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___6月30日(木)


【今日読んだ本】

されど罪人は竜と踊るVII まどろむように君と (浅井 ラボ/角川スニーカー文庫)amazon

《あらすじ》
 相変わらず、ロクでもない依頼ばかり受けているガユスとギギナ。腕は一流、巡り合わせは最悪の二人が出会う事件の日々を綴る事件の第7弾登場。書き下ろしには最大のライバルモルディーンと12翼将が登場!


 毒舌鬱化学バトル小説「されど」の7冊目は、連載分に書き下ろし二編を含んだ短編集。
 ……短編集? 事前情報0で買ったら二冊連続で短編集ですかそうですか、さっさと本編進めろや! と読み始める前には思ってましたが、いざ読んだらそんな文句は吹き飛びました。書き下ろしの内の一編、黒ジヴ再降臨の話が珠玉の出来。100ゲームの時のノリを保ちつつ、あくまでここは「されど」の世界であることを思い出させるしんみりとした終わり方がべらぼうに上手い。あとがきの「七時間で書いた」って、化け物ですかこの人は。
 書き下ろし以外の短編はいつも通り仕事の話だけれど、戦闘が少なめで、ガユス一人での行動・音楽ネタなどいつもと趣が違うところが多く、そのせいか心に届く短編が多くて楽しめました。6巻の感想で短編集いらないって書いたけれど、これならむしろ歓迎。でも、次こそは長編でお願いします。


評価 ☆☆☆☆(8)




___6月29日(水)

 メールフォームからの情報、実写化された森永作品はすでに存在していた
 「花より男子」といいこれといい、台湾は目のつけどころがすごいな。しかもそこそこ面白かったらしいから驚き。DVDつきのコミックスはプレミア化して手にはいりそうにないし、どこかで放映しないかなぁ。


【今日読んだ本】

神様ゲーム カミハダレニイノルベキ (宮崎 柊羽/角川スニーカー文庫)amazon

《あらすじ》
 「さあ、ゲームを始めよう!」創造主に突然宣言された叶野高校生徒会だが、「また神様か〜」と反応はなんだか日常的。その理由とは、美麗で腹黒の土地神“かのう様”と、別の超難関ゲームをしていたからだった!


 スニーカーのもう一人の新人さんの作品は、神様を見つけるかくれんぼと癒しの物語。
 うーむ、文章は読みやすい部類に入るけれど、テキストやネタよりは物語で勝負するタイプの小説、しかしその肝心の物語が全然面白くなかった。冒頭でいきなり「かくれんぼ」が始まった時は、なんかリアル鬼ごっこみたいな展開だなぁとここからどう話が進むのか期待したのですが、本編に入るとかくれんぼは脇に追いやられ、もう一人の神様のゲームである、歪みやコンプレックスを抱えた人間を癒す話に様変わり。一応かくれんぼも同時進行しているけれど、探す側に全然やる気がなくて、かくれんぼについての記述が邪魔に思えるほど浮いています。最後には繋がるものの提示される内容がぬるくて、爽快感もなくフーンとしか思えず。
 では、癒しの物語単体としてはどうかというと、これがもう無性に気にいらない。癒し手の役割果たしている主人公は、最初から確固たる自分を持っていて悩んだりしないかなり強い人間なんですよ。相手は当然弱さ持った人です。癒しの方法が上から言葉叩きつけるだけ、って何の冗談ですか……。弱者の気持ちが分かっていての言葉ならいいけれどとてもそうは思えず、癒しというよりむしろ暴力に見えましたよ。これじゃ主人公好きになれるわけないし、感動なんて到底できません。主人公が最初から最後まで自己主張しまくり活躍しまくりの話なので、この時点で自分には地雷。受賞作は女の子主人公でよさそうなタイトルなので、そっち出してほしかった……。


評価 ☆★(3)




___6月28日(火)

 「僕と彼女の×××」実写化。(入れ替わり雑記ログより)

 ……や、無理だろ。
 こんなマイナー作品が実写化すること自体奇跡的な上に、今連載されている入れ替わり漫画の中では一番好きなだけに期待はしたいけれど、森永作品のテンションが実写で出せるとは思えないわけで、期待1割不安9割といったところ。まさかゴールデンはないだろうから、どっかの深夜ドラマ枠でもとるのかな。


【今日読んだ本】

喚ばれて飛び出てみたけれど I.はじめまして世界 (丸本 天外/角川スニーカー文庫)amazon

《あらすじ》
 久々に人間界に召喚された悪魔っ娘ネピア。駆け出し魔術師ランドゥー、ワケあり下級天使プニエルと共に、ローマ法王の魂争奪戦に参戦!? 携帯用搾命器〈魂搾り君〉を手に、キュートでデモニッシュな冒険が始まる!


 今月の新刊読み終わる前にスニーカーの新刊が出ちゃいました('A`) スニーカー大賞落選拾われ組の新人さんのデビュー作は、豚バラ100gを供物に召喚された悪魔っ娘の一人称ですすむ逆オチモノコメディ。
 驚いた。本当に驚いた。角川の新人解説が定型から外れる日がくるなんて! いつもいつも判を押したかのようにワンパターン、何のためについているか分からない、ない方がまし、と散々な評価を受けてきた解説に、ついに新たな風が吹き込んできましたよ。解説としては無駄な部分が多い上に解説する対象を間違っている気もするけれど、作品の解説部分が短くなったことでかえって端的に魅力が説明されているし、今までの解説より遥かに好きです。他の解説も、これレベルとは言わないけど遊んでほしいなぁ。
 で、あとがきも解説も普通じゃない本作の肝心の本編はどうかというと、これがすごく楽しかった。解説でも言われている、予想の斜め上から飛んでくるギャグのセンスが思いっきり自分のツボに入って、今年読んだ本の中で一、二を争うほど笑える上、ただの小ネタではなく文章の流れの中に自然にギャグが組み込まれているのがなんともうまい。エロ大根様さいこー。そしてそのギャグを支えているのが主人公のネピアで、そのテンション高めのくだけた一人称が、悪魔ゆえに倫理観壊れているやや破天荒でいい加減な性格にマッチしていて、またえらく好み。「むにょ」やら「もこっ」やらのダメそうな擬音語も、一人称なら立派な表現になるんですね。
 笑いのツボ、ネピアのアクの強さと結構人を選びそうな作品だけれど、コメディ主体の作品ではこれ以上はほぼないと思えるほど気にいりました。コメディとしては珍しく、このまま次の章がはじまってもおかしくないくらいにはっきり続きを意識した終わり方、続刊も大いに期待。


評価 ☆☆☆☆★(9)


【今日購入したもの】

喚ばれて飛び出てみたけれど I.はじめまして世界 (丸本 天外/角川スニーカー文庫)
神様ゲーム カミハダレニイノルベキ (宮崎 柊羽/角川スニーカー文庫)
されど罪人は竜と踊るVII まどろむように君と (浅井 ラボ/角川スニーカー文庫)
シェオル・レジーナ 魂の捜索人 (村田 栞/角川ビーンズ文庫)




___6月27日(月)

 うちでは感想を書く際、いつもあらすじをつけていますが、この出所は以下のようになっています。
 まずamazon→なければレーベルでググって公式サイトへ→そこにもなければ手打ち
 まあ出所自体はどうでもよくて、問題はググった時に気づいた衝撃の事実。

 あれ、公式ページはどこですか?

 もしかしたらと思って公式見にいったら……やっぱりロボ避けてますよ。公式ページのトップをロボット避けしても百害あって一利なしだろうに、MF文庫Jは何考えているんだろう。


【今日読んだ本】

蟲と眼球とテディベア (日日日/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 貧しいながらもケナゲに生きる高校生・宇佐川鈴音(うさがわりんね)には愛する人がいた。知力、体力、財力、ルックスすべてに完璧な教師――その名は賢木愚龍(さかきぐりゅう)。ある日あるとき鈴音が見た「林檎の夢」をきっかけに、二人は有象無象の輩にその純愛を邪魔されることとなる。それは「蟲」という「個」を持たぬ謎の存在だったり、スプーンで武装(?)した「眼球抉子(がんきゅうえぐりこ)」なる名の猛き少女だったり――。魑魅魍魎(ちみもうりょう)を相手に二人は生き残れるのか? 未曾有の学園ファンタジー開幕!


 五賞受賞の日日日の受賞作ラッシュも、これでついに打ち止め。
 あまりにもキャラ配置他の設定がどうでもよすぎて、正直数ページ読んだところで投げ出しかけました。完璧超人の教師と普通の少女が過程すっとばして最初からラブラブ、その癖に全然甘さが感じられず、教師の背景が薄っぺらくてキャラを全く好きになれない。ここまで冒頭で興をそがれたのは久しぶりです。
 それでも一応楽しめたのはグリコのおかげ。日日日の書くイカレ系キャラは、どいつもこいつもなかなか吹っ飛んでいて好きです。長い孤独によってカチカチになった心が溶けていく様はバリバリのステレオタイプでもまあまあよいものだし、スプーンや眼球といったグリコの味つけのネタがきちんと理由づけされているのが、当然とはいえ好印象。エピローグのネタも素晴らしいし(というか、これが一番よかった)、ネタだけなら既作の中でも1,2を争うんですが、グリコ以外のキャラと物語と文章がなぁ……。デビュー二作でうまいと感じた文章はどこにいってしまったんだろう。


評価 ☆☆★(5)




___6月26日(日)

 いまさらながら巷で話題だったランドル・ギャレット問題。古典ミステリなぞ触ってもいない自分は当然「魔術師〜」シリーズは読んだことがないわけで、95%ライトノベルでも一応乱読サイトを運営しているつもり、これを機会に読んでみようと探してみました。

 
 楽天フリマ  ぼったくり
 ブクオフ 置いてある気配すらない
 別の古本屋 ハヤカワミステリはたくさんあるけど置いてない
 図書館 あるわけない

 無理_| ̄|○ この惨状では、「海外ミステリ読むぞ!」って人以外は読むことはほとんどないだろうし、「トリックスターズ」の読者層ではおして知るべし。まあ、教養となるような名作は星の数ほどあるわけで、知る人が少なくて淘汰されるならそれまでの作品だったということで、とりたてるほどの問題じゃないように思いました。とりあえず復刊投票はしてみたけれど、時間かかるだろうので探しつづけます。


【今日読んだ本】

諸葛孔明対卑弥呼 (町井 登志夫/ハルキノベルス)amazon

《あらすじ》
 八門遁甲すなわち魔道を操る大軍師・諸葛亮孔明。魏王・曹操の八十万の大群に炎の雨を降らせ、これを潰走させた。史上名高い「赤壁の戦い」である。復讐の念に燃える曹操であったが、その彼のもとにもたらされた名こそ、倭国女王・卑弥呼だった! 同時代を生きた三国志のスーパーヒーローと日本古代史上最大の女王が繰り広げる戦いの行方は? 「インパクトあふれる架空古代戦記! 新鮮なアイディアと大胆なストーリー。新しい諸葛孔明像を創造したうえ、それを卑弥呼と対決させようというのだから、うれしくなるイマジネーションだ」と豊田有恒氏絶賛、痛快なテンポで贈る超歴史アクション誕生!


 「電脳のイヴ」の著者が書いた、孔明と卑弥呼が戦う架空歴史小説。
 うは、タイトル見て超常連発のサイキックバトルなのかと思っていたらそれとは正反対、全部科学で説明して壮大なネタを糞真面目に書いてますよ。赤壁の戦いにおける孔明の活躍はなるほどこういうアレンジもありだなと思わされたし、卑弥呼と邪馬台国という存在を生み出した当時の倭国の姿がとても丁寧に書かれていて、孔明と卑弥呼が戦うことになるまでの流れの説得力は十二分、一見トンデモな話をここまでまともに書いたのには素直に感服。ただ、説得力出すのにページかけた分、肝心の孔明と卑弥呼のバトルの量が少なめだったのは残念、あと数十ページほしかったですね。とはいえ異国の二人の知恵の対決はやはり面白く、最後のエレキギターには爆笑、真面目に書いている中でこれを出してくるとは凄すぎます。馬謖がヘタレじゃなくなっていたのもよかったし、いい架空歴史物でした。


評価 ☆☆☆★(7)



ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面 (矢野 俊策/富士見ドラゴンブック)amazon

《あらすじ》
 UGNに育てられたオーヴァード、高崎隼はとある私立学園への潜入捜査を命じられる。だが、そこには隼は幼い頃別れた友達の七緒がいた。隼は事件に巻き込まれた七緒を救う事ができるのか!?


 きくたけリプレイが面白かったので、GMが違うこのリプレイも試しに購入。

 電車の中で読み始めた。思いっきりふきだした。諦めた。

 もう田中天がプレイヤーやってるリプレイは電車の中で読むのは絶対やめようと思いました。きくたけリプレイの時よりはネタに走っている量こそ少ないけれど、ネタのキレは健在で笑いをこらいきれない。この人化け物か。でも、他のプレイヤーは普通で田中天の勢いについていけてない感じ、田中天の持ち味を活かしきれてない。まあリプレイなんだから活かすも何もないんですが。
 で、勢いを殺した分シナリオがよければいいんですけど、これが非常に気にいらなかったです。「世界の変革」の能力にさっぱり納得できなかったのが一点。街が変わっても、人々の脳の記憶というものも当然存在するわけで、全員の記憶があっさり改変されるとは到底思えないんですが。そしてもう一点は、非日常にい続けるか日常にいくかを問われたプレイヤーが、「彼女をこちらに引きずりこむ」という選択肢を一瞬で切り捨てたこと。彼女の大切な想いを打ち壊すか、彼女を危険に晒すか、を即決するのはありえないと思うので、ここで非常に萎えました。
 まあ、田中天の田中天による田中天のためのリプレイとして見れば楽しめました、次も田中天がプレイヤーやってたら買います。


評価 ☆☆☆(6)




___6月25日(土)


【今日読んだ本】

彼女はミサイル (須堂 項/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 今日から夏休み。それは幼なじみの安城良あきらが遠慮なく暴走できる季節だ。ぼく――西島まことは15年間彼女に振り回され続けていた。小学生のときは歩いて日本を縦断しようとつきあわされ、餓死しかかったこともあった。でも今年の夏は極め付きだった。ある目的であきらが勝手に申し込んだコンピュータがぼくの家にやってきたのだ。どうしてコンピュータごときで驚くかって? それは――コンピュータが歩いてやってきたのだ。自力で。冗談をいいながら。これはコンピュータというよりロボット!? この日から、かわいくて気になっていたクラスメイトの佐藤さん、謎の親友金本らを巻き込んで、ぼくの平和な夏休みは終わりを告げたのだ。――新人作家が贈るファンタスティックコメディ!


 MF文庫の新人ラッシュの二作目は、振り回し系幼馴染がネットアイドルをはじめたことから展開するドタバタコメディ。
 完全に最初から最後までネットアイドルな話で、こういうオタネタを使った作品というと「高天原なリアル」なんかを思い出しますが、あちらほど設定練りこまれているわけではなし。とはいえ、ネットアイドルにロボットを絡めた題材は面白く、いい意味で軽くて楽しく読める話。終盤ろくな伏線なしに宇宙人持ち出しているのはアレだし、その他も伏線はメタメタなところが多いけれど、ネタと勢いな話なのでまあ許せる範囲。
 ただ、大いに文句ある点が一つ。オチのネタを使うタイミング、激しく間違っているんじゃないかと! 冒頭からいつそうなるかと待ちわびていたのに、最後に持ってくるのはオチとしては弱いし、あまりにももったいない。大してキャラがたっていないしかわいくないクラスメイトは排除して、最初から傍観者じゃなくいじられ路線でいった方が面白くなった気がします。三角関係っぽい普通のラブコメの要素をいれているあたり、ネタに走りきれなかったのかなぁ。


評価 ☆☆★(5)


【今日購入したもの】

蛇々哩姫 暗く、深い、夜の泉。 (萩原 麻里/講談社X文庫ホワイトハート)
グリーン・イリュージョン (杉江 久美子/コバルト文庫)
ダブ(エ)ストン街道 (浅暮 三文/講談社文庫)
ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面 (矢野 俊策/富士見ドラゴンブック)
NHKにようこそ! (滝本 竜彦/角川文庫)
殿がくる! ニッポン最後の日!? (福田 政雄/集英社スーパーダッシュ文庫)
シンフォニックレイン愛蔵版 (工画堂)

 初回版持ってるのに愛蔵版まで買っちゃいました(゚∀゚)




___6月23日(木)


【今日読んだ本】

魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険 (月見 草平/MF文庫J)amazon

《あらすじ》
 あらゆる鍵を開けてしまう特殊職業、魔法鍵師。15歳の少女・カルナはおじいちゃんの跡を継ぐべく修行中の見習いだ。師匠のミラは大陸一と名高い凄腕の鍵師。絶世の美女だが口も性格も悪いミラのもと、毎日毎日修行してきたカルナは、今日がようやく初仕事! 頑張るぞっ!と気合いを入れてのぞんだ仕事の内容は、遺産の入った魔法の金庫を開けることだった。それも、鍵師たちに畏れられる最強の――ランキンズワークと呼ばれるもの。歴史上最も有名な鍵師・ランキンのつくったその鍵に挑むカルナだったが、それは同時に、長い物語の鍵を開けることでもあった……。鍵の後ろに隠された秘密と謎を解き明かす、新感覚の鍵開けファンタジー開幕!


 MF文庫から一気に三人新人デビュー、一つ目は「鍵師」という職業を題材にしたファンタジー。
 雰囲気は一昔前のコミカルなライトファンタジー、それに「鍵師」の物珍しさでアクセントをつけていて掴みはなかなか。予想外に鍵師の設定がしっかりしていて、色々な鍵を知恵を駆使して開けていく過程は目新しさもあって面白く、これは題材の勝利かな。カルナの一人称ですすむ文章はテンポがよくて読みやすいし、物語も起承転結に綺麗にのっとって構成されていて、これが特段すごい、という点はないけれど実に手堅いファンタジー。手堅すぎて新人さんとしては少し物足りなさもありますが、時々はこんな新人さんがいてもいいですね。
 終わり方見る限り間違いなく続きは出るみたいなので、今回は語られなかったカルナと師匠の出会いが次巻では読みたいところ。この師匠が弟子を最初にとる姿が想像つかないので……。


評価 ☆☆☆(6)



グレイヴディッガー (高野 和明/講談社文庫)amazon

《あらすじ》
 都会の闇を生きてきた悪党・八神俊彦は、運命の一日を迎えるはずだった。生き方を改めるため、自ら骨髄ドナーとなり白血病患者の命を救おうとしていたのだ。ところがその日、都内で未曾有の無差別大量殺人が発生。大都市・東京は、厳戒態勢に突入した。そして友人の死体を発見した瞬間から、八神の必死の逃走劇が始まった。警察、謎の集団、正体不明の殺戮者から逃げ切らなければ、八神の骨髄を待つ白血病患者が死ぬ。八神は生き残れるのか? 謎の殺戮者・グレイヴディッガーの正体とは? 著者渾身のスリラー巨編が、ついにその全貌を現す!


 「13階段」がよかったので買ってみた高野さんの文庫落ち新刊は、ノンストップ・アクション・サスペンス。
 とにもかくにも素晴らしいのがスピード感。ドナーとしての入院を間近にしてかけられた冤罪、警察と謎の組織、二勢力を相手どっての東京の北端から南端までの逃走劇は、映画化したら大受けしそうなスリリングな展開がたっぷりで、アクションとしては文句なしの面白さ。が、一方で、13階段でよかったと思ったテーマ性や構成の秀逸さは失われてしまっていて、未解決の謎も残っていたりと不満も大。楽しめたけれど、13階段みたいな路線の方が好きですね。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】

マジヘン!? ―魔法変身彼←→弟 (鳥山 みき/フラワーコミックス)
どいつもこいつも ワイド版 2 (雁 須磨子/ジェッツコミックス)
どいつもこいつも ワイド版 3 (雁 須磨子/ジェッツコミックス)
諸葛孔明対卑弥呼 (町井 登志夫/ハルキノベルス)
彼女はミサイル (須堂 項/MF文庫J)
魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険 (月見 草平/MF文庫J)
蟲と眼球とテディベア (日日日/MF文庫J)

 amazonって便利すぎる。




___6月21日(火)


【今日読んだ本】

沫子 信太流れ海伝説 (佐向 真歩/講談社X文庫ホワイトハート)amazon

《あらすじ》
 「歌垣」―東の地の乙女たちの憧れの儀式。男と女がお互いに歌を掛け合い、見つめ合い、伴侶を決める。それはそれは神聖な宴。沫子は、信太流れ海に浮かぶ安婆の島を統べる王の妹。初めて参加した「歌垣」でヤマトの美しい若者・臨薙と出会った。そして臨薙は勾玉を沫子の手に…。ヤマトは大八洲平定のため東国へ軍勢を遣わす。沫子の一族も運命を揺さぶられる。まだ“日本”でなかった古の時代、かくも麗しく、たおやかなロマンがあった。


 ホワイトハート作品リストを片っ端からチェックしている時に見つけた、神女の力を持つ少女とヤマト人ながら東国の人間の血を引いている青年を中心に、ヤマトに脅かされる海人の国の存亡を描いた歴史ファンタジーロマン。
 おー、これはいい掘り出し物でした。作風は、ラブ分を減少させて歴史部分や文章を重厚にした時海作品(業多姫)のような感じで、荻原規子さんの「勾玉」シリーズあたりの児童文学に近い雰囲気はありますが、児童文学特有の文章の癖とかはなくてなかなか好み。
 ただ未来を見るだけの神女としての自分に戸惑う少女、ヤマト人としての自分と安婆への想いという相反する二つの心に揺れる青年、強大な力で塗りつぶしていく西国とは違う「沫」としての東国のあり方、などといったものが、風土記を元に作者がアレンジした雰囲気抜群の世界観の下で確固とした重さを持って描かれており、ヤマト人と東国人、敵対する二人の恋という自分的にツボな要素も含んでいて、かなり面白かったです。序盤、世界に浸るまでにちょっととまどったり、もうちょっと兄王の気持ちあたりも書き込んでほしかったなぁと思ったりもしましたが、デビュー作としたら十分な完成度だし、次作にも期待。
 と思ったら、これ一作で消えちゃってます_| ̄|○ あとがきで次回作の設定も書いているのにこれっきりですか……。話は売れ線大きく外しているとは思えないし、BLっぽさも極微量ながら含んでいるのに、何で売れなかったんだろう。イラストと地味なタイトルのせいなんでしょうか。「電脳のイヴ」の人なんかも一作どまり、「扉の書」の人も音沙汰なしと、ホワイトハートは売れない新人の見切りが早すぎな気がしますよ。


評価 ☆☆☆★(7)




___6月20日(月)

 今月はもうミスしないぞと言ってから2週間、見事強調閉じ忘れやらかしました_| ̄|○
 2週間持っただけでもよしとしよう……。


【今日読んだ本】

サマー/タイム/トラベラー1 (新城 カズマ/ハヤカワ文庫JA)amazon

《あらすじ》
 あの奇妙な夏、未来に見放されたぼくらの町・辺里で、幼馴染みの悠有は初めて時空を跳んだ――たった3秒だけ未来へ。〈お山〉のお嬢様学校に幽閉された饗子の号令一下、コージンと涼とぼく、そして悠有の高校生5人組は、〈時空跳躍少女開発プロジェクト〉を開始した。無数の時間SFを分析し、県道での跳躍実験に夢中になったあの夏――けれど、それが悠有と過ごす最後の夏になろうとは、ぼくにも知るよしもなかった


 新城さんの久々の新シリーズは閉鎖的な町が舞台、頭のいい高校生たちが時間跳躍現象を探究する青春SF。
 あれ、新城作品ってこんな癇に障る文章だったかなぁ。衒学的なのはいつものこととして、今回はちょっと行きすぎに感じました。饗子語録あたりは楽しめるんですが、読書関連の描写が知ってて当然みたいな書き方に見えていやらしい。特にタイムトラベル作品の記述、紹介というには量多すぎです。
 そして、「この頃の僕らは知らなかった」「あの時こうしていたら」系の文章がわんさか出てくるのがとてもうっとうしい。話の筋自体は面白そうなのに衒学に走りすぎて全然話が進まなくて焦れている所に、こんな一つ出てきただけでも萎えかねない回想文章を連発されると読む気力が失せます。さっさ続き見せろと声を大にして言いたい。確定した結末までどんな過程で到達するかは興味あるので下巻も読みますが、「星の、バベル」級を期待していただけに残念。


評価 ☆☆(4)




___6月18日(土)


【今日読んだ本】

まおうとゆびきり3 こいのめろでぃ (六甲月 千春/富士見ファンタジア文庫)amazon

《あらすじ》
 まお打倒に燃えていた元部下の一部は、魔界の掌握に失敗。おとなしくなっていた。しかし、その中でも再び虎視眈々とチャンスを狙う将星――水徹のレム。彼は夏休み地球を訪れるのだが――。


 思いっきり人を選ぶ、小ネタ満載の学園コメディ、はやくも最終巻。
 なにはともあれまずは、あとがきにツッコませてもらいます。『担当さんには小ネタを減らしなさい減らしなさいと耳にタコクラゲができるほど言われつづけた』
 編集は顔洗って出なおしてきなさい。
 小ネタが減った「まおうとゆびきり」なんて、フルーツが少ないパフェ。あればあるだけ面白くなるのに、何考えてるんですか編集は。これだから昨今の富士見は売れな(ry
 とはいえ、それなりの量の小ネタは今回も備わっていて満足。ちょっとメタネタや富士見作品ネタの割合が多くてネタ枯渇気味なのかなぁと思いましたが、笑えるのでなんでもいいです。デジとポケのネタきわどすぎたり、カミソリでキャプ翼懐かしんだり、蛇と人間のバカップルに和んだり、いやー楽しいなぁ。でも、「殺してでも奪い取る」はやっぱりひらがなでやらないと。あと、ゼットンが隠れツインテールっ娘だったことが分かって、無理矢理萌えてみたり。人の妄想の力は偉大です。
 物語は3巻にしてようやく小ネタと溶け込んだ我を張らないものになって、今までだるかった後半の戦闘にもしっかりネタが入っているのがよいですね。母上様つえー&リンかわいー。完結となるラストも非常にこの作品らしい締め方。普通の話なら閉幕式なしで終わるのが筋なのに、あえて蛇足を入れるのが似合ってます。
 小ネタにこそ意味がある作品だしまだまだ続けられそうだけれど、下手に続けてマンネリ化するよりはこの辺で終わっとくのがいいかもしれませんね。幸い、次回作執筆中らしいので切られることもないようです。編集に負けずこれからも小ネタで突っ走ってくれますように。


評価 ☆☆☆★(7)




___6月17日(金)


【今日読んだ本】

かえってきた、ぺとぺとさん1 フーコの空 (木村 航/ファミ通文庫)amazon

《あらすじ》
 夏が終わり、新学期が始まった。鮎川町では、謎のUFOが目撃され、友里明日香がマブイ(魂)を落とし、「いもてん」本番の準備がスタート。らららーっと、一目連の風子が渦を巻き、コンパニオーンが空を飛ぶ。あまり平穏ではない日常のなかで、ふとシンゴが思い出すのは……。ぽっぴゅぽっぴゅ、足音が響く。かえってきた! かわいい妖怪と人間たちの、ほのぼの不思議な学園物語、そのいち。


 アニメ化に合わせてかえってきたぺとぺとさん、今回は一話完結ではなく続き物。
 ……正直、かえってこなかったほうがよかったと思います。前巻の感想で言っていた「続けたらダメになる」予想が的中。お話の「起」が「かえってきた」というタイトルの癖にただの前巻の続きで、この物語で何をしたいのかがさっぱり分からない。コンパニオン修行やシンゴたちの日常の描写はキャラクターの魅力が前に出てこなくて面白くなく、読んでいて眠くなったのが1回や2回では済まず。さらに前巻で書ききってしまったためにラブ分は大幅ダウンしているし、どうでもいい新キャラが増えて好きなぬりかべ姉妹の出番は減少、楽しめたのはぬりちゃんが活躍する10ページ程のみ。もうだめぽ。はやく「ぴよぴよ」の方に戻ってきてください。


評価 ☆★(3)


【今日購入したもの】

かえってきた、ぺとぺとさん1 フーコの空 (木村 航/ファミ通文庫)
まおうとゆびきり3 こいのめろでぃ (六甲月 千春/富士見ファンタジア文庫)
サマー/タイム/トラベラー1 (新城 カズマ/ハヤカワ文庫JA)
スキップ・ビート! 第10巻 (仲村 佳樹/花とゆめコミックス)
しゃにむにGO 第20巻 (仲村 佳樹/花とゆめコミックス)




___6月16日(木)

4万Hitいきました、ありがとうございますー。

各地で話題になっている銀盤漫画化&アニメ化?。漫画は素直に期待しますが、アニメ化は持ち味が完全に消えると思うのでやめてほしいなぁ。


【今日読んだ本】

ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種 (西尾 維新/講談社ノベルス)amazon

《あらすじ》
 「――諸手をあげて、喜べよ」人類の最終存在、橙なる種・想影真心(おもかげまごころ)を伴って、「僕」こと“戯言遣い・いーちゃん”の前に「狐面の男」は現れる。バックノズル、ジェイルオルタナティブ……。“運命”の最悪の傍観者たる彼が唱える“世界の法則”は、この世の“真理”そのものなのか!?新青春エンタの決定版中の決定版、<戯言シリーズ>、その最終楽章となる『ネコソギラジカル』3部作、すべてが予測不可能な主題(テーマ)が激しく錯綜し旋律する、待望の中巻!完全燃焼、西尾維新!!


 戯言シリーズもいよいよ完結まであと2冊。
 フレンチクルーラーってそんなにおいしいですかね? ちょっと甘すぎ・歯ごたえが微妙・ベタついて食べにくいなど、どうも好きじゃないです。カロリーもやばそうだし。オールドファッション系列とかチュロとかがお気に入り。まあ、ドーナツな時点でカロリーやばいんですが。
 と、ドーナツについての感想が真っ先に浮かんでしまう今回の中巻。正直、物語は崩壊しているというか何も語っていない気がして、話自体の出来はかなり悪いです。上巻あたりから評判よくない理由がようやくわかりました。でも、自分の場合元々キャラクターや台詞回しが好きでこのシリーズ読んでいたので、さほど気にならず。いかれたキャラ達と戯言は今回も楽しめたんだから、それで万事OK。でも下巻では、伏線も回収して物語をきちんと終えてほしいなぁ。最後までこのままなのはやっぱり寂しいです。
 ところで、ずっと真心は男だと思っていたんですが、Webぐるぐるしてみると……女性?


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】

グレイヴディッガー (高野 和明/講談社文庫)