12月14日(土) |
<最近読んだ本> ◆ 鬼愛づる歌姫 (宮野 美嘉/ルルル文庫) 【amazon】 幽霊伯爵シリーズの宮野さんの新作は、鬼にとりつかれている歌い手が主人公のファンタジー。 今作も宮野さんらしいヒロインとヒーローで面白かったです。設定は今までで一番普通だと思うんですけど、やっぱりキャラが普通とは一線を画しているんですよね。主人公のリィアで印象的だったのは、強情さの貫き方。歌うことをはじめとして、自分の意志を感情を揺らさずに自然体で貫き通すのが、風変わりでかっこよくて好みでした。幽霊伯爵のサアラに少し似てますけど、あれほど性格は尖ってなくて、普通のかわいさを保ちつつも変人、といったライン。「私が大事にしてあげなければ、私の人生が可哀想ですから」って台詞が清々しくて好きです。恋愛感情の自覚も幼くてかわいらしかった。 ヒーローのオビトもただの俺様キャラかと思いきや、独占欲の固まりで甘えたがりという変化球。衝撃のベタ惚れ具合ですよ、憑依状態でも押し倒すとかこの人怖い。リィアじゃなかったら、とてもこんな人とやっていけないですよ。お似合いです。 ストーリーも1冊で綺麗にまとまってました。リィアの過去や王宮の事件をうまく絡めていたし、神様たちもそれぞれ味があってよかった。この先も続けようと思えば続けられそうですけどどうでしょう。出たら読みます。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ GOSICKII その罪は名もなき (桜庭 一樹/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 ◆ GOSICKIII 青い薔薇の下で (桜庭 一樹/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 先日1巻を9年ぶりくらいに再読したGOSICK、3巻まで読みました。 ヴィクトリカと一弥がかわいいですね! おそらくこのシリーズ一番のポイントであろう、年頃の少年少女らしい2人の様子にとてもニヤニヤ。ヴィクトリカの素直な気持ちをひたすらに隠し通すのがかわいいし、一弥の普段は振り回されてても決めるときには決めるのがかっこ良くてかわいい。実家での教えに屈することなく、女の子を守る男の子であろうとしていくところが好きです。2巻終盤がお気に入りポイント。 2人のパワーバランスもいいですね、2巻ではヴィクトリカがツンケンしていて一弥がちょっとかわいそうで、3巻では一弥の態度がひどくてヴィクトリカかわいそうで。どちらかというと3巻の一弥の方が鬼かな、病人には優しく! 脇役も結構いいキャラいますね、アブリルは圧倒的脇役でもかわいい。警部も存在感あります。髪型は趣味かと思ってましたごめんなさい……。 ミステリ的にも毎巻楽しめてますが、今のところ1巻が一番かなあ。2巻3巻はよく出来てると思える割に、ハッとさせられる箇所が少なかったです。ここは次巻以降に期待で。 先も結構ありますが、後半の方がなお良いとの評判なので早めに。双方の家がクローズアップされていくんでしょうか、年代的に世界の動乱は絡まなそうですけど、架空国だからどうなるか分からないですかね。 ちなみに初読時の1巻感想を眺めたらヴィクトリカかわいいしか言ってませんでした。一弥もかわいいと思ってる分だけ感性が変わったようです。 評価 ☆☆☆★(7) |
12月1日(日) |
11/26のメルフォレスです。 >「『レイトスプリングタイム』、気がついたら〜」 の方 確かに友達な関係や片思いの描き方がいい作者さんですね。いまだに一番好きなお話は佐藤さんです。 「青春〜」と同コンセプトのゲームは結構昔でしたっけ、アンテナには引っかかったけど昔だからとスルーしたような記憶が。「青春〜」は男主人公視点での個別ルートは良い青春だったので、個人的には惜しいゲームでした。 『紅玉は終わりにして始まり』は1巻で止まっております……。続きを読みたい1巻止まりのシリーズが増えすぎててどれを読むか困ってる状況です。紅玉は2巻は図書館で読むことにして予約本が今年中には届く見込みなので、しばらくお待ち下さい。 言語の壁は大変ですね、英語ですらミストボーンのときにアメリカサイト覗いて結構大変でした。100万部ですからサイトもあるでしょうねえ、google翻訳が頑張ればある程度読めるかもしれないですね。 <最近読んだ本> ◆ 左遷も悪くない (霧島 まるは/アルファポリス) 【amazon】 先週言っていた、最近一押しなオンノベの書籍化。加筆もあってやっぱり良いものでした。 地方に左遷されてきた鬼軍人ウリセスが、結婚を機に変わっていく話。最初は妻には世話役と子作りの役割しか求めていなかったのが、共に過ごす日々で少しずつ心に暖かさを芽生えさせていく、この過程がとても良いんです。日常や些細な事件の積み重ねで派手さはないんですけど、それだけで凄く心暖まってニヤニヤできる。 これも結婚相手がレーアだったからこそ。家族に大切に育てられてきたことによる優しさを持っていて、と芯の強さもあって、悪評だらけだったウリセスを信じてくれる。そんなレーアだからこそウリセスが変わったというのが、ウリセスとレーアの視点2つから描かれる夫婦生活から伝わってきます。ウリセスの「お前なら出来る」で喜び、行動するレーア好きだなあ。 双方の家族たちの存在もポイント。様子を見にきたり、アドバイスをくれたりと、2人だけじゃなくて理解者がいるのって大きいです。弟たちが最初に訪れる場面のウリセスがかっこいいしレーアも素敵。 この一冊で一番好きなのは「新実の儀」のお話。どうしようもないことへのやるせなさと、そんなものを跳ね除けてくれる暖かさに胸が一杯になって、既読でも泣けてきました。ウリセスが変わって、そのウリセスを周囲が理解してくれたからあるシーンなんですよね。 加筆されたレーア父との顛末も良かったです、雷を制したウリセスかっこいい。ジャンナもちょっと努力の様子が加筆されてましたかね?(勘違いかも) webで読んだときよりもウリセスとの距離がより縮まってるように感じて微笑ましかったです。 家族以外の脇役は少なめですが、いいキャラがいるのです。有能補佐のエルメーテがウリセスに絆されていくのが大好きです。webに載っているエルメーテ視点の番外編も好きなので、そちらを含めた幸せな日々も書籍化してほしいものです。この作者さんのお話は他にも良いものが多いので、気に入った方はweb作品も是非。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 放浪の戦士2 デルフィニア戦記第1部 (茅田 砂胡/中公文庫) 【amazon】 先週言ったようにデルフィニアに手をつけました、とりあえず積んでた2冊を読了。1巻を昔読んだのはサイト開設前なので、10年以上ぶりの再読でした。 で、面白いとは思ってましたが、やっぱり面白かったです。リィの破天荒さとウォルの破天荒さが合わさって、玉座奪回への道のりをグイグイと引っ張られて読まされました。常識をぶっ壊していくリィが痛快なのは当然として、ウォルの存在が大きい物語だなあとここまででは感じます。リィの潜入作戦についていくところで「この王様パネぇ」と思わされました、リィに破天荒さ負けてないのが凄い。無茶苦茶で無謀な行動力と人たらし力は、この王様の先を見たいと思わせてくれます。 解説に「金庸のダイナミズム」とあって、確かにどんどん仲間が増えていく様は似ているなと納得。ちょうど先週に金庸読んだばかりでのこのタイミング、不思議な縁ですね。 悪役のペールゼン侯爵が完璧に嫌な悪役なのも見事。やり口が狡猾でイライラさせてくれて、倒されるところが見たくなります。ペールゼンに説得される侍従長さんが少しちょろすぎて悪印象だったので、次巻以降で巻き返してくれるといいです。 先が気になるところで引いて3巻も楽しみ。完結までの道のりは長いですが、とりあえず第一部完である4巻までは早めに読みます。 評価 ☆☆☆★(7) |