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 9月13日(土)


<最近読んだ本>

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵 (三川 みり/角川ビーンズ文庫)amazon
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と白の貴公子 (三川 みり/角川ビーンズ文庫)amazon
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デルフィニアに続くシリーズまとめ読み対象、完結したシュガーアップルにしました。1巻は発売当時に読んで面白かったんですけど、「まとまってるから続きはいいや」と2巻以降をスルー。でも、続きも良さそうな評判が聞こえてくるので、電子書籍が90%ポイントつくときに買い溜めして、機を見計らってました。で、読んだわけですが、

なんでこの人2巻以降読んでなかったんですかね、馬鹿が!

綺麗に続いてるじゃないですか、見誤りすぎでしょう数年前の自分。まずアンの心持ちがいいですよね。目標に向かって走った1巻とは違い、職人として誇りを持って真摯に仕事をしていき、苦難にもめげない姿勢が美しいです、なかなかお目にかかれないくらいに好感持てる主人公。特にアルバーンの求める砂糖菓子を作りあげていく過程は、アルバーンが抱えた事情や出来た後の姿の切なさもあって、非常に印象に残りました。
シャルとの関係もいいですね、気持ちの成長が割と早くて、お互いいい具合に心を揺り動かされていてニヤニヤ。シャルがアンを大切に思う気持ちがいじらしいです。それだけに3巻の別離には叫びましたが! 羽を渡すまでの気持ちなのが切ない。これ、普通は中盤あたりにくる展開な気がするんですけど、3巻でこれがきてこの先どういう展開がくるんでしょう。

2巻を語るにあたり、忘れちゃいけないのがジョナス。1巻での態度が酷くて、「しばらくたって別人になって出てくるのかな」と思っていたら普通に出てきてビックリでしたよ。しかも1巻にも勝るクズっぷり。何度殴りたいと思ったことか。自分だけ逃げようとするところは殴りたいを突き抜けましたね、とんでもなかった。3巻では少しマシになってましたけどもまだまだ。この先どう変わってくか気にはなりますし、ずっと一緒にいるキャシーの気持ちや出会いもちょっと気になるところです。
あと気になるキャラはキース。癖あるキャラばかりの砂糖菓子業界でなんでこんな好青年が育ったのか大変不思議です。存在が浮きすぎてて怪しいくらいでしたが、癒やされました。きっとアンの結婚相手候補になるんだと思います、地位もった人間のライバルでピッタリですし。

3巻も読み終わったんですが、このシリーズの妨害や悪意の描写、基本的には苦手です(いじめ系は大体苦手)。それでも楽しめているのはアンの頑張る姿あってこそだと思います。それを支えていたシャルがいなくなるので、次の巻以降はどうなるか不安。ミスリル支えてあげて。

最終巻の評判が良さそうなので、そこまでたどり着くのが楽しみです。人と妖精の関係は果たしてどこまで変わるのか。

評価 ☆☆☆☆(8)



歌う峰のアリエス (松葉屋 なつみ/C★NOVELSファンタジア)amazon
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独特な世界が鮮やかに描かれていて面白かったです。

今年のCノベの大賞受賞作品はサーバーの中が舞台、メールに憑いたウイルスを処理する羊たちを描いた物語。サーバーの中と現実世界を交互に描いて、天才が残したサーバーの秘密に迫っていく……といった作りのお話です。

面白かったのが、サーバー世界における羊たちの描写。サーバーの中に世界が、というのはSFならそれなりにある設定だと思いますが、ウイルス処理役を羊にしたのが正解。ただ仕事をする姿だけではなく、風景や暮らしぶりなど「世界」がしっかりと描かれていて、ファンタジーらしい雰囲気に溢れていました。
そこに暮らす羊たちのキャラクターも主人公の元気なイリヤをはじめ魅力的なキャラが多く、羊達が改良されたウイルスにやられていく中で残された者が感じる物悲しさ、一緒にいることでの嬉しさなどの想いも良かったです。ロトの生き様、シバを求めるイリヤ、あたりがお気に入りポイント。

現実世界の方は、ファティマに置いてかれた人たちが秘密と1つ1つ向き合っていく前半がなかなか楽しかったです。性差のないところからはじめたファティマの実験は、イリヤとシバを見ると、うまくいったと言っていいんでしょうか(イリヤは女の子だと脳内変換かけて読んでました)。
ただ後半はサーバー側が中心になって、現実側の存在感が少し薄かったかな。最後の方の展開も急に感じてしまいました。ネタ的には好みだったんですが残念。
今年もCノベ新人さん作品は変わった面白いお話を読ませてくれて感謝。作者さんの次回作は来年春ということで楽しみに待ってます。

評価 ☆☆☆★(7)



身代わり伯爵の結婚行進曲IV 裏切りと婚約解消 (清家 未森/角川ビーンズ文庫)amazon
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身代わり最新刊、さあフィデリオを殴りに行きましょうか(定期感想)。ようやくフィデリオの考えが見えてきましたけど、お前それでミレーユどれだけ危機に巻き込んでるの……どれだけ甘い考えしてるの……。1人でどうにかするなんて無理なんだから、どこかで誰かに相談するしかなかったんですよ全く。言い出すとキリないので後一言だけ、キリルを見習って。キリル不憫なのにミレーユの笑顔を祈ってて、かっこいいよ好きだよ。

本筋はミレーユがいつも通りの行動力といつもより多めの危機。その罠まだ引っ張ってくるんですねえ。フレッドも真面目モードでいよいよ終盤ですね。
個人的には、冒頭のロジオンが死亡フラグたててるように見えて心配。とはいえ、このシリーズですし、主要キャラに死者はこの先出ないですよねきっと。と思って続きを待ちます。

評価 ☆☆☆(6)



 
 9月6日(土)


<最近読んだ本>

流血王の初恋 (宇津田 晴/ルルル文庫)amazon
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安心の糖度でお馴染みの宇津田さんの新刊は、期待通り、いや期待以上の甘々なファンタジーでした。ここ何冊かの宇津田さん作品の中で一番楽しかった!

政略結婚で「流血王」と呼ばれる青年王のところに嫁ぐことになった田舎育ちの姫、でも顔を合わせてみると優しいところもあって……、という王道な筋立て。で、これで初っ端から甘さ全開になるのが宇津田さん。
ユーラが切り替えはやくてたくましい子なのがまず好みで、カエルムの分かりづらい優しさも好みで、幸せになろうとするユーラが「私と恋をしてみませんか?」と攻めるあたりで「あ、これ大好きだ」となりました。そこからのズレてて甘くて楽しい日々、好きに決まってますこんなの。「流血王の印象改善計画」にニヤニヤ、一緒にいるうちに赤面物のセリフがバンバン飛んでくるのにもニヤニヤ。ちゃんと自宅読みを最初から決めてたので、赤面しても安心でした。

危険な王様とセットなことが多い、有能で変人な側近さんも完備。カエルムに入れる茶々が面白いし、嘘以外は完璧な仕事っぷりでした。印象的なのは最後近くのアレですね、その見守り隊に入会したいんですが入隊届けはどこに出せば! と思いました。他にも同様の感想を書いている方が複数いて、みんな考える事同じですよね、と。でも微笑ましいシーン見守りは楽しそうですけど、甘いシーン見守りは大変だろうとも思います。戦闘シーンの後の兵士の皆さんなど、あの甘いセリフ見てたんですよね。精神が削れる削れる。大抵傍にいるだろう護衛の皆さんを考えて、お疲れ様ですと言いたくなりました。

悪役はなかなかに腹立つ性格でしたけども、ユーラのコンプレックスを刺激して、いい具合にストーリーの役に立ってくれてました。最後はスカっとさせてくれましたし。その後の締め方も、これぞハッピーエンド!と思わせてくれる素敵なものでしたし、良いものを読みました! 

評価 ☆☆☆☆(8)