6月12日(木) |
<最近読んだ本> ◆ 左遷も悪くない2 (霧島 まるは/アルファポリス) 【amazon】 暖かな夫婦関係が素敵な「左遷も悪くない」、2巻も書籍化おめでとうございます! web小説の中でも一押しのお話なので嬉しいです。2巻は副官のエルメーテが準主役級のお話。web版の頃からエルメーテ大好きなんです私。小賢しく頭が周るところ、ウリセスのこと好きになっていくところ、そして加筆部分で見せてくれたような迂闊なところ、どれも読んでて楽しいです。ジャンナへの対応も、読み手的にはエルメーテの本気さがちゃんと伝わってくるから全然憎めないし、ジャンナの怒り描写も笑って楽しめる。イラストもGJでした。 でも一番好きなのはやっぱりウリセスとレーアの夫婦関係。共に暮らした時間が長くなってきて、絆が深まってるな、相手のことを分かるようになってるなと感じられるのが、今回は特に良かったです。中でも良かったのが怪我して帰ってきた後のシーン。待っていたレーア、察したウリセス、入れ替わった位置の新鮮さ、そういった一つ一つに感じられるものがあって、暖かな気持ちになりました。 エルメーテ日記のこの先も読みたいですし、3巻も書籍化されますように。 評価 ☆☆☆☆(8) |
6月9日(月) |
<最近読んだ本> ◆ シンデレラ伯爵家の靴箱館 恋する乙女は雨を待つ (仲村 つばき/ビーズログ文庫) 【amazon】 発売直後から凄い評判だった先月の新刊。作者さんの前作はアラビアン苦手なために途中で止めてたんですが、これは好みそうなので手に取りました。 評判に違わず面白かったです。靴職人として働くことになるエデルのお話で、恋愛面だけでなく、仕事面でも地に足についた話でした。人見知りで接客も一苦労だったエデルが、スローペースながら学んで仕事を好きになっていくのが、読んでてとても気持ちいい。靴の魔法の設定も、シンデレラをベースにしたアレンジがなかなか面白かったです。 恋愛面はエデルの初心でなかなか気持ちに気づかなそうなところもかわいいんですが、それよりも相手のアラン側ですね。何といっても妹に唆されてるのが楽しい。なんで「初恋攻略ガイドブック」完全に真に受けて行動するんですかこの人、どんだけクソ真面目なんですか。とんちんかんなアプローチするのが楽しいし、それに対する内面描写のずれっぷりは爆笑でした。本を確認して「問題はそこだったのか……」と内心でつぶやくの見て「そこじゃねーよ!」とツッコミいれるの楽しかったです。ほんと妹登場前後で印象変わりました。 本筋のストーリーは、敵さんが近くにいてびっくり。アランじゃ気づかないのも納得なんですけど。エデルがどう跳ね除けてくれるか、アランがどうエデルを落としていくのか、続きも楽しみです。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 身代わり伯爵といばら姫の憂鬱 (清家 未森/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 本編が主にフィデリオのせいでモヤモヤするシリアス展開になっている中、気楽に楽しめる短編が多くて楽しかったです。前半は色んな人が幸せな未来の欠片を掴みとっていて、よかったなあとしみじみしました。特にキリルのお話が好き。一、二を争う不憫な人だと思うし幸せになって欲しいので、前を向いて進めそうでホッとしました。アレックスは大物。ミレーユのおせっかいも珍しく完璧に機能してましたね。 シルフレイアとカインのお話も良かったです、裏側でこんなしっかりしたロマンスが繰り広げられてたんですね。こちらも幸せそうで心がほっこり。パパが情けなくなるのはこのシリーズ共通ですね。カイン視点は結婚まで色々我慢してそうな気がしました。 あとはセシリアとフレッドがどうなるかなわけですが、フレッド視点が全然ないからずっとモヤモヤしてるんですよね。セシリア視点だけでくっつく展開になってもきっとすっきりしないと思うので、フレッドの本心が見れますように。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。 (青木 祐子/コバルト文庫) 【amazon】 青木さんの新シリーズは、ベリーカルテットと同時代の英国ミステリでした。ベリーカルテット打ち切りかと思ってガッカリしてたので、違いそうで安心しました。同じくメイド主人公ですが、向こうのシャノンが有能鉄面皮タイプな子なのに対して、こちらのマイアは好奇心が強くて骨のある探偵助手と、割と正反対。マイアは自重よりも好奇心が強くて進んじゃうところがかわいいし、レヴィンとの打てば響くヒネくれたやりとりが楽しかったです。 でもタイプは違えど、どちらも同じくらいかわいくて、どちらのお話も好き。二作品とも全体的に文章に落ち着いていて、お話の読み心地が似ているように感じました。並行してシリーズが続いていくといいです。 評価 ☆☆☆★(7) |
6月7日(土) |
あれ、出張いってきますお知らせを上げたつもりが上がってなかった……。2週間くらい関西出張行ってて、その前後が忙し気味で更新止まってました。本は読んでたので、数日間まとめ感想です。 <最近読んだ本> ◆ 神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (石和 仙衣/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 石和さんの久々の新刊。「ギデオンの恋人」がとても好きでまた作品読みたいと思っていたので、発売リストを見て「ホワイトハート久々に見なおした!」と思いました。 舞台が古代に移っても、相変わらずの優しく切ないロマンスでした。孤独で病み気味の国の為政者と荒々しい若武者、2人の神様に愛される少女のお話でしたが、後者の炬とのロマンスが凄くよかった。出会いの第一印象は悪めで、共に暮らしていくうちに愛が芽生えて……と書いちゃうとよくあるお話に見えますが、人と神で支えあって村を良くしていく中でゆっくりゆっくり愛しさを募らせていく様子が、優しさに溢れていてとても好き。惹かれ合う中で、炬の荒くれ者に見えて純情なところや雪荷の芯の強さが見えてきて、好きなカップルになりました。 古代の雰囲気もよく出ていて残酷な面もあって、終盤は切ない展開。切なくも希望に溢れた終わり方がまた良かった。2人のその後が気になるところです、親馬鹿なのは間違いないですけど。 続きもあるということで楽しみ、伊布夜か別の神様のお話になるんでしょうか。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ (仮)花嫁のやんごとなき事情 離婚の誓いは教会で!? (夕鷺 かのう/ビーズログ文庫) 【amazon】 本格的なシリアス入り前の準備的な印象の巻でした。そのためか、前半のフェルの迷言がたくさん目について笑えました。内面の感歎詞が「ふぁーお」やら「ほああ」やら素が出ててかわいい。 一番の見所は最後の宣言。「月を残して行きます」がロマンチック、この言葉選びがとてもいい。これがいかほどに旦那様に響いたか、想像するだけでキュンとなります。旦那さまの返しも最高。この2人大好き。続きが怖いですけども楽しみ。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 夜を歩けば1 ザクロビジョン (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 現代物になっても、あやめさんらしい主人公でした。 異能を得てしまい、外側の世界で生きることになってしまった人々の物語。異能を得てしまうのが偶発的でどうしようもないんですけど、主人公はそのどうしようもなさに対して斜に構えつつ、彼なりに筋の通った考え方しているのが、これまでの主人公と似ていて今回も好きです。現代物なのでこの手の斜に構えたキャラは多少既視感あったんですけど、あやめさんらしさもあったなと。 心の読めてしまう能力に対して、唯一心の読めない相手がヒロインというのはベタですけども、素直じゃない内面描写が楽しい。無二の相手を得て、支え立つのか共に落ちるようなことになるのか、続きが気になります。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 八百万の神に問う4 冬 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 言葉の力と限界を同時に感じた最終巻でした。 最後のイーオンの音討議は言葉に力がある素晴らしいもので、でも自分には完全には届かなかったなという感触がありました。理由は多分、3巻までの積み上げ、特にシンの物語をうまく咀嚼できなかったからなんだろうなと思います。物語に入り込めないのがもどかしいお話でした。次作はガラっと変わるみたいですが楽しみに待ちます。 評価 ☆☆☆★(7) |