4月27日(水) |
【最近読んだ本】 ◆ エージェント・コード 〜恋の陰謀は執筆のあとで〜 (瑞山 いつき/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 《あらすじ》 ――どうやら昨今の天使はライフルを構えて、初対面の人間を脅してくるものらしい。 小説家のカルは、原稿から逃げだす口実に向かったパーティーで、銃を構え空から降ってきた少女・ライザと出会う。国王の極秘命令をこなす諜報員だという彼女は、『賢者の石』を奪った秘密結社に追われていた! ライザの逃走劇にカルは巻き込まれることになり…!? 新米スパイ少女と大胆不敵なベストセラー作家が繰り広げる恋の冒険活劇、華麗に開幕☆ 今月のアイリスの新刊、これまでビーンズ一筋だった瑞山さんがおくるスパイラブファンタジー。 期待以上の面白さでした! あらすじ見ずに購入で、タイトルからシリアスな潜入物を勝手に想像してたら、中身は真っ当なラブコメ。諜報員の卵のライザが、任務中に出会った小説家のカルのペースに巻き込まれてどんどんドツボにはまっていって、ついでに恋にも落ちていく、その過程がテンポよくて楽しい楽しい。頑張り屋で精一杯任務をこなそうとしているのに、つい迂闊さをさらけ出すライザがかわいくてニヤニヤしちゃいます。 ヒーローのカルは、一言でいうと変。曲者なのにマイペースで緩急自在な性格してます。普段はうさんくさいのに、色っぽいシーンでの口説きはぐぐっとドキドキさせてくれるのが素晴らしい。そりゃライザも何度も赤面します。その一方で、2人で追っ手をまいて拳をぶつけ合わすような爽快さもあったりと、色んな面を見せてくれるのもよかったです(この場面は高山さんのイラストもよかった)。一番好きなのはキスシーン、とてもこの2人らしい甘さ。 主役2人以外で重要な存在なのが、シスコンで腹黒な兄さま。こういう兄ってヒーローと敵対関係になるのがよく見るパターンですが、単純にそういう関係ではないのが面白いです。ライザの方も兄さまラブなので、今後ライザが揺れたり衝撃を受けたりする展開が待っていそう。これは是非続き読みたいです。 評価 ☆☆☆☆(8) |
4月21日(木) |
【最近読んだ本】 ◆ 鳥籠の王女と教育係 魔法使いの選択 (響野 夏菜/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 婚約解消が認められず、エリアルダ滞在中のエルレイン。そんな折、本来弱いはずのアレクセルの魔力が増大を始めた。それは彼の「コイズ」の宿命によるものだった。「コイズ」の意味するものとは!? 三角関係がようやく落ち着いたかと思ったら新たな展開を見せる「鳥籠の王女と教育係」第8巻。 予想外の再盛り上がりで面白かったです! エルレインとゼルイークが落ち着いた前巻を読んで、この物語のピークは過ぎたのかもと思っていたんです。ごめんなさい、全然そんなことありませんでした。いきなりの殿下コイズ化からはじまって、3人を再度揺さぶる展開が盛り上がらないはずはなく。以前とは3人とも変わっているのが分かるのがとてもよかったです。ゼルを守るレーンと殿下、それに感じ入るゼルの描写や、変わったことを述懐するレーンの描写が特に好き、レーンも殿下もかっこいい! 今回の騒動を通して、3人の関係が一層深みを増したように思えました。リオが蚊帳の外気味だったけれど、今回ばかりは仕方ないですね。 そんなシリアスをやりつつ、コミカルさも消えてないのもこのシリーズのいいところ。殿下にアーンフェイクをかけるレーンに噴きだしかけました。レーンがとっても悪そうなイラストもいい仕事(ゼルの表情は子供っぽすぎですけど)。他では、ダナークの名前が引き続きあちこちで見れるのもファンには嬉しかったです。 イの王が意外にいい父親でほっこりして、さて次は本格的な争いかと思ったら、ゼルイークさん何言ってますかあなた。今回はそこまでヘタレたとは思わなかったんですが、これはどう見ても次巻ヘタレるフラグ……。レーンと魔王の間にはまだ何か語られていない繋がりありそうですし。負けずにフラグ叩き折るかっこいいゼルイークが見れますように。 評価 ☆☆☆☆(8) |
4月19日(火) |
【最近読んだ本】 ◆ 和菓子のアン (坂木 司/光文社) 【amazon】 《あらすじ》 やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。あなたも、しぶ〜い日本茶と一緒にいかがですか。 結構昔にタイトルを見かけて、「このタイトルはいつか読むしかない」と心に留めていた作品。ちょうど1年前に発売されたみたいです。 和菓子薀蓄が楽しいお話でした。 高校を卒業した女の子が、デパ地下の和菓子屋で働きながら出会う出来事を綴ったお話。最初は主役のアンちゃんの成長話なのかと思ったら、そっちよりも和菓子ミステリとしての側面が強かったです。お客さんが和菓子を意味深に購入していったり、謎のメッセージを残していったりといったりと和菓子にまつわる謎が描かれるんですが、その背景や薀蓄がどれも面白い。こんなに名前に含みや遊び心があったとは。 またその薀蓄の見せ方も上手かったです、アンちゃんが物事の受け取り方が素直で気持ちのいい女の子で、彼女と一緒になるほどー、と頷きながら楽しく読めました。一番興味深かったのは師匠が残した言葉の謎、和菓子道深い。 薀蓄と並んでこの作品の魅力なのが、個性的な店員さんたち。一見は至極普通な現代物としてはかなりぶっ飛んでます、特にイケメンなのに乙女な立花さんが凄い。イケメンだから許されちゃう設定ですよねえこれ、乙女な反応はかわいらしいし、ロマンチックに身悶える姿は気持ち分かるんですが! 占札のメッセージは胸キュンすぎる。 あと、後半の立花さんのアンちゃんに対する失言に「乙女系男子なのに乙女心は……」と思いかけて、その言葉が自分にブーメラン返ってきそうで飲み込んだりも。でもあの失言はないですよ立花さん! アンちゃんの説明がおいしそうで、和菓子が食べたくなるお話でもありました。和菓子は元々好きで結構食べるんですけど、味ばかりで名前の背景を気にしたことは碌になかったので、これからは食べる楽しみが増えそうです。 評価 ☆☆☆★(7) |