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 4月26日(土)



<最近読んだ本>

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う 英国パラソル奇譚 (ゲイル・キャリガー/ハヤカワ文庫FT)amazon
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マコン卿がずるい。
前巻の引きでとんでもなくひどいヒーローを見せてくれたアレクシア女史シリーズの3巻ですが、やっぱりヒーローはダメな狼でした。アレクシアが命を狙われてるっていうのに、やさぐれて飲んだくれて……。チャニングを向かわせたくらいじゃ駄目なんですよ、あんなひどいことしといて飲んだくれてる時点でパラソルの突き100回の刑ですよ。なのにアレクシアあっさりほだされちゃって……。マコン卿のこと好きな気持ちはよく伝わってきましたし、新聞記事やチャニング来訪の意図にいちいち喜んでる姿かわいいんですけど、でも甘いですよ! しばらく毎日バジル料理にすればいいと思います。
マコン卿が駄目駄目な分、ライオール教授の活躍が今回は際立ってました。アルファの分までよく団を支えましたよほんと、おまけにビフィのアフターサポートまでしっかりとやって。凄くねぎらってあげたいです。

アレクシアの子供を巡るストーリーもなかなか面白かったです。アレクシアはほんとたくましいですね。色んなバトルがありましたが、テントウ虫が一番強敵だったように思えます。
ルフォーは信じていいんでしょうか、まだ不安が。宰相はらしくない愚策をとったように感じましたけど、それだけ過去に吸血鬼が酷い目にあったってことですかね。アケルダマ卿が一番割を食った感がありますが、表舞台に立ってどう振る舞っていくのかは楽しみ。

あとはアイヴィの出番がしっかりあったのが嬉しかった点。結婚しても相変わらず楽しい女性ですね、グラタンな人には笑いました。帽子店は本当にうまくいってるんですこれ? この先も出番ありますように。

評価 ☆☆☆★(7)




 
 4月19日(土)



<最近読んだ本>

狐とまれびと 朔月京物の怪語り (沙藤 菫/C★NOVELSファンタジア)amazon
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これは好き。とても良かった。

昨年の新人さんの新シリーズ。和物なので完全ノーマークで、お勧めを受けて手にとってみたんですが、読んでよかった!
舞台は平安風の時代、家族を養うために少女が出稼ぎに出たら、そこは物の怪が跋扈するようになった都にある貸し物屋で……というはじまりの物語。冒頭の家族との別れがなかなかしんみりで胸に染みて、ここでまず惹きつけられたんですが、本編前半はそれを吹き飛ばす元気なお話。
着いた早々に物の怪に襲われ、雇われ先は癖がある人ばっかりで、そんな中でも居場所を作ろう、頑張ろう、と主人公の結が前を向いて行動していくのが楽しい。無理難題気味なことを言われて「かしこまりました」と挑戦的に返すところとか大好きですよ。
持ち込まれた事件にも体当たりで取り組んで、物の怪たちの揉め事を人の情を持って解決していくのがまた爽快。暖かい解決には胸がじんわり。前半パートは、頑張る女の子を応援する少女小説的な面白さがありました。

後半は、そういった楽しさ暖かさだけでなく、厳しさもかなり感じる物語で、これがまた良かった。神様にとっては人間その他なんてただの興味の対象で、簡単に押しつぶされてしまうという、神話レベルでの容赦なさ・残酷さがある展開。神様の異質さが描写からはっきり伝わってきて、本当に残酷。そんな中での人や物の怪の在り方が、弱さも強さも全部引っくるめて胸にきました。2章冒頭の描写は本当に哀しい。結も切ない。結の在り方には人間のある種のたくましさを感じました。
キャラクター達の性格のおかげでそこまで雰囲気が重たくならずに、人の知恵も感じられたりと、バランス具合も良かった。白菊にも人間の理屈の通じないところがあって、今後どうなるのか気になるところです。

驚かされるところもありつつ、最終的な落としどころも面白くて、かなりツボなお話でした。人はやや選びそうだし、どの層に受けるのか分からないんですが、Cノベ好きにはお勧めしたいです。続きも楽しみ。

評価 ☆☆☆☆(8)



美雪晴れ みをつくし料理帖 (高田 郁/時代小説文庫)amazon
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佳境のみおつくし第9巻は、料理人の澪をとても感じさせられる巻でした。これまでは割と恋愛面と野江ちゃんに軸足を置いて読んできたところがあったんですけれど、今回はその辺が薄らいだせいか、料理のことで頭一杯なところがとても目立ってました。
料理人としてどう在りたいかの悩みは、ここまで読んできても確かになかなか答え出せないよなあと思わせられるもので、悩む澪に共感しながら読めました。今までよりも危機感・緊迫感が緩いので、心置きなく楽しんで読めたのも良かったです(いや、胃が痛くなる展開もそれはそれで面白いんですけど)。伝右衛門相手にしたたかさを見せる澪に成長感じました。

周囲の暖かさも相変わらず素敵。特に柳吾の暖かさが今回良かったです。甘やかさずに距離を保って、でも暖かさを感じる訓戒が好き。数巻前は柳吾の印象あまり良くなかったんですけれど、最近は大分好感度上がりました。

次が最終巻ということでびっくり。4000両は相当に遠そうなんですが、どういうことなんでしょう。さっぱり予想できないですし、登龍楼も最後に何か仕掛けてきそうですが、雲外蒼天というからには、野江ちゃん問題、恋愛面、澪の道、全てがきっと開けるはず。楽しみです。

評価 ☆☆☆★(7)