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 8月28日(日)

9月の購入予定。今月買った分がかなり残っているので控えめ。


【最近読んだ本】

翼の帰る処3 ―歌われぬ約束―(上) (妹尾 ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)amazon

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《あらすじ》
望んでもいないのに四大貴族の一角“黒狼公”に出世してしまったヤエトだったが、その隠居願望と病弱さは変わらぬまま。どこで倒れたのか気がついたら、皇女のいる北嶺国で看病されている始末だった。そんな折、ヤエトは、前の“黒狼公”妃であった皇妹から「復縁」を提案される。激しく動揺するヤエトに追い打ちをかけるように、宿敵・北方蛮族の使節が北嶺国を突然訪れ、相互和平のために人質交換を要求し…。


下巻発売まで読むのを待っていた「翼の帰る処」3巻。忘れているところもあるので先週一杯使って、1巻2巻の再読込みで一気読みしました。再読して、ヤエトの性格や皇女との関係はやっぱり素晴らしいし、ファンタジー面も一気読みすると理解度高まって今後のワクワクが高まるし、と面白さを再確認。それ以外に新たに抱いた感想が、タルキン(厩舎の男の子)意地っ張りでかわいい。……最近、キャラの好みが歪みなくなってる気がします。

それはさておき3巻。帯の「復縁」の文字見て「復縁???」となってたので、そのシーンで衝撃を受けました。その発想がなさすぎて「復縁」から連想できませんでしたよ! 理を説かれるととても納得なんですが。いやー、皇妹こわい皇帝こわい。復縁してのヤエトを見てみたい気持ちも少しありますけど、そうなったときの各人、特にルーギンの心情を見たくないので、うまく断る理由が出てきてほしいです。
まあ、当面はそうなりそうにないですが。復縁問題が問題ラッシュでどんどん思考の脇に追いやられていくのが凄かったです。ヤエトさんが隠居からどんどん遠ざかっていく……。北方問題も相当に厄介で苦労が面白かったですが、それより最後の皇帝の恐ろしいこと! どう見ても詰んでて皇帝の思うとおりに動くしかないように見えるんですけど、どう進むんですかこれ早く続き! いやあと数日なら待てます。上巻積んでてよかった(待つのもそれはそれで楽しいですけど)。

他にも色々気になる中、一番はヤエトと皇女の関係。皇女のヤエトに対する感情、これどうなんでしょう。いないと不安寂しい、いてほしい、のは確かで、それ以上のものがあるのかどうか。曖昧なものはあるんじゃないかなと思いますが、そのまま形にはならないでほしいかなあ。今のまま、あるいはその延長線が一番しっくりくる関係だと思うのです。でもこんなこと言っといて、もし形になったら手のひらを返す可能性も高いです。主従はトキメキ、恋愛もトキメキ。

北方は思っていたよりも重要ポイントのようで。ジェイサルドを寄せ付けないのには驚きました。ア=ヴルスの子とかいかにもファンタジーらしくて面白い、結局どういう存在なんでしょう。セルクは「こいつは全く」とも相変わらず思わせてくれますが、北方ではうまくやるのでは。レイランドがいなければ平気そう。逆にレイランドがいる北嶺で何か起こってそうでこわい。賢さと男の子の部分が混じっていて好きなキャラなんですけどねレイランド。カラーイラスト見ると気持ち分かりますし。あらそんなに。

あとファルバーンが結構出張ってたのが印象的。冷静なファルバーンとヤエトのやりとりも好きですが、ファルバーンが出てると相対的にタルキンやスーリヤといった脇役勢の出番が減るので複雑。

預言者のその後やシロバやナオの問題、気になることはたっぷり。下巻楽しみです。どこかで「知るかボケ」が聞けるのを期待。ヤエトには似合わないけど聞きたい。


評価 ☆☆☆☆(8)



 
 8月19日(金)


【最近読んだ本】

銀二貫 (高田 郁/幻冬舎時代小説文庫)amazon

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《あらすじ》
大坂天満の寒天問屋、井川屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で消失した天満宮再建のために、工面した大金だった。引きとられた少年は松吉と改め、商人としての厳しい躾と生活に耐えていく。番頭善次郎、丁稚梅吉、評判の料理人嘉平とその愛娘真帆ら人情厚い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、その矢先またもや大火が大坂の町を焼き払い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。


時代小説好きの方々が推しているのを見て買っておいた、江戸時代の大坂が舞台の物語。

じっくり描かれる義理人情が胸に染みいりました。
殺されかけたところを、銀二貫で寒天商人に買われた少年松吉が主役の物語。いやー、これは素晴らしい義理人情でした。銀二貫という大金をポンと人助けに使う時点でなかなかの人情ですが、そこからはじまる物語を通して伝わってくる人情が素敵なんですよ。寄進予定の銀二貫が少年に消えてしまったということで、番頭の善次郎が事あるごとに松吉に辛くあたるんです。松吉がまた真面目な子で、責められて心を痛める様子に胸が苦しくなって。責める善次郎の気持ちは理解できるけれど、でもそこまで言わなくても、もういい加減許してあげても、と思える按配が絶妙。
で、その責めが長かったからこそ、善次郎の心が和らいだ瞬間が嬉しくて嬉しくて。お金と信心の大坂商人にも義理人情は通じるんだと感慨深かったです。その後も話進むにつれてどんどん温かみが増していって。安らかに松吉について語らう和助と善次郎がとても好き。
また、恋愛要素もよかったです。幼い頃はかわいらしく、再会後は会う機会は少なくても恋心が募っていくのが感じられて。苦しくも最後は心温まる恋愛模様でした。

この小説のもう1つ素晴らしいのが、寒天に関するディティール。解説によると調べこんで料理も実際に作って、というくらい力が入っているらしいです、それも納得の詳しさ。苦闘し挫折しながらも寒天を改良させていく過程が非情に丁寧で、ノンフィクション的な面白さがありました。糸寒天生み出すあたりの試行錯誤は読み応えたっぷり。
しかし寒天ってこんな食べ物だったんですね、調べたら現代でもほとんど変わらない製法のようで。あんみつが食べたくなったので今度買ってきます。

みをつくし料理帖も良い評判を見かけるので、そのうち読みたいです。


評価 ☆☆☆☆(8)



ゴーストハント4 死霊遊戯 (小野 不由美/幽BOOKS)amazon

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《あらすじ》
新聞やテレビを賑わす、緑陵高校の度重なる不可解な事件。マスコミは集団ヒステリーとして結論づける。生徒会長・安原の懇願を受け、SPR一行が向かった学校内には、様々な怪談が蔓延し、「ヲリキリさま」という占いが流行していた。数カ月前に起きた男子生徒の自殺と、一連の事件との関係とは? 調査が難航するなか、麻衣が不気味な夢を見る。「ゴーストハント」シリーズ第4弾。


小野不由美さんの少女小説学園ホラー、全7巻折り返しの第4巻。

麻衣のストレートな行動が気持ちよかったです。
前巻に続いて学園舞台。今回は教師たちがこれでもかというくらいに悪役でした。生徒たちを抑えつけ、言うことを全く信じない。結構見かける設定ではあるんですが、現実にいてもおかしくないリアルさがあって、腹立つことこの上なかったです。松山の徹底っぷりすごい。
この教師がいるから、生徒たちの諦めや暗い怒りもよく分かるし、コックリさんが広まったというのもとても納得。学園の雰囲気出すのが上手いと今回も思わされました。

そして、学校の暗さとは対照的な麻衣の真っ直ぐさが気持ちいい。麻衣の人のよさはこのシリーズの魅力の1つで、今回そこが特によかったです。非情なナルに対し思いをぶつける麻衣が好き。身の丈にあわない暴走キャラって好きじゃないんですけど、今回の麻衣は例外。麻衣を責めない皆のあったかさもいいですね、ぼーさんかっこいい。ぼーさんヒーローでもいいんじゃないかという気が少し。ナルはだんだん優しくなってますが、ナル側の気持ちが分からなくて焦れ焦れ。綾子はそろそろ遠慮せずに活躍してもいいんですよ?

あと、エピローグがだんだん賑やかになっていくのが楽しい。タカたちまでレギュラー化してますし、安原さんも多分レギュラー化するんですよね(ファンサイト少し見たら人気あるみたいですし)。どこまで増えるんでしょう。


評価 ☆☆☆★(7)