4月30日(月) |
<最近読んだ本> ◆ 英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け! (久賀 理世/コバルト文庫) 【amazon】 twitterで評判なので買ってみた、今年のコバルト作品。 この男装はいい男装! 男装して新聞記者になった貴族の女の子が、実は自分の婚約者な男性と色んな事件に関わるお話。これはいいコンビでした、セシルは正体を隠そうとドキドキしているんだけれど相手にはバレバレというシチュエーションがとてもおいしい。ジュリアンも変な迫り方じゃなく、セシルの性格を気に入って紳士で好感もてて、セシルが自然に意識するようになっているのにニヤニヤ。秘めている(そして恋する)男装はもちろんいいものですけど、秘めれてない男装もいいものです。 半分1話完結でミステリー仕立てのお話も面白かったです。特に死んだお父様の秘密を探る事件は驚きもドキドキもあってよかった、お父様かっこいい。ちなみにこの作品、ミステリーに加えて、主人公の積極性や想像力のたくましさという点から、「コラリー&フェリックス」を連想させられました(あれよりヒーロー性格ねじまがってないですけど)。 正体バレのカウントダウンもいいですね、そこまではこの関係が続くと分かって嬉しいし、バレたときどうなるかの想像が楽しい。その頃にはジュリアンのこと好きになって結婚壊そうと動いてそう。カウントダウン0が楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 騙王 (秋目 人/メディアワークス文庫) 【amazon】 「乙女ゲーの攻略対象に〜」の作者さんのデビュー作。2巻が出る前に読んでおこうと思って着手。 血が繋がってないために王になれる見込み0の第二王子フィッツラルドが、実力と知恵と話術で王を目指す物語。こういう知恵で道を切り開く系って好きですし、王子の不敵な性格と人間らしさが時々ちらりと表れる按配もよくて、面白かったです。人を騙して進んでいくので多少モヤっとするところもあるんですが、基本的には策が決まる小気味よさの方が前面に出ていました。 純粋なルーが騙されるところはさすがに心痛みましたけどね。かわいい男装娘になんてことを、という怒りが。こうなったからには知らないまま生涯を全うしてほしいです。リズは知ることになるんでしょうけど、そのときどう反応するんでしょう。 ストーリーで印象に残ったのは後継者争い。フィッツラルドの国だけじゃなく、どこもかしこも問題起きまくり。戦乱の世での血やら情やらは、傍から見ると難儀ですねえ。ジグラノの忠誠はかっこよかったですけど、こういう報われなさはどういうお話でもやるせなく感じます。 乙女ゲーの続きが第一ですが、こちらの続きもあれば読みたいです。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 魔道士の研究日誌 精霊はハチミツがお好き? (かい とーこ/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 web小説出身のかいとーこさんの今月発売の新シリーズ。帯を見たら「応募者全員サービス小冊子」とあったので、早めに読んでおくことに。 超絶にお子様で天然な魔工技師リゼットの元に、研究所の男性二人が勧誘にくるお話。かいさんのお話は相変わらずキャラが変わっていて楽しいです。大きな柱のストーリーはなくて日常中心で、それでも十分楽しめるくらいのキャラの濃さ。目立っていたのはリゼットですね、知識やら金銭感覚やらはちゃんと備えているのに、恋愛や生活環境には完全に無頓着なアンバランスな子で、男性陣との会話が笑えて楽しい。内面描写の文章がちょっと癖ある気がしますが、この身も蓋もない直球さ加減は好き。このお子様だと恋愛は遠いんだろうと思っていたら、意外と恋愛感情の芽生えがあったのもニヤリとできてよかったです。エヴァルは作品外だとタラシな気もしますが、作中では面倒見いいしちゃんとした男性でした。 他の登場人物だと、馬鹿王子が責任感ない王族で結構イラっとさせられましたが、登場人物たちが厳しく接してくれるおかげでそこまで気にならずに済みました。 そして、前作に引き続きなかなかの不憫が今回もいました。ラフェスの不憫は作中でも結構強調されていて、別キャラに同情されちゃうくらいなんですけど、気持ちを想像するともっと不憫。ずっと好きだった人にこの仕打ちは辛い。思うに、ラフェスは戦略間違えたんですよね。待っちゃ駄目だった、生前に父親陥落して誘導させとかないと駄目だった、多分もう詰んでる。子供(?)できてよかったと思うしかない。 続きはあってもおかしくなさそう。リゼットのこの先読みたいし、魔道都の続きもどんどん出てほしい。あと、かいさん作品これだけ楽しんでるからには、詐騎士も読まないとということで詐騎士も注文しました。これも楽しみ。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月26日(木) |
また多忙とオンノベでした。ようやく読書ペースが戻ってきました。 <最近読んだ本> ◆ 花術師 (糸森 環/双葉社) 【amazon】 2月3月あたりに大いにはまっていたオンライン小説の書籍化。はまった直後での書籍化で、発売楽しみにしていました。 ニヤニヤ分たっぷりだしやっぱり面白い! 花を媒介に魔法を使う「花術師」の少女が「剣術師」の青年に出会うところからはじまる物語。自分がこの物語のどこが好きなのか考えてみると、一番は主役のリスカの性格なんだと思います。花術師が見下されがちなこともあって基本は後ろ向きな子なんですけど、それだけじゃ全然ない個性の強さ。ちゃっかりした現金さもあれば、内面では愉快なことを考えていたりしますし、狼狽したときは思考があわあわするのが楽しかったりも。こういう内面描写ってツボです、内面描写での口癖の「うむ。」とか大好き。あとは魔術師らしい理詰めの饒舌さもあったり、真っ当で真面目なようで結構駄目な子でもあったり。色んな面を見せてくれます。 そんな子なので、誰かと向かい合ったときのやりとり、反応がどれも楽しいのです。特にセフォーが登場してからの1章のニヤニヤ加減はなかなかにきました、webで読んだときよりも破壊力ありました。言葉足らなすぎで尖りすぎ、でも甘さもたっぷりなセフォーにうろたえるリスカにニヤニヤ。 2章以降はとある事件に巻き込まれていく1つの中篇。ここの前半部分は花術師の中で一番苦手なところ、リスカにもどかしさを感じるのと、悪意の攻撃が激しいのがしんどい。改めて読んでフェイってこんなにひどかったんだと驚きました。小鳥さん>>>>>自分とはいえ、よくリスカは流せたなと。フェイとリスカのペアも好きだからいいんですけど。フェイは難儀だけど自業自得感もあるよなあ。 後半はやるせなさが印象深いです、色んなやるせなさが詰まってて、どれも胸に残る。純真さゆえ、というのが切ないです。そして一番のお気に入りキャラのジャヴ。ジャヴは真っ直ぐさと意地悪さの同居がいいと思うのです、復活前もいいけど、なんといっても復活後。ジャヴの大好きなところはこの先なので、是非とも続きも刊行されてほしいです。 そうだ、忘れちゃいけないのが小鳥さん。名無しの小鳥なのに主役クラスに活躍する健気な小鳥さんかわいいです、初読時は随分癒されました。小鳥さんはこの本の直後の短編が素晴らしいので、本から入った人は是非webで読むといいです。多分続刊が出たとしても短編は入らないでしょうし。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 押しかけ絵術師と公爵家の秘密 (斉藤 百伽/ルルル文庫) 【amazon】 発売当時は全くのノーマークで、まろんさんの「この少女小説がすごい!」で興味をもった、去年のルルルの新人さん作品。 絵術師の設定がうまく活かされていて面白かったです。「絵を描くと実体化する」という基本設定は単純なんですけど、召喚という一工夫がきいていたし、想いという要素があるおかげで設定がストーリーにしっかり絡んでいて楽しめました。 主役のエステルがとてもかわいらしかったのもよかったところ、前向きで頑張り屋で夢を目指す姿は気持ちよくてお話もテンポよくしてくれて、でも肩肘はって不安を抱いたり普通の女の子らしさもあって、少女小説のお手本みたいな主人公だなと感じました。もちろん恋する姿もかわいかったです、ヒーローの俺様直球への反応が初々しくていい。 展開は新人さんらしく荒削りなところもありましたけれど、安心して読める面白さで満足でした。今月新刊が出ているので、そちらも買ってみます。 評価 ☆☆☆★(7) |