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 9月29日(火)


<最近読んだ本>


クシエルの啓示1 流浪の王子 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)amazon
クシエルの啓示2 灼熱の聖地 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)amazon
クシエルの啓示3 遙かなる道 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)amazon
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第3部も一気読みでした!

週末使って一気に3冊読みました。500ページ近い上に邦訳は読むの時間かかるので、途中読みすぎで頭痛くなったりしましたが、面白くて止めづらいので結局一気に。
第3部は序盤は比較的平和。誘拐を追ってアフリカ大陸まで渡って結構大変なんですけど、ジョスランがいるというだけでフェードルの安定感が精神的にも肉体的にも段違い。読者的にも2人が仲良さそうにしていると安心して読めました。

そう、1巻までは。2巻が怖くてきつかった。闇の力が支配する絶望的な土地までイムリールを追う、それを神様に強制されるのがまず恐ろしい。ここまで尽くしてたのに、やらないって言ったらハイサヨウナラって鬼畜です。ここだけじゃなく第3部は全体的に、これまでよりも神の存在感が大きかったですね。テールダンジュだけでなく各土地で色んな信仰が見えて読み応えがありました。
2巻に話を戻すと、ドルージャン潜入してからがしんどかった。残虐な土地の後宮に単身で乗り込むというのがダメージ大きすぎて。後宮入り自体は既視感ありますけど、とことん容赦がない展開に一気に読むのが辛くて、こまめに休憩入れながら読みました。
まずジョスランも耐えなければいけないってのがきつい。しょっぱなからフェードルに対して侮蔑的な言葉投げなきゃいけないし、その後もただ見てなきゃいけないのが双方に痛みがあってえぐいです。おまけに後宮内でも孤立して。こちらは仲間ができていくのでまだ救いありますが、イムリールに白い目で見られるあたりはやっぱり辛かった。しかし、巡り巡ってスカルディア人とここで出会うというのは運命的ですね。
裏表紙の「衝撃とカタルシス」という文字が読み始める前に目に入ったせいで、「ジョスラン死ぬかも」と疑いながら読んだのもきつかった理由。さすがにこの終盤でメインキャラ落としはないよなと思いつつ、前科があるからビクビクしてました。無事脱出したときの安心感が凄かったです。

脱出してからはアフリカ大陸の大冒険。各人が抱える傷からドルージャンの恐ろしさが伝わってきましたが、それでも暗くないのは、2人を慕うイムリの明るさのおかげでした。普通の状態でもフェードルとジョスランなら懐かれておかしくないのに、暗闇を共に乗り越えたんだから慕うのも当然。イムリの利発さや素直な感情表現がかわいい。相互に向けられる愛情に心が暖かくなりましたし、こんな関係が築けて3人に良かったねと言いたくなりました。

アフリカ文化に触れていく旅自体も面白かったです、ワニやカバといった動物と出会ったり、アマゾンや砂漠に触れたり。案内してくれたカネカが豪胆で素敵な女性だったのも一因ですね、後宮組の中でも包容力あって好きでした。

ラスボスだとずっと思っていたメリザンドとは、少し意外な決着。メリザンド視点がないのではっきりは分かりませんが、愛というのは人を変えるんだなと感じさせられました。本編後も何かしでかそうとしているあたり、本質は変わってないんでしょうけど、それでも絶望的な恐ろしさは影を潜めて。メリザンドがイムリに何を語ろうとしていたのか、敗者側の物語も聞いてみたかったです。フェードルがifを振り返る場面は感慨深かったなあ、本当にどう転ぶか分からない場面がメリザンド関連は多かった。

そして長い長い旅の末のヒアシンス救出。これまでがしっかりと結実して感無量。第3部の旅路だけでも果てしないし、第1部から振り返りながら2人の別れの会話を聞いてると凄く寂しくなる。でも本当に良かった。
イサンドルの采配も見事。フェードルを抑えつつ助けるために完璧だったと思います。シリーズ通して良い主従関係でした。

最後は見事な大団円。悲しい出来事もいくつかありましたけど、これ以上は望めないでしょう。鷹小屋をしっかり回収したのにクスリと笑い、これで終わりなんだなと寂しくなりました。カザンに再会できなかったのも寂しいけれど、これは第2部から分かってたから仕方ないですね。フィリップには驚かされました、感づきませんでしたよ! 

全3部9冊、面白かったです! 権謀術数あり、知恵比べあり、冒険あり、ロマンスあり、で巻によって違った面白みがありました。一番好きなのは第2部後半の突き落とされてからの冒険と反撃かなあ、盛り上がりポイント多すぎでした。

続編もあるんですが残念なことに邦訳されていません、発売当時に売上に貢献しておけば良かったと後悔。邦訳物は1冊1冊が分厚い(これも1冊を3分冊)だけに、刊行大変なんでしょうね……でも続き出てほしいです。

評価 ☆☆☆☆★(9)




 
 9月26日(土)


<最近読んだ本>


クシエルの使徒2 白鳥の女王 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)amazon
クシエルの使徒3 罪人たちの迷宮 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)amazon
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なんで今まで積んでたのか! 面白かった!!!

政治方面から官能方面まで色々な知識技術を仕込まれた少女フェードルが数奇な人生を歩む歴史ファンタジー「クシエル」シリーズ第2部の2〜3巻。前巻を読んだ後、分厚くて手を伸ばすタイミングを逸して、3年ばかり積んでました。いい加減読んでおこうとシルバーウィークに手をつけたら、これが面白くて! 第2部完結まで一気に読んでしまいました。なんで積んでたのか、大後悔ですよ。

この物語一番の魅力は、フェードルが巻き込まれる波乱万丈な運命と、それを切り抜けるフェードルの機転や登場人物たちの活躍でしょう。2巻で捕まってから結果的に脱出するまでの流れとか本当にスリリング。アッという間に突き落とされる物語なのは知っていても、陽気な仲間たちが死ぬのは本当に悲しかった。フェードルを絡め取ろうとするメリザンドと、自傷してまで抗ったフェードルの姿は、業の深さを感じさせて印象的。そして助けに来るジョスランがまさしくヒーロー! 2人のすれ違いに心を痛めてからのこの展開には胸踊りました。
そこからの海を越えての冒険も、随所に見所があって。以前の感想でも書いてますが、この波乱万丈さは「流血女神伝」を思い起こさせます。特に印象に残ったのは、メリザンドの恐ろしさと、イサンドルの格好良さ。メリザンドはどれだけしぶといの!と叫びたくなる用意周到っぷり。底知れなくて、これからの動きも怖すぎる。イサンドルの方は、待ち受ける裏切りに真っ向から対峙する姿が、これは女王だと思わされる格好いいもので、フェードルが必死に助けたものがここに結実したなあと胸いっぱいに。ジスランはほろ苦かったですが……。

ロマンス的にもこの2冊は盛り上がりの連続。前述の救出劇もありましたが、その後で迎える再会シーンが何より嬉しくて! フェードルの嬉しさが伝わってきました。再会できて良かったし、想いがすれ違わなくなって本当によかった。最後、ヒアシンスの名前が挙がったのは半分くらい本音でしょうね。

あと、ヨーロッパの国同士の関係を描いた歴史物としても面白く読めてます。登場国が増えてきて登場人物がどんどん増えてきてますが、連続して読めばついていけます(間が空くとまず忘れるということでもある)。魅力的な脇役も多いですしね。フィリップ好きだし、カザンも好き。

残すは第3部。メリザンドがどう動くのか、ヒアシンスをどう救出するのか、続きもすぐに読みます!!

評価 ☆☆☆☆★(9)




 
 9月24日(木)

>更新ミスをメルフォで教えてくれた方


ありがとうございます、8月29日の記事を上書きしてました。いまだにコピペ更新している弊害ですね……。


<最近読んだ本>


シンデレラ伯爵家の靴箱館 偽りの乙女は時をかける (仲村 つばき/ビーズログ文庫)amazon
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やっぱりアランさまおかしいよ。

想いが通じ合って、さあ恋愛モードへ――、のはずのシンデレラ靴箱館最新刊でしたが、アランさまとエデルにその理屈は通じませんでした。エデル鈍いのもありますけど、9割9分アランさまのせいですね。今回は頻度こそ少なかったですが、切れ味がおかしかった。
ラード発言あたりは「その程度じゃ笑わないよ、ふふん」と余裕でしたが、直後の色全部混ぜが強すぎ。それは噴くしかない。そして最後。どシリアスな時にその発言ですか、もうほんとおかしい。そりゃイラストも描きたくなりますよね。ちょっと家族がかわいそうになりました。

どうしても最初にアランさま感想になってしまいますが、本編も前巻あたりから上手くなったなあと感じます。靴による偽りを長年続けてきたナターシャの姿が凛としていて、彼女を救ったエデルとアランの言葉が格好良かった。アランはセスに向けた言葉も力強くて、普通にしてればまともなんですよね。悪役の若い頃の意外な姿にもおっと思わされましたし、アランさまが変じゃなくても十分面白い物語なのに、なんでアランさまをこんなネタキャラにしてしまうのか。そりゃその方が面白いからですよね。いいじゃない、ヒーローがネタキャラでも。

とはいえ、父親に発破かけられて、アランもこのままとはいかない……はずなんですが、返答が返答だし、どういう路線を進むんでしょう。「豚のままじゃ駄目だ、猪になる」とか言い出さないか心配です。

評価 ☆☆☆★(7)




 
 9月21日(月)

更新空いている間に宝塚観劇デビューをしてきました。何年か前から一度見てみようと思っていたもののなかなか機会がなかったところ、「星逢一夜」という演目が少女小説っぽいストーリーで切なくて面白い! と少女小説読みの方々がプッシュしていたので、これはチャンスと思いまして。

で、感想ですが、評判どおりの面白さでした! 簡単にストーリーの要素を書きますと、江戸時代、殿様の息子と村人の少女という身分差、三角関係、幼い頃の別離と年経てからの再会。そう悲恋です悲恋。これは確かに少女小説。星を軸にした幼い頃のエピソードがキラキラしてて、でもその後の悲恋の予感たっぷりなので、最初から切ない。特にラストシーンが素晴らしくてちょっと泣きました(周りはすすり泣きの声で一杯でした)。宝塚の事前知識ほぼ0だったんですが、歌は程よく入るくらいで、思ったよりも素直にお話を楽しめる舞台でした。
同時演目だったショー(エスメラルダ)は、完全に未知の体験。次から次へと目まぐるしく衣装が変わり音楽が変わり続くダンス。圧倒されました。全部で何人出てきてたんでしょうあれは……。

また好みの演目があったら見てみようと思うくらいには、宝塚楽しめました。今回は一番後ろの方の席だったんですが、オペラグラス使うとしっかり表情まで確認できるので、見る分には後ろでもあまり気にならないですね。今回のはショーの中でもおかしいレベルだったらしいので、普通のも見てみたいところです。


<最近読んだ本>


おこぼれ姫と円卓の騎士 女神の警告 (石田 リンネ/ビーズログ文庫)amazon
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おこぼれ姫シリーズ最新刊。前巻は個人的に「これ凄い!」となった巻でしたが、今巻は新章突入なのもあって大人しめでした。
メインはフリートヘルム出番大量、レティとデュークの関係の二本立てかな。フリートヘルムは意外と普通な印象。最近別作品で変キャラ見すぎて慣れたせいもあるかも? 国が絡んできてからが本番でしょうから、次からですね。
レティとデュークは、気持ちの落とし所としてはいい具合にまずは落ち着いたかなと思います。友達を模索する会話がひどくて楽しい。ごまかしが効かなくなるのが先か、縁談の必要性が出てくるのが先か、といった感じでしょうか。
一番印象に残ったのは、出てこないのにいじめられるメルディ。みんなメルディのこと鈍くさいって言いすぎですよ、かわいそうですよ! メルディだって頑張っているんですよ!(効果はさておき)

女神様の目的が分かって、ゼノンも出てきて、次からが本番でしょうか。ゼノンは女神関係の異常をどれくらい把握してるんでしょうね、ゼノンなら情報さえ入れば類推できそうですが、情報ないとゼノンにとっての落とし穴になるかもしれず。どちらでしょうか。

評価 ☆☆☆★(7)