トップに戻る

日記一覧に戻る



 
 12月31日(土)

2011年まとめ記事は年明け早々に。今読んでいる本が10選に入るかもしれないのです。確か去年も同じことを言ってた。


【最近読んだ本】

贅沢な身の上 いざ、ときめきの桃園へ! (我鳥 彩子/コバルト文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
皇帝・天綸が熱を出した。自分の平穏な後宮生活のため、皇帝の健康が大切な花蓮は秘かにお見舞いに行くが、そこで宰相・理央に縁談が来ていることを聞きつけた! 花蓮は淑女の園に潜入するが!?


実は今コバルトで1,2を争うくらい楽しみにしているシリーズ、妄想娘のむふむふが楽しい「贅沢な身の上」第3巻。

花蓮さん最高、今回も楽しかった!
3巻になってパワーダウンするどころか、横文字とかますます自重しなくなってきたなーと思うこのシリーズ。ゴーイングマイウェイな花蓮さんも相変わらずで、乙女の園に興奮するあたりなんか、活き活きしすぎで楽しい。一番インパクトあったのは「ときめきの壷」。ときめいて叫びたくなったときにロバの耳するためのアイテム。もう発想からしておかしいのに、一発ネタじゃないのがすごい。素でこんなものを持ち歩く花蓮さん素敵です。巻き込まれたくはないけど、遠くから眺めたい。鳴鳴ポジションも楽しそうではあるんですけど。

そんな花蓮さんも、少しずつ恋心が芽生えてきた様子? 見え見え看病作戦に引っかかっちゃう花蓮さんかわいい。めげずに押して押して頑張っている陛下を応援したい気持ちになってきました。でも寸止めの神様にももっと頑張ってほしい(=もっと続いてほしい)。

サブキャラの見所も多かったですね、中でもよかったのは最後の部下同士の対峙。それぞれの主人のこと好きすぎて仲悪い2人とかおいしすぎですよ! そのうちお互いを意識しださないかなーと妄想してむふむふしたり。対峙のイラストもよかった、鳴鳴かわいい。今回は花蓮さん妄想全開のイラストもはっちゃけていたり、目につくイラスト多かったです。

最後の方に謎の新キャラも出てきてまだまだ続きそう、楽しみです。


評価 ☆☆☆☆(8)



八朔の雪―みをつくし料理帖 (高田 郁/ハルキ文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!


料理人の女の子が主役の時代小説「みをつくし料理帖」シリーズの第1巻。高田さんの本を読むのは「銀二貫」以来2冊目です。

「銀二貫」と同じ空気が流れている、いいお話でした。
「銀二貫」でいいなと思ったのは、料理の工夫の面白さと、人々の義理人情。この作品でもその二つが柱となっていました、これが高田さんの作風なんですね。

料理面は、江戸のお客さんに合うように澪が試行錯誤するのが面白かったです。寒天描写には、銀二貫を思い出してニヤリとさせられたり。出汁の工夫も、ふむふむと感心しながら読みました。自分は自炊ほぼしない人間なんですが、それでもこういう料理の工夫は面白いですね、お客さんのためにという気持ちも伝わってきますし。

人情面は、1人になった人々が築いている絆が暖かい。澪も芳も種市も、血は繋がっていないけれど立派に家族。澪を支えたり、憤ったりする芳の姿見て暖かい気持ちになりました。あと、野江ちゃんとの絆もよかった。エピソードがそんなところに効いてくるとは思ってなかったので驚かされましたし、離れていても心は側にあるのが感じられてじんわり。手紙演出には基本的に弱いです。グーパンしたくなる明確な悪役がいるのは個人的にはマイナスなんですが、人情のプラスの方がずっと大きかったです。

小松原の謎など残っていますし(そのうち恋物語もある?)、ほっこりできる飽きないシリーズだと思うので続きも読んでいきます。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 12月30日(金)


【最近読んだ本】

帝国の娘(上)(下) (須賀 しのぶ/角川文庫)amazon

amazon amazon 
 
《あらすじ》
女神の僕たる神鳥リシク、その翼から生まれたテナリシカ大陸の西に位置する大帝国・ルトヴィア。辺鄙な山村で平凡に暮していた少女カリエは、ある日突然さらわれ、ある高貴な人の身代わりにされた。礼儀作法から武術まで、過酷な訓練の日々、冷徹な教育係エディアルド、宮廷をゆるがす謀略――カリエは持ち前の負けん気と行動力ですべてを乗り越えてゆく。ただひたすら、生きるために――魂ゆさぶる大河少女小説開幕!!


いわずとしれた名作少女小説「流血女神伝」の冒頭部分の加筆再修正版。女神伝は確かマリみての次に読んだ少女小説で、少女小説にはまっていくきっかけにもなった、思い出深い作品です。振り返ったらはじめて読んだのは9年前で、もうそんなになるのに驚きました、そうか10年か……。

で、久々に読んで、やっぱりカリエが好きだなあと。シリーズ冒頭だけあって少女小説色は若干強くて、そうかこの頃エドに結構ドキドキしてたんだっけと思ったりしつつ。でもカリエの根っこにある明るさとたくましさは直近の印象と変わらなくて、苦難にも負けないこのカリエらしさが大好きな気持ちを思い出しました。と同時に再読したくなりました、というか再読はじめました。

後編はミュカ。登場シーンのやんちゃっぷりに懐かしくなり、成長していくにつれて好きになり。カリエと向き合うシーンの格好良さは素晴らしいですよね、男だ。ミュカのこの後が描かれないなんてとんでもない。
加筆部分で印象深かったのはラクリゼの台詞。事情知ってると胸にきます。こんな台詞あったかなーとコバルト版見返したら加筆でした。

あとがき読むと続き出るかは不透明みたいですが、加筆なしでも全然構わないので続き出てほしいです。


評価 ☆☆☆☆★(9)



いわゆる天使の文化祭 (似鳥 鶏/創元推理文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
夏休みも終わりにさしかかった文化祭目前のある日、準備に熱の入る生徒たちが登校すると、目つきの悪いピンクのペンギンとも天使ともつかないイラストが描かれた、大量の貼り紙が目に飛び込んできた。部活にちなんだ様々な恰好の〈天使〉の貼り紙を不思議に思いつつも、手の込んだ悪戯かと気を抜いていた葉山君だったが──。波瀾万丈で事件に満ちた、コミカルな学園ミステリ・シリーズ第四弾。


恋する柳瀬さんがかわいい学園ミステリ、シリーズ第4弾は文化祭編。

柳瀬さんかわいかった! 葉山くんもかわいかった! 騙された!
どうも短文感想で言いたいことを言い尽くしてしまうこのシリーズ。まずは柳瀬さんの鉄板のかわいさ。いつもに比べると見所少なめだったものの、包容力→抱きつかれ狼狽のコンボだけで堪能できました。お調子じみた台詞の中の本音が毎回好き。正妻は柳瀬さん以外ありえないです、翠ちゃんもかわいいですけどこれは譲れない。

続いて葉山くんのかわいさ。今回、女性陣に対する反応がよかったです。柳瀬さんに対する男の子な反応や、他の女性陣にたじたじになる姿がかわいい。葉山くんはかっこよさとかわいさの中間にいるなと思っていたんですが、今回で一気にかわいさに転びました。

最後にミステリ部分。あれ伊神さんどうしたのなどと違和感を抱きつつも何も考えずに進み、二重三重のトラップにことごとく引っかかる。うん、ミステリ堪能しました。時間のずれと場所のずれのどちらかは気づきたかったですけど……。ミステリはこれまでで一番だったと思います。

まだまだ続くだろうこのシリーズ。そろそろ葉山くんが気持ちを自覚することに期待で。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 12月27日(火)

また間空いてしまいました。積みもどんどん増えているので、年末年始で気合入れて読む予定。流血女神伝の再読するの決めちゃったんですけどね。25冊……。


【最近読んだ本】

ひなひめ御指南! (御永 真幸/コバルト文庫)amazon

amazon 
 
《あらすじ》
頃は戦国乱世より百年余り、天下泰平の時代。水渡国の美形『目付』御々百合宗七郎と『ひなひめ』浜の甘えたドタバタ体力勝負!? な恋物語。大反響2010年ノベル大賞佳作受賞第1作が文庫化!


「無音の哀戀歌」でデビューされた御永さんの新刊は、デビュー作とはうってかわっての江戸風ラブコメ。

主役2人がかわいすぎる、これ大好きです!
天真爛漫でちょっと幼い浜姫と、御目付役の宗七郎によるラブコメディ。最近のラブコメ少女小説には珍しく、男性の宗七郎視点で話が進むんですが、これが素晴らしかった。御目付役なのに、開幕から姫様にベタ惚れなんですよ。でも本心を押し殺そうとする、こんなの楽しいにきまってます。気ままな姫様(もちろんかわいい)に振り回され、厳しく接しなくちゃいけないのに最後は甘くなったり。ドキドキ出来事を反芻してじたばたしたり。悶える心の声がかわいすぎますごちそうさまです。幼い頃の回想シーンもよかったー、好きになった過程がニヤニヤだし、夕焼けの描写も雰囲気あって好き。

姫と従者ということで当然身分差の問題が出てくるんですが、宗七郎が真面目で現実的な性格しているため、こういうかわいいお話にしてはシリアスなところも。でも、2人の周囲は暖かく。万寿も珠緒姫もいいなあ、2人のことを好きだっていうのが伝わってくるし、2人とも前向き。この前向きさが、作品の空気にとても合っているなあと。宗七郎の真摯さにも好感もてたし、楽しいだけでなく切なさも感じられる、よいお話でした。

デビュー作とは全然違う作風でしたが、個人的にはこちらの方が好み、もっとこの2人読みたい。短編載ってる雑誌注文してきます。


評価 ☆☆☆☆(8)