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日記一覧に戻る



 
 4月7日(日)


<最近読んだ本>

楽園のとなり (河上 朔/レガロシリーズ)amazon
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「wonder wonderful」の河上さんの作品。発売日に購入していたんですが、前半を読んで一部キャラの行動に引っかかりを覚えてしまい、「期待値高すぎたかもしれないので寝かそう」と思い置いてありました。で、そろそろ読もうと引張り出してきた次第。

「wonder wonderful」の作者さんだなあと思える、心暖まるお話でした。騎士団入りを目指すも不運でなかなか成就しないカンナが、行き倒れた謎の少年シンクを拾うところからはじまる物語。このカンナの不運が「どうしてそんなに」と思えるくらいになかなか理不尽なもので心苦しくなり、おまけに拾ったシンクは拒絶的な態度なのでさらに読み進めるのが辛くなり。シンクに対してイライラした気持ちを抱いたりしてしまったので、一旦置くことにしました。再読時は当時よりはシンクのこと受けいられるようになっていましたが、カンナの描写が心苦しいのは変わらず。

でも最後まで読むと、このあたりの描写があったからこそ最後の暖かさがあるんだと分かります。再三の拒絶・諦めを経てのシンクの心変わりは、心に届いたのだと分かってじんわり。支えが足りないと泣くカンナにグッときて、そこからの流れはすんなりと心に落ちてきました。
そして、カンナがシンクに示した「証明」は、ザンザック達の前でのものよりもずっと素敵なもので。カンナらしい素直なメッセージが最も心に届くだろう形で贈られて、これにはシンクもグッとくるのも頷けました。シンクのことも、諦めずに想いを届けたカンナのことも、両者を祝福したくなるラストでした。

ラキもサシャも団長も優しくて、それはカンナがカンナだから周囲もそうあるんだと分かる、暖かな人間関係。読んでよかったです。サイトの方で進んでいるwonder wonderful小話まとめも楽しみです。

評価 ☆☆☆☆(8)



身代わり伯爵の脱走 (清家 未森/角川ビーンズ文庫)amazon
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言わずと知れた有名シリーズの第5巻。最後に読んだのは数年前、進展の遅さに何となく手が止まってそれっきりになっていたんですが、少女小説オフ会での好評っぷりを聞いたりして再度気になってきたので手を出してみました。

やっぱりこのシリーズ焦れったいな! 改めて1巻から再読してきたんですが、このミレーユの回避力は凄いですね。リヒャルトの押しの弱さと合わさって焦れったさが半端ない。とはいえ、何年かたってこの焦れ焦れも楽しめるようになったみたいです。ミレーユの怯えも大分見えてきましたしね。
そんなリヒャルトが去って、ミレーユが追いかけてな展開ですが、これはミレーユが無茶することを理解できてないリヒャルトさんが全面的に悪い。目の届く範囲にミレーユがいても制御できないっていうのに。約束はちゃんと二人とも覚えてるっていうのに。もうどんどんミレーユは突っ走ってリヒャルトに心配かけていいです。

脇役ではフレッドとセシリアの2人が好きです。過去感想でも同じこと書いてて、ここは揺らがない私。だってセシリア様かわいいに決まってますよね。リヒャルトとの別れの素直さもよくて、でもフレッドの別れのときが一番好きです。フレッドの方はジークへのマジギレも面白かった。

ここからシアラン編本格化ということで、ヒースがいい立ち位置になりそう。リヒャルトを動揺させて押させてくれるといいんですが。長いシリーズなので続きもハイペースで読んでいこうと思います。

評価 ☆☆☆★(7)



影の王の婚姻 (天海 りく/ビーズログ文庫)amazon
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今年のビーズログの新人さん。ヒーローがワンコ系と聞いて回避してたんですけども、ヒロインがしっかりしてると聞いて、それならと読んでみました。(応募キャンペーンのために必要というのもありました)

内政を取り仕切っている皇女の下に無能で優男な王族が婿として嫁いできて、というお話。この主役夫婦の関係がなかなかよかったです。国と家族のために1人で戦っていて孤独なフィグネリアと、いつの間にか懐に入り込んでいるクロード、2人の性格がちょうど噛みあっていて、苦手なワンコ系ヒーローでもこれは全然あり。特にフィグネリアがクロードのことを好きになってからがよかったです、互いのことを想う気持ちに暖かみがあって、それでいてしっかりと甘くてニヤニヤできました。

あとは家族仲の描写が好きです、兄夫婦も妹夫婦もフィグネリアのこと大好きでほんわかしました。特に兄嫁と妹と3人でのシーンが好き。
兄王夫妻がありえないくらい脳筋だったりといったマイナス面で目につくところもあるんですけれど、キャラの関係をメインに楽しんだのでさほど気になりませんでした。次回作は別シリーズだと思われますがチェックしてみます。

評価 ☆☆☆★(7)



 
 4月3日(水)


<最近読んだ本>

幽谷町の気まぐれな雷獣2 (森崎 緩/レガロシリーズ)amazon
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1巻で至高の幼馴染を見せてくれた現代ハートフルあやかしストーリー「幽谷町の気まぐれな雷獣」第2巻。

1巻よりも青春方向に話がシフトしていて、望外のいい話が読めました。4妖怪+1人の前に、栄永ちゃんの先祖に会いに妖怪がやってきて――というストーリー。基本的には妖怪に驚きつつも過ごす夏休みがほのぼの楽しくて、でも人型ではない妖怪、しかも100年以上前ということで、妖怪と人間の違いというのを意識させられるようなところも。そんな中で、妖怪高校生たちの心が成長していく様がよかったです。特に栄永ちゃんは、冒頭では恋に恋していた印象があったのに、終わりの方では地に足が着いていてえらく印象が変わりました。妖怪である自身を受け入れて、この1巻でグンといい女の子になったなと思います。これならきっと辰巳さんを落とせる。

主役2人については、妖怪と人間の差なんてとっくに乗り越えちゃってるので相変わらずニヤニヤさせてくれました。冒頭のクラスでの2人の仲良しっぷりだけでお腹一杯になりそうなくらい。大地は周りに指摘されるくらいの余裕のなさがかわいいし、萩子の気持ちも育ってきていて「大地がプレゼント」なんて言っちゃうし、あーもう2人ともかわいい! 至高の幼馴染という評価に変わりなしです。

問題は綺麗に解決してますけど、まだ脚光が当たったら面白そうなメンバーもいますし、妖怪町の存続の危機みたいな展開もありえますし、何より主役2人の甘さをもっと読みたいので3巻も出るといいです。

評価 ☆☆☆☆(8)



イスカリオテ3 (三田 誠/電撃文庫)amazon
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1巻がかなりのツボだったので読み進めている、シリアスな異能アクション「イスカリオテ」第3巻。

このシリーズ、どの巻も盛り上がるところでの盛り上がりが素晴らしいなあと思います。宗教的な中二病設定で雰囲気を作っておいて、「偽者」の主人公とその側で戦う少女2人の想いをぶつけて畳み掛けてくる。この3巻ではイザヤが英雄を知る場面、ノウェムと玻璃について語るイザヤに心震えました。蒼馬のイザヤへの反発も理解できる中、ギリギリのピンチでこんなこと語られたら燃えるにきまってる。

もちろんヒロインたちがかわいいのもポイント、特に芽生えてきた恋心に狼狽るノウェムかわいいです。玻璃も玻璃の中の人格も魅力的なんですけど、ノウェムがずるい。

最後の方にどんどん出てきた新事実もいい感じ、どういうことだか分かりませんよ? とはいえどう転んでも皆がギリギリまで追い詰められていくのは確かで、今後がどうなるかドキドキ。5巻まで手元にありますし、最後まで付き合おうと思います。

評価 ☆☆☆☆(8)