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___10月14日(日)


【今日読んだ本】

流血女神伝 喪の女王3〜7 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)amazon



《あらすじ》
 森の中で逃亡生活を続けるカリエ。途中で同行することになった伯爵と息子フィンルの存在は、厳しい旅をなごませてくれていた。だが、それも束の間、フィンルを追ってミゼーマ宮の兵士が現れた。なんでもフィンルは王太子ネフィシカの実の息子であったという。驚くカリエだったが、その兵士らを娘のセーディラが恐るべき力を放って撃退するのを目の当たりにして、さらなる衝撃を受け――。


   というわけで案の定7巻まで読み終えました。
 後2週間読むの待つべきだったああああああああ!! この引き&他にも色々気になる状態で2週間待たされるのは、一気読みした身には拷問です。というか後1冊で終わるんですかこれ、8巻の価格630円を見るに、相当分厚いことは間違いなさそうですが……。
 こうして通して読んでみて、ユリ・スカナ編は神と人の物語であり、母と子の物語なんだなと実感。元からそういう側面も多分にあったんですが、今までは波乱万丈さや恋愛方面に眼がいってしまって意識してなかったんですよね。それが、カリエ視点が減って恋愛も落ち着いたために表に出てきた感じ。カリエとセーディラをはじめ、色んな形で母子が描かれているのが面白いです。一言で言うと母ってすごい。神については、タイアスはどこで何をやってるんだろうという大きな疑問が。最後は壮大な痴話喧嘩でした、で終わったりするのかと思ってましたが、そうはならなそうだなあ(いや、痴話喧嘩だったらほんと迷惑すぎですが)

 以下各巻感想を簡単に。
 3巻は宗教談義が非常に印象的な巻。タイアスやオルとは違う多神教のカーテの教え、神の試練の意義と今までになく気合入っていて興味深かったです。各宗教に精通してるとこの辺りはもっと楽しめるんだろうなあ。あとはエドの子煩悩、いやーすっかり丸くなりましたね。恋愛は自分の中ではバルカリで終わっているので、エドとカリエがくっつけばいいとかは思わなかったです。
 4巻で目についたのはグラーシカの弱さやイーダルの心の闇。バンディーカの子育ては能力的にはともかく、精神的にはボロボロですね……。でも超人バンディーカの過去回想は「彼女も人間だったんだな」とはっきり分かってよかったです、これはあとがきにあったような外伝としてじっくり読みたかったなあ。
 5巻では滅びへ向かっていくルトヴィアがなんとも切ない。改心したサラの姿がその思いを倍増させます(死亡フラグですよねこれ……)。サルはなあ、彼にエドの10分の1でも単純思考が備わっていたらどういう人生を歩んだだろう、とつい考えてしまいます。
 6巻は間違いなくエドが主役。エディアルドの誓いは、年月の重さを感じさせられる、女神伝26冊の中でも有数の名シーンですね。ネフィシカはまともな面も見せてくれて2巻の頃に比べると大分好感度あがりましたが、時折見せる狂信的な面の浮きっぷりがやっぱり怖いです。グラーシカも言ってますが、バンディーカは偉大だほんと。
 そして7巻、あー須賀さんやっぱ鬼だ。ガゼッタのそれはあまりにも鬼だ。グラーシカ復帰して国民の心も戻ってきて、という時に鬼畜すぎる。ルトヴィアは完全には滅びないみたいですがどうなるんだか……。カリエはどうなるのか、イーダルの心の闇は晴れるのか、各国の運命は、などなど後1冊で終わる気がやっぱりしません。まあ発売日を待つしかないですね、皆がハッピー、とは到底いかないでしょうが、ここまで生き抜いてきた各人悔いが残らないような最終巻であることを願います。


評価 ☆☆☆☆★(9)



___10月12日(金)


【今日読んだ本】

流血女神伝 喪の女王2 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)amazon



《あらすじ》
 ザカールの宿命に従えば、カリエは男児を産むはずだった。だが、実際に生まれてきたのは女の子――これが意味するものは何なのか。果たして女神の思惑は!? 激動のサバイバル・ロマン!!


   来月でとうとう完結する女神伝。2巻を読み逃した時に「どうせ完結する時に読み返すんだし、完結するまで積んでおこう」と思って今まで熟成させていました。どうせ10巻オーバーするんだろうと思っていたので、8巻で終了はちょっと意外。
 で、この2巻の感想としては、思った以上に過去の話を覚えていた自分に感心 ネフィシカこえー。バンディーカのことを憎んでいるのは分かってましたが、巻末みたいな行動起こすまでの行動力と才覚を持っているとは思ってませんでした。普段の優しげな態度とのギャップの激しさと狂信っぷりが恐ろしいです。
 それに付随してバンディーカの弱さも意外、もっと超人的な人かと思ってました。ザカールの呪いなのか老いなのか分かりませんが、このままやられっぱなしではないだろうし巻き返しに期待。
 ユリ・スカナの動乱にカリエやセーディラがどう巻き込まれていくのか、3巻も楽しみ(というかもう手をつけていたり)。週明けには7巻まで読み終わってそうです、一気読みできるって幸せ。


評価 ☆☆☆★(7)



MIND SCREEN1 (結城 惺/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 ロックバンド<サイオン>のギタリスト高瀬俊一(たかせしゅんいち)は、雑踏の中で思いがけない再会をする。斉木久志(さいきひさし)……かつて夢のためにあきらめ、けれど忘れられないでいた人。??俊一の胸に、懐かしい高校時代が甦る……。結城惺のピュア・ラブ・ストーリー、ついに文庫で登場!


   ウィングスCOMPも折り返し、そろそろネックなものにも手をつけていかないと。というわけで、ウィングス初期の頃に発売された、全6巻の現代BL。
 うーん、駄目だ。さすがにウィングスなので肉体重ねる直接的な表現はなくて一安心、でもカップルの片方の俊一が典型的なウジウジグダグダキャラで全く好きになれませんでした。少し悩むくらいならいいんですが、何年たっても相手のこと信じずに同じようなこと繰り返してるのは、正直ウザったかったです。
 あと、中編形式で話が進むんですが、各中編の時系列がバラバラで、その時点でのキャラの心情がつかみづらいのも難。いきなりカップル成立状態で最初の中編はじめられても困ります……。ようやく三篇目で出会いの話がきたかと思ったら、likeの過程すっ飛ばしていきなりloveにいってしまうし。おいおいこっちはlike→loveの移り変わりが読みたいんですよ。現代の普通の学園でいきなりloveにいくのは自分には納得できません、女の子結構出てきてるしみんなかわいいのに。
 とりあえず女の子のかわいさ頼みで2巻以降も読んでいこうかと。


評価 ☆☆(4)



___10月11日(木)


【今日読んだ本】

バッカーノ!2002 【A side】 Bullet Garden (成田 良悟/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
 フィーロとエニスの『新婚旅行』に同行し、チェスは日本に向かう豪華客船に乗り込んだ。太平洋上のど真ん中で同型の双子の船とすれ違うイベントもある超豪華客船。ハリウッドスターやスタントマンの少年、映画のセットなどなど、船上イベントの準備も順調に進んでいた。だが船の内奥では、密航者の子供達が乗り合わせるだけでなく、謎の集団によって占拠されていき、その集団を追ってきた『猟犬』を交えて混沌に呑み込まれていた。シージャックの目的とは何か? もう一方の船で何が起きているのか? そして、追いつめられたチェス達を襲う『違和感』の正体とは──!?


   「バッカーノ」最新刊は久々に21世紀が舞台、フィーロとエニスの新婚旅行編。
 おー、久々にバカ騒ぎっぽいバッカーノだ。1934は今後の伏線中心で爽快感が足りず、1705はミステリー風の作りで悪くはないけれど、やっぱりどんでん返しやバカ騒ぎや収束感あってこそのバッカーノだと思うのです。そういう意味で、今回は狭い船内×2に色んな勢力が入り乱れて、とても期待できそうな感じ。ここ数巻での伏線が見え隠れしているのが気になるし、新キャラのウォーケン姉弟もクレアらしさを引き継いでて魅せてくれそうですし、Bsideが楽しみです。チビッ子ギャングの印象がやや薄いので、彼らに頑張って欲しいところ。
 ただ、事態のあまりの進まなさにBsideで終わるかどうかが心配。下手すりゃBsideにもプロローグがありそうだし……。


評価 ☆☆☆★(7)



魍魎の都 姫様、出番ですよ (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)amazon



《あらすじ》
 清原家の姫君諾子(なぎこ)は憂鬱だった。出たくもない宴に出るよう強要され、その上、着飾らなければならないとはっ!。しかし、宵庚申の宴の最中に、最近人死にが続いている。せめて警備が厳重な宴に出るべきだという理由を知った諾子は、しぶしぶ今をときめく右大臣邸の宴に出ることを承諾するが……


   「幻獣降臨譚」を書いている本宮さんの新刊、平安時代が舞台の陰陽ラブコメ。春先に出た同名シリーズは陰陽バトル物のようだったので回避したんですが、これは全然毛色が違うと聞いたので買ってみました。
 なるほどこれは評判通りのかわいい姫様、主人公の諾子のおてんばっぷりが愉快な物語でした。自分の巻き込まれた事件を自分でどうにかしようとする行動力だけなら他でも時々見ますが、書物や学問を好むのが、おてんばらしからぬいいアクセント。宴でのうまい返し方はただのおてんばにはできません。そして、この話のメインである橘の若君とのラブコメ模様。第一印象がかなり悪く、顔を合わせるたびに反発してしまうものの、どこか気になって……、というベタベタっぷりが素晴らしい。たまに顔を覗かせる本気の則光にドキっとする諾子がとてもかわいらしかったです。
 タイトル通り魍魎が政治に絡んでいて、裏側では何やらきな臭い動きもあるんですが、その辺は好みじゃないので読み流し気味。美形腹黒の道長公が恋争いに加わって、次巻で繰り広げられるであろう三角関係が楽しみ。


評価 ☆☆☆(6)



___10月10日(水)


【今日読んだ本】

悪魔のミカタ666 4 スコルピオン・デスロック 〈下〉 (うえお 久光/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
 知恵の実《グレイテストオリオン》の影響で、“熱血化”傾向にある日炉理坂高校の生徒たち。そんな中、みークル部長・朝比奈菜々那の提案によって、急遽、舞原イハナと菜々那の次期生徒会長の座を賭けた体育祭――『紅白祭』が開催されることになった。白組リーダー・イハナの策略や、赤組・小鳥遊の活躍もあって、白熱する後半戦の試合展開。生徒たちの“熱血化”にもますます拍車がかかり、それはやがて……。そして、堂島コウと葉切洋平の決着の行方は――? 人気シリーズ新章第4弾! スコルピオン編もいよいよクライマックス!!


 ハーレムなのか熱血なのかシリアスなのか、どこに進むか分からない「悪魔のミカタ」第17巻は体育祭後編にしてスコルピオン編完結編。
 予想の遥か上を行く展開、参りました。2巻の感想を書いた後、友人に「これ気づかないのはないわ……、バーカ」と散々に言われたりしたので、3巻4巻と見落としのないよう気合いれて読んでいたんです。その甲斐あって、騎馬戦のあのネタなんかは結構はやくに勘付いて、「運動会でこんな大技だすなんてやるなあ」と大迫力を楽しみつつ、よしよし騙されないで済みそうだと満足していたわけです。
 そしたらアレですよ。伏線は色々あって言われれば「おーなるほど凄い!」と納得できるんですが、いやでもこんなの分かるわけがないですよ。これは分からないのが普通のはず。完全に忘却のかなたの大昔の伏線も持ち出されて、もう完全敗北。後半数十ページはただただ驚愕するばかりでした。
 いやはや一体ここからどうなるんだろう。今後の展開なぞ予想できるわけないので、もう諦め。何でもこい、何がきても驚いてやる!


評価 ☆☆☆☆(8)



___10月9日(火)

 このラノ2008の投票は例によって滑り込みで。今回は推したいものを中心に。以下リスト。

エパタイ・ユカラ
BLACK BLOOD BROTHERS
ダナーク魔法村はしあわせ日和
スイートホームスイート
眠れぬ島の王子様

 銀盤やウィザブレは今さら推すまでもないだろうと(というか銀盤は期間内なのを忘れてたんですが)。ウィザブレは上と中でしたし。さすがにBBBには入れざるを得ませんでしたが。身代わり伯爵やきらほあたりもいれたかった……。


【今日読んだ本】

ウィザーズ・ブレイン VI 再会の天地 〈下〉 (三枝 零一/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
 《マザー・システム》は魔法士の犠牲の上に成り立っている――《賢人会議》の主張が真実であるとアニルが認めたことで、紛糾するシティ・ニューデリー中央招集会議。だがそこに現れた真昼は、さらに恐るべき事実を全世界に突き付けた。内戦状態に陥ったシティ・ニューデリーで、アニルの最後の希望を叶えるため、イルが、ヘイズが、クレアが闘う。そして病魔に冒されながら毅然と振る舞うアニルの姿に、錬とフィアの胸にある決意が芽生えるが――。


 命の重さを1つのテーマとしつつ魔法士たちの闘いを描く「ウィザーズ・ブレイン」第9巻は、ほぼオールスターで送る想いのぶつかり合い。
 面白すぎるという他ないですね、もう。アニルとルジュナの濃厚な舌戦にはじまり、策謀の張り合い、因縁ある戦いの数々とその密度の濃さ、その中で各人の立場が明確になっていく作り、巻を経るごとに完成度が上がってますね、いやーすごい。もう主要キャラみんな大好きだ!(真昼除く) いや、真昼はちょっとチートすぎなので。でもこの完璧っぷりはきっとそのうちぶっ倒される描かれ方なので、その時が非常に楽しみです。
 クレアのかわいさとアニルのかっこよさは読者のコンセンサスとして、それ以外で好きなのはやっぱりヘイズ。ついに春がやってきたようで、これからのペースの乱されっぷりに期待。でもファンメイとのフラグが完全に折れたのは少し残念。エドはちょっとなあ、ていうかしばらく出てきていないせいでエドの影が薄すぎなんですが。
 一旦集まってバラけるのかと思ったら、次は完全にオールスターですか。あとがきの書き方を見ると後数冊で終わりなのかな? まあ後数年は楽しめるでしょう、


評価 ☆☆☆☆★(9)


【今日購入したもの】
 魍魎の都 姫様、出番ですよ (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)



___10月7日(日)

 変ラノ駆け込み投票ー。5作浮かばなかったので3作のみ。といってもトラックバックできないので、ここにはただ載せるだけです。


満月の涙の結晶は(水玲 沙夜子/講談社X文庫ホワイトハート)

変と聞いて何故か真っ先に浮かんだのがこれ。表紙とか眼球とかの印象が鮮烈でした。


青空のように君は笑う〜僕らが起こしたちょっとした奇跡〜 (小池 雪/コバルト文庫)

永山さんが「ふわふわの兄貴」を挙げていたので、自分はこちらに。一見普通の青春小説なのに中身は常識人0の不条理物、とギャップが凄まじいです。


喚ばれて飛び出てみたけれど I.はじめまして世界 (丸本 天外/角川スニーカー文庫)

エロ大根様のセンスは他と一線を画してました。二作で消えてしまったのが残念。


【今日読んだ本】

英国花嫁組曲 アディントン家の恋する三姉妹 (花衣 沙久羅/コバルト文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 父の死で初めて知った我が家の真実…。貴族階級とは名ばかりで、遺っていたのは借金のみ。家を救う唯一の方法はお金持ちの殿方との結婚!! アディントン家の三姉妹が見つけた三つの幸せの形とは?


 今月のコバルトの新刊、貴族の三姉妹それぞれの恋を三つの短編で綴ったヴィクトリアンロマンス。
 評判よさそうなので買ってみたら、なかなかの拾い物でした。19世紀のイギリスを舞台にした貴族三姉妹(正確には四姉妹ですが一人は修道女)の恋物語の連作短編で、基本的にはどの話も主人公紹介→出会い→障害→結ばれる、というとても基本に忠実な流れ。ですが、借金だらけの一家をなんとか救おうとする真面目な長女のアリス、耳年増タイプだけれど一番恋に憧れている次女のシンディ、奔放で好奇心たっぷりな末っ子のキティ、と三姉妹の性格が全然違って三者三様の恋が楽しめる上、後半の話では今まで出てきた主人公カップルの仲睦まじいところも見れたりして、糖度たっぷりで面白かったです。一番好きなのは最後のキティの話、「レディー・ヴィクトリアン」のベルが読んでいそうな設定の物語でとても情熱的なのが○、姉妹や姉弟の絆もこの話が一番強く描かれてました。
 花衣さんは最近までBL作家だったのでスルーしていたけれど、これからはチェック対象入り。


評価 ☆☆☆★(7)



遠まわりする雛 (米澤 穂信/角川書店)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 折木奉太郎は〈古典部〉仲間の千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛」へ参加するが、事前連絡の手違いで祭りの開催が危ぶまれる事態に。その「手違い」が気になる千反田は、折木とともに真相を推理する――。


 古典部シリーズ久々の新刊は、奉太郎や千反田たちが高1の1年間に経験した色々を描いた短編集。
 うわー、ついにここまでラブ寄せの波が! このシリーズは恋愛を本気で扱うことはないんだろうと決めつけていたので、かなり驚かされました。これまでとは違って短編集という形をとったことで、奉太郎と千反田の距離がだんだん縮まっているのが(というよりは奉太郎が千反田に惹かれていっているのが)よく分かりますね。話の面白さとしてはクドリャフカの方が大分上なんですが(というか、文化祭+多視点のクドリャフカは個人的に傑作なので超えるのはまず無理)、これはこれで素晴らしいものです。「あきましておめでとう」の密室で2人っきりでドッキドキ(誇張しすぎ)もよかったですが、それよりも印象的だったのがラスト2篇。米澤さんはほろ苦さを描かせたら天下一品ですね。
 奉太郎がこの後どういう行動をとっていくのか、これは続きが楽しみすぎ。また1年くらいは空くだろうのでのんびり待ちます。


評価 ☆☆☆☆(8)




___10月6日(土)


【今日読んだ本】

シャーロキアン・クロニクル6 コンフィデンシャル・パートナー (真瀬 もと/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 モリアーティはホームズを名乗り、ワトスンを相棒に英国を揺るがす陰謀に挑む。そして二人がお互いを認め合っていくなか、新たにモリアーティに成り代わる男とは……!? 表題作の他、書き下ろし「探偵はいつも不機嫌」を収録した大好評シリーズ完結篇!!


 ホームズの新解釈をベースにした人間ドラマ「シャーロキアン・クロニクル」最終巻。
 あー悔しい。何が悔しいかって、あの等号に気づけなかったのが悔しい。5巻で「モリアーティ=ホームズ」が提示された時点でそれも気づけと。1巻のプロローグ見た時に「同一人物で自作自演なのかな」という先入観持っちゃったせいもあるんですが、自分の5巻の感想がお馬鹿すぎて目も当てられません。
 1巻の頃は誰中心の物語かよく分からなかった本作ですが、全体通して見ると完全にモリアーティの物語でした。感情を全て「ノイズ」として切り捨てたりと人としてぶっ壊れ気味だったモリアーティが、ワトソンの根気強い働きかけによって段々人間の情を取り戻していく過程が凄く上手く描写されていたと思います。あのモリアーティがここまでまともになるとは、この物語のMVPは間違いなくワトソンでした(一番好きなのは当然マチルダですが)。しかし、モリアーティも言っていたけれど、ワトソンは全く優秀なエージェントに見えませんね。スコットにあっさりカードを全部見せてしまうあたり、何で8年も無事にやってこれたのか不思議です。
 残念なのは、1巻のプロローグの場面が語られなかったこと。ジョイスがどういう末路を辿ったのかが気になります。まあ、欠けたものを取り戻すのは難しそうなので、きっとハッピーではなかったんだろうなあ。
 全6巻、なかなか読みごたえのある物語でした。ホームズ原作を読んでいる人にはきっとお勧めです。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 ウィザーズ・ブレイン VI 再会の天地 〈下〉 (三枝 零一/電撃文庫)
 悪魔のミカタ666 4 スコルピオン・デスロック 〈下〉 (うえお 久光/電撃文庫)
 バッカーノ!2002 【A side】 Bullet Garden (成田 良悟/電撃文庫)



___10月5日(金)

 遅くなった9月のまとめ。

読了――19冊
購入――14冊+ウィングス文庫たくさん

 10月はウィザブレ6下、ミカタ4、多崎さん新刊と色々揃ってて楽しみすぎ。8巻出る前に喪の女王一気読みもしないと。


【今日読んだ本】

諏訪に落ちる夕陽 (ながと 帰葉/コバルト文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 戦国の世。諏訪一族の姫・夕は予言を伝える諏訪大社の巫女でもあった。人質として武田晴信の側室となった夕は、一族の敵・晴信を暗殺しようとするが!? 他1編。19歳のノベル大賞受賞作家、デビュー!


 今月のコバルトの新人さんの作品は、昔の日本を舞台にした政略結婚ラブロマンスを2篇収めた中編集。
 ちょっと話の作りが素直すぎて物足りないところもあるんですが、結構面白かったです。表題作である「諏訪に落ちる夕陽」は武田信玄と諏訪御料人の馴れ初め話。「風林火山」は見てないし諏訪姫のことは全然知らないんですが、敵として憎む気持ちの中に得体のしれない気持ち(恋心)が育っていく様子がよかったです。長年「心」を持たずに生きてきたため恋というものを知らず、かなり後半まで素直になれなかった末の告白は甘々でした。ただ、「かつより」の名に「うーん」と思ってしまったのはきっと自分だけではないはず。せっかく感動的なシーンなのに水差された気分になってしまいました。
 もう一篇の「光さす王宮」は大和時代が舞台、大王に嫁ぐ少女が主人公のお話。暴君と評判の大王の悲しそうな瞳が気になって――、というところから距離が近づいていくベタな展開、こちらも綺麗にまとまってはいるんですが、兄の存在のせいで大王との間にときめきがあまり感じられなかったのが残念。恋の甘さで押さないならば、もうちょっと捻りが欲しかったです。義兄妹の恋が好きな人にはお勧め……なのかな?
 19歳という年齢、読者大賞受賞作家ということでこれからプッシュされていくのかな、要注目です。(でも過去のリスト見てたら、読者大賞の生き残り率って案外低いような……)


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 英国花嫁組曲 アディントン家の恋する三姉妹 (花衣 沙久羅/コバルト文庫)
 遠まわりする雛 (米澤 穂信/角川書店)



___10月4日(木)

 最近キーボードを使うときに手首に痛みが出ていたので、余っていたポイントを使ってエルゴデザインなキーボードを買ってみました。購入して数日、確かに手首は楽だし概ね使いやすいんですが、1つ問題が。我流タイピングで、今まで時々「Y」を左手で打ったり「B」を右手で打ったりしていたので、分割されたせいで例えば「BA」とかが打ちづらい。うーん、そのうち慣れるかなあ。

【今日読んだ本】

薔薇のマリア Ver3 君在りし日の夢はつかの間に (十文字 青/角川スニーカー文庫)amazon



《あらすじ》
 ベティ、クラニィ、カイ、ナツコ、ヴィクトリア……のちにクラン〈昼飯時〉の頭領となる孤高の黒き薔薇ことアジアンが、仲間に出会う物語。ザ・スニーカーでの連載に加え、感動の書きおろしを加えた完全版で登場!


 3歩進んで2歩下がる青春小説「薔薇のマリア」番外編の4冊目は、アジアンをヘッドにおく「昼飯時」の結成からSmCとのゴタゴタまでのあれこれを、「昼飯時」のメンバーたちの視点から見た短編集。
 なんて御託はどうでもよくて、アジアンラブ。今回はこの一言に尽きます。「昼飯時」って要はアジアン大好きな人たちの集まりなわけで、そんな人たちの視点で話描かれるんだから、全編アジアンへの愛で溢れてます、最高。気高さ、美しさ、時折見せる優しさや危うさや弱さ、ああアジアンかっこいいなぁ、そりゃカイも抱きしめたくなります。もちろんアジアンだけでなく「昼飯時」のメンバーたちも魅力的、お人よし中年のクラニィは実にかっこいいし、ヴィクトリアとナツコの姉妹は見ていて楽しいし(ナツコは時々ウザいですが)、本編でも結構出てきていたベティの女心の描写は、もっともっと彼女の話を読みたいと思わされるくらいに素晴らしかったです。メンバーの中ではベティが一番好きですね。
 でもアジアンはマリアのものなんですけどね! みりおんぐらむではアジマリを全力で応援しています。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 GWAVE SuperFeature's vol.7 Sugar+Complete (IMA ENTERTAINMENT)

Sugar+Spiceのサントラ、ゲームはやってませんが、Rita信者なので購入。古典部の新刊はまだ売ってませんでした、これだからハードカバーの発売日は……。



___10月2日(火)

soundseaさんのアクセス解析の記事を見て、「そういえばうちもダナークで飛んでくる人多かったなー」と思い当たったので、8月9月の検索ワードトップ10を調べてみました。(作品・作家関連のみ、解析しているのはmainページと去年の12月以降のログ)

8月

1.一瞬の風になれ
2.蝶の大陸
3.神語りの玉座
4.眠れる島の王子様
5.ひずき優(キミのいる場所 REAL×FAKEの著者)
6.契火の末裔
7.身代わり伯爵の結婚
8.旋風天戯
9.イクライナの鬼
0.氷と炎の歌

9月

1.珠華繚乱
2.いとしのマリエラ
3.眠れる島の王子様
4.死神姫の再婚
5.バカとテストと召喚獣
6.オペラ・グローリア
7.一瞬の風になれ
8.悪魔のミカタ666 スコルピオン・デスロック
9.世界で一番不思議なあの子
0.蝶の大陸

 あれ、まるでうちが少女小説サイトかのような結果だ。バカテスや悪魔のミカタなど少年系も散見されますが、上位はほとんど少女系でした。理由を適当に挙げてみると

・扱っているサイトが少ないから検索上位にきやすい
・有名所があんまり感想を書かない
・実は少女小説感想の需要は高い

まあ多分一番上でしょうね。
 あと目につくところでは、「イズー×ビー」やら「アジアン×マリア」でくる人が定期的に。「イズー×ビー」はどこにもないでしょうね……。見つけた方は是非教えてください。
 ついでに話題になっている少女系二次創作について。自分もあまり詳しくないですが、コミケだと小野不由美・まるマ・彩雲国あたりのメジャーどころを除くとかなり少ないです(それでも少年系よりは多い気がする)。アダルシャンも1、2サークルレベル。たまーにディアスポラや結晶物語なんかを扱う奇特なサークルもあったりはするんですが。


【今日読んだ本】

ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児 (田中 天/富士見ドラゴンブック)amazon



《あらすじ》
 ムー大陸は実在していた! 時は第二次大戦前夜、無限の力を生むという大いなる遺産を狙って、ナチス秘密部隊が暗躍を開始した! 醜い野望の犠牲となったのは、ヨーロッパの小さな公国ヴォルスング。その王家には、大いなるムー大陸の秘宝が伝わっているという。その鍵を握るのは、可憐な姫君マリアグレイス。彼女と世界を股にかける快男児・天花寺大悟が出会うとき、運命は動き出す! 激動の時代を舞台に東邦の快男児・天花寺大悟と仲間たちが地球狭しと暴れまわる痛快大活劇リプレイ。


 某大賞のキャラ部門の「クレオパトラ・ダンディ」が気になったので買ってみた、ダブルクロスのリプレイ。
 電車の中で(ry 数々の失敗に懲りず、またFEARリプレイを電車の中で読む暴挙に出たわけですが、今回は数回噴きだしかかるだけですみました、よかったよかった。うん、今度こそもうやめます。
 でも数回だけで済んだように、きくたけリプレイに比べると笑いの破壊力は弱いですね。その分設定の派手さや痛快さに力をいれていて、超文明なナチスをなぎたおす様は確かに痛快、 個人的にあまり好みじゃない大悟みたいな快男児キャラが主役でも楽しめました 。でも、256^2回復をはじめとして全体的に悪ノリしすぎ、ストーリーに力が入ってるせいかダイスや攻撃力のインフレが気になっちゃいました。
 気になる「ダンディ」が出てくるのは2巻のようなので、そちらも近いうちに。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 諏訪に落ちる夕陽 (ながと 帰葉/コバルト文庫)
 薔薇のマリア Ver3 君在りし日の夢はつかの間に (十文字 青/角川スニーカー文庫)

 新刊確保。花衣さんは完全にBL路線から脱却したみたいなので、買ってみるかどうか迷い中。