7月30日(土) |
コミケ前の定例更新2個目、ライトノベル作品別サークル数推移(C80版)。今回ははてダの方に置いてみました。アニメ化組が勢いあります。ハルヒとマリみては息長いですね。 8月の購入予定。嘘姫最終巻をはじめ素敵なラインナップですが、メインはやっぱりウィングス本誌です。 【最近読んだ本】 ◆ ギデオンの恋人 (石和 仙衣/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 舞台は聖暦二十世紀初頭のアンゲリア王国。裕福な生まれのメリッサ・クリマイヤーは、初めて訪れたサーカスで、無口な綱渡りの青年リンドウと、人間の言葉を話す不思議なライオン、ギデオンに出会う。ある時、メリッサはリンドウがまったく歳をとらないことに気がつく。それは、かれがギデオンと交わしているという魔法の契約のせいだった――。 切なくて思わず涙する、珠玉のラブストーリー! 「不思議の家のアルバイト」で昨年デビューした石和さんの2作目は、お金持ちの家の女の子がサーカスの青年&ライオンと出会うところからはじまるファンタジー。 色褪せない想いにじんときました、いいロマンスでした。 冒頭、主人公が年とったシーンからはじまって、恋路の険しさ・切なさを感じさせる語りに「これはきっと当たり」とワクワクして読み始めました。その期待通りのものを見せてくれました。 結構凝った構成になっているんですが、はじめの方はメリッサとリンドウの出会いが中心。幼いメリッサは喜びや悲しさを全力で表現する女の子で、はじめてのサーカスに目一杯喜んだりする様子がかわいらしくて好きになりました。人の優しさを食料とするギデオンの貪欲さには前作主人公の食欲を思い出して、石和さん食欲魔人出すの好きだなあと和んだりも。 で、メリッサが成長して育まれていく恋が切ない切ない。ギデオンの契約は人がたちうちできそうにないほど強大で、でも時を経るごとに想いは増していって。相手を想う気持ちや求める気持ちがストレートに描かれているのがよくて、恋物語の行方にドキドキ。 何よりメリッサの諦めない姿勢が素敵でした。年をとっても色褪せなかった彼女の想いは眩しく、そして彼女が目指したものがしっかり形になっているのを見て、その優しさに涙ぐみかけました。結末の前向きな余韻もよかった。このストレートな物語、大好きです。ベタで切ない物語が好きな人に特にお勧め。 評価 ☆☆☆☆(8) |
7月26日(火) |
【最近読んだ本】 ◆ 奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター (森 美紗乃/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 BLを愛する“貴腐人”のゆりは、男前な性格の美人OL。半年前から同居する恋人の曜(よう)は、いまいちブレイクできない声優。ゆりに求婚するも拒まれてばかり……。そんな曜に十八禁の「BLノベルゲーム」の仕事が入る。が、ゆりは曜の声にダメ出しの連続。ゆりが惚れ込む曜の本来の声の力を発揮させるため、貴腐人の個人レッスンが始まる! ホワイトハート新人賞受賞作。 先月発売された、ホワイトハートの新人さん作品。BLじゃないらしいので気になりつつも躊躇していたところ、読んだ方々が皆「バッドエンドもえ!」と叫んでいるのを見て、ふらふらと釣られてみました。 意外と真っ当でありつつ、変化球(危険球?)も混ぜられていて面白かったです。 筋金入りの腐女子でバリバリのキャリアウーマンの女性と、彼女と同棲(事実婚)している年下の声優の物語。タイトルだけ見ると明らかにキワモノなんですが、読み始めるとBLゲーの声優の難しさやプロ意識を描いていたりと、意外とまともで驚きました。 で、BLゲーの仕事に戸惑いくじけつつも頑張っていく曜の姿がよかったです。恋人が腐女子ゆえのおいしいシチュエーションは楽しかったですし、年上で優秀な彼女に頼られたいと思い頑張る曜の気持ちがよく理解できて、2人に幸せになってほしいなと思えました。 でもまあ、このタイトルですから真っ当なだけじゃ終わらないわけで。凄かったのが作中作であるBLゲーム。「数多くあるバッドエンドが売り」なゲームで、ダークな描写にやたら気合入ってました。特に終盤では10ページ以上に渡って作中作のバッドエンドが描かれているんですが、これがなかなかに残酷で儚い。このバッドエンドは見てみたいと思わされました。 ですが、中盤に話だけあがった超狂気なバッドエンドは、恐ろしくて見たくないです。高校生でこのゲームをプレイしたキャラが作中で出てきましたが、そんな年齢のときにそんなエンド見たら、下手すりゃトラウマになると思います。 あと、メインの物語も真っ当なだけではなく、かなりの変化球な側面が。なんというか、ゲームで読む分には面白くても、それが我が身に降りかかってくると気づかないし恐ろしいよね、という。ここだけとてもファンタジー。 そしてラストがひどくもどかしい終わり方。後一歩進めばハッピールートに行けそうだけど、選択肢ミスるときっとバッドエンド行き。もしバッドエンドにいくと、かなりやるせないことになりそうなので見たくない。怖いもの見たさもあるけれどやっぱり見たくない。ハッピーが見たい見たい! こんな状態です。続きが出ますように。 なお、BLゲー描写が結構本格的なので、BL苦手な人は駄目かもしれません。自分は全然平気でした。良くも悪くも成長した。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 姫さま、恋愛禁止です! 花婿はお馬の王子 (響野 夏菜/B's-LOG文庫) 【amazon】 《あらすじ》 『好きな人と結ばれると死ぬ』という託宣を受けた王女アリーと、呪いで首から上が馬になった隣国の王子リオハルト。「愛のない結婚」をするはずだったワケありの二人は、出会った瞬間、恋に落ちてしまった!! 死ぬのは怖い。だけど一緒になりたいと覚悟したアリー。結婚式を終え、あとは運命の時を待つだけ……と思っていたら、なぜかリオハルトの呪いは解け、アリーも無事!? もしかして「結ばれる」の意味って“アレ”のこと!? にやにや必至! いちゃいちゃ禁止夫婦が贈る、超ラブコメ登場☆ 信頼度が最近ぐんぐん上がっている響野さんの新シリーズ。 甘々バカップルとツッコミのキレが素晴らしかったです。 「好きな人と結ばれたら死ぬ」運命の王女と、呪いのせいで馬の顔の王子が繰り広げる甘々ラブコメ。いやもう本当に甘かった。タイトルの通り、両思いなのに恋愛禁止な2人の話なんですが、王子のリオハルトがなかなかいい性格をしていて、全然イチャイチャを自重しないわ、こっそりイチャイチャを企てるわ。爪にキスだけでこんなにいやらしくなるなんて思いませんでした、これは直接的に迫るよりもいやらしい。アリーも翻弄されるだけじゃなく、なんだかんだでイチャイチャ楽しんでいるのがいいです。ほっとくとすぐ2人の世界を作り上げるのにニヤニヤ。お似合いの夫婦でした。 そしてイチャイチャにツッコミを入れてくれるラディムが輝いてました。いかにもお目付け役って感じで、すぐイチャつく2人の間に気合で割り込む、このイチャ→ツッコミのループが楽しい楽しい。このバカップルにツッコミ続けるのは見るからに精神をすり減らしそうで、おつかれさまですと声かけたくなりました。でも代わりはいないだろうので、末長く頑張ってください。 ストーリーは結構な力技でしたが、メインはイチャラブとツッコミなので、細かいことは気にしないことにして楽しみました。レヴィーナが良い友人なだけで満足。続きも多分出るでしょう、イチャイチャ増量が楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |
7月24日(日) |
コミケまで1ヶ月を切ってます。そんなわけでライトノベル作家さんサークルリストC80版です。支倉凍砂さん、鏡貴也さんといった大物が参戦。少女小説方面では榎木洋子さんの名前が。20周年記念本や再録本を出されるようです。 なお、今回はティアラ文庫、さらさ文庫の作家さんは含めないことにしました。ご了承ください。 |
7月23日(土) |
【最近読んだ本】 ◆ 柳生十兵衛秘剣考 (高井 忍/創元推理文庫) 【amazon】 《あらすじ》 女だてらに武の道を選んだ毛利玄達は、男装し諸国を巡っている。ある日琵琶湖を往き来する渡し舟の上で、無手勝流を名乗る“土佐の卜伝”なる人物と出会った。乗り合わせたほかの乗客にまで迷惑をかける武士を体よくあしらった卜伝に感銘を受けた玄達だが、昔から縁の深い柳生十兵衛曰く、その“卜伝”には裏がありそうで……。隻眼の剣豪・柳生十兵衛と毛利玄達が様々な流儀の達人たちの抱える“謎”を、華麗に解き明かしていく! 第二回ミステリーズ!新人賞受賞作家が贈る、傑作書き下ろし時代ミステリ四編。 twitterで評判見かけた、柳生十兵衛が主役のミステリ。男装の剣客がメインキャラと聞いて飛びついてみました。 謎も会話も小気味いいという言葉がぴったりで面白かったです。 読み始めてまず感じたのが、文章のテンポの良さ。状況や人物描写がハキハキと進んでいって読みやすかったです。自分の中での剣客小説のイメージがこんな感じ(普段読まないので実際は不明ですが)。 で、ちょっと進むと、柳生十兵衛と男装剣士の玄達のやりとりが楽しい。飄々としていて頭いい十兵衛と真面目な玄達がうまくかみあってました、玄達かわいい。真面目でお人好しで、からかいには打てば響く女剣士なんて、かわいいに決まってます。個人的にはこの2人が恋愛方向いったらどうなるのかも見てみたかったですが、サバサバ軽快なのが似合ってるので、恋愛は描かれないほうがいいんでしょうね。 また、ミステリとしてもなかなか、小粒でもぴりりと辛い謎が繋ぎ合わさっていました。一番面白かったのは2話の「水鏡」。雪の中に倒れた死体、一体いつ誰がどのように殺したのか、その謎がポンポンと分かって繋がっていく様がお見事。最初のトリックからして気づかなかったので、唸らされるばかりでした。 4話目のメイントリックあたりは珍しくすぐに気づけましたが、これは玄達の人物描写のおかげ(いつもある文章が4話だけなかった)。こうやって露骨な違和感を作りつつ、他にも謎を残しているのが上手いなと思いました。 解説によると、時代小説ファンにしか分からない仕掛けが一杯あるとのこと。それはさっぱりでしたが(謙信ネタくらい)、問題なく面白かったです。この作者さんの1作目も気になるので、機会あれば(積み減れば)読みたいです。 評価 ☆☆☆★(7) |
7月20日(水) |
【最近読んだ本】 ◆ ゴーストハント2 人形の檻 (小野 不由美/幽BOOKS) 【amazon】 《あらすじ》 瀟洒な洋館に住む一家を襲うポルターガイスト現象。騒々しい物音、移動する家具、火を噴くコンロ。頻発する怪しい出来事の正体は、地霊の仕業か、はたまた地縛霊か――。家族が疑心暗鬼に陥る中、依頼者の姪・礼美が語る「悪い魔女」とは? ナルとともにSPRの一員として屋敷に赴いた麻衣は、礼美と彼女が大切にしている人形との会話を耳にする。 超有名な少女小説ホラー、復刊リライト第2弾。 じわじわと面白さと怖さが増していく巻でした。 サブタイトルの通り、人形に宿った霊がポルターガイストを起こしていくお話。いやー、このシリーズは段階的に話を進めていくのが抜群に上手いですね。怪異の存在が分かって、少し解決に近づいたかと思ったら怪異の底知れなさが増して、と一歩進むと何か別のものが見えて、ぐんぐん話に引き込まれていきました。1巻も同じように引き込まれましたし、さすが名作。 で、底知れなさが増すにつれ、怖さもじわじわときました。瞬間的な怖さは1巻の方が怖かったんですが(おそらく少数派)、全体的には2巻の方が上。一番怖かったのは麻衣が危険に遭うところ。でも人形も怖かったです、前半は電車で読んでいたので、最初から自室だったら人形だったかも。 今回驚いたのは、1巻の面々の再登場。ゲストキャラだと思ってたので、普通にみんな出てきてびっくり(2人出てきた段階で残りも、は予想できましたが)。ワイワイした雰囲気のコミカルさが楽しいし、1巻ではなかった見せ場がある人もいて、再登場してよかったです。 そしてやっぱり綾子が好き。見栄っ張りでいい加減で駄目だけど、その駄目さが人間味あってかわいい。意外に乙女な一面が見れたのもよかったです、麻衣と友人っぽくなっていきそうで楽しみ。次は綾子の活躍も見たいです。 気になる麻衣の恋の行方は、進展はないものの気になることが色々と。麻衣の夢(?)に出てくるのは本物ではないんでしょうが、ただの夢でもなさそうでうーん。綾子が言ってる猫かぶりが本当だとすると、夢がナルの本当の姿? でも普段が作り物にはあまり見えませんし。二重人格?双子? ないない。真砂子との関係も分からないし、推測は諦めて大人しく続き読みます。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ FLESH & BLOOD8&9 (松岡 なつき/キャラ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 フェリペ2世の厳命を受け、海斗の拉致に成功したビセンテ。海斗からは激しく拒絶され、迷信深い水夫達には異端の目を向けられても、ビセンテは真摯に海斗を守り、一路スペインを目指す──。一方、海斗奪還のため、猛追跡を開始したジェフリー。けれど、生涯の親友と信じていたナイジェルから、衝撃の裏切りを告白されてしまう!! 危急存亡の時、二人の絆に決裂の危機が…!? 16世紀ヨーロッパへのタイムスリップBLファンタジー「FLESH & BLOOD」、スペイン編突入の8巻9巻を2冊まとめて。 なんで2冊まとめてかというと、うっかり9巻を先に読んだからです。いくら進行速度遅いシリーズとはいえ、9巻読みきっちゃうのはひどかった。記憶にない人物名や「あれ、これ知ってるんだっけ?」という箇所はいくつもあったんですけれど、自分の記憶力のせいだと思ってスルーしました。スルーしちゃ駄目でした……。 そんな失敗はありましたが、安定の面白さでした。ジェフリーと引き離されて1人になった海斗が話の中心なわけですが、海斗は相当しんどい状況ですよねこれ。気持ちが通じ合った最愛の人と速攻で引き離されただけではなく、敵地で時代も違っていて、一歩間違えれば死ぬ状況。こんな中で、ビゼンテの優しさを跳ね除けてジェフリーを想い、スペイン人たちを騙す嘘を演じあげる海斗は頑張ったなあと思います。1巻当時の姿はおぼろげですが、絶対成長してます。この海斗は応援したくなりました。 でも、これだけ頑張って嘘ついても、どこかで絶対ボロ出そうな予感がして常にヒヤヒヤ。9巻末の危険は多分乗り切れると思うんですが、その後に思いも寄らぬところからバレそう。フェリペ二世の何もかも見通しそうな視線が怖いです。ジェフリー来るまで頑張れ。 海斗以外で目立っていたのはビゼンテ。ビゼンテは海斗にどれだけ優しくしても、間違いなく振り向いてもらえないのが客観的には不憫ではあるんですが、ガツガツしてるせいか不憫にはあまり思えなかったり。でも、この先海斗をかばって貧乏くじ引くことになりそうなので、不憫好きとしては不憫化に期待で。 ジェフリー側は落ち着いて追いかける展開になるんだろうと思っていたら、9巻の最後で爆弾みたいな一言が。ジェフリーそれはいけない、そんなことしても誰も幸せにならない。とはいえ、ナイジェル幸せの道はいまだに見えないんですなあ、現代サイド繋がるのはいつなんだろう、と色々考えつつ次巻へ。今度は順番間違えません。 評価 ☆☆☆(6) |