4月28日(日) |
<最近読んだ本> ◆ 八百万の神に問う1 春 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 待望の多崎さんの新シリーズ。先月出たアンソロジーに載っていた前日譚が実にワクワクさせてくれるものだったので、こりゃ面白いだろうと楽しみにしていました。 期待通りの面白さでした! 争う心を持たない者のみが住まうことができる「楽土」が舞台、ちょっとしたいざこざが起こった時には調停役の「音導師」が言葉で諍いをおさめる、という設定のお話。1巻はこの舞台と人物紹介が中心でしたが、舞台描写が素晴らしかったです。韻を踏んだ書き出しからはじまる綺麗な文章で、どういう世界かがとても分かりやすく、スッと物語に入り込めました。おまけに面白い世界観なので読む手が進みます。音字とか萌えます。 物語はどういう話か表現しづらいんですが、しっかりとしつつも愉快で笑えて、ちょっとじんわりといった感じでしょうか。一つ言えることは、シン音導師のキャラクターがいいですね。伝説とグータラで悪ぶった実態のギャップが楽しい。サヨが意外とシンに対して強気で、そのやりとりも良かったです。 音導師による音討議の描写も見どころ。言葉での調停・戦いなんですけども、あれよあれよと解決に導くシン音導師の語り口が、軽妙で痛快。そして語りきった後の、「以上、八百万の神に問う」の決め台詞がなんとも気持ちいい。決め台詞っていいなと思わせてくれました。 伏線を色々張っている様子があって、これからどうなるのかワクワク。前作の「夢の上」と比べると派手さはないですけど、お勧めです。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 小説家の作り方 (野崎 まど/メディアワークス文庫) 【amazon】 ラストのひっくり返しと後味の悪さに定評があるミステリ作家、野崎さんの4作目。昨年評判になった「2」を読むために読み進めてます。 これまで読んだ野崎さん作品で一番完成度が高い物語でした。2作目3作目はストーリーにはまり惹きこまれなかったり、ネタが分かりやすかったりでそこまで楽しめなかったんですが、これはストーリー、トリックともに良かったです。 まず「この世で一番面白い小説のアイデアを 小説の書き方を教えてほしい」という掴みが面白いし、小説講義の日々は女の子との青春要素も混ざっていて、どうなるんだろう野崎さんだからこのまま行くわけもないし、と気になってスイスイ読めました。野崎さんはこういう青春が合っているのかも。 で、やっぱり後半になると動き出すわけで。今回のトリックは、後で振り返ると自然に思えるけど、読んでる間は違和感ありつつも見抜けない、というちょうどいい按配で楽しめました。最初の喋りの間を、そういう子なんだと受け入れさせる流れとか上手いですよねえ。途中の伏線も、茶水を追い返したのは分かってたけども、そういう理由だったとはなあ。やられたやられた。 ラストの爆弾は「面白い小説」自体はそうくると思ってましたけども、過去に一度書き済みってのが予想外でした。主人公が崩壊しなかっただけ平和なラストだと思います。ネタはアムリタに近いものがありましたけども、何か繋がりあるんですかね。 さて後1冊で「2」に到達。楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月25日(木) |
びっくりするほど放置してました。概ねうたプリmusicが悪い。麻薬ですこいつ、「後1回」が止まらない。今はPROを半分くらいS出したところです。さすがにそろそろ限界がきたので今度こそ手を引く予定。☆9以上は人外。 <最近読んだ本> ◆ アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う 英国パラソル奇譚 (ゲイル・キャリガー/ハヤカワ文庫FT) 【amazon】 少女小説読みを中心に昨年話題になっていたハヤカワの近代ファンタジー。積んではあったものの、分厚い&カバーが合わないを理由に手が伸びなかったんですが、ハヤカワ用のカバーを調達したのでようやく読むことに。 こんなに甘いなんて知らなかった! スチームパンクでバトルもありということでラブは薄めだと思ってたんです。少女小説読みに話題になってた時点で察しろと今になっては思いますが、基本的に積んでいた本を手にとるときは「評判よかった」以外のことは忘れ去ってます。 で、読み始めてみると、アレクシアとマコン卿の間に表面的には険悪ながらも意識し合っている様子が見受けられて、これはニヤニヤできる代物なんだと気づき。どう進展するのかと読み進めたら、いきなりキスですよ。しかも本気なキス。不意打ちすぎて叫びました、アレクシアも応えちゃいますし。ロマンスを見くびってた。この先もっと濃密なシーンもありましたが、このキスが一番印象強かったです。マコン卿は攻めるシーン以外では基本飼い慣らされるんでしょうねこの先。 決してロマンスだけが売りな話ではなく、タイトル通りのアレクシアの活躍ストーリーもよかったです、反異界族などの設定を絡めた展開が面白い。あとは溢れる行動力と自宅での微妙な立ち位置のバランスがいいなと思いました、執事のフルーテとの関係が結構好きです。 そして終盤は女王との対面、世界の広がりにワクワク。名前だけ出てきている将軍や宰相とアレクシアがどう渡り合うのか気になる気になる。これ1巻よりも2巻の方がきっと面白いと思わせてくれました。1巻のサブキャラクターたちは個性豊かな割にあまりピンとこなかったんですが、将軍&宰相は楽しみ。2巻も読みます。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 身代わり伯爵の求婚 (清家 未森/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 週1ペースで読み進めている身代わり伯爵シリーズ、シアラン編に突入して2冊目まで読みました。 あっまーい! リヒャルトが本気になったらそりゃ甘くなって当然なんですけど、ミレーユの反応がですね。リヒャルトの行動にじったんばったんしてフギャーと叫んでるのが、甘くて楽しすぎる。こういう狼狽え系の反応大好きなんですごちそうさまです。 リヒャルトがようやくミレーユのことを理解し始めて素直になってきたので、今度はミレーユが時々暴走しすぎに見えてきました。危ないことしないように釘刺された直後に突っ走るのはなかなか凄い。これはリヒャルトが何しても止められないですね、今までミレーユへの理解度足りないとか言ってすいませんでした。 この巻は最後の団長との戦いもよかったです、この似たもの同士楽しい、団長の勘違い発覚楽しい。シリアス展開も嫌いじゃないですけど、こういう愉快なシーンの方が好きですね。 最後の方で色々と動き出した感じ。キリルは今のところは思い通じてない残念な香りがしますが合ってるのかどうか。大公がきな臭いのでフレッドは1回危機に陥りそうな感じですが、はてさて。このまま週1ペースでどんどん読んでいきます。 評価 ☆☆☆☆(8) |