10月26日(日) |
<最近読んだ本> ◆ (仮)花嫁のやんごとなき事情 すべての道は離婚に通ず? (夕鷺 かのう/ビーズログ文庫) 【amazon】 仮花嫁シリーズ最新刊は、スペシャルブックということで短編やコミックや資料集などてんこ盛り。大好きなシリーズなので全て楽しみましたが、中でも好きなのは最初の「華争い」。フェルとクロウのテンポ良く甘いやり取りが一番好きな自分にとって、この短編はごちそうでした。クロウの思うがままに振り回されて、でもたまに甘い発言でクロウを驚かせるフェルのかわいさ、妻いじりを存分に楽しみつつもフェルへの優しさもしっかり含まれているクロウの行動、2人の魅力が詰まってて、数ページに一度は転がってました。この短編だけなら9とか10とかつけたくなります、2人とも好きだ! その他の短編ではフェルの子供のときの話がやっぱり印象的。どうしてフェルがこんな風に育ったかが目の当たりなのが楽しく、ガウェイン先生の愛情にぐっとくる短編でした。普通にお淑やかに育つ可能性もこの段階ではありえたんですねえ。ガウェイン先生の過保護とプレッシャーに耐えうる教育者が他にいたかと言われると、多分いなかったんでしょうが。つまりは必然。 次は本編、ジルフォードの意味深な伏線が気になりますが、はてさて。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 夜を歩けば3 ミルキーウェイ (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 あやめさんによる現代ファンタジーの最終巻。2巻読んだ段階では他シリーズに比べると見劣りするかなと思ってたんですが、最終巻でグッと面白さが増していました。「それも伏線だったのか!」というロングスパンな伏線を回収したりしながら、1巻から最終巻まで一本の筋が通った物語を見せてくれて、大変満足。いやはや、こんな愛の物語だったとは。こういうの好きです。犯人の動機や事件の落としどころも好みのものでした。 ひねくれた主人公をはじめ、存在感あるキャラクターたちも読んでいて楽しかったです。千手院さん不憫かわいい。早坂刑事元々好きでしたけど、最終巻で好感度アップ。所長は他の方の感想で見かけた「ざまあみろが似合う味方キャラ」ってのがピッタリ。痛快でした。 1巻から行く末が気になっていた主人公カップルは、素直なところに落ち着きましたが、告白シーン素晴らしかったです! こんなこっ恥ずかしい告白シーンはしばらく見た記憶がないです。ひねくれた主人公が素直になろうとして大失敗。いやー酷い失敗でした、そりゃ爆笑もおきます。共に歩いていく爽やかな幕引きで、気持ちいい読後感でした。 あやめさんへの安心感が増しました、次の新作は未定みたいですが期待。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 精霊歌士と夢見る野菜 金色の約束 (永瀬 さらさ/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 なんで3巻で終わっちゃったんですか! 2巻が凄く良かったので期待していたシリーズ。3巻出て手をつける前に、まさかの完結情報を聞いて、ショックでしばらく手を付けずにいました。 で、読んでもちろん面白かったんですけど、やっぱり3巻終わりは早すぎたなと。ラヴィをはじめとした妖精関連の設定は多分描かれていない部分が多くて、それが描かれたらもっと面白かったと思うんです。打ち切りなのか敢えて描かなかったのかは分かりませんが、残念。 とはいえ、メロウのお話としては綺麗にまとまってました。苦難や妨害に負けずに頑張る女の子はやっぱり好きです。特にメロウの場合、受け止めてヘコんでから立ち上がる姿が丁寧に描かれているので、とりわけ好感が持てる子でした。もちろんヘコまない方がいいので、今回なんかは迫る悪意の怪しさが露骨すぎて「逃げてー!」と叫びながら読んでましたが。 恋愛面は、エイディがいよいよ腹黒全開。誘導して二人きりデートにさせるあたり、もう天然とは全く呼べないですね。でもメロウが鈍くて意図気づかない上に、時々エイディの上を行ってくれるので嫌な感じ皆無で、最後まで楽しく甘いラブでした。 ラストのメロウの返し方が凄い好きです。2巻ラストにはちょっと負けますけど同じくらい。前に進む意志が輝いてました。 終わりは寂しいですが、次回作を読めるチャンスということで、前向きに待ちたいと思います。 評価 ☆☆☆★(7) |
10月19日(日) |
3週間も空いちゃってました。主にオンノベ週間と風邪のせい。風邪治ったら更新しようと思ったら1週間治りませんでした、今年の風邪も質悪いです。 <最近読んだ本> ◆ エスケヱプ・スピヰド 四〜六 (九岡 望/電撃文庫) 【amazon】 来月完結ということで、それまでに読み切ろうと崩しだした「エスケヱプ・スピヰド」シリーズ。思いの外の熱さと面白さに、4巻〜6巻は一気に読みきってしまいました。 キャラが増えてきて、敵側にはかつての味方も、という王道展開を突き進んでいて、終盤に向けてどんどん熱さが増してます。バトルの細かいところは追いきれてない部分もあるんですけど、大雑把な理解でも十分熱い。4巻での剣菱の狙撃手相手のチート的な立ち回り、井筒の直情的でありながら計算高さも見せてくれる戦いっぷり、素が出て「ぼく」になるときの九曜、他もみんな熱い。久々に、がっつり少年向けバトルを楽しみました。 3冊読んだ中で、5巻の引きが物凄く好きで。1巻からずっと引っ張ってきた柊の存在、それを幻想的な光景として明るみに出すとともに、熱い最終決戦に向けた静かな予兆をはっきり感じさせてくれる描写で。最高の引きだと思います。 柊については、1巻から九曜を引っ掻き回してくれる存在として楽しみにしていて、その期待以上の姿を見せてくれました。弱さをひたすらに見せない笑顔、叶葉との関係のからかい、最後の不意打ち。パーフェクト。欲をいえば叶葉との会話を見てみたかったです。アドバイスするお姉さん的立ち位置でも、恋のライバルでも。そんなifを想像したくなるキャラでした。 九曜と叶葉の関係は、ゆっくりですけども既に確固たるものがありますね。「大事」発言だったり抱っこだったりと、ちょくちょくときめきシーンありますし、攫われた叶葉の救出に必死さを見せる九曜が非常に格好良くて燃えました。あとは最終巻で甘さを見せてくれれば満足です。 6巻ラストの穏やかな空気は、優しくて切ない。ここにこれ以上誰も加わらないことを願います。九曜と叶葉が幸せになれる最終巻を。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ シンデレラ伯爵家の靴箱館 荒野の乙女は夢をみる (仲村 つばき/ビーズログ文庫) 【amazon】 アランさんいい加減にしてください! 続刊ということでエデルの血筋などにも踏み込んでいくシリアスさもあったんですけども、アランがその空気を1人で吹き飛ばすボケっぷり。指南書を真に受けるとか受けないとかそういうレベルじゃない、もうこのセンスは何もかもがおかしいです。序盤から笑いを振りまいてましたが、最後の「ぶたにく」で殺されました。何でやり遂げた感出してるんですか……ボケにも限度があるんですよ! エデルの方は、仕事面で着実に成長見られたのが良かった。特にルディアとのやりとりが印象に残りました、ルディアのアランへの想いも感じられましたしね。 そんなエデルも恋愛面ではボケキャラ、「肺を強くします」は相当のものだと思います。似たもの同士お似合いと言っていいんでしょうか。将来子供が産まれたりしたら、子供がツッコミ大変そうであります……。 ストーリーは、セスがあんまり悪役っぽくならず、職人らしさを見せてくれたのがこのシリーズらしくて良いなと思いました。欲を言えばもっとじっくり見たかったかな、セスの心の変化に唐突感が若干感じられたので。 このペースだと、あと1〜2巻で完結しちゃうんでしょうか。続きではアランのセンスが改善されますように。 評価 ☆☆☆★(7) |