トップに戻る

日記一覧に戻る



 
 11月10日(日)


<最近読んだ本>

金星特急・外伝 (嬉野 君/ウィングス文庫)amazon
amazon 

1話から毎回読むのが楽しみだった金星特急も、これで最後。6篇+書き下ろしの外伝です。書き下ろし以外は雑誌掲載読んだときからの引用。例によって普段の当サイトより長めです。

-------------(一篇目〜三篇目)-----------------------------

とりあえずイラスト見て、なんだそれ砂鉄の表情優しすぎるだろおおお! と叫んでから読み始めました。叫ぶのは仕方ない。その靴で歩いてたんですかと読み終わった後にツッコミいれて、それは側にいる砂鉄の安心感ゆえなのかと思い、また叫ぶ。

で、1話目エミリー編。エミリーさんは7巻エピローグでの再登場嬉しかったし、またこうして読めて嬉しいですね。そしてキャラの強烈さが増してました、一般人と混じると強調される学者バカっぷり。夏草さん問い詰めの勢いがいいよなあ。さらに3人学者が揃ってから加速する学者バカもよかった。
あと、ヴィットリアにアルベルト重ねるのが切ない。本当、2人は再会してほしかったな。でも救われてよかった。博士の意図気づいてなかった。殿下ー!

ヴィットリアはまだ惚れてるんだと驚きました。初恋は実らない、で諦めたものだとばかり。帰還後錆丸に多分会ってますよねこれ、いつ会いにいったんだろう。まあそりゃ錆丸は子煩悩やってるでしょうねえ。錆丸がこの恋を選ぶ日はこないかなと思うんですけど、生きてれば何が起こってもおかしくないですしね。ヴィットリアは素敵な女の子になってますし、ハハリジュニアルートよりは可能性ありそう。エミリーにお辞儀するヴィットリアが今回のイラストじゃ一番好きです。

ユースタス砂鉄編は、そんな役目与えられたんですねえ。大変ではあるものの、これで2人が一緒にいれる大義名分を得られてよかったのかな。砂鉄は言ってやれとも思うんですけれど。
どんな場面でも食欲魔人なユースタスには相変わらず和みます。
そして今回のハイライトは銀魚を操る砂鉄じゃないかと。何ですかその動かし方! 何それ! その手馴れてる感がもうね……。
で、最後が意味深なのは何なんですか。なんで本編後の短編でそんな先の暗さをほのめかすんですか。似た展開はありえそうなだけに怖いんですけど。次号でそういう展開はやめてー!
と思ったら1ってついてました……そういう展開ううう……最後がハッピーなら!
ゲストキャラについては、金星は容赦ないですよねと再確認。勝手に与えて奪っていく。

雷鳥&無名は、雷鳥様かっこいいオンナだなーと再確認。ラストの無名にもなるほど、と。でも本編終了後でも、雷鳥様弱さ見せてませんよね。黒曜の死で感じ入るものはあったでしょうけども、無名の方がダメージ大きかったですし。そんな日はくるのか、それとも見えないところでそんなシーンはきているのか。

-------------(四篇目〜六篇目)-----------------------------

三月!!!!!!!!

最後の金星は三月に持っていかれました。チョコレートだけじゃなく、こんな残酷な形で家族奪われて嘘までつかれてて、そりゃあ虚ろができるのも理解できて。それゆえに、本編後の救われた三月がですね、より一層心に響いて、もうね。ほんの少しの言葉で満たされる、から「家族って何すれば」が特にきました。これまで何度も言ってますけど錆丸に出会えて本当によかったなあ。

ロボブランカ2は想像したような酷いことにならなくて、安心の気持ちが真っ先にきました。母親はもう少しまともになってると思ってたので、何も気持ちが届いてないどころか悪化してて少しショックでしたけど、救いがあってよかった。
最後は砂鉄がユースタスの見方を共有するようになってるのにキュンとなりました。直球の「何でもいい」には耐性つきましたけど、婉曲なのには耐性なかった。ブランカは、そうか、望むんですね。ユースタスが笑顔で終わって良かった。

鎖様のお話は最後なのに短くて寂しかったですが、はじまりが切なかった。初々しさとやっていることのギャップは金星とかぶるものを感じて、このズレが埋まらなかったのが分かるのが悲しかったです。

-------------(書き下ろし)-----------------------------

色んな人の幸せそうな様子が見れる、大サービスな後日談でした。
錆丸の思考・行動が完全に父親のものになっていて、年月の長さと愛情の深さにグッときます。情報を集めて、味方を作って、全力で守ろうとする姿がかっこいい。もう少し桜が育ったら、自衛の力も教えるんでしょうか、教育方針が気になります。今のところは「何故ちくわ」というのが気になりますが。ちくわにリボンというセンスはどこから出てきた。

錆丸以外でまず目がいくのは三月。すっかり叔父馬鹿になっちゃって。「お迎え」で飛び起きるだけでもう凄い。笑うと同時に、「砂の男」からここに至るまでを反芻してしみじみ。これは桜と付き合おうとする男には恐ろしすぎる存在ですけど、桜が本気になればとめられないでしょう。だって錆丸と金星の子供ですもの、自らの恋を成就できないわけがない。
まだ見ぬ相手でもいいですけど、仮に桜が三月を好きになったときを想像するのも面白いです。きっとかわそうとする三月と迫る桜、そして周りの様々な反応。とりあえず伊織は賛成しそう。錆丸はどうするんだろうなあ。

鎖様は彼女にできる限りの愛の示し方がいいですね、情が深い。ヴィットリアは、言語学にのめり込んでる以上は錆丸との結婚の可能性はないんでしょうね。そもそも立場的にも無理ですか。
他の登場人物たちもそれぞれ幸せそうな姿が見れて、良い気持ちで終わりを迎えることができました。

-------------(最後に)-----------------------------

約4年間、素敵な物語をありがとうございました。終わりはとても寂しいですが、2月発売の冬号に新作が掲載されるようです。鈴木有布子さんとのコンビなので現代物でしょうか、楽しみです。

評価 ☆☆☆☆★(9)




 
 11月6日(水)


<最近読んだ本>

リリーベリー イチゴショートのない洋菓子店 (大平 しおり/メディアワークス文庫)amazon
amazon 

Twitterでの好評で気になって手にとってみた、田舎の洋菓子店が舞台のお話。

肉食(not肉食系)女子の主人公が愉快でかわいかった!
長年片思いしていた相手がフランスにお菓子留学してしまい、その原因となった洋菓子店で色々あってバイトすることになる、というところからはじまるストーリーなんですが、主人公の明海が光ってました。
失恋したら肉を食い、祭りがあればハードロックモードで盆踊りを踊る。これだけ書くと残念女子ですけど、割と根っこはちゃんと乙女で、時々しっとりとなる一人称の内面描写が好み。竹下の表情描写から伝わってくる明海の気持ちがいいなあと思います。明海以外にもコミカル要員の先生がいたりもして、笑いと恋愛、両方の面で楽しめました。
洋菓子店のお話だけあって、出てくるケーキがどれもおいしそうだったのも良い所。ベリーやカシス好きとしては、特に花かんむりが食べたくなりました。

片恋相手側の描写ももう少しあると良かったなあ、などと欲張りたくなるところもありましたが、面白かったです。メディアワークス文庫にはおそらく他にも好みの作品あるはずなので、またきっかけあれば読んでいきたいです。

評価 ☆☆☆★(7)



身代わり伯爵の結婚行進曲II 決意と別れの夜 (清家 未森/角川ビーンズ文庫)amazon
amazon 

とうとう最新刊に追いついた身代わり伯爵シリーズ。最新刊は今まででも一、二を争うシリアス巻でした。グレンについては、シリアス展開ならこうきますよね、という真相。姉として振舞うミレーユにスカッとしました。
一方のフィデリオは、何でそっち言っちゃうのという思いが強いですし、キャラがブレている気がしてしっくりきませんでした。ミシェルの正体知らずに動揺してた彼と、母親人質にとられてる彼がうまく重ならなかったんですよね。どんどん追い詰められている彼ですが、最後には身近で見てくれる人に気づけますように。

主役2人の甘さも今回は控えめ、でも終わりが近づいてきて、次あたり反動でまた甘くなりそうです。シアランで終わりみたいですが、アルテマリスのフレッドセシリアについても本編中に何か進展があるといいです。

評価 ☆☆☆(6)