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 11月29日(月)

更新ペースがまた落ち気味、例によって2〜3割はオンライン小説が原因です。おそらく来月中旬までゆったりペース。


12月の購入予定。ホワイトハート祭りです。あとは新刊溜まり気味につき追ってる鉄板のみの購入。金星は3巻も凄いです。書き下ろし楽しみ。

楽園まで (張間 ミカ/徳間文庫)
シュアンと二人の騎士 (黒猫 ありす/講談社X文庫ホワイトハート)
プリンセスの系譜 (桜木 はな/講談社X文庫ホワイトハート)
金星特急3 (嬉野 君/ウィングス文庫)
天涯のパシュルーナ4 (前田 栄/ウィングス文庫)
捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)
銀環の大祭 神々の夢は迷宮 (西東 行/講談社X文庫ホワイトハート)
道果ての向こうの光3 (秋月 アスカ/レガロシリーズ)


【今日読んだ本】

氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜 (湊 ようこ/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
冷酷な皇帝エドリックに、后にと望まれた地方伯の娘・アイリス。輿入れしたアイリスだったが、皇帝エドリックは彼女に王妃の公の務めを果たすことだけ求め、一片の愛情すら示そうとはせず──!?


あちこちで良い評判が聞こえてきた、今月のコバルトの新人さん作品。

これは良かったです! 氷雪王と呼ばれる冷たい皇帝の下に、身分が低い女の子が嫁ぐお話。はじめ少しだけ皇帝の突き放し方が嫌な感じだなと思ったりしたものの、主役のアイリスが泣かされても諦め悪くて、何度もアタックする芯の強さを見てすぐにお気に入りに。皇帝がアイリスに少しずつペースを崩されて、愛しあう2人だけで困難に立ち向かう、みたいな関係になっていくのがとても好みでした。

で、そこからが本番なのがこの物語。というか、距離が縮まる前の序盤から、時折回想シーンや未来からの視点が混じっていて、2人の険しい先行きが暗示されているんです。こういう作りの物語って、先に進むのが辛くなったり、つい先のページをめくりたい衝動に駆られたりで、結構苦手だったり。でも苦手でもよいものはよいわけで、暗示によって増幅された切なさはたまらなかったです。別れ際が、もの悲しくも美しくて名場面。
また、もう1人の主役格である皇弟のルイも良いキャラ、戯曲の人物に扮したような歪み方が面白く、また歪んだ背景を考えると憎みきれなくて。因果応報とはいえ、描かれるその後には悲しいものがありました。

終わりには意外で胸が暖かくなるシーンがあるのも嬉しく、素敵な物語でした。次回作も非常に楽しみ。


評価 ☆☆☆☆(8)




 
 11月23日(火)


【今日読んだ本】

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット (あざの 耕平/GA文庫)amazon

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《あらすじ》
傲岸不遜で傍若無人、唯我独尊を地でゆく――そんな俺様な性格のサリエルに、過去最大級のスランプが訪れていた。それは、サリエルの扱いになれているはずの契約精霊モモですら手に余る程の大・大・大スランプ。誰の言葉も耳に入らず、慰めも届かない。その荒れようは、普段は彼の才能を尊敬し憧れているアマディアでさえ引くほどの酷さであった。果たして事態の顛末は――!? GAマガジンに掲載された『ダン・サリエルと女神の気まぐれ』ほか表題作『ダン・サリエルと真夜中のカルテット』等全4編を収録した待望の第3弾が登場!


俺様天才音楽家が活き活きしている、あざのさんが描くポリフォニカシリーズ最終巻。

サリエルが今までで一番かっこよかったです。四話あるうち、メインなのはアマディアが実家に連れ戻されかけるお話。この連れ戻そうとするアマディア兄を論破するサリエルが凄く輝いて見えました。上から目線なのに納得のかっこよさ。
他にもサリエルの見所たっぷりで、素直に助けるとは言わずにアマディア救おうとするヒネクレ具合などもよかったです。爆弾発言にはびっくりしましたけどね、サリエルうっかりすぎる! モモ派なのでモモと同様に複雑な気持ちだったりしますが、まあお似合いかなあと。外堀も固められて仕方なく(というポーズで)結婚するサリエルが浮かびました。

また、短編ごとに全然違った話が読めるのもこのシリーズのいいところ。1、2話のサリエルのぶっ壊れ方は、少し思うところがあったりしつつも笑えました。謙遜サリエルはホラー。1話では未来像を語るモモも素敵でした、3話でのノリノリっぷりといい、サリエルといいコンビですよね。
シャルマ関連や恋の進展も読みたかったので、続きがどこかで読める機会があったら嬉しいです。あと、ポリフォニカは白を長らく積んでいるのでそろそろ読みたい。


評価 ☆☆☆★(7)



天使ズ。 (野梨原 花南/幻冬舎文庫)amazon

 
《あらすじ》
「俺たちと組まないか?」ある日クロゼットの扉がいきなり開いて二人組の天使が現れた。いじめられっこの高校生・奈々は、つまらない毎日をやり過ごしていた。今日も誰とも話してないし。あの子みたいにかわいくないし…。でも。――奈々はもうひとつの世界「霧王町」では選ばれた存在だった。翼も、頭に輪もない天使たちが奈々を戦いに連れ出した!異世界アクション・ファンタジー。


まろんさんのプッシュその他諸々を受けて読んでみた、野梨原さんの過去作品。

エッジがきいていて、女の子が凄くかっこいい物語でした。学校でいじめられている上に家庭内不和で無為な人生を送っている女の子の元に、変な天使2人がやってくるお話。野梨原さん作品って、あまりパッとしない女の子がビフォアアフター的にグンとかっこよくなることが多くて、主人公の奈々もその類の子。でも奈々の変わり方は、天使たちに影響され、現実と向かい合っていく感じが良く出ていて、不自然に見えませんでした。
思春期らしい文体で描かれる喜怒哀楽はダイレクトで勢いあって、友人ができたりする場面ではこちらも嬉しい気持ちになったり。時には泣いたりしながらも進んでいく奈々はかっこよくて気に入りました。いじめられっ子でもいじめシーンはほとんど描かれないのも、いじめ物苦手な自分的にはよかった点。

ストーリーは、2つの世界を行き来して天使と悪魔の戦いに巻き込まれる、という派手目の設定。でもバトルがそんなあるわけではなく、口悪いヤンキー風な天使たちのおかげでシリアス感が薄くて楽しく読めましたし、意表をつかれる展開も割と多くて面白かったです。そして、終盤の奈々の真理をついた叫びが痛快で気持ちいいことこの上なし。

今まで読んだ野梨原さんの中でもかなり好きな方のお話でした、もっと若い頃に読んでいたら色々影響を受けてそう。これからも過去作読んでいきます。


評価 ☆☆☆☆(8)




 
 11月17日(水)


【今日読んだ本】

Steins;Gate─シュタインズゲート─ 円環連鎖のウロボロス1 (海羽 超史郎/富士見ドラゴン・ブック)amazon

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《あらすじ》
その緻密かつ劇的なストーリーで絶賛の嵐を受けた、想定科学ADVがファン待望のノベライズ! 秋葉原を舞台に繰り広げられる時空を越えた物語が、ゲーム本編とは似て非なる世界線で語られる。


ここ2週間ほど、名作と名高いゲーム「シュタインズゲート」を遊んでました。ストーリーは非常に 構成も美しく、また要所要所の演出も素晴らしくて、確かに時間物の名作と呼ぶのも納得の面白さだったので、間髪をいれずにそのノベライズも読むことに。

感想に入る前に大事なこと、著者が海羽さんです。「天剣王器」「ラスト・ビジョン」の海羽さんです。2作とも大好きで、でもさすがにもう復活はないだろうと諦めていたので、名前見たときは狂喜しました。そっと消えていく作家さんが多い分、復活したときの喜びはひとしお。

で、感想。いいノベライズでした。絵や声、演出の力が結構大きいゲームなのですが、それらに頼らずにオカリンの中二病っぷりや女性陣の魅力がうまく表現されているのに感心。内面描写が増えている分、オカリンは本編より駄目さが生々しくなってました。まゆしぃはアホかわいいし、鈴羽の陽気で寂しげなところもそのまま。ヒロインみんな可愛いんですよねこのゲーム。
ただのノベライズではなくオリジナルな部分もあって、ゲームの展開をなぞっているようで、ズレがあちこちに見受けられるのにワクワク。このズレがどういう形で収束するのかが焦点なわけですが、海羽さんなら素晴らしいものを見せてくれるでしょう、後編が待ち遠しい。
以下余談気味。はじめのページの「さておき。」を見て、「ところで」とか「それは」「脇に」「置いといて」とかを思い出して懐かしい気持ちになりました。再読したい。


評価 ☆☆☆★(7)



階段途中のビッグ・ノイズ (越谷 オサム/幻冬舎文庫)amazon

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《あらすじ》
優柔不断が玉にキズの神山啓人は、猪突猛進型幽霊部員の九十九伸太郎に引きずられて行動を開始する。目指すは文化祭での一発ドカン!!のはずが……。周囲の冷たい視線、不協和音ばかりの仲間達、頼りにならない顧問。そこに太ももが眩しい同級生への恋心も加わって――。啓人達は見事にロックンロールできるのか。


どこかの感想を見て購入リストに入れておいた、青春バンドストーリー。

スカっとする良い青春物でした。軽音部唯一の部員となってしまった啓人が、廃部を取り消すために、仲間を集めて文化祭での演奏を目指す、という王道な物語。何がよかったかというと、感情や熱気がダイレクトに伝わってきたところ。軽音について全然知識がなくても(曲名は全然分からないし、けいおんも見てない)、演奏がうまくいったときの一体感は熱かったですし、仲間の感情がバラバラになったときの不快でもどかしい気持ちも凄い伝わってきて、その分まとまったときの爽快感が半端なかったです。はじめて4人が最高の演奏をしたときの気持ちよさが、この物語で一番好きな場面。
キャラクターも魅力的な奴らがたくさん、特に段々芯強くなっていく啓人が好きです、初々しい恋心もかわいい。伸太郎の暴走癖にだけは何度かイラっとさせられましたが、その数倍のスカッとした気分が味わえたので問題ありませんでした。

感想をチラッと書いたら、すかさずお勧め隊から「金曜のバカ」をお勧めされたので、次はこれを読む予定。多分すぐです。


評価 ☆☆☆★(7)