはさておき本編。色々被害は出たものの、案外うまく収まったなという印象でした、シュータンの人々がまとも。彼は……負い目があったしそうなるのも納得はいくけど、でもそんな悪くないのにそんな役回りは惨い気もしてモヤモヤ。アリアとくっつく男を見なくてよかったと思うことにします。アリアが結構ダメージ受けるの見て、まだ普通の女の子らしいところも残ってるなと安心したりも。イティスの年齢は意外、今までどこかに書いてありましたっけ?

個人的にはこの巻のメインはラスト数ページでした。シェナンがベタ惚れすぎてかわいくて、ウィーダ姐さんがかっこよくて、今後の展開にドキドキ。アリアの反応がとても気になります、彼の死の直後なのが気がかりなんですが。ついに待望のアレもあるでしょうし、次巻は本当に楽しみ。


評価 ☆☆☆★(7)