9月27日(火) |
【最近読んだ本】 ◆ アイドライジング! (広沢 サカキ/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 アイドライジング。それはアイドルたちが己の夢と希望を懸けて戦う、新時代の一大エンターテインメント! 各企業の科学技術の粋を集めて作られたバトルドレスをその身に纏い、美少女たちは華麗にステージを舞う──! 『さぁ始まりました! 今夜はなんと採れたてぴちぴち産地直送アイドルの登場です! 彼女の名前はアイザワ・モモ! とある事情で72万円が必要になり単身上京してきたばかりのモモちゃんは、ファッションモデルもびっくりな恵まれた体躯だけでなく、何より素朴で元気いっぱいな人柄を気に入られて急遽株式会社ミニテックスのアイドルになったそうです! そして彼女を支えるのは若手プロデューサーのオウダ・サイ! 果たして凸凹二人三脚でどのような戦いを見せてくれるのでしょうか!? そして襲い来る難敵に打ち勝つことができるのか──!』 評判よし&女の子主人公で気になって買っておいた、今年頭の電撃の新人さん。 いい話&百合で面白かったです。 アイドルたちが戦う「アイドライジング」に、田舎から出てきた女の子モモが参戦するお話。色んな要素が詰まっているんですが、一番気に入ったのはモモがアイドライジングを戦い抜いていくメインパート。毎試合工夫がある戦闘も面白かったし、戦う合間にマネージャーのサイとお互い不安や弱さをさらけ出して心を通じ合わせていく様子がとてもよかったです。特にサイのエピソードが心が暖かくなるいい話で好き。冒頭の使い方がずるいです、こういうの弱い。サイは裏主人公ですね。 で、前述したようにメインパート以外もおいしい要素が色々と。あとがきで「幕の内弁当」と評されているのがしっくりきました。主人公女の子なのにハーレム状態でやたらと百合百合していたり。女の子みんなかわいいです、モモとサイのコンビが一番ですが、タキのセクハラな攻めも楽しかった。百合以外では、オリンもいい脇キャラ。途中まではオリンパートだけ話が浮いてるなと思ってましたが、最後は違和感なく繋がったし、オリンとウダガワの凸凹もなかなかお似合い。オリンは憎めない(自称)ライバルの素質たっぷりなので、続編ではモモとオリンの戦いを見てみたいです。そういうわけで2巻もはやめに読みます。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 身代わり花嫁は竜に抱かれる くちづけで変わる未来 (香月 せりか/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 王子ルディークとの結婚式を控えたリデルは、生霊状態の双子の姉・ローディアとケンカしてしまう。さらに、ローディアを連れ戻しに来た魔術師から衝撃の事実を知らされて…!? 姉の代わりに嫁いだ少女と、幽霊状態のお姉ちゃんが活躍するファンタジー「身代わり花嫁は竜に抱かれる」完結編。 豪快で綺麗なラストでした。 ここまで2冊お姉ちゃん無双できて、この最終巻もお姉ちゃん大活躍。どう考えてもハッピーエンドにならなそうなところから、ハッピーに持っていく豪快さが素敵。こうも明るい未来が待っている綺麗なラストを見せつけられたら、超展開も許せちゃいます。シリアスな面も見せてくれましたが、やっぱりお姉ちゃんはリデルたちをつついてるのが似合ってます。 主役2人も、2巻で気持ちが通じあって、今回はキスシーンおいしかったです。最後で発覚したアレは予想してなくて、力技だなというよりも、あらあらまあまあな感想が先にきました。ルディークもやるときはやりますね。ラストはお幸せに! 脇役の中では一番目立ってたサキアスは……1巻のときにどうしてこれができなかった! 遅いんですよ! 今までがひどかったから応援する気があまり起きないというか。せいぜい振り回されればいいです。新登場の脇役さんは結局は便利キャラでしたが、ほどよく私欲あってほどよく愉快でいいキャラでした。 ここまでの香月さんの3シリーズどれも楽しめたし、次回作にも期待してます。 評価 ☆☆☆(6) |
9月23日(金) |
須賀しのぶさんのblogに流血女神伝リニューアルの情報が! 大好きなシリーズですし、少女小説にはまった大きなきっかけでもあるので、これは嬉しい。加筆もあるとのことで12月が楽しみ。 【最近読んだ本】 ◆ 戦塵外史 六 双帝興亡記 (花田 一三六/GA文庫) 【amazon】 《あらすじ》 今日も道化の声が都の大路に響く。曰く、「この世は、ただ一夜の夢」、と。 兄の名はヴァルキール。ガゼルーン帝国皇帝である。 妹の名はアイーシア。 自身の兄に、北の最果てに放逐された前皇帝である。 時にヴァルキール二十歳、アイーシア十八歳のことであった。 このままヴァルキールが天下を握ると思われたが、狩る者は常に狩られる者でもある。日々流転し紡がれていく運命の糸は、やがて二人のみならず、大陸全体を飲み込む巨大な潮流を形づくっていくのであった……。 響くのは楽しげな道化の囁き。 「よい夢を」 戦塵外史シリーズ、堂々の最終巻! 架空世界の歴史書を紐解く、という珍しい形式で綴られるファンタジー「戦塵外史」最終巻。 素晴らしい主従でした! ある帝国の動乱を異なる視点から描いた中篇が2編収録された最終巻。このうち、後半が素晴らしい主従物でした。北方に追われた少女皇帝アイーシアが帝位を取り戻すまでの道のりを、アイーシアと官吏の息子の少年ハルを中心に描いたお話。まず出会いが少年少女らしくてかわいらしく、「この2人はときめく!」と期待して読み始めて、その期待以上でした。 帝位を取り戻す話なのでメインは主従としての関係。アイーシアは凛としていて才気溢れていてかっこよく、ハルの機転ある活躍も光っていて、劣勢から盛り返していくのが読み応えありました。そして、その中に時折見える主従を超えた想いにキュンとなります。一度きりのお忍びや中庭でのささやかな一時がたまりません! 淡々とした文章なのにしっかりと想いが感じられるのがいいです。ハルが守るシーンが大好き。最後の匂い袋もおやばい。 これは主従好きな方にはとてもお勧め、6巻ですがこれ単体で問題なく読めますし。読書メーター見るまでアイーシアが2巻の登場人物だと気づかなかった自分が言うので間違いないです。(←ひどいけれどいつものこと) 後半が素晴らしすぎただけで、前半も終わるときに「あれもう終わっちゃうの寂しい」と思うくらいにはよかったです。中篇というよりは皇帝ヴァルキールを色々な視点から見た連作短編で、ヴァルキールの変わり様や人々の反応が面白い。ヴァルキールは見てて歯がゆいんですが、手ひどい裏切りのショックは理解できてやるせなくもなります。裏切られてからそういう境地に至るまでの心の動きが気になりましたが、歴史書形式なので見れない。それがもどかしくもあり、また想像するのが楽しくもあり。側にいた道化は何者で何を考えていたのか、最後まで分からないのが、ひどく印象に残りました。短編単体だとリーシェの話が元気あって好きです。 これでこのシリーズ終わりなのが残念。また花田さんを別の作品で見れますように。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ アルトレオの空賊姫 暁天の少女と世界の鍵 (神尾 アルミ/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 《あらすじ》 魔法と科学が交わり、人々が地上から離れて暮らす異世界。名前と生き別れた弟以外の記憶を失くしてしまった少女・イスカは、おたずね者の空賊団”アルトレオ”のお頭・ヤフェトに拾われ、行動をともにすることになる。ヤフェトと空賊団のメンバーたち、そして偶然助けることになった空軍の青年・ルヴェンとともに、少女は失われた記憶と隠された世界の秘密に迫っていく――。交錯する3人の運命が切なく胸に響く、空の恋愛ファンタジー。 「迷走×プラネット」などの神尾さんの新シリーズは、空が舞台のファンタジー。 少女と青年の純真さが眩しかったです。 記憶喪失の少女が空賊団と出会い、空をかけるお話。なだけではなくて、少女に謎が隠されていたり、その少女と心を閉ざした青年が触れ合っていったりと、盛りだくさんな物語。このうち、少女イスカと青年ルヴェンが触れ合っていく部分がとてもよかったです。閉じている心が言葉や涙で開いていったり、お互いを認める些細だけれど大事な約束を交わしたり。2人ともピュアだから、やりとりが微笑ましくて眩しくて、そこが好き。後半の展開なんか、かなりのベタではあるんですけれど、ルヴェンの必死さや叫びが心に響いてきて、この物語で一番気に入りました。 2人だけでなく、空賊団の面々も4人とも個性出ていてなかなか魅力的。イスカをすぐに受け入れるほどに無茶なお人好しではなく、でも結局はルヴェンも受け入れるくらいに情があるのがいいです。個人的にはビュインの子供っぽくて分かりやすいツンデレが好き、ルヴェンにも。でもこういうタイプって恋愛じゃ大抵脇役なんですよね……表紙とあらすじで負けてますし。ヤフェトの明るくて大人な魅力にドキドキするイスカもかわいいので、表紙の三角関係に期待することにします。 これまでの神尾さんのお話の中で一番シリーズ物らしく、恋愛以外も色々なものが語られないままなので、今度こそ続き出てほしいです。 評価 ☆☆☆★(7) |