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 12月16日(木)


【最近読んだ本】

《呪肉》の徴 グウィノール年代記1 (縞田 理理/C★NOVELSファンタジア)amazon

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《あらすじ》
健気な下町の少女メルの左腕に現れ、うつけ姫と名高い上級豪士の娘トリナがドレスの下に隠すもの。《呪肉》が少女たちの運命を結びつけた。最強のヒロイニック・ファンタジー開幕!


先月のCノベの新刊、縞田さんがおくる女の子が主役のファンタジー。ラノンを読んで以来、縞田さんが女の子主役の物語を描くのをずっと待ちわびてました。

期待以上によかったです! 「呪肉」と呼ばれる肉体の変異に見舞われたメルが、「うつけ姫」トリナと出会って動き出すストーリー。この出会った2人の女の子の関係が凄くよかったです。助けてくれた姫のために頑張るメルの真っ直ぐな明るさ、そしてずっと孤独だった中でメルと出会って開けるトリナの世界。2人だけの秘密を抱えていることもあって、支えあって周囲に立ち向かう姿がかっこよく、また信頼しあった仲睦まじさも見せてくれるのが素敵でした。特にメルはここしばらく読んだ本の中でもトップクラスに好きなヒロイン、幼い身でトリナを慕い助けようとする一本気な気性は、かわいらしさもかっこよさも文句なしでした。

そんな2人な主役な物語はもちろん抜群の面白さ。秘密を抱えた2人がどうなっていくのか常にドキドキしながら読めましたし、「呪肉」や魔法の設定が分かっていくのにはワクワク。心に残る出会いや別れもあったり、敵役である美女の歪んだ恐ろしさが半端なかったり。こういう物語が読めるからCノベって好きです。

呪肉の正体が何なのか、2人(+1人)の運命は、など気になること色々あって続きが楽しみ。メルとガウアーがいい感じになるんじゃないかなー、と恋愛方面もひそかに期待してます。でも、メルからラムジーっぽさがなんとなくするのが不安。(ラムジー:ラノンの主人公にして、鈍感の王様。)


評価 ☆☆☆☆(8)



プリンセスの系譜 (桜木 はな/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

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《あらすじ》
ある貧乏貴族一家がフランス革命で零落し、ついに居城からも追い出されたとき、仮面をつけた美貌の密使があらわれ、次女アテネーの出生の秘密をあかす。殺された国王の隠し子ゆえ、王妃マリー・アントワネットの娘とそっくりな彼女は、王女の身代わり花嫁として、ハプスブルク家のイケメン大公と政略結婚するよう命令され、パリからウィーンへ向かい……。激動のヨーロッパを舞台にした、華麗なるラブ・ストーリー!


師走はホワイトハート新人さんの月。今年は2冊、こちらはフランス革命あたりの史実ベースのラブストーリー。

良い甘さのロマンスでした。貧乏貴族の女の子が、王女マリー・テレーズの身代わりとなる物語。「身代わりの王女」ってときめきますよね。さらに「幼い頃一度だけ会った男の子との初恋の思い出」が加わったりすると、ときめきが倍ですよね。そんなお話です、10年前に出たといわれても納得する王道ロマンス。主役のアテネーが極普通の女の子でかわいらしく、怪しげだけどかっこいいヒーローに揺れつつ惹かれていく様子がよかったです。キスの破壊力や、惹かれた後でも根強く残る初恋の思い出が印象的でした。

前半じっくりと進むのがよかった反面、後半急展開なのは少し引っかかったところ。あと1章くらいありそうなのにいきなり終わりまで引っ張られたような感じでした、悪役がもう少し悪っぽいとよかったかも。でも、結末までの話の運び方は意外性もあって面白かったです、半分くらいは予想ついていたけれど、各人が少しずつ予想と外れてました。気持ちのよい終わり方だったのも○。

次回作は18世紀ウィーンが舞台のようです、あらすじ次第ですが次も読むつもり。
以下は余談、作中に色々と出てくるお菓子がおいしそうでした、さすがマリー・アントワネット時代。グーゲルフプフってとても舌噛みそうな名前。


評価 ☆☆☆(6)




 
 12月14日(火)

やや久々に、オンライン小説感想を2つほど。

次期当主と花嫁候補Bird Of Paradise

目が不自由な名門貧乏貴族の少女が、お嬢様一筋の頼れる使用人とともに、ある金持ち貴族の花嫁集めに参加する物語。
あらすじから何となく大筋は想像できて、それを期待して読んだら期待以上の切なさでした。堅物当主のテーゼと使用人のフラウの2人とも魅力的なヒーロー。特にフラウの一途さは、読んでいて苦しさが伝わってくる想いでした。あるシーンではリアルに声出して叫んでしまったほど。切なすぎる。
主役のメーウィアの、貴族らしい気高さを崩さずに頑張る姿も好きです。ハンデを感じさせない努力は凄いの一言。これをフラウと二人で作ってきたんだなと思うと余計に切なくなります。第一部が一押し。


人災はある日突然やってくるring ring rhapsody

あるクラスメイトの仮面をうっかり見破ってしまったら、つきまとわれるようになってしまった女の子が主役の学園コメディ。
主役2人の押し引きの楽しさと微かな甘さがいい感じの学園物です。秋田につきまとわれて受難の日々を送るうちに、段々と慣れて変わっていく梢の様子が面白い。「嵐を起こせ」あたりでの、梢が自発的に行動していくところの心境の変化が自然でニヤニヤできて好きです、それなんだかんだで秋田のこと気になりだしてるよね、っていう。秋田のつきまとい方は、しつこいんだけど読んでいて嫌な感じがしないのがいいところ。未完で不定期更新みたいですが、基本1話完結なので問題ないです。
こちらのサイトでは、「猫と毒草」も見合いからはじまる暖かくかわいらしい夫婦のお話でお勧めです。こちらは完結済。




 
 12月13日(月)


【最近読んだ本】

金星特急3 (嬉野 君/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
錆丸(さびまる)たちの車両に新たに言語学者のアルベルトが加わった。頭の回転が早く口が達者な彼は、早速砂鉄(さてつ)と犬猿の仲になる。そんな中、金星特急が停車したのは草原のど真ん中、砂鉄の属する傭兵集団・月氏(げっし)の幕営地。傭兵の入れ替わりの祭《羊追い祭》の開催期に居合わせた花婿候補たちは、強制的に祭に参加させられることになる。傭兵の一人に挑戦しこれを倒せなければ、草原の彼方に追放され列車の出発に間に合わない。腕に覚えのない錆丸は、この危機をどう乗り越える……? 砂鉄の属する最強傭兵集団・月氏の面々はじめ、アルベルト、彗星等、主要キャラ続々登場!! 砂鉄の過去、ユースタスの正体、さらに錆丸の謎にも迫る人気シリーズ第三弾!!


謎めいた特急電車に乗って世界中を駆け巡る冒険ファンタジー「金星特急」、第3巻は草原編。

凄かったです、凄かったです。1巻も2巻も凄かったですが、3巻はそれ以上。特に後半はあれこれ描かれて、錆丸にユースタスに月氏の面々に、誰に目を向けていいか分からないくらいの密度の濃さ。後半を本誌で読んだ当時に書いておいた感想があるので、それをペタリ。

面白い面白い面白い! 新登場キャラにびっくり&ユースタスプリンひどいからはじまり、殿下が追う世界の秘密にロマンスロマンス、ユースタスに凄くニヤニヤ。雷鳥さんいいお姉さん。こっちはほっといてもくっつきそうですが、錆丸方面が俄然気になってきました、何があったんだ一体。全ては錆丸を呼び出すための仕組み……ってことはないかな。
伏線の張り方も凄いなあ、砂鉄の行動にそんな意味が! そして錆丸のかっこよさに胸が熱くなりました、いい3人組だ、うん。イラストはKYですけどね!(刺されて起き上がる前に起き上がってるイラストがですね) 
そしてその引き! それ3巻引きとかまじふざけないで! みんな叫ぶから!

はい、案の定皆さん叫んでいるようです、そりゃ叫びます。書き下ろしでの殿下の鋭さにドキっとさせられたり、ペーパーで笑ったり、完全に嬉野さんの手の上です。

続き待ちきれない方は、今発売中の秋号で続きが読めますよ! と宣伝。発売後1ヶ月たっているので見つかりにくいかもしれませんが、少なくともamazonでは買えるようです。皆さん本誌派になりませんか?


評価 ☆☆☆☆★(9)




 
 12月12日(日)

コミケカタログROM版が出たよ! というわけで恒例の作家さんサークルリストC79版です。今回はTS系の作家さんにはじめて見かける顔が目立ちます。珍しいところでは柏枝さんの名前なども。とりあえず、須賀さんの女神伝新刊は絶対手に入れないと。




 
 12月11日(土)


【最近読んだ本】

ミストクローク―霧の羽衣―1 新たな救い手 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)amazon

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《あらすじ》
支配王亡きあと混乱し、戦の果てに飢えた帝国を救うため、予言をたよりに〈即位の泉〉を発見したヴィン。だが、彼女が解放した力は悪しきものだった……。それから一年が過ぎ、新皇帝にして〈霧の落とし子〉となったエレンドはヴィンとともに帝国全土を旅していた。街や人々を獣人軍の襲撃から、そして〈深き闇〉こと霧から守るために――読む者の心を揺さぶるベストセラー・ファンタジイ、世界の謎に迫る最終章・開幕篇!


合金術を中心とした斬新な世界観にて、怒涛の展開で驚愕をいざなうストーリーを描く「ミストボーン」シリーズ第3部開幕 。

鉄板の面白さの一言です。前巻で盛り上がるに盛り上がって一息つくのかと思ったら、新しい謎が続々であまり息がつけませんでした。その一番の要因は、節頭にある謎めいた文章。開幕の一行で「えっ」となり、いつ書かれたかも誰が書いたのかも分からない、それでいてあちこちの核心に踏み込んでいく内容に、今後の盛り上がりへの期待をかきたてられっぱなし。なんで一人称が複数に? まさか霧化とか? などと当たらない予想が色々と頭を巡ります。しかし、支配王打倒も奴に操られていたというのは驚き。あの薄氷の勝利も手の内だったら勝てる気しないんですが。勘違いor誤りだと思いたい。

節頭以外の部分も、5人の視点それぞれでの闘いが謎と共に描かれて面白いです。一番好きなのはテン=スーン視点、興味深いカンドラ社会の中での静かな戦いがかっこいい。 あと、どうしても犬姿が頭に残っているので、かわいいイメージが付きまとってます。 ヴィンに心を砕かれてはいますよね。
他では、スプークやエレンドの成長にも胸が熱くなるものがありました。霧のケルシャーはそのうちこういう形の再登場はあると思ってたのでそんなに驚かず。仕組みは全然分かってないですけどね! リーンもずっとヴィンの側にいるんですかね? それが敵意ってわけじゃないんでしょうけど。的外れっぽいのでここらで考えるの止めます。不可思議な16%をはじめ、謎が大量でさっぱり繋がりませんが、最後には綺麗にたたんでくれるんでしょう。

最後の引き方がまた心憎い、ヴィンがそういう気持ちを残しているのに和みました。堂々とした侵入がどうなるか楽しみです、2巻も3巻が出るまでには。


評価 ☆☆☆☆★(9)




 
 12月5日(日)


【最近読んだ本】

薔薇のマリア 14. さまよい恋する欠片の断章 (十文字 青/角川スニーカー文庫)amazon

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《あらすじ》
長き因縁に決着をつけ、一時の平安を得たエルデン。ルーシーは着実に歩み進め、カタリはエルデンデートに、ピンプは盃を重ね、トマトクンは体を休め、ユリカ、サフィニア、マリアローズはパジャマパーティ!? そしてアジアンはいつものように、薔薇の動向を気付かれない距離から見守っていた。だがそこにもう一つ、マリアに不穏な視線を送る影があった。マリアが、アジアンが! 恋と世界の秘密に迫るシリーズ14巻!!


最近アジマリの進展が著しい「薔薇のマリア」本編の第14巻。

今回もとてもゴロゴロしました! アジアンによる、押しても駄目なら引いてみろ大作戦編。まさかこんなに効果があろうとは、仕掛けた本人も思ってなかったというか、何となく思いついてやっただけですよね多分。それがタイミングドンピシャだっただけで。ページが進むにつれて、アジアン恋しさに変質していくマリアの切ない様子がもうたまらない。夜空を見上げる挿絵つきの場面あたりはワーワー叫びながら読んでました。
結局策の効果に気づいてないアジアンはちょっと間抜けですが、知って誘惑に負けなかったのはかっこよかった。ただ、死を確認してないのが少しだけ怖いです、子爵が蟲化して生きてるなんて展開はまさかないですよね?
そして最後の再会、アジマリ派愛しさにずっと読んできてよかった。

そんなアジマリのかたわら、嵐の前の静けさで同時多発ラブな巻。ユリカもアーニャもベティもかわいいですね。で、かなりの脇キャラまで恋している最中で進展が見られないサフィニアさん。あれ? トマトクンの過去が分からないと進展できないってことなんでしょうか。そもそもトマトクンは色恋どうなのかいまだによく分からない。
また、これだけあちこちでカップル発生すると、今後のデストロイを疑ってしまうんですが、十文字さんってその辺どうでしたっけ? 過去にはデニスの件などもあったし、割と容赦ないときは容赦ないので怖い。

さて、ここから終章とのこと。過去の伏線は記憶の彼方ですが(りりぃってどこで出てきたっけ……)、今回色々と描かれたことは頭に入ったので、適当についていきつつアジマリを楽しみます。今まで散々ひどかったんだから、過去以上に2人が苦しむなんてありませんよね?


評価 ☆☆☆☆(8)



はなうたう ―淵国五皇子伝― (古戸 マチコ/一迅社文庫アイリス)amazon

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《あらすじ》
不思議なツタにとりつかれ、淵国につれてこられたカナンを待っていたのは、呪われた体を持つ五人の皇子たちだった。奇跡の実の力で第四皇子・善の呪いを解き彼の求婚を受け入れたカナンだったけれど、四人の皇子はいまだ絶賛呪われ中……。そんなある日、王宮で花嫁修業をするカナンに第一皇子・律が急接近! 情熱的な言葉をかけてきて―!? 恋の行方は嵐の予感? 西洋乙女と皇子たちが繰り広げる、中華風王宮恋愛ファンタジー!


植物にとりつかれた女の子が主役の、設定だけは逆ハーの中華ファンタジー「はな〜〜〜」シリーズ第2巻。

律がかわいすぎるんですが! この2巻は長男・律の恋と成長がメインのお話。キャラ紹介的な1巻でも律はかなりかわいかったわけですが、メインになったらかわいさ倍増。どこの乙女だ! とツッコミたくなるくらいの純情っぷりが楽しいのなんの。カナンとの恋談義での人のよさやうろたえ方、暗とのヘタレ会話などなど律の魅力満載でした。
それだけで終わらず、後半での独り立ちしていく律もよかったです。律を変えたカナンは鈍いけど、1巻でのイメージ以上にいい子。律と暗との最後の会話が笑い混じりなところも含めて好きです、律も暗もよかったなあ。

他の兄弟では善のひどさがインパクト強し。解放されて色ボケするのはとても納得なんですが、こんなに色ボケするとは。暗の台詞勘違いは病んでるレベルですよ。この兄弟まとめてる(?)パフューム凄い。

触れなきゃいけないのがあとがきのパンダ。最初、あとがきから読んだときには普通にパンダありじゃないかと思いました。でも、本編読んでから改めて読むとじわじわとくるものが。あの中身でこの外見でこの描写なのかと。で、とどめは古戸さんのブログのイラスト。あ、これはない。でもパンダは好きです(アイコンをパンダにするくらいには)。

ラストで皇帝が何やら企んでいるのが不穏、この皇帝が本気出したらまず兄弟は誰も勝てない。今後は1人1冊展開? 郷とかどういう話になるのか予想つかなくて気になります。


評価 ☆☆☆☆(8)