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 2月28日(火)



【最近読んだ本】

鳥籠の王女と教育係 恵みの環の花嫁 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
王の守護を失ったエリアルダと隣国が開戦! 再び守護を得るためには、ゼルイークが魔王となるしかないが、人の世に関われなくなる。恋人のエルレインと生きるため、ゼルイークは無謀な試みを!?


三角関係からはじまった魔法ファンタジー「鳥籠の王女と教育係」最終巻。

とてもよいエンドマークでした!
戦争が泥沼化してアレクセルがコイズで大変になるのかと思っていたら、そっちは割りとあっさり片がついて、レーンとゼルが中心。この2人がもう最後までほんと切なかった。魔王化という最後の障害が結構様相を変えて、その度に、相手だけじゃなく自分も幸せになりたいという気持ちが顔を覗かせる、その葛藤が辛い。苦しんできた2人だからこそ、そう思ってしまうのがよく分かるんですよね。おそらくハッピーエンドなのは分かってましたが、なかなか確定しないその道筋に、どうなるかハラハラでした。最後は帯にあるとおりですね。甘いシーンでも言葉の応酬があるのがとても楽しい2人でした、お幸せに!

このシリーズで最後まで好きだったのが、人が集まったときの雰囲気。レーンとゼルだけじゃなく、リオがいて、アレクセルがいて、時々はゲルダやジーニーなんかもいて楽しそう、そんな空気が最後まで崩れなかったのがよかったなと思います。結婚式がその最たるものでした、アレクセルの不意打ちが小気味いいし、とみんなの祝福の暖かさにジンときました。
アレクセルとリオも納得いく形でまとまってよかった、リオは最後に意外な強さを見せてくれましたが、この竹の割り方はリオらしいかな。

綺麗に終わった中、唯一気になったのが魔王化したゼルの行末。記述的には分裂した側にも自我は残ってそうなんですよね。だとするとどんなことになっているのか。あとヴィエンカ的にこの結末は満足できたのかも。その辺ってダナーク読み返すと少しは分かったりするんですかね? とりあえず記憶が薄れる前にダナークは再読しようかと思ってます。

このシリーズ、三角関係が終わった時点で一旦ピークがきて、そのまましぼむのかとも少し思ったんですが、そこからまた面白くなって、こんな綺麗な終わりを見せてくれるとは望外でした。最後まで読んでよかったです、響野さんの次の作品も楽しみにしています。その前にブログの方で完結記念企画が発表されてますね、短編に設定資料に楽しみ。

評価 ☆☆☆☆★(9)



 
 2月25日(土)


<最近読んだ本>

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夢の宮 〜竜のみた夢〜 (今野 緒雪/コバルト文庫)amazon

今野さんのデビュー作の新装版。夢の宮はかなり昔に2〜3冊読んでいて久々です。

久々なのでどんなシリーズか忘れてましたが、お告げに対して色んな向き合い方をする人々がメイン、の話でしょうか。表題作の方は、兄様ひどいというのが第一印象。ずっと甘えてきた瑛蘭にも責任は多少ありますけれど、本物のお告げを前日に伝えて、向き合う時間を与えないってのは無駄に容赦ないですよ……。瑛蘭は不憫だし、あの場で逃げたのは仕方なくも思えました。その後は逃げすぎな面もありましたけど、辿った運命は切ないなあ。最後のサブタイトルの「双竜」は意味深。2人の竜、となると、過去作の中に彼女のお話がありそうな気がします。
「眠りの妃」の方は素直にいい話だなと思えました。王様は訳分からないお告げを相手に家族のために尽くしたと思えるし、芙蓉の一途さもよかった。特に芙蓉が真相を知った後の行動が好きです、重たい過去を吹き飛ばすくらいに朗らかで純粋な愛情が素敵。いい王子様でした。
夢の宮は旧版で何冊か積んでるので、そちらも余裕できたら読みたいです。

評価 ☆☆☆★(7)

アイリスの剣2 (小田 マキ/レジーナブックス)amazon

男装の騎士が貴族令嬢に戻って、正体を隠して上官へと嫁ぐ、というとてもおいしい設定の「アイリスの剣」第2巻。

な、なんてもったいない!!! この設定で一番おいしい場面といったらなんといっても正体バレなわけです。どれだけ焦らして、衝撃的に知ることになるのか楽しみだったんです。それが、記憶の覗き見で気づいてしまうなんて、あっさりすぎてしょんぼりでした。シェブランカの発覚の仕方はよかったのに、こっちはどうして。
でも、正体ばれて帰還した後の一幕が、隊員たちからフォーサイスもブルーデンスも慕われてるなというのが伝わってくるし、フォーサイスの独占欲にも呆れつつニヤニヤできて、いいシーンでした。ヒラルダはもう少し労わられてもいい。ブルーデンスはよかったねよかったね。

ただ、最大のポイントが終わってしまって、この先これ以上に盛り上がるかどうかがとても気がかり。ヒラルダの不調は気になるんですけど、親達の野望や世界の行方は全然興味持てないんですよね。といっても、主役のイチャイチャとファティマ&チェイスの脇カップルが見れれば満足できそうなので(そしてイチャイチャはあるに決まっている)、3巻も楽しみに待ちます。

評価 ☆☆☆(6)



 
 2月20日(月)



【最近読んだ本】

夜の写本師 (乾石 智子/東京創元社)amazon

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《あらすじ》
月石、黒曜石、真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親が目の前で殺されたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。敵をうつべく、カリュドウは〈夜の写本師〉としての修行をつむが……。運命に翻弄される人々の姿を壮大なスケールで描く、日本ファンタジーの新星登場!


Twitterに流れてきた感想を見て気になった、国産の本格ファンタジー。

描写の細やかさが素敵なお話でした。
育ての親の魔道師を殺された少年が、復讐を志して魔道師に、やがては写本師に師事していく物語。読み始めてすぐに「ああこれは本格ファンタジー」と分かる文章で、その文章による描写が一番気に入ったポイント。街や情景の描写が詳細で世界観がしっかり作られていて、街を見て世界を知っていくだけで読み応えありました。特に魔法は、呪術系のものが複数あるのが物珍しい上に、写本師というのも目新しくて、仔細を読むのが面白かったです。呪術の怖さが目の当たりとなり、写本の道へと入っていくあたりで一気に惹きこまれました。

復讐からはじまる物語は、過去の悲劇がつらなって今へと還っていく構造がなかなかに面白かったし、悲劇1つ1つの残酷さも切なかったです。ただ、どこかピースがはまらない印象も受けました。傑作になりそうで、そうでないもどかしさというか。
多分、過去のウェイトが大きすぎたのが一番の原因かなと思います。あちこちに飛んで分断されている感がありましたし、個人的に過去入る前あたりの雰囲気が好きだったのですよね。もう少し今を中心に物語に浸りたかったというのが大きかったです。

とはいえ、十分に面白かったので、また他の作品が出たら読んでみたいです。

評価 ☆☆☆★(7)



 
 2月18日(土)

あれ今月1冊も感想書いてない……。「she&sea」のメールいただいた後、「更新再開されたら花術師読むんだった」と思い出してですね。以下略。
やっと3章読み終わったところですが、なんで男性陣みんなこんなかっこいいんですか!セフォーとの危うい関係だけじゃなく、フェイもジャヴもおやばい。男性陣以外も、シアはかわいいし、リスカの内面も時々愉快だしで、これまで読んだ中でも有数の表情ブレイカーです。電車内で何度表情崩れそうになったか。それでシリアス部分も面白いんだから更新止まるのも仕方ない。言葉の難しさ大切さを感じさせてくれるお話です。
そろそろ読み終わるので、そうしたらまた読書モードに戻ります。今度こそ戻る。


<最近読んだ本>

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鳥籠の王女と教育係 魔王の遺産 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

クライマックス間近の鳥籠シリーズ。

前巻で最大の山場を越えてどうなるのかと思っていたら、人間界の火種でしたか。ダナークへと続く以上、こういう日がくるのは必然なんですよね、うっかりしてました。しかしこの展開、魔法がなくなっていく流れがはっきり感じられて寂しくて、魔法と大切につきあっているこの世界が好きだったんだなーと気づかされました。
そして、ゼルイークに襲い掛かる運命もなかなかに辛いものが。最近のラブラブな2人の関係見ているの好きだったし、ようやく幸せになれそうなところでかなり絶望的な引き裂かれ方なのが辛い。無茶な行動ってあんまり好きじゃないんですけど、今回のレーンの無茶は納得できました。完全なハッピーエンドにここからどう進むのか、最終巻もすぐに。

評価 ☆☆☆★(7)

ショコラの錬金術師2 ミルク色の秘薬 (高見 雛/コバルト文庫)amazon

女の子の友情がかわいいファンタジー「ショコラの錬金術師」第2巻。

今回もラブ薄めかと思っていたら、意外と恋愛方面が進んだのがおいしかったです。恋したイルゼがかわいかった、自覚するあたりがとても乙女。でもメインはまだガールズトーク、恋話がかわいらしくてよかったです。アニカが恋をするとしたらクラウス、なのかなあ。アニカ→クラウスのイメージがあまり沸かないのですが。
お話部分はフランカが分かりやすくて物足りない面もあったので、続きではお兄ちゃんあたりが何かを見せてくれるといいです。

評価 ☆☆☆(6)