4月14日(火) |
<最近読んだ本> ◆ お嬢さま三姉妹にぺろぺろされ続けるのをやめたい人生だった (幌井 学司/えちかわ文庫) 【amazon】 (※)この作品は18禁ジャンルなので、感想お読みになる方はご注意ください。 ネット上で10年以上の付き合いがあり、同人ゲームを色々出しているporori氏の作家デビュー作、おめでとうございます。そして「読んで感想書くよー」と言ってたのに半年くらい積んでてごめんなさい……。 才色兼備で妖艶な長女、かわいくて小悪魔な次女、お子様だけど賢くて好奇心もある三女、という三姉妹に主人公が振り回されるお話。こういうキャラ配置は鉄板ですね、昔やったゲームをなんとなく思い起こさせて懐かしい気持ちになったり。このパターンだと自分は大体次女に転ぶようになっていて、今作でも楓子派となりました。 とはいえ、他のキャラ含めて三人とも特徴が可愛く描かれていて、振り回されている主人公も嫌ではなさそうなので、楓子以外の場面でも程良いエッチさを楽しく読めました。全身を3つに領土割譲して切り分けるのは、なるほどと思う展開。 で、一通り進んだ後の初体験シーンがかなり良かった。月光に照らされたどこか幻想的な舞台において、好きという気持ちを素直に伝えてくる楓子と彼女たちのことを理解して受け止める圭、二人の気持ちが通じあっている姿は、こういうシーンにあまり使わない表現ですけど、綺麗だなと感じました。地の文も上手くて、匂い、触感、距離感、色合い、など圭が感じているものが様々な形で描かれていて、情景の空気・感情が伝わってきて、このシーン好きだなー、と。 後半になるにつれてエロ過多になっていくのはこの手の作品の宿命で若干苦手なんですが、ロミオとジュリエットなシチュエーション、意味深な台詞や設定、などもあり、エロ一辺倒じゃないのが読みやすかったです。しかし演劇中の楓子と圭の反応はいかにも宿命がありそう。エピローグも幸せなようでいて不安感を煽るような幕引きに映って、これがゲームならこれから真相ルートが、といった想像が頭によぎりました。どういう裏設定だったんでしょう。 2作目も順調に出てまして、そちらも積んでるので、今度はそんなにかからずに! 多分!(前科が多いので断言できない) 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 翼の帰る処5 蒼穹の果てへ 上 (妹尾 ゆふ子/幻冬舎コミックス) 【amazon】 クライマックスが間近に迫ってきた翼5巻、隠居なのに飛び回っているヤエトが実に大変そうな巻でした。 印象的なシーンをいくつか。まずはタナーギンとのやり取り。過去を振り返って、どうみても友達ですという事実を今さら気づくヤエトさん楽しい。タナーギンを恫喝した自分を憎むヤエトに、やっぱり真面目でお人好しだなと再認識。 スーリヤを見て、自身が心配されてきた姿を振り返るヤエトさんも楽しかった。人の振り見て何とやら。 ヤエトが鳥で飛ぶシーンも印象的でした。すっかり鳥馬鹿になったヤエトが空を気持ちよく感じるシーンが爽快。あのヤエトがこんなにあけっぴろげに感じているのが凄い。弟発言でジト目されるのは、下に見られてますね明らかに。まあ、まさに手がかかる子なんで仕方ない。 皇女の兄弟も数が減ってきて、だんだん特徴が際立ってきましたね。一の兄は慎重なだけで無能じゃないんでしょうけど、この局面だと無能になってしまう人でしょうか。三の兄が怖くて、二の兄が癒やしなのは相変わらず。二の兄は巻を経るごとに有能に見えてきてます、民の文化、生きやすさを語る姿は名為政者。六の兄がここにきて真っ当ですが、南方とどう絡めた役割担うんでしょう。 皇女の誘惑発言や、ヤエトの素でタラすところ、さらっと嫉妬的発言するところにはもちろんニヤニヤ。皇女は自分の望みのために本気出してきていてかっこいいです。 しかし、物語のラスボスは世界じゃなくて皇帝ですね、威圧感が半端ない。しかも親馬鹿っぷりも半端ない。確かに皇女の笑顔イラストかわいかったですけどね。最終巻でヤエト倒れる未来しか見えないので、皇女なんとかしてあげてください。 久々なセルクは相変わらずで和みました。セルクは裏表皆無でルシルも懐きやすかったんでしょうか。ヤエトのルシルへのこだわり、冒頭の妹はここに関わってくるとは。 あとは代官が小物な割にやけに存在感ありましたね。この人の楽しようという根性も凄かった。ヤエトは何とか一本取りましたけど、後で民の評判聞いて後悔してそうです。 世界がどうなるか、既刊がうろ覚えなのでとても見通せませんが、ヤエトや皇女は彼ららしく動くのでしょう。クライマックスが楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月9日(木) |
<最近読んだ本> ◆ 六花爵と螺子の帝国 (糸森 環/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 愉快な入れ替わりでした!! 糸森さんの新作はまさかの入れ替わり物。入れ替わり設定大好きなので楽しみに待ってました。 貴族と隷民で明確な線引きがなされているファンタジー世界を舞台に、隷民の少女と大貴族の青年が入れ替わってしまうお話。身分差入れ替わりという設定だけでも浮き浮きしちゃいます。時々元に戻るのもおいしいです。お風呂やら着替えやらのお約束戸惑いも楽しく描いてくれてありがとうございます。アオ頑張った。 閑話休題。身分差が明確にある世界ということで最初はシリアスな雰囲気も出ていたんですが、途中からコミカル方向にガラっと雰囲気チェンジ。楽しかったんですけどビックリでした。 これも半分以上はヒーローのジーンのせい。箱入りの大貴族で奴隷民も差別しない、ここは全然普通なんですよ。言動が普通じゃない。入れ替わった先のアオの身体が居心地がいいことを「お前の身体が恋しい」「夢中だ、肉体に」などと表現する始末。この天然怖い、そりゃ空気も凍ります。この言語センスが始終続いたらコメディ以外にはならないですよ、笑いっぱなしでした。 主人公のアオもジーンほどではないにしろ変な子で、動揺しながらのジーンとのやり取りが楽しかった! 身分ゆえの卑屈なところがだんだん引っ張りあげられていくのも良いですね。 あと、BL的な勘違いがあったりするのも楽しかった。少女小説ではこういう勘違い偶に見ますけど、入れ替わり設定と組み合わさると勘違いの説得力が増します。ロキアス南無い。 これだけだとコミカル一辺倒に見えますが、身分差問題なども合間合間にしっかりと描いてますし、ちょっとしたミステリ要素もあって、お話も面白かったです。先生は食えない人だ、最後びっくりしました。 伏線が色々ありましたし、恋愛的にもこれからが本番で、是非続きが出ますように。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ シャルパンティエの雑貨屋さん2 (大橋 和代/アリアンローズ) 【amazon】 雑貨屋ファンタジーの書籍化第2巻、今回も大幅加筆で楽しかったです。 2巻は開店からはじまって、村が少しずつ発展していく中でのお話。相変わらず地に足が着いた話運びで派手な展開は控えめですが、その中で日々を活き活きと、かつしっかりと過ごすジネットを見ているのが楽しいです。 終盤にはシリーズ初の危機展開も。子供を救いたい気持ちで団結する村の一体感の中で、ジネットが自身のやれることに向けて精一杯動く姿がかっこいい。その後の美化で笑って終われるとこまで含めて、web版の頃から好きなシーンです。 加筆は妹のアレット関連が多め。アレットもこんな楽しそうな旅してたんだなあとほのぼの。甘い物は正義ですね。しかし一目惚れだったとは思いませんでした、ユリウスは好みじゃないんだろうなあとは思ってましたが。 アロイジウス様&パウリーネ様の老夫婦も素敵でしたし、脇役陣も揃ってて楽しかったです。このペースだと全3巻っぽいですが、加筆もありえるでしょうか。どう描かれるか楽しみです。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月6日(月) |
またお久しぶりです。年度末は止まりがちなサイトです。読書ペースやっと戻ってきたので、のたのたとリスタートです。 そういや先日、エイプリルフールでBookWalkerが「20年前のサイト構成」的なものをやっていたのですが、何かこう、うちのサイトとあまり見た目変わらないな、と……。そこまでレトロか、と。 <最近読んだ本> ◆ (仮)花嫁のやんごとなき事情 離婚祭りは盛大に!? (夕鷺 かのう/ビーズログ文庫) 【amazon】 このシリーズらしくて今回も面白かった! 仮花嫁シリーズ最新刊は、フェルにまつわる秘密が明かされてきてシリアス気味で、そんな中でのコミカルさが光っていました。旦那様がフェルを連れ戻すところ、「そうくるの!?」と爆笑。無茶苦茶ですけど、フェルだから納得です。シリアスでもコミカル忘れないお話、少女小説に時々ありますよね、大好きです。 また、シリアスの中でも、甘さも健在。今回は旦那様にとってのフェルの大事さが特に感じられました。一言一言に救われてますよねほんと、きらきらしている月です。5年前発言がフェルに全然伝わらないのは少しかわいそうですが、企んでいるクロウは楽しそうなのでまあ問題ないですね。 一方で不穏な影も色々と。リグレイン妃が不気味な割にはあっさりでしたが、他が。ジルフォード兄上はもうほぼ黒ですよね、隙とか言っちゃってますしね……。フェルと過ごして変わったことで生まれた隙なのが辛い。 そして最後、匂わせてきた彼がとうとう。クロウの動揺はフェルが何とか救ってくれるとして、他の兄弟たちがどう動くのかが気になります。今回で伏線結構回収されましたが、まだ根っこは見えてないと思いますし、不安だらけの中で次巻待ち。 評価 ☆☆☆☆(8) |