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 5月9日(土)


<最近読んだ本>


かくりよの宿飯 あやかしお宿に嫁入りします。 (友麻 碧/富士見L文庫)amazon
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女の子が頑張る、良い飯テロ小説でした。

オンラインでは「かっぱ同盟」の名前で活動されている方の別名義作品。目に入る感想がなかなか好みそうだったので読んでみました。

祖父の借金のかたとして、あやかし宿を営む鬼に嫁入りすることになってしまった女の子が主役のお話。この主役の葵がまず魅力的。嫁入りの経緯が理不尽な上に祖父が無茶苦茶やっていたために風当たりも強くてへこたれたりもするんですけど、それでも一度決めてしまえば割りきって進んでいける、たくましさやいい意味での図太さが素敵です。本人はあやかしと仲良くなる意志そんななくても、自然体で接しているうちに味方が増えていく様子ににんまり。臆せずあやかしに踏み込んでいくあたりは、祖父に育てられただけあるなあと感じるところもありました。

で、葵があやかしに懐かれる鍵が料理。あやかしが好きになる料理という設定もあるんですけど、描写だけでも美味しそうで。お腹いっぱいのときに読んでも結構惹きつけられました。三色の豆腐アイスに豆大福に炙りもつに、どれも食べたい。
あやかし達は割と人間くさい性格で個性豊か。一方で、感情の切り替えの早さなどあやかしだなと思わされる姿もあって。銀次さん良い性格してるし、手鞠河童もかわいい。彼らとの暖かな心の交流(美味しい料理つき)を楽しく読めました。

恋愛描写は今後ありそうなんですけど、今のところはスローペース。最悪のところから好感度プラスになったのが現状でしょうか。大旦那様と葵が幼い頃出会っているのは間違いないので、その辺りの事情が見たいです、是非続き出ますように。

評価 ☆☆☆★(7)




 
 5月4日(月)


<最近読んだ本>


妖精令嬢の恋のからさわぎ 宰相騎士は深淵をのぞく (朝前 みちる/ビーズログ文庫)amazon
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ヒロインがイカれてて楽しかった!!

父親くらいの歳の男性に初恋をし、全力で妻の座をもぎ取った貴族令嬢が主役のお話。でもあらすじを見ると年上義息子(幼馴染)とのラブコメと書いてあります。この時点で凄そうな予感はしていました。

で、フタを開けてみたら想像以上でした。主役のフェイスの「ライアン様命!」な言動がとんでもない。寝所に忍び込むために壁の一つや二つ登るくらいは当たり前、口を開けば「ライアン様」でお花畑で常にハイテンション、幼馴染に母君と呼ばれて大興奮。おまけにナチュラルに人タラす才能の持ち主だし、頭も意外と回って悪役をビシバシと追い詰めていくし、いやーこのヒロイン凄いです。ヒロイン1人だけで十分お話が成立するくらいに個性的なキャラでした。見てるだけで楽しい。

義母にアタックするヒーローは「なんでこの子に惚れちゃったんだろう難儀な……」と最初思ってましたが、幼い頃のエピソード見たら、そりゃ可愛く見えちゃうか。でも思い留まらなかったんだから、不憫は自業自得ですね。時々素で動揺するのが楽しい人。他の男のこと口にされる中で、頑張った押した方かと思いますが、もう少しフェイス鈍感で焦らしても良かったかな(鬼)。フェイスにとっても大切な幼馴染なのでフェイスが意識するのも分かるんですけどね。

そしてヒーローより目立っていたのが侍女のミラベル。有能でお嬢様命な侍女おいしいです。しかも秘密持ち。素晴らしい。もちろん私はエセルよりミラベル派です。しかしフェイス一本でいけるお話にこんなに盛りだくさん、サービス精神に溢れてます。

未回収の伏線ありますし、ヒーローともまだこれからなので続き当然ありますよね。出なかったら落ち込みます、楽しみです。

評価 ☆☆☆☆(8)




 
 5月1日(金)

最近書き溜め方式に切り替えようとしてるんですが、アップするのを大体忘れます。ブログじゃない弊害がこんなところにも……。


<最近読んだ本>


スカーレット・ウィザード1 (茅田 砂胡/中公文庫)amazon
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これまた強烈な夫婦でした。

デルフィニアの茅田さんのSFシリーズは、デルフィニアの作者さんだなあと思わされました。ジャスミンの規格外っぷりや自由さが、最初のうちリィと凄いダブって。ケリーも張り合えるくらいの精神の持ち主ですし、「茅田さん作品=強烈なキャラクター達が常識や小物たちに煩わされつつ吹き飛ばしていくお話」ってことでいいんでしょうか。まだ1巻ですしデルフィニアの人々には好感度追いついてませんが、この夫婦の派手さもいいですね。

1巻で好きなのは最初の追いかけっこと最後の撃退劇。追いかけっこは「どうせ追いつかれるんでしょ?」と思いつつも本当についてくるジャスミンに目を見張り、撃退劇では「2人が組んだら敵なしじゃ?」と思わせてくれるあっさりな勝利が痛快でした。
夫婦のこの先が楽しみ。2巻も買ってあるのですぐに。

評価 ☆☆☆★(7)



かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち (村山 早紀/集英社オレンジ文庫)amazon
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イメージ通りの優しいお話でした。

以前から気になっていた村山さんの作品、オレンジ文庫で出たので読んでみました。
クリスマスに住む家を失った女の子が、ある出会いをきっかけにアパートに迎え入れられるところから始まる物語。夜道での出会い、飛んできてくれる友人、傷ついた人への思いやり、そういった一つ一つが凄く優しい。文章も柔らかくて、読んでて心が暖かく癒やされる、という言葉がピッタリ。
茜音の人生は少しうまく転がりすぎですけど、あとがき読んで納得。ハッピーエンドありきのこういうお話もあっていいと思います。人との縁も才能なんですね。ユリカ見てると特に感じます。

今回は美月編という位置づけになるのかな。美月はその別れ方なら自分が殺してしまったと思ってしまう気持ちもよく理解できて、幽霊と出会えて良かったなあとしみじみ。読んでて他の人のお話も読みたいなと思っていたら、あとがきに続き物とあって嬉しかったです。

印象的だったのが、茜音と母親との関係。娘を路頭に迷わせる駄目親ですけど、親子の絆が凄い強い。幼い頃に茜音を迎えにきた母親と手を繋ぐ情景は、2人での暮らしも仲良かったんだろうと思わせるもので、逃げた母親が何を思っているのか気になるし、仲直りしてほしい、母親にも立ち直ってほしいと思います。

気になるのは恋模様。あとがきを見ると恋もありそうで、恋のお相手はどう見ても幽霊の紅林さん。これは間違いなく切なくなりそう。幸せな終わりになることも間違いなさそうなので、どうまとめるのか続きが楽しみ。

評価 ☆☆☆★(7)