2月13日(木) |
<最近読んだ本> ◆ ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート (青木 祐子/コバルト文庫) 【amazon】 先日のお勧め募集にてお勧めいただいた、青木さんの新シリーズ。評判良くて気になりつつも、青木さん作品とは相性悪めで躊躇してたところだったので(ヴィクロテもいつか再開しようかと思いつつストップ中)、良いタイミングのプッシュでした。 キャラ良し・お話よしで面白かったです! 新米メイドのシャロンがお屋敷の次男坊とともに殺人事件を解決するミステリでしたが、シャロンが一風変わっていてかわいかった。最初は有能で動じない鉄面皮タイプの子だなあと思って読んでいたら、一人称の語り口から意外なくらいに感情が見え隠れするんですよねこの子。特に仕えるロイに対する好感度が何気なく高くて、でも露骨には出さないのがかわいい。こういう感情表現好きです。 一方のロイも、なかなか頭いいし面白いしでいいヒーロー。命令未遂のときのシャロンのロイ評が的を射てると思います、あそこでロイの好感度がグッと上がりましたし。他の同僚メイドたちなどもみんな特徴あって、やりとりが楽しかったです。 ミステリなストーリーも面白かった。犯人は簡単に分かりますが、動機の推理やアガットの行動心理の推測などに、なるほどと頷きながら読めました。メイドたちの性格をつかんだ推測シーンが好き。アガットの心持ちは最後まで理解できなかったですけど、この時代はそういうものなんだろうと納得はできました。 で、このお話のハイライトはエピローグ。最後にとてもおいしいネタ仕込んできましたよ、そこもっと読ませて! と叫んじゃいましたよ。これからエピソードが挿入されたりしながら、そのうち座右の銘が崩れるときがくるんだろうと思うとワクワクです。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う 英国パラソル奇譚 (ゲイル・キャリガー/ハヤカワ文庫FT) 【amazon】 面白かったですけどマコン卿ふざけないで! 人狼や吸血鬼が出てくる英国が舞台のスチームパンク第2巻。アレクシアが議長という役目を得て活き活きしているように感じられましたし、異界族の能力が消えた謎を追っていく展開もスリリングで、1巻よりも面白かったです。 このシリーズ、アレクシアが単に賢くて行動力あるだけじゃなくて、独特の世界観がいいなあと改めて思いました。唐突にマコン卿とのイチャイチャがはじまってスッと元に戻ったり、アケルダマ卿が物凄く変だったり、エーテルグラフみたいなスチームパンク的なテクノロジーの描写にも力入ってたり。そうした一つ一つが面白いです。 宰相や将軍の出番が思ったよりも少なめなのは残念でしたけど、その分出番が多かったマダム・ルフォーも謎めいていて良かった。気絶がフェイクなのかどうか全然見抜けなかったですし、今も見抜けてないです。タコの影響力怖い。 他のキャラも相変わらず個性派揃いですが、中でも断トツにアイヴィが好き。この子のひどいセンスと空気読まない発言が面白すぎて。アレクシアが気絶を祈るところや置き手紙など、たくさん笑わせてくれました。 で、めでたしめでたしと思ったら、最後のマコン卿なんですかそれ。いやそれはない、ないわ。あなた、今の今まで何千年の経験で知らなかった体験してたじゃないですか。何自分の常識で物考えてるんですか。反異界族との婚姻だって例外中の例外じゃないですか。これだけ例外事象揃って聞く耳持たないって……しかも他の人狼たちも。この脳筋たちの頭を並べてひっぱたきたい。この先仲直りしても、アケルダマ卿のところにしばらく家出するといいと思います。 評価 ☆☆☆☆(8) |
2月2日(日) |
メルフォレスです。 >『おはようございます。はじめまして。〜』の方 はじめまして、お祝いのお言葉ありがとうございます! 本やゲームへの出会いのきっかけになれたということで、感想サイト冥利につきます。引き続きよろしくお願いしますー。 「童話物語」は全然知りませんでした、ラノベレーベル以外はアンテナの感度鈍いので、名作でも知らない作品多いです。読まれた中でも最高峰ファンタジーということで、楽しみに読んでみます! <最近読んだ本> ◆ 放浪の戦士3 デルフィニア戦記第1部 (茅田 砂胡/中公文庫) 【amazon】 ◆ 放浪の戦士4 デルフィニア戦記第1部 (茅田 砂胡/中公文庫) 【amazon】 さすがの名作、面白かったー! 第一部を読んでその後を読むか判断しようと思っていたんですが、参りました。3巻読み終わって、続き取る手が我慢できずに4巻まで一気読みさせられました。 3巻は初っ端のルカナン籠絡が痛快。煽った後にウォルたちの前に連れていくやり口が上手い。 その後の伯爵救出が3巻のハイライトですね、潜入劇のドキドキも良かったけど、本当によかったのはその後。リィの瞳の色に故郷を見る伯爵の姿、意地っ張りな親子の最期のやりとり、一連のドラマが切なすぎる。どうしてこんな最期を迎えなきゃいけなかったんだと、ペールゼン達への憤りがウォル達に共感してしまいます。 その後は熱かった(袋詰めの発想はなくて、笑ったりもしましたが)。ウォルとリィだけではなく、ウォル側に立つドラ将軍もナシアスもかっこいい。反撃編を読みたくて、すぐに4巻に行きました。 で、4巻はなんといっても女官長。1人で耐えて耐えて戦ってきての悲痛な叫び。数々ののらりくらりも、全部失策を引きずり出すためだったのだと思うと、その忍耐心に圧倒されます。 そこからは痛快な奪還劇。リィ頼みな部分も多かったですけど、イヴンの支えをはじめ仲間たちの存在も大きくて、ちゃんと国家の奪還劇だったと思います。 最後のみんな笑ってのラストが爽快で最高。散々やらかしてきた侍従長は肝心なところでは手のひらクルーで情けなかったですけど、最後のアシストで許しました。 というわけで第2部読むことは決まりました。多分18巻最後まで行くことになるでしょう。その後は……派生追うのはさすがに……そのとき考えます。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆ 昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束 (河上 朔/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 「wonder wonderful」の河上さんの初文庫。名前見たときは叫びました、アイリスさんありがとうございます。 前世の記憶が蘇る現象が起こる中、その記憶を消す能力をもった女の子が主役のファンタジー。記憶を得て能力を得て王様に請われて、と展開自体は目新しくなかったですが、そんな中で主人公アナベルの普通さが良かったです。前世の記憶を持って変貌してしまう人がいる中、王様の傍にいても村娘らしい感性を失わずに頑張ったり怖がったりするのに好感持てました。 突然祀り上げられたので辛い目にもあったりするんですけど、アナベルの頑張りに呼応した周りの優しさがホッとさせてくれて。河上さん作品はどれも根っこには優しさが感じられて、それが好きです。 ストーリーも面白かったです。最初はアナベル視点で憧れの存在だったローシが段々怪しく見えてくる過程が自然だったし、正体の一捻りにも引っかかりました。クレフは察せましたけども他が。 恋愛はどうなるんでしょうね、クレフのお父さんポジションは根強そうですけど、内面のミリヤや遠くのライバルの刺激次第かな。その辺含めて本番はここからだと思うので、是非続きを読みたいです。 評価 ☆☆☆★(7) |